7回
2021/03 訪問
春の季語が詰まった絶品「小出料理」×黄綬褒章・谷ソムリエの絶妙ペアリング。二人の名匠が織りなす春色至福!!
彼岸入りの前、春嵐でもない暴風雨となった週末、今回で7回目となる小出シェフ×谷ソムリエのコラボディナーに、またまた、お邪魔しました。テーマは、「日本の春 フランスの春」とのことで、春色一色のテーブルが美しい!
2021年最初の緊急事態宣言が再延長されそうな流れだっただけに(実際そうなりました)開催を危ぶみましたが、開始時間の前倒しで対応。Webで初春らしいメニューを拝見し、中止・延期になると、貴重な食材はどうなるのか、などといらぬ心配をしてしておりました。
かつては(と言っても二十数年前ですが)、コンチネンタル料理で人気を博した「バルゴ(VIRGO)」の後継、「ベッラ・ヴィスタ」さん。タワマン(20階以上)全盛のいまでも、タワー最上階(40階)から望む東京タワーの夜景は人気でしょう。
今回のコラボディナーの印象を先に記すと、これまでで最高の出来でした。
とくに春野菜のサラダとシャブリがこれほど合うとは、驚きです。和テイストのお魚料理とのペアリングも素晴らしい!
それほど高額なワインでなくても、相乗効果のなせる業でしょうか。お料理に関しては、メニューからして、小出シェフの意気込みを感じます。今日は攻めていますね!
●メニューとペアリングワイン(以下「P」)
【カナッペ】カリフラワーとキャヴィア/黒トリュフのカヌレ/フォアグラのベニエ
P:アンリオ ブリュット・スーヴェラン
いきなりの三品攻撃。シャルドネの美味しさを引き出すアンリオは谷ソムリエもお好きなようで、ブリュット・スーヴェラン(シャルドネ50%/ピノ・ノワール45%/ムニエ5%)は三品とやはりよく合います。
【オードブル】北陸産のボタンエビのバルサミコマリネ カブのバリエーションとシトロネル(レモングラス)のブイヨン
P:フランジパーネ・ロマーニャ・アルバーナ・セッコ2019 テヌータ・ラ・ヴィオラ
いかにも春らしい、爽やかな一品。バルサミコということで、イタリア・エミリアロマーニャの白ワイン(アルバーナ)。絶妙でした。
【コキヤージュ(貝)】千葉県産ハマグリの野菜ブイヨン蒸し 野ぜりのごま油炒めとそのパエリア
P:ディルヴィオ・アルバリーニョ2018 ボデガス アバニコ
やはりハマグリは美味しいです。最近は高すぎて、なかなか自宅の食卓に登場しません。80グラムの大ぶりなハマグリとのことで、やはり出汁が美味! 野ぜりのソテーとパエリアも素晴らしい。
パエリアということで、スペインのリアス・バイシャス白ワイン(アルバリーニョ)。海岸沿いの塩味を感じさせるところがハマグリと好相性だそうで、たしかに見事なマリアージュでした。
【パスタ】白アスパラガスとリガトーニのローマ風 早稲田ミョウガのアクセント
P:エポス・フラスカーティ・スーペリオーレ2018 ポッジョ・レ・ヴォルピ
ロワールの白アスパラに、リガトーニは「ローマ風」ということで生クリームなし、パルミジャーノと卵黄のみとのこと。ここで東京野菜「早稲田ミョウガ」をトッピングする感性、脱帽です。
イタリア・ラツィオの白ワインも素敵でした。
【サラダ】新芽を摘んだサラダと息吹き野菜の饗宴 ブリヤ・サヴァランのソースを添えて
P:シャブリ レ・パルグ2018 ドメーヌ・セルヴァン
私にとって、今回最も感動したのはこのサラダ&シャブリです。これほど美味しいサラダは記憶にないです。フレンチでサラダをオーダーすることはまずないですが、このブリヤ・サヴァランを効かせたソースで頂戴する春野菜の美味なこと! しかもシャブリとこれほど合うとは・・・チーズとシャブリなので、合って当然なのでしょうが、素晴らしかったです。
ちなみに、谷ソムリエはシャブリが大好きだとのこと。また生産者、セルヴァンさんはトゥールダルジャンのボラーさんとお友達だそうで、よくニューオータニさんにお見えだそうです(雑報でした)。
【お魚】クエのポワレと若ごぼう 春キャベツとシェリー酒のソース
P:モルゴン コート・ドゥ・ピフュ ドゥ・シェーヌ2014 ロシェット
高知県産のクエを一週間寝かせて熟成、若ごぼうの茎の部分が付け合わせですが、このキャベツ&シェリーのソース! パンに付けて残さず頂戴しました。
