ノバンディさんのマイ★ベストレストラン 2014

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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【地方が輝く時代】

今年は、たくさんの地方に出かけていろいろな料理を頂いた1年でした。
そこで気が付いたのは、地方にこそ本物の味があるということ。
これまで、東京には良質の食材が集まり腕利きの料理人がいるので
東京が食の中心だと思っていたが、
いろいろな地方でいろいろな料理を頂いてみると、
東京では決して味わえない様々な料理があることに気付く。
しかもどれもこれも、嘘偽りのない本物の味。直球勝負だ。
一度これを知ってしまうと、一握りのお店を除いて大多数の東京のお店は、
多くの妥協点があったり、手が抜かれていたり商売第一だったり、
見かけ重視だったりして、なんて薄っぺらいんだと思ってしまう。

今回選んだ10店は、特に感動を覚えた地方の真摯なお店です。

マイ★ベストレストラン

1位

川喜 (三国神社、三国 / かに、海鮮)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2014/02訪問 2014/07/14

自然の恵み、越前ガニ

ここを訪れる1ヶ月前に福井に旅行して越前ガニを頂いた。
確かにそれなりに美味しかったが、それなりだった。
越前ガニはこんなもんじゃないだろう、ということで、その1ヵ月後に再び福井を訪れて、
本当に美味しい越前ガニを頂くことを決意して、いろいろなサイトで予習した。

いろいろ調べているうちに、いろいろな調理方法で越前ガニを出してくれるお店もあれば、
そのお店オリジナルの調理方法で食べさせてくれるお店もあれば、
越前ガニだけではなくて他の食材もセットで楽しませてくれるお店もあれば、
宿泊とセットでゆっくり楽しませてくれるお店もあれば、
越前ガニだけをリーズナブルに食べさせてくれる海鮮専門の民宿もあることを知る。
こうなると、単純に、越前ガニが食べたい、というだけの気持ちから、
はて、そもそも自分はどういう越前ガニを食べてみたいと思ったんだっけ?
そして、そもそも自分はどういう越前ガニの料理を食べてみたいんだっけ?
という自分への問いに変わっていき、最後には、食に対する自分の姿勢を見つめなおすようになり・・・。
とまぁ、そんな感じで訳が分からなくなってしまって、結局行き着いた結論は、
「シンプルでいい、とにかく美味しい越前ガニをそのままシンプルに食べさせてくれればいい」。

というわけで、選んだお店がこちら。

予約時に、「大きな越前ガニ」、「2人で行くので1人1杯ではなく2人で1杯でとにかく大きいの」をお願いした。
お店の方に仕入れ次第だけど5万円くらいと告げられて一瞬怯んだものの、
いや、下手なお店に行って中途半端な越前ガニを食べるくらいなら、
むしろ確実に美味しい越前ガニを食べさせてくれるこちらのお店の方が断然いい、と思った。

さて、当日。
お店は意外にも地方の料亭風で、眺めも雰囲気もいい個室を利用。
畳敷きだが、椅子とテーブルが用意されており、居心地もいい。

料理は、てっきりカニだけかと思っていたのだが、その前にしっかり5品も出てきてビックリ。
しかも、エビが「まじかよ」というくらい素晴らしく美味しいし、
鯛(名前失念)の焼き物は味が素晴らしく濃厚で美味しいし、
カレイの塩煮はカレイの味と塩味が絶妙にマッチして美味しいし、
タラの白子なんてネットリネットリで濃厚で美味しいし、
岩もずくは磯の香りと海藻の香りが立ち美味しいし。

そんな感じで、これ本当にカニが出てくるのかなと不安になった頃、本命の越前ガニ登場。
この大きさに、思わず歓声を上げてしまった。
この大きさは本当にビックリで、20年以上はたっているものだという。

そしてそして、カニ味噌がもうありえないくらいに素晴らしい。
いや、本当にこんなカニ味噌に出会えることは、もう僕の人生で二度とありえないのではないか。
鮮烈な、と言っていいくらいに爽やかな味噌のコクが僕の味覚にズッポシと嵌る。
そして、適度な塩分でキリッと引き締まる。そして、大きな甲羅全体に海のように漂い、
幾ら食べても減らないし、幾ら食べてもその美味しさが続くし、途中で飽きることもない。

そしてそしてそして、「これがいちばん美味しい食べ方」と教えてくれた食べ方が、
これもまた本当にありえないくらいに美味しかった。お口いっぱいにカニのぶっとい脚がズッポシ。
温かくて、弾力が心地よくて、口で軽く圧力を加えるだけでじゅわっとジューシーな汁が出てきて、
軽く噛み締めると越前ガニの身の贅沢な旨味と鼻を抜ける香り。こんな贅沢な食べ方が他にあるだろうか。
大きなこの越前ガニは、どの脚も身がギッシリ詰まり、甲羅部分にも身がギッシリと詰まり、
そしてどの部分も濃厚なカニの味がたっぷり。
こんな大きなカニだと身がスカスカで大味になっている場合もあるのだろうけど、
このカニは全くそんなことはなかった。

そして、最後はカニ雑炊。これが美味しくないわけがない。
最後の最後までたっぷり堪能させていただいた。

いや~、この食材の質、ありえないくらいの美味しさ。
そして越前ガニだけではなくしっかりと美味しい魚介の郷土料理。
これで、税・サービス料込みで2人で約57,000円。
最初予約時に高いかもな~と思ったが、質と量を考えればかなり良心的な価格。
この満足度は他ではありえないだろう。

  • 越前ガニ
  • 越前ガニ
  • 信じられない量のカニ味噌

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2位

ろばたやき山ろく (山鹿市その他 / 鳥料理、肉料理)

2回

  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2017/05訪問 2017/05/27

肉質は若干落ちたような気もするけれど、相変わらず美味しくて激安

再訪。3年ぶり。
3年前はここもあまり知られていなくて余裕で入れたが、今では予約必須。
今回、平日訪問にもかかわらず、オープン時間には満席。すごい人気だ。

前回は1人での訪問だったのであまり多く食べられなかったけれど、
今回は3人での訪問。すぐに売り切れる部位まで含め食べる気満々で訪れた。
しかし、オープン時間の11:30に訪れたものの、それよりも前にお店を開けられ、
既に先客は肉を焼いているではないか。嗚呼。
当然、ホルモン焼きは売り切れ。更にタッチの差で砂とろの刺身も売り切れ。嗚呼。
寄り道してソフトクリームなんて食べてないで、もっと早く行っておけばよかった。

さて。

気を取り直して、注文。頂いたのは、
「砂ずりの刺身」(432円)
「ささみの刺身」(562円)
「地鶏塩焼き」(1,188円)
「ボンジリ焼き」(411円)
「せせり塩焼き」(411円)
「ハツ塩焼き」(702円)
「レバー焼き」(702円)
「皮タレ焼き」(918円)
「山ろくウィンナー」(756円)
「団子汁」(162円)
「炊き込みご飯」(75円)
それと、白ご飯、生ビール、コーラなど。
会計は、3人で7,365円。安すぎ。

総じて、肉質は若干落ちたような気もするけれど(以前が素晴らしすぎた)、
相変わらず肉質は一定レベル以上をキープしている。
それに、値段を考えたら、あり得ないくらいに良い。

特に、「ボンジリ焼き」、「レバー焼き」、「せせり焼き」はとても美味しい。
この3品は飛びぬけていて、他店ではなかなか頂くことができない味わいだ。
他店で「ボンジリ」というと脂分たっぷりだが、
こちらのボンジリは皮や身の部分も一緒に付いているので、
いくつもの味が織り成す味わいでボンジリが昇華。
「レバー」は、健康に育てられたことが分かる、クリアでフレッシュな味わい。
レア気味に焼くと素晴らしく美味しい。
もちろん、しっかり焼いても、変な臭みは皆無なので美味しく頂くことができる。
「せせり」は、せせりならではの濃厚な旨味と適度な油分の旨味が合わさり、美味しい。

また、皮タレ焼きも、相変わらず美味しい。
皮の臭みは一切無く、皮独特の旨味に溢れ、身の旨味と合わさって味わい深い。
タレもいい効果を出している。

次回は、もっと早く行って、ホルモン焼きをゲットだ。
これ以上、鶏肉を美味しく食べさせてくれるお店はないんじゃないかと思える。
 鶏肉→→→地鶏です。
 新鮮さ→→→朝〆です。
 焼き方→→→囲炉裏で炭火焼です。しかも自分の好みの焼き加減に調整できます。
もう完璧でしょう。

