駆け出しの紳士さんのマイ★ベストレストラン 2010

駆け出しの紳士のレストランガイド

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駆け出しの紳士 (40代前半・男性・神奈川県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

イル テアトリーノ ダ サローネ (広尾、表参道 / イタリアン、イノベーティブ、肉料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2010/07訪問 2010/08/07

全速力で突き抜ける!

~2010年7月再訪~

「第4回TTB総会」
今までフレンチ続きだったので、今回はイタリアンをチョイス。
てのは意識しておらず、ただ自分が行きたかっただけ(笑)
前月と同じ階段を下り、前回と同じ絵画を見て、前回とちょっと異なる空気の店内に入る。
それはきっと「このメンバーで食べる」からだろう。

まずはシチリアの塩とオリーブを味わうパンから。
強烈なオリーブオイル香と野蛮な塩はそのままに、扱いやすい温度に改善されてました。

3Piattiniからは、前回同様「鮪のタルターラ」。
白トリュフの芳醇な香りに誘われ、ハーブ系の爽快感、鮪の旨み、赤茄子の苦味と変化する味わいはいつ食べても楽しい。
今回の赤茄子はピューレ状ではなく固体の比率が多く、変化が食感に現れている。

続いても前回に近いニュアンスの「蛸のインウミド」。
蛸のクニッとした食感は相変わらず極上!
グラスに同席しているジャガイモはトマトを含んでおり、前回のひよこ豆同様「素朴さ」を担っているが、ブッ飛ぶほどの「旨み」も兼ね備えている。
蛸から溢れる旨みと融合した時の至福っぷりと言ったら、、、この感動はグラスじゃ物足りない!

最後に「バッカラを詰めたビニエ」。
ハンバーガーのようなルックスのこちら。
鱈の塩漬けのクセをセロリやハーブの清涼感で抑えており、塩気を感じつつも鼻腔を突き抜けるハーブのアロマが心地良い!
素朴ながらもしっかり作り込まれたスターター、この3品でシェフの世界にドップリとダイブ。


料理は続き「青柳とクスクスのインサラータ」がサーブされる。
トマトピューレやフェンネルの酸味が青柳と実によく馴染んでいる。
アクセントにオレンジのフレッシュな甘味を追加、青柳を主役とした酸甘のバランスが心地よい。


Pastaは二皿構成、まず「グラミーニャ 白身魚のラグーとケッパーペースト」。
今回の白身魚は黒鯛。
ルックスからはジェノバソースを連想するが、味香共に黒鯛の力強さを前面に押し出したウマウマ系パスタ。
散らしたアーモンドがキュムッとした食感と煎った香りを追加しており、不思議な取り合わせながら絶妙な相性。
こういう発見があると料理の印象が一層深まります。

続いて「タッコーニ オッソブーコのビアンコラグー」。
子牛すね肉ラグーの旨み、散らしたペコリーノの塩気が大爆発!
「肉々旨み系パスタ」好きなら涙モノ、加えて花ズッキーニの苦味と粒胡椒を奥歯で砕いた時のスパイシーなアクセントが旨みを一層飛躍させる。


Pietanzaはおなじみ「仔羊のストゥファート」。
前回感動した仔羊と再開。
赤身の肉質と脂身の旨みが同居した仔羊は変わらず美味!
今回はレモン風味のマルメラータが添えてあり、前回とは違った楽しみもあった。


Dolceは「クレマコッタとインパナート ギアッチャート」。
クレームブリュレの再構築をイメージしたこちら。
クレマコッタでカスタード部を、キャラメリゼしたピスタチオでカラメル部を担当。
ドルチェはパティシエが担当しており、最後まで高い完成度のものをいただける。


追加オーダーの「チーズの8クッキアイーニ」はグラッパと共に兄弟仲良く2クッキアイーニずつ。
そしてマンゴーの凝縮タルトを模した「ファローネ」とエスプレッソで劇場の幕引き。


再訪して感じたことは、一皿で爆発する旨みと計算されたバランス感覚が同居してること。
「この店でしか食べられない料理」というオリジナリティーを感じられるのが再訪気分を高めるんだろうな~。
次回はいつ訪問しよう、と思いきや、もう予約が取れない店になっちまったい!


~2010年5月訪問~

今や人気絶頂のSALONE系の新店舗となるこちら。
店名は「SALONEの小劇場」という和訳で、SALONE 2007の西嶋氏のサービスとグループ統括料理長である樋口氏のタッグでカウンターのみ8席のシチリア料理というスタイルお店。
本家を訪問時に情報を得たのでその場で予約、ディナーで訪問しました。

階段で下りた先はエントランス風の空間が広がっており、白いソファーと紫を基調としたアダルトな絵画が飾られている。
案内された店内は横に長い空間になっており、前情報とおり奥行きのあるL字型のカウンターがある。
クッション付きの白いシートに腰を下ろすと、目の前に飛び込んでくる位置皿代わりのゴールドプレートに目を奪われます。
照明に照らされてキラキラと光を放っているのはモチロン、プレートとその一部を円形にくり抜いた箇所やカトラリーが天井に映っており、天井を見上げるとあたかも星が煌く田舎の夜空のよう。
全体的に「ラグジュアリー」がキーワードとなった雰囲気が店内を包んでおり、席間も余裕があるのでカウンターながらゆったりと料理が堪能出来ます。
料理がサーブされる前からムード満点で非常に雰囲気が良いです!
ちなみにプレートの上には封筒が置いてあり、中には本日のメニューが入っているというプレゼンテーション、予めHPを確認しているのでメニューは分かっているが、「封を開ける」という動作に期待が高まります。

最初にサーブされる熱々のパンは「シチリアの塩とオリーブが主役のパン」という、どこかで聞いたような危険なフレーズ(笑)。
パン皿にサーブされた瞬間からオリーブオイルのフレッシュな香りをバンバン放っており、表面に塗した荒々しい塩と共に主役級の主張をしている。
うん、確かに二人が主役だな~、名前に偽りなし!
ちなみに二つ目以降はSALONE 2007の白パンがオリーブパンと同じラージサイズで登場します。


まずは3PIATTINIから「鮪のタルターラ」。
鮪のタルタルが入ったカクテルグラスの下にはピューレ状と固体を残した赤茄子があり、上にはディル・エストラゴンといったハーブが散りばめられている。
白トリュフの芳醇な香りに誘われ、スプーンを底まで突き刺していただくとハーブ系の爽快感、鮪の旨み、赤茄子の苦味が段階的に飛び込んでくる。
この味の変化は本家のクッキアイオを大盛りでいただいている気分になる、最初から美味!

「蛸とチェーチ」。
赤ワインでじっくり煮込んだ蛸はクニッとした食感が本家の「鮮魚のヴァポーレ」そのもの!
ペースト状と固体の2種類の状態が楽しめるひよこ豆は食感のコントラストと共に「素朴さ」が料理のアクセントになっているように感じる。

「白身魚のブレザオラ」。
白身魚は仕入れで変化するらしく、この日は黒鯛。
オリーブオイルとカリッと仕上げたオレンジピールの2種の爽快感が極上のカルパッチョを思わせる。
塩味は控え目で、柑橘系の風味と白身魚のマリアージュを堪能する料理かと。


PESCEは「金目鯛のインパナータ」。
ここからは全てが全速力!舌を直撃するブレーキ吹っ飛び料理が続く。
低温で仕上げたインパナータは見た目とのギャップがあり、しっとりした仕上がり。
金目鯛はホロリとした食感で旨み凝縮、合わせて食べることでインパナータのしっとり感に納得、金目鯛の脂となるジューシーさを演出している。
対照的にカポナータはシャキシャキ感が軽さを演出しており、重軽のバランス感が素晴らしい!


PICCOLA DEGUSTAZIONE DI PASTAは2種で、まず「ルンゲッティ 雲丹と空豆」。
ソースは滑らかでややモッタリ感ある舌触りと青々とした空豆の風味が春らしく、にんにくでマリネした雲丹が旨みを担っている。
全体をかき混ぜると一体感が生まれるから不思議。
このソース、販売してないものか。

続いて「カルチョーフィのトルテッリ スティンコのラグー」。
厨房から出てきた時点でヤギのチーズ香が爆発!
当然ながら口内でも爆発、たまらん!
アタックはミルキー感が強いが、ローズマリーの控えめな苦味と旨みギッシリなラグーが後追いする頃にはドッシリ系に変化、幸せなマリアージュが堪能できます。


PIETANZAはスペシャリテの「仔羊のストゥファート」。
お店のスペシャリテであるこちらは基本的に毎回リストオンする予定とのこと。
ラムチョップの骨をはずして背中とロースの部分に分け、低温でじっくり蒸し煮している。
煮込みなのに切り口がロゼ色の火入れは素晴らしいの一言で、ロースはギュギュッと詰まった旨みが溢れ出す感覚を、背中はトロトロと蕩ける食感と甘さの奥に秘めた仔羊らしい癖を残した脂身を堪能でき、噛み締める度に幸せが訪れる完成度の高さは極上以外の何物でもない!
添えられたりんごのコンポートは蜂蜜や糖類の味わいが強いが、仔羊に驚くほどマッチしていて新たな味覚が楽しめる。
思い返せば人生最高のレストランテである『Ca sento』の仔羊ローストも蜂蜜ソースだったな~、ラムと甘みって何でこんなに相性がいいのだろうか、蜂蜜って素晴らしい!
再訪の場合は違う料理に変えてくれるらしいが、ず~っとこれでもいいや、と思える素晴らしい一品、こんな料理こそスペシャリテと呼べるのでしょうね。


DOLCEは「カンノーリのプロポスタ」。
円錐上のチュイルをスプーンで割ると中にはペコリーノチーズがin。
栗の風味が主張するソースがドロリと甘く、蜂蜜を思わせる糖質が激しく癖のないペコリーノに合う!
チュイルがサクサクした食感を追加するし、素朴ながら最後まで最高!


