酔狂老人卍さんのマイ★ベストレストラン 2018

『此世をハ と里(り)や お暇尓(に) せん古(こ)う能(の) 煙りと供尓(に) 者(は)ひ 左樣なら』 (十返舎一九)

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酔狂老人卍 (70代以上・男性) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

誰しもが知る高評価店より、殆ど知られていない鄙の店を優先しました。
『うを徳』はこの数年で大分名が知られ、食べログも4.25になったものゝ、
全く人気のなかった頃から通いつめていた経緯もあり、一位に残しました。

マイ★ベストレストラン

1位

うを徳 (東向島、曳舟、京成曳舟 / 寿司)

51回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

2024/03訪問 2024/03/20

「龍膽鳳髄(うみやまの めづらしきあぢ)」 盡(づ)くしにも 安堵(こゝろのなご)む "款冬未醤(ふきみそ)"の佳味(あぢ)

"櫻鯛(さくらだひ)"に"螢烏賊(ほたるいか)"、"若銀口魚(わかあゆ)"、
"櫻鰕(さくらえび)"、"飯蛸(いひだこ)"、"油菜(なばな)"、"款冬(ふき)"、"(たかむな)"、、
と、靑陽(はる)の息吹(いぶき)を、眼(め)で知(し)り、舌(した)で悟(さと)る
"棘鬣魚(まだひ)"は、"卵巢(たまご)"に"精巢(しらこ)"まで、、。

「"鳥蛤(とりがひ)"は初夏(なつのはじめ)のもの」、、
と思(おも)ひきや、「早春(はるのはじまり)にも」との(よし)。
"身肉(み)"ばかりでなく、"(きも)"も"螢烏賊(ほたるいか)"と一緒(とも)に堪能(あぢはふ)。
×忻(だま)し、×嵩増(かさま)し、〇雋永(いとうまし)

久方(ひさかた)ぶりの"(かはかめ)"。
"野生(いけやかはにすむもの)"歟(か)?、"養殖(ひとがやしなひそだてたるもの)"歟(か)?、
"大小(おほきさ)"、"性別(めすをす)"、"時季(とき)"、"(え)"、、等々(などなど)、
それらに依存(よ)り、その"味(あぢはひ)"千差萬別(さまざま)

そこは高名(よにかくれな)き、
遠州濱名湖(はまなこ)《服部中村養鼈塲(はつとりなかむらやうべつじやう)》の"(かはかめ)"。
"小宮親方(こみやおやかた)"の廚藝(わざ)と相乘效果(あひま)り、
不味(あぢあし)き理由(ことわり)あるべからず

《上總竹岡(たけをか)》"(たちうを)"、《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"、
"魨精巣(ふぐのしらこ)"、亦(また)然(しかり)。
可特筆(かきしるすべき)は"この鯖(まさば)"! (※産地失念)
時季(いまどき)あり得(え)ぬに寸尺(おほきさ)肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはず)。

掉尾(いやはて)の"菓子(このみくさのみ)"は勿論(いふもさらなり)。
龍膽鳳髄(うみやまのめづらしきあぢ)」盡(づ)くしの内(うち)、敢(あ)へて一(ひとつ)、
、、となると、"款冬未醤(ふきみそ)"を推舉(あぐ)。
其處其所(そこいら)に自生(お)ふる山野草(のゝくさ)故(ゆゑ)の佳美(よきあぢ)

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
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(さかな)】:
  ・"擬制櫻餈(さくらもちひもどき)"+《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)卵巣(たまご)"
  ・"鮑魚(あはび)"+《越中滑川(なめりかは)》"螢烏賊(ほかるいか)"
  ・"炊合(たきあ)はせ"の等類(たぐひ)
    ・《駿河灣(するがわん)》"櫻鰕蛋捲(さくらえびいりだしまきたまご)"
    ・"油菜(なばな)"
    ・《播州明石(あかし)?》"飯蛸(いひだこ)"
    ・《薩州(さつま)》"笋(たかむな)"、w/裙带菜(わかめ)
  ・刺躬(さしみ):
   ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"
    ・《蝦夷地(えぞち)》"蝦夷馬糞靈臝子(えぞばふんうに)"
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚精巣(まだひしらこ)"
  ・"款冬(ふき)未醤(みそ)"
  ・《蝦夷餘市(よいち)》"華臍魚肝(あんかうきも)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》"若銀口魚(わかあゆ)"
  ・"山蓼莖(わさびのくき)"
  ・《上總竹岡(かみつふさたけをか)》"魛(たちうを)"

(しるもの)】:
  ・『服部中村養鼈塲(はつとりなかむらやうべつじやう)』"鼈(かはかめ)"

(すし)】:
  ・《豐後姫島(ひめじま)》"基圍蝦(くるまえび)"
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"
  ・"鰤(ぶり)"
  ・《薩州甑島(こしきじま)》"縱帶鰺(しまあぢ)"
  ・《丹後宮津(みやつ)》"鳥蛤(とりがひ)"
  ・《丹後宮津(みやつ)》"鳥蛤肝(とりがひきも)"
      +《越中滑川(なめりかは)》"螢烏賊(ほたるいか)"
  ・《陸州八戸(はちのへ)》"鮪(しび)"、中肥(ちうあぶ)
  ・"魨精巣(ふぐのしらこ)"
  ・"鯖(あをさば)"
  ・《薩州出水(いづみ)》"眞烏賊(すみいか、かふいか)"
  ・《肥後天草(あまくさ)》"小鰶(こはだ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・柑橘類(たちばなのみのたぐひ)
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【暗匣】:日本光學 尼康(Nikon)Zf 無反光鏡可換鏡頭照相機(MILC、みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)APO-LANTHAR 2/50 @F2.8
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(DSLR、ディジいち) ※2011-06
【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
切支丹暦(きりしたんごよみ)甲辰歳一月(きのえたつのとしむつき)は、
毎年恆例(いつもの)"新年會(ふるくからのまじはりをなつかしみ、あらたなるとしをいはふうたげ)"。
此度(こだみ)は"虎魨(とらふぐ)盡(づ)くし"。
何(なん)でも、「《上總大原(おほはら)》の九百匁(≒3.4kg)」と云ふ。

劈頭(いやさき)に堪能(あぢは)ふは"精巢(しらこ)"の"蕪蒸(かぶらむし)"。
掉尾(いやはて)には、紀州備長炭(すみび)に炙(あぶ)り"(すし)"仕立(じた)てに、、。
"蕪蒸(かぶらむし)"に續(つゞ)き、
(ひれ)の"魚凍(にこゞり)"、(み)の"油炸(からあげ)"と、三所攻撃(みところぜめ)。

加旃(しかのみならず)、
五百八十七匁(≒2.2kg)《淡路(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"、
八百五十三匁(≒3.2kg)《豫洲八幡濱(やはたはま)》"白黃檣魚(しろくづな、あまだひ)"、
、、、と、「卍殺(まんじごろ)し、白身地獄(しろみのぢごく)」。

《蝦夷地根室落石(おちいし)》"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"、
名殘(なごり)の"鱲子(からすみ)"に《遠州濱名湖(はまなこ)》"鰻鱺(むなぎ)"まで、、。
《奧州氣仙沼(けせんぬま)》の"(しび)"に《陸州閖上(ゆりあげ)》の"(あかゞひ)"も、
不可不觸(ふれぬわけにはゆかぬ)顏(かほ)の彌次郎兵衞喜多八(やじらべゑきたはち)。

擂鉢(すりばち)、王八蛋(わうはち)、犬(いぬ)のハチ
曾根奈津子(なつこ)愕(おどろ)く、大食虛談(おほぐひ、うそ?)の『萬八樓(まんぱち)』、
舞妓(まひこ)白塗(しろぬ)り、卍(まんじ)の得手(とくい)恥(はぢ)の上塗(うはぬ)り
、、と云ふ次第(わけ)にて今年(ことし)も夜露死苦(しくよろ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《上總大原(おほはら)》"虎魨精巢(とらふぐしらこ)"、九百匁(≒3.4kg)
  ・《上總大原(おほはら)》"虎魨魚凍(とらふぐにこゞり)"
  ・《上總大原(おほはら)》"炸虎魨(とらふぐからあげ)"、
            w/《山背(やましろ)》"京芋(えびいも)"
  ・刺躬(さしみ):
    ・《上總大原(おほはら)》"虎魨(とらふぐ)"、九百匁(≒3.4kg)
    ・《淡路(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"、五百八十七匁(≒2.2kg)
    ・蝦夷地根室落石(おちいし)》"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
  ・完熟(ねかしおきたる)"鱲子(からすみ)"
  ・《陸州大間(おほま)》"赤沙噀(あかなまこ)"+《蝦夷地箱館(はこだて)》"鱈精巢(くもこ)"
  ・《雲州五十猛(いそだけ)》"(かつを)"藁燒(わらやき)大蒜醬油(おほひるまめびしほ)
  ・《遠州濱名湖(はまなこ)》"鰻鱺(むなぎ)"

(しるもの)】:
  ・《豫洲八幡濱(やはたはま)》"白方頭魚(しろくづな)"骨邊肉(あら)、
      w/聖護院蕪菁(せうごいんかぶら)の"淸湯(すましゞる)"

(すし)】:
  ・《勢州桑名(そのてはくはなの)》"膾殘魚(しらうを)"
  ・《淡路(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"
  ・《上總大原(おほはら)》"虎魨精巢(とらふぐしらこ)"
  ・《奧州氣仙沼(けせんぬま)》"(しび)"
  ・《陸州閖上(ゆりあげ)》"(きさ、あかゞひ)"
  ・《越中氷見(ひみ)》"(ぶり)"
  ・《豫洲八幡濱(やはたはま)》"白黃檣魚(しろくづな)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・(みかん、たちばなのみ)两種(ふたくさ)
=======================================

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【暗匣】:日本光學 尼康(Nikon)Zf 無反光鏡可換鏡頭照相機(MILC、みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)APO-LANTHAR 2/50 @F2.8
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(DSLR、ディジいち) ※2011-06
【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
〆(しめ)の『うを德』。
「♪會得(えとく)、逃得(にげどく)、中(あた)れば死(し)ぬのは"魨毒(ふぐのどく)"。
 解毒(げどく)、積讀(つんどく)、歌(うた)つて踊(をど)るは"TikTok(ティックトク)"。」
てなこと口遊(くちづさ)みつゝ、人(ひと)を俟(ま)つ。

「♪松樹(まつのき)ばかりが松(まつ)じやなし~、
 おそ松(まつ)、ちよろまつ、十姊妹(じふしまつ)~~、市松(いちまつ)、とゞ松(まつ)ッ、、、」
とかなんとか一節(ひとふし)吟(うな)るうちに、待人(まちびと)來(きた)れり。
來(き)たか朝三(てうさん)、暮四(くれにはよつぶ)。

