『OKUBO』Tオカさんの日記

世界の果てまで連れてって。

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日記詳細

僕は大久保/新大久保エリアまで5分ほどで行ける場所に住んでいる。
大久保/新大久保=単なるコリアンタウンというのは一昔前の話、今では腰を抜かすほどの多国籍エリア、さらに石原都知事前の裏通りの暗闇に国籍不明な立ちんぼが蠢いていた怪しいこの界隈の姿を知る我々からすると考えられないほど違ってしまっている。
その激変たるや驚異的で職安通りのあたりは現在ちょっとした竹下通りみたい・・・その話をすると大概大勢は「なんて大袈裟な」と笑うのだけど実際現場に来てみると皆あまりの変貌ぶりに目を丸くする。
昔のヤバくて猥雑で夜中に異国情緒とスリルを味わいに冒険した百人町一帯を知る我々には夜の21時にお洒落したJKがぶらりショッピングしてるなんて考えられない・・・が、卍変わったのだ。
さらに軒を連ねるラブホ(というよりは連れ込み宿)は今では素晴らしいことに世界中から訪れる若きBPたちのユースに作り替えられていて唯でさえ意味不なこの街のバイブスを上げている。
特にコリアンタウンとして定着している新大久保駅東側よりも大久保駅周辺エリアのMix度がパない。
僕が勝手に想像するにこの百人町周辺はそもそもがヤバい場所なので(うちのカミさんはこの近辺の生まれ育ちだが小学校で百人町に住む友人達のお父さんはかなりの高確率で任侠的にヤバい人だったとある日の昼下がりに近所のカフェでお茶してた時に遠い空を見て呟いていた・・・)保証人無しで外国人が借りられるような物件が多数存在していて以前はそれを韓国の人たちが借りていたのだが彼らは韓流ブームでリッチになりこの街を出て行った後の空白にアジア多国籍軍団が流入して来たのではないだろうか?
今では中国は勿論ベトナム、ネパール、タイ、インド、インドネシア、トルコ、チェニジア、果ては南米ペルーまで、それぞれの専門店が存在する。
驚くべきはどの店へ行っても自分たち以外はお店の人もお客さんもほぼ現地の人だということ、しかも結構な確率で日本語が通じない、一体どうやって営業許可的なものを取得したのか?と思うのだけどお陰で存分に海外行った気分が味わえる、そして東京にはネパールやベトナムの人がこんなにも大勢住んでいるのか!と感心するほど現地の人で溢れている。
出てくる食べ物は言わずもがな、ネイティブでなんじゃこりゃ感満載。
中華以外ではそんな妙な食材は出てこない、特にブタを食べないイスラム/ヒンドゥー系は安心できるし辛いの苦手な僕としてはタイニーズと四川料理をchoiceさえしなければ劇辛地獄に堕ちることもない。
最大勢力のネパール料理の充実ぶりは言わずもがな、家庭的なものから完成された逸品まで多様性に満ちたネパール各地の料理を味わうことが可能、マトンを頼めばグニャグニャな皮付きの肉が出てくるのに最初は戸惑ったが今ではすっかり馴れて皮無しでは物足りないほどだし各店が腕を競うダルバート巡りも楽しい。
ネパール人は真面目なことで有名なので一見怪しげなこの街の治安がすこぶる良い原因は彼らじゃないかと思っている。
ベトナム料理ではすっかり有名になって日本人で賑わうベトナムちゃんは勿論のこと自分たち以外は全て現地の人しか居ないようなマイナーな店でも十分美味しいし随所でビーフンの満載度には驚かされる、白いビーフンがてんこ盛り出てきた時は一体どうやって食べていいのか悩んだけどパクチーにさえ気をつければ僕みたいなエスニック軟弱者にも食べやすいものが多くて助かる。
中華系はさすがに個性的な店が多く犬肉や鶏の頭部を食べさせる店もあるが我々の知る広東料理や四川料理よりもっと仔細な区分があるらしくある店では山盛りのラム肉を鉄板で焼いてひたすら謎の赤い粉(激ウマ)をつけてを食べたこともあった。
中でも大久保駅周辺の激安店群が楽しくてお客さんは中国人留学生ばかりでCPは驚異の餃子の王将超え、夜に一人¥2000もあればビール込みで腹パンパンになるまで料理を堪能できるし味も雰囲気も多分本場そのままチャイニーズなライブ感が楽しい、もちろんもっと美味しい料理ということであれば大久保を出ればいくらでもあるのだろうがこの街ならではの異国感満載なのだ。
さらに韓国系チャイニーズも充実しておりNYのコリアンStで食べたjajangmyunがフツーに食べられる、必ずみんなが(この場合コリアンの皆さん)生の玉ねぎとタクアンを味噌につけて食べまくるという不思議な光景にも慣れた。
新大久保駅近くのイスラム横丁と呼ばれる路地では普通にムスリムの方が装束を着てクーフィーヤを巻き闊歩している、言うまでもなくイスラム教は平和で温厚な宗教なので御近所にこのような空間があることがステキだ。
この街角にある1串100円ほどのチキン串焼きはこのエリアの白眉と言えるほどの絶品、さらにこのフードコートで食せるクスクスはパリのマルシェで食べるそれとなんら遜色ないしトルコ料理や北アフリカ料理はこの街では昔から馴染みある料理である。
エリア一帯にはアジア中東各国の食材店が点在しておりその中の数店は奥にレストランを併設している、中には店内で売ってる現地直送の冷凍食品を悪びれずチンして出してくるだけの猛者もいるがそれ相応の値段だしそれはそれで楽しい。
この大久保/新大久保エリアを入植地として多国籍地帯は北新宿〜中野周辺までかなり拡大しており近くの我が家の周辺にも既にアジア系から欧米系からアフリカ系まで色んな人が住み着いている、近所のスーパーのエスニック食材コーナーはどんどん充実していくし鮮やかな色彩のサリーを着てビンディーをつけた美しいインド人女性が駅でサラリーマンの列にフツーに並んで電車を待っている、ここ4、5年コンビニでは日本人の店員など見かけたこともないしラッシュ時以外は電車に乗ってる乗客の半分以上が諸外国の方々なんてザラだ。