今回はオーダーしなかったが、ドルチェ後に追加料金でフォルマッジョをオーダーできます。
全8種類のチーズがそれぞれスプーンに乗せられ、各々ベストマッチな食材orジャムが添えてあるとのこと。
訪問時は調子に乗ってパン大量&仔羊大盛りにしたのであえなく辞退、楽しみは次回にします。

カフェはエスプレッソ、コーヒー、紅茶、カプチーノからチョイス。
小菓子はひんやりした「ファローネ」。
餡子やサツマイモに似た和な甘みを感じる。
食べた後に紅茶を飲むとミルクティーに変化するのは面白い。


SALONE 2007が縦横無尽のジェットコースターに例えるなら、こちらは垂直落下式のジェットコースターと言ったところ。
最初から舌を直撃する全速力の料理で、皿が進む毎にスピードを上げ、気づけば終着点といった印象。
席数が少ないお店だけあって調理スタッフも少なく、そのおかげで樋口シェフの感性が濃厚に感じられるという点では非常に魅力的なお店。
系列店も各々の個性を発揮しているし、それぞれ一級の料理を提供する層の厚さには脱帽ですね。
オープン直後に訪問したのに、この完成度の高さはヤバイ!

店のラグジュアリーな雰囲気が西嶋氏の柔らかく爽やかなサービスがマッチしてるし、場所や席数の少なさから今後は超予約困難な店になるんだろうな~。
正直、5月に関しては本家よりも美味しかったし、久々に迷わず☆×5を付けられるお店でしたが、新店訪問のウキウキ気分が追加されていたかもしれないので、あえての☆×4.5。
次回訪問時に改めてジャッジします、てか絶対に上昇修正ですがね。
「SALONEショック」が発生するまでは毎月通おうっと。

  • 地上のロゴ
  • 地下のロゴ
  • エロスな絵画

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2位

ラトラス (神楽坂、牛込神楽坂、飯田橋 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2010/07訪問 2010/11/06

モダンとクラシックの良いとこ取り!

『トゥール・ダルジャン』唯一の支店東京店を謳うこちら。
商店街を通り、人通りの少ない道に入ると見えるのは薄いオレンジの外装に青い扉と、実にビビッドな一軒屋。
入り口に立つスタッフの方に招き入れられて扉の中に進み入ると1Fは厨房になっており、ガラス張りながらも料理人の方々の仕事が拝見できる。
2Fのダイニングルームへ上ると一軒屋らしい温かみのあるウッディに白を差し込んだ内装。
レストランでフレンチと言うより友人のホームパーティーに招かれた気分になり、リラックスした雰囲気で食事が楽しめるので、記念日より「ちょっと贅沢」位の気分で行くといいかも。
でもお皿とカトラリー、は凄いの使ってるけどね。

夜は月代わりのコースが1本or2本用意されており、皿数は変わらず食材のグレードが値段に反映されている。
あえてプリフィクスを排除したのはトータルバランスを考慮してとのこと。
グラスワインもコースに合わせてチョイスしているとか。
今回は11,000円コースをオーダー。
まずはメニュー外の3種の突き出し。
全体的に塩が効いており、アペリティフを前提とした味付け。
中央の「三元豚とフォアグラのテリーヌ」のズッシリとした旨みと「茄子とバルサミコ」のフルーティーな酸味のコンビネーションが光輝いていた。

アミューズは「帆立貝の冷たいロワイヤルとスモークサーモンとマスの卵」。
ブールブランを使用した、所謂洋風茶碗蒸し。
ロワイヤルは舌触りが実に滑らか!
フッと伝わる帆立のフレッシュな風味にコンソメジュレで包まれた魚卵でコクを追加している。
突き出しからガツンガツン系が続くかな~と想定していたが、一変して軽さを残した程よいバランスを楽しめました。


冷製オードブルは田辺シェフのスペシャリテ「函館産 殻付きウニのムースリーヌとオマール海老のコンソメジュレ キャヴィア添え」。
ウニの殻ごと登場するインパクト溢れるこちら。
「またジュレ?」と思ったのも杞憂。こりゃぶっ飛ぶ!
オマールの風味を纏ったコンソメジュレどこまでも深く、複雑なコクを持っており、前皿とは別次元の美味しさ!
敷かれたウニを目を閉じていただくと、眼前には海、甘み以上に海の香りがガンガン伝わってくる。
上に添えたキャビアも必要不可欠、合わせて食べると塩味が全体をキュッと締める役を担っている。
海の贅沢食材を惜しげもなく使用したこちらは、見た目以上のインパクトを舌に残す素晴らしい一品でした!


温製オードブルは「フレッシュフォアグラのポワレとオニオンコンフィのガレット サマートリュフのサラダの一皿」。
まずファーストインパクトはサマートリュフの芳香。
プリップリのフォアグラは言うまでもなく美味で王道の濃厚ソースとの相性抜群、モリーユ茸のエスプーマも良い香りを追加します。
何より印象的なのはオニオンコンフィのガレット。
フォアグラの重さを引き立たせる軽さ役なんだろうな~と思っていたが、期待を良い方に裏切ってくれました。
こちらのオニオンはランス産を使用しており、も~風味が濃厚!
食感では軽さを担っているが、味はフォアグラに負けてないですよ~両者を立たせるバランスにうっとり。


ポワソンは「的鯛のポワレとオマール海老 トマトパルメザンリゾットとウイキョウのエマルジョン」。
見た目にも色鮮やかなこちらはフックラと火入れされた的鯛とプリップリなオマールの食感のコントラストは鉄板で間違いのない火入れ。
程よい塩振りで魚の輪郭をくっきりと浮かび上がらせており、噛むとジュワッと幸せが溢れてくる。
トマトやリゾットなど主張が強そうなガルニチュールが並んでいるが、全てがオリーブオイルと共に乳化されており皿上での一体感が堪能できます。


ローズマリーの風味を追加したパイナップルのグラニテを挟み、ヴィアンドは「鴨のローストとアンディーヴのオレンジキャラメリゼ 赤ワインポルトとイチジクのソルベ添え」。
『トゥール・ダルジャン』の代名詞である鴨料理、この日はロワールのシャラン産鴨。
皮目はパリッ、中身はレアと王道な火入れだが、そのコントラストは実に秀逸!
咀嚼するとしっとりした身からジュワッと溢れ出す力強い旨み。
筋感は無くキメ細やかな食感は噛んでいるだけで心地よく、気付けばスッと溶けている。
最後に旨みをギュッと閉じ込めるよう焼き付けた皮目と脂の余韻を楽しむ。
ペリグーソースも濃厚で鴨の旨みをグイグイ盛り上げてくれるし、イチジクで味の変化も楽しめるし、ガルニチュールも大盛りで美味しいし。
いやはや実にファンタスティック、マイベスト鴨です!


アヴァンデセールは「タイムとユリ根のプティポークレーム」。
シルキーな食感でほっこりとしたユリ根に甘いカラメル、上品なプリンと言った感じ。

デセールは「桃のスープとムース,エスプーマ ミントのシャーベット」。
桃の甘みをスープ、ムース、エスプーマと3種の食感で堪能できるデセール。
ミントのハッとする爽快感がアクセントとなり、サッパリしていて最後まで美味でした。


最後は4種のプティフールをお供にカフェ。
最初はクラシック一辺倒でドッシリ系かな~と思っていたが、とんでもない!
一皿一皿がアラカルトのボリュームで、ソースを味わう点ではクラシックではあるが、食材同士の繊細なバランス感覚やバターよりジュを多様するソースからは現代的な一面も併せ持っている。

ヴィアンドを食べ終えるとお腹がはち切れんばかりであったが、オイリーな料理からでは無く純粋に幸せなボリュームから来るもの。
(+パンで拭いたくなるソース(笑))
なので食後は心地良い満腹感、翌朝は清々しい目覚めができました。

訪問の際は予約必須だが、週末でも当月のメニューを見てから決断できます。
「今月のメニュー美味しそうなのに全て満席だ!」ってことがなく、かといって訪問すると空席がある訳でもない絶妙な具合。
11月のメニューも魅力的だし、この店は再訪必至です!