、、と云ふ仔細(わけ)にて、
劈頭(いやさき)に、《江州琵琶湖(びはこ)》の"冰魚(ひうを)"に"幅海苔(はゞのり)"。
遉(さすが)、”小宮親方(おやかた)”、
深奧(おくふか)くして、淸冽(きよらかにすめ)る味(あぢはひ)

(つぎ)は、
能州(のと)》の"赤沙噀(あかなまこ)"に《蝦夷網走(えぞちあばしり)》"大口魚精巢(くもこ)"。
これ亦(また)、風味佳絕(たぐひまれなるあぢかをり)!
"蘿蔔泥(おほねおろし)"も吉(よし)。

久方(ひさかた)ぶりの《陸州閖上(むつのくにゆりあげ)》"(きさ、あかゞひ)"。
當日(このひ)は"(はらわた)"も、、。
"(かに)"は、×"森香澄(もりかすみ)"〇《但馬香住(たじまのかすみ)》"雌楚蟹(せこがに)"ゝ、
隱岐(おき)》の"雪蟹(すはへがに)"。

今季(ことし)の掉尾(いやはて)を飾(かざ)る”鰻魚(むなぎ)”は、
《遠州濱名湖(とうとうみのくに、はまなこ)》に揚(あ)がりし、一百八十七匁(≒700g)。
"(うをのあぶら)"少(すく)なめなれど、
皮下(かはのした)の"明膠(ゼラチン、にかはのたぐひ)"が舌(した)に纏(まと)はりつく。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》冰魚(ひうを)+"幅海苔(はゞのり)"
  ・《能州(のと)》"赤沙噀(あかなまこ)"+《蝦夷網走(あばしり)》"大口魚精巣(たらくもこ)"
  ・《蝦夷利尻(りしり)》"牙鮃(ひらめ)"、七百四十七匁(≒2.8kg)
  ・"靈臝子(うに)"
  ・《陸州閖上(ゆりあげ)》"蚶(きさ、あかゞひ)膓(わた)"
  ・《隱岐(おき)》"雪蟹(すはへがに)"
  ・"雲紋石斑魚(くゑ)"
  ・"芋(さといも)"
  ・"鮞(いをのこ)"
  ・《遠州濱名湖(はまなこ)》の"鰻鱺(むなぎ)"、百八十七匁(≒700g)、"素燒(しらやき)"

(しるもの)】:
  ・"淸湯(すましゞる)"
    《但馬香住(かすみ)》"雌楚蟹(せこがに、=めすのすはへがに)"+"鴨脚子(ぎんなん)"
      +"壬生菜(みぶな)"

(すし)】:
  ・《隱岐(おき)》"雪蟹(すはへがに)"
  ・《越中氷見(ひみ)》"鰤(ぶり)"
  ・《奧州氣仙沼(けさんぬま)》"鱵魚(さより)"
  ・《薩州出水(いづみ)》"竹筴魚(まあぢ)"
  ・《蝦夷戸井(とゐ)》"鮪(しび)"
  ・《越中氷見(ひみ)》"鰹《越中氷見(ひみ)》"鰹(かつを)堅魚(かつを)"
  ・"雞蛋糕(たまごやき)"
  ・《陸州閖上(ゆりあげ)》"蚶(きさ、あかゞひ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・覆盆子(いちご)
  ・橘(みかん、たちばなのみ)
=======================================

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T5 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)MACRO APO-ULTRON 2/35 @F2.8~F4
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(ディジカメ) ※2011-06
【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
劈頭(いやさき)に"法式淸湯(コンソメ、すましゞる)"。
「"黃蓋鰈(まこがれひ)"の骨邊肉(あら)ゟ(より)烹調(こしらへ)まして、、」
とは"亭主(あるじ)"の辯(はなし)なれど、"(うし)"の風韻(かをり)。
「"牛脛肉(うしのすね)"も、、」と附言(つけくはふ)。

ついで、"小宮親方(おやかた)"十八番(おはこ)の"燈籠椒泡沫(パプリカ・ムース)"。
當日(このひ)の"法式淸湯(コンソメ、すましゞる)"や、
過日(あのひ)の"醉蠘(ゑはせがに)"ともども、
異鄕(よそ)の(うけ)・廚藝(くりやわざ)に精通(くはし)き證明(あかし)

と、眼前(めのまへ)には、
《壹岐(いき)》"雲紋石斑魚(くゑ)"、四百八十匁(≒1.8kg)がドーーーーーン!
これを捌(さば)きて"薄作(うすづく)り"の"刺躬(さしみ)"に、、。
後(のち)、"(すし)"にも用(つか)ふ。

"棘鬣魚(まだひ)"、"牙鮃(ひらめ)"、"(しび)"は"非加熱(なま)"が適切(よ)く、
"雲紋石斑魚(くゑ)"など"石斑魚(はたのたぐひ)"、
加之(くはふるに)、"六線魚(あゆなめ)"、"大翅鮶鮋(きちじ)"などは、
"加熱・煮熟(ひをとほす)"が最善(なにより)。

豫(かね)て噂(おとにき)く"蓬莱枾(ほうらいし)"。
そも《蓬莱枾(ほうらいし)》とは震旦渡來(もろこしわたり)の"無花果(からがき)"。
かの《とよみつひめ》は、
蓬莱枾(ほうらいし)》と《桝井ドーフィン》の交雜種(かけあはせ)とか、、。

扨(さて)、
茲(こゝ)で《蝦夷根室(ねむろ)》の"狹眞魚(さまうを)"。
いや、"狹眞魚(これ)"は"(なま)"で吉(よし)、"(やく)"も吉(よし)!
"煮熟(にる)"も亦吉(またよし)!

《備州兒島灣(こじまわん)》の"鰻鱺(むなぎ)"。
百六匁(≒400g)と小振(こぶ)りなれど、
皮下(かはのした)は、"(うをのあぶら)"と"明膠(にかはしつ)"に豐富蓄積(とむ)。
《雲州宍道湖(しんじこ)》は一貫目(いつかんめ)十萬圓超(じふまんゑんごえ)とか。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・"燈籠椒泡沫(パプリカ・ムース)"、w/蕃茄醬(あかなすびしほ)
     ※『C』譲(ゆづ)りの招牌(かんばん)
  ・《越後魚沼津南(うをぬまつなん)》 〔鬼もろこし〕"玉蜀黍(なんばんきび)"
     
  ・《長良川(ながらがは)》"香魚(あゆ)"
     ※頭(かぶと)は油炸(あげ)て、その儘(まゝ)口中(くち)に、、、
  ・《飛州高山(ひだゝかやま)》"宿儺南瓜(すぐなかぼちやうり)"
     ※蔥頭(たまねぎ)+鮪大肥(しびおほあぶ)を黃油炒(バタいため)して、、
  ・《常州(ひたち)》"笠間栗澁皮煮(かさまぐりしぶかはに)"
  ・《壹岐(いき)》"雲紋石斑魚(くゑ)"、四百八十匁(≒1.8kg)、
     "(さしみ)"、w/"酢橘(すだち)"+"山蓼(わさび)"
  ・《蝦夷禮文島(れぶんたう)》"紫靈螺子(むらさきうに)"
  ・《蓬莱枾(ほうらいし)》"無花果(からがき)"
     ※保管熟成(しばらくうら)したるもの
  ・《蝦夷根室(ねむろ)》"狹眞魚(さまうを)"、
     "指身(さしみ)"、w/蘿蔔絲(せんろふ、おほねせん)
  ・《備州兒島灣(こじまわん)》の"鰻鱺(むなぎ)"、百六匁(≒400g)
     "素焼(しらやき)"

(しるもの)】:
  ・"法式淸湯(コンソメ)"
    黃蓋鰈(まこがれひ)の骨邊肉(あら)+牛脛肉(うしのすね)ゟ(より)

(すし)】:
  ・《下總銚子 (しもつふさてうし)》"(しび)"
  ・《壹岐(いき)》"雲紋石斑魚(くゑ)"
  ・《下總銚子(しもつふさてうし)》"(まいはし)"
  ・"黃蓋鰈(まこがれひ)"
  ・《陸州渡會(とかい)》"魁蛤(あかゞひ)"、w/"外套膜(ひも)"
  ・"墨魚(すみいか、かふいか)"
     ※新烏賊(わかきいか)
  ・"(あはび)"
     ※酒煮(さかに)

果子(このみくさのみ)】: ※撮影失念(とりわすれ)
  ・《羽州庄内刈屋(かりや)》"刈屋梨(かりやなし)"
  ・《陸州(むつ)》"黃桃(きもゝ)"
  ・《甲州(かひ)》〔甲斐路(かひぢ)〕"葡萄果實(えびかづらのみ)"
  ・"柘榴(ざくろ)"
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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T5 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)MACRO APO-ULTRON 2/35 @F2.8~F4
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(ディジカメ) ※2011-06
【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
早起(はやお)きは三文(さんもん)の得(とく)、
JK(ジェイケイ)嵌(はま)まる"抖音(TIKTOK)"。
ごね得(どく)、背德(はいとく)、魨毒(ふぐのどく)、
當日(このひ)嚮(むか)ふは、武州葛飾郡寺島村(てらしまむら)の『うを德』。

眼前(まのまへ)には"蠑螺(さゞい)"。
產海(すなどりしはま)は「西伊豆(にしいづ)」との説明(よし)。
嘗(かつ)ては"中華蠑螺(こやつ)Turbo cornutus 1786"に一括(くゝら)れしかど、
六年前(むとせまへ)、"蠑螺(さゞい)Turbo sazae 2017"として辯別(しわけらる)。

仍(すなは)ち、
分類學上(しわけのうへ)では"新種(しんしゆ)"扱(あつか)ひ。
この新聞(しらせ)、「驚天動地(ちをふるはせ、あめおどろかさずといふことなし)」。
蒙(それがし)、亦(また)、「肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはず)」。※←ウソデス

活(いけ)の"錦鳚(ぎんぽ)"も眼前(めのまへ)に、、。
これを油炸(あぶらにあげ)、"淸湯(すましゞる)"と做(な)す。
"錦鳚(このうを)"、"膠原質(にかはのもと)"を多量(おほ)く含有(ふく)むゆゑ、
"火候(ひいれ)"不足(たらざ)れば、彊(つよ)き齒應(はごた)へを遺(のこ)す。

そこはそれ、百戰錬磨(あまたのいくさたゝひた)る"小宮健一親方(おやかた)"のこと。
適切無比(ほどよく、たゞしき)"火候(ひいれ)"に依(よ)り、
"膠原質(にかはのもと)"は"明膠(やはらか)"と化(な)る。
"油炸錦鳚(てんぷら)"が最善(なにより)なれど、"淸湯(これ)"も、また、吉(よし)。

茲(こゝ)で、"吸口(すひくち)"の"椒芽(きのめ)":
勿論(いふまでもなく) 、"山椒(なるのはじかみ)"の若芽(わかめ)であり、
"小宮健一親方(おやかた)"丹精(こゝろ)込(こ)めたる葉(は)。 ※←チトオホゲサダケド
そもそも、"はじかみ"とは"山椒(なるのはじかみ)"を意味(さ)す。

近來(ちかごろ)では、"(くれのはじかみ)"、
それも、"かくのごときそへもの"を指(さ)すが風習(ならひ)。
元祖・本家・家元(もともと)の"はじかみ"は"山椒(さんせう、なるのはじかみ)"、
などゝ喚做(よびな)さるゝ憂目(うきめ)に、、。

掉尾(いやはて)には"果子(くだもの)"の一(ひとつ)、"桃實(もゝのみ)"。
"(もゝ)"とは震旦渡來(もろこしわたり)の果樹(ものなるき)にして、
"●●●"所緣(ゆかり)"の纏向遺蹟(あそこ)"から"(たね)"が出土(ほりいださ)れ、
更(さら)に古(ふる)くは、六千年前(むちとせまへ)まで遡(さかのぼ)ると云ふ。

だがしかし、さはあれ、However、しかはあれど、
"もゝ"なる辭(ことば)、
元來(もとより)、在來種(いにしへよりこのちにねづく)"山桃(やまもゝ)"を指(さ)す。
蒙(それがし)が陋屋(あばらや)近傍(ちかく)にも、かゝる"山桃(やまもゝ)"。

漢土傳來(もろこしよりつたはり)し"(こやつ)"が、
自生(そこいらにおふ)る"山桃(これ)"に換(か)はりて"もゝ"と呼(よ)ばれ、
"山桃(もともとの、もゝ)"は"からもゝ"と改名(なをあらたむ)。
嗚呼(あゝ)、南無三寶(なむさん)!

