ララ・甲田さんのマイ★ベストレストラン 2012

ララ・甲田のレストランガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

珈琲専門店 エース (神田、淡路町、小川町 / 喫茶店、カフェ、パン)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2015/04訪問 2015/04/20

まさに神田を仕切るコーヒー界のエース!お店全体が THE MASTER'S WORLD!

問題点を思いあぐねて歩いているうちに神田まで歩いてしまった。
となると行く先はもちろんエースだ。本日の珈琲のロイヤルブレンド
にも心ときめいたけど、私にしては珍しく、モーニングタイム
(11:30までよん)にすべりこんだのでモーニングセットA,500円也
をオーダーだ。むぐむぐ、美味しい,美味しい、美味しいよお、のり
トースト。そして酸味がかった熱々のブレンドで己を取り戻す。

店内では、紳士諸君の「なんのお薬、飲んでる?」の会話が飛び交う。
頼むよ!日本男児!私たちを「女しかいない未来」に放り込まないで!
矍鑠と朗らかに粋に長生きしてそばにいてね!と祈る。バッグをいくつも
買ってしまうのは自分と女同士のためだけど、フランス女性のいうとおり、
何足も靴を買うのは男性陣のためだもの、「女しかいない世界」なんて
今の年配女性たちをみていても辛すぎる〜。日本男児の踏ん張りに心の底
から真剣にエールを送った。

☆GWはカレンダー通りの営業だそうです。GWも関係なく私もお仕事。
 エースも私もお仕事大好き♡。

(2015.4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
せっかく春のアンクルパンツを出しておいたのに、あらま、外は雪。
急いで長靴を履く。

長ーい長過ぎる仕事明けに駆けつける行き先は大好きなエースだ。
本日のサービス品、あ!ゴールデンキャメルだ!マスターの手書き
看板のラクダちゃんには睫毛がないことにいまさらながら気付く。
相変わらず器用なマスターの手書き看板に絵かな?写真かな?
料理の図、まで追加されていて、いつ行ってもなにか工夫が増えて
いて宝探しのように楽しい。

店内には、「異動、昇進、栄転、降格、の下克上の季節」ゆえ、
新幹線の車内でも、そこでも、ここでも、口角泡を飛ばしながら
しゃべる会社組織の男たち。
本日のエースの助っ人は、ターコイズブルーの重ね着も美しい可憐な
ご婦人だ。

美味しいなあ。本当になんだろう、この美味しさは。と「エースの
ゴールデンキャメル」と「のりトースト」をじんわり堪能する。
それはまさに、痺れた前頭葉を素手でじかに揉み解す感じ。
そのせいかな。ふと、良く磨かれて能く修繕された床に目が釘付けになる。
今、世界は荒々しく、派手に見える事に目をとられるけれど、
本当は自分ができることを、大切にやり続ける事のほうが、よほど、、、、、
、、、、、、、、、などと、マスターの手作り「コーヒー世界地図」を
眺めながら、深く深く沈思した。

初午も近いのに外は雪。ん、でもね、アニキマスターと弟さんマスターの
はにかんだ笑顔の揃い踏みがきっと今年の春を呼ぶよ。うん。

(2015.2)
…………….
不利で理不尽な契約書のたたき台に目を通す。苦い思いが口中に走る。
こんな宵の口はアルコールは危ない。カフェインに限る。と、足は勝手に
エースに向かう。

東京の夕闇は早い。三時頃から陰り始め、5時には臨戦態勢だ。男たちの
ほとんどが「人の父」である地方都市と違って、東京の宵闇は,ワケあり
の多彩な顔を見せる。
宵の口のエースは静かな夕刊の時間を迎えている。いそいそと店内に滑り
込んで気付く。わ!「珍品コーヒーフェア」開催中だ!ツイてる!76回!
すごいなあ。期間は10月18日まで。本日のコーヒーはケニアだあ!
と独り脳内ではしゃぐ。ケニアと海苔トースト、さらに持ち帰りの豆、トラジャ
をおねがいして、一息つく。おいしい。まさにキャプションどおり、「すばら
しいコクとほどよい酸味をもっています」そのとおり!とひざをうつ。

夜の神田のざわめきが地の底から湧いて来る。そろそろ夜族のおでましだ。
事務所の戻ろうと思い腰をあげ、関東平野の早い夕闇の中で、あ、マスターの
新作の看板、こりゃ、すごい!としゃがみ込んでじっくり見直す。うーん、
力作だあ!マスターの尽きぬ情熱と創意工夫とセンスにカフェインで乾杯!
みならわなくっちゃね!とお店の前でしゃがみこみ、独り言をいっている
ヤツを見たらそれは私ですわ。

(2014.10)
。。。

(2014.9)
。。。。。
店内はほぼ満員だ。「フォレスターかレヴォーグか?」スバリスト
としては聞き捨てならない会話が耳を打つ。久々にモクモクと紫煙
がくゆる昼下がりだ。

長い長ーーーい仕事のあと、熱風の大東京を横切って辿り着く。
腹を縫った糸が引きつる。縫い目が攣るのは低気圧のせいだと思って
いたら快晴でも引き攣るわけね、と悟る。手術後、刺激物をストップ
していて、このままカフェインをやめてしまいそうになったが、それ
だと社会生活としての人付き合いに激しく支障をきたすことに 
かえって気が重くなり、術後の一杯目はエースをもってして解禁!と
決めていた。

回復カフェインなのでアメリカン系の軽いものを、なんて考えていた
はずなのに口からでたのは「ジャワロブスターとのりトースト」 
つい、ワイルド系に走る。舌を焦がす野性味溢れるジャワロブスター
が口中で太鼓を打つ。おひさしぶりのカフェインがじんわり脳細胞
に沁み渡る。あいまに、大好物の海苔トーストをハムスターよろしく
にんまり顔で頬張る。ふむふむ、やっぱりここのマスターの珈琲と
海苔トーストじゃなきゃ!
それにしても、術前に比べてさらに少食になっているらしい。のり
トーストの完食が危ない。食べきれないかも!と怯える。いかんぜよ、
そんなことじゃ!みんなを見ろ!頑張れ、オレ!と自らを励ます。

独り脳内でジタバタしている車好きのわたしの耳に飛び込んで来る、
お隣のダンディーたちの会話は運転免許の高齢者講習に移っていた。
その方が講習を受けた時の男性の最高齢は96歳、女性の最高齢は87歳、
ともにマニュアル。誠に天晴れである。マニュアルしか運転できない
わたし、かれらのような御歳までがんばれるであろうか、と沈思する。

さらに逆隣に滑り込んで来た年配のカップルの「あ!ブルマンが本日の
サービス品だ!嬉しい!」と無邪気な喜びの声に 思わず頷きながら
お隣同士、笑みを交わす。うん、やっぱりエースは良い。程よい距離感
が見知らぬ客同士、微笑みあったりして無言の会話が成り立っている。
これもやっぱりマスター方のお人柄が醸し出すんだろうな、と真摯な
横顔を眺める。やっぱりここの珈琲はやめたくない。さあ、頑張れ、
私のお腹!と気合いのこもった励ましを我が縫い目にかけたのであります。

(2014.7)
。。。

。。。。。。

(2014.4)
。。。。。。
大東京といえど、道端の植え込みのツワブキの伸びしろなどをみていると
春の鼓動が聞こえて来る。

長い長ーい仕事を終えて、左目下のチックを抑えつつ、久々のエースに
駆け込むと、おや、テーブル席はいっぱい。お初天神のカウンター席だわ!
いつもは先輩紳士方の指定席ですもの、若輩のわたくしなんぞはご遠慮
すべきところですが、本日はダンディー達がお留守。そそくさとキッチュ
なカウンターに滑り込んだ。
さて、と、本日のコーヒーは、といえば、あ!春の鼓動にぴったりな、
野生の鼓動:エチオピアだ!うんうん、これこれ!それと大好きな
「のりトースト」!あ〜、ここのマスターのエチオピアは静かなる闘志の
鼓動だ。歳月という殻の中に秘められた若さという鼓動が新芽のように
煌めく。エチオピアは古代より世界一の美女の国と聞く。珈琲もまた美しい。
ETHIOPIA、スペルまで美しいじゃないの!美はエースのそこかしこにあり。
急速に機嫌が良くなったわたしは、寒の戻りの大東京の街に、コートも
着ずに舞い戻ったのでした。

(2014.3)
。。。
むかしの女 おんなではなし、なんていう痛烈な川柳があったが、
ソレを思わせる長い仕事を終えて、年明けのエースに駆け込んだ。
今日のエースは男性陣の昔語りが静かに楽しげに響いている。
なんだか「青い山脈」なんて懐かしのメロディーが脳に鳴り響く。
ふとみると、本日のサービス珈琲は「ブルーマウンテン」だ。
そうか、このせいか、なんとなく皆して懐古調なのは〜。と
私もブルマンとのりトーストをオーダーする。
ブルーマウンテンのさらっというか中庸というかバランスの良さを
きっかけにさらに憶いに耽る。「むかしの女」たちは、性別不明
になっても前傾姿勢である。いかんせん、前のめりである。「むかし
の女」たちは「女ではなし」になっても「男」になる、わけでは
ないんだなあ、と男女差というものに沈思する。年代とともに複雑に
分化していく性別に、社会的にはバランスはとれているのか?と
考えていると、神田には大きな商業施設が建たないからあまり
かわらないね、という台詞が耳をうつ。7年後の東京オリンピック
までにこの大好きな神田も変わってしまうのだろうか。都知事選
公示を目前に、変わらないものと変わるもの、バランスがとれて
いけばいいなあ、このブルーマウンテンのように、と小さく吐息
をついた寒中の私なのでした。

本年も何卒心温かくよろしゅうお取り扱いお願い申し上げます。

(2014.1)
。。。
早くも街中がクリスマス ソングスをがなりたてている季節だ。悪くは
ないのだけれど、気が急くところでは11月のはじめから、ずうっと
クリスマス ソングスを聞かされる羽目になり、辟易することもあろう
ってもんじゃござんせんか。ねえ、諸兄姉?
ところが、エースはいいなあ、静謐で。BGMがないのがすごくいい。
豆を挽く音、ポットの音、お湯の湧く音、静かな所作のマスターの
たてる静かな音色。
昨今では、寸止めが効かない無駄に大きな動きで、がっちゃん がっ
しゃんと耳障りな音をたてていることに気を払うことすらもはやない
人が多くなったけれど、エースのマスター方はちがう。抑制の利いた
静かな所作、機敏な身のこなしは、彼らを大変若々しく魅せている。
なにかコツがあるなら教えていただきたいほどだ。
生体年齢さえ若ければ、若々しく他人の目に映る、とは限らないのだ,、
と、本日の珈琲のコロンビアの熱い甘さで霜焼けの指を温めながら、
大好物の「のりトースト」を頬張りつつ、熟想ふ。うん、ここのマスタ
ー方は永遠の若者だね。見習いたいものだ、とそのまっすぐな背中を
思わずみつめた。

(2013.12)
。。。
大量の年配の方々をお相手した仕事を終え、疲れた疲れた疲れたよん〜♫
とハミングしながら、たどりついた今日のエース。おや、お若い方が多う
ござんす!するん、と滑り込んだ奥の席、本日の珈琲は「キリマンジャロ」
だあ!迷わずキリマンとのりトーストをオーダーだ。るるるん、と嬉しく
なり、いやあ〜な仕事の書面に目を通す。
すると、ふと耳にはいる、「婚活パーティー」らしき話題。そうだった、
友人たちにまた、婚活協力要請を発令されていたことを思い出し、肝が
冷えた。「求めよ、されば与えられん」とはいうが、彼らの婚活欲望は
いかんせん続かない。。。。外見を整える協力をしたあたりで飽きて
しまうらしく、すぐに興味を失い、しばらくしてまた婚活欲が復活する、
みたいだ。しかもサーキット・タイムがだんだん長くなってきている気が
するよ。「発願」することも大切だけど、「発願し続ける」ことはもっと
大切な気がするなあ。ラテン系の皆さんが聞いたら驚倒するような淡白度
合いの我国民に想いを馳せる。
こちらのキリマンジャロは切れ味鋭く清涼感がある。小春日和で熱っぽい
今日の様な陽気にぴったりで、マスターのセンスに脱帽する。のりトース
トはわたしにとっては濃厚で美味。九段下から歩いて来るのも苦にならない
わけです。
婚活用に、夏に誂えたヤツの麻のジャケット、ちゃんとメンテナンスしてん
のかなあ、などと憂うわたしは老婆心が過ぎるような気がして、目の前の
海苔トーストに集中した。美味なり。あ〜、エースのそばに住みたいわ。

(2013.11)
。。。
仙崖和尚の老人六歌仙画の賛にこんなくだりがある。
「手は震う 足はよろつく 歯は抜ける 耳は聞こえず 目は疎くなる
 頭巾 襟巻 杖 眼鏡」。。。。。。。

敬愛する仙崖和尚の画をみにいった帰り、お昼過ぎでちと立て込んでいる
であろう愛するエースに飛び込むと、けっこう背広姿の年配紳士で混んで
いた。ほうほう、今日は年配紳士の日だね、と空いた席にすべりこむと
左右両隣とも先客は年配紳士方だ。

あ!今日は珍品フェアだったんだ!本日のコーヒー:ベトナムをすかさず
オーダー。のりトーストはもちろんだ。お持ち帰りの豆は、珍品フェア中
20%オフのトラジャと悩んだが、朝の気温が低くなると 苦味走った
珈琲が飲みたいので、あえてエチオピア100gを選択。

ついさっき目に焼き付けた仙崖和尚の画賛を脳の中で舐めていると、両隣
から聞こえる、「歯がね、入れ歯になったらやだねえ」「目がどうもいかん」
「聞こえにくくてねえ」「あの人、早くに惚けちゃったねえ」、、、、と
老人六歌仙を地でいく現代版な会話が展開している。背広を小綺麗に着こなし
た紳士方がそういわれるんだから、げに凄まじき様ではある。だがまあ、
目の前の紳士達は小綺麗でダンディはあるし、仙崖さんの老人画も賛の口調
とは打って変わって愛らしいものだし、なんのこれしき、老化は経過、経年
劣化ではなくて経年変化を皆で驚き楽しむもの、としたいではないですか、
ねえ、諸兄姉!