  • 3種の突き出し
  • 帆立貝の冷たいロワイヤルとスモークサーモンとマスの卵
  • 函館産 殻付きウニのムースリーヌとオマール海老のコンソメジュレ キャヴィア添え

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3位

オー・プロヴァンソー (麹町、半蔵門、永田町 / フレンチ、洋食)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2010/04訪問 2010/05/12

正統派で、一口目から大満足

麹町から程近い所に店を構えるこちら。
訪問時はガッツリビストロ気分だったので、課題店からニュアンスの近そうなこのお店をチョイス。
事前に把握していた情報は「中野食堂」「ハヤシライス」というキーワードで、カジュアルな雰囲気だろうと思い込んで身軽な格好で店内に入ると、あらビックリ!
正装したギャルソンに迎え入れられた店内はオレンジがかったパステルカラーを基調としつつも、ダークブラウンの壁枠に存在感あるブラックシート、パリッと整ったテーブルウェアと、まるでプティメゾン。
方やデニムにスニーカーと緊張感のない僕。
いきなり創造と現実のギャップという先制パンチを食らい浮き足立ちつつも、ゆっくりとシートに腰を下ろす。
ちなみに入り口から向かって奥の席は目の前が開放感溢れるオープンキッチンになっているため、料理が出てくるまでの過程を凝視できます。


今回は前菜・魚料理・肉料理・デザートからなる8000円のプリフィクスをチョイス。
まずはアミューズに「ニース風サラダのカナッペ」。
サクッとしたラスクに色鮮やかな南仏野菜とラヴィゴットソースの酸味が軽やかさを演出しており、底に敷かれたアンチョビの塩味が隠し味となっている。
複数の味覚がバランス良く配置されており、オーソドックスながら印象に残るスターター。

続いて登場する自家製パンは非常にユニークで、紙袋に入って登場。
パンを食べ切れなくても、包んでテイクアウトできるようにとの配慮だそうです。
いつもは残さずいただく僕ですが、せっかくなので今回は紙袋を利用しました。


オードブルは「オマール海老と芋セロリのムース オマール海老のコンソメゼリー」をチョイス。
プリップリで旨みの詰まったオマール海老とオマールの香りがギュッと詰まった上品な甘みのコンソメという、一つの食材で異なる味わいを楽しめるプレゼンテーションは言うまでもなく美味ですが、この料理の主役は芋セロリのムース!
モッタリとキメ細やかな舌触りが驚くほど滑らかで下拵えの丁寧さを垣間見えるし、芋セロリのまろやかな甘みがパワフルなオマールの存在感をググッと押し上げてくれます。
様々なお店で提供しているコンソメジュレ系の中でも間違いなく上位にランクインしますよ!


ポワソンは「鮎魚女のクリュスティアン、仔牛のエッセンスとシェリーヴィネガー」。
これは塩加減にただただ感動!
アイナメの味わいがビックリするほど立ちまくっていて、一口サイズにカットした白身でも丸々一匹をギュッと圧縮したかのような感覚を覚える。
明らかにアイナメ+αの味なんだけど全く塩って感じがせず、魚の旨みだけを強化し、引き出してる感じ。
「ソースが」とか「火入れが」で感動することはあっても、素材の味付けで感動したのは今回が初めてかも。
それゆえ、ソースに使用されたヴィネガーの酸味をもう少々控えめにしてほしかったなぁ。


ヴィアンドは「梅山豚肩ロース肉のコンフィ ベーカーオフ」。
今度は火入れに震える!
ホロリと解れるほどじっくりコンフィした肩ロースは脂身の甘みと赤身のコクがビックリするほど極上で、ギュッと噛み締めた時の溢れっぷりは「本当に煮込み料理なの?」と思うほどジューシー。
赤ワインソースも肉を引き立てる抜群のバランス感だし、豚の旨みをゴッソリ吸い込んだジャガイモピューレも反則的に美味しいし、食べていて思わず頬が緩んでくる。
今後、解れやすいだけでパッサパサのコンフィを食べた日には思わず皿を投げつけたくなる衝動に駆られるでしょう。
今後、他店でも「梅豚肉」の文字を見る度に注文してしまいそう、すっかりハマりました。


デセールは選択不可で「レモン風味のメレンゲ」。
ピーチジュレに酸味のあるフルーツを盛り合わせた一皿。
ん~これは普通、普通としか言えないなぁ。


ヌーベルキュイジーヌの盛り付けや繊細で多彩な味付けも美味しいですが、このレベルのビストロ料理を頂くとやはり変化球だな~と感じてしまう。(全てではないですが^^;)
一級の食材と一級の技術から提供される料理は、どれも一口目から舌に強烈なインパクトを残す160km超の剛速球ストレートと言った印象。
それゆえ、「ネオビストロ」というジャンルで括ると少々お高く感じてしまうのもしょうがないかな。
まぁ同レベルの店と比べてアッサリ予約が取れるから手数料と考えればいいか。

ともかく、他のフレンチ店で良く目にする料理をチョイスすれば、その違いに驚くことでしょう。
薄味が好みの方は異なった印象を受けるかもしれませんが。
最後がアレだったので竜頭蛇尾な印象を受けましたが、ヴィアンドまでなら☆×4.5!
ちなみにランチならワゴンデセールが登場するので、男女共々満足できると思います。

  • ニース風サラダのカナッペ
  • 自家製パン in 袋
  • オマール海老と芋セロリのムース オマール海老のコンソメゼリー

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4位

くろぎ (湯島、上野広小路、上野御徒町 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2009/12訪問 2009/12/08

繊細でバランス感覚の優れた味付けに只々感動

SALONE2007のように食べログで人気沸騰中のこちら。
重鎮レビュアー様も揃って高評価ですし、普段フレンチばかりで割烹経験がえさきのみという若造ながらカウンターでお一人様してきました。
予約は三週間前でギリギリ一人分、人気の程が伺えますね。

日本家屋の引き戸を開けると壁を丸く切り取った空間があり、カウンター内の側面が目に飛び込んできます。
黒木さんの「いらっしゃいませ」という呼び声で招き入れられ、一見さんらしく入り口隅のカウンター席を選んで腰を落ち着けました。
店内の若く鮮やかな欅がオープンして日が浅い雰囲気を作り出しており、それが敷居の高さを払拭しているためリラックスして食事が楽しめます。


八海山生ビールを注文し、先付の「初物 香箱蟹三杯酢掛け」がサーブされる。
ズワイガニの雌だけあり、小振りな手のひらサイズで全体的に女性特有の優しい甘味が印象的。
しっとりした身にプチプチした外子の歯触りが心地良く、蟹味噌と内子の異なるコクが実に深い。
また別皿で供された三杯酢が思わず飲み干してしまう程に衝撃的な美味さ!
酢の尖った酸味がなく丸みを帯びた感じで、うっすら感じる味醂の甘味と醤油、出汁のバランス感は黄金比と言っても差し支えないのでは?
綺麗に食べきった後、殻に熱燗を入れて甲羅酒を楽しめます。

続く先付は「あさつきの芽のぬた和え」。
花を思わせる程に華やかな酢の裏からほんのり開く上品な甘味の白味噌が本当に繊細で本日最初の昇天。
葱、独活は心地良いほどシャキシャキだし、赤貝は噛み締めるほど旨味が増すし、この素材だからこそ「ぬた」が活きるんだろうな~三杯酢に続いて驚嘆のバランス感覚!

最後の先付は「焼き胡麻豆腐」。
これも昇天レベル!
供された瞬間焦げた醤油の香りがブワッと広がり鼻腔を楽しませるのだが、食すと「あれっ、先程の香りはどこ行ったの?」って位控えめ。
その分胡麻の甘味が実に際立っており、薄皮一枚のみパリッと焼き上げ中身はトロ~っと仕上げる火入れは実にお見事。
この食感に思わず小やなぎの白子焼きが脳内を巡りました。


続いてお椀の「白味噌椀 丸餅 京人参 芽かぶ」。
椀を開けた瞬間に立ち上る甘い白味噌と爽やかな柚子の香りは忘れられません、またまた昇天!
何でもこの椀は京都のお雑煮スタイルらしい、今年の正月にチャレンジしてみようかな?


