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本日の前菜
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トリュフと卵のオーブン焼き
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トリュフと卵のオーブン焼き アップ
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目の前で黒トリュフを削り入れてくれます。
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ひよこ豆、ヒイカ、自家製カラスミのスパゲッティ
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和牛のラグーソース
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お口直しは、レモンとセージのソルベ
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和牛の炭火焼き
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和牛の炭火焼き アップ
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岩中ポークのグリル
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フォカッチャ
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ゼッポリーニ
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デザートのティラミス
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エスプレッソ
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4,000円コースのメニュー
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店内
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外観
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春のお彼岸を迎えました。
恥ずかしながら、この年になるまでお彼岸だからと言って特に行事を主宰するわけでもなく、ときたまおはぎを食べるくらいで本来のお彼岸らしきことは何一つやってきませんでした。
と言うのも、我が家では私の母が全てその手の行事は取り仕切っていたんですね。
ところが、一昨年にその母が他界すると、菩提寺との付き合いを始め、諸々の行事を自分自身で担当する立場になり、この件については母からほとんど引き継ぎを受けていなかったこともあって結構苦労したものの、その苦労の甲斐あってか、今では何とかキャッチアップ出来て、菩提寺の住職さんなどとも必要最小限の意思疎通は出来るようになりました。
言ってみれば、法事については還暦を過ぎてようやく世代交代ということになりますので、あまり誉められたことではないのですが、まあなるようになるものなんだなと、多少は気持ちが楽になったのも事実です。
今年のお彼岸は、父親の七七日忌(納骨)が未了のため、母親のお墓参りということになったわけですが、母親には、間も無く父親がそっちに行くからということはしっかりと伝えておきました。
午後から天気は下り坂とも言われていたので、お墓参りは午前中に済ませ、ランチは家内と菩提寺からほど近い六本木ヒルズにあるこちらのイタリアンレストランを利用することにしました。
当店は、食べログ評価は3.85点(レビュー数は何と641件!)で、食べログアワードや百名店にも選定されるなど食べログ的にはかなり輝かしい実績を持ったお店です。
いわゆるブリアンツァグループの総本山的店舗で、グループ総帥の奥野義幸氏は、1972年に和歌山県で料亭を営む家に生まれ育った方です。
となれば、奥野氏の人生として素直に考えられるのは料理人としてその料亭の後継者となる道ですが、結論から先に言うと、同じ料理人の道を歩むことにはなったものの、料亭の料理人とは全く違ったタイプの料理人というか経営者として認知されるようになったわけですので、人の人生は分からないものです。
学生時代から英語が得意だったという奥野氏は、高校卒業後、高校の恩師の勧めもあってアメリカの大学に入学するわけですが、何故か日本人のほとんど行っていないサウスダコタ州の大学を選ぶあたりが非凡です。
そこで経営学を学び、帰国後は普通に企業に就職してサラリーマンの道を歩み始めますが、2年ほど経った24歳のときに一念発起して料理の世界へ足を踏み入れることになります。
その動機を奥野氏は「単に格好いいから」と語っていますが、とにかくこの時は料理の世界に飛び込むのに前のめりだったようで、料理の雑誌を購入して良さそうなお店を見つけると片っ端から雇ってくださいと電話をかけまくったらしいです。
そして、日本橋の「ピノッキオ」というこじんまりした隠れ家イタリアンのお店(今も健在みたいですね。)と縁が出来て働き始めます。
ピノッキオの後は都内の数店で働きますが、その後にかねてから思い描いていたというイタリアへの修業の道に踏み出すことになります。
日伊の語学学校を経てイタリア北西部リグーリア州のレストランを皮切りに3年間で8店舗での修業を積み重ね、2003年に東京の知り合いから、「戻ってきてシェフにならないか」と声をかけられて帰国します。