熊本県と福岡県の県境付近。
山鹿市鹿北町の、店名の通り、山ろく。
民家改造系。板間には多くの囲炉裏が用意されている。
この囲炉裏で、炭火を使って鶏肉をひたすら焼く。
炭は、人口炭ではなく、通常の木炭が使われている。
必要以上に火力が強すぎたりしないので、鶏には良い選択。

鶏肉は、朝〆なので、当然のことながら予め羽数が決まっている。
訪れたこの日は20羽分のみ。
稀少部位は、当然のことながらすぐに売り切れになってしまうらしい。
私が訪れたのは平日お昼12時過ぎ(開店してから45分後くらい)だったが、
既に何品か売り切れになっていた。(がーん)

肉は、えらく安い。メッチャ安い。
なので、ついつい沢山頼んでしまった、
 「ささみの刺身」(420円)
 「地鶏塩焼き」(1,050円)
 「地鶏ぼんじり」(400円)
 「砂ずり塩焼き」(525円)
 「地鶏の皮」(892円)
 「ごはん(大)」(84円)
 「だんご汁」(105円)

まず、ささみの刺身、素晴らしいです。
肉の甘さや旨みが、他店の刺身とは比べ物にならないです。
鶏の刺身でここまで感動したのは初めてです。

地鶏の塩焼きは、肉質がとても素晴らしい。
地鶏らしく、しっかりと筋肉質。特に筋の周りの筋肉がものすごい。
ぷりぷりの弾力、噛み締めると染み出してくる旨味、噛んでも噛んでも旨みが出てくる。

ぼんじりは、いや~、これが最も他店との違いが良く分かった部位。
他店だと、ぼんじりはただ油っこいだけのものだけど、
こちらのお店のぼんじりは、旨味たっぷりのしっかりとした個性のある味わい。
これは凄いよ。まじで。今まで食べたことがない味。

砂ずりも、いや~、このスッキリ感は他店では全体に味わえない。
味がないスッキリ感ではなく、全く嫌味のないスッキリ感。
それでいて砂肝の洗練された味わいが炸裂。

そして、そして、皮でしょう、やっぱり。
他店だとやたらブヨブヨの皮が出てくるけれど、
こちらのお店の皮は、しっかりとした皮。
少し焼けば、余計な脂やゼラチン質は落ち(というか、最初からそんなのがない)、
皮だけの旨さだけがしっかり凝縮される感じ。
少し濃い目のタレも、この皮に良く合っていて、ごはんがごはんが進む君。

いや~、ご飯はどんぶりにいっぱい入っていたけど、全然足りない。
もうご飯がいくらでも進んでしまう。
それにさ~、だんご汁もやたらと美味いんだよな~。

もう途中でかなりお腹いっぱいになったんだけれど、
油分が少ないし、ゼラチン質も少ないし、肉を口に入れたらやっぱり美味しいから、
また幾らでも食べちゃうんだよな・・・。

合計、3476円。
お腹がはちきれるくらい頂きましたが、この金額。安すぎです。

商売っ気、ゼロ。

沢山食べてもいいし、少しだけでもいい。
どんな客にも、囲炉裏のセッティングをきちんとやってくれる。
各囲炉裏に店長が必ず挨拶しに来てくれる。
それと、今回僕が感心したのが、お店のスタッフの接客。
女の子だけでなく、男の子もいる。いやむしろ、男の子の方が多い。
全員すごく若くて、動きがキビキビしているし、明るくハキハキとしていている。
多分、気持ちよく働いていらっしゃるんだと思う。だから、こちらも気持ちが良くなる。
山あいの小さなお店で、こんな接客を見られるとは思ってもいなかった。

いや~、かなりいいお店だと思う。

  • 砂ずりの刺身
  • ささみの刺身
  • 地鶏塩焼き

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3位

かね久 (大津港 / 旅館・民宿)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2017/02訪問 2017/03/07

あんこうのどぶ汁は美味しいが

2年前にこちらに宿泊して、あんこうのどぶ汁が好印象だったので再訪。
今回も宿泊利用。

宿泊(1泊2食)(7,500円+税)
に「どぶ汁」(3,000円+税)を追加(事前に予約)。
支払い額は、お酒代、入湯税(150円)が加わり約12,700円。

前回との違いは、
・どぶ汁がボリュームダウン
・蟹が付かない
・刺身がちょっと平凡

前回、蟹は余計だなと思っていたので、今回、それは良かったのだが、
肝心のどぶ汁がボリュームダウンしていたのは少なからずショックだった。
前回のように存分に楽しめるボリュームがあれば、「どぶ汁を食べた」という印象になるけれど、
今回のボリュームだと「どぶ汁も食べた」というようにオマケ的な位置付けになってしまう。
最後の雑炊も、汁が少なくてボリューム少なめ。
多分、食べきれなくて残してしまう人が続出したため少なくしたんだろうけど。
でも、同じ減らすならどぶ汁よりも他の料理の方を減らした方がいいんじゃないかと思うんだけど。

しかしながら、どぶ汁自体のクオリティは素晴らしく良い。
前回よりも肝の量や脂の乗り加減は少なめではあったが、
身が柔らかくてゼラチン質もぷりっぷりで、あんこうの魅力たっぷり。
これは北茨城まで来ないと味わえないと思う。
それに、味噌がほとんど入らない味付けなので
あんこうそのものの味わいを楽しめるのも魅力。
こういう味わいのどぶ汁はちょっと珍しいと思う。

あんこうの「とも酢」は、あんこうの落ち着いた旨味が凝縮された感じで美味しい。
カレイの煮付けは、冷めているので味的にイマイチだが、質自体はとてもいい。
魚の唐揚げも、カレー味の衣がついていてB級的だが、質的にも味的にもなかなかいい。
刺身は、以前のような地魚中心に戻して欲しいな。
陶板焼き(煮ものに近い)は、質的に悪くはないけれど、味付けイマイチ。

ん〜、こう振り返ってみると、やはり、どぶ汁ととも酢の2つを前面に
押し出してくれると満足度が上がるのになぁって思う。

なお、朝食は極めてシンプル。
でも、自家製のイカの塩辛など、光るものあり。

部屋は畳で、布団は民宿の方が敷いてくれる。
部屋の感じは、民宿と言うよりは、安めの旅館的。完全プライベート空間。
食事は宴会処の座敷にて。接客の方はたまにしかやって来ないので、
お酒などの注文はまとめてやっておくのがベター。
風呂は共同。家族風呂のような大きさで、男女別。温泉。
浴衣あり。タオル1枚。

1泊2食で、どぶ汁が付かない通常スタイルであの料理内容で7,500円(+税)は安い。
どぶ汁が付いても1人前3,000円(+税)の追加で済んでしまうので、
クオリティを考えると安い。
そんなふうに積み上げで考えると安く感じるんだけれど、
逆に、12,700円の内容かと考えると唸ってしまう。
例えば、陶板焼きを、近くの「大黒屋」のあんこう揚げに替えてくれるだけで
満足度が随分と上がるような気がするのだが。
北茨城と言えば、あんこう。
北茨城であんこうと言えば、どぶ汁。
ちなみに、あんこうの鍋には一般に2種類あり、
あんこうの身を寄せ鍋風に頂く「あんこう鍋」と、
一切水を使わずあんこうの身から出てくる水分だけで肝や身を頂く「どぶ汁」。
最近は、この中間の、あんこう鍋にあん肝を溶くスタイルの「どぶ汁風あんこう鍋」もある。

この「どぶ汁風あんこう鍋」は先日北茨城で頂いたので、
今度はどうしても「どぶ汁」を頂いてみたくなって、いろいろ探しました。
行き着いたノウハウは、
 ・どぶ汁を頂くならやはり北茨城、それも大津港周辺。
 ・良質なあんこうを食べたいなら、旅館や民宿。
 ・本当に美味しいあんこうを食べたいなら、ケチっちゃダメ。
  でも、あんこう以外にコストをかけているところはダメ。

ということで、選んだのが、こちらの民宿「かね久」。
ここは基本的に民宿。料理のみはやっておらず、宿泊とセット。
あんこう料理などの特別料理を頼む際には、追加料金となる。
利用料金は人数によって変動するが、どぶ汁を頼んでざっと1人15,000円もかからないと思う。