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・"玉蜀黍(なんばんきび)豆腐(どうふ)"、
     w/《羽州白神山地(しらかみさんち)》の"蓴(ぬなは)"
  ・《紀州白濱(しらはま)》の"鰒(あはび)"、w/《豆州(いづ)》の山蓼(わさび)
     +"靑茄子(あをなすび)"、w/"鱁鮧(うるか)の"風味(あちとかをり)
  ・"冬瓜(かもうり)"、w/"海扇(ほたてがひ)"+"紅椒(パプリカ)"
     +天狗印"神綠"牌"菽(えだまめ)"
  ・《西伊豆(にしいづ)》の"蠑螺(さゞい)"、壺燒(つぼやき)
  ・"Baccarat"の盤(さら)に〔刺躬(さしみ)〕
    ・《豐後(ぶんご)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ)"、四百匁(≒1.5kg)
    ・《淡路(あはぢ)》"棘鬣魚(まだひ)"
    ・《蝦夷禮文島(れぶんたう)》の"靈螺子(うに)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》の"吻鰕虎魚(ごり、≒よしのぼりorぬまちゝぶ)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》の"鰻鱺(むなぎ)"、百四匁(≒390g)

(しるもの)】:
  ・《奧州松島灣(まつしまわん)》油炸(あげ)"錦鳚(ぎんぽ)"、
     w/椒芽(きのめ)

(すし)】:
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》の"鰻魚(むなぎ)"、蒲燒(かばやき)
  ・《豐後(ぶんご)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ、=まこがれひ)"
  ・《豫州(いよ)》の"赤海膽(あかうに)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》の"香魚(あゆ)"
  ・《蝦夷羽幌(はぼろ)》の"富山鰕(ぼたんえび、=とやまえび)"
  ・萬願寺辣椒(まんがんじなんばんこせう)
  ・《丹後舞鶴(まひづる)》のの"竹筴魚(まあぢ)"
  ・《三州三河灣(みかはわん)》の"鳥蛤(とりがひ)"
  ・e.t.c.(などなど)

果子(このみくさのみ)】:
  ・"桃實(もゝのみ)"
  ・"靑檸雪葩(ライムソルベ)"
  ・"シャインマスカット"、葡萄實(えびかづらのみ)
  ・"紅秀峯"、櫻桃(さくらんぼ)
=======================================

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T5 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)MACRO APO-ULTRON 2/35 @F2.8~F4
           * * * * * 
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【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06

またもや"活烏賊(いきいか)"。
前囘(まへ)は《相州佐島(さじま)》の"唇瓣烏賊(かみなりいか)"、
此度(こだみ)は同(おな)じ《相州佐島(さじま)》の"眞烏賊(すみいか、かふいか)"。
好醜(よしあし)は保留(さてお)き、差異(ひらき)灼然(いやちこ)。

だが、"障泥烏賊(あふりいか)"となるとその相違(たがひ)は顯著(いちじるし)く
(し)ゝて、周知(みながし)る"甘味(あまみ)"と"黏性(ねばり)"が生(うま)る。
熟々(つらつら)そのその原理(ことわり)を推察(うかゞ)ふに、
かの"富山鰕(とやまえび)"や"北國赤鰕(ほつこくあかえび)"に酷似(よくにる)。

仍(すなは)ち、
これらは"蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)"を比較多(ほかよりおほ)く含(ふく)み
死(し)するや、
"グリシン"などの"甘味(あまみ)"と"黏性物質(ねばり)"を生(う)む。

加旃(しかのみならず)、
"黏性物質(ねばり)"は味覺(した)をして鋭敏(さと)から强(し)む
×「死諸葛走生仲達(しせるこうめい、いけるちゆうだつをはしらす)」
〇「死北國赤鰕惑生饕餮(しせるほつこくあかえび、いけるものずきのしたをまどはす)」

愚按(やつがれおもふに)、
"唇瓣烏賊(かみなりいか)"や此度(このひ)の"眞烏賊(すみいか、かふいか)"も、
蝦夷(えぞ)の"活魷(いけするめいか)"と同樣(おなじく)、
"(いけ)"固有(ならでは)の特長(よさ)が顯著(きはだつ)。

當日(このひ)の白眉(とびきりよきもの)は、
"うすゐまめ"と喚做(よびな)す"豌豆(のらまめ)"。
能(よ)く、"顏色(いろみ)"を留(とゞ)め、"食感(はごたへ)"を殘(のこ)す。
「"黏性(とろみ)"は"葛粉(くづのこ)"」との説明(よし)。

丹後(たんごのくに)《宮津(みやつ)》と讀(よ)み違(たが)へしは、
上總(かみつふさ)《富津(ふッつ)》の"鳥蛤(とりがひ)"。
宮津(みやつ)》の産(もの)より小振(こぶ)りながらも"天然物(てんねんもの)"。
この"(はらわた)"も鮮美(すこぶるよきあぢ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《阿州(あは)》の"笋(たかむな)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》の"冰魚(ひうを)"
           +"万願寺辣椒(まんぐわんじなんばんこせう)"
  ・《相州佐島(さじま)》の"活(いけ)眞烏賊(すみいか、かふいか)"、
           w/「田代農園(たしろなうゑん)の」"山蓼(わさび)"
  ・《陸州下北(しもきた)》の"櫻鱒(さくらます)"
  ・《陸州鹽釜(むつしほがま)》の"蚫(あはび)"
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"、八百八十匁(≒3.3kg)刺躬(さしみ)
  ・《蝦夷(えぞ)》、"蝦夷馬糞靈臝子(えぞばふんうに)"
  ・《房州富津(ふッつ)》の"鳥蛤(とりがひ)"、膓(はらわた)+外套膜(ひも)
  ・"豌豆(うすゐまめ)"
  ・《越中滑川(なめりかは)》の"螢烏賊(ほたるいか)"

(しるもの)】:
  ・《播州明石(あかし)》の"眞鯛(まだひ)"、潮汁(うしほじる)

(すし)】:
  ・《上總富津(ふッつ)》の"鳥蛤(とりがひ)"
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"、皮(かは)
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"、身(み)
  ・《相州佐島(さじま)》の"眞烏賊(すみいか、かふいか)"
  ・《三州(みかは)》の"江瑤(たひらぎ)"
  ・《上總竹岡(たけをか)》の"鱵(さより)"
  ・《長州宇部(うべ)》の"基圍蝦(くるまえび)"
  ・《蝦夷余市(よいち)》の"鰮(まいはし)"
  ・《房州勝浦(かつうら)》の"鮪(しび)"
  ・"虎河魨精巢(とらふぐしらこ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・"日向夏橘(ひむかなつみかん)"
  ・"古都華(ことくわ)"覆盆子(いちご)
  ・"冰酪(あいすくりん)"
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×永劫不變〇毎年恆例(つねにかはら)ぬ、
切支丹暦新年(きりしたんごよみのあらたなるとし)を祝(いは)ふ醼(うたげ)。
"白身魚(しろみうを)"比較(くらべ)」の需(もとめ)に應(したが)ひ、
《明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"に《淡州(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"。

稀有(いとめづらし)き《相州佐島(さじま)》"(いけ)唇瓣烏賊(かみなりいか)"、
"黃金蠘(こがねかに)"、"鰕虎子(はぜからすみ)"、"魁蛤肝臓(あかゞひのきも)"、
×"特殊鷺"〇"特殊野味(なにやらいはくありげな、のゝとりけだもの)"、
《越前(ゑちぜん)》産(のゝにかりし)、"(まがも)"に"鹿肉(かのしゝ)"も。

"(あはび)"、"鳥蛤(とりがひ)"の"肝臟(きも)"ならいざ不知(しらず)、
"魁蛤(あかゞひ)"の"肝臟(きも)"は初體驗(はじめて)。
幼少期(いとけなきころ)"罐頭(かんづめ)"にて噉(くら)ひし例(ためし)あるも、
"款冬未醤(ふきみそ)"とは、遉(さすが)、"小宮親方(おやかた)"!