そして、2000年から代官山の「リストランテ la Brianza」で雇われシェフとしてスタートを切り、その後、オーナーサイドの事情があって、2003年に奥野氏がそのお店を買い取る形で麻布十番に移転します(リストランテ ラ・ブリアンツァ)。
これが奥野氏の最初の独立店舗ということになるわけですね。
その後、この麻布十番の店は別の業態に転換し(VIA Brianza(ヴィア ブリアンツァ))、2016年5月に縁あって六本木ヒルズに本店としての当店をオープンすることになります。
この間、2014年1月に六本木一丁目に「Brianza 6.1(ブリアンツァ ロクイチ)」、2018年9月に日本橋髙島屋SCのレストラン街に「フォカッチェリア ラ ブリアンツァ(Focacceria la Brianza)」、2021年7月には大手町二丁目の常盤橋タワーに「BRIANZA TOKYO(ブリアンツァ トウキョウ)」をそれぞれオープンし、現在は5店舗体制(運営は法人化し株式会社Signal)となっています。
店舗の展開に当たっては、多角的な経営の導入や他経営とのコラボなどその経営方針に奥野流ともいうべき独特のものを採り入れており、経営者としてのセンスについても高い評価を得ている奥野氏ですが、2021年末には米国西海岸への進出する構想も打ち上げていたようです。
ただ、この件については、その後の情報がありませんので、先送りされている可能性もありそうです。
当店は六本木ヒルズのけやき坂エリア・レジデンスC棟の3階で営業しています。
事前に12時からの予約を入れており、墓参りを済ませた後に伺いました。
既に店内には先客が多数おり、繁盛している様子が伺えます。
料理は、予め”LUNCH PROVARE”という税込み4,000円のコース(料理5品)を予約していましたので、特にドリンク類は頼まずに料理の提供を待ちます。
入店して暫くして感じたのですが、当店、スタッフがとても良く鍛えられています。
これも奥野流の経営術なのだと思いますが、スタッフが積極的に話しかけてくれて客のニーズを汲み取ろうとしている姿勢が強く窺えます。
料理の一品目は本日の前菜。
メインの食材は新潟県産のブリで、これにざくろの実があしらわれ、赤茄子のバルサミコソース煮、うるい、おかひじきといった脇役陣が季節の彩りを添えています。
全体にバルサミコなどの酸味を主体にした調味料の風味が強く感じられますが、爽やかでとても美味しい前菜です。
素材にもかなりこだわりがありそうですね。
続く料理は、当店の看板料理の一つであるトリュフと卵のオーブン焼きです。
演出として、スタッフが目の前で黒トリュフを削ぎ入れてくれますが、とにかくトリュフの量が半端でなく、器全体が覆われるくらいに振りかけてくれます。
そのトリュフの香りがかなり芳醇に漂う料理ですが、卵をホワイトソースで包んでオーブン焼きしたグラタンと合わせて食べると、半熟の卵黄がトリュフと絡んでとても上品な味わいと旨味を感じます。
さすが看板料理というだけあって、個性豊かな素晴らしい一品だったと思います。
パスタは、2品からのチョイスでしたので、せっかくなので、別のものをチョイスしてシェアして食べることにしました。
私は、定番パスタのひよこ豆、ヒイカ、自家製カラスミのスパゲッティにしましたが、オイルタイプの生パスタでたっぷり入ったカラスミの旨味が前面に出ています。
それにひよこ豆とボイルしたヒイカがいい相性を奏でており、とても美味しかったです。
家内が頼んだのは本日のパスタで、この日は和牛のラグーソースでしたが、和牛肉とグリーンアスパラにイタリアンパセリとパルミジャーノレジャーノを振りかけたパスタ。
ほろ苦いラグーソースが素材の本来の味をよく引き出しています。
この後、お口直しにレモンとセージのソルベが出されました。
これはコースのメニューには書かれてなかったので、何となく得した気分です。
レモンとセージの爽やかな風味は、高原に行ったような気持ちにさせてくれますね。
メインは3種類からのチョイスで、家内が岩中豚のグリル、私が和牛炭火焼き(500円アップ)にしました。
和牛炭火焼きの鮮やかな赤色の和牛モモ肉は、まずはシンプルに岩塩だけでいただきます。
柔らかくて炭火焼きの香ばしさも手伝いとても美味しかったのですが、ソース(タスマニア産粒マスタード、赤パプリカとアーモンドのロメスコソース)で味に変化をつけても美味しくいただけました。
家内の岩中豚のグリルは、とにかく豚肉がデカいです。
家内がそのデカさに怯んで半分以上は私が面倒を見ることになりましたが、これ和牛以上に炭火焼きの旨さが生きてますね。
特に脂身と炭火焼きの風味のコラボは素晴らしく、思わず美味い!と唸ってしまうほどでした。
デザートはティラミスですが、まろやかながら濃厚さも兼ね備えており、これもとても美味しかったです。
これだけの料理が2人で8,500円ポッキリ。
サービス料も取られないのには驚きました。
何のサービスも無いのにサービス料だけはきちんと取るお店に見せてやりたいくらいです。
スタッフはパッと見ただけでも7~8人くらいはいそうでしたが、こちらの場所の家賃が安いはずもなく、これだけの固定費を支払って良くやっていけるなと思ったのも正直なところです。
ともあれ、客にそう思わせてくれるということは、ハイコスパの裏返しでもあるわけで、十分過ぎる満足度が得られた素晴らしいお店でした。
スタッフが全員活気があって、お店全体が躍動している印象も受けましたし、奥野流の経営の神髄を見た思いがしましたね。
ランチはサービス的な要素もあって、お酒を飲まない我々はそれを存分に享受した感もありますが、とにかくことコスパに関してはこれまで利用したレストランの中でもかなりの上位に食い込むお店だと思います。
いいお彼岸の会食になりました。