と、やってきた本日の珈琲は、ベトナムの海の海ツバメの巣のような つるん
とした舌触り。ざわっ、と ちと 塩っぱいさざ波が舌の上を駆け抜けていった
のは、気のせいだろうか。秋の入口のまだ少し汗ばむ気温にぴったりの涼感を
湛えた味わいです。

立て込む店内、入れ替わり立ち替わりする中でも、静謐な風情で変わらぬ緻密
な連係プレーで美味を提供されている兄弟マスター方をみつめていると、先ほど
みた仙崖和尚が百丈和尚を画賛した「一日不作 一日不食」が脳裏に甦った。この
現代の勤勉なる先輩方の後にきちんとついていこう、と肝に命じながらカップの
中のベトナムの海を飲み干した。

(2013.10)
。。。
この時間は混んでいるかも、と案じながら世間のお昼休み時間を少し回った頃、
空腹とカフェイン切れに耐えかねてエースまで辿り着いた。案の定、店内は
男性陣で混んでいる。サンドイッチ類を複数頼んでいるにもかかわらず、
お疲れなのねえ、食べずに頭を抱えている男性、煙草を吸いながら携帯で話す男性、
どっかと陣取って会社の悪口を言いあう男性グループ、おお、これぞ、ビジネス
街の王道MEN'S WORLD!久々の遭遇です!頑張ってるね、と声をかけたくなる。

対して「本日のコーヒー」は、マスターたちに良く似合う、静謐なキリマンジャロ
とある。迷わず、キリマンジャロとのりトーストをお願いする。

あっつあつのキリマンジャロなのに、ひんやりとした空気の中に潜む涼明な香り
が立ち上る。刺激味とならないギリギリの絶妙な、感じるか感じないかくらいの
酸味がコクと化している。木の実を舐めた時の様なわずかな甘味の後を、煙るよう
な苦味が、上質な香水のラストノートのように涌き上る。キリマンジャロ、その
名の如し、この昼下がりもカップの中で輝いていた。

空の鰯雲に促されて、そろそろ自分の中で肌寒いモードの準備に入っている私は
愛するジャワロブスター100gを豆でお持ち帰り。明日の朝は、肌寒ければいいな、
と思いながら。

(2013.9)

。。。

もし夏休みだったらどうしよう、、、、5時間ぶっちぎりの連続テンション
の高い仕事を終え、前頭葉の白髪が増えたに違いない、、、と憂いながら、
ダッシュでこちらに駆けつけた。お休みだったらショックで倒れる!
あ!やっている!ほっとして扉を開けると、男性陣の静かな時間が流れていた。
貼紙をみると夏休みはなし、ただし、8/17の土曜日はお休みとのこと、よかった、
今日来れて。

朝から食事をとれなかった私は、速決のりトースト!今日もお疲れのあまり、
甘味が欲しい私はコロンビアを。同行の仕事仲間はここのコーヒーゼリーに
心酔しているのでこれまた迷わずオーダーだ。

大東京は地球の殺意を感じるほど熱い。そして熱帯気候のスコールのせいか
街中溝臭が漂う、、、、。なにかが地下深く変化しつつあるのだ。地下深く
変化し続ける、なんて不安と好奇心でゾクゾクするが、瞳の色の薄い私は目を
ヤラレてサングラスが手放せなくなってしまった。
店内の貼紙で「アド街ック天国」に取材され、8/24土曜日21:00〜に放映される、
と記載されている。愛する神田の30店もの店の紹介だということなので、
わくわくだ。放映時間は仕事中だから、録画しなくては、と手帳にメモる。

やって来たコロンビア コーヒーの甘味が尖った神経をなだめる。よーそろー、
よーそろー。海苔トーストのしょっぱさが熱中症気味の体液を諌める。どう
どう。

自宅の珈琲豆ロイヤルブレンドが明朝1回ぶんしかないので、買い求める。
熟考の上、「原種の野生」の言葉にひかれてエチオピア100gを選んだ。原種
で野性的でないと、この気候、のりきれそうもないものね。支払いをすませ、
♪神田のエース〜、ああ、暑い〜、暑い〜、東京だけは〜♪ と口ずさみながら
扉を開ける前にサングラスをかけた。

(2013.8)
。。。
来店されるお客様方のアイスコーヒーのTAKE OUTが続く。「暑いわあ」
と神田の姐御のお言葉にその場に居合わせた者共は素直にうなづく。
恐れながら体脂肪のひ〜くいわたくしめはこんな日も熱々のコロンビア、
さすがに体力を消耗しているので久々に甘めのテイストをオーダーだ。
愛する「のりトースト」は絶対はずせない。私の夢は「のりトースト」を
10個、と叫ぶ事だもの。この日の仕事仲間は、とにかくお腹がすいた!と
いうのでローストビーフサンドをレギュラーで。そしてブレンド珈琲を
オーダーしていました。ほおお、肉食、写真を撮るのが楽しみです。
手早くやってきたローストビーフサンドはとてもとても大容量で、お腹
一杯大満足。トマトの酸味とローストビーフ、マスタードの〆味が実に
豊潤で美味なり!とのこと。TAKE OUTもできるようですので、肉食
のあなたにぜひ、お薦め!とのことよ。

そして、コロンビア、その甘味は、上品で、微かな酸味は暑い日に
ぴったりの正気をもたらす。いつもながらに美味也。
加えて自宅使用の夏使用:ロイヤルブレンドが今朝のぶんで完了した
ので100g、買い足す。なぜ200g買い足さないかですって?もちろん、
こまめにこちらに通いたいからですの。

いつもの静けさ、いつもの時間。「店+客+珈琲」=醸し出す温かな
時の流れが、代え難い貴重な人生の夏の一頁なのでした。

(2013.7)
。。。
雨に泣いてる靖国通りレイニーウェイ〜♪ 溜め息とともに口ずさみ
ながら長い長い仕事を終えた私は傘をたたむ。おお!?戸口の外に
用意してある、区役所の外にある様な鍵付きの傘立てが、二次活用
の趣きを湛えて待ってくれていた。
扉を開けると、男の園の時間帯だ。打ち合わせの背広姿がちらほら。
席になだれ込むように腰を下ろす。本日のサービス品は、とみると、
おお!ゴールデンキャメル!ゴールデンキャメルとのりサンドに速
決だ。今日はもう一品、コーヒーゼリーがサービス品だ。甘党の仕事
仲間は速決!そのコーヒーゼリーは、リキュールの香り高く、珈琲の
ほろ苦さと相まって、絶妙の和音を奏でている、と、いたくお気に
召した様子。
いやあ、今日はキツかった、、、、。朝も昼も食べずにぶっとおして
仕事に従事した私は、惘然と仕事仲間と顔を見合わせる。一口啜る。
一口齧る。いつもながらに美味しい。ここのところ、他所で残念ながら
愛の足りない珈琲に当たり続けて意気消沈気味のささくれた私の心を
諌める美味しさだ。
エアコンの音、男たちの仕事を語る静かな声、珈琲を立てる音、紙の頁
を捲る音、そして雨の音。このお店の持つ優しさに、己を取り戻した私
は心の中でリフレインする。(せめて 冷たい雨 ヤな事 流して SO
LONG〜♪)購入した大切なロイヤルブレンドの豆100gの袋を胸に、
傘を開いた私は、そぼ降る雨に顔を上げ、勇気をもって次の仕事に歩み
だした。


(2013.6)
。。。
夏らしいストライプが清々しいスカートをはいたマダムが「卵サンドとコーヒー、
持ち帰りでね」という。ダンディなハンチングを被った男性客が週刊ポストと
週刊現代のどちらにしようか、と迷ふ。静かな静かな常連さんたちが醸し出す
時間。やはり、この店はいいなあ、客も良いし、時の流れも良い。
本日のコーヒーはコロンビアで、酸味に弱い私はいつもなら避けるところだけれど、
気温26℃以上になるなら話は別だ。本日のコーヒー、コロンビアは酸味と苦味の
バランスが麗しい品だけど、気温があがらければ私の味蕾は「うん」、といわない
不思議さだ。思い込み、意固地になり、人生の楽しみを見逃したくない。季節、温度、
湿度、空気感、によって変わる味わいを、楽しみたい!と心密かに祈った私だ。
エース、いかなる時も、意外に朗らかな男兄弟二人の忍び笑いが好ましい私のエースだ。

(2013.5)

。。。
この日のエースはとても静穏だった。ご近所のいかにも神田のオカアサンって感じの
温かで地に足がついた風情の女性達が、独りでそっと扉をあけて微笑みを交わして
するりっと順に詰めて席に滑り込むあたりホントに心得ている。席につくなりガサゴ
ソと煙草をとりだすのかと思いきや、皆さん、お手元眼鏡をやおら取り出し、新聞に
見入る。基本、珈琲と海苔トーストをキッチュなテーブル上、前歯で可愛らしく齧る
あたり、あたしたちはこれっくらいの量でいいの、って声が聞こえてきそうだ。なん
だか満ち足りた気分になってやおら嬉しくなる。美魔女だなんだ、と中高年期を激し
く煽られる世代は日々なんだかうんざりする事も多いだろうが、この、朝からキチン
と働いて、独り時間を静かに穏やかに遠慮深く心得た所業で過ごし、社会情勢にも目
を配る。男も女も老いも若きもない人としての基本を満たしていることのほうが、若
く見せる、ことより大切だよなあ、と痛み入る。こんな素敵なお客さんが集うってや
っぱ、ここはいい店だなあ、としみじみ思う。そんな私の手元には海苔トーストとジ
ャワロブスター。お気に入りの取り合わせだ。美味しい。ほんとうに美味しい。だけ
ど春になってうきうきしてきたら、今度は少し、甘やかな豆にもトライしてみよう、
と思う。「見るべき程の事は見つ」て言えるようになるまでまだまだほど遠いもんね。
外は激しく風巻く東京の街。でも風の中に早くも春の気配と花粉がキラリッと潜んで
いるのがみえた。
(2013.1)
。。。
肌寒くなってくると本当に珈琲が欲しくなる。切ない喪中葉書が届く日々。友人
の御主人亡くなった。結婚式の様子、初めて新居におよばれした時のこと、昨日の
事の如く思い出す20年前のことだ。切ない、肌寒い。激しく切ない珈琲が飲みたくて
無理矢理仕事の合間に愛するエースへ。原生林の暴れん坊、ジャワロブスタと
海苔トーストをお願いした。同行者はこの日のお薦めロイヤルブレンドとクリーム
トーストだ。美味い。文句なしの口中でキックを繰り返す激しいジャワロブスタ。
このくらいwildでないと今の私は満足できない。思わず自宅用に200g買い求め
た。人生は切なく短く唐突だ。総員の健闘を祈りながら、今夜は泣きながら眠りたい。

(2012.11)
。。。
真夏の中休み、なんだか涼しい気がする昼下がり、ここのところ悲壮な珈琲
にしかありつけなかったワタクシはエースのマスターの珈琲が飲みたいがために
電車に乗ってやって参りました,神田。あー、やってる、よかった。今日の珈琲
は、とキリマンジャロだあ!わあい!そそくさとお店に飛び込めば御常連さんと
ゆるりと話されているマスターとホールマスターたち。あーよかった、お元気で
したか〜。ほっとしながら席に滑り込み、早速、キリマンジャロとのりサンドを
オーダーです。同行の仕事仲間は日頃,一切の珈琲は飲めないのですがここのブ
レンドだけは別で、人生初の珈琲がこれだったら珈琲好きになったかも、とのた
まうほど。こちらエースにだけは同行したがるのでした。やって来た名札をつけ
たキリマンジャロは真夏の中休みにふさわしい涼やかさ、まさにキリマンジャロ
の雪、でござる。マスター!美味しゅうございますよ!ありがとうございます!
あー,神田に引っ越したいなあ、エースの近くに。あと、バイト募集があったら
応募する!、そんで珈琲講習会があったら参加するんだ。と、つぶやいていると、
そんなワタクシを心配そうに仕事仲間が見つめ、そして一言。「打ち合わせ、6
時からですよ。」「、、、、、、、。」オレはマジだぜ!真夏の夜の夢か。