合わせるのはフランス・ボージョレの赤(ガメイ)。谷ソムリエによると、こういうペアリングディナーではどうしても白ワインが多くなり、「赤をもっと飲みたい!」というお客様が多いので、最高の白身魚・クエにガメイを合わせたとのこと。納得のペアリングでした。
【お肉】ホロホロ雛鳥のローストとジロール茸のミトネ 新タマネギと腿肉のつくね 海藻風味のジュ
P:マルサネ ロンジュロワ2014 シャルル・オードワン
ブレス産のホロホロ鳥で胸肉とモモ肉を、それぞれローストとつくね!で食します。ジロール茸のミトネ(煮込み)が付きますが、なんといっても海藻のジュが凄い。お魚料理のキャベツソースと同様、美しいグリーンで、実に美味でした。
フランス・ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ最北部、マルサネの赤(ピノ)。お手頃価格のブルゴーニュですが、海藻風味とも絶妙でした。
【アヴァン・デセール】アボカドのソルベとキンカンのコンポート レモンの風味のウォッカ
レモン風味が効いた、ドライなウオッカとキンカンの甘さが良い塩梅です。
【グラン・デセール】
ショコラのクリスティアンとノワゼットのムースリーヌ リンゴのキャラメリゼ パンド・エピスのクランブル
P:モーリー1977 ティヌヴァン カルヴェ
南フランス・ルーション、モーリーの甘口赤ワイン(グルナッシュ)。さすがにデザートとよく合いました。
最後にミニャルディーズとコーヒー。
谷ソムリエから、モーリーワインのヴィンテージ当てクイズが出されましたが、1977年は小出シェフの生年とのこと。締めの挨拶でも「これからも精進」を強調なさっていました。まさに壮年ですから、どれくらいの高みまで到達なさるのか、想像がつかないですね。非常に楽しみです。
また、谷ソムリエの延期になっていた黄綬褒章受章記念ディナーも5月に、このベッラ・ヴィスタで実施なさるそうで、慶ばしいです。登場するワインは、すでに公開されていますが、どんなお料理が出るか、楽しみですね。
お二人のさらなるご活躍を、改めて祈念します。
御馳走さまでした!!!
2023/03/21 更新
2020/10 訪問
心願成就! 小出裕之シェフ×谷宣英ソムリエのコラボディナー!!
先日の東京會舘さんに続き、今回はニューオータニ東京のベッラ・ヴィスタ BELLA VISTA さんへ。ウィズコロナの時代、感染対策に組織対応しているホテル系のお店に足を向けがちになった気がします。
今年(2020年)1月、まだCOVID-19に対し危機感の薄かった時期、小出シェフと谷ソムリエのコラボディナーに参加した際に春の回(4月)を予約しましたが、感染拡大で二度(4月と6月)開催中止に。雌伏雄飛、10月に無事開催され、本当に良かったです。
お邪魔した当日はGoToトラベルキャンペーンの影響もあってか、フロントは宿泊のお客様で長蛇の列。ビジネスの平日はともかく、週末は回復傾向とのことで、なによりです。
今回、サイトで事前告知されたメニューは1月と同様、「三題噺」のように食材三種が明記されているだけで、どのようなお料理が出るのか、また谷ソムリエがどのようなワインと合わせるのか、想像するのが楽しみです。なにしろ、そそられる食材だらけで、「ヴァン・ジョーヌ」とキンメなど、興味深いです。
1.アミューズ:柑橘風味のサーモンと焼き茄子のタルトレット
焼き茄子の香りがすごいですね。
2.冷前菜:蝦夷鮑/3種のカブ/キャヴィア
東京のカブ三種に、ハマグリなどの出汁を効かせたアワビ、それにオシュトラキャビアで、小出シェフらしい一品でした。
3.温前菜:フォアグラのロワイヤル/ラングスティン/白いんげん豆
うーん、まさしく私のツボにはまるお料理です。イギリスのラングスティンに、白いんげん豆とは面白いですね。
4.パスタ:栗のタリアッテレ/ポルチーニ茸/グアンチャーレ
これも小出シェフならではでしょうか。栗粉の手打ちパスタにセップ茸に豚肉のグアンチャーレが美味しい!
5.お魚料理:金目鯛/菊芋/ヴァン・ジョーヌ
高知のキンメにフランスのトピナンブール(菊芋)、それにフランス・ジュラ地方の黄色いワイン「ヴァン・ジョーヌ」。こういう組み合わせなのですね! 流石です!