夕食は、どぶ汁を中心に、北茨城の海の幸が満載。このボリュームには、正直驚いた。
どぶ汁は、濃厚。ものすごく濃厚。味噌とかで濃厚なんじゃなく、あん肝で濃厚。
でも、味わいは油でコテコテなわけではないので、ぐいぐいと頂ける。
あんこうの身も、他店のものと質が全く異なる。上質。
全く持って期待通りのどぶ汁だった。いや、期待以上だったと言ってもいい。

他の海鮮料理の方向は、基本的にシンプル。魚介類を生のままか茹でる程度。
最も手の込んでいたのが、カレイの煮付けとどぶ汁。
お造りに至っては、板盛りで豪勢にあるかと思えば、その他にも2皿ついていた。
しかも、分厚い豪快なスライス(というよりカット)。食べ応えがある。
カニも、恐らく北茨城産のもの。上手に茹で上がっている。
基本的に作り置きなので冷めているが、お造り中心なので問題ないだろう。
ただ、非常にシンプルな調理なので、こういうのがお好きでない方には合わないかもしれない。
でもね、ここまで徹底的に海鮮料理を超ボリュームで食べさせてくれるところはそうそうない。
なので、僕はすごく満足。そして、満腹。正直、お腹がはち切れた。(苦笑)

朝食は、一転してシンプル。
・・・のように見えたが、自家製のイカの塩辛やサバの味噌煮がとてもおいしくて、
ご飯を何杯もお代わりしてしまった。で、結局、再びお腹いっぱい。(苦笑)

お部屋の方は、民宿なのでシンプル。でも、結構広くてゆったり。
多少の老朽には目を瞑ってあげていいと思う。だってここは民宿だし、それになによりこの料金だし。

いや~、この料金で、この料理で、しかも泊まれて、かなりお得。
来シーズンもリピートしたいと本気で思う。

  • どぶ汁
  • どぶ汁
  • 夕食(お刺身)

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4位

辻屋 (せきてらす前、関 / うなぎ)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2014/10訪問 2014/10/19

香ばしい鰻のカリカリとフワフワの衝撃

うなぎは、蒸す工程を入れた方が美味しいとか、いや焼くだけの方が美味しいとか、
そういう論争は今なお沢山あるわけだけれども、正直、それぞれ味の方向性が違い、
どちらも美味しいんだから、もはやそれはどっちが好みかの論争でしかないと思う。不毛。

ここ、関市にある創業150年のうなぎ丼の老舗「辻屋」は、焼くだけのうなぎ。
まぁ僕自身いろいろ食べ歩いた訳ではないけれども、ここのうなぎ丼は、
これまでの僕のうなぎ丼に対する既成概念を見事にぶち破ってくれるくらいに素晴らしく美味しかった。

頂いたのは、「うなぎ丼(並丼)」(2,610円)。
肝吸い、漬物が付く。

うなぎは、かなりしっかり焼かれている。想像していた以上。
表面はカリカリで、とても香ばしい。焦げの香りが出始める一歩手前。寸止め。
極限まで火を通すことによりしっかり水分を抜いて脂を焼いて旨味を凝縮。
焼けた脂が、この上なく美味しい。もちろん、身も。
中はホクホク、フワフワ。でも、蒸されてはいないのでトロトロではない。
水分が抜けてあくまでホクホクでフワフワな食感。
表面のカリカリの香ばしさと旨味が、中のホクホクでフワフワな食感と身の旨味と、
見事に対比していてそれでいて見事にバランスされている。
これがうなぎだけだったらちょっとくどく感じるが、
ご飯と合わさるとうなぎのしつこさが緩和され、更に美味になる。
ご飯は粒が小さく、硬めの仕上がりで、タレやうなぎと絡むと双方の美味しさが倍増。
タレも、決してうなぎの味を阻害しない、甘さが控えめなもの。

いや~、微妙なバランスの上で成り立っているうなぎ丼。
いや~、これはかなり美味しい。うなぎ丼の最高傑作ではないだろうか。

同じ関市にある「しげ吉」とも食べ比べてみたが、僕はここ「辻屋」の方が断然好みに合っていた。
うなぎ丼のうなぎの質はこちらが上。また、タレの甘さは控えめでうなぎの味が活きる。
また、焼き加減も、方向性は2店とも同じであったが、
「しげ吉」は焦げの味と匂いが強すぎて抵抗感がある。
それに比べてこちらは焦げの加減とふっくら感の両立がきちんとなされている。
また、「しげ吉」の味は非常に分かりやすいので万人受けし、
こちらは微妙なバランスの上に立った味なので分かり易さの点では万人受けしないだろうなと思う。
なお、肝吸いは断然こちら。漬物も、こちらは本物だ。

総じて。
老舗の老舗たる所以は、まさにこの味にあり。
150年もの中で築かれ守られてきた職人技的な味。
素直に、美味いと思う。

  • うなぎ丼(並丼)
  • うなぎ丼(並丼)
  • うなぎ丼(並丼)

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5位

信濃屋 (多治見 / うどん、ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2016/11訪問 2016/11/22

すべてが異次元

再訪。3回目。
平日の昼間に訪れたら、席に結構余裕あり。
木曜・金曜・土曜の昼のみの営業なので、やはり狙い目は木曜・金曜だね。

「ころかけ」は安定の美味しさ。つゆと麺との一体感やバランスが見事。
「うどん」は個人的にはつゆの味が際立ちすぎる感じがする。

「支那そば」は前々回に頂いたときよりも遥かに美味しくて悶絶。
麺の茹で加減が非常に良くて、硬さを残しながらもしなやかさもあり、
独特のたまり醤油をベースとしたスープとの一体感やバランスが見事。

次回からは、「ころかけ」と「支那そば」の組み合わせでいきたい。

■2016年1月-----
再訪。
お店が開くのは11:30となっているが、正確には、
お店の中に入れてもらえるのが11:00、
お店の中で待っている間に注文し、
料理の提供開始がぴったり11:30。

頂いたのは、
「ころかけ」(冷たい方)(660円)
「うどん」(温かい方)(660円)
2つ頼んだら、この順番で出てきた。
前回も「ころかけ」「支那そば」の順番で出てきたので、冷→温の順番がデフォルトなのだろう。

さて、今回も楽しみにしていた「ころかけ」。
やはり、美味しい。唯一無二。前回の印象とほぼ同様。
ただ、季節的なものなのか、麺のセクシー度が下がっているように感じた。★4.7

そして、こちらも楽しみにしていた「うどん」。
単純に「ころかけ」の温かいバージョンなんだね。つゆも同じ、麺も同じ。
でも、「ころかけ」とは味わいが全く異なると言っていい。
麺のセクシー度はさらに下がって伊勢うどんに近くなり、小麦粉の味と香りが高まる。
つゆも、落ち着いた味わい重視の印象から、香りが立つ華やかな印象に。★4.5

個人的には、やっぱり「ころかけ」の方が好みかな。
ころ(香露)の味わいがくっきりと強調されるので。
ただ、前回の麺で温かい「うどん」を頂いてみたかったな、という気もするが。

というわけで、また行く予定。

■2014年10月-----
以前からいろいろと評判を聞いていたので一度は訪れてみたいと思っていた。
ところが、これが結構ハードルが高い。
開いているのは週の4日で、しかもお昼だけ、しかも数量限定の売り切れ仕舞い。
今回、無理繰りのスケジュール立てをして、訪問。
お店が開く時間は11:30とのことだが少し早く開くこともあるとのことで少し前に到着して、
1回転目にぎりぎり滑り込んだ。(ただ、お店に入ってから結構待ちましたが)。

店内は、民家そのもの?と思えるような造りで、特に奥の座敷や横の小上がりの座敷はまさにそんな感じ。
しかしながら、歴史を感じさせる建物、歴史を感じさせる雰囲気で、僕は好き。

頂いたのは、
「ころかけ」(660円)
「支那そば」(880円)

なんと言っても、「ころかけ」。
冷たい麺に冷たいつゆ。
写真や文字でいろいろ事前情報は入っていたものの、
人づての情報からイメージしていたものと実際とは全然違っていて、いい意味ですべてが異次元。
麺は柔らかいのにしっかりとその存在があり、その存在があるのに何もかも受け止めてくれる柔らかな弾力。
柔らかいうどんというと、伊勢うどんを思い浮かべるがそれとも明らかに異なる。
舌触りの滑らかさ、テンピュールの枕のような弾力、人間味溢れるくれくねとした波打ち。