さて・・・僕が一番言いたいのは、この街では中国人であろうが韓国人であろうがネパール人であろうがインド人であろうがベトナム人であろうがムスリムであろうが・・・皆が誠実で丁寧で礼儀正しいということ。
下手な日本人の店より彼らや彼女たちの方が遥かにジェントルでホスピタリティが高い、
ニュースで聞く近隣諸国の敵対的なイメージをこのエリアで実際に接するその国から来た人々は簡単に覆してくれる、とにかくこの街で暮らすみんなが親切丁寧で平和的。
この街には人種の差も宗教の差もヘイトもボッタクリもない、反日や反中なんて別世界、とにかくみんないい人、いい奴ら。
世界中の何人だか何宗教だか何国だかも分からない我らでこの大久保エリアをシェアしているのだ。
更にこの北新宿/百人町エリアは都心にありながらスラム化しかけていたのを世界中から来た彼や彼女たちが入植してくれたおかげでクリアーでセーフティな多国籍シティに生まれ変われたのだと思う。
僕はこの街の近くに住んで事あるごとにこの街でご飯を食べたりお酒を飲んだり出来ることを幸福に思う、そして、目の前にあるこの自由でピースなこの街が少しでも永く続けばいいのなぁ、と切に願う。
このエリアは日々予想の斜め上方向に進化中なので発見したことの半分も書ききれてないがこの辺りのことを人に話すとオススメの店を教えてくれと言われるが人から教わるなんて勿体ないことをせずに是非御自身で彷徨い体験していただきたい、この素敵なカオスを。
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