6.お肉料理:猪背肉/洋梨/蓮根
山口の猟師さんからのイノシシにレンコン、ドンコ、コンニャクなど和素材を合わせた、これまた小出シェフならではのお料理。熟成させたイノシシの美味さに脱帽です。
7.チーズ:テット・ド・モワンヌ/林檎の密/ピーカンのテュイル
削って楽しむチーズ、シェフ自ら専用器具で「実演」なさっていました。「蜜」ではなく「密」(ママ)! このリンゴのはちみつは、ルームサービスの朝食でも付いていました。
8.デザート:最中/小倉アイス/焼き栗
フランス・イタリア・日本(兵庫県三田)三種の栗に、何といってもウイスキー「山崎」の強烈な香りが! 栗とウイスキー、納得です。ウイスキー好きのシェフならではの着想でしょうか。
9.コーヒーとミニャルディーズ
一方、谷ソムリエのチョイスしたワイン7種はイタリアの「スコルカ」を除きフランスものです。メニューの洋数字とワインの丸数字(環境依存文字で失礼します)がペアリングで対応しています。
①シャンパーニュ R&Lルグラ ブリュット グランクリュ ブラン・ド・ブラン NV
伊勢丹のシャンパーニュの祭典「ノエル」で試飲してからファンになった銘柄です。「トゥールダルジャン」さんのハウスシャンパーニュとは存じ上げませんでした。たしかに山本博氏の書籍によると、ブラン・ド・ブランはフランス内の著名レストランのハウスワインとのことなので、納得です。
②サンセール ブラン・ラ・クレ・デュ・レシ ドメーヌ・アントニー・ジラール 2017
結構、好き嫌いの分かれるソーヴィニヨンブランのサンセールですが、私は好きです。アワビとよく合いました。
③ヴィレ・クレッセ キュヴェ E.J. テヴネ ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン 2014
これは美味しい! ソーテルヌぽいシャルドネで、それほど甘くなく、和テイストのフォアグラの茶碗蒸しとベストマッチでした。
④ローザ キアラ ラ スコルカ 2018
イタリア・ピアモンテのロゼ。素人の私は知らなかったのですが、高級白ワイン「ガヴィ」の造り手として著名なのですね。谷ソムリエによると、パスタだけはフランスワインとでしっくり合うものがない、とのことでした。
⑤アルボワ ドメーヌ・ド・ラ・パント 2017
フランス・ジュラ地方のワイン。ジュラの「ヴァン・ジョーヌ」を使ったキンメと合わせるイエローの外観。なるほど、そういうことなのですね。
⑥サンテミリオン グランクリュ シャトー・ド・フォンベル 2012
オーゾンヌ系統の美味しいサンテミリオンでした。
⑦サント・クロワ・デュ・モン シャトー・ラ・コサード 2017
チーズに合わせるセミヨン。
最後のデザートのペアリングは、番外編でしょうか、谷ソムリエでなく、小出シェフ発案のウイスキー「山崎」でした。
さすが、谷さんの選択はいつもお洒落ですね。
お料理は和の食材も用いつつ、フレンチイタリアンの王道で、谷さんの「基本に戻る」とのお話に沿った印象です。ただ、個人的には、もう少々「尖っている」のも良いかな、という印象を持ちました。
長期間のお休みから一般営業を再開なさったベッラ・ヴィスタさん。小出シェフ、谷ソムリエはじめ、菊川さん、山中さんのご心労、察するに余りあります。
小出シェフのお言葉「仕事として、人に供する料理のクリエイション」が厳しい環境下でも実践されること、同店の今後のさらなるご活躍を期待しております!
御馳走さまでした!!!
2021/02/28 更新
2020/01 訪問
【令和2年版】小出シェフ×谷ソムリエのコラボディナー。さすがの絶品料理と絶妙なワイン選び!!
日本ソムリエ界の重鎮、谷宣英氏(株式会社ニュー・オータニ フード&ビバレージ ディビジョン エグゼクティブ シェフ ソムリエ)と、いまや私にとって最高のシェフの一人、小出裕之氏とのコラボディナーに参加しました。
5回目となる人気イベントですが、すぐに予約で埋まるので、これまで伺うことができませんでした。今回は前4回と異なり規模を拡大、ベッラ・ヴィスタを貸し切りでの催行となったのはラッキーでした。
「厳冬に春の兆しを『苦み』で感じる」がテーマとのことなので、和の春食材などを使ったお料理に、ワインを合わせるという趣向で、谷氏も選択すべきワインに苦慮なさったとのこと。そこで安直に日本酒に逃げないところがさすがです。
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1.アミューズ:「春の息吹・・・一口の愉しみ」
柚子のクリームチーズを包み込んだシュー、菜の花・グリーンピースを卵黄・西京味噌と合わせた品に、イセエビ・コンソメの三品。
昨年(2019年)10月の即位の礼に伴う晩餐会でも供されたイセエビ。その祝宴メニューをアレンジした「令和記念メニュー」も発表されました。
今回のイセエビはその晩餐会で使われた殻を二度引きした、塩を加えない絶品のコンソメでした。いまはレストランでも美味しいコンソメを頂くことは少なくなった気がしますが、さすが名門ホテルの味でした。
2.冷前菜:「アオリイカのミキュイ/若筍/キャヴィア」
ノワゼットオイルを加味したタケノコのピューレ上に、アオリイカのミキュイ、ボルドー産のキャビアにサヤエンドウ。シャンパーニュとよく合いました。
3.温前菜:「山菜のラヴィオリ/白菜/黒トリュフ」
フキノトウなど春を感じさせる山菜--緑のパスタにポレンタ、黒トリュフ・・・うーん、素晴らしい!