続いては凌ぎの「からすみ餅 辛味大根 ゆべし ばち子」。
しつこいようですが、またまた昇天作品の登場。
これで日本酒が飲めたら死んでもいいな~と思ってしまう。
事実、驚異的なスピードで燗が減っていく。
珍味全てに共通するが、塩味が海を思わせる程に自然で食材に物凄く馴染んでる。
もう塩を振りかけた食材を口にすると拒絶反応を起こしてしまいそう。

ゆべしは味噌・もち米・柚子を練り合わせて乾燥させたもの。
醤油に似た味噌とフルーティーな柚子の香りが意外なほどマッチしている。
パートドフリュイに似たモチモチした食感が印象的。

海鼠の卵巣であるばち子はカウンターで軽く炙るパフォーマンスの後に盛り付け。
乾物特有の噛み締める度に止めど無く広がる風味が反則的なまでに日本酒を誘う。
チープな例えで恐縮だが、最高級のアタリメを頂いているようだ。

からすみは餅用とで焼き、塩加減を変えているとのこと。
凌ぎの中で一番海を思わせる味わい。
テイクアウトもあるが100g7000円、う~ん悩ましい。。。

辛味大根は鼻を刺すような尖った辛味ではなく、棘を落とした上品な感じ。
他の凌ぎとは異なる味覚を提供しており、変化球的な位置付け。


続いては焼き物の「寒鰤の塩焼き」。
身はほんのりと輝きを出しており、鮮度と火入れの良さが伝わる。
早速食してみると引き締まった身からは旨味がギュッ詰まっているのに脂が実にクリア!
どっしりとクドいイメージは一切無く、「本当の鰤ってこんな味なんだ」と純粋に身の旨味を堪能。
ちなみに塩は控えめに仕上げているので、小皿で供される醤油をお好みで。


蒸し物は「かぶら蒸し 生湯葉 百合根」。
スプーンで緩いジュレに似た餡を開けると蕪の優しい甘味がブワッと鼻腔に広がり、これまた感動!
当然ながら出汁の効いた餡との相性は抜群だし、ちゃんと味が伝わる生湯葉やほっこりした百合根、上品な蒸し鶏とのバランス感覚も見事で実に美味しゅうございます。


続いてはカウンターで黒木さん自ら包丁を入れた御作りの「大間鮪 あおり烏賊 豊後水道鯛 肝ポン酢」。
お品書きには記載されてないが、他に「つぶ貝 しめ鯖」。
どれも醤油を付ける必要が無いほど美味しかったが、特に感動したのは「あおり烏賊 しめ鯖」。
蛇腹に包丁を入れたあおり烏賊は「おおっ・・・」と嗚咽が漏れる程に甘い!
身は柔らかいを通り越して蕩ける程ねっとり、筋も一切無いので口の中で溶けていくよう。
こんなに少ない咀嚼で烏賊が口から無くなったのは初めて!
しめ鯖も酢が鯖の脂を際立たせており、「〆るって保存以外にもこんな味わいを与えてくれるものなんだ」認識を新たにしました。
同じ皿に供されるマスカット・フルーツトマト・ドラゴンフルーツは口直し用。
トマトの甘さが際立ってた。

別皿で供されるあん肝は苦味など一切無くブランマンジェのように柔らかく滑らか。
柚子が香るポン酢も美味しいが、出来ればあん肝と別皿で頂きたかった。


続いては強肴の「和風牛タンシチュー」。
小さな湯呑に似た小振りなサイズで登場。
野菜の香味酸味が感じられるデミグラスソースは欧風カレーに近い。
牛タンのコクが溶け込んでかなり濃厚だが、柔らかく煮込まれた角切りの牛タンがワンスプーンサイズなのが実に奥ゆかしい。
まぁタップリだったら食べきれないか・・・


続いては香の物「丹波京漬物」、食事「塩辛の蒸し寿し 刻み海苔 山葵 高野豆腐 椎茸 三つ葉」、止め椀「蟹出汁味噌汁 豆腐 揚げ」が同時に登場。
香の物はじっくり漬け込まれており塩味が強め。
御飯や日本酒にはピッタリだろうが単体ではパクパク食べ続けるのは困難かも。

食事はおこわのように炊かれており、緩めの酢飯にほのかな柚子の香りが印象的。
塩辛は自然な磯味で烏賊に馴染んでいる。
噛み込んだ時にピュッと溢れる汁が実に澄んでおり、酒を選ぶ塩辛だなぁと感じた。
しかし、こんな美味い御飯がお代わり自由とは嬉しい限り!

止め椀はフッと感じる蟹の甘味が非常に際立っている。
葱の香味、豆腐の舌触り、揚げのコクが一つ一つ上質だし、朝からこんな味噌汁飲んだ日にはテンション上がりっぱなしだろう。


最後の甘味「葛切り」はカウンターで黒木さん自ら調理してくれます。
大理石のように滑らかな葛切りは思わず噛まずに飲み込みたい衝動に駆られる。
餡蜜もサラリとしつつも甘味が濃厚で上品。
ベタつきは無いのでそのまま舐めても大丈夫。


どの料理も感動的に美味しく、大満足の晩餐でした。
京味で鍛練した出汁は実に奥深く、調味料と食材のバランス感覚は実に繊細で、「味わって食べる」ことの幸せを感じました。
今までフレンチに傾倒している食べ歩きだが、このレベルを食すと方向性を改めねばと考えさせますね。
これからは日本料理も勉強しつつ、色々な割烹を食べ歩くことと思います。
しかし、僕にとって日本料理の基準がこの店になったのは吉と出るか凶と出るか。。。
生半可なレベルでは満足しなくなりそうですね(笑)

余談ですがキリッとオールバックの黒木さんは竹之内豊似で、下駄を鳴らしてカウンターを歩き回る姿は風格すら感じさせます。
フレンチ会もそうですが最近の若い料理人はルックスがいいですねぇ、良い物食べてると体のホルモンが化学反応でも起こすのかな?

  • 初物 香箱蟹三杯酢掛け
  • あさつきの芽のぬた和え
  • 焼き胡麻豆腐

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5位

ICARO miyamoto (中目黒、祐天寺、代官山 / イタリアン)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2010/10訪問 2010/10/23

ワイン飲み泣かせのオステリア

中目黒の商店街から一本入った雑居ビルの4Fにひっそりと店を構えるこちら。
店内は色が馴染んだ木製で統一されており、ひっそりと落ち着いた印象。
照明を絞るとバーにも使えそうです。

今回は大人数をいいことにカルトであれこれチョイス。
グリッシーニを摘みつつ、最初は「ウナギのマリネ マントヴァ風」。(今回の料理名は適当です^^;)
ハーブと共にギッシリと渦巻状に巻いたユニークなルックス。
淡白でキュムッとした食感のうなぎはヴィネガーが主役、華やかな酸味が楽しめる一品。
黒っぽく見えるのは肝でしょうか?独特の風味と滑らかな食感がアクセントとなって美味。

「トリッパのトマト煮」。
ワイン飲みにはマスト!こりゃすごい!
柔らかく旨味が強い和牛のハチノスにバシッとキマッた塩、それに負けない酸味を放つトマトにチーズの芳香。
全ての個性が強いのに見事に纏まってるのね、これでハーフボトル一本空けられそう。

「ポルチーニのインパナート アイオリソース」。
衣が細かくサクサクしたインパナートを噛み込むと、肉厚なポルチーニと共に秋の香りがブワッ!
味覚はアイオリソースが担当しており、ニンニク香とレモンの酸味が舌を楽しませてくれます。

「トルテリーニ イン ブロード」。
小さなラビオリの中には仔牛と鶏のレバーが入っており、コンソメに似たスープに浮かべて登場。
ラビオリの中には子牛の旨味と鳥レバーの風味ギュッと詰まっている。
ラビオリはモチモチ感が少なく、それが返って郷土料理っぽさを強く感じる仕上がり。
食べていてホッとするな~。

「パッパルデッレ 蝦夷鹿のラグーソース」。
こちらは当店のスペシャリテ。
ギッシリと旨味が詰まったラグーは血っぽさすら感じさせる。
ホロリと崩れる食感とパッパルデッレのプリプリとのコントラストが印象的。

「山鳩のロースト」。
ジューシーな胸肉、プリプリとフレッシュなハツ、深みのあるレバーと、山鳩を余す所なく堪能。
見た目のとおり滋味深い味わいを楽しめるが、火入れも見事!
ハツのロゼ具合とレバーの配色に目も楽しめます。

「トスカーナ産豚のグリエ」。
イタリアンといえば炭火を堪能せねば。
カリッと焼き上げた炭火香とタップリ乗った脂身で最後までワインのペースが落ちない!
マスタードの酸味が味の変化役、飽きずにペロリといただけます。

「カタラーナ」。
イタリア板クレームブリュレと言った感じ。
グレープフルーツと合わせており、甘みの中にも爽快感あり。


料理はどれもガツンと塩がキマッているが、素材の味や風味を堪能できるバランス感覚も併せ持っている。
綺麗なイタリアンとは異なり、良い意味で洗礼されてない現地っぽい皿々。
そんな料理に負けない厳選ワインとのマリアージュは至福の一時。
カルトのポーションも大盤振る舞いで、満足度は相当高いです!
これでプラッと入れれば良いんだけどな~。