(いけ)」の"唇瓣烏賊(かみなりいか)"には興味津々(こゝろひかるゝものあり)。
"障泥魷魚(あふりいか)"に"富山鰕(ぼたんえび、とやまえび)"は、
(いけ)」と、「(なま)」とでは大差(おほきなるたがひ)
その緣由 (ことのよし)、死後(しにたるのち)の"黏性物質(ねばりけ)"に有(あり)。

"黏性物質(ねばりけ)"は人(ひと)の味覺(した)を欺瞞(あざむ)く
その限(かぎ)りでは、
"唇瓣烏賊(かみなりいか)"は死後(しにたるのち)"黏性(ねばり)"を生(う)まで、
(いけ)」と、「(なま)」の差異(たがひ)は僅少(わづか)

掉尾(いやはて)の"巧克力冰酪(シヨクラトヲあいすくりん)"製造(つくる)に、
「"攪拌機(かきまぜからくり)"無(な)かりしゆゑ、
 只顧(ひたすら)手(て)にて攪拌(かきま)ぜ捏繰(こねく)り廻(まは)し、、
とは"主人(おやかた)"の苦勞談(はなし)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》"香魚(あゆ)"+"魦(いさゞ)"、有馬煮(ありまに)
  ・《相州佐島(さじま)》"唇瓣烏賊(かみなりいか)"、墨煮(すみに)
  ・"魁蛤肝臟(あかゞひきも)款冬未醤(ふきみそ)"
  ・《肥前小長井(こながゐ)》"鮮蠔(かき)"
  ・《越前(ゑちぜん)》"鳧(まがも)"、w/笋(たかむな)
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"、八百五十匁(≒3.2kg)刺躬(さしみ)
  ・《相州佐島(さじま)》"唇瓣烏賊(かみなりいか)"刺躬(さしみ)
  ・"靈臝子(うに)"
  ・《淡州(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"、五百十匁(≒1.9kg)刺躬(さしみ)
  ・"鰕虎子(はぜからすみ)"
  ・"鱲子(からすみ≒ぼらのこ)"

(しるもの)】:
  ・《越前(ゑちぜん)》"鹿肉羹(かのしゝのあつもの)"
  ・《淡州(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)潮汁(うしほじる)"

【鮓(すし)】:
  ・《房州勝浦(かつふら)》"鰹(かつを)"
  ・《相州佐島(さじま)》"唇瓣烏賊(かみなりいか)"
  ・《淡州(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)
  ・"黃金蠘(こがねがに)"、三百四十匁(≒0.9kg)
  ・《陸州鹽釜(しほがま)》"鮪(しび)"中肥肉(やゝあぶより)
  ・《播州明石(あかし)》"棘鬣魚(まだひ)"
  ・《陸州鹽釜(しほがま)》"鮪(しび)"精肉(あかみ)
  ・"魁蛤(あかゞひ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・"さくらもゝ草莓(いちご)"
  ・"はるか金柑(きんかん)"
  ・"橘(みかん、たちばなのみ)"
  ・"巧克力冰酪(シヨクラトヲあいすくりん)"
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率爾(にはか)に罹病(やまひをわづら)ひし"小宮親方(おやかた)"。
先(ま)づは治癒之(これをなほし・いやす)が最重要・最優先課題(なにより)
斯(か)くして、鮓店(みせ)は臨時休業(ときならぬやすみ)と相成(あひな)り、
蒙(それがし)、右往左往(ゆきばをうしなふ)。

未完治(いまだやみあがらぬ)とは云へ、
再開業(ふたゝびあきなひはじめたり)」との速報(しらせ)せを受(う)け、
疾(と)く疾(と)く再見參(あしをはこびなほす)。
迎(むか)ふるは、未熟(いまだうれざ)る《淡路(あはぢ)》"鱲子(からすみ)"。

同(おな)じく、《淡路(あはぢ)》の"圓斑星鰈(ほしがれひ)"は七百廿匁(≒2.7kg)、
《備州兒島灣(こじまわん)》の"鰻鱺(むなぎ)"が二百匁(≒740g)、
加旃(しかのみならず)、《江州琵琶湖(びはこ)》の"諸子(もろこ)"、
《伯州境港(さかひみなと)》"楚蟹(まつばがに、≒すはへがに)"まで、、。

斯樣(かやう)に、通例(つね)の若(ごと)く"美饌(よきうけ)"盡(づく)くしなれど、
就中(わきても)、《相州橫須賀(よこすか)》"剝皮魚(かはゝぎ)"、
これを"潮汁(うしほじる)"、
仍(すなは)ち、"淸湯(すましゞる)"仕立(じた)てと做(な)すは初體驗(はじめて)。

女(をんな)醉(ゑ)はすは色男(いろをとこ)。 ※←ザンネンナガラ、ワシデハナイ!
"雌蠘(めがに)"(ゑ)はすは、夏華四千年(もろこしよちとせ)の祕技(ひめわざ)。
"小宮師傅(おやかた)"、それを自家藥籠中(みづからのてのうち)にするばかりか、
自製(てづから)の"洋梨雪葩(やうなしソルベ)"までへ眼前(めのまへ)に、、。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《淡路(あはぢ)》"鱲子(からすみ≒とゞのこ)"
       w/"聖護院菘根(しやうごいんかぶら)"
  ・《泉州灘(いづみなだ)》"烏魚子(からすみ)" ※無写真(とりわすれ)
  ・《蝦夷地(えぞち)》"狹眞魚(さまうを)"、有馬煮(ありまに)
  ・《淡路(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)刺躬(さしみ)"、七百廿匁(≒2.7kg)
  ・《米利堅(めりけん)》"靈臝子(うに)"
  ・《蝦夷仙鳳址(せんぽうし)》"鮮蠔(なまがき)"
  ・《蝦夷斜里(しやり)》"大口魚(たら)精巢(くもこ、≒しらこ)"
  ・《江州琵琶湖(びはこ)》"諸子(もろこ)"
  ・《伯州(はうき)~因州(いなば)》"醉蠘(よはせがに)"
  ・《伯州境港(さかひみなと)》"楚蟹(まつばがに、≒すはへがに)"
  ・《備州兒島灣(こじまわん)》"鰻鱺(むなぎ)"、二百匁(≒740g)
  ・《陸州大間(おほま)》目鹿鮪(めじ、≒こぶりのしび)

(しるもの)】:
  ・《相州橫須賀(よこすか)》"剝皮魚(かはゝぎ)"、潮汁(うしほじる)

(すし)】:
  ・《相州橫須賀(よこすか)》"剝皮魚(かはゝぎ)"
  ・《伯州境港(さかひみなと)》"楚蟹(まつばがに、≒すはへがに)"
  ・《豊前海(ぶぜんのうみ)》"蚶(あかゞひ)"
  ・《淡路(あはぢ)》"圓斑星鰈(ほしがれひ)"
  ・"基圍蝦(くるまえび)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・洋梨(やうなし)"雪葩(ソルベ)"
  ・無花果(からがき)、二種(ふたくさ)
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當日(このひ)は久々(ひさびさ)老骨(それがし)唯一人(たゞひとり)。
眼前(めのまへ)の竹笊(たけざる)には"楤芽(たらのめ)"。
通例(つね)のごとく"掃愁帚(さけ)"も用意(を)かれてをり、
劈頭(いやさき)に、《土州四万十(しまんと)》の"沼知々武(ごり、≒ぬまちゝぶ)"。

貴價(いとねのたか)き"花山椒(なるのはじかみのはな)"まで被添(そへら)れ、
これを慢慢地(ゆるり)と堪能(こゝろゆくまであぢはふ)。
次(つ)いで、《山州塚原(やましろのくにつかはら)》の"白子笋(しらこだけ)"。
こちらには風習(ならひ)の"椒芽(きのめ、=くれのはじかみのわかば)"。

と、俎上(まないたのうへ)には、
×天狗(てん●)〇《豐後(ぶんごのくに)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ、=まこがれひ)"、
その重量(めかた)五百六十匁(≒2.1kg)と云ふ。
"身肉(み)"と"裙邊(えんがは)"それに"肝臟(きも)"を刺躬(さしみ)に、、。

上述(くだん)の"楤芽(たらのめ)"と《江州琵琶湖(びはこ)》"稚年魚(ちあゆ)"は、
"天麩羅(てんぷら)と烹飪(な)す。
敢然(あへて)雞蛋(にはとりのたまご)不使用(つかは)ねど、
"油煠楤芽(こ)"の美(うまさ)、常態(つね)に寸毫無變(つゆことなるところなし)。

"炸稚年魚(ちあゆあげ)"は、
火候(ひいれ)を两段階(ふたとほり)に變化(かへ)て提供(いだす)。
"第一組(ひとくみめ)"は(あさ)く"第二組(ふたくみめ)"は(ふか)く、、。
仍(すなは)ち、『』の"對蝦(くるまえび)"と同樣(おな)じ烹調法(やりかた)。

"花山椒鍋(なるのはじかみのはなのなべ)"として二種類(ふたくさ)。
最初(いやさき)に《泉州岸和田(きしわだ)》の"鳥蛤(とりがひ)"、肝臟(きも)つき。
"身肉(み)"の食感(はごたへ・したざはり)は勿論(いふまでもなく)、
"肝臟(きも)"特有(ならでは)の鮮味(うまみ)に失魂(たましひをうしなふ)

次(つ)いで俎(まないた)には《蝦夷壽都(えぞちすッつ)》"櫻鱒(さくらます)"。
一貫九十匁(≒4.1kg)といふ肥胖(ふくよかさ)に、
茫然自失(ことばをうしなひ、そのばにたちつくす)こと霎時(しばし)。
"これ"に依據(よ)らば、「板鱒(いたます)」と喚做(よびな)す固體(しろもの)。

"楤芽(たらのめ)"・"椒芽(きのめ)"と一緒(とも)に"(なべ)"に投入(い)れ、
"(わん)"へと移(うつ)す。
不味(あぢあし)き理由(ことわり)皆無(あるべからず)
"(すし)"にまで不惜(をしむことな)く"櫻鱒(このます)"を活用(つかひまはす)。

今季初(ことしはじめて)、活(いけ)の"鰻鱺(むなぎ)"は、
《備州兒島灣(きびのくにこじまわん)》、大畧(およそ)一百匁(≒380g)のもの。
通常(つね)のごとくこれを"志ら燒(しらやき)"に、、。
"(かは)"酥脆(さくさく)、その"(み)"は向崩潰(いまにもくづれんばかり)。

然(しか)はあれど、當日(このひ)の白眉(はくび)は"雞蛋糕(たまごやき)"。
活(いけ)"對蝦(くるまえび)"+"富山蝦(ぼたんえび、=とやまえび)"の泥(すりみ)。
平成二十八丙申歳(へいせんいじふはちひのえさるどし、=2016)に經驗(あぢは)ひし、
"雞蛋糕(たまごやき)"にも匹敵(ならぶ)鮮美(よきあぢ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・《土州四万十(とさのくにしまんと)》"沼知々武(ごり、≒ぬまちゝぶ)",
      w/花山椒(なるのはじかみのはな)
  ・《山州塚原(やましろのくにつかはら)》"白子筍(しらこだけ)",w/椒芽(きのめ)
  ・《豐後(ぶんごのくに)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ)"、五百六十匁(≒2.1kg)
    ・身肉(み)
    ・裙邊(えんがは)
    ・肝臟(きも)
  ・《油煠(あげもの)》
    ・"楤芽(たらのめ)"
    ・《江州琵琶湖(あふみのくにびはこ)》"稚年魚(ちあゆ)"、
        淺火候(あさきひいれ)+深火候(ふかきひいれ)
  ・《備州兒島灣(きびのくにこじまわん)》"鰻鱺(むなぎ)"、一百匁(≒380g)

(しるもの)】:
  ・《豐後(ぶんごのくに)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ、=まこがれひ)"、
      骨邊肉(あら)の"潮汁(うしほじる)"
  ・《花山椒鍋(なるのはじかみのはなゝべ)》
    ・《蝦夷壽都(えぞちすッつ)》"櫻鱒(さくらます)"、一貫九十匁(≒4.1kg)
    ・《泉州岸和田(いづみのくにきしわだ)"鳥蛤(とりがひ)"