4.お魚:「タラ/白子/ゴルゴンゾーラ」
北海道のタラと白子をパリッとしたワンタンの皮で包み、ゴルゴンゾーラ、ラムレーズンなどの風味を効かせた赤ワインソース--こちらも絶品です。
5.お肉(1):「ブルターニュ産仔牛/ハマグリのコンソメ/和クレソン」
小出シェフの真骨頂! ウド、ネギ、つくしなどの江戸野菜(和クレソン?)にハマグリの出汁でいただく仔牛のしゃぶしゃぶ。 なんとも美味ではありませんか!
6.お肉(2):「ベキャス/滝乃川ゴボウ/ゴマ」
ジビエの王様、ヤマシギ。最近、狩猟捕獲数が減ってきているようですが、この日のために10羽を昨年から確保していたとのこと。ベキャスの胸肉をフォアグラ、アンチョビに、イベリコ豚の網脂・縮緬キャベツで巻いたパイ仕立て。付け合わせが、江戸牛蒡(滝野川ゴボウ)にフランス産のタンポポ、京都祇園のゴマがアクセント。久しぶりのベキャスを堪能しましたが、ゴボウも美味でした。
7.チーズ:「カドス / 林檎 / カカオ」
ノルマンディーのチーズ、カドスの上にはカカオの煎餅?、リンゴのコンポート、中央にはハチミツ。
8.デザート:「完熟メロン/シャルトリューズのアイス/阿波の黒蜜」
徳島の黒蜜に静岡とメキシコ、2種のメロン、シャルトリューズのアイス、そして上にかかっている淡雪はホワイトラムの風味を効かせたスポーツドリンク! 小出シェフ熟考の末にたどり着いた食材?でした。
コーヒーor紅茶、ミニャルディーズ
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さて、合わせるワインは、次の通りでした。
A.「ガストン・シケ ブリュット・トラディシオン プルミエ・クリュ」
=>>(マリアージュ)1.と2.
セパージュ=ムニエ45%、シャルドネ35%、ピノ20%のシャンパーニュで、ムニエが苦手なパートナーが、アミューズ、前菜のお料理と合わせると、絶妙に変化する味わいに驚いておりました。
B.「HATSUYUKI 2018」
=>>(同)3.
北海道余市郡仁木町のDACグループ「NIKI Hillsワイナリー」のケルナー100%。日本ソムリエ協会会長だった熱田貴氏が、一般農業法人(農業生産法人のほうではなく)の 「株式会社NIKI Hillsヴィレッジ」の監査役を務めていらっしゃいます。そのエピソードもご披露いただきました。清々しいお味で、山菜のラヴィオリとも絶妙。
C.「ルガーナ フェルメンタツィオーネ スポンタネア」
=>>(同)4.
イタリア・ヴェネト州のルガーナ(トレッビアーノ・ディ・ルガーナ)100%。イタリアワインなので、谷氏が菊川賢太郎氏(支配人・ソムリエ)にマイクを振っていらっしゃいました。赤ワインソースのタラ+白子によく合います。
D.「ジョルダン シュナン・ブラン2018」
=>>(同)5.
南アフリカの著名なワイン産地、ステレンボッシュの白。仔牛料理と合わせる赤ワインは鉄板ものがありますが、和テイストの仔牛料理(しゃぶしゃぶ!)と絶妙にマッチした白ワインで、ここで日本酒と合わせるといった、よくあるパターンでないのが潔いですね。
E.「マリヌー シラー スワートランド2015」
=>>(同)6.
ここで再び、南アフリカワイン。谷氏によると、ニューワールドといっても南アフリカは別格で、シュナン・ブランがロワール、シラーがコート・デュ・ローヌとの深い関わり合いで、17世紀ごろからの長い歴史を誇り、現在もSDGs的な取り組みがなされているとのこと。なるほど、勉強になります。
ベキャスやゴボウともよく合いました。
F.「ポモー・ド・ノルマンディー カンブルメール ピエール・ユエット」
=>>(同)7.
