『憧れた職業』ドレッドノートさんの日記

子どもの頃、将来何になりたいと思いましたか?
という質問を受ける事は滅多にないが、それでも聞かれた時に私は胸を張ってこう答えている。
「恐竜博士です。」
現代風にいうならば古生物学者であり、地質学者であったりするのだが、子供の頃私は本気で恐竜博士になって一日中恐竜の事を考えていたいと願ったものだ。
そして恐竜が絶滅してしまった理由を解き明かすのが使命(勿論そんな言葉を少年のころは知らなかったが)だとさえ思っていた。
１億５千万年という途方もない長さの時間を使って、大繁栄していた恐竜は６千５５０万年前に突如として地球上から抹殺された。
この謎を解くべく数多くの科学者たちが挑戦し、謎の解明に取り組んだ。
現在では、彗星ないし隕石の衝突による地球環境の大激変が恐竜絶滅の原因とされている。
しかし、私が「恐竜博士」を夢見た頃、その学説はサイエンス・フィクションの世界観とされていた。
変われば変わるものである。

幾つもの季節がめぐり、私は４７歳になった。
憧れていた「恐竜博士」には程遠い中年のビジネスマン。
それが今の私の姿だ。
私は思う。
「成すべき事を成さなかった。本気で夢をつかむ努力をしたのか・・・」と。
失われた時間はあまりにも大きい。