  • うなぎのマリネ
  • トリッパのトマト煮
  • ポルチーニのインパナート アイオリソース

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6位

キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ (都庁前、西新宿、西新宿五丁目 / フレンチ、レストラン)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2010/08訪問 2010/11/20

オリジナリティ溢れる色彩と味の構成

ハイアットリージェンシーの1Fに店を構えるこちら。
ホテルの入り口を通り「お店はどこかな?」と、あっちウロウロこっちウロウロ。
5分ほど迷った挙句、入り口が2Fだったことに気付き、エスカレーターでお店に向かう。
思い込みって思考を盲目にさせますな。
今回は個室にお篭りだったので、ダイニングの雰囲気は不明。。。
10名以上は入るであろう個室でお篭りランチを楽しみました。
噂の肘掛の高いシートに座り、メニューを眺める。

この日はランチに訪問で「CHEMINS TRACES...案内のある旅」をチョイス。
メニューを眺めるとオードブル、メイン、デセールと少々頼りない感じであったが、4種のパンやアミューズにグラニテ、プティフールと計10種類以上の料理を堪能できたので、不安は杞憂に終わりました。

まずはアミューズ3品。
手前はサモサ風の春巻きで、パリッとした触感にシェーブルチーズのインパクトが感じられ、アプリコットで癖を和らげている。
若干スパイシーなチーズがサモサの触感との相性を考慮しているのだろう、程よい重さで泡が進む。
中央のワンスプーンは湯引きした鯖にクランベリーと酢で合わせた、言わばシェフの感性によるシメ鯖と言ったところ。
鯖の脂っ気を酢で抑えつつ、クランベリーで軽やかな酸味を演出しており、鯖がすんなり受け入れられる。
奥に控えるスラ○ムもどきはグリーンピースのムース。
グリーンピースの濃度を感じた直後にキャラメリゼした甘いオニオンとオレンジピールがドドッと押し寄せ、味の変化を楽しめる一品。
軟体な食感には棒状のチュイルでサクサクとした存在感を追加している。
アミューズ3品はどれも個性が光っており、個々が独立した刺激を構内に充満させてくれる、充実した内容。

続いてもメニュー外のアミューズで「蒸したバイ貝にリンゴのゼリー仕立て」。
これはリンゴの甘酸味の独壇場。
バイ貝は弾力ある触感と旨みを担当し、舌に感じるのは熟した青リンゴのイメージ。
酸味が先行しているが、甘みも併せ持つサッパリアミューズです。


さて、ようやくオードブルに到着し「パプリカをまとったヒイカのポワレ 蟹とキュウリのクロカン パセリ ツナ・ヨーグルトのソース」がサーブされる。
ヨーグルトのソースを後がけするプレゼンテーションで料理が完成。
ヒイカのクニッとした食感にキュウリのシャキシャキ感がアクセントとなったこちら。
主役はケッパー、ヨーグルトがベースとなった複雑な酸味で、奥深い味わいが実に素晴らしい!
なのに食後感がサッパリしているので食べ疲れせず、非常に夏らしい一品。
雑に言ってしまえばイカとキュウリの仏風酢の物って感じか?


メインの前に一皿「豆腐のラビオリ ソースアラビカ」。
長方形で中央が盛り上がった白い物体は、お楽しみがギッシリ入っている。
ナイフをプスッと突き刺すと茶褐色のコーヒーソースがトロリと顔を出す。
味・香り共にコーヒーだが、同じく内包されたマスカルポーネのほのかな甘みと酸味が角を和らげてくれる。
奥に隠れたレモンピールが柑橘の余韻を与えてフィニッシュ。
見た目はシンプルだが、実に奥の深い一品。
ちなみにこれは本店でも登場するとのこと。

メインは肉をチョイスし、「プラチナポークのクルスティアン カルダモン風味のジュ チェリーと紫キャベツ」。
まずは赤・黄・緑と華やかな配色の皿にうっとり。
クリスティアンに火入れした豚はバゲットのようにパリッとした皮目と身のトロッとした食感のコントラストが秀逸。
別皿のフォンドヴォーは肉との親和性が高く、見事に馴染んでいる。
だがベリーソースの酸味の主張と見た目通りオイリーで塩が強めな点は賛否が分かれるところ。
ん~グランメゾンクラスでも骨太ヴィアンドが出るんだな、ガッツリ気分の時は肉のチョイスが正解。


アヴァンデセールの「パイナップルのグラニテとココナッツアイスクリーム」を挟み、グランデセールは「ショコラ・バジルの"ビロード"赤い果実のソルベ」。
文字通りビロードのような食感にショコラで重さを、フッと口内を通るバジルの爽快感が斬新。
赤い果実はクランベリー、カシス、キイチゴを使用しており、複雑な酸味を感じさせる。
散らした松の実でサクサク感も忘れずに。

プティフールは『SALONE 2007』同様の綺麗な盛り合わせ。
訪問時は夏ということもあり、酸味を感じさせる皿々から季節感が感じられて満足でした。
料理はカラフルな配色で眺めているだけでワクワクするし、「そう組み合わせるか~」って食材でもバッチリ決めてしまうバランス感覚は素晴らしい!
こういうのは芸術的なセンスも必要でしょうね、目も舌も楽しめたランチでした。
空間もサービスも隙が無く、さすが二つ星!もう少し早く訪問すべきだったと若干の後悔。
こりゃ~ディネも訪問せねば!

  • サモサ風の春巻き
  • 鯖のワンスプーン
  • グリーンピースのムース

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7位

ecurer (広尾、乃木坂、表参道 / スペイン料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2010/01訪問 2010/01/15

食を突き詰めたお店とは

美食の王様が立ち上げた話題のお店。
ずっと興味があったものの気軽に行ける金額ではないわ、レビューが上がらないわで情報が伝わらず一向に心のモヤモヤが晴れない。
「それなら行ってみよう!」という一声で男4人という異様かつ濃すぎるメンバーで訪問。

六本木通りに面した看板の無い階段を下ると正面に『écurer』のロゴを発見。
店内は白を貴重とした中に店のカラーと思しきダークグレーが散りばめられたシンプルな空間で地下ということもあり天井は若干低め。
フロアの座席は全て黒皮のドデカシートと重厚な雰囲気を放っている。
座り心地は申し分ないけど、肘掛が高くて窮屈に感じるのがやや難点。
個性的だったのはBGMのスピーカーが天井ではなくフロアの隅に置かれていること。
直方体状の立体音響スピーカーだけあって広がりはあるものの、席がスピーカーの近くということもあって横から音が届くのは気にする程ではないがちょいと違和感。

今回はお店の全力を体験すべく16000円のコースをオーダー。
こちらだとパン・ガトー・コーヒーという「王様スペシャル」が付いてきます。
12000円コースだと「王様スペシャル」がお目見えしない分、後藤シェフによるデセールが一品追加されます。
パンも1種でコーヒーも普通のものになるとのこと。
ちなみにウォーターチャージ500円で炭酸有・無共に恐らく飲み放題。
ワインは料理に合わせてバイザグラスで6000円のものがあり、そちらをチョイス。
全部で5杯サーブされ、いずれもほぼ通常のポーションで登場するので合計600ml前後とお特感あり。
今回はビオなど個性的なワインが並びました。


まずはアミューズに「カリッとした脂 ~ハモン イベリコ デ ベジョータ~」
個性的なタイトルは後藤シェフのインスピレーションによるものとのこと。
ゴマが敷き詰められた小振りな器から生えた三角錐の物体を手で摘んでいただきます。
パイ生地のサクサクした小気味よい食感で挟まれたイベリコは旨味が非常に強く、咀嚼の度に力強さを感じる。
しかしながら脂の甘味より塩気が勝っており、頭の中で連想するものは「ビーフジャーキー」。
いや、別に悪く言ってる訳じゃないですよ、シャンパンのお供にはいい感じ。


最初のオードブルは「カロチン ~にんじん・ミカン・あんぽ柿~」
左手はグラスなのに温製スープ。
まろやかな京人参のムースが主役の位置付けながら温州蜜柑のエスプーマが濃厚な風味を作り出し、沈められた金柑のコンポートが弾力ある食感と京人参を浮き出す甘味を演出している。

右は見たまんま人参だが、あんぽ柿で見立てているもの。
印象は若干肉に似た味わいの甘い人参といったところ。
カダイフは軽い食感と揚げた重みを与え、ベッタベタだが天婦羅のよう。

ここでパンの登場。
事前に王様が「本日お出しするパン」を見せてくれる。
その後のサーブまでパン関係は王様の仕事。
久々にいただく『ブランジュリタケウチ』の「天然酵母のオリーブパン」は泣けるほど美味かった。
何だか本店で頂いた時より感動した気がする。