カルヴァドスにリンゴジュースを添加した、今人気のリキュール。カルヴァドスは昔から大好きですが、残念ながら、このリキュールを飲んだ記憶はありません。ノルマンディーのチーズとは、当然でしょうが、ベストマッチでした。
ワインが高額銘柄ではないとはいえ、これで24,000円(税サ込、ニューオータニ会員価格)とは、ワインの注ぎもたっぷりで、満足度は非常に高く、コスパが素晴らしいです。今回は特に良い食材が入ったようで、通常のレストランではなかなか難しい高級食材の大量仕入れ、さすがニューオータニさんでした。
次は、東京オリパラを約3カ月後に控えた4月末。今度のテーマは「初夏とオリパラ」でしょうか? 熱いメニューになりそうで、いまから実に楽しみです。次回もお邪魔いたします。
ご馳走様でした!!!
【追記です。】
「COVID-19」の影響で、その後の2020年4月開催、6月開催とも中止となってしまいました。実に残念です・・・。
2020/06/21 更新
2019/12 訪問
小出裕之料理長の絶品料理は、やはり最高でした!
今年(2019年)9月に続き、またまた小出シェフの絶品料理を堪能する機会を得ました。
今回は、シャンパーニュ騎士団日本支部さんの「Réception de Noël」(クリスマスパーティー)。実はその翌日、同店で「Diamont Noir」(黒トリュフの煌めき)という、黒トリュフ尽くしの一夜限り特別メニューがあり、お電話でご案内を頂戴しておりました。実に魅力的なメニューだったのですが、「二夜連続」はTVドラマでは良いのですが、財政的に厳しいので、今回はシャンパーニュのほうに参加しました(申し訳ございませんでした!)。
さて、当日のメニューは、プレステージュのシャンパーニュと合わせる趣向です。
〇アミューズ
「ウニ、オーガニックのポレンタ、蝦夷豚のフロマージュ・ド・テット、焦がしオニオンのエキューム(泡)とクルミ」
アミューズから飛ばしてきますね! クルミのアクセントが絶妙です。合わせるのは「ジャクソン」の「キュベ742」。
〇冷前菜
「金沢港のブランド蟹とキャビア・バエリ、根セルフィーユのクーリ」
セルフィーユの根っこのクールは大好きですが、フランス産養殖キャビアも良いですね。なかなか塩味が強かった気もしますが、「テタンジェ」の大好きな「コンテ ブラン・ド・ブラン」(2007)とよく合いました。
〇温前菜
「ドングリ粉のニョッキとイノシシの燻製ラルド(背脂)、アーティチョークのバリグールとセップダケのソテー」
イタリアンとフレンチ伝統伎の融合は小出シェフの真骨頂ですね。ドングリ粉のニョッキも今まで食したことのないものでした。
合わせるのは、「ボランジェ」の「グランダネ2008」。
〇お魚
「クエ(高知)のバターポシェと冬野菜、ヤキアゴのフュメ」
大物の高地産クエを使った素晴らしいお料理でした。同席のご婦人方も絶賛! ヤキアゴのフュメドポワソンを飲みたいがために、皆様スプーンを所望なさっていました。
合わせるのは「マム」の「RSRV キュヴェ ラルー2002」。
〇お肉
「乳のみ子羊(ピレネー)ノワゼットのキャベツ包み、モモ肉のパイ包み焼き」
パイ包み焼きは大好物ですが、先日(9月)同様、絶品でした。アニュードレ(乳のみ子羊)はやはり美味しいです。ノワゼットを甘いキャベツで包んだお料理も美味でした。
合わせるのは、ソースにも使われていたのでしょうか、「ポメリー」の「キュヴェ ルイーズ2000」。
〇デザート
「プロンビエールとマロンのヴァシュラン」
定番の炎の演出、蒼い炎の力がいつになく強い「アラスカ」でした。ボリュームたっぷりです。
合わせるのは「ポール・グール」の「ミレジメ2009」。
〇ミニャルディーズ
最後は「ピエール・エルメ」のピスタチオのマカロン。
シャンパーニュ騎士団日本支部さんのクリスマスパーティーは意外にも?今回が初めてとのことでしたが、抽選会もあり、愉しかったですね。もっとも主催者の方々がおっしゃっていたように、フランス的な盛り上がりとは異なり、かなり大人しいものだったですが・・・。
ご馳走様でした!!!
2019/12/09 更新
2019/09 訪問
「ニューオータニ開業55周年記念」の特別メニューは絶品ぞろいでした!!!
