『サントリーのメッセージ広告』rikueriさんの日記

昭和好き50男の呑み歩き食べ歩き

メッセージを送る

日記詳細

毎年、成人の日に新聞に掲載されるサントリーの広告を愉しみにしています。
それは作家、伊集院静氏の新成人へのメッセージ広告。

決心しよう。

成人おめでとう。
今日から大人と言われても実感はないだろう。
カレンダーの日付けがかわるように人はかわらない。
それでも雪の下のフキノトウのように、オタマジャクシ
がカエルになるように、生きるということは、或る日、
雲が切れて陽光が微笑むようにかわる。だがそんな
まぶしい時は待っていてもやってこない。
雪がとけたら葉を伸ばすぞ、いつか水から飛んでみせ
るぞ、というこころの持ちようが変えてくれる。
こころの持ちようとは、覚悟だ。決心だ。
そこで提案だ。今日を境に何かひとつ決心し、それを
胸の中に刻んで歩きはじめてみないか。何だっていい。
やると決めるんだ。
君には夢があるだろう。それにむかって進むのもいい。
まだなければ夢を探す機会にすればいい。その決心に
言っておきたいことがある。その夢は自分だけがしあ
わせになろうとしていないか。お金を得ることにこだ
わってないか。そういうものは卑しいんだ。覚悟とは、
品性の上にあるんだ。苦しい時、辛い時に、その覚悟と、
誰かのために生きようとしたことが救ってくれる。
生きるということは必ず、苦いものと悲しいものをと
もなう。それが人生だ。
一日苦しかったな、と思ったら夕暮、一杯のやさしい
酒を飲むのもいい。

君の春に乾杯。

伊集院静

ページの先頭へ