☆「夏期休暇はとらないので通常通り営業!」の貼紙をみました!ワタクシも夏
  期休暇のない身、お盆期間に美味しいエースの珈琲が飲める、と知っただけ
  で、勇気がでました。

(2012.8)

。。。
珍品珈琲フェアになんとか間に合いました!本日のおすすめ珍品はトラジャ!
もちろんワタクシはトラジャ+愛する「のりサンド」をオーダー!この日は、
どうしてもこちらの「のりサンド」が食べてみたい、とせがむ仕事仲間を連れ
ての再再訪でして、この人は甘党なのでクリームの乗ったスパイスの利いたソ
フィア風紅茶の文字から目が離せず、そちらをオーダーです。ワタクシにとっ
てはお腹一杯になる愛する「のりサンド」ですが、朝食を抜いてきたという
仕事仲間には少し足りないのではないかと新メニューのローストチキンサンド
とかどお?と聞いたのですが、憧れの「のりサンド」を!の一点張りでこれまた
のりサンドをオーダーです。
さあて、と店内を見回すと、サラリーマン風の方から年配のご夫婦まで、各々に
くつろがれており、さらに出勤前の女性達が次々、200円の持ち帰り珈琲を
ピックアップしていかれます。12時まではブレンドコーヒーはお変わり無料
なんですね、お隣のお兄さんがおかわり宣言されているのをみて知りました。
なぜなら、ワタクシはまだ、こちらでブレンドを頼んだことがなかったから
なんですね!
そしてやってきたトラジャは!口に含んだ瞬間は酸味が立つ亜熱帯の果実を
思わせ、ふんわりと次の瞬間、聞こえる木陰をつんざく野生の咆哮、複雑な
構成の森を一杯のカップに閉じ込めたような変わりやすい天気のような味わ
いです。美味し!美味です!
そしてのりサンドを、「美味しいでしょ!美味しいよねえ!」といいながら
パクパクと。ふう〜、と一息つけば、お店の方がブレンドをいれてくれ
ました。ありがたく一口いただくと、驚愕です!まあるいファーストテイスト
のあとに舌の両端で感じる酸味が淡くほどよく、するりっとのどを降りて行く
玉を飲むようななめらかさ、これを嫌いな人はいない、という素直なタイプの
美味珈琲!あ〜、喫茶店のブレンド、というのはまず、こうでなくてはならない、
とワタクシは思います。一発目、珈琲を好きになってもらう。その次に、自分
の好きな味わいを求めて色々飲んでもらう、そして好みの方向性でフェチに
なってもらう。このあたりまで来ると、本人にとって、そこは喫茶店を超えて、
珈琲専門店になっている。という具合が理想ではないでしょうか。その理想が
ここ、エースにはあるのですね。ああ、このブレンドは美しゅうございますう〜。
その証拠に珈琲を苦手とする連れが生まれて初めて美味しい、と完飲いたして
おりましたの。
ふうう、朝からこの幸せ、一日が良い日になります。ごちそおさまでした、
を告げて外へ。花冷えのする神田の空気と春の予感を胸いっぱいすいこんで、
足取り軽く歩みだしたワタクシどもでした。さあ、今日も良いお仕事を!

(2012.4)
。。。
楽しみにしていた再訪でございますよお!本日はなにやら会社の会議室が
移転してきたような、ミーティング中の一団とカウンターでくつろぐ常連の
おじさま、お一人様のおじさま、お一人様のお姉様、おや、混んでおります、
混んでおります、なんとかテーブル席に滑り込めましたあ!本日の狙いは
もちろん「のりサンド 140円」と「GOLDEN CAMEL 470円」!でございます。
このカリブ海沿岸の豆を使ったブレンドがなぜにラクダなのか、アラブから
豆をしょってきたのがラクダだからか?そもそもカリブ諸国にラクダは
いるのか?日本人の睫毛じゃ、砂漠の砂をブロックできない、と男子で
ありながらラクダ並みの睫毛をしばしばさせながらアラブ人の友人に言われた
ことなどを思い起こししばし沈思。お隣のミーティング内容に危うく無意識に
口を突っ込みそうになりながら、ちがうちがう、ここはオレの会社じゃねえ、
と意識をとりもどします。
手早いマスターに、今日は力強い援軍がいらっしゃいました。マスクをかけて
いらしても、そのはみ出た部分がマスターにそっくりですから、ご兄弟で
ございましょう。また、よく似てること。うふふ。
さあ、のりトーストとゴールデンキャメルがやってまいりました。
うーーーん、すごいです。上立香は海藻のような感じです。モルトのラフロイグ
のような、、、、。味わいはまるで万華鏡のよう。口中に含めば、なぜかつるりと
した下舌触りに。舌の両端で酸味を感じ、奥で苦みを、甘みはうっすらとほのかな
靄のような印象をかぐわせるのみ、しかも、熱い→ぬるい→冷たい、と温度変化に
合わせて感じる味覚がちがってまいります。これは体調によってもかなり感じ方が
かわってくることでしょう。できるなら、ヨガのような体内浄化をして30分以上
たったぐらいがベストな味わいタイムのような気がします。(うるせー、っすよね、
すみませぬ〜)いや、幸せ、幸せ、至福のカフェイン取得でございました〜。
ふと貼り紙をみると、珍品珈琲フェアなるものが4月2日から4月21日まで開催
されるとのこと、トラジャ、ケニア、中国、ベトナムの珈琲が日替わりで460円
でご提供とのことでございます!これは楽しみ、この期間なんとしてでもたどり着
かねば〜!と手帳に書き込み、さらに心にも記して、ごちそおさまでした、を告げ
たのでした。それにしても、「のりサンド」は美味しいなあ!ホントにワタクシの
「美味しいツボ」にはまりましたわあ!

(2012.3)
。。。
鼻先凍る寒気の中、神田の展示会にでかけましたところ、道に迷い、
通りがかりましたの。うわ!このお店をカフェインフェチのワタクシが
見逃せるでしょうか!この手書き感、手作り感、収集癖感、へんくう
感、珈琲への深い愛、がすでに店舗の外観に溢れておるではないですか!
迷わず、ためらわず、ドアを押すと、ああ〜、前世であったことのあるような
マスターの笑顔とわくわくするような固執趣味全開の店内が!うひゃあ!
なんてラッキーなんでしょう!今朝のワタクシはツイている!毎朝、靖国神社
まで参拝ランニングを始めたご利益でしょうか!大好きな大好きな可愛い
らくだのマークの看板、ドキドキする品揃え、昭和なブースにイスに丸
テーブル、うわあ、住みたい!もうこのお店に猫になって住みたいです!
て、メニューを見れば、カフェインマニアには燦然と輝く珈琲の列挙が!
と、とにかく、マスターにおすすめをお願いして猛烈に気になる「のりトースト」
なるものをお願いしました!これがなんと140円也!ええ、ワタクシがコドモの頃、
食パンにマーガリンを塗って味海苔をのっけて食べるのが流行ました。関西人でチャ
レンジャーな珍品グルメにためらいをしらない母の下、様々な珍品グルメメニューが
我が家で流行しましたが、これは格別のお気に入りで、一度に何枚ものパンを味海苔を
乗っけて食べようとして叱られたものでございました、、、、そしてマスターのは
憧れたホットサンド!しかもゴージャスなバター醤油!んまあ!郷愁とあいまって
その美味さに笑みがこぼれます。もう、これでワタクシは満腹でございます〜。
(うかがえばこちらはすでに創業40年とのこと、、、もしやこちらのお店の
のりトーストが全国に流行ってうちのかーちゃんがワタクシに食べさせたって
のはアリなんでしょうか?どーなの、おふくろ!?)
そしてメインの珈琲です。本日のおすすめは「エチオピア」です。本来、ワタクシは
「苦い系」の「野性的」で「猛々しい」原種珈琲が好きなのです。エチオピアは嫌い
ではないですが、酸味を全面に出す店が多く、あえて好むほどではなく、ワタクシの中では
「たてるのが難しい珈琲」としていたのでございます。しかし、このマスターのエチ
オピアは舌を刺すような酸味はまったくなく、かの地に力強く鳴り響く太鼓のような
脈を打ち、その合間にかすかな海を感じさせる味わい。やばいです、久々に鳥肌立つ、
呼吸をしている珈琲でございます。これは、、、この腕前で460円也!
さらにこちらのお店は場所柄もあり、様々なタイプのお客様がいらっしゃっていたの
ですが、マスターはそのどのタイプにも臨機応変に真摯に対応されており、これには
感心いたしました。しかもお一人!すべてを神業的な手際のよさでこなしています。
その上、メニューをみればマスターの手書きの文字でびっしり!なにもかも手書きの
ようです。これが珈琲を愛してやまないことはもとより、飲食店の経営も、毎日店に
でることも、ワタクシのようなおかしなお客に会うことも、なにもかもすべてを愛し
ていないとできない域、、、、焙煎も自分、店内装飾、店外装飾もすべて手作りという
フェチっぷりです。好きです、マスター!激しい動悸を押さえながら、メニューを
見聞するにつれ、超低血圧のワタクシの血圧があがります。カフェ・アレクサンダー!
ここなら期待できそう!うううん、飲んでみたいものがいっぱい。。。紅茶にも一家言
ありそうですし、フードにもマスターの創意工夫が満載してそう。棚にびっしり並ぶ
珈琲豆の瓶は昔の金魚鉢だそうです。キラキラときらめくお豆が小さな茶色い金魚の
ように、ひらりひらり、と生きているように見えます〜!そうそう、お電話の呼び出し
音も昭和な黒電話のベル音で「長電話するな!明日、学校であった時にしゃべればええ
じゃろ!」と父にこれまた叱られた思い出がほろ苦く呼び起こされましたよう。
というわけで、ふーー、楽しかったあ!いいトシになっているのに心はコドモより
はしゃいでお店を後にしたワタクシ、オトナのお面を被りなおして展示会に急いだ
のは言うまでもございません。絶対また行くわ!と決意に満ちながら、冷気に満ちた
神田の町に飛び出したワタクシでした。

追記〜展示会の後、早くも、もう一度、こちらにうかがおうと、足を向けたのですが、
さすがにそりゃおかしな客だよな、と自制したワタクシは正しかったでしょうか〜。
(2012.2)

  • ぐっもーーーーにんぐ かんだあ!
  • 朝の通勤時間の凶暴な東京をくぐり抜けて、ほっ!と一息〜!
  • 2015.2  金色こんじきの駱駝!

もっと見る

2位

かきの館 寺岩 (前空 / 海鮮、郷土料理、あなご)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

2021/03訪問 2021/04/07

激烈にお気に入りの牡蠣専門店!