前回の東京オリンピック「TOKYO 1964」が開催された昭和39年、まさに五輪の1カ月前の9月1日に開業したホテルニューオータニさん。今年で55周年を迎え、「TOKYO 2020」を意識してでしょうか、「開業当初の幻のメニュー」を小出裕之シェフが演出する一夜限りのオマージュディナーに参加しました。ニューオータニさんからのご案内で早速に予約しましたが、クラシカルな料理が好きな当方にとって、期待以上の素晴らしい内容でした。
最近、たまたま読んだ三島由紀夫の『戦後日記』(中公文庫オリジナル、2019年4月刊)で、「昭和39年9月28日(日) ホテル・ニューオータニのベル・ビューで中食(ちゅうじき)ののち・・・」(p355)という記載を発見。もちろん当時はガーデンタワーは存在しませんが、同名(ベッラ・ヴィスタさんの旧名称)のレストラン、うーん、歴史を感じますね。
さて、当日の「幻のメニュー」は次の通り。ソムリエさんご推薦のペアリングメニュー(3種。シャンパーニュ、赤ワインは別途)もオーダーしました。
〇アミューズ
〇前菜1
「黒曜石の塔 オシェトラキャヴィアの極限美」
カリフラワーのムースをサーモンで包み塔に見立て、トップにオシェトラキャビアの煌めき。美しいですね。
「アンリオのブラン・ド・ブラン(マグナム)」で。
〇前菜2
「紺碧のオマールブルーとブレス産若鶏のラヴィオリ仕立て アルビュフェラソース」
絶品ぞろいのメニューの中でも、このお皿は特に絶品でした。アルビュフェラソースのお味が素晴らしいです。
ペアリングは、「ムルソー ジュヌヴリエール 2011」。やはりムルソーとは絶妙です。
〇スープ
「高貴に香る松茸とスッポンのコンソメ “秋の収穫”」
松茸に栗に銀杏・・・まるで和食のようですが、滋味あふれた一品。
合わせるのはシェリー「パロ コルタド VORS30年」。アピシウスさんのウミガメのスープとシェリーの組み合わせを思い出しますね。
〇お魚
「~受け継がれし 記憶の逸品 ~ 日本海から届く甘鯛と吉切鮫フカヒレの洋酒蒸し マリニエ風」
これもすごい! 30年以上前に提供され、当時「フレンチにフカヒレ?」と衝撃が走ったという一皿だそうで、タイのアラでとったフュメドポワソン?で下処理したフカヒレや、鱗の食感も香ばしいアマダイ--うーん、最高です。
和食風に続き中華風のこの一品には、エスニックに強いゲヴュルツトラミネールの「ランゲン ドゥ タン クロ サン テュルパン 2016」をペアリング。当然ですがベストマッチでした。
〇お肉
「日本が誇る国産牛フィレ肉とフォアグラのパイ包み焼き “ウエリントン風” 燻製ポロ葱のラヴィオリと黒トリュフソース」
クラシカルなウエリントンは大好物ですが、サボイキャベツ?が面白いですね。これまた大好きな黒トリュフソースをお代わりして、たっぷり頂戴しました。
合わせたのはボーヌの「クシュリア」。
〇デザート
「香り燃え立つ “ベイクド・アラスカ” 紅い果実とラム酒の余韻」
ラムレーズンのアイスにラム酒のフランベ。
〇ミニャルディーズ
当日はエグゼクティブシェフソムリエの谷宣英氏や田中叡歩ソムリエ(ニューオータニ大阪)もお見えになり、錚々たる布陣でした。またサービス面ですが、最近数多くのホテルが新規オープンしていますが、やはりこちらは超一流、服部哲副支配人に感謝です。
お客様は、やはりシニアの方々が多かったでしょうか。当方よりも年配と見られる方も多く、55年前をリアルに体験なさったかもしれません。当時といまの比較感想をお聞きしたかったですね。
ともかく、本当に美味しかった! 小出裕之料理長の和洋中を駆使したスキルとクリエイティビティーに感銘を受けました。
今後、さらなる高みを期待したいです。
ご馳走様でした!!!
2019/11/25 更新
2017/02 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
「『アンリオトリロジー』を愉しむ夕べ」に参加しました!