(すし)】:
  ・《豐後(ぶんごのくに)》"黃蓋鰈(しろしたがれひ、=まこがれひ)"
  ・《薩州出水(さつまのくにいづみ)》"竹筴魚(まあぢ)"
  ・"(しび)"、中肥肉(ちゆうあぶ)
  ・《泉州岸和田(いづみのくにきしわだ)"鳥蛤(とりがひ)"
  ・"雞蛋糕(たまごやき)"、
     活(いけ)對蝦(くるまえび)+富山蝦(ぼたんえび、=とやまえび)

果子(このみくさのみ)】:
  ・玻瓈杯盛(ぎやまんさかづきもり)
    ・無花果(からがき)、"ビオレ・デ・ソリエ"果凍(にこゞり)
    ・小玉西瓜(こだますいか)
    ・蕃茄(あかなす)など
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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭暗匣(みらーれす)
【鏡珠】:Voigtländer NOKTON 1.2/35 @F2.8~F4
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(ディジカメ) ※2011-06
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恆例(いつも)の新年會(あらたなるとしをいはふうたげ)。
年年歳歳(としごと)に增長(つけあが)り「あれやこれや」の無理難題(むりなんだい)
i.e.,"東星斑(あかじんみーばい)"、"絲尾紅鑽魚(あかまち)"、"藤壺(ふぢつぼ)"、
"馬鹿蛤柱(こばしら)"、"海膓(ゆむし)"、"白未醤椀(しろみそわん)"まで。

主人(あるじ)"小宮親方(こみやおやかた)"説明(いへらく)、
"魚市塲(いちば)"に無(な)きものは通販調達(あれによりかひもとめ)、、」となん。
就中(わきても)、"海膓(ゆむし)"は"釣餌(つりえ)"として、、。
その奇怪(あや)しく蠕動(うごめ)く容(さま)、難盡言舌(ことばにはつくしがたし)

劈頭(いやさき)に肥前五島(ごたう)の"淸蒸東星斑(すぢあらのむしもの)"。
この魚(うを)「"流虬(宇留麻廼久尓)"三大高級魚之一(いとたふときうをのひとつ)」。
"東星斑(すぢあら)"そのものは『風ら坊』にて啖(くら)ひ經驗(ためし)あれど、
當日(このひ)の"淸蒸東星斑(むしもの)"も、眞言(まこと)、鮮美(よきあぢ)なり!

"東星斑(このうを)"、その"骨邊肉(あら)"も亦(また)最美(いとうま)し
そも、"石斑魚(はた)"の類(なかま)は、
總體(おしなべ)て、割烹法(さきかたにかた)を不問(とはで)旨(あぢよ)きもの
"淸蒸(むしもの)"、"紅燒(につけ)"、"生魚片(さしみ)"、などなど、、。

次(つ)いで前述(くだん)の「釣餌(つりえ)」"海膓(ゆむし)"。
蝦夷(えぞ)サロマ湖(こ)の"鮮蠔(なまがき)"と碟兒(こざら)に盛(も)られ、
背水之陣(もはや、しりぞくことあたはず)」
南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)」を三度(みたび)唱(とな)へ口中(くちのなか)に。

外見(みため)も食感(はごたへ・したざはり)も"貝外套膜(かひのひも)"なれど、
"サロマ湖鮮蠔(さろまのかき)"にて漱口(くちすゝぐ)。
蝦夷(えぞ)"サロマ湖鮮蠔(さろまこのかき)"は淸冽(きよらかにすめ)み
肥大(こえ)て濃厚(あぢこ)き"仙鳳趾鮮蠔(せんぱうし)"とは對極(さかしま)。

江州琵琶湖(びはこ)の"小香魚(ひうを)"には奧州(むつ)の"疣革菌(かうたけ)"。
"香魚(あゆ)"は越年(としをこす)こと稀有(まれ)にして、
"冰魚(ひうを)"→"稚年魚(ちあゆ)"→"香魚(あゆ)"→"落香魚(おちあゆ)"となり、
終(つひ)には海(うみ)へと下(くだ)り、命數盡(いのちをうしなふ)

"香魚(あゆ)"・"香蕈(かうたけ)"、雙方(どちらも)"貴馨(かをり)"が命(いのち)
とは云へ、遉(さすが)に"靑鱂めだか)"ほどの"小香魚(ひうを)"では、
風味(あぢもかをり)も缺乏(とぼし)。
やはり、"新小鰶(このしろのしんこ)"のごとく"走(はし)り"を愉(たの)しむ魚(いを)

"海宮(わだつみのうみのみや)"では"あかまち"として認知(し)らるゝ、
奄美鬼界島(あまみきくわいじま)"絲尾紅鑽魚(はまだひ)":
"刺躬(さしみ)"と"(なべ)"にて堪能(いたゞく)。
"東星斑(すぢあら)"ほどの濃厚(あぢこのこさ)こそあらねど、ともに佳味(よきあぢ)

陸州下北(しもきた)の"藤壺(ふぢつぼ)":
冢中枯骨(それがし)、嘗(かつ)て西伊豆賀茂郡松嵜濱(にしいづまつざきのはま)に、
"笠藤壺(これ)"咋(くら)ひし例(ためし)あり。
"藤壺(ふぢつぼ)"は、實(げ)に"龜足(かめのて)"と雙璧(なら)ぶ華美(よきあぢ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・肥前松浦五島(ごたう)"淸蒸東星斑(あかじんみーばい、=すぢあら)"
  ・蝦夷網走(あばしり)"海膓(ゆむし)"
  ・蝦夷サロマ湖(さろまこ)"鮮蠔(なまがき)"
  ・江州琵琶湖(びはこ)"小香魚(ひうを)"+奥州(むつ)"疣革菌(かうたけ)"
  ・肥前五島(ごたう)"豹紋鰓棘鱸(あかじんみーばい、=すぢあら)"の骨邊肉(あら)
  ・"鱲子(からすみ)"+"豇豆(さゝげ)"
  ・《胾(さしみ)》
    ・奄美鬼界島(きくわいじま)"絲尾紅鑽魚(あかまち、=はまだひ)"
    ・蝦夷苫小牧(とまこまひ)"馬鹿蛤柱(こばしら)"
    ・"膾殘魚(しらうを)"
    ・蝦夷根室(ねむろ)蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)
  ・蝦夷余市(よいち)"華臍魚肝臟(あんかうきも)"
  ・"油菜(なばな)"
  ・遠州濱名湖(はまなこ)"鰻鱺(むなぎ)"、三百廿匁(1.2kg))

(しるもの)】:
  ・陸州下北(しもきた)"藤壺(ふぢつぼ)"白未醤椀(しろみそわん)
  ・壹岐(いき)"楚蟹(まつばがに、すはへがに)"と
   奄美鬼界島(きくわいじま)"絲尾紅鑽魚(あかまち、=はまだひ)"の鍋(なべ)

(すし)】:
  ・"虎河魨(とらふぐ)"
  ・蝦夷野付(のつけ)の"海扇(ほたてがひ)"
  ・阿波鳴門(なると)"棘鬣魚(まだひ)"
  ・"蠔(かき)"
  ・"鰮(まいはし)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・無花果(からがき)、"ビオレ・デ・ソリエ"
  ・草莓(いちご)、"ひのしづく"
  ・橘(みかん、たちばなのみ)、"せとか"
  ・信州(しなの)ゝ"林檎(りんご)" ※品種不詳
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2~F4
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(ディジカメ) ※2011-06
【鏡珠】:蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
結實・收穫(みのり)の白藏(あき)。
と來(く)ると、"狹眞魚(さまうを)"、"栗子(くり)"、"松蕈(まつたけ)"となるが、
社會通念(©毒さま✨.:*゚:.。:.、よのならひ)であり、人情(ひとのこゝろ)と云ふもの。
あるいは、偏(ひとへ)に"膓内細菌(こやつ)"のなせる所業(わざ)歟(か)?

《陸州宮古(みやこ)》の"狹眞魚(さまうを)"は"刺躬(さしみ)"、
豫州(いよ)》"中山栗(なかやまぐり)"は"澁皮煮(しぶかはに)"、
丹波(たんば)》の"松蕈(まつたけ)"は
油煠鰕芋(あぶらにあげたるえびいも)と一緒(とも)に"吸物(すひもの)"と成(な)す。

實(げ)に稀有(めづらし)き"徘徊堅魚(まよひがつを)"は《佐渡産(さどのもの)》。
藁(わら)以て燻(いぶ)し、"(たゝき)"に做(つく)る。
などて不味(あぢあし)き理由(ことわり)やある
これを「口福(くちにするや、よろこびあふれほどばしる)」と云ふ。

當日(このひ)の"舎利(すめし)":
あまりの變貌(かはりぶり)に肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはず)。※←オオゲサ
同行(せきをともにせ)し食通(したたしかなるたべて)に依據(よる)なら、
口(くち)にすると同時(ひとし)く驚歎之(これにおどろき)まして厶(ござ)る。」

「"(こめ)"を變更(か)へ、"(かま)"を更新(あらた)め、、云々(うんぬん)。」
とは"親方(おやかた)"が説明(はなし)。
それすら聞(き)ゝ逃(のが)したるは、
老骨(それがし)、一世一代(このうへな)き恥辱(みのはぢ)。

三種(みくさ)"無花果(からがき)"。
輒(すなは)ち、
"ヴィオレ・ド・ソリエ"、"とよみつひめ"、"枡井ドーフィン"、これなり。
此度(こだみ)の"ヴィオレ・ド・ソリエ"は想定外(おもひのほか)に淡泊(あぢうすし)。

換言(いひかへ)るなら、"(あまみ)"弱(よは)めで"(すみ)"が立(た)つ。
對照之(これにひきかへ)、"枡井ドーフィン"の何(なん)たる變身(かはりみ)!!。
廿日餘(はつかあまり)熟(う)らし、、」とは、親方(おやかた)が呟(つぶや)き。
"とよみつひめ"の"(あまみ)"强(つよ)きは勿論(いふもさらなり)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・蝦夷昆布森(こんぶもり)の"蠔(かき)" ※昆布〆(ゑびすめじめ)
  ・陸州宮古(みやこ)の"狹眞魚(さまうを)"
  ・豫州(いよ)"中山栗(なかやまぐり)"、澁皮煮(しぶかはに)
  ・《胾(さしみ)》
    ・陸州宮古(みやこ)の"狹眞魚(さまうを)"
    ・佐渡(さど)の"徘徊堅魚(まよひかつを)"
    ・播州明石(あかし)の"棘鬣魚(まだひ)"、五百九十匁(≒2.2kg)
  ・常州霞箇浦(かすみがうら)の"鰻鱺(むなぎ)"、一百三十匁(≒480g)
  ・蝦夷餘市(よいち)の"華臍魚肝臟(あんかうきも)"

(しるもの)】:
  ・丹波(たんば)"松蕈(まつたけ)"+山州(やましろ)"鰕芋(えびいも)"
     吸口(すひくち):"野蜀葵(みつばぜり)"
  ・播州明石(あかし)の"棘鬣魚(まだひ)"、五百九十匁(≒2.2kg)、
     骨邊肉(あら)の"潮汁(うしほじる)"

