レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2015/10訪問 2015/10/27
誰が何と言おうと、僕の中ではミルクジェラートの最高峰。
これ以上の仕上がりのミルクジェラートに、これまで出会ったことがない。
僕がそこまで高く評価するポイントは、以下。
・牛乳そのものの味をとても素直に表現されていらっしゃる。
・変な添加物は恐らくほとんど入っていないので、自然な味わいが楽しめる。
・非常に緩い仕上がりで、あっという間に溶けてしまうが、
逆に、固形物が融点を迎えるときの危うい中間状態のままコーンの上に乗っており、その味わいは悶絶もの。
・しかも滑らかな舌触り。
世の中、添加物だらけのジェラートが溢れかえっていて、
どのお店でもその味わいはどちらかと言えば強引な方向。
味が画一的なんだよね。
でもこちらは、全然そんなことなくて、
ベースの牛乳の個性の違いがそのまんま味わいに直結している。
だってさ、ここではミルクジェラートは3種類が用意されており、それぞれ原材料の牛乳の牛の品種が違っていて、
食べ比べてみると微妙なその違いがくっきりと浮かび上がるように作られているんだ。
他店なら、こうした牛乳の個性の違いやブレをできるだけ安定させる方向に持って行こうとするけど、
こちらのお店はむしろその個性の違いやブレを積極的に浮び上らせようとする方向なんだ。
2位
1回
2015/12訪問 2015/12/20
今年も多くの蕎麦屋を巡り、多くの蕎麦を頂きました。
そんな中で、2015年のマイベスト蕎麦は、こちらのお店の「かけそば」です。
もう、ぶっ飛びました。すごいです。
以下、詳細。
私と味覚が非常に近いマイレビュアー様が高評価されていらっしゃるお店なので、
一度お伺いしたいと思っていた。
ただ、豊後高田という場所は東京から訪れるにはなかなかハードルが高かった。(苦笑)
頂いたのは、
「あらびきせいろそば」
「かけそば」
まず、「あらびきせいろそば」。
若干太めに打たれた蕎麦は、若干茹で時間が短めでしっかりとした食感。
粗挽きらしいゴツゴツとした舌触りを楽しみながら、軽く咀嚼して喉を通したり、
しっかり咀嚼して蕎麦の味と香りを楽しんだりして、気付く。
この蕎麦は、どんな角度から楽しんでもしっかりと味と香りがある。
そして、楽しみ方によってその味と香りに変化が綺麗に出る。
ベースの味は、粗挽きならではの穀物系の甘み。
もちろん、甘味料のような強い甘みではなく、仄かな甘み。
そこに、蕎麦ならではの滋味が加わり、つゆを浸けなくても蕎麦だけで充分に楽しめる。
もちろん、つゆに浸しても旨い。
この力強い蕎麦に負けない、濃いつゆ。
やぶ系のつゆではあるけれど、返しはそこまで強くなく、
円やかな出汁が全体の味わいを柔らかくする。
これは恐らく椎茸の出汁が上手く使われているのではないかと思えた。
(ちなみに、後で調べてみると、こちらのお店の指導をされている高橋氏の「翁」では、
干し椎茸をお使いだった。)
★4.6
あまりにも美味しかったので、温かい蕎麦も美味しいはずだと思い「かけそば」を追加注文。
出てきた「かけそば」は、驚きのルックス。
かけつゆは、醤油が使われないタイプ。(もし使っていたとしても微量)
だけど、このかけつゆは旨みが十分で、というか旨みがあふれ出る感じで、蕎麦と蕎麦らしくマッチ。
確かにこの味が出せるなら、これに醤油や返しは要らないよ。もう全然なくていい。
うわ~こうくるか~という味わい。蕎麦の個性がイキイキと広がっていくイメージ。
啜るとつゆの味と香りに蕎麦の仄かな甘みと香りが乗っかってくる。
咀嚼すると今度は逆に蕎麦の味と香りにつゆの旨味と香りが乗っかってくる。
喉を通ったあとのアフターも綺麗。
これが最初から最後まで何度も繰り返される訳だから、もう夢中で手繰って啜ってた。
何の迷いもなく、丼に残ったかけつゆは最後の一滴まで完食。
これも椎茸が上手く使われている。
ちなみに、薬味はネギと柚子胡椒。柚子胡椒をちょっと溶くと味がピュッと引き上げられ、もう格別。
★5.0
それにしても、なぜこんな発想の「かけそば」が出来上がったのか、ぜひ知りたいところ。
豊後高田では昔からこういうのが伝統的なスタイルなのかもしれないが。
なおこちらは、豊後高田産の蕎麦粉100%の手打ち。蕎麦粉の質はもちろん素晴らしい。