「シャンパーニュ アンリオ」「ブシャール」「ウィリアム フェーヴル」--三つの名門ドメーヌを擁する「アンリオ家」。この「アンリオトリロジー」と呼ばれるシャンパーニュ、白ワイン、赤ワインとフレンチを愉しむイベントが当店で開かれたので、参加いたしました。
ニューオータニご出身で、現在「アピシウス」のシェフソムリエ、情野博之さんは「アンリオアンバサダー」を務められていらっしゃいます。アンリオのエバンジェリストというお立場でしょうか。その情野さんをお迎えしてのディナーという立て付けです。また、情野さんの後輩にあたる谷宣英さん(ニューオータニ飲食部門のエグゼクティブシェフソムリエ)という、ソムリエ界の重鎮お二人の揃い踏みという豪華な宴で、シャンパーニュ・ワインのご説明が情野さん、お料理のご紹介が谷さんという役割分担でした。
お二人の見事な「サブレ・ル・シャンパーニュ」(サーベルでボトルの首をはねる)で開宴、5種類のシャンパーニュとワイン、それに合わせるお料理は以下のとおりです。
・「シャンパーニュ ブリュットスーヴェラン アンリオマグナム」=>キスのベニエ
・「シャブリ プルミエクリュ フルショーム(ウィリアムフェーヴル)」=>オマールブルーと野菜のガトー仕立て カリフラワーのムース、キャビア
・「ボーヌ デュ シャトーブラン(ブシャール ペール エ フィス)」=>ホタテガイのオムニエール トリュフのエマルジョン
・「ボーヌ プルミエクリュ マルコネ(ブシャール ペール エ フィス)」=>アンコウのマトロート レンズマメと冬野菜
・「ボーヌ グレーヴ ヴィーニュ ドゥ ランンファン ジェジュ(ブシャール ペール エ フィス)」=>鴨胸肉のポワレともも肉のコンフィ グリーンペッパーソース
最後のデザートは、洋ナシのコンポートのフランベ ソースサヴァイヨン。桃を使ったトゥールダルジャンのスペシャリテの洋ナシバージョンでしょうか。当日はトゥールダルジャンご出身のスタッフの方が多かったようです。
どのお料理も素晴らしく、私は勝手にイタリアンだと思っていたのですが、ハイレベルなフレンチでした。やはり、カモが美味しいですね。胸肉ともも肉を味わえたのはラッキーでした。うーーん、トゥールダルジャンより美味しかったかな?
インポーターのファインズさんのご厚意でしょうか、シャンパーニュ、ワインのお替りも充分で、実にCPが良かったですね。情野さんの該博な知識の一端を改めて知り、感銘しました。谷さんのお人柄もやはり素晴らしいですね。
実に充実したディナーでした!
ご馳走様でした!
2017/02/05 更新
ホテルニューオータニ開業60周年記念で開催された「Elegant mariage Dinner~太田シェフ×谷ソムリエの栄冠の晩餐」に参加しました。
「新人類」がすべて還暦を迎える今年(2024年)9月に60周年を迎えられるとのことで、改めておめでとうございます。これからまた新たな歴史を刻むという固い決意が示された、素晴らしい宴でした。
主役のお二人、太田高広統括料理長=フランス農事功労章受章(2023年)、谷宣英エグゼクティブシェフソムリエ=黄綬褒章受章(2020年秋)という輝かしい御経歴から生み出される至高の技が協奏されるディナーは予想通り凄まじいものでした。
そもそも、谷ソムリエの黄綬褒章を祝うイベントは
2021年1月30日(土)当初
2021年5月15日(土)延期
2021年7月10日(土)再延期
2021年9月18日(土)再々延期
と3度も延期が繰り返されるというコロナ禍での「悲劇」があり、待ちわびたファンも多かったことでしょう。開催中止が杞憂に終わったのは、誠に慶賀すべきことです。
当初予定と比較すると、ワインリストはほとんど変わらない一方、小出裕之シェフ(現在、幕張)との協奏という建付けだったため、お料理は、当然ですが、ガラリと変わり、谷さんによると、さらにレベルアップされたとのこと。
参考に、2021年5月15日実施予定だったメニューを列記します。
・フォアグラテリーヌ/丹波の黒豆/真蛸
・キャビアとベトラブのバヴァロワ 眩い“ルーヴル”に見立てて
・蝦夷鮑の3時間磯蒸し ブールノワゼットと肝醤油の融合
・ドーバーソール モリーユ茸のグラタン“ボン・ファン”
・オマールブルーのナヴァラン 密やかなキュリーの香り 胡麻のクルスティアンとマトロートソース
・“神戸ビーフ”フィレ肉ステーキ プティビエ 黒トリュフソース
・長崎県“茂木びわ”とティンプール(“ヒマラヤ山椒”)
・サクランボのジュビレ アドミラル・ロドニーラムの香り マダガスカル産ヴァニラアイス
王道を行くクラシカルなメニュー!小出シェフがどのようにアレンジなさるか楽しみでした。
次に、今夜の太田シェフのメニューです。
<アミューズ>
●トラ河豚の昆布〆 すだちとコブみかんの香り
越前ガニの蟹クリームコロッケ 北海道産雲丹添え
本鮪のユッケ風タルトレット
牛タンのコンソメ煮込み 黒胡椒と山葵風味
<冷前菜>
●ボタン海老とカリフラワームースのキャビア缶
<温前菜>
●甘鯛のクルスティアンとフカヒレのヴァン・ジョーヌワインソース
二代目総料理長・古谷春雄氏へのオマージュ。甘鯛のうろこ焼き(和)とフカヒレ(中)をフランス料理に取り入れた画期的な作品。
●尾崎牛肉炙り寿司
宮崎の牛匠、尾崎宗春氏の尾崎牛。「生きながらにして熟成させる」至高の肉質&高品質な脂。
<お魚>
●ブルターニュ産オマール海老の黄金テルミドール
ホテルニューオータニ60年の歴史に刻まれた定番料理。
<お肉。メイン2種>
●ウズラのファルシ 黒トリュフを纏って
オーギュスト・エスコフィエ伝統のクラシカルな逸品を現代に蘇らせる。
●幻の尾崎牛 土佐備長炭極みグリル
雌牛のフィレ(左側)のシャトーブリアンを土佐備長炭で炭火焼き。牛は右側を下にして寝ることが多く、左側のほうが上質とされる。
<デザート>
●あまおう苺づくしパルフェ
「博多あまおう」の果肉、ジュレ、グラニテ&マスカルポーネの特製ヴァニラアイス。
・食後のお飲み物
・ラルド/黒オリーブ/無花果&クルミのパン
どのパンも美味。
「尾崎牛」などニューオータニさんが10年ほど力を入れている食材や、60周年にちなんで伝統の料理が加わったりしております。率直に言えば「どちらも食べたい!」心境です。
さらに言えば、この60周年グルメイベントは、今後もニューオータニさんで展開されそうな予感が・・・新企画に期待しましょう!