静かに煌く瀬戸内海と同じく、静かに食するこの店のお客さんたちと静かに見入る冬のお楽しみ
のかき鍋は暖をとるにももってこいだ。季節は早くもTime flies,ひねもすゆたりゆたりかな、の春
来たり、で、かき鍋は来シーズンまで待ちわびることとなる。この、待ちわびる、時間がいいん
だな、ほんと。なんでも手に入るのはつまらない、と昭和なツレ達がのたまう。世間を賑わす
『昭和世代の発言』の話題になり、これとあれはハラスメント、誰もが持つ心の中の暗い森を、
伐採間伐手入れを欠かさずせねばと頷きあう。時代の流れが速いゆえに、10年以上前のことは言わ
ないことにしよう、と誓い合う。この愛すべき寺岩さんに来始めて10年。変わらぬ美味しさと穏や
かな店構えを保つお店の方々と大自然に向き合う生産者さん、瀬戸内の自然に感謝あるのみだ。
 vita brevis ostrea longa

(2021.2)
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変わらぬ麗しの島影が美しい波間に映える。宮島を望むならここからが一押しだと頷く。なのに
我々の美貌はマスクの下である。誰やねん、その方が美女に見える、言うたやつ、一歩前へ!
まだまだ素足で過ごせる気温の広島だが、待ちに待った牡蠣シーズン到来!であります。
悩みに悩んだタイヤ交換を終え、勇んで駆けつけた今年初の牡蠣の寺岩さん、全開放の窓から
海風と秋風と、気のせいか、かすかに金木犀の香り。店内の牡蠣を焼く香ばしい匂い。
やってきた、潮の香りに満ち満ちたふくよかな艶肌の焼き牡蠣、焦げ目フェチの心を鷲掴みにす
る牡蠣めしの焼きおにぎり、カリカリがたまらん牡蠣フライ、美味也、美味也、と呻く。
店内のスーツ姿のマスク兄さんたち、マスク姿の和やかなカップルさん、素敵なお客さんたちと
穏やかな昼下がり。満喫しながらふと思ふ。 quod nimium est, fugito; parvo gaudere
memento.小さいことを喜ぶことを忘れるな、それも事実だけど、こんな美しい日差しを浴びて、
風の匂ひを嗅いで、たゆとう平和な海を見ながら、瀬戸内の宝物の牡蠣を賞味できるのは、決して
小さなことじゃない。この地球上で、人生の中で、奇跡のような一瞬なんだと思うと、この場にい
る人たちみんなが愛しくなる。辛い日もある。後悔する日もある。穴に入りたいほど恥をかく日も
ある。不安になる日もある。だけど、顔を上げてマスクして安全運転してお気に入りの歌を歌って
気を取り直して、そして牡蠣を食べて亜鉛を摂取する。だってローマの時代から牡蠣を食べて勢力
を培ったんですってよ、As a rule, men worry more about what they can’t see than about
what they can. ああ、ホントだわ、、、、 真理を得るためにも、そおれそれそれ、牡蠣を食べるべし。

Please,please stay safe and sane,

(2020.10)
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この秋、西日本はあったかい。ふわりと瀬戸内海に影を投げる宮島は心なしか春めいて見えるほど
だ。だが!令和元年、”この季節”がやってきた。東京から来た友人達とともにワクワクしながら
足を運ぶ、我らが寺岩。
 おお!English menuまで今年は完備されている!おお!「穴子丼」まで登場しているではないか!穴子フェチの友人達は色めき立つ。むふふ、牡蠣フライとねえ、焼き牡蠣とねえ、穴子丼とねえ、とオーダーに悩ましい。経営側の創意工夫に満ちた店作りが頼もしい。場所柄、人手不足なのは皆の衆、武士の情けで心優しく見守ってほしい。時間と心と懐に余裕、が理想でござる。
 さて、個々、皆の驚きの近況報告に聞き耳頭巾もしばし、むちむちの焼き牡蠣がやってきた。Oh! Blame it on your measurements! 胸が高鳴る。穴子丼のサイズにもテンションが上がるう!
 ふと、一人が、満月の牡蠣って美味しい、と聞いた、とか言い出す。え〜、満月に髪を切ると良い、とか、満月ヨガとか、Full moon伝説っていっぱいあるけど、、、満月ってちょっとイイもんね、なんか野生が目覚める、と仲間うちの一人が囁く。そうかもね、と微笑みあう。次の満月には久々に走ろうか、愛車の修理が終わったら、とつぶやく私に、(今年もかよ、、、)の冷たい目つきに私は耐える。牡蠣と旧車は私の愛の対象なのだ、その先にはover the moon,わかってほしいな、友よ、、、。

Hey, this oyster bar won't let you down. English menu available.

Avez-vous une carte anglais? Oui!

(2019.11)
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最近、こちらに越してくる仕事仲間が多い。人生の扉を一つしめて、一つ開ける。時には、一度に
どかっ!と開ける猛者も現れる。そんな仲間内の一人の「お誕生日会」は、こちら、愛してやまな
い2018年秋を迎えた亜鉛王、牡蠣の寺岩でござる。店内はシンプルにこざっぱりとダンディーな
アトモスフィアーに進化していて、窓の外の世界遺産・宮島を望む海景色もあらまほし。

やっぱり牡蠣だよね、牡蠣だよ、絶対、、、と男子諸君の小声も聞き逃さない。どんだけ悩んでん
ねん?さあ、お食べ!この県に着たら、お食べ!この県にいる以上、ここの牡蠣をお食べ!と
誘惑する。わくわくしながら焼き牡蠣を待つ。こちらのオーナーの優しい笑顔と牡蠣を扱う美しい
所作は、県民認定の誇り、ミスター・ダンディーである。

で、どうなんか?と尋ねられ、うっ、と胸苦しく、左後脚のシャフトブーツが怪しい気がする、
左後脚だけじゃなかろうじゃ、と細かいツッコミはスルーしたい気持ちでいっぱいになる。
でも、まあ、愛車の心配をしてくれるのはこのメンツだけだからして、、、と熱々の牡蠣フライ
をそっと前歯で噛み締める。それより、○○歳、おめでとう!信じられないなあ!もうDon't look
at the calendar!だね、と仲間のここ数年の「人生の扉」の開け閉めの経緯が皆の胸のうちで去来
する。

オーナーの絶妙焼き加減の熱々の焼き牡蠣の滋味は、「人生の扉」話題によく合う。じんわり滋味
滋味〜と舌と胃の腑と心と腸に効いてくる。牡蠣殻の汁まで逃さぬように丁寧に味わう。

駐車場で海を見ながらエンジンをかけると、ふと仲間の一人が、来年は100年ぶりくらいに海に
泳ぎに行こう、と言い出した。なんでも、最強の「ITOGO」で水着を格安でゲットしたらしい。
えっ!このメンツでですか!と叫びそうになるのを抑えつつ、まだまだ夏の名残りする瀬戸内海を
遠い目で見つめた私は、その前にまだまだ冬を楽しむぜ、と寺岩再訪を心に誓った。

2018.10
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男士諸兄のアドバイスはナゼカ,「それを先に言わんかいっ!」のパターンになるのはなぜだろう。100年前は頼もしく思えた、のは今は幻か。女士諸姉のアドヴァイスが予言の如し、先めいているのとは対極にあるわけだが、わたくしより先輩のかたがたは、男士、当然の如く女士より4輪2輪にくわしくあるべし、の世代であり、文化人類学上Femaleに分類されるわたくしの4輪二輪に対する偏愛嗜好への風あたりは瀬戸内海なみに少しばかり厳しい。毎度この時期、乗り物に心乱されるわたくしの精神の安定のため、亜鉛摂取に燃えて女士達と集った先は久々の牡蠣処、寺岩でござる。

「獺祭があるねえ」と目ざとい先輩が囁く。時間は昼前、我らオールドライバーズで無念の空気が流れる。大粒カキフライ御膳やら焼き牡蠣、穴子の煮付けなどをオーダーし、飲み物はお水で我慢だ。
眉間にしわ寄せ、涙目で力説するわたくしを前に、女士がたがクスクス笑う。「What's!?」である!「貴方、乗り物に対するときだけ、、、、ふっふふふふ!」と笑われる。年初めに見たお車より違うお車を駆って来店された賢女の先輩は「そこは殿方にお任せ水域なのにね」と諌められる。そうですか、あきまへんか、、、。やってきた煮穴子は甘めのお味、カキフライは「おうけい!!!」です。美味なり,ヤムヤム ヤミー!ごはんは牡蠣飯だよー!嬉しい!今年の瀬戸内はまだまだぬくいけれど、焼き牡蠣のお味はこれからの冬のお楽しみを暗示している。うふふ。

「で、みんなして、俺の時は,俺の時は、っていうだけなんだもの」と呻くと、某姐御がこっそり「先にいうべきだったかな、って反省してたみたいよ〜」と囁いた。そうですか、そういっとりましたか、、、、。店内には次々と逞しく楽しそうなオニイさんたちがやってくる。そうだよ、牡蠣をうんと食べれば、心身ともに前向きになるんだよ!食べるべ!牡蠣を!男士諸氏!

外は曇天の瀬戸内海。牡蠣尽くしの貼紙を眺めながらつい、♪男ってヤツは,どうしようも無いカキだねえぇ〜♬ 歌ってしまった。

(2017.11)
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唇の薄い女は情が薄い、といわれているが、私はかなり情の深い胸熱な女である。
久々に集った女士達に、深情けを諌められる。「換えなさい,換えなさい,換えなさい!
2年毎に換えなさい!」2年毎に相棒を換えるスマートな先輩の「深情けはあんたの
ためにならず!」のお言葉にさもありなん、とうなだれる。「いったい何台買えるくらい
つぎこんだら気が済むの!」と所有格ディーラーのクレバーな先輩のお言葉が身に沁みる。
それでも駐車場に「お待ちしてました!」と愛くるしく微笑む愛車をドナるなんて、
考えただけで胸が張り裂けそうである。換えるなんて、、、、と、ふと店を見回すと
オーナーが換わったのか店内は変っていた。産直の牡蠣打ち小屋は質実剛健実直一路
から、今風の飲み放題のある居酒屋さんに変身、キリンビールさんの資本がはいったの
かしら、お店のスタッフのお兄さんやお姉さんの着用するキリンカラーの黄色が目に滲みる。

カキフライ定食1400円、焼き牡蠣一個260円、私たちが偏愛していた、あなごの蒲焼き
は見当たらない。飲酒の提供分だけ、食べ物は価格がさがっているようだ。カキフライ
定食には山田屋さんのもみじ饅頭が鎮座。牡蠣は相変わらずの美味。ランチタイムだから、
飲み放題の方はいない、かなぁ。夜はたぶん、喫煙可、なんだろか。居酒屋さんだもんね、
と皆でうなずく。かわってゆく、ついていかねば、と皆わかっている。外に出れば、海から
冬の冷たい風が吹く。キリン一番搾りの大きな旗がひらめく。そこにはかわらぬ牡蠣の産直
売場。打ち子さんの真っ赤になった手を思い出す。表にはでない変らないもの、換えれない
ものもある。大切なものは目に見えない、って王子様は言ったもの。

駐車場で、口ずさむ。
♫〜I was born to protect you, with every single beat of boxer sound.〜♪
Yes,I was born to take care of you, 〜♬〜every single beat of my heart 〜♪
     以前のオーナーのはにかんだ笑顔が、愛車の、私待ち顔、に重なった。

(2017.2)
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風が強い。ふとしたトラブルで予定変更、愛しのこの店に
滑り込む。誰もいない。珍しいことだね、と仕事仲間と顔を
見合わせる。店内に土日祝は禁煙の貼紙をみつけ欣喜雀躍する。
牡蠣フライにあなごに焼き牡蠣に、と皆のお気に入りを、
しかし、少なめに選ぶ超少食なワタシだ。

後から、年季の入った姐さん二人連れが初めての態で
おづおづと入店される。窓側の席が大テーブルなので
二人で占領して良いモノか?と思案されている。優しい。
奥の方が暖かいですよ、とお店の姉さんに囁かれたが、
「海が見たいから、許されるならば」と窓側の席に
海に向かって二人並びで腰をかける。可愛い。

続いて背骨に年季の入ったアニキが独り、ゆっくりゆっくり
入店してきて ゆるりゆるりと小さいテーブルに海に向かって
独り腰掛ける。微笑ましい。

外の暖簾が風に強く暴れる。皆の背中にしょってる人生の
バックパックが視える。我々と言えば、かつての仕事仲間たち
が陥っている近況を知り、押し寄せて来る感情に口重になる。

んがっ、静かな店内にふと眼をあげれば、年配の女性たちも
超年配の男性も、ものすごい量の牡蠣飯セットを平然と食して
ござる。すげえ!と感嘆していると、男性の元に更に焼き牡蠣
5個がやってきた!我々なんぞは二人で二個、「ふっ,若輩者め〜」
なんて目を細めて微笑まれたような気がして、身を小さくする。
食欲旺盛健啖健身生命力全開だ。燻された身体の中に煌めく気魂、
まさに牡蠣と同じ!

♫輝いた日々 思ひ出が降りて来て 切なすぎて歩き出せない〜♪
失意の男たちを、ここに連れて来て、がっつり風に吹かれて、
がっつり海を見て、がっつり牡蠣を喰って、また歩き出せ!と喚んで
やりたくなった。

♪ホントはわかっとるんじゃろう?案外、自分の限界が高いことを〜♫
鼻歌を歌いながら風に髪をまかす。本日は快晴なり、朱色の鳥居が
よく見えらあ。

(2016.2)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
♫雨に泣いてる国道2号線〜美味い思いが振り切れるまでぇ〜
よだれなのかぁ 広島牡蠣シーズン〜♪と鼻歌まじりに
車を飛ばす。さあ、すまない、遅くなったね、シーズン
最初の牡蠣三昧だあ!今年は妙に温い気温の秋で、亜鉛摂取の
饗宴の幕開けが遅くなったのだ。

雨に煙る海の向こうの宮島を見ながら、新たなメニューに
お店の意気込みを感じる。だがここは、王道:酢牡蠣+
焼き牡蠣+カキフライ、といこうじゃねえか、と仕事仲間
と頷きあう。焼き牡蠣の滋味に、耳裏舌の両端からよだれが
口中止まらない。うーん、ヤムヤムヤミー!美味いねえ、と
囁きあう。親指をグーッ!とたてて、ふと、去年より関節の
シワが増えているような気がした。ありゃあっ!?これは、
いかんじゃあ〜、今美肌作りに効く亜鉛いっぱいの牡蠣を
食べまくらなければ!と決意する。

12時が近づくにつれ、神無月にしては薄着過ぎるアニキ達が
次々とやって来る。灰皿を探す方々が増えて来たのですかさず
立ち上がり、店の高回転に貢献する。外は雨。

♪見ろよ どしゃぶり ずぶぬれ 幟〜
 せめて冷たい雨 季節を流して Oysters have just come in〜♪

(2015.11)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
生牡蠣や 居続けしたる 二日酔、子規なら牡蠣汁であろうけども、
自己責任の猛者の我々は酢牡蛎だわさ!ほっほっほ!
と、何度も満喫し,堪能した今年の艶美なシーズンも終わり。
私の亜鉛摂取と食のお楽しみはここでいったん幕が降りる。
あー、今季も本当にありがとうございました。生産も販売も調理も、
なにもかも、続ける、のがいかに難儀かお察しいたします。
でもあと少しだけ、我らが瀬戸内海が許してくれる間だけ、この
センシュアルな貝を心身の底から官能したいの。
来シーズンも、また来ます。いまかいまか、と待ち焦がれて。
ここに寺岩がある限り。

(2015.3)
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だんだだだん!だんだだっだん!とシーズンの足音が聴こえる!!!
やっと駆けつけたお昼前の牡蠣の寺岩!おーほっほっほ! 
カキフライに焼き牡蠣5個レモン付きにあなごの蒲焼き、グーッ!!!両手の
親指を立てる勢いだ。シーズントップの様相は「昨年よりは小さめできゅりりと濃い味!」
な印象〜!さあ、その目でその手でその舌で、味わいに来たれ!大野浦の
海が待ってる!