その麺の魅力を最大限に引き出すのが、つゆ。たまり醤油に鰹節のダシが使われているとのこと。
見た目は黒いが、醤油の尖った味も酸味も塩味もなく、大人しく馴染みに馴染みまくっていて、
麺との相性は抜群にいい。それに身体にスッと入っていく。
パッと散らされた胡麻の香りがつゆに綺麗に乗っかる。ベースのつゆの味がいい証拠だ。
刻みねぎと生姜も同様。綺麗につゆの味に乗っかってくれる。

唯一無二。
この「ころかけ」の味は、ここ信濃屋でしか出せないのではないかと思う。
もちろん、この味を更に味わい深くしているのは、このお店の雰囲気もあると思う。
それに、こんなに人気店なのに、ものすごく腰の低い接客も、「ころかけ」のイメージに合っている。
そんないろいろな要素が噛み合って、今の「ころかけ」の味が出来上がっていると思う。★4.9

一方、「支那そば」。
麺は、タイ料理で言う「パッタイ」という平打ちの米麺に似ている。
しかし、しっかりとした弾力がある点で異なっており、これも独特の食感。
温かいつゆは、これも独特のたまり醤油がほどよく効いていて、見た目以上に優しい味。
「支那そば」には油脂分が入っており、その分、コクがある。
これもやはり、唯一無二。★4.0

いや~、こんなすごい食文化があったのか、という驚き。
未食の「うどん」は温かいバージョンなので、次回はこれだな。

ちなみにメニューに書かれている文字ですが、
「うどん」、「ころかけ」、「支那そば」で合ってますか?>詳しい人

  • ころかけ
  • ころかけ
  • うどん

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6位

日本料理 たかむら (秋田、泉外旭川 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/05訪問 2014/05/08

惜しげもなく次々と繰り出される良質な食材と高度な調理技術

コース1万円。この制約の中でどこまでやりきるか。
お店の雰囲気も、接客も、もちろん大事だ。しかし、それ以上にやはり料理だ。
料理にも、食材、調理、盛り付け、等々様々な要素があり、それがコースともなれば長丁場。
そこに1万円の制約があると、どこかで何かを諦めたり手を抜いたりするもの。
しかしながら、こちら「たかむら」は、食材も、調理も、盛り付けも、全力投球。
また、コースを通して最初から最後まで全速力。
最初から山場が来て、途中にも更に山場が来て、最後までそれが続く。
当然、お客側も、テンションが高くなる。味覚も活性化する。
その結果、お店側と客側とがいい関係になり、幸せな食事を楽しめる。

カウンター席と調理場の間に、接客の方々が通る「通路」があるというお店の構造も要因だ。
これにより、調理場のご主人や接客される方々が全員お客側に向いてくれることになり、
お客側としても、お店に大切にもてなされているという感覚になる。これは非常に大きい。

この日頂いた料理は全て素晴らしいものであったが、その中でも特に光ったものは以下。
・とり貝のお造り
  この上ない最上級品。これは凄かった。思わず声をあげて唸った。
  深いのに鮮烈な美味しさが口いっぱいに広がる。
  これが1万円のコースで出てくること自体おかしい。
・はまぐりの天ぷら
  火入れ加減が抜群にいい。中心部が半生の状態で、しかし火が通っている。
  この臨界状態の貝の美味しさは格別なものがある。
  これぞ職人技と言える調理技術。
・太刀魚の炙り
  ネギを、肉厚で味が深い太刀魚で巻いて、炙ったもの。
  太刀魚の品質も素晴らしく良く、この火入れと塩加減が素晴らしい。

いや~、美味しかった。
これが1万円コース(サ10%別)だなんて東京ではとても考えられないし、
秋田でさえも、食材の豪華さを考えただけでとても考えられない価格設定。

食材は全国からでも、秋田の地のものを時折織り交ぜながらでも。
このバランスも非常に好感が持てる。噂に違わぬ名店。

  • 先付け
  • (説明なし)
  • あん肝

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7位

石臼挽き蕎麦香房 山の実 (山ノ内町その他 / そば)

2回

  • 昼の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2017/07訪問 2017/07/18

駆け抜ける若草の薫り(そばつゆと共に)

再訪。

世の中に数多く蕎麦屋あれど、
こちらの蕎麦と方向が同じ蕎麦に出会ったことがない。
まさに唯一無二の蕎麦。

11:30に予約しての訪問。

頂いたのは、
「山の実」(2,200円)。
これはセットもので、以下の構成。
・手挽きそばがき
・生粉打ち蕎麦
・季節のピッツァ、もしくは須賀川そばピッツァ

「手挽きそばがき」は、鍋で熱湯で捏ねて仕上げ、
湯に浸さずそのまま提供するタイプ。
これにより、蕎麦の薫りが湯で閉じ込められることもなく、
また、粗挽きの蕎麦粉の味が湯に溶け出すこともなく安定。
味の構成的には、粗挽き粉に水分が吸収され熱で糖化され、
これによって粘り気と旨みが出るというシンプルな組み立て。
最大の特徴は、凝縮感のある粗挽き蕎麦粉がこれにより活性化し、
若草のような力強い息吹が感じられる点。
蕎麦粉の個性と水分量や熱量や捏ね加減など様々な要素が
ビシッと決まった上で成立するそばがき。
すごいです。

「生粉打ち蕎麦」は、蕎麦粉と水だけの生粉打ち。
そばがき同様に若草のような力強い息吹が感じられる。
その個性は、綺麗に打ち揃えられた蕎麦そのものからも存分に感じ取ることができるが、
そばつゆと合わさったときに更に増幅し、芳しさを兼ね備えて広がる。
具体的に言うと、水分量が若干少なめの蕎麦が口の中で咀嚼される際に
蕎麦1本1本の間に適度な隙間を作り、その隙間を、
蕎麦を啜った際に抜けていく空気が蕎麦の表面に絡んだそばつゆを気化させて通り抜けていく。
それがまるで、若草の薫りが駆け抜けていくかのようなのだ。
しかも、見事なバランスの薫りが。

こんな蕎麦が他にあるだろうか。
いや、僕が知る限り、存在しない。唯一無二だ。

玄蕎麦をもっと熟成させれば、あるいは茹でてもっと蕎麦粉の旨みを引き出せば、
もっと旨みの強い蕎麦になるんだろうけど、
でもそれは他店がやってることと同じこと。
だからこちらのお店は他店とは違う方法で個性を引き出す。
その方法は単純で、収穫直後の玄蕎麦をすぐさま冷凍保存して、
当日必要分のみを挽いて粉にされる。
しかし他店が、同じことをやって同じ蕎麦を打てるだろうか。
いや、かなり難しいだろう。
玄蕎麦の質の良さに加えて、そもそも蕎麦打ち技術が卓越しているからだ。
また、そばつゆの完成度も非常に高い。
角の取れた円やかな旨みと、熟成感のある深いコクと、キレの良い軽やかな酸味が同居。
この蕎麦の特長的なポテンシャルをきちんと引き出せるそばつゆ。
すごいです。

「ピッツァ」は、季節のピッツァを選択。
この日は「旬の夏野菜4種とベーコン・トマトソースの彩り豊かなピッツァ」。
以前訪問した際に頂いたピッツァは、正直蕎麦と比べて見劣りしていたけれど、
この日頂いたピッツァは蕎麦粉の生地の魅力全開で、正直唸った。
チーズなどの具が乗っている部分も美味しいんだけれど、
具が乗っていないカリカリ焼けた部分が美味。
焼けてドライになることで、この蕎麦粉の特長がまたひとつ花開く。
小麦粉生地のピッツァには絶対に出せない穀物感。
そして滋味深い旨み。そして芳しい薫り。
すごいです。

12:30の退店時には、お店の入口には「そば売り切れ」の看板が。
あっという間だね。

当然のことながら予約必須。
(2ヶ月前に予約なしで訪れて売り切れの憂き目に遭ったばかり)

なお、写真では蕎麦の緑色が上手く表現できなくて白っぽいですが、
実際はかなり若草色をしています。
やっぱり蕎麦は東京だよね、という方がいらっしゃる。
蕎麦屋ではお酒を飲まなきゃお店の実力が分からない、という方もいらっしゃる。
しかし僕としては、やっぱり蕎麦だけで言えば東京よりも地方の方が遥かに美味しいと思うし、
蕎麦屋の実力を蕎麦以外のもので評価したってしょうがないと思うんだよね。
つまり、東京の蕎麦屋のスタイルは、東京の蕎麦は酒肴と酒をくっつけなければ
地方の蕎麦に太刀打ちできないということを意味しているのではないか。