どのメニューもキチンとした詳しい「トリセツ」が配られており、参考になりました。
中でもアミューズのカニクリームコロッケ、キャビア缶、祝祭で出される「アマダイ」「フカヒレ」「オマール」は伝統を感じさせる逸品で、それぞれのお皿に「歴史」があります。
<一夜限りのマリアージュ、ワインリスト>
(註)今夜のために3年取り置き。
◇シャンパーニュ ブリュット ロワイヤル ポメリー マグナム
*谷ソムリエの軌跡。配布の「トリセツ」から引用(一部加工、以下同様)
「2000年、ポメリースカラーシップ優勝、今後の進むべき一を革新することが出来たシャンパーニュ」
◇プイィ フュメ バロン ドゥ エル ドゥ ラドゥセット 2014 マグナム
「新人で入った東京會舘ダイニングでソムリエになりたての頃、シャルドネだけが白ワインでないことを教えてくれたワイン(ソービニヨン・ブラン)」
◇アルボワ キュヴェ ドトンヌ ドメーヌ ドゥ ラパント
「マリアージュとは基本に忠実に、そして文化や伝統を大切にすること」
◇ムルソー キュヴェ シャルル マキシム ブラン ラトゥール ジロー 2020
「2020年、黄綬褒章受章 黄金に輝くテルミドールに、ブルゴーニュの黄金の雫(グットドール)を」
◇ニュイ サン ジョルジュ レ シャリオ ミシェル グロ 2011
「2011年、全日本最優秀ソムリエコンクール優勝」
◇シャトー マルゴー 1997
「1997年、ソムリエコンクール入賞、初めてのフランス訪問(26歳)。シャトーマルゴーに感激」
◇シャトー ラトゥール ブランシュ 2001
「2001年、トゥールダルジャン東京へ。デザートにもワインを合わせて」
◇カルヴァドス ルモルトン 1972
「Art de vivre!」
・ムルソー「プルミエクリュ シャルム、レミ・ジョバール 2017」
・コート・ド・ニュイ「モレサンドニ プルミエクリュ レブランシャール、ユベール・リニエ 2011」
が以前の銘柄で、その他は変更なし。谷さんによるとメニューに合わせて変更したとのことでした。
シャンパーニュからロワール、ジュラと続き、ブルゴーニュ白赤、ボルドー赤。谷ソムリエがこだわるデザートに合わせるワインはソーテルヌにレモンチェロ(なんと太田シェフ自家製!これが実に美味!!)、ミニャルディーズには谷さん生年の1972年カルヴァドス(これも素晴らしい!)で締めるという「完全版」でした。
スターターのポメリーですが、こんなに美味しかったのか?!と驚嘆する素晴らしさ。ポピュラーな銘柄だけに、どのお店でも頂戴する機会が多いのですが、全く別物でした。
マグナムの優位性もあるでしょうが、熟成・保存の善し悪しなど、「ワインは農産物」という当たり前のことを再確認させて頂きました。いい加減な扱いをされると、ワイン生産者もお気の毒です。
書くネタはいくらでもあるのですが、私はこの辺で。
参加された方々が、色々と発信されるでしょう。
太田シェフ、谷ソムリエの真摯なお人柄が存分に発揮された、「美食ホテルの最高峰」らしい至高の機会をお作り頂いたニューオータニの皆さまに感謝いたします。
ご馳走様でした!!!