(2014.10)
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行っておかねば、と心が騒ぐ。シーズン ラストの牡蠣の寺岩に!仕事をかいく
ぐって駆けつければ、おお!「おしながき」もモダンに新しく、新税率に対応
している。わくわくうきうき、お茶をセルフで汲んで来て、じーっくりメニュー
を検分し、やはり愛する焼き牡蠣5個、と 穴子の蒲焼き、と カキフライ定食
とをお願いする。気温20度を超えて来ると、やはり酢牡蛎は自制じゃね、
同じく牡蠣好きの同行者と頷きあう。

穴子の確かな歯応えが明日の美肌を保証する。カキフライの油と亜鉛の融合に
ほっぺの内側がうずうずしながら細胞が喜んでいる。おおきな おおきな焼き
牡蠣の、ぐじゅじゅわあっ、ととろける白い裸身が、くしゅくしゅ と舌の上
にその身を委ねる。

うーーーーん、来年までこの快楽はおあずけとなるのだ。だが、この「おあずけ
期間」が さらに悦楽を増進するわけだから、甘んじて受けよう。
牡蠣に 海に 生産者の皆さんに お店の皆さんに 感謝! そして地球がまた
来年のシーズンを導いてくれますよう 心から祈りながら、湿り気を帯びた春の
瀬戸内の海風に揺れる暖簾をかきわけて 店を後にした。

('2014.4)
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実は2月が最高さ、と同行者達とうなづきあう。来週あたりから気温が上がる、と
耳にするや否や、猛烈時間調整をかけて寺岩に駆け込んだ。
おほっほっほっっほおお!いつもよりさらにさらにさらに滋養に満ちた、なんとも
レイヤー層の厚い味わい!海の深さを感じさせますよ!さあ、シーズンもラストスパート、
この地にいてコレを味わねば、もったいない!というものじゃわ!うーん、それにしても
美味なり。

(2014.2)
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もちろん年明けから、♪ 駆けつけるオレさ〜♬ と鼻歌を歌いながら海風に旗めく
暖簾を肩でくぐる。
酢牡蛎、酢牡蛎、酢〜牡〜蛎〜♡と同行者たちと口を揃える。あ、「牡蠣の土手鍋
始めました」って。貼紙がしてあるよ。いいね、いいね、良いね〜、次はそれに
してみよっか。シーズンラストまで通い続ける気、満々だわ、この人たち、とつぶやく。
もちろん、酢牡蛎のために体調を整えている私でございます、最後まで通いますわよ〜。
おっほほほ。
さあて、来た来た来たよ〜!羨ましいつるっつるの光り輝く艶肌の酢牡蛎は、
お肌のお手入れのお手本ですわ。むふ〜、美味なり!行って楽しい、見て楽しい、
食して楽しい、後味まで楽しい。まさに悦楽なり!のひとときにございました。

(2014.1)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
2013年最後の寺岩へ突入〜!ビ〜バ!酢牡蛎!!!!ぴちゅじゅるむちっ!の舌福が
押し寄せる!実は銘品の穴子もむっちりしっとり美味美味美味〜!カキフライも牡蠣飯
も焼き牡蠣も段違いの貝滋味の世界へ誘ってくれます。
年末年始は、当然の如く混んでおりますから、財布と時間と心の余裕をたんまり携えて、
この広島の誇る滋味を味わってね。
無類の貝好きの私を今年も受け止めてくれてありがとう!
対岸の宮島が新たな年をゆたりと待ち受けていた文字通りの歳末でございました。


(2013.12)
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
お!手書きからパソコン文字になっとる!貼紙に目ざとく目を留める。極大粒!?普通で
も大粒なのに、それよりも大きい「かき小町」のさらに「極大粒!」興味津々なれど、
それはゆえあって次回のお楽しみにとっておくとして、急いでいつものをお願いすると
しよう。実はゆえあって「酢牡蛎」も次回のお楽しみだ。カキフライ定食に焼き牡蠣
5個広島レモン付き。マスターが今日のは小ぶりだから6個にしといたよ、と声を
かけてくれた。えー!いいのかな、これでも充分大きいのにぃ〜!ありがとう、マスター!
こちらのマスターは亜鉛、ビタミンBが行き届いているため、か、とても美しい肌の持主
なのだ。かなり羨ましい。わたくしもせっせと牡蠣で摂取せねば、と心に誓う。
かの地、広島もいよいよ気温が下がって参りまして、それに連れてどんどん美味が増す
麗しの牡蠣たち。ん〜〜〜、美味なり!宮島が浮かぶ瀬戸の海はやんわりと寒さを慈しん
でいるようだ。いつくしま、厳島、慈しま、愛しま!店を出ても舌に残る海の滋養を
大切に愛おしんだ。


(2013.11)
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「今年は大きいらしい」「今年は大きいらしいよ」車内で口々に囁く。何が大きいかって?
も〜ちろん、愛する郷土の牡蠣でござる!さあ、今年も心躍る季節がやってきた!麗らかな
秋の海が滋養たっぷりの香気を放つ、海沿いのこちらのお店に車を走らせた。よしよおし、
やっているぞお!思わず小走りで駆け込み、メニューを睨む。えーと、まずはね、焼き牡蠣、
カキフライ定食に穴子の一本焼きに牡蠣飯!まだお暑いこととて、酢牡蛎は自制、次回の
お楽しみにとっておく、というサドマゾ気質で対応だ。
わくわく、どきどき、血液が亜鉛を待ち受けて、体内を駆け巡る。来たーーー!ホントだ、
大きいよ!大きいね!牡蠣殻の中に潜む小さな海から鮮烈な潮の香りが湧き立ち、目を閉じて
鼻腔に吸い込む。脳細胞が太古の記憶を呼び覚まし、懐かしい様な郷愁が胸を覆う。
おいしーーーー!んもう、口中に満ち渡る天然の滋味は、なんの小洒落たソースもいらぬ。
広島レモンさえあればいい、って感じ。これこそ、六味の六番目、「淡」、食材の本当の
美味を打ち消さぬ事、とはこのことなり、を沁み沁みと心に刻む。ふはーーーー!
今年もありがとう!感謝の念を、生産関連の皆様と、たゆとう愛しい瀬戸内海に向かって
海底まで放った。

(2013.10)
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
気温があがったりさがったりにつれて愛車の調子もあがったりさがったりして、それにつれて
愛車偏愛の私は気分が急上昇急降下している昨今、気晴らしにシーズンラストスパートの
酢牡蛎目指して愛車を走らせれば、おお!?酢牡蛎の提供を見合わせております、の
手書き貼紙が。んがっ。でも「自己責任」という手法がございます。自己責任でむちむちの
酢牡蛎と、絶対美味のカキフライ、それとここのがナンバー1!と信じるあなごちゃんを
いただきます!あー、瀬戸内は今日も美しい。愛車も古いけど輝いてる。こんな日々が
続けばいいのに、、、と、今から◯バルに再び入院させる愛車にカキフライ串を差し出し
た私は、エンスーもここに極まれり。お車が元気なみなさんは、ぜひ、足をお運び下され。

(2013.2)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
始まりました!2012年秋のシーズンが!と聞いていてもたってもおられず、なんとか工夫して
駆けつけました、お昼の寺岩!秋なれど、25度もあるこの日の瀬戸内の海はとってもとっても
きららかな日和です。先客は年配のご夫婦が一組。カキフライ定食プラス200円で牡蠣飯に変更、
焼き牡蠣5個広島レモン付き、平日限定の牡蠣のみそ鉄板焼きをオーダーです。酢牡蠣はさすがに
11月からなのでこの日はまだ無理、気温25度だし、自制しなきゃね。
仕事仲間と結末のない仕事の話をしながら待つ至福の時。店内窓からは、キラキラの海の向こう
にありがたい厳島神社の海中に建つ鳥居が見えます。さあ、お料理がやってきました!わあ!大きい!
海とお日様の香りがします。滋味なり!海の神様と生産者の皆さん、お料理を作ってくれる人、関わる
すべての万象に感謝!し、そしてすべての晴朗を祈りつつ初物笑いを西方に向かって放ちます。
さあ、皆さん,今年も素敵な季節をどうぞ!

(2012.10)
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本日のランチ目的は「あなご」でございますよ!こちらならあなごですら美味ではないかと
おもいつき、無理矢理この地区に仕事を入れての参上でございまする。ランチタイムのせいか
こころなし、おじさまがたくさん。。。思案の末、カキフライ定食、焼き牡蠣5個、穴子の
蒲焼き800円をオーダーです。店内は小作りですし、この大きい音量の今時の流行歌のBGMは
いらないかなあ、とぼんやり考えながら待つことしばし。わあい、相変わらずのサクサクみるからに
海の香り立つカキフライ、衣で大きくみせようなんて考えたこともないで!と言わんばかりの
個々の形がくっきり際立つ自形で勝負!の牡蠣姿揚げが定食となって参上です。焼き牡蠣5個は
広島県産レモンを従えてのっしのっしとオーロラフリルを華麗に纏って甲冑から姿を表します。
ことのほか滋味なスープを牡蠣殻に湛えながら。そして穴子の蒲焼きです!ううううん、美味し!
ゴムのような弾力穴子を出す店も多い中、身の薄い彼らの滋味をふうわりと引き出し、穴子独特の
風味を甘みのあるたれが引き出しています。ちっちゃいけれど、舌の上でぬわっとほどけていく
ぬくもりはあなごだけが持つ食感、虜になる人も多いはず!来てよかった!
外に目をやれば、まだまだ気温は低いながら、海面のキラメキは春の兆しを通り越して大好きな夏の
予感、あ〜、今年は素敵な夏でありますように、と皆のために祈ります。さあ、牡蠣にあなごにあさり、
と夏まで猛ダッシュ、御来広の際はぜひ!「今が食べ頃」のハタハタがあなたを待ってます!

(2012.3)


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やってまいりました!牡蠣のシーズンでございます。こんなご時世のさなか、若干値上がりしながらも
生産者のほこりをかけて今シーズンに挑まんとするその気迫、早速応援にかけつけましたよお!
すると早くも「今が食べごろ」の艶っぽい看板が手招きしておりますです!もはや語るにしかず
、お写真をご覧下さいませ。わたくしの脳はアドレナリン全開、すべてを忘れて舌鼓をうちました
ですよお!1年分の亜鉛摂取開始!あまりにエキサイトしたため、ぐったり疲れてしまったわたくしです。
広島までいかれたら是非、JR岩国線に乗っかってまたはレンタカーにてここ寺岩まで足を運ばれたし!
コじゃれたオイスターバー、なんのその!質実剛健、寺岩、万歳!ちなみに酢牡蠣は11月からでございます。
(2011.10)

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誰にも教えたくないマイ フェイバリット牡蠣専門店〜!!!
といいながらご紹介したいお店です。
宮島口を通り過ぎ、東京荘(なぜか。。。?)という旅宿をすぎたあたり、海沿いに
あるお店です。産直お持ち帰りコーナー、イートインレストラン、そしてセルフ バケツ
焼き牡蠣スペースが敷地内にあります。寒い寒いさなか、女性陣が手を真っ赤に
しながら牡蠣打ちをしてくれて食べさせてくれる牡蠣を感謝いっぱい、ありがたくいただきます。
お気に入りは酢ガキと、串牡蠣フライと、大野牡蠣小町!酢ガキはいわずもがな、串牡蠣
フライは串に牡蠣フライが三個つきささっているのですがなぜかお皿上の牡蠣フライより
激美味に感じてしまいます。そして大野牡蠣小町というのは牡蠣のハイブリッド 巨大なの
でございますよ、皆様、ほかのどこの牡蠣よりも〜!巨大なのにきりっとしまった海のお味
なのです。年末から二月まで牡蠣のシーズン中になんとかしてこのお店に辿り着くよう
がんばる私なのです。
直球ど真ん中な産直店で、お洒落なオイスターバー等にはない「うまいもん食わせるけえ、
まあ、座ってまっとりんさい」的接客とアトモスフィア、まさにムードは「質実剛健」、
実に実に好ましく、わたくし一押しの牡蠣専門店でございます。接客担当の方々も、今風な
笑顔0円的人為作為接客法とは無縁、人間的な直球接客法で勝負、で好ましいです。
秘密にしたいけど、地元の誇りとして自慢したい、心牡蠣乱れる思いにかられる私です。
さらにお気に入りとして 牡蠣の佃煮 がございます。コレはなぜか玄米ご飯にぴったし!
な逸品でして んもう手作り全開なパックにラップで購入できるのですが玄米ご飯でおにぎりに
してもよし、のっけってもよし、、、ふはーーー、って感じですね。
さて、牡蠣のシーズンの後は4月からアサリのシーズンがはじまるのでございます。それは
また別の機会に!
(2011.2)

  • たっぷりの牡蠣鍋!
  • はふはふ!です!
  • 大きいのよ、牡蠣小町!