また、東京の蕎麦は、どこかの系統というのが幅を利かせて面白みがない。
何処へ行っても、どこかで食べたことがあるような味なのだ。
だから、蕎麦だけで言えば、突き抜け感に乏しくなる。
その点、地方の蕎麦は、どこかの系統というのがあったとしてもそのバリエーションが豊富で、
しかも蕎麦粉や水や気候や温度によって更にバリエーション豊富になるので、
何処へ行っても新たな味と出会ったりして新しい発見がある。

こちら「山の実」の蕎麦も、こうした新しい味と新しい発見のある蕎麦。
イキイキとした躍動感を感じる薫り高い蕎麦が秀逸だった。

頂いたのは、「山の実」セット(2,100円)。
前菜、手挽きそばがき、生粉打ち蕎麦、須賀川そばピッツァという構成。

前菜は、根曲り筍、鞍掛まめ、わらび。
出汁の染みこませ方が素晴らしくいい。
素材のえぐみを出さず、それでいて素材の良さをアシストする出汁の旨み。
素朴な一皿であるが、丁寧な調理で一切の手抜きなし。

手挽きそばがきは、上質の蕎麦の実が丁寧に粗挽きされ、丁寧に調理されている。
蕎麦の実のざらざら感、蕎麦の実の甘み、蕎麦の実の香り。
舌の上で、粗挽きされた蕎麦の実の1つ1つに存在感があり、主張がある。
このとき、蕎麦の実に、ほんの少し青々しさを感じたのだが、
それが次に出てきた生粉打ち蕎麦でいよいよ本領発揮。

生粉打ち蕎麦は、端正に打たれた見事な手打ち。色は、少し緑がかっている。
口に含むと、その香りが一気に広がる。この香りは、他のどの店にもないもの。
単に他店の蕎麦の香りの延長ではなく、全く異質とも思える青々としたもの。
そばがきで感じた青々しさを、蕎麦切りで更に強く感じる。
これこそが、東京の蕎麦にはありえない、地方の蕎麦ならでは個性だし、突き抜け感。
水切りも素晴らしく良いので、蕎麦を口に含んだときに、蕎麦の味がダイレクトに伝わる。
蕎麦つゆも、蕎麦の味を決して邪魔しない、あくまでアシスト役。
それは単に薄いということを意味しているのではなく、相性がよいということを意味する。
いや~、美味しい。

そして、最後は、パリパリの蕎麦ピッツァ。
これはこれで美味しいのだけれども、蕎麦の後ではちょっと見劣りするかな・・・。

それにしても、美味しかった。
こちらのお店の蕎麦は、全国何位とかそういうランキングには全く似つかわしくないと思う。
この蕎麦はあくまでひとつの方向性であり、旨いというだけで十分のように思う。

こういう蕎麦に出会えるから、各地を回って蕎麦を食べ歩くのは楽しい。

  • 生粉打ち蕎麦
  • 生粉打ち蕎麦
  • 季節のピッツァ(旬の夏野菜4種とベーコン・トマトソースの彩り豊かなピッツァ)

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8位

そば処 平石亭 (大白川 / そば、うどん)

2回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2017/05訪問 2017/05/06

蕎麦の旨味が弱くなったような気が

再訪。
2年半ぶり。

前回訪問では、ちょうど新蕎麦の時期と天然きのこの時期で、大変素晴らしい蕎麦に出会えた。
当時は、まだクチコミも殆ど無い頃で、こんな蕎麦があるのかと驚いた。

また行きたいと思いつつ、ようやく再訪。今回の時期は、春。
ちなみに、こちらのお店は冬季は休みになり、GWくらいから再開。
今回訪問は、その直後。

頂いたのは、
「春のぶっかけそば」(1,000円)
追加で、
「源流ざるそば」(600円)

結論的には、前回ほどの良さはあまり感じられなかった。
蕎麦は以前は太かったけれど、若干細くなった。
また、蕎麦自体の甘みも旨みもだいぶなくなってしまったように思う。
もちろん、他店と比べると、蕎麦自体に甘みも旨みもしっかりとあるんだけれど、
飛びぬけてすごいと言う領域ではなくなった。

ただ、そばつゆにしっかり浸して頂くと、
ちょっと足りないと思っていた蕎麦の甘みや旨みが補填されて旨くなる。
そうすると、やっぱり平石亭の蕎麦はやっぱり美味しいなって思う。
逆に言うと、そばつゆの助けを必要としてしまうのが弱いところだ。

しかしながら。
この界隈では蕎麦というと布海苔(ふのり)を繋ぎに使用する蕎麦が主流なので、
布海苔蕎麦以外の選択で美味しい蕎麦屋を探そうと思うと、やはりこのお店が筆頭だと思う。

なお、これは推測だが。
平石亭は、やはり新蕎麦の時期が最も美味しいのではないかと思う。
冬季は休みなので、非常に限られた期間になってしまうが。
魚沼市街から福島の会津若松方面に向かってJR只見線沿いに車で40分。
渓谷の紅葉が美しい山間にある蕎麦屋。なんと、只見線の駅舎の2階。
こんな場所で美味しい蕎麦を頂けるのだろうかと思ってしまうが、
いやマジで本当に美味しい蕎麦が出てきたもんだからかなり驚いた。
それも、他のどこで頂いたこともないような個性的な蕎麦だったから余計に驚いた。

頂いたのは、
「源流ざるそば」(600円)
「きのこそば」(1,000円)

「源流ざるそば」は、白くて透明感のある挽きぐるみ。しかも粗びきの二八。
ざらざらしていているのに、白く透き通っていて透明感がある。
若干太めに打たれていて、食感はピンとしているようでもっちり感もあり。
噛みしめると独特の蕎麦の甘みが広がる。
つゆは薄め。なのでたっぷりと蕎麦に浸けて頂くと、蕎麦の美味しさがさらに広がる。
いや~、思わず笑ってしまう。世の中にはこんな蕎麦もあるんだ。
いろいろ蕎麦を食べ歩いてるけれど、まだまだ知らない世界がある。

「きのこそば」は、この界隈で穫れるきのこがたっぷり入っている。
そりゃもう、惜しげもなく。たっぷりと。
そして、そのきのこは当然穫れたてだから、香りも濃いし味も濃い。
これが、そばつゆを吸ってまた美味しくなる。
蕎麦は、先ほどのざるそばと同じもの。温かいのでしなやかになっているが、
決してダレルことなくその存在感を誇示。表面のざらざらにそばつゆが絡み、旨い。

店内では、お店の方がどんどん蕎麦を打っている。
蕎麦が打てたらそのまま茹でてそのまま盛り付けて提供。
まさに、打ち立て、茹で立て。

蕎麦粉は、地元産。というか、お店の方は元々蕎麦栽培農家。
ここではいい蕎麦が採れるんだろうな。
この界隈の他の蕎麦屋にも行ってみたくなった。きっと美味しいに違いない。

  • 春のぶっかけそば
  • 春のぶっかけそば
  • 源流ざるそば

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9位

元祖 むらさき (東大館 / きりたんぽ、鍋、郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/04訪問 2014/05/06

きりたんぽと比内地鶏スープの相性が最高

きりたんぽ鍋と言えばこちら、ということで訪れた。
秋田空港から、えらく遠かった(車で2時間)。大館能代空港だったらすぐ近くだったみたい。
しかしながら、そんな距離の苦労を全く感じさせないくらいに素晴らしいきりたんぽ鍋だった。

頂いたのは、
「きりたんぽ鍋」(1人前2160円×2)
「比内鶏の手羽先焼き」(430円)
「とんぶり長芋」(540円)

きりたんぽ鍋は、比内地鶏のスープに、比内地鶏、ねぎ、セリ、まいたけ、ささがきゴボウが入り、
更にこの日はセリの根っこがサービスで。あ、それともちろん、極太のきりたんぽ。