ただそれだけなら他の地域でも同じように質の良い蕎麦が穫れるけれど、
他の地域と決定的に違うのは、高橋さんの指導により、蕎麦打ち技術がしっかりしていることと、
出汁の取り方まで含めて蕎麦を楽しませる技術がしっかりしていることではないかと思う。
豊後高田の他の蕎麦屋も巡ってみたくなった。
3位
1回
2015/09訪問 2015/10/04
新宮にある和菓子屋。
看板も暖簾もなく、お店の表示もない。
何度もお店の前をうろうろしてしまった。
食べログに登録されている外観写真でお店の入口を特定でき、大変助かった。
これがなかったら諦めていたと思う。
さて。
商品は少数精鋭。琥珀菓の「天の川」と、羊羹のみ。
この日は琥珀菓は、大納言が入る通常品と、栗が入る季節品の2つが用意されていた。
迷わず、この2つが組み込まれた箱を購入。
自宅に持ち帰り、頂いた。
結論から言えば、この「天の川」特に大納言が入る通常品は、傑作です。
大傑作と言っていいでしょう。
特に、大納言の周りを固める蜜の食感や味わいが、唯一無二で大変素晴らしい。
透明感があり、カチコチなのかなと思いきや、綺麗にホロッと崩れて、中から大納言の粒粒が現れる。
蜜のしゃくしゃくとして心地よい食感と、大納言の粒粒の食感とが見事にマッチ。
更に、蜜の爽やかな甘さと、大納言自体の自然な甘さとが見事にマッチ。
この蜜は、砂糖と寒天とで作られているようだが、単純な技術ではここまでの食感は得られない。
衝撃的です。
4位
1回
2015/12訪問 2023/12/09
九州のド真ん中、椎葉村。
ここで、焼畑をやっている農家が1軒ある。
ずっと代々続いている焼畑は、今や日本ではこの1軒だけのようだ。
交通の便は非常に悪い。
椎葉村の中心部に行くのでさえも遠いのに、そこからさらに山奥へ車で約1時間。
ここは九州の最後の秘境ではないかとも思えた。
ちなみに、そんなこちらを訪れた目的は、この焼畑で育てた蕎麦の料理を頂くため。
こちらは、基本的に民宿。
昼食だけでも利用できるようだが、ここまで行くのだったら食事だけして帰るなんて勿体ない。
というわけで、1泊2食付きで利用。料金は7,000円+税。
蕎麦は、提供されるのは、「そばがき」、「わくど汁」の2つ。
いわゆる蕎麦切り(細長い麺)は予約しておかなければならなかったようだ。
しかしながら、頂いたこの2品が超絶的に美味しかった。
特に「そばがき」の味の力強さがもの凄くて、驚いた。
野趣溢れるというのはまさにこのことで、蕎麦の香りと味わいが荒々しい。
強い粘りの「そばがき」を口に含むと、何もしなくてもブワッて味と香りが広がる。
口の中で徐々に解いていくと、更に強い味わいがグワンっていう感じで広がる。
一方の「わくど汁」の方は、そばがき程の鮮烈さはないけれど、
味噌汁の中でひときわ存在感を主張する味わい。
もう、大満足だった。
こちらの蕎麦粉は、所有されている山を焼畑にしてそのあと蕎麦の種を捲いて育てたもの。
サイクル的に30年以上の周期で焼畑にするので、同じ場所で蕎麦を育てるのも30年以上の周期。
もともと個性の強い在来品種を、こうした栄養分たっぷりの焼畑で育てることで、
味の強い蕎麦になるのだろう。
なお、夕食は、ボリュームたっぷり、品数たっぷりのもの。
既製品も多く並べられるがこの宿泊費だからある程度致し方なし。
それでも、少し散りばめられる手作り品がとても素晴らしい。
朝食も同様に、ボリュームたっぷり、品数たっぷり。
まさに、田舎のおばあちゃんちに来て、ご馳走が出てきたようなイメージ。
民宿を経営されていらっしゃる、お父さん、お母さん、おばあちゃんは、
とても温かく、とても気持ちよく宿泊することができた。
行く前までは焼畑ってどういうものかよくわからなかったのだが、
実際に行ってみて、本を読んだりDVDを観たりして(夜は暇なので時間がたっぷりある)、
いろいろなことを知ることができた。
そして、翌日に、焼畑を実際にこの目で見ることができて、大満足。
更に、椎葉村の中心部に戻って、博物館でも更にいろいろ学ぶことができて、大満足。
ちなみにこの「椎葉民俗芸能博物館」は展示物がかなり充実していてとても良かった。
そんなこんなで、民宿焼畑は、遠かったけど行ってよかったです。
2015年も地方を多く訪れ、その土地土地ならではの料理を楽しみました。
今年選んだのは、その土地やそのお店に行かなければ味わうことができない料理を提供されるお店です。