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3位

コーヒーハウス 楓 (九段下、水道橋、神保町 / カフェ、喫茶店)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/11訪問 2013/02/10

梟の待つ森に、早うカエろうデ〜。


閉店にショック!です。。。。。
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人生の酸いも甘いも噛み分けたくない、やんちゃな私は、苦い思いは
肥やしにできるが、酸っぱいめにあうと気分が萎える。人生はバランス
だ!という方には叱られるだろうが、偏執傾向の強い私は、人生も珈琲も
酸味なしが好みだ。かくて今日も大都会を彷徨していると、、、、、。
地方都市出身の私は森のにほひに敏感である。こちらの楓の前も何度も
通りながらお店が開いている時間にとおりがかったことがなく、
入店のチャンスを逸していた。楓、今なら山でどんなに美しく紅い
ことだろう。この日、久々に自由時間を繰り、通りがかったこちら、
おや、CLOSEとOPENの札が同時に出ている。この好機を逃しては
ならじ、とおかまいなしに潜入だ。
手作り感と主義主張に満ちた店内には、お店キャラクターのふくろうくん
が不苦労なのに、充分苦労したやんちゃな冒険野郎の面影を残したままの
まだ若い素敵なマスターがいた。「苦いというよりは酸味のない珈琲が
味わいたい」と無茶を言うとうなずいてくれて「深苦」を薦めてくれた。
10時前なのでモーニングトーストもつけてくださるという。今朝の私は
ついている!さすがに業務上ややこしい仕事依頼を引き受けただけのこと
はある。神様は見ているんだな。さあ、珈琲がやってきた。鼻孔をくすぐる、
樹々の枯葉のようなほろ苦い立香。ふー、肺に久々、一杯に吸い込む森の
香りだ。一口含めば、長ーーい絹の紐をすするような艶やかな舌触りが
舌の真上を滑り、かなり官能的だ。後に残るこれまた長ーーーい余韻は
完璧なほろ苦さで人生の岐路に立つ心を揺さぶり、勇気を奮い起こさせる
アドレナリンを生じさせる。舌の脇を刺すような嫌な酸味は一切なし。
温度が低くなってきても豊潤なほろ苦さが口蓋を撫でる。これならバケツ
1杯飲めそうな味わい。そして、これぞトースト!なトーストは私には
まったく適量で嬉しい限り。この技量で400円也!ついに本当に近所でも
好みの珈琲専門店を発見した興奮で平常50台の脈拍が、久々に60台に
乗った、気がする。BGMは、♪君は独りじゃない♫系の歌詞のセンチメン
タル・ポップスなのも妙にこの店にはぴったりで、世界が今日も朗らかな
一日でありますように、と念じる。マスターの静かな強い想いと優しさが
程好く融合したこの珈琲専門店、私は好きです。ちっちゃなお店なので
秘密にしたけど、自慢したい、大切な私的活力補給所:楓は九段下と三崎
町のビルの合間に今日もすっくと立っています。さあ、大都会の小鳥たちよ、
早く森へ帰ろう、その乾いた嘴を潤しに。


  • あ!人影!
  • OPENでありCLOSEであり。
  • すっきり清美な店内です。

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4位

酔の助 神保町本店 (神保町、新御茶ノ水、九段下 / 居酒屋、日本酒バー、ジェラート・アイスクリーム)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: -

    • [ 料理・味 -
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2013/03訪問 2013/03/25

こういう店の側で歳をとってゆきたい。

だからどうしたいのよ?と喉まで出かかった台詞をアサヒのエキストラゴールドと
ともに飲み込む。男たちの仕事の愚痴は、新入社員のあの頃から変わらない。
3時間しゃべりっぱなしの仕事を終えて、かけつけたこちらは16時オープンが
ありがたい。同行の仕事仲間は、不思議と美味な岩塩のガンダーラピザ、
アイデアが楽しい!鶏唐の北京ダック風巻き、こじゃれたツブ貝のエスカルゴ風、
季節のお薦めさよりの天ぷら等をオーダーだ。だが、私は何はともあれ、エクストラ
ゴールド!先客は若い男性6名の集団で早くも気炎があがっている。後から後から
おじさまたちのグループが駆けつけて来られ、嬉し楽しの風情で始まるちと肌寒い
花冷えの日曜日の神保町の夜だ。次に来店されたおじいさまは、「7名ね〜、座敷
使わせて〜」、と言いながら店の奥に突進、その後ろにタッタと続く、おじいさま、
おじさま、おばさま、おばあさま、方々の多彩なメンバーの健脚に驚く。
お通しのナムルごぼうと人参と蒟蒻の煮物が美味しくて、わたしなんぞはアテとして
これでじゅうぶんイケてしまう。アイデア料理的な唐揚げの巻物は甜麺醤が
花粉症の味覚麻痺気味の舌に味わいをはっきり感じさせてくれるらしく、
花粉症のメンバーは甚くお気に入りのご様子。ここのアイデア料理はホントに楽しい。
ビールを空けた後をどうしようか、と早くも日本酒リストをみて考え込んでいると、
「まだ仕事が残ってますよ!」と岩塩ガンダーラピザをハムスターのように頬張った
仕事仲間に注意された。なにーーっ!?まだ!?急速に不機嫌になる私を見て、
メンバーたちは慌てて飲み干し、堕ちる前の私の財布を開かせたのでした。
ん〜、愛しの割り勘。また今度は独りでゆっくりこよう、と思いながらレジへと
続いた私たちに、強面なんだけど、笑顔の愛らしい兄貴スタッフが大真面目な顔で
昔懐かしのお会計ギャグを発する。堪えられず大笑いしてしまい、近代の人って
冗談効かないからマジメに受け取られちゃったりするのかしら、とはしゃぎながら
桜舞う街に舞い戻った。世の中のお助け処、今夜もありがとう!と囁きながら。

(2013.3)
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気が荒れる心理的なトラブルの渦の中に立ち尽くす友人を連れ、
宵闇の神保町を彷徨い,灯が入っているこちらに飛び込んだ。
おお!友よ!これは年末ジャンボに当たったと同じくらい幸せ
だぞ!素敵なお店に当たった!店内に満ちる空気感がまず良い。
人生の兄いたちの深く低い声,節度あるお店のスタッフの距離感、
確かなお酒の選定、多種に渡る心弾むメニュー、うううん,灯台
元暗し,最高だ!引退した晴耕雨読の人生を噛み締めているおじい
樣方,低い声で唸るサラリーマン諸氏が主席を閉め、カウンター
ではボトルキープの雲海を嬉しそうに啜る背広(スーツ、じゃな
くて背広ね)の後ろ姿からも低周波を放っている。甲高い声で
はしゃぐオンナたちは皆無!ビヴァ、おじさま!男たちの低音は、
男性の皆さんが思っているよりも安心感をそそるもの。独りでよし,
二人でよし,大人数で良し。かつてない寛ぎを得た私は、よし,
聞こうじゃないか,君の話を!と真摯な眼差しを友人に向ける。
乾燥で鼻が乾く東京では、まずはエキストラコールドを。最近
私は日本のビールの美味しさに開眼したがこれは歳のせいか。
加えて、貼紙に島根の貫禄「王録」、我が郷里の誇り「本州一」
と、銘酒をみつけ目が釘付けに!うっへえ、この誘惑にはさから
えそうにない。まずはお通し、まぐろの頬肉、ブリさしみ、つぶ
貝のさしみ、岩塩のガンダーラピザ、ドミノステーキ、まぐろの
竜田揚げ,豚トロ、と、進むうち、思わず,王録、続けて本州一
をオーダーだ。とにかくまぐろの頬肉ステーキは、エクストラ
ゴールドにぴたりとはまるタレの焦げ味がたまらない。悩んでいる
割にはバクバク食べる友人をみつめ、これは大丈夫だなあ、と心
の中でつぶやく。ふと心澄ますとこの店のBGMはラヂオだ。ラヂオ。
いいなあ、これもいい。一昔前はこうだった。みためはなんとも
ない岩塩のピザ、これっておつまみA級のおいしさじゃなかろうか。
ん〜、マンダム!おやぢギャグを連発したくなる程,心地よい。
昼間に寄席もあるらしい。楽しそうなお向かいの三人連れをみて
いると、こういう店の側で生活し、生き抜いてなんとか齢を重ね、
友人達とじいさんになって、繰り返し同じ話をしながら燗酒を
とっくりでくみかわすってのが本当は人生の醍醐味じゃなかろうか、
と思えてくる。シャネルバッグをぶらさげるよりも、軽井沢に別荘を
もつよりも、ブリオーニでスーツを作るよりも、こういう店のそば
で齢を重ね、友人達とせめて50までは生きながらえて酒杯を交わ
せるぐらいでいたい。300期満期をなしとげて社会保険をおさめよう
とも、70歳でも年金が出ないであろう世代の私には高望みなのだろうか。
16日の選挙は大切だよ、と思ふ。ただ私は人類学上、分類女子部なので
おじさんに成れないのだけが,誠に無念だ。おばはんになるのと
おじさまになるのとでは良心がちがってくると思ふ。おじさま、
になることができる男性が本当に羨ましい。諸兄は男であること
の幸運を噛み締めて欲しい、と、宵に良い酔い酔の助〜と口ずさみながら
身を揉む冬の夜なのであった。
(2012、12)

  • 2013.3の花冷えの日のエクストラコールド
  • お通しよ!
  • さよりが好きだなあ。

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5位

KLIMT (九段下、神保町、竹橋 / イタリアン、ワインバー、ハンバーグ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 ~¥999

2013/02訪問 2013/03/17

「人生は戦いなり」人は皆、<黄金の騎士>となり己が道を切り開くべし。

寒い寒い寒い夜、ちょっと気分転換にスパークリングワイン。オーナーお気に入り
のパンたちで端正に味わいます。もちろん、その後は赤ワインで冷えた血を温めな
くては。寒いなあ、東京の春はいつくるのかしら。つぶやいていると、来る2013年
4月5日金曜日の19時半からあの大口純一郎さんのJAZZ NIGHTがIDRINK付き2,500円
で開催されるそうです。ああ、その頃はもう桜の季節かしら、と心弾む。千鳥ヶ淵、靖国
の夜桜を眺めて、そのままここのデヴォートで血を沸かす、ってのも素敵だよね、
と春の妄想に心ときめかせ、北風の戸を打つ音を聞かなかったことにした。

(2013.2)
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新メニューが「焼きナポリタン」と聞いて、実はナポリタン味・ラヴァーな私は
かけつけましたよ〜!イタリアの夕食の残りのパスタを次の日、焼きパスタにす
るような感じかしら?と夢想していたのですが、あら、これは、とおっても野菜
たっぷりでほどよい酸味がアクセントなカポナータ的ナポリタンソースが層を成
す、焼きドリアという感じです。皆さんの舌にまといつこうと、中ではとろおり
と◯が潜んでおりますよ、お楽しみに!トップには私の大好きなこちらのお店特
製のお漬け物がのっかり、てんないのあちこちからシャクシャクシャクという小
気味好い咀嚼音が鳴り響きます。うん、美味しい!ソースのコクとライスのバラ
ンスも絶妙ですし、私的にはとてもとてもお腹いっぱいになったのでした。ここ
みたいに一人で楽しめる素敵なランチ場所をみつけると、会社生活を楽しくでき
るよね。お近くの際は、ぜひ。
(2013.1)
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低音の声が腹に沁み渡るブラジリアンジャズの上田裕香さんと大口純一郎さん
のライブがお店で開催され,お窺いしてきました。オードブルがでて美味しい
ワイン、大好きな低音の声の人のドスの利いた覚悟のある歌声に浸り、冬の夜
の底に沈殿し、安寧なひとときを舐めるように慈しんだ私です。