非常に素朴でシンプルな鍋ではあるが、それぞれの素材が持ち味を十分に出し合っている。
お店の女将さんの指南通りに、器にたっぷり取り分けた後、色々なものをスープと共に頂くと最高に美味しい。
例えば、きりたんぽを口に含んで少し咀嚼しただけの状態でスープを飲むと、至福の旨さがやってくる。
実に滋味深くコクのある比内地鶏のスープに、きりたんぽの炭水化物系の旨みが合わさると、
これだよこれ、という感じで味覚のツボにズッポリと嵌る旨さがやってくるのだ。
これは、スープ単独で飲んでも感じられない味だし、きりたんぽを単にスープに浸して食べても感じられない味。
一緒にモグモグゴクゴクやらないと感じられない味わいだ。いや~、これには驚いたね。
なるほど、これこそがきりたんぽ鍋の美味しさの真髄だったのか、と思えた。
この味わいは、比内地鶏でなければ出せないし、また、美味しいきりたんぽでなければ出せない。
また、ねぎの甘さや、セリの爽やかさや、ゴボウの土臭さやや、比内地鶏の薫り高い旨みなど、
全ての食材の持ち味が上手く機能しているからこそ出せる複雑な味わい。
こちらのお店ではきりたんぽ鍋の全国発送もやられているが、この野菜の味わいやバランスなどは、
やっぱりお店でなければ出せない味であり、ここに来る価値があると思う。

いや~、きりたんぽ鍋の概念が変わった。

ちなみに、きりたんぽ鍋の総本山的な位置づけのお店と思っていたので、
さぞかし混雑しているだろうと思いきや、ランチ客は他になし。
こんなに美味しいのに、しかも素晴らしく安いのに(ひとり2000円台で済んじゃうんですよ)、
それに、お店の女将さんは秋田弁丸出しで接客してくださり郷土色満載なのに、
もうちょっとお客が増えてもいいのになと思う。

  • きりたんぽ鍋
  • きりたんぽ鍋
  • きりたんぽ鍋

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10位

わらび野 (木曽町その他 / 日本料理、郷土料理)

6回

  • 夜の点数: -

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: -

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥15,000~¥19,999

2020/10訪問 2020/12/28

何といってもお出汁

再訪。10回目。
木曽にある日本料理のお店。
1年のうちどの季節に行きたいかというと、迷わず秋だ。
なぜなら、松茸を存分に楽しめるから。

特に松茸しんじょうと、松茸の土瓶蒸しは、いつもながら絶品で、
綺麗なお出汁と、香り高い松茸の相性がとても良い。

松茸採りの名人から直接仕入れ、鮮度の良さは抜群。
他の地方のものと比べて繊維質がしっかりしており硬め。
華々しい香りではなく、どちらかというと青々しい旨みと香り。
そのため、綺麗なお出汁を松茸味に染めるのではなく、
お出汁と松茸がお互いに寄り添うイメージ。

今回、焼き椎茸、大鹿村の鹿のタタキ、の2品は味が強めで、
猪の串焼きも若干平凡だった。
お出汁が活きる料理を中心にコースを組み立てて下さるといいのになぁ。

また行きます。

再訪。9回目。
木曽御嶽山の近く。木曽町にある日本料理のお店。
自宅から遠いので頻繁には行くことができないが、
出来ることなら何度でも訪問したいお店。

約1年ぶり。
今回も松茸シーズンに訪問。
松茸を期待して。

ところが今年は松茸が全く採れないとのこと。
しかも松茸だけでなく他の天然の茸も採れないということで、
この日の献立はご主人はかなり苦労された模様。

しかしながら、松茸などの天然茸がない他の季節でも
素晴らしい料理を出してくれるので、全然心配もなく訪問。

そして、実際、とても素晴らしい料理がでてきた。
しかも、過去8回の訪問で頂いたことがないレベルのものまで。
いやはや、すごい。

「トウモロコシの冷製スープ」
素晴らしいとしか言いようがない。
他店のトウモロコシの冷製スープとは次元が違う。
トウモロコシ畑でもぎたてのトウモロコシを生のまま
ガブリとやったことがある方ならお分かりいただけると思うが、
生のトウモロコシの粒から溢れてくる甘みや香りがそのまま、
いやそれがそのまま更に凝縮されているイメージ。
地産地消って凄い、って思える逸品。
良い素材に対して優れた調理技術が施されるとこんな素晴らしい料理になる。
東京などの都会では絶対に頂くことができない料理だ。

そして、この日のもうひとつのハイライトは、
「岩魚のしゃぶしゃぶ」
1kg級の大岩魚を使用したしゃぶしゃぶ。
お出汁は、大岩魚を捌いたアラでとったもの。
ついさっきまでお店の生簀で泳いでいた大岩魚の捌き立てのアラ。
当然のことながら劣化感は全くなく、綺麗に澄み渡ったお出汁。
これまた次元が全く異なる味わい。
これまた地産地消って凄い、って思える逸品。
岩魚の刺身を、岩魚のアラでとった出汁でしゃぶしゃぶ。
同じ素材、同じ個体だもの、相性は抜群。

ちなみに、残ったお出汁で作っていただいた雑炊も出色の出来栄え。

いや~、素晴らしい。
また行きたい。何度でも行きたい。

再訪。8回目。
木曽御嶽山の近く。木曽町にある日本料理のお店。
自宅から遠いので頻繁には行くことができないが、何度でも訪問したいお店。

今回も松茸シーズンに訪問。

きのこ尽くしのお浸しや、まつたけの土瓶蒸しは、相変わらずの美味しさ。
ここのまつたけの土瓶蒸しは、気品が漂う美味しさで、
するすると綺麗に喉を通って胃に入り、
その後自分の体が松茸に染まっていくかのような感覚になる。最高傑作。
松茸はやっぱり、収穫してその日のうちに頂くのが最も美味しいんだと思う。

そして、今回のメインイベントは、しゃぶしゃぶ。
わらび野のお出汁で、牛肉と豚肉(ブランド名は失念)、そして白菜とネギを頂く。
どの食材も、地元産のものだ。
わらび野のお出汁は元々すっきり柔らかい味わいで、
食材から抽出された出汁が綺麗に乗っかってくれるという特徴があるが、
しゃぶしゃぶにするとその特徴がよく活かされる。
ご主人が、鍋奉行となり、ちょうど良いタイミングで碗に取り分けてくれる。
毎回毎回、微妙に味が異なるので、まったく飽きが来ない。

そして、最後に、様々なお出汁から作られた雑炊が絶品。
これを超える雑炊が他にあるだろうか。

もう完全に、ご主人の趣味の領域。
経営がどうとか全然気にしてないよね。
かといって独善的にやっている訳ではなく、
ちゃんと王道の味を追求されていらっしゃる。
これからも通いたいお店です。
再訪。7回目。
松茸のシーズンを狙っての訪問。

予約する際に、お店のご主人に料理の希望をお伝えし、いろいろ相談。
希望は以下。
・松茸を多く組み込んで欲しい。
・コース料金は10,000〜15,000円で。松茸の採れ具合に応じて変動可。
・肉は不要。あっても少量で。
・できれば他のキノコも組み入れて欲しい。
あとはご主人にお任せした。

さて、当日。
めでたく松茸が採れたとのことで、コース内容は、以下。●を付けたのが、松茸の料理。
まさに怒涛の松茸尽くし。
松茸は地元産の採れたて。
これで13,000円。ありえない。

(1)●お浸し、松茸添え
(2)●松茸の土瓶蒸し
(3)●松茸の握り鮨、岩魚の握り鮨
(4)●焼き松茸
(5)とうもろこし真薯
(6)●松茸の天ぷら、野菜の天ぷら
(7)●松茸と肉のロールキャベツ
(8)●いろいろキノコの雑炊

わらび野で使用される松茸は市場から仕入れるのではなく、
ご主人の友人が地元の山から採ってきたものを使用される。
もちろん採れたて。だから、香りが強く、しっとりしており、味もしっかりある。
ご主人は、料理に合わせてどのような松茸が必要かを事前に友人に伝え、
それに合ったものを探してもらう。だから、料理との相性がバッチリだ。

各料理の寸評は、以下。

(1)●お浸し、松茸添え
綺麗なお出汁でひたひた。青菜のお浸し。
青菜には菊の花びらが散りばめられ、仄かな苦味で味が引き締まる。
更に、貴重な天然本シメジの旨みが加わりお出汁が深い味に。
更にそこに、香り高い松茸が加わり、お浸しが華やかに。
素晴らしい一品。

(2)●松茸の土瓶蒸し
待ってましたの土瓶蒸し。
綺麗なお出汁に、たっぷりの松茸の味と香り。
わらび野の松茸の土瓶蒸しは、天下一品。
これ以上の松茸の土瓶蒸しが他にあるだろうか。
もう、ずっと飲んでいたい。
コースはこの後、松茸の土瓶蒸ししか出て来なくてもいい。笑