(すし)】:
  ・佐渡(さど)の"徘徊堅魚(まよひかつを)"
  ・志州鳥羽(とば)の"馬鮫魚(さはら)"
  ・播州明石(あかし)の"棘鬣魚(まだひ)"
  ・"雞蛋糕(たまごやき)" ...※周氏新對蝦(しばえび)+佛掌薯(つくねいも)
  ・"富山鰕(ぼたんえび、=とやまえび)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・"無花果(からがき)"三種(みくさ)
    ・"ヴィオレ・ド・ソリエ"
    ・"とよみつひめ"
    ・"枡井ドーフィン"
=======================================

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭暗匣(みらーれす)
【鏡珠】:Voigtländer NOKTON 1.2/35 @F2.8~F4
           * * * * * 
【暗匣】:旭光學 賓得(Pentax)K-5 數字式暗匣(ディジカメ) ※2011-06
     蔡司(Carl Zeiß)Planar T* 1.4/85 ZK @F2      ※2011-06
久方(ひさかた)ぶりの"燈籠椒幕斯(パプリカムース)"に舌鼓(したつゞみ)。
これまた再會(まみへ)て嬉(うれ)しや"鳥蛤肝臟(とりがひのきも)"。
"鳥蛤肝臟(これ)"ッて、丹後(たんご)『繩屋』にて鮮美(よきあぢ)を認識(し)り、
"小宮親方(おやかた)"に話題提供(はな)したが嚆矢濫觴(はじまり)。

"岩蠔(いはがき)"からは"珍珠(しらたま)"、
否(いな)、將(まさ)に"眞珠(しらたま)"に爲(な)らんとする"白玉(しらたま)"。
"鰻鱺(むなぎ)"から"釣針(つりばり)"は當家(こちら)を含(ふく)め二度(にど)。
だが、"岩蠔(いはがき)"から"珍珠(しらたま)"とは吃驚(びつくり)。

"赤鯥(あかむつ)"は"紅燒(につけ)"。
纔(わづ)かながらも、"味(あぢ)"、就中(わきても)"甜(あまみ)"强(つよ)めか?
"醬油蟹醤(カンジャンケジャン、わたりがにてうせんづけ)"は淡麗(あはくきよらか)。
これぞ、"小宮親方(おやかた)"の廚藝(わざ)!

長良川(ながらがは)の"香魚(あゆ)"は油煮(コンフィ、あぶらに)に、、。
"燈籠椒幕斯(パプリカムース)"同樣(とおなじく)、
拂郎西察(おふらんす)の烹調(きりさきにたて)を自家藥籠中(わがもの)とせし、
"小宮親方(おやかた)が"眞骨頂(まことのそこぢから)。

いや、俟(ま)て、俟(ま)て!
その前(まへ)の"淸湯(コンソメ、きりしたんばてれんのすましゞる)"からして、
その確乎(たしか)なる技倆(うで)の爲(な)せる技(わざ)
"黃蓋鰈(しろしたがれひ、≒まこがれひ)"の骨邊肉(あら)を活用(いかす)。

これと"牛脛肉(うしのすねにく)"、"百里香(タイム)"、"月桂樹(ローリエ)"、
"芹菜(セロリ)"、"胡蘿蔔(せりにんじん)"、"蔥頭(たまねぎ)"、を燉(にこ)み、
この"一盌(ひとまり)"に、、。
凄腕(すごうで)、稀(まれ)に遭(み)る手煆煉(てだれ)と斷言(いはざるべからず)。

當日(このひ)の"鰻鱺(むなぎ)"は、かの"宍道湖(しんじこ)"。
"(やき)"の廚藝(わざ)と相俟(あひま)り、至高(このうへなき)味(あぢはひ)
和燈ろ』の"熟成鰻(うらしねかしむなぎ)"と比較(くら)べても、
雲壤懸隔(くもとつちほどのたがひ)」。

しかはあれど、"割刀(めしがたな)"ばかりは『和燈ろ』が頂點(いたゞき)。
うを德』の"割刀(それ)"は居酒屋(ゐざかや)竝(なみ)。
まッ、そんなところも"小宮親方(おやかた)"特有(ならでは)。
脱力系名工(かたのちからのぬけたるたくみ)」と説明(い)ふべき歟(か)?

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・羽州(では)の"蓴(ぬなは)"+"蕃茄(あかなす)"
  ・"燈籠椒幕斯(パプリカムース)"
  ・丹後舞鶴(まひづる)"鳥蛤(とりがひ)"肝臟(きも)
    +"櫻鰕(さくらえび)"+"白瀧(しらたき)"+"實山椒(なるはじかみのみ)"
    +"萬願寺辣椒(まんぐわんじなんばんこせう)"
  ・"岩蠔(いはがき)"
  ・"赤鯥(あかむつ)"、紅燒(につけ)
  ・《胾(さしみ)》
    ・"鱸(すゞき)"
    ・"北紫靈螺子(きたむらさきうに)"
  ・肥後(ひご)"醋藕(すづけのはちすのね)"
  ・"醬油蟹醤(カンジャンケジャン、わたりがにてうせんづけ)"
  ・豫州西條(いよさいじやう)"絹皮茄子(きにかはなすび)" ※冩眞なし
  ・長良川(ながらがは)の"香魚(あゆ)"、油煮(コンフィ、あぶらに)
    +長州萩(ながとのくにはぎ)の"黑蚫(くろあはび)"
  ・雲州宍道湖(いづもしんじこ)の"鰻鱺(むなぎ)"、一百四十一匁(≒530g)

(しるもの)】:
  ・"黃蓋鰈(しろしたがれひ、≒まこがれひ)"の骨邊肉(あら)による
     "淸湯(コンソメ、ばてれんのすましゞる)"
     ※+牛脛肉(うしのすねにく)、香味蔬菜(かをりあるあをもの)など
  ・"鱸(すゞき)"、骨邊肉(あら)の"潮汁(うしほじる)"

(すし)】:
  ・"鱸(すゞき)"
  ・豐後(ぶんご)"黃蓋鰈(しろしたがれひ、≒まこがれひ)"
  ・"小鰶(こはだ)"
  ・"赤鯥(あかむつ)"
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"竹筴魚(まあぢ)"
  ・"鰮(まいはし)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・櫻桃(さくらんぼ)"佐藤錦(さたうにしき)"
  ・櫻桃(さくらんぼ)"米利堅(めりけん)"
  ・蕃茄(あかなす)
  ・失念(わすれた)
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtlaender)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2~F5.6
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
今年(ことし)も、
山州塚原(やましろのくにつかはら)の"白子笋(しろきたかむな)"を喰(く)ひそびれ、
信州(しなのゝくに)の"楤芽(たらのめ)"に、
陸州(むつのくに)"花山椒(なるのはじかみのはな)"を堪能(おほいにたのしむ)。

"花山椒(なるのはじかみのはな)"は、
土州四万十川(しまんとがは)の"沼知々武(ごり、≒ぬまちゝぶ)"、
備州兒島灣(こじまわん)"鰻鱺(むなぎ)"、陸州宮古(みやこ)"帝王鮏(ますのすけ)"、
房州勝浦(かつうら)"黑鯥(くろむつ)"にと「八面六臂(めざましきはたらきぶり)」。

駿州由比(ゆひ)"櫻鰕(さくらえび)"も靑陽(はる)ならではの悦樂(よろこび)。
活魚(いけ)」と云ふ、
相州佐島(さじま)の"墨魚(すみいか、=かふいか)"、二百六十七匁(≒1kg)。
刀工(きりかた)のせゐか?、唯一無二(ほかになき)食感(はごたへ・したざはり)

「走(はし)り」の備州兒島灣(こじまわん)の"鰻鱺(むなぎ)"、九十三匁(≒350g):
想定外(おもひのほか)に魫(あぶら)に富(と)み佳味(なかなかのあぢはひ)
師傅(おやかた)が"炙(やき)"の超絶技巧(わざ)は勿論(いふもさらなり)。
この廚藝(わざ)、奧州遠野(とほの)『』と雙璧(ふたつながらにならびたつ)。

和泉灘(いづみなだ)"鳥蛤(とりがひ)"の"外套膜(ひも)"は初體驗(はじめて)。
その風韻(かをり)、"御本尊(み)"にも優越(まさる)。
"文鰩(とびいを)"鮮(なま)で噉(くら)ふも初(はじめて)。
小宮親方(こみやおやかた)、感謝(ありがたや)、!

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・土州四万十川(しまんとがは)の"沼知々武(ごり、≒ぬまちゝぶ)"+
     "花山椒(なるのはじかみのはな)"
  ・相州佐島(さじま)の"墨魚(すみいか、=かふいか)"、二百六十七匁(≒1kg)

  ・《(さしみ)》
    ・"北紫靈臝子(きらむらさきうに)"
    ・淡路(あはぢ)"黃蓋鰈(あまてがれひ、≒まこがれひ)"、五百三十三匁
     ・精肉(み)
     ・裙邊(えんがは)
     ・肝臟(きも)

  ・《天麩羅(てんぷら)》
    ・信州(しなの)"楤芽(たらのめ)"
    ・駿河灣(するがわん)駿州由比(ゆひ)"櫻鰕(さくらえび)"

  ・備州兒島灣(きびこじまわん)の"鰻鱺(むなぎ)"、九十三匁(≒350g)

(しるもの)】:
  ・淡路(あはぢ)"黃蓋鰈(あまてがれひ、≒まこがれひ)"、五百三十三匁(≒2kg)、
     骨邊肉(あら)の"潮汁(うしほじる)"

花山椒鍋(はなざんせうなべ)》:
  ・陸州宮古(みやこ)"帝王鮏(ますのすけ)"
  ・房州(あは)"黑鯥(くろむつ)"

(すし)】:
  ・淡路(あはぢ)"黃蓋鰈(あまてがれひ、≒まこがれひ)"
  ・肥後天草(あまくさ)"小鰶(こはだ)"
  ・房州勝浦(あはかつうら)"黑鯥(くろむつ)"
  ・陸州鹽釜(しほがま)の"鮪(しび)"
  ・和泉灘(いづみなだ)の"鳥蛤(とりがひ)"
  ・和泉灘(いづみなだ)の"鳥蛤(とりがひ)"、外套膜(ひも)
  ・相州小柴(こしば)の"烏賊(すみいか、かふいか)"
  ・"文鰩(とびいを)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・日向(ひむか)"芒果(マンゴ)"
  ・土州(とさ)"狼桃(おほかみもゝ)"蕃茄(あかなす)
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtlaender)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2.8~F5.6
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
"味神樣(あぢがみさま)"の託宣(おつげ)に遵(したが)ひ、"黃金蠘(こがねがに)"、
i.e.,(すなはち)、
"楚蟹(すはへがに)"と"紅楚蟹(べにすはへ)"とが交合(みとのまぐはひ)をし、
十月十日後(とつきとほかのゝち ←※ウソ)に誕生(うまれ)たのがこの"(かに)"だッ!