(2012.12)
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人騒ぐボージョレー・ヌボーはなにかされるのかしらん?とお尋ねしてみれば、
こっそりこじんまりと15日の夜、お店で出すとのこと。ひっそりボージョレー
を楽しみたい方によいかも。私もこっぱずかしいので、こっそりいってみよう。
(2012.11)
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お野菜の匂いに誘われて、アッポローニアワインを味わい行って参りましたよ〜!
なんでも、10月27日にシャンソンの夕べがあるそうです。秋のシャンソン、
素敵かも〜。さて、ここのランチには「熟成ソースのハンバーグステーキ」ってのが
時々あるんですが、人気なのでこれから毎日作るそうです。ランチでも、ワインを
頼めばだしてくれるそうで、なあんだ、昼から飲めるお店ここにあり、だったんだ〜、
と灯台元暗し。ビジネスランチにもランチデートにもランチ合コンにも使える、よなあ、
なんて思っちゃいました〜。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
新しくなったアッポローニアのワインのテイストにやっとこさおうかがいできました!
グラスで2種類、新しくなっていたので早速お願い!肴はオムレッツ、カポナータ、今、
長野から届いたばかりのにんにくのパスタ、です。うーーーん、美味!ワインもお料理も
美味ですう。いらしているお客様もアッポローニアの魔術の虜になった方ばかりのご様子。
ボトルで開ける方も多うござんす。この豊潤さはただごとにあらず。お料理の正統で実直、
偽りのない味わいがさらにワインの馥郁な魔力を押し広げるのでした。ああ、ビヴァ、ワ
イン!ビヴァ、おつまみ的フード!お盆休みはなし、とほかのお客様に聞かれて答えておら
れるのを耳にしましたよ。大東京でお盆期間をすごされるあなた、ワイン好きの方にも、
これからこっそりワインを,という方にも、クリムトの金色の世界、お勧めでっす!
ワタクシも浸りたい!

(2012.8)
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真昼の熱砂のような風がおさまった夕闇、唐突にこちらのワインのテイストが
脳裏に蘇り、駆け込みました。
今夜はオーナーの愛するアスカリョウさんの艶伸な歌声がお出迎えです。
まずは白ワイン レ・メルレシタイエ2010 イタリー(500円)で体内に籠った
真昼の熱を宵闇に放出します。艶やかな花の香りが喉を通して廻りに香るよう。
これを煽る女子に香水はいらないな。ふふ。そして赤ワイン テラニョーロ・プリミ
ティーヴォ 2006(700円)!衝撃的なアロマに葡萄の皮の厚さを想像させる執拗な
までの渋み、甘みのない甘露のキャンディの様な口に含む量のすべてが隅々まで好み
の旨味の厚みがあり、この強さ、とてつもなく女性的。次のディヴォート2001(800円)
こちらは上記の赤に比べてセンシティブで優しい甘やかさに満ちていて少年の丸いほっぺ
をママにくっつけているような、男性的な味わいです。どれもお値段以上のパフォーマン
スが口中で展開され、この夜はカウンターに釘付け、ワタクシ、足が久々にむくんでしま
いますわ。マスターがおつまみに出してくれるパンやピッツアも非常に相性がよく、人様
からは一人静かにカウンターで飲んでいるように見えたでしょうが、<心内おおはしゃぎ>
をしており、疲れてしまうほど、エンジョイしてしまいましたわ。
なんでも、今のオーナーになって1周年を2012年7月27日に迎えられるとのこと、1周年
記念にこのアッポローニオのワインの取り扱いを増やすそうでそのお披露目を1周年Wine
Nightとして開催されるそうです。ん〜、行きたいなあ、でも仕事がどうなるかなあ、など、
と悶々しながら脳内スケジュール表を繰っていると、ひょんなことからカウンター席の
みなさんとしみじみと語り合うこととなり、なんとも有意義な夜となったのでございました。
カウンターの止まり木はいくつになっても人生勉強、終わりはない、と語られた人生の先輩
方の言葉を胸に家路についたワタクシを九段下の月が嗤って見下ろしていたのでした。
(2012.7)
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休日の神保町はお休みが多うございます。土日の夜も開いているこちらに
打ち上げでおうかがいしました〜!絵も増え、ワインも増え、料理も増え
ている〜!女を美女に変える暗闇、煌めくグラスの反射光、丹田を刺激す
る低音のクラシック、お店を満たす朗らかな笑いとゆるやかな微笑み。オ
ーナーが食べたいから作るという工夫を凝らしたお料理、これ以上ない、と
いう選出されたワインたち。いやはや、素敵な夜でした。あの夜の皆さん、
ありがとう〜!Arrivederci!

(2012.4)
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エゴン・シーレを溺愛するワタクシはもちろんクリムトを偏愛しています。
こちらのお店の看板:「クリムトの接吻」の前を通るたびに、気になる、
気になる、気になるう〜。で、ついにおうかがいいたしましたよ〜、
満を持して夜の帳が降りた頃、突入です!
Sentimental Journeyが囁く中、見るからに人柄のよさそうなオーナーが
お出迎えして下さいました。あらあ、これは、、、、店内の壁にかかる絵画、
Jazzyな音楽、選定されたワイン、ライブがありそうなピアノ、厨房にまで
かかる絵画(!)、西洋骨董、、、、まるでオーナーの書斎のような個人的
嗜好全開のお店、まさにワタクシ好みでございすよーーーーっ!お店の
スタッフの骨格正しい芸術家でもある美女までワタクシ好みでございます〜。
メニューを見ればこちらはエノテカ、イタリア料理がメインかな、しかし
かなり冒険心を刺激するトライ メニューがございます!わくわくしながら、
まずは、落ち着け、ムール貝とあさりをつまみながらカバ ブリュット
(500円也)でスタートです。ゆらゆらとたゆとう灯りは退廃のウィーンを
翳ろうのようにシャンパングラスの泡の中に映し出します。聞けば、オーナー
は画家でもある、とのこと、胸打つ作品を仕上げています。
しかし、どれもすんごい量です、ここのお料理は!お酒が間に合いませぬ!
次を頼まなきゃね。むふふ。赤のコベルティーノ2004に切り替えて(600円也)、
揚物好きなワタクシはたまらず謎メニューのひとつ、ナポリ名物という海藻
風味の揚げ団子ゼッポレに挑戦です。この夜の連れは、下戸の肉食者でしたので
イベリコ豚のトリュフ風味のポテト添えをオーダー。同行者は、舌触りまで
産毛の生えた桃を感じるアイスピーチティーが大変お気に召したご様子。
これはかなぁり、女子受けするドリンクだと思いまする!おすすめよ、ドンナたち!
ランチの「デミ黒焼きハヤシ」にこのピーチティーがセットになって680円!って
書いたメニュー板を発見、お昼に来てみようっと、心に秘めましたよ〜。
土・日・祝も営業されるとのことで、このあたりでは貴重なお店ですわ!
営業時間はランチは太陽が真上に来たら、ディナーはルールブルー、暗くなったら、
とのことなので、人間も自然の一部だってことよね、うんうん。
そうそう、特筆は、こちらのコーヒー!神保町の倉木珈琲さんのCoffeeで、豆自体が持つ
華やかな甘さがこのお店によく似合います〜。
オーナーのお姉様が作られる、素敵なコンフォートやジャムを使ったお料理や、
ブレッドも美味し楽しですし、作り手側の楽しもうという心弾みが感じられます。
うううん、芸術に関わる者が一番神に近いと信じているワタクシは、羨ましくて
なりませぬ〜、飲食という芸術にさらなる芸術である絵画や音楽、建築等が
加わると心躍るあまり通常イルカ級に低い心拍数が人類レベルに急上昇してしまいす。
ああ、楽しい〜。いかなる大人の事情があるやもしれぬ「オーナーの隠し部屋」に
招かれたようなインティメイトなこのお店、見つけた今夜とクリムトに Zum Wohl !

Die Nacht、Wie schön bist du,freundliche Stille himmlische Ruh'! Gute Nacht

(2012.3)

  • お昼に行った時、いただきましたよ〜。
  • たゆとう泡は春の夢。でっかいプレッツェル型パンが可愛い!
  • ぼぉーの!イタリアのマロンパン!

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6位

草枕 (内幸町、虎ノ門、虎ノ門ヒルズ / 喫茶店、カフェ)

1回

  • 夜の点数: -

    • [ 料理・味 -
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 -
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/07訪問 2012/07/15

錬金術師は草庵にて、辿り着く旅人に金色の一杯を振舞う。

大人になってもすぐにはなかなか一人でカウンターに座れるようにはなれなかった。
たまたま通りかかったビルの谷間の流麗な「珈琲」の文字が私の足を止めさせ、草色
の暖簾を潜らせた。入口には、だいじなお金の話に夢中な男たち。奥の暗がりに
抑制された雰囲気の細面の庵主の様な男性が手招きして、カウンターに誘ってくれた。
テーブル席より、カウンター席の一番端に素直に向かったのは、長いカウンター前に
ずらりと並んだ文庫本のせいだ。一番端はエアコンが直接あたって寒いから、ひとつ
ずれてもよろしいよ、と庵主殿の優しい言葉が身に沁みる。ありがとう。席に滑り込み、
じっと背表紙のタイトルを眺める。今までの人生を通してほとんど読みつないできた
文言たちをこの庵主殿も見つめて来たのか、と思うと、ふいに愛しい思いがこみ上げ
てくる。あ、オーダー。端的に「濃い珈琲」と書いてある、それをお願い。
恐るべき子供達と呼ばれ、フランダースの犬に涙し、星の王子さまを疑った時から
赤と黒につまづき、人間について生意気になった。緋文字に憤り、空海の思想について
拠り所を探し、日本人の美意識について見直し、人間とはなにか、という課題を定期的
に歯牙んでいる。そんなことを脳裏に浮かべながら店内を見回せば、お櫃の横にパンダが
マイカップを前に沈思している。ラフロイグやマッカランが遥か彼方の島のピートの香り
と北海の波を映写する。汗をかいた金色のやかんが煌めく。コンロにかかった手回しの
ロースター。私の脈より遥かに早く時を打つ掛け時計。ずらーりと並んだ知の世界である
本たちを照らす金色の灯り。流れる音楽はレコード針が魔法のようにひっかくバッハは
グールドだ。この庵主殿ときたら、微笑とともに顔を上げると、美しい細長い指で
握りしめたポットからネルの珈琲粉に向けて一滴一滴湯を落としている。その指と
同じようなナロウなネクタイに絶妙な白髪まじりの頭髪と顎髭が真っ白なシャツと
調和する。美しい、胸郭に響く声の持主だ。入口すぐの数卓のテーブル席では、
携帯で大切なお金の話をする現実的な日に焼けた男達がいれかわりたちかわり。
庵主殿が佇むカウンター前のスペースは酩酊感で別世界の結界がはりめぐらされて
いるよう。彼だけが巧みに二つの世界を行き来する。高野聖はこんな気持ちだった
のかしら。彼の血管が透けてみえる白い手が伸びてきて、目に痛い程白い磁器に
金色のラインが焼き付いたカップがそおっと置かれる。ポーの黒猫のように黒い液体が
たゆとう。立ちのぼる香りは衝撃的に典雅で脳天が痺れた。舌触りはレコード針がひく
かすかなざらつきの如く、分子レベルで微かな微かなざら味が味蕾を揺さぶり起こす。
典雅にして野性的。そしてこちらもぬるくなってからが真骨頂、磁器に目に見えぬ
ざらつきがあるように自分の口中に皮膚が張り巡らされている事を意識させる程の
微細な刺激物となって味わいを華麗に変化させる。およそ、この手の珈琲は熱いうちに、と
急いで飲む必要がない。ワインが空気に触れて顔を変えていくようにこの珈琲は
変化する。一滴一滴を黄金を飲み下すがごとく時間という妙薬を加えて飲み干す。
ようやくカップを空にすると、汗をかいたやかんは金色ではなくなっていた。
ただのアルミが私には金色にみえていた。庵主殿の魔法にかかっていたのか。
私を外の世界に連れもどそうと激しい風が入口の緑のもみじを揺らして促す。
わかりました、参ります。でも、またこちらに戻って来て良いかしら、、、、。
ここで出会う「男」たちにはたくさんたくさん本を読んでいて欲しい。この居並ぶ本たちを
かたっぱしから読んだことがあるかどうか、聞いて遊ぶだけで彼らの人生を覗き見た様な
楽しみがあるから。そんな男たちがたくさんそばにいてくれたら、長いお別れも怖くない、
そんな気がするから。

  • あっ!珈琲ですって!
  • 草枕!ですって!
  • 寄道あっての人生です。

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7位

立飲み たきおか (京成上野、上野御徒町、御徒町 / 立ち飲み、もつ焼き)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/12訪問 2012/12/16

きりっと楽しい立ち飲み正当派、たきおかに乾杯!