(3)●松茸の握り鮨、岩魚の握り鮨
松茸の握り鮨がとても素晴らしい。
最初一瞬、ちょっと安易なんじゃない?と思ったりしたのだが、実際に頂いてみて衝撃。
酢飯と松茸が絶妙にマッチしている。
酢飯のご飯粒の間の隙間に松茸の味と香りが入り込み、咀嚼する度に綺麗に抜けていく。
松茸の量的にもちょうどいい。
お話を伺うと、握り鮨にするのにちょうどいい大きさでちょうどいい形状の松茸をご友人に探して頂いたそうだ。
こんなことをできるのが、わらび野のいいところだ。

岩魚の握り鮨も良かった。
酢飯が若干多めに感じたし、酢の具合が岩魚に合っていない気もしたが、
岩魚の質の良さが光り、それをカバー。
これ、松茸がない時期は、酢飯を松茸に合わせるのではなく岩魚に合わせて作り、
4貫くらいまとめて出してくれると嬉しいな。

(4)●焼き松茸
シンプル。シンプルであるが故に松茸の性格が如実にそのまま表れる。
笠は小さく軸は太くてしっかりとした食感。
香りもあるけれど、それよりも旨みが凝縮。
ギュンギュンと音を立てながら咀嚼して頂いて、とても贅沢。

(5)とうもろこし真薯
開田高原特産のとうもろこしを使用した真薯。
とうもろこしのシーズンも終盤ということで、しっかりとした味わいのとうもろこし。
この味を受け止める真薯も比較的味が強め。
また、餡かけ出汁の塩分も強め。
もう少し優しい味の方が個人的には好きだけど。

(6)●松茸の天ぷら、野菜の天ぷら
天ぷらにすることで、松茸から適度に水分が抜けて香り高くなる。これも美味しい。
ただ、若干硬めな衣は、松茸には合ってない気がする。
しかし、この衣は逆に、野菜にはマッチ。
特に賀茂茄子の天ぷらは、ほっくりした食感の賀茂茄子とカリッとした食感の衣がいいバランス。

(7)●松茸と牛肉のロールキャベツ
松茸の軸を信州牛とキャベツで巻いた料理。
牛肉の旨みとコクを柔らかなキャベツが受け止める。味わい的にはこれがメイン。
松茸は、そこに軽いアクセントを加える脇役。
もっと松茸がグワッと来て欲しいと思うのは、わがままか。
これまで松茸が主役となる料理が続いたため、ついそう思ってしまったが、
松茸は脇役としても十分に存在感を発揮できる食材なので、こうした味わいもまた格別。

(8)●いろいろキノコの雑炊
最後にすごいのが出て来た。
いろいろな天然のキノコがたっぷりと入った雑炊。
希少なキノコも入り、もう凄い味わい。
ベースのお出汁は、わらび野が誇る綺麗なお出汁。そこにキノコから出る出汁がグワッと加わる。
元々、わらび野のお出汁には若干の椎茸が使用されているためか、
他のキノコの出汁も綺麗に馴染む。
この時期でしか味わうことができない味。
採れるキノコにより味が変わるので、この日でしか味わうことができない味。
ベースのお出汁はわらび野でしか作れないものなので、わらび野でしか味わうことができない味。
至福の雑炊。
松茸よりももっと旨いキノコがあるんだよ、というメッセージも感じられる雑炊。
これはすごいです。

食材も素晴らしく、更に調理技術も素晴らしい。
食材を集めるのも調理されるのもご主人お一人なので、料理にブレがなくビシッと決まる。
職人技が冴え渡る。
再訪。6回目。

季節的には、開田高原は春のまだ走り。
夜はかなりの氷点下になることもあり、せっかく生えてきた山菜が凍ってしまうこともあるとか。
このため、まだ料理に使える山菜は限られているとのこと。
しかしながら、そんな事情を全く感じさせないくらいに今回も素晴らしい料理の数々。
開田高原の新鮮な食材を使い、この季節ならではの食材の味を楽しませて頂いた。

4名で訪問。
料理の内容は、幹事様がお店と相談して決定。

今回は、1万円のコースで。
今回のハイライトは、山菜と熊肉(下記◎の料理)。

・前菜
◎フキノトウの真薯(しんじょ)と蓬(よもぎ)麩の椀
・岩魚の塩焼き
・岩魚のお造り
・鹿肉のユッケ
◎熊のハツ(心臓)の串焼き
◎熊と猪のすき焼き
・岩魚のイクラかけご飯
・すき焼きの汁で作った卵かけご飯
・アサリの味噌汁

「フキノトウの真薯(しんじょ)と蓬(よもぎ)麩の椀」は、本日の最高傑作。
真薯に採り立てのふきのとうを使われ、鮮烈な春の味わい。
ふきのとうの味と香りが見事にふわっと広がる。仄かな苦味さえも鮮烈だ。
椀のお出汁は、いつもながらのスッキリ薄味。
とても綺麗でサラサラした味わい。
スッと身体に染み渡る。
東京の出汁でもない、京都の出汁でもない、ここわらび野だけの出汁。
ふきのとうの真薯を割って、この出汁にふきのとうの味と香りを移しながら、
お出汁の味と香りの変化を楽しめるのも、この椀の魅力だ。
素晴らしい逸品。

「熊のハツ(心臓)の串焼き」は、今回の超目玉料理。
熊のハツなんて、これまで考えたことがなかった。
でも確かにあるよね、熊だって動物だもの。
そのハツが、とてもいい状態。臭み等は一切なし。
獣的な味わいが存在しながらも、全体的には味わいがとても綺麗。
誰もが美味しいと感じる味ではないのだろうけれど、酒飲みならばこの滋味の奥深さは容易に分かるだろう。

「熊と猪のすき焼き」は、本日の山場。
熊肉は、脂身がない赤身部分がたっぷり。スライスではなく、乱切りで!
熊肉に脂身がないため、脂分の補填は猪肉にて。それも、バラ肉とロース肉にて!
そして、野菜は、野カンゾウ、クレソン、アサツキ、行者ニンニクの4種。本日朝にご主人自ら収穫!
いや〜、すごい。ただただ感嘆。
熊肉の獣的な味わいがグワンとくる。そこに猪肉の円やかで甘みのある脂身の旨さが覆い被さる。
そしてこの猪肉がまた旨いのだ。脂身が硬くならずに柔らかく、かと言って油でギトギトになる訳でもなく、
美味しいところだけがふわっと形になっているようなイメージ。
熊肉だけでなく猪肉もブレンドすることで、肉の旨みが多重層になり美味しさに厚みが出ている。
また、これに対抗する野菜は、力強く生命力が溢れる味わい。
春の山菜だから弱々しい、ということは全くなく、
開田高原のこの寒さに耐えて芽を出して育っており非常に力強い。
肉の味、野菜の味、ベースの割り下の味、そして加熱加減。全てが綺麗にベストに絡み合っている。

その他、鹿肉のユッケも印象的な味。熊と猪のすき焼きの汁で作った卵かけご飯も美味。

いや〜、これで10,800円(税込)という値付けはすごいよ。

今回久々の訪問だったが、改めてわらび野の素晴らしさを再認識。
東京都内から十分日帰り圏内なので、今年は、
春の山菜の季節、松茸の季節、きのこの季節にそれぞれ訪問させて頂きたいなと思っている。
再訪。
今回は、夜、10,000円のコース。
天然きのこのオンパレード。もちろん、松茸も組み込まれて。
天然きのこは裏山で採れたもの。もちろん、松茸も裏山で採れたもの。
まさに地産地消。
採れたての木曽開田高原の山の幸を、その魅力が存分に活きてくる調理方法で頂く。

今回、松茸のしんじょうが過去最高の味わい。
松茸の風味がふわっと広がるように、しんじょうはいつもと違いふわふわ感のある仕上がり。
優しいお出汁に香りが乗り、お出汁の味わいも広がります。

松茸の雑炊も、松茸の香りがギュンギュンに、でも上品にやってきて、素晴らしい。

今回、お店から徒歩3分程の場所にあるログハウスを予約して頂き宿泊。
いつも僕はドライバーなのでお酒を飲めなかったのだが、
今回初めてお店で日本酒も存分に楽しんで、今まで以上にわらび野を満喫。
わらび野がますます好きになった。

■2015年7月-----
再訪。
前回4~5月の再訪を誓ったものの諸般の事情により叶わず、7月下旬の訪問。
狙いは夏の松茸。予約時にお願いしておいた。(採れなかった場合には致し方なし、という前提で)