続くオードブルは「美白 ~カワハギ・肝・マッシュルーム~」
薄くスライスしたマッシュルームは軽い食感を残しており、粉末上のポルチーニが繊細な香りを引き立たせている。
マッシュルームの陰にはアンコウの切り身が添えてあり、むっちりと肉厚な食感で淡白だったと記憶していた印象がガラリと変わった。
添えられたソースとの相性も良く、カワハギ肝の重いコクをレモンの酸味が見事に和らげており実に美味!
ただマカダミアナッツでソースの存在感を際立たせようとしたのだろうけど、個人的にこれは主張しすぎな印象。
肝レモンで十分美味しいので、食感というエッセンスを加えずストレートに堪能したかったなぁ。


続いて後藤シェフのシグネチャ・ディッシュである「ホタテパン ~ホタテ・黒トリュフ・カリフラワー~」
カリカリパンの裏に黒トリュフを挟むのは『ア・ニュ』野鳥のジビエでは鉄板の調理法ですね。
パンで挟んだまま火入れした貝柱は独特の繊維質感じる食感で実に柔らかく、噛みこむ度にホタテの旨味エキスがガンガン攻めてくる!
そこへ加わるサクッとした食感のコントラストが実に心地良い!でもパンの塩がちょいキツめかな?
ホタテって弾力あるイメージがあったけど、こんなにフックラ柔らかになるんだ~とプチ感動。
添えられたカリフラワーのピューレは淡白なカリフラワーの風味を前面に押し出しつつもクリーミーなコクを追加しており、さながらベシャメルソースのよう。
でもスゲー軽いの、ホタテが全く消えず寧ろ旨味がくっきりする感じ。
さすがシェフのスペシャリテ、堪能しました!


最後のオードブルは「じゃがバター ~フォアグラ・さつまいも~」
サーブされた時に鼻腔をかすめるフォアグラの香りに思わずニッコリ。
極厚のフォアグラの背後には安納芋・紅あずま・パープルスイートを練り合わせたオールスターズが鎮座。
こちらはフォアグラをバターに見立て、一緒に頂くことでじゃがバターが完成するという趣向の一品。
フォアグラはプルプルでシェフの火入れ技術の高さを感じるが、あくまで芋が主役なので意図的とは言え、ちと旨味に欠ける。
サツマイモスペシャルは存在感ある甘味で申し分なし!
ただ一緒に食べてじゃがバターになるの?って尋ねられると、頭に?がよぎる。
芋の個性が強すぎてサツマイモにバターを溶かして食べてる感じです。
う~ん個人的には立場を逆転させてフォアグラの旨味を際立たせて、甘ぁ~いサツマイモオールスターズはピューレ状で添えてあった方が好みかなぁ。


ポワソンは「潮風 ~クエ・しじみ・青菜~」(あれっ、写真がねぇ!)
蜆・青菜・蜆ジュレを使ったソースはトロミがあり青い香りが印象的。
蜆は小粒ながら力強い味わいを持っているものの、印象はズバリ「七草粥」。
貝出汁が効いた優しい味わいがトロミを持った分クエに絡みやすくて良く馴染む。
全体的に塩を感じるものの、和食の様な繊細な印象を受けました。
ちなみにクエのポワレはしっとりしつつもホロリと解ける火入れで美味。
『オトワレストラン』でも魚部門担当だったし、魚介が得意なのかな?


ヴィアンドは「来日 ~鴨・焼きネギ~」
コンベクションで見事なロゼ色に火入れされたシャラン鴨はサーブされた瞬間に鮮度の良いレアな香りが漂う。
一口頂くと絹の様な滑らかさを感じつつも、実にジューシー極まりない!
口内で止め処なく溢れる肉汁の量は間違いなくトップレベルだし、カリッと焼き上げた皮目の苦味がアクセントとなって肉質の鮮度をより高みへと引き立てるし、骨のジュが味に深みを与えるし、シャラン鴨としては過去最高の一皿かも!
そんな極上ジュースがフォークをあてがうだけで皿に染み出すのを見て「ああ~勿体無い!」と感じつつ堪能しました。
ガルニチュールに配置されたササミも同様に極上レベルです!

下仁田ネギを使用したピューレは甘味の裏に隠れた香味がアクセントとなり、シャラン鴨に異なる一面を与えてくれる。
カリフラワーの時も感じたけど、後藤シェフのピューレって実に僕好み。
主役となる素材を押し出しつつも脇役がほんのりと新たな魅力を与えている感じが最高!


デセールは「タルトタタン ~紅玉・シナモン~」
中央には紅玉のアイスが添えてあり、その周りをクランベリーから抽出したエキスを使用したエスプーマが包んでいる。
アイスが蜜を、クランベリーが酸味を担当しており、その味わいは驚くほどにリンゴ!
サクサクのクランブルが食感を担当し、一緒に食べると正にタルトタタン。
流行の再構築系デセールですが、こちらの再現度はかな~り高いですよ!


最後にプティフールの登場ですが、ここで再び王様登場。
6種の「王様スペシャルvol.ガトー」はどれも極上で甲乙付け難いが「フロマージュ キュイ」がベスト。
最後にボリュームあるプティフールだったが甘いものは別腹、パクッと完食です。

食後のコーヒーは王様厳選の「グランクリュ カフェ」
シャンパンのハーフボトルに入ったコーヒー豆はテーブル毎に抜栓し、贅沢にも使い切るとのこと。
「いかに貴重か」という講釈がありましたが字数制限のため割愛。
抜栓した瞬間から放たれる香りはキャラメルの上品な甘い香りにひたすら深いカカオ香が実に極上、まさに「グランクリュ」と呼ぶに相応しい!
食事中にお隣さんで抜栓されると意識が持って行かれるから困ったものです。
その後も王様自らテーブルでコーヒーを2度(あわせて一人分)煎れてくれます。
1杯目は軽やかな酸味を感じ、2杯目はカカオの主張が強くなっているのはプティフールを食べる順番を考慮してでしょう。
香りでは大感動モノだったけど、味はコーヒー初心者の僕が理解できる範疇を越えてました。
ちなみにホタテパンやシャラン鴨など、至る所で料理のエッセンスとしてこの子が出現してました。


料理はどれも美味しく後藤シェフの技術の高さも堪能できて満足だったが、「あと一歩パンチが欲しい」という感じ。
どの皿も見た目や説明通りで分かりやすい味であったのも要因だが、振り返って見ると「王様スペシャル」が見え隠れしているのが大きい。
確かにパンもプティフールも美味しいに越したことはないけど、あくまで料理が主役じゃないの?
点と点、いや巨星と巨星が散りばめられているコースという印象を受けました。
う~ん、どれも単体ではハイレベルだったので非常に残念!
実に豪華な「料理同士の喧嘩っぷり」を堪能できました。

余計なお節介だけど、次回のジャンルはどうするのだろう。
内装もそうだが、サービス陣も毎回変える訳じゃないよね?勉強が大変そうですな。
構想を考えるだけでも膨大な時間がかかるだろうし、このお店が落ち着く日は来るのでしょうか。

  • エキュレ
  • お尻が光る蛍カトラリー
  • 見る角度で模様が替わる位置皿

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8位

ボノミー (五反田、大崎広小路、大崎 / ビストロ、フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2010/09訪問 2010/09/16

スタイリッシュなネオビストロ

五反田に突如オープンしたネオビストロ。
そんな噂が耳に入ったので、突発的に訪問。
およそビストロらしさを感じられない小洒落たドアを開けると店内は縦に伸びており、内装はダークブラウンを主体としてダウンライトが優しく店内を照らしている。
内装だけ見るとビストロっぽさは微塵も感じられず、BARにでも来た気分になります。
その雰囲気から思い描くと、ビストロながら1~2名がフィットしそうな感じです。
ま~席数は多いので4人、10人ドンと来いっ!て感じ。
でも大勢だとこのお店の魅力は伝わらないだろうな~、細々とした料理でなく、デンッとビッグポーションで堪能すべき皿々でした。

さて、料理はアラカルトオンリーで日替わり。
前菜/主菜/デザートと分かれたカルトで独特なのは、野菜単品をデリな感じで提供している所。
一品400円だが、4種盛り合わせにも対応している。
カルトに記載していたが、アミューズ的なポジションだろう。
また、バゲットは200円でお代わり自由、じゃがいものグラタン ドフィノワを追加すると400円で両者がお代わり自由と、かなりクレイジーな値付け。
今回は料理を堪能したかったので、こちらは次回のお楽しみ。

ワインはグラスで泡・白・赤・デザートが2~3づつ。
ボトルは3800円からミレジメや1級シャトーまでと幅広く取り揃えてありました。
ワインもしっかり堪能できそうなリストです。


チョイスが終わり、まずはアミューズに「パルメザンのラスク」。
バゲットにたっぷりと粉状のパルメザンを振りかけ、サクッと焼き上げたこちら。
パルメザンのコクがバッチリ感じられ、ワインが進む進む。

前菜は2品チョイスし、まずは「じっくり炒めた玉ねぎのタルト」。
見た目は少々グロテスクだが、味は本格的、最初からブッ飛び!
ねっとりとペースト状の玉ねぎはアタックが強く、とにかく甘いっ!
それと同じぐらい濃厚なコクが同時に舌に飛び込み、きっちりと前菜してます。
何かと一緒にじっくり炒めてるのでしょうが、その「何か」を無性に知りたい。
フォンやジュかな?