立ち飲み初体験希望の二人を連れて、カドクラさんを出たその足でたきおか
さんの暖簾をくぐります。こちらはお姐さんがすぐ奥の奥に案内してくれて
あったかい!うれしー!皆さんに混じって樽テーブルにすがりつきます。
寒いから,熱燗350円、お湯割350円〜。肉系に強いカドクラさんに対して
こちらは菜系が多くて私は助かりますの。野菜天ぷら、かぼちゃの煮物、
厚揚げ豆腐(牡蠣付き!)、あおやぎ、などなどをオーダーです。150円
メニューを嬉しげにみつめるおやぢさんたちに完全に同化する我々。
煮物がおいしくて「里芋」を追加発注。身体が温まって来たので「生グレープ
サワー」などをば。ぷはあ〜。一番若い者が腰痛で腰が痛い、とのたまうので、
もう一軒、浜ちゃんに行って座る計画だったのですが居心地良くて河岸を
変えるのが面倒になり、そのまんまになっちゃいました。
師走の上野はもう熱気ムンムン、通常店が開く5時前くらいはとくに、
常に満員な雰囲気でしたねえ。早飲みして早くお家に帰る、健康的な飲み会(?)
に乾杯〜!なんていいながら男二人を魅惑の上野に放り投げてさっさと電車に
飛び乗った私。ですので、彼らがその後、健康的に帰宅したかどうか、は、
知りませぬ〜。

(2012.12)
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わたくしはつかれていたのでございます。カドクラさんをでたその足で
たきおかさんのドアをみつめ、そのまま何を思ったか突入してしまった
ではありませんか!強面のおじさまがたの突然変わる優しい笑顔に
ほっとしながら奥へとすすみますと整然としたきれいな店内、嬉しい
鞄置きがある立ち飲みテーブル、驚きの150円メニューの並ぶ張り紙、
きちんと直立して飲むお客さんたち、となにかとワタクシ好み!そして
ハイボール、ハムカツ、うなぎのきも、愛するカキフライ、野菜天ぷらを
オーダー!ん〜、ハイボールはこちらが好みです!すきっと辛口!
野菜天ぷらも激美味150円也!さすがにこのあと調子にのって頼んだ
玉露ハイボールはビミョウでしたが、カキフライといい、野菜天ぷらといい
こころおどるお酒のおともが目白押し!通い詰めたし!春によし夏によし
秋によし冬によし、立ち飲みってどうしてこんなに楽しいのかしらん、たきおか
万歳!立ち飲みをはしごする、こんな人生の楽しみに乾杯!賛成していただ
けますか、みなさん!
(2011.10)

  • 2012.12 師走 「待ってる。」
  • かぼちゃ♡
  • 湯豆腐。牡蠣付き♡

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8位

ザ バー (西梅田、北新地、福島 / バー)

1回

  • 夜の点数: 3.5

    • [ 料理・味 3.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2012/08訪問 2012/09/02

ヴェルベットの手触り。

上10下10かな?上20下10じゃない?、、、いいえ、血圧の話ではない。
今夜は久々に女たちと低い声でウィメンズトークの夜だ。サービススタッフの
複雑な微笑が我々のお馬鹿加減を物語っている。久々の第二の故郷、大阪は
梅田、密かにお気に入りのリッツ・カールトン大阪、ザ・バー。
大人になって良かった,と思わせる長くて美しいカウンターを横目に
今日はピアノのそばの壁際のテーブルを囲む。こんな美しいバーは女たちと
来るに限る。男と来ると間違いを犯しやすいもの。彼女たちは今、介護中で
あったり、離婚調停中であったり、難しい状況に身を晒し、万全のお楽しみ
状態ではないけれど、この美麗な空間は彼女たちの肌を煌めかせる。
下は10歳まで。でないとなんだか犯罪めいてるもの。上は、、、、上?
全員が己の過去を脳内で振り返っている時間だとわかる。
マティーニが来た。私の一番愛するカクテル。そうだ、これを一番最後に
ごちそうしてくれたのは敬愛する78歳で逝った方だった。もう何年も前に
なる話で、それ以来、私のマティーニは自腹だわ。私のマティーニは立錐の
グラスにピメンタ入りのオリーブを2個沈ませ、レモンピールの油膜を潮の
流れのように移ろわせながら、お任せしたジンはビーフィーター、舌を痺れ
させるファーストノックのあと、舌の脇を絹の様ななめらかさで撫でてゆく。
その舌触りは液体なのに上質なヴェルベットの手触りのよう。と、グラスに
氷河を貼付けたような涼麗なモヒートを手にした女がぽつんと、20はいける
かも、とつぶやいた。
控えめな照明の下、揺らぐ蝋燭の灯りの元で、大切そうに愛おしげにカクテル
を口に運ぶ、俗にいう「若くない女たち」は若い頃より子供めいて笑う。私は
知っている。温泉や女湯で眺めていると、弾力のあるベロアのような肌の生物学
的に若い女性たちよりも、はるかに美しい絖光るヴェルヴェットのような肌の
官能的な若くない女が多い事を。知らないでしょ、諸兄は。隣で若い女性に悪
戦苦闘している同い年くらいの男性をながめながら突然、喉をあげて笑い出し
そうになった私はマティーニの魔力にやられたのかしら。もちろん、そんな失
礼な事はしない、充分大人の私です。
照明の耀きを跳ね返す美しい褐色の肌のスティーブンが歌うHappy Birthday が
聞こえてきた。お誕生日の方がいらっしゃるようで皆で見知らぬ私たちも心より祝福。
もはや誕生日が巡ってくる事を忘れているという友人達に、今度のあなたのお
誕生日には嫌でも私が歌ってあげる,マリリンのようにね。と無理矢理約束。
マリリンのHappy Birthday to you〜♪がわかる方は一歩前へ!
さて、私がいくつ上までいけるかは、伏せておこう。秘密のない女は無味無臭
だから。リッツカールトン大阪、The Bar にはヴェルベットのような舌触りの
マティーニとヴェルベットの様な肌の女がよく似合う。誠意と勇気と好奇心で、
臨んでみる?  

  • 夏も終わり。
  • 花柄がとっても英国風。
  • 英国調海岸沿いの別荘的設え。

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9位

ARGUTHA (乃木坂、六本木、外苑前 / カフェ、オーガニック、洋菓子)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2012/12訪問 2012/12/11

鼻孔から前頭葉へと突き抜けるアロマの軌跡は地球に奇跡を呼び起こそうと誘う。

しもやけ、などコドモの専売特許だと思っていたら、突然ワタクシの美しい(!?)指
がみるみるうちに5本の明太たらこのようになってきたこの冬。。。。なにーー、
これーーーー!?ビタミンEを摂取せねば!と焦る。そう、こちらにはある。アーユ
ルヴェーダ食でヴィタミンE含有食が。大きなお葬式があったようで、街中に静謐な
お線香の匂ひ漂う中、こちらは変わらず静かに静かに冬の乃木坂に佇んでいました。
ポインセチアの赤がクリスマスの近いことを暗示しています。アユールヴェーダパイの
カレー味VATAをチョイス。ここのはボリューミーなので、セットにしたら食べきれ
ない私は単品で。加えてオーガニックコーヒーをお願いしました。案の定、でてきた
パイはとっても大きくて,幸せ感満載です。大きい円形、ってなにか安心感と満足感
を携えてますよね。ナイフをいれると安全食品だから、さっくりさっくり。中のお野菜も
かっしりしっかり。温め加熱が足りなくて真ん中が少し冷たいのはご愛嬌。充分,美味に
味わえました。お水はアロマ水、アロマ空間の店内では、相変わらず鼻が休まります。
思わずゆっくり年末スケジュールなどを確認、寒さ痒さを忘れて、伸びやかな時間が
とれました。駆け抜ける様な日々の年末。丁寧に過ごす時間が取れない時は、深呼吸が
いいよね。乃木坂を駈け下る街の冬風がこの店は遠目で見ながら去って行ったのが見えた。

(2012.12)
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ワタクシは鼻が良い。。。肅欄たる美の展示を見に行けば、そこは恐ろしい程の人の
坩堝でワタクシの嗅覚は疲労困憊。ふと、乃木坂に確かアロマスクールがやっている
ヴィーガンなカフェができたと聞いたことを思い出しあやふやな記憶の地図を辿ります。
ん、墓地の前の角を曲がって、、、ああ、ここです、ここです、早くもワタクシの鼻が
GOサインを発しております!春雨の気配に湿ったテラスデッキ、その向こうに異国の山河
に佇むトライバル風の洞穴を活用したような棲家的カフェが現れましたの。ごめん下さい〜、
の台詞が似合う、人が棲む気配のあるこちら、澄んだ湖水のような美女が湖面をすべるよう
に静謐にしっとりとお出迎えしてくださいましたよ。
一番奥の壁際の大好きな隅っこの席に滑り込めば、すでに香しい芳香があたりを満たして
いるのですが、その上に湖水美女がアロマデフューザーのスイッチをオン!あたりに蒸気と
鼻孔を緑陽に染めるような芳香が満ち満ちて参ります。ああ〜、嗅覚が安らぐ〜。自衛的
鼻ブロックをほどいて腹の底までブリーズィングです〜。と、この日の同行者は激しい
花粉症を持病とし、自他ともに認める鼻オンチ。それどころか鼻が効かないため、一年で
3回も高速道路で神奈川県警にお世話になる者ですからワタクシの有様を冷めた目でみて
おります。ふん、加齢臭になっても教えて上げないわよ〜、と心の中でおらぶワタクシ。
メニューをみれば、おお!ベジを超え、マクロビを超え、ヴィーガン!ありがたや、あり
がたや!久々、安心して食せます〜。普通食のドリア系はチーズ乳がたっぷりはいっていて
お腹を壊すワタクシは「豆腐チーズのリコッタドリア」に即決決定!マクロビ形式のスープ付きが
苦手なので単品840円です。同行者は思案を重ねたあげく、キッシュ好きなので玄米クラフト
のキッシュをオーダーです。湖水美女がお水を持って来てくださいました。わあ、嬉しい!
レモン水です。鼻孔から喉にかけて、修復をはかります。頑張れ、オレの嗅覚ぅ〜!
お店の奥にはオーガニックマクロビ食品、ヨガウェア、アロマエッセンシャルオイル、
真ん中には素敵なお守りアクセサリーが販売中。聞けば、上はラウンジサロンで貸し出し可能、
アロマエステ、アロマ教室、ヨガ教室、と多彩な活動運営をされているご様子です。
さあ、お料理がやってまいりました!白いお皿に白い豆腐チーズが映えています。う!大きい!
大容量です。これはマクロビやヴィーガンでは珍しい事、、、、。ん〜!これは美味しい!
失礼ながら数少ないマクロビ系店では豆腐臭さが激しく残るか、逆にそれを打ち消すため
レモンを使いすぎて<酸っぱレモン>になってしまっているところが多いのですがこちらは
それはなし!恐れながら、ワタクシめが忘れかけた本物のチーズのよう、、、玄米に多種の
ハーブと野菜がはいり、歯ごたえが堅めなのもワタクシ好みです。それにしてもこの香りの
上立つ香りの芯の強さは一体どうやって、、、とお尋ねしてみれば、こちらのエッセンシャル
オイルは全く安全なモノを使っているのでそれを食用に使用できるとのこと、香りやエキスを
濃縮したエッセンスを使う事によって、現物の香辛料を大量に使用する必要がないので、
味わいを激変させることなく香り立たせれるわけです。ほおお、これは初めてお聞きしました。
ワタクシの鼻孔が稼働しっぱなしなのはそのせいだったのですね!
友人のキッシュも玄米でパイ生地部分までがっしりつくられ、カボチャの甘さフルスロットル、
香りが脳を操って、甘みを強く感じていることでしょう。こちらも石州瓦のようにふち、跳ね
上がり、力強くでっかくて質実剛健、久々、男性らしさを感じましたわ。
程よい音量で店内にたゆとうレゲエ風のボサノヴァが、迫り来る爽やかな初夏の香りの記憶を
脳内に呼び起こします。ワタクシは夏が好き。脳の不思議、6感覚の魔法、夏の香りが現実に
香ったような気がします。嗅覚を筆頭に他の五感も覚醒していくようです。
レジでお支払いをするとき、目にとまったグルテンフリーのチョコブラウニー480円、蝶型の
もの凄い緑色のクッキーケーキ300円は大好きなスピルリナだ!と興奮して思わずお買い上げ
です。いやあ、素敵なお店を見いだしました。取り組んでおられる世界はどれも奥深く追求
しがいがあるカテゴリーばかりですし、ワタクシの六感すべてに安寧を与えてくれます〜。
都会生活は鼻が疲れます。鼻孔を思いっきり開いて深呼すると「野生の感」が取り戻せる
かも。息を詰めて生活しているあなた!ぜひ!
(2012.5)

  • あ。ポインセチア。
  • ジンジャー、、、、しもやけにいいかな、、、
  • アーユルベーダ、効きそう。

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