で、訪れてみるとやはり松茸は採れなかったようで、今年は採れるのが時期的に少し遅めのようだ。

しかしながら、松茸がなければなかったで、そのリカバリーは十分過ぎるほど。
今回頂いた中では、「香箱蟹のしんじょう」が過去最高傑作と思えるほどの出来栄え。
わらび野では、いつものことながら「しんじょう」に感嘆する。

今回、松茸なしになったので、コースで6,500円くらい。
内容から考えて、かなり安いです。

■2014年11月-----
あまり間を空けず、再訪。
前回は11月上旬で地の茸がまだ穫れたが、
今回は11月下旬で殆ど地のものは穫れず食材が限られてしまうので
料理に使う食材がどうしても似通ってしまう。
それでも、あの手この手でいろいろ変化をつけて頂いたおかげで今回もかなり楽しめた。

今回特に素晴らしかったのは、「毛ガニしんじょう」、「へしこソースの茶わん蒸し」。

・毛ガニしんじょう
  これは前回も頂いた料理だったが、今回更に素晴らしくなっていた。
  何と言っても、御出汁。いろいろな御出汁が淡く淡く混じり合い、思わず吸い込まれるような味わい。
  そこに、ふわっという感じで毛ガニのしんじょうが合わさると、
  御出汁と毛ガニとすり身の味と香りがふわっと広がる。

・へしこソースの茶わん蒸し
  やはり御出汁が秀逸で、そこにへしこソースの塩分とコクと独特の臭さが絶妙に絡み合う。

また、こちらのお店では近くの人気蕎麦屋「時香忘」の蕎麦を頂くことができる。
使うのは「時香忘」の蕎麦だけで、つゆなどは「わらび野」で独自にお作りになられる。
つまり「時香忘」の蕎麦をまた違った形で味わうことができる。
今回は冷たいせいろと温かい鴨南蛮蕎麦をご用意いただいた。鴨南蛮蕎麦が断然美味しかった。

今回も1万円コース約10品。かなりお腹いっぱいになった。
普通の方なら予約時にお願いしてもう少し安いコースで品数を減らしてもらった方がいいかもしれない。
あ、というか、安いコースの設定があるので、そちらを普通に頼めばよい。
僕も次回はそうしてみようかな。

■2014年11月-----
再訪。お店は御嶽山近くの開田高原にあり御嶽山噴火の影響が心配されたが、
実際には結構距離が離れており、問題なく営業されていらっしゃった。

訪れた11月初旬は開田高原は既にかなり寒く地元で穫れる食材は徐々に減ってきている模様。
そんな中、いろいろな食材を集めて頂いて、あれもこれもという感じで
1万円コース約10品の料理を出していただいた。クオリティと言い、ボリュームと言い、凄いです。
美味しかったので更に追加で注文しちゃって・・・。お腹パンパン。

この日特に良かったのは、「岩魚の親子手ごね寿司」、「毛ガニしんじょう」、「猪の炙り&燻」。

・岩魚の親子手ごね寿司
  岩魚のイクラと岩魚の身のヅケが乗る。きらきら光って見た目にも美しい。
  岩魚のイクラのさわやかな旨みと、岩魚のヅケのコクのある旨みが見事にマッチ。

・毛ガニしんじょう
  毛ガニの味が上品に仕上げられ、わらび野の素晴らしい出汁とのバランスがとてもいい。
  この御出汁は、ほんとすごいよ。

・猪の炙り&燻
  猪肉を桜の木で炙り、その煙も燻製のように閉じ込めることで、見事な香りに。
  猪肉がこんな味と香りに化けるんだ。脂身が特に美味。こんな味は初めて。

ただ、今回胡椒等が少々強めでバランスを崩している料理もあり。
品数が多いのでアクセントを出して頂いたのかもしれないが。

でも、また行きます。

■2014年9月-----
御嶽山の近く、開田高原にある和食店。
ひとことで言えば、すごい、です。

良い食材を裏打ちされた技術できちんと料理して素材の良さをそのまま活かせば、
ここまで美味しくなるということを実感した。
良い食材ならば、下手にこねくり回す必要は全くないのだ。

飾りつけもシンプルでよく、見た目を豪華にする必要もなし。
そんなの味には全く関係がないからだ。
自然のそのまんまが美しい。その形、その色、その艶やかさ、そのまんまでいいのだ。

決してストイックなお店ではない。
ピリピリした雰囲気もない。
柔和で優しいご主人が、極々自然体で調理をされる。
接客は、少したどたどしさもある奥様がされる。
この二人三脚のご夫婦が作り出す空気感はとても柔らかで、お客側はとてもリラックスできる。

今回、秋の松茸シーズンということで、
地元産の松茸をふんだんに使ったコースを8,000円でご用意頂いた。
構成は、こんな感じ。
・いぐち茸の大根おろし和え
・松茸の土瓶蒸し
・岩魚の刺身
・岩魚の塩焼き
・焼き松茸
・冬瓜の名古屋コーチンのつみれの炊き合わせ
・松茸雑炊
ええ、7品ですよ7品。8,000円で7品。極太のマツタケが組み込まれて7品。
松茸は数人でシェアとは言え、普通ありえない。

料理の印象はこんな感じ:

・いぐち茸の大根おろし和え
  しっとりとした「いじく茸」が非常に味わい深い。大根おろしとのバランスも見事。
  大根おろしで味覚がリセットされ、いじく茸のぬめりで舌の感覚が呼び起こされ、
  いじく茸の旨味と大根おろしと合わさったときの旨味の微妙な変化で味覚がフル加速。
  コースの最初に相応しい料理だ。

・松茸の土瓶蒸し
  シンプルな松茸の土瓶蒸し。具は、松茸だけ。しかし、松茸がたっぷり入っている。
  これだけ沢山入っていると香りが凄いが、一切れ一切れの香りもすごい。
  それに噛み締めれば噛み締めるほど香りが溢れ出てくる。
  そして、それ以上に良かったのが、ダシ。澄み渡るような綺麗なダシ。
  この土瓶蒸しは、ほんとものすごいです。
  
・岩魚の刺身
  仄かにピンク色に染まった岩魚の刺身。ピンとした食感で、まだ生気を感じさせる。
  さっきまで生きていた岩魚だそうだ。そうした岩魚の刺身は他店でも出てくるが、
  味わいが明らかに違う。次元が違う。
  仄かな甘み。文字ではそうとしか表現が出来ない。他に例えるものがない味わい。

・岩魚の塩焼き
  一転して今度はその岩魚の塩焼き。熱を加えることで、
  岩魚の生気が味と香りとなって湧き上がってくる感じ。
  身はほくほく。噛み締めるたびに味と香りが湧き上がってくる。身の水分の抜け加減も塩分もちょうど良い。
  また、頭から背骨まですべてがぶっと齧れるので、岩魚の美味しさを余すところなく堪能。

・焼き松茸
  本日の最高の盛り上がりは、この焼き松茸。繊維質がギュッと凝縮した感じ。カチンコチンだ。
  しかしながら、だからこそ味わいもギュッと凝縮し、香りもギュッと凝縮。
  「香りまつたけ、味しめじ」という言葉があるが、あれは嘘だね、と思った。
  この松茸は、噛み締めれば噛み締めるほど味も香りが幾らでも出てきて、その味も香りも最高にいい。

・冬瓜の名古屋コーチンのつみれの炊き合わせ
  焼き松茸の後ではどんな料理も陰が薄くなってしまうのではないかと思ったが、
  いやはや、そんな心配は不要だった。
  この日唯一の陸上動物のタンパク質となる名古屋コーチンの旨みが、これまでの旨味の更に覆いかぶさる。
  つみれ自体も美味しかったが、ベースとなるあのダシがまたここでも登場し、全体をピンと纏める。

・松茸雑炊
  最後は、松茸雑炊。土瓶蒸しでも使われたこのダシと松茸の組み合わせに、更にお米の炭水化物が加わり、
  本能的に美味しいと思う鉄板の組み合わせに。これも凄いです。

 いや~、最初から最後まで息をつく暇もないくらいに駆け抜けた。
 一品一品の完成度も凄いけれど、それ以上にきちんとした流れがある構成。
 次にこういう味が欲しいな、とか、そうそうこういう味が欲しかったんだよ、と思うような期待通りの構成。

 最高です。

 ただ、御嶽山の近くということでお店に影響が出ていないか、とても心配です。
 

  • 松茸のしんじょう
  • お浸し
  • イグチおろし

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