続いては「豚のテリーヌと自家製ピクルス」。
ビッグサイズの豚のテリーヌは肉質しっかりでややハードな感じ。
しかしながら口内ではホロリと崩れる食感で、豚の風味や甘みも力強く伝わってくる。
特に印象的なのがレバーの分量が多いのか、内臓風味が他店よりも強く舌に残ったこと。
内臓好きにはたまりませんな~。
ガルニのピクルスはシャキッとした鮮度と軽くフルーティーな酸味が印象的で、パクパクと食べられます。


主菜はお肉から「ニュージーランド産 子羊のローストと茄子のピュレ」。
見た目とおり綺麗なロゼ色に火入れされた子羊は、肉質が超柔らかい!
久々に咀嚼で歯が沈んでいく感覚を堪能、その後のジュワッと溢れる肉汁も美味。
舌触りも滑らかで、まるで牛ヒレ肉を食べているようだ。
それより何より、本日のベストだったのが茄子のピュレ。
固体を残したピュレは驚くほど茄子の旨みが凝縮されており、重さのないコクを堪能させてくれる。
さらに紫蘇の風味がフッと舌を通り、更なる軽さを演出。
こちらも玉ねぎ同様、茄子プラス「何か」があるんだろうな~、それが気になる。
正直、自分の5本指に入るくらいのソースでした、この茄子はヤバイ!


デセールは「クラシック ブランマンジェ」。
甘ぁ~く濃厚なブランマンジェはアーモンドの風味がアクセント。
最後も美味しくいただきました。


そんな『BONHOMIE』。
こんなに腹一杯食べて飲んで6000円でお釣りがくるなんて、食後も満足度高し。
さらにサービス料ナシって、CP高すぎで申し訳ない感じになります。
料理は味付けが僕の好みにドンピシャ!さらにビッグポーション♪
美味くて安くて居心地が良いと、久々に三拍子揃ったお店に出会えました。
いや~これは通っちゃうな。

  • じっくり炒めた玉ねぎのタルト
  • 豚のテリーヌと自家製ピクルス
  • ニュージーランド産 子羊のローストと茄子のピュレ

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9位

レフェルヴェソンス (表参道、乃木坂、広尾 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2010/11訪問 2010/11/17

フレッシュ野菜と科学の融合

『サイタブリア』の跡地に店を構えるこちら。
前店から経営母体は変わらず、わずか10日でメゾンクラスのフレンチレストランに早変わり。

こちらの売りは何と言ってもシェフの経歴。
洞爺湖ウィンザーホテル内にある『ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン』でスーシェフを務めた後に渡英。
現地ではロンドンにある三ツ星&世界レストランランキング1位(2010年は3位)に輝いた『The Fat Duck』でスーシェフを経験。
しかも厨房にはパソコンがあるとか無いとか。
こんな光輝くプロフィールを見たら高揚せずにいられない!

レセプションで予約名を告げると右手のラウンジで同行者を待つ。
天井が高く十分なスペースが保たれているため開放感は抜群。
黒革のシートに腰を降ろし、勧められるままにドリンクをオーダーすればラウンジに張り付きたくなる。
この時点で「あ~サービスが行き届いているな」と感じるほどの心地よさです。

同行者が揃った所でダイニングルームに通される。
天井こそラウンジより低いものの、広々とした空間にゆったりした間隔でテーブルが配置されており、閉塞感は皆無。
白を貴重として清潔感溢れており、バーカウンターや店名にもなっている泡のオブジェが高級感を演出しています。

特徴的なのは3席ある半個室のボックス席。
ダイニングを見渡せる配置でちょっとした優越感があり、仕切りがある分、周囲を気にせず落ち着いて食事が出来ます。
3人が適当だけど、カップルで二人の世界に浸るには持って来い、希望者は予約時点での指定がマスト。
ちなみに12名まで収容可能な地下の個室は訪問してからのお楽しみ。
一度は使ってみたい贅沢な空間です!


さて、こちらのディナーはコース2本立て。
選択は当日でオーケー、テーブルで合わせる必要もありません。
今回はコンセプトコースであり、野菜をふんだんに盛り込み、明るく快活なイメージに仕上げた「La Lumiere(光)」をチョイス。
那須高原の自社菜園より採れたての無農薬野菜や有機野菜を使用しており、野菜へのこだわりを感じたのも背中を後押しした要因。
ちなみにワインはグラス3~5杯のデギュスタシオンが可能。(5杯で3990円)
それ以上はソムリエさんと相談すれば対応してくれます。

まずはアミューズの「キャビア、コノア、アヴォカドのムースを2口で」。
しっとりしたキノアのチュイルとネットリしたアヴォカドの対比からスタート。
何より強い余韻が印象的だったが、何の風味だったかな・・・
一方は紫蘇を乗せたフルーツトマトの冷製スープ。
甘みはほんのり感じる程度だが、トマトと紫蘇の酸の爽やかなバランスが光る。

続いて温製アミューズ「こどもの日の思い出から~「ジ・アップルパイ」鶏肉のラグー、フォアグラを3口で」。
料理名にテーマを付加するのは『HAJIME RESTAURANT GASTRONOMIQUE OSAKA JAPON』同様。
この共通点は『ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン』から来るのだろう。
シェフのメッセージを添えたお皿の上には、あまりにもアレな赤い包み(笑)
リンゴの甘みを付したサクサクパイにフォアグラの重さを合わせた一品。
本家はリンゴが主役だが、こちらはゴロリとしたラグーの旨みが強かったな~。


さて、続く料理は「大地と海と~100日舞茸と宮城県産牡蠣のポワレ、桜肉をまとって 黒大根のピューレとゆずのヴィネグレット、高原の野菜」。
通常の舞茸は50日物だが、こちらは倍の100日かけて育てているだけあり、旨み、風味、食感全てが実に力強い!
小振りながらプリッとした牡蠣も舞茸同様に存在感抜群で、被せるように配置した桜肉は赤身の妙、むっちりとした肉の旨みで大地と海を統一してくれる。
何よりインパクトが突出していたのが黒大根のピューレ。
「丸々一本使用しているのでは?」と勘ぐりたくなる程に大根をギュギュッと閉じ込めた超濃縮ピューレは舌上で爆発、鼻腔を抜ける余韻も大根そのもので大地の底力の高さを堪能!
そんな個性の塊たちを柚子の酸味が見事に和らげていました。
ただ、パラリと振りかけたペッパーが若干支配率が高かったかな。


続いては「柔らかさと苦味と~のど黒の低速調理 グレープフルーツのチャツネ、生姜風味のフランと甲殻類のキャラメル、インゲンとミント」。
低速と低温の違いは不明だが、身がしっとりと光り輝く点と、ホロリと崩れて口内でプリッと解ける食感は共通で素晴らしい火入れ。
塩を最小限に抑えた味わいは実にソフトで淡白だが、3種のソースを舐めて納得、これはソースの個性を堪能するためだろう、と推測。
黒大根のピューレ同様、甲殻の風味をギュギュッと閉じ込めた特濃ビスクとプルプルの生姜のコンビネーションは海の食材という親和性の高さにうっすら辛味を覗かせることでインパクトあるソースに仕上がっている。
グレープフルーツも驚くほど濃厚で、酸味と苦味を十分過ぎるほど堪能できるが、皿の中で若干浮いた印象。
個人的に苺やらフルーツを使ったソースがチョイ苦手だからかな。


「丸ごと火入れしたカブ 黒トリュフ、パセリのエミュルション、生ハムとブリオッシュ」。
ランチでは全てのコースに組み込まれており、ディナーでは黒トリュフが追加されている。
これを食べずして『[a:13116356]』に訪問したとは言えない、衝撃、圧巻なカブ!
4時間じっくり火入れしたカブはカトラリーから伝わる感覚こそ通常であるが、薄皮一枚内側に歯を沈めた瞬間に「ジュワッ」。
止め処なく溢るカブのエキスが口内の隅々まで旨味を広げてくれる。
ベーコンの塩味とチーズのコクがカブのエキスに重厚さを追加しており、野菜という枠を飛び越えた衝撃的な一品。
この完成度の高さは素晴らしい!感動的です。
冬に旬を迎えるカブ、ぜひこの料理で季節毎の味の違いを堪能してみたい。


「お口直しの緑色」。
カブの葉を使用したドリンクのルックスは青汁そのもの。
しかし香り・味ともにリンゴという、摩訶不思議で遊び心溢れる一品。
粗漉しでリンゴの果肉が楽しめるのも好印象。