「今年(ことし)四杯(しはい)の×蒸氣船(じやうきせん)〇"黃金蠘(こがねがに)"、
 たッた四杯(しはい)で夜(よる)も眠(ねむ)れず、
 當旦(このひのあさ)に漸(やうや)う二杯(にはい)
 午餐(ひる)に一杯(いつぱい)、晩餐(よる)にも復一杯(またいつぱい)。」

、、とは"小宮親方(こみやおやかた)"が辯(はなし)。
背(そびら)の錦繪(にしきゑ)は、
伊斯把泥亞(いすはにあ)の繪師(ゑし)"P.ピカソ"による石版印刷畫(リトガラフ)。
「先代(さきつおやかた)の所藏品(もの)」とのよし。

遉(さすが)に"幻魚(げんげ)"までは不能調達(そろへられず)、
代替(かはり)に食感(はごたへ・したざはり)の類似(にた)る"魚(もの)"を、、
と、示(しめ)す先(さき)には"これ"、"華臍魚(あんぐうを)"。
淡路(あはぢ)の"星鰈(ほしがれひ)"は七百廿匁(≒2.7kg)。

扨(さて)"黃金蠘(こがねがに)":
正眞正銘(まがふかたなき)、但州美含郡香住(かすみ)の"黃金蠘(こがねがに)"。
生"黃金蠘(いけるこがねがに)"喜冢中枯骨卍(くたばりそこなひまんじをよろこばす)
"楚蟹(すはへがに)"を知悉(しりつく)したる面々(かたがた)また然(しかり)

濃厚(あぢのこ)さでは"楚蟹(すはへがに)"に肉薄(せま)り、
甘(あま)く滑(なめ)らかなること"紅楚蟹(べにすはへがに)"の若(ごと)し。
"蠘肉(かにゝく)"吉(よし)、"黃(かにみそ)"、さらに吉(よし)。
これを「×鈴木福(すゞきふく)〇口福(こうふく)」と云ふ。

三ヶ月前(みつきまへ)には(なま)にて口(くち)にせし"鱲子(ぼらこ、からすみ)"。
×十月十日後(とつきとほかのゝち)〇三ヶ月後(みつきあと)には、
かくのごとき景狀(ありさま)に、、。
これを「匠(たくみ)による"熟成(うらし・ねかし)"の廚藝(わざ)」と云ふ。

否(いな)!
名匠(なだかきたくみ)單獨(ひとり)と云ふより、
歳月(つきひ)と人智(ひとのちゑ)の合力・協業(たすけあひ)の精華(なせるわざ)
"未醤(みそ)"、"醤油(まめびしほ)"、"(さけ)"にも通底(つらなる)。

"星鰈(ほしがれひ)"、"大翅鮶鮋(きちじ)"の美(うまさ)は勿論(いふもさらなり)。
白身魚(しろみうを)の皇帝(すめらぎ)"星鰈(ほしがれひ)":
類稀(たぐひまれ)なる"牙鮃(ひらめ)"愛好家(ずき)の老骨(それがし)も、
この味(あぢ)には脱帽(かぶとをぬぐほかなし)。

有左程(さるほど)に、
"大翅鮶鮋(きちじ)"は、"紅燒(しやうゆに)"より"淸蒸(すがたむし)"が吉(よい)。
かの"淸蒸石斑魚(はたのすがたむし)"にも優越(まさ)る鮮美(よきあぢ)
努々(ゆめゆめ)、勿疑(うたがふことなかれ)!

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
=======================================
(さかな)】:
  ・炊合風(たきあはせふう)"小菜碟兒(こざら)"
    ・"鱲子(からすみ)"、熟成三ヶ月(うらすことみつき)
    ・能州(のと)"靑沙噀(あをなまこ)"
    ・山州(やましろ)"金時胡蘿蔔(きんときせりにんじん)"
    ・山州(やましろ)"淀蘿蔔(よどおほね)"
    ・山州(やましろ)"菜花(なばは)"

  ・"紅燒大翅鮶鮋(きちじのにつけ)"
  ・但州美含郡香住(かすみ)の"黃金蠘(こがねがに)"、二百四十匁(≒900g)
  ・《(さしみ)》
    ・淡路(あはぢ)"星鰈(ほしがれひ)"、七百廿匁(≒2.7kg)
        w/ 豆州御殿塲(いづごてんば)の"山蓼(わさび)"
    ・越中氷見(ゑつちゆうひみ)の"鮪幼魚(めじ)"、一貫八百七十匁(≒0.7kg)
    ・蝦夷濱中(えぞはまなか)の"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
    ・自家製(てづからの)"雲丹(うに)"

(しるもの)】:
  ・陸州石卷(むついしのまき)華臍魚(あんかう)"どぶ汁(じる)"
  ・"魨精巢(とらふぐしらこ)"+"堀川牛蒡(ほりかはきたきす)"

(すし)】:
  ・陸州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"、肥肉(ちゆうあぶ)
  ・陸州鰺ヶ澤(むつあぢがさは)の"牙鮃(ひらめ)"
  ・陸州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"、肥肉(あぶ)
  ・蝦夷野附(えぞのつけ)の"馬珂蛤閉殼筋(ばかゞひ、こばしら)"
  ・陸州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"、紅肉(あかみ)
  ・淡路(あはぢ)"星鰈(ほしがれひ)"、七百廿匁(≒2.7kg)
  ・下總銚子(しもつふさてうし)の"鯖(まさば)"
  ・對蝦(くるまえび)
  ・丹後舞靏(たんごまひづる)の"鰤(ぶり)"、三貫二百匁(≒12kg)
  ・房州勝浦(あはかつふら)の"黑鯥(くろむつ)" ※滿腹(はらくち)く辭退

果子(このみくさのみ)】:
  ・草莓(いちご)、"ロイヤル・クイーン"
  ・草莓(いちご)、"スカイ・ベリー"
  ・"あまおう草莓(いちご)"の幕斯(ムース)
  ・"巧克力冰酪(シヨクラトヲあいすくりん)"
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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2~F5.6
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
"鱣魚(むなぎ)"は[白藏(あき)が最美(なにより、3150)。
此度(こだみ)は、雲州宍道湖(いづもしんじこ)"、二百四十匁(≒900g)。
(あぶら)に富(と)み、溶融(とろけ)んばかりの"(み)"ながら、
"(かは)"酥脆(さくさく)は親方固有(おやかたならでは)の超絶廚藝(すごわざ)。

名殘(なごり)の"松蕈(まつたけ)"は信州伊那辰野(しなのゝくにいなたつの)。
未曾有(いまだかつてな)き不漁(ふりやう)」と云ふ"狹眞魚(さまうを)":
今龝初(このあきはじめて)、最上質(いとよきもの)なれど、
例年(いつも)の蝦夷根室(ねむろ)ならで奧州久慈(くじ)とのよし。

舊暦(むかしのこよみ)長月十三日(ながつきじふさんにち、Oct.29)を控(ひか)へ、
常州友部(ひたちのくにともべ)の"栗子澁皮煮(くりしぶかはに)"。
「大畧(およそ)半日(はんにち)かけ、叮嚀(ねんごろ)に煮(に)たるもの」と云ふ。
廣義(ひろく)は、"友部(ともべ)"は"笠間(かさま)"に含(ふく)まる。

"鱲子(からすみ)"の(うま)さは勿論(いふもさらなり)。
小鹹多鮮(しほけすくなく、うまみにとむ)」こと難盡筆舌(ことばにつくしがたし)。
"(はし)り"故(ゆゑ)、
"日向(ひむか)"は熟成過程(うらしのさなか)、"土州(とさ)"は(なま)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・蝦夷羅臼(えぞらうす)の"雲子(くもこ)"
  ・煮滲(にびたし)
    ・《溏油(だし)》:利尻海帶(りしりあらめ)+鮪乾(しびぶし)
    ・信州伊那辰野(しなのゝくにいなたつの)ゝ"松蕈(まつたけ)"
    ・筑紫(つくし)"菱實(ひしのみ)"
    ・丹州(たんば)"黑荳(くろまめ)"
  ・"鱲子(からすみ)"競演(かほあはせ)
    ・日向(ひむか)熟成過程(うらしのさなか)
    ・土州(とさ)の鮮(なま)
  ・對馬(つしま)"(かつを)"稭炙(わらやき) 
  ・蝦夷餘市(えぞよいち)"松皮鰈(まつかはがれひ)"、八百廿七匁(≒3.1kg)
  ・蝦夷仙鳳趾(えぞせんぱうし)の"眞蠔(まがき)" 
  ・陸州久慈(むつくじ)の"狹眞魚(さまうを)"
  ・常州(ひたち)"柳蟲鰈(やなぎむしがれひ、≒さゝがれひ、わかさがれひ)"
  ・(さしみ)
    ・蝦夷余市(えぞよいち)"松皮鰈(まつかはがれひ)"
    ・蝦夷小川商店(えぞをがは)の"蝦夷馬糞靈臝子(えぞばふんうに)
  ・常州友部(ひたちのくにともべ)の"栗子(くり)澁皮煮(しぶかはに)"
  ・雲州宍道湖(いづもしんじこ)の"鱣魚(むなぎ)"、二百四十匁(≒900g)

(しるもの)】:
  ・《吸地(すひぢ)》:利尻海帶(りしりあらめ)+鮪乾(しびぶし)
  ・《椀種(わんだね)》:
    ・信州伊那辰野(しなのいなたつの)ゝ"松蕈(まつたけ)"
    ・播州明石(はりまのくにあかし)の"眞棘鬣魚(まだひ)"、五百六十匁(≒2.1kg)
  ・《吸口(すひくち)》:柚(ゆ)、食用菊花(もつてのほか、≒かはらよもぎのはな)

(すし)】:
  ・蝦夷余市(えぞよいち)"松皮鰈(まつかはがれひ)"、八百廿七匁(≒3.1kg)
  ・陸州大間(むつおほま)の"(しび)"、三十七貫三百匁(≒140kg)
  ・"春子鯛(かすごだひ)"
  ・"白纜魚(しろいか、≒けんさきいか)"
  ・"剝皮魚(かはゝぎ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・肥後(ひご)"太秋枾(たいしうがき)"
  ・紀州(きい)"富有枾(ふいうがき)"
  ・蝦夷(えぞ)"らいでん甜瓜(からうり、まくは)"
  ・洋梨(やうなし)"極光(アウロラ)"
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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F5.6
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
旣(すで)に、
同日(おなじひ)、and/or 翌日(つぎのひ)の訪問記(たづねしはなし)存在(あり)。
かゝるがゆゑに、敢(あ)へて反復之(これをくりかへ)すは、
畫蛇添足(へびにあしをそへ)」、「屋上架屋(やねにやねをかさぬるがごとし)」。

「『奈可田』流(じこみ)」と説明(い)ふ"鹽蒸(しほむし):
周知(あまねくしら)るゝがごとく、"鹽蒸(しほむし)とは"煮蚫(にあはび)"のこと。
(さけ)などにより、嫩(やはらか)になるまで慢慢地(ゆるり)煮(に)こむ
老骨(それがし)知(し)る限(かぎ)り、當家(こちら)は"(むす)"が通例(つね)。