さて、ここでメインのナイフを選ぶプレゼンテーションを挟む。
このカトラリーへの拘りはミシェル・ブラスから来るものだろう。
そして「ヴァンデから来たピジョンのロティ そのジュ 根セロリのピューレと林檎&セロリのブリュノワーズ、ヴィネーグルレデュイ」の登場。
ポワソン同様、吸い込まれるような赤色を残した鳩の胸肉はギュッと噛み締める程に力強い旨味が溢れ出す。
ガルニチュールもシャキシャキ、サクサクとした食感で口内を楽しませてくれる。
一番の印象は脇に添えられたスパイス。
鳩に旨味を追加するのはもちろん、花のような余韻を舌と鼻腔に残してくれる華やかで不思議なスパイス。
う~ん、このスパイスの原料が気になる。


続いては「厳選チーズ」と「時期のお野菜」のどちらかをチョイスだが、お店からのご好意に与って両方ゲット!
チーズは残った赤ワインと抜群のマリアージュ。
野菜はミシェルブラスのガルグイユそのもの!
フレッシュな野菜にライムの酸味がアクセントヴィネグレットソースをかけただけのシンプルサラダ。
ピューレの時のような濃度は感じられないが、野菜の瑞々しさ心地良いサラダでした。


デセール一品目は「再構築されたイチジクのタルト ヴァニラのアイスクリーム」。
甘さ控えめのイチジクに濃厚バニラアイス、ローストしたクルミ、イチジクのコンポートが乗せてある。
タルト生地も重ねてあるため、全て一緒に食べると納得の再現性。
多々ある再構築系でも、こちらの再現性はかなり高いです!
欲を言うなら、イチジクの皮がカットしにくく、全体がバラけてしまう点が歯がゆい。

デセール二品目は「巨峰、マスカットアレクサンドリア、デラウェアのスープ仕立て」。
瑞々しくフレッシュな酸味のトリオにヨーグルトソルベで爽快感を追加。
そこにフルーティーなオリーブオイルがアクセントに加わるが、不思議と透明感を感じる味わい。
一体感が素晴らしいです。

最後は遊び心溢れるミニャルディーズと共に当店オリジナルブレンドのハーブティー「ソラ」。
レモングラスとミントをベースとしたハーブティーはネーミング通り碧色をしていて色鮮やか。

コレで終わりと思いきや、最後に「おみや」。
メレンゲとクッキー、共に美味なり。


料理・サービス共にオープン直後とは思えないほどの完成度で、洗礼された内装も手伝って上質な時間を過ごせました。
料理は食べ手のペースに合わせてサクサク出るし、ソフトで余裕のあるサービスは非常に好感触。
訪問時は空席が目立っていたので、満席の時のサービスも見てみたいところ。
肝心のお値段は、15,750円フレンチで頭に浮かぶのは『カンテサンス』『HAJIME』という豪華すぎる顔ぶれ。
それらと比較すると、現時点ではやや後塵を拝するかと。
料理は野菜がメインのコースをチョイスしたため、どちらかと言うと『ミシェルブラス』寄りな印象を受けました。
しかし、アップルパイやお口直しではエンターテイメント溢れる料理を堪能できたし、「L’Ombre(陰)」コースでは『The Fat Duck』色の濃い科学技術溢れる料理を堪能できそう。
総じて美味しかったが、今回は味ではなくエンターテイメント性に対する驚きの方が勝ってる感じ。
今までに馴染みのない料理が多かったので、食べ慣れると素晴らしさに気づきそう。
きっと双方のコースを堪能することでこのお店の魅力が理解できるのだろう、ってことで再訪は近い。

  • 位置皿
  • キャビア、コノア、アヴォカドのムースを2口で
  • 紫蘇を乗せたフルーツトマトの冷製スープ

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10位

ガストロノミー ジョエル・ロブション (恵比寿、目黒 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥15,000~¥19,999

2010/06訪問 2010/06/24

絢爛豪華な美食の城

東京には数多くのフレンチ店があるが、その中でも一際大きな輝きを放つこちら。
「いつかは行くぞ!」という意気込みばかりで訪問機会に恵まれなかったが、とある方からのお誘いで初の入城。
1階にはセカンド的な立ち位置の系列店があるが、そちらを飛ばし、いきなりの2階デビューです!

ダイニングルームはバカラのシャンデリアにシャンパンゴールドの壁、床とテーブルはブラックで統一されており、絢爛豪華で洗礼された空間は入った瞬間から非現実世界に引き込んでくれる。
その世界の案内人であるサービス陣も実に好印象。
慇懃無礼にならず、かといってカジュアル過ぎず、客からのアドリブにも強く、安心して身をゆだねられるサービスは流石。
ここと『レストラン・ロオジエ』のサービスは三ツ星の権威を感じさせてくれます。
ワインリストは実に素晴らしいものであるが、料理とのマリアージュを楽しむにはある程度の用意も必要でしょう。


さて、今回は4皿のプリフィクスをチョイス。
アミューズは「ミントとピンクグレープとガスパチョ スプモーニ風」。
ピンクグレープの柑橘系酸味とガスパチョのトマトベースの酸味が実に爽やかで、湿気を含んだ季節には心地良い。
そこへカンパリの苦味が加わることで文字通りスプモーニに変化。
この再現性の高さには脱帽!最初から三ツ星の実力が垣間見えました。


オードブルはスペシャリテ「特選生雲丹 甲殻類のジュレになめらなかカリフラワーのクレーム」。
卵状の透明なケースに入ったこちらは蓋を外してからいただきます。
シルクのように滑らかで優しい甘みのカリフラワーが全体をそっと包み込んでおり、その隙間から力強い甲殻類のジュレと甘い生雲丹が溢れてくる。
素材の強さと共に品の良さも兼ね備えているので素材の味を均一に堪能でき、エレガントな印象。
じっくり時間をかけて味わいたい、そんな一品。


ポワソンは「イサキ カリッとポワレし、ぺルノーの香る生ウニのジュとツルムラサキのソテー、ヨードオイルを添えて」。
肉厚なイサキはジュワッと溢れる旨みがダントツに強く素材と火入れの良さを一口目から体感でき、薄い皮目がカリカリと軽い食感を演出している。
ウニを使用したソースは昆布締めされており、オードブルの時とは対照的に旨味を引き出している。
海水のオイルも手伝って深い海を感じさせてくれる、これも素晴らしい!


ヴィアンドは「オーストラリア産仔羊 赤ナスでカネロニ仕立てにピリッとしたトマトクーリをスパイシーなソースで」。
仔羊のミンチを赤ナスで巻いてカネロニ仕立てにしたこちらはサーブ後にカレーソースを注いで完成。
風味がギュッと詰まった野性的な仔羊、酸味爆発のトマトクーリ、スパイシーなカレーソースと、個々の個性が激しい素材が見事に合致するバランス感覚はお見事!
特にカレーソースが秀逸で、辛味はごく少量ながら数種類のスパイスが舌の上から鼻腔に抜けていく余韻が楽しめます。
「最後にガツンと肉を食いたい!」って方にはピッタリでしょう。


アヴァンデセールは「ラベンダーゼリーとアプリコットのソルベ」。
上記二種の他、風味付けのエスプーマした杏露酒や触感のマカダミアナッツがグラスに添えられている。
各々が自然に馴染んでおり、バランス感覚に驚嘆しつつもホッと心落ち着ける一品。
ただミントは食べないほうが無難、ブッ飛びます(笑)

デセールはスペシャリテの「ショコラ ヘーゼルナッツ風味のクリームとオレオをまとったミルクのアイスクリーム」。
CD状のチョコをスプーンで割ると、頭を覗かせていた球体のオレオアイスがお出まし。
ヴィアンド同様に個々の素材の良さがビシビシと伝わってくる。
基本的には甘味が勝ったデセールだが、ヴァローナチョコの濃厚な風味が程よくサポートしており、単調さは感じられない。
ショコラの舌触りは滑らかでスッとした口溶け感には爽快感すら感じる。
正直チョコ系のデセールは似たり寄ったりな印象を持っていたが、こちらは別格です!

プティフールは「マンゴーに白ゴマのピュレ」で、上にはアーモンドが、下にはマンゴーが隠れている。
ピュレとマンゴーを一緒にすくうと、ルックスがまんま温泉卵だったのは笑った。
最後は金太郎飴に見立てた定番の「merciキャンディー」ミント風味。


ランチはどの料理も食材の個性が際立っており、万人受けするであろう取っ付きやすい味わい。
その中でも食材の組み合わせやスパイス使いの面でセンスの良さを感じました
一皿一皿の完成度も高く、コースの構成も考えられていて安心して委ねられられます。
三ツ星の中では一番カジュアルな料理じゃないかな?
次回はディナーで訪問したい、そんな気分にさせてくれた初訪問。

  • 位置皿
  • ロブションのパン
  • ミントとピンクグレープとガスパチョ スプモーニ風

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