此度(こだみ)『奈可田』流(じこみ)にせし緣由 (ことのよし)、
守舊化(ふるきからを、みづからうちやぶらんがため)」となむ。
以爲(おもふに)、どちらの烹飪(やりかた)も、×「彩芽(あやめ)より(つばさ)」、
〇「いづれ、菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」。

例年(いつも)、この時季(ころ)登塲(あらは)る"鮏鮞(さけのはらゝご)":
醢醯(あぢつけ)をせで、その儘(まゝ)
との説明(はなし)に眼精(まなこ)白黑(しろくろ)
「"狹眞魚(さまうを)"は海(うみ)に魚影(そのすがた)を不見(みず)」とも、、。

今季初(ことしはじめて)、"早松蕈(はしりのまつたけ)"は富良野(ふらの)から。
奧州松島(むつまつしま)の"星鳗(はかりめ)"ともども"淸湯(すましゞる)"に、、。
"吸地(すひぢ)"は"利尻海帶(りしりあらめ)"に"鮪脯(しびぶし)"。
「"鰹脯(かつをぶし)"は"早松蕈(さまつ)"の風韻(かをり)を阻害(さまたぐ)」と。

愚按(やつがれおもふに)、
"吸口(すひくち)"に"(ゆ)"など强香(かをりつよ)きものを不使用(つかは)ぬも、
蓋(けだ)し、同(おな)じ意図(こゝろ)なるべし
寔(まこと)、「減算(ひきざん)」を實踐(みをもちてしめ)す庖丁(いたまへ)。

此度(こだみ)、肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはぬほどにこしぬか)したるは、
(しび)大肥肉(おほあぶ)の"(あぶり)"。
冢中枯骨(くたばりそこなひ)、"大肥肉(おほあぶ)"を×獼猴〇得手(えて)とせぬも、
鮮美(よきあぢ)口腔(くち)に踊(をど)り鼻腔(はなのなか)に浮騰(ほとばし)る

老骨(それがし)、"枾果(かき)"と"無花果(からがき)"には有一家言(ちとうるさい)。
その仔細(わけ)如何(いかに)となれば、
生家(うまれたるいへ)には、各二本(おのおのにほん)づゝの果樹(き)があり、
完熟(よくうれた)るを噉(くら)ふが常態(つね)なればなり。

巷(ちまた)に蔓延(はびこ)る"無花果(からがき)"は、
十中八九(あらかた)"枡井ドーフィン"なる種(たね、ちすぢ)。
加旃(しかのみならず)、樹(き)にて完熟(ほどよくうれた)るものに非(あらず)!
完熟果實(かゝるみ)は流通(いちばをとほす)に不適(むかず)

未熟(いまだうれず)と云へど、
黑(くろ)き"ビオレソリエ"、白(しろ)の"キューティーキング"なら、
その風味(あぢ・かをり)、"枡井ドーフィン"を×遼河〇凌駕(はるかにしのぐ)。
ところが、當日(このひ)の"無花果(からがき)"は敢(あ)へての"枡井ドーフィン"。

親方(おやかた)説明(い)ふやう:
十日(とほか)ほど手許(てもと)に置(お)き、追熟(うらし)たるものにて、、」
その"斷面(きりくち)"は飴餹色(あめいろ)を呈(お)び、
俄頃(にはか)には"枡井ドーフィン"とは難信(しんじがた)き果實(しろもの)

生家(うまれたるいへ)の、
完熟(うれ)たる"赤無花果(あかゝらがき)"と比較(くらべ)て、
なほ、勝(まさ)るとも不劣(おと)らぬこの無花果(からがき)。
たゞし、"黑無花果(くろからがき)"・"白無花果(しろからがき)"には不及(およばず)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・小菜碟兒(こざら)
    ・『奈可田』流(じこみ)、佐渡(さど)の"鹽蒸(しほむし)=煮蚫(にあはび)" 
    ・雲州(いづも)~石州(いはみ)の"魩仔魚乾(ざこ)"
        +"萬願寺辣椒(まんがんじなんばんこせう)"+"豆腐皮(うば)"
  ・"玉蜀黍(なんばんきび)"と"胡麻(ごま)"の葛寄(くづよせ)、
     "小蕃茄(ちいさなあかなす)"の果凍(にこゞり)添(ぞ)へ
  ・"赤鯥(あかむつ)"と"秋葵(おくら)"の"索麪(むぎなは)"
  ・蝦夷禮文島(えぞれぶんたう)の"北紫靈螺子(きたむらさきうに)"
  ・"鹽雲丹(しはうに)"
  ・"障泥纜魚(あふりいか)"の耳(みゝ)
  ・蝦夷羅臼(えぞらうす)の"生鮏鮞(なまのさけはらゝご)"
  ・相州松輪(さがみまつわ)の"醃眞鯖(しめたるまさば)"、暸(あぶりもの)
  ・相州松輪(さがみまつわ)の"醃眞鯖(しめたるまさば)"
  ・志州尾鷲(しまをはせ)の"松魚(かつを)"
  ・常州霞ケ浦(ひたちかすみがうら)の"鰻鱺(むなぎ)"、一百三十九匁(≒520g)

(しるもの)】:
  ・蝦夷富良野(えぞふらの)ゝ"松蕈(まつたけ)"と
      奧州松島(むつまつしま)"星鳗(はかりめ)"の淸湯(すましゞる)

(すし)】:
  ・播州明石(はりまあかし)の"眞鯛(まだひ)"、五百六十匁(≒2.1kg)
  ・奧州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"、中肥(ちゆうあぶ)
  ・蝦夷禮文島(えぞれぶんたう)の"北紫靈螺子(きたむらさきうに)"
  ・"似海鰌(にたりくぢら)"
  ・奧州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"
  ・奧州鹽釜(むつしほがま)の"鮪(しび)"、大肥(あぶ)の暸(あぶり)
  ・蝦夷羽幌(えぞはぼろ)"富山鰕(とやまえび)"+湯瀹汁(ゆでじる)
  ・肥後天草(ひごあまくさ)"小鰭(こはだ)"、新子(しんこ)二枚醃(にまいづけ)
  ・壹岐(いき)"白纜魚(しろいか)"?

果子(このみくさのみ)】:
  ・追熟(うらし)無花果(からがき)、"枡井ドーフィン"
  ・宇留麻廼久尓(うるまのくに)"キーツ芒果(マンゴ)"
  ・羽州尾花澤(ではをばなざは)"西瓜(すいくわ)"
  ・葡萄果實(えびかづらのみ)、"瀬戸ジャイアンツ"
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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
向島(むかふじま)『いりむら』ゟ(より)『靑柳正家』を經由(へ)て、
寺島町(てらしまゝち)『うを德』に、、。
暖簾(のれん)潛(くゞ)るは大畧(およそ)五ヶ月(いつゝき)ぶり。
漬塲前(つけばまへ)の客人(きやく)は老骨(それがし)唯一人(たゞひとり)。

十年前(とゝせまへ)なら某(それがし)の他(ほか)、
絶(た)へて人(ひと)の姿(すがた)を不見(みざる)が常態(つね)なれど、
かゝる景色(けしき)は久方(ひさかた)ぶり。
親方(おやかた)も當時(そのかみ)を懐舊(なつかしむ)。

嘗(かつ)て"食物航海日誌(こちら)"★★★★超(よつぼしごへ)の頃(ころ)は、
上(うへ)を下(した)に覆(かへ)すほどの繁忙(いそがはし)さなりしかど、
現今(いま)は有象無象(さまざま)なる惡質客(たちあしきゝやく)も激減(へ)り、
靜謐(しづかさ)を恢復(とりもど)しつゝあるは吉兆(よきゝざし)。

しかはあれど、
"向島百花園(むかふじまひやつくわゑん)"ゟ(より)歸途(かへるみちすがら)、
偶(たま)さかフラり立寄(たちよ)るとか、
近鄕近在(ちかく)の民(たみ)の午餔處(ひるめしどころ)には不能囘歸(もどりえぬ)

覆水難收(こぼれたるみづは、もとのうつはにもどりがたし)」
小宮親方(おやかた)も懐古(そのかみをなつかしむ)と云へど、
これは黃泉(よみ)ゟ(より)死者(しにたるもの)を戻(もど)すに同等(ひとし)く
"伊邪那岐(いざなぎ)"の失錯(しくじり)を反復(くりかへ)すが限界(せきのやま)。

食材(たね)の優秀(ひいで)たるは萬民(よろづのたみ)認(みと)むるところなれど、
虚飾(いらぬかざり)と複雜怪奇(やゝこし)き調劑(あぢつけ)を排(す)て
"必要最小限(いらぬものも、たすべきものもな)き"烹調法(やりかた)は、
理會(わかる)者(もの)にのみ分(わ)かる。」と云ふもの。

これを侮(あなど)り譏(そし)る者(もの)は、
×雪花菜(きらず)×石見銀山(いはみぎんざんねこいらず)〇不知味者(あぢしらず)。
就中(わきても)、
"潮汁(うしほじる)"と"(むなぎ)"は鮓店(すしや)の巓(いたゞき)

否(いな)!
名店(なのあるみせ)の"會席膳(くわいせきぜん)"と競(くら)べても、
俄頃(にはか)に、精麁(よしあし)・雌雄(をすめす)を難判別(わかちがた)きほど。
※↑imho、≒冢中枯骨(くだばりそこなひのそれがし)が卑見(いやしきかんがへ)

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・土州四万十川(とさしまんとがは)"稚鰷(ちあゆ)"甘露煮(かんろに)
  ・對蝦(くるまえび)+薯蕷(いも)の"雞卵焼(たまごやき)"
  ・陸州鹽釜(むつしほがま)"黑鰒(くろあはび)"
  ・《刺躬(さしみ)》
    ・豐後日出(ぶんごひので)"城下王餘魚(しろしたかれひ、≒まこがれひ)"、
         四百五十匁(しひやくごじふもんめ、≒1.7kg)
  ・蝦夷濱中(はまなか)"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"+"毛蠘(けがに)"
     +上州(かうづけ)天狗牌毛豆(てんぐじるしえだまめ)"味綠(みりよく)"
  ・加州(かゞ)"加賀太黃瓜(かゞぶときうり)"
  ・吉備兒島灣(きびこじまわん)"鰻鱺(むなぎ)"、百九十五匁(≒730g)

(しるもの)】:
  ・"潮汁(うしほじる)"
    ・椀種(わんだね):
      ・"城下王餘魚(しろしたかれひ、≒まこがれひ)"の骨邊肉(あら)
      ・長州(ながと)"魂消茄子(たまげなす)"

(すし)】:
  ・"堅魚(かつを)"、稭炰(わらやき)
  ・薩州出水(さつまいづみ)"甲烏賊(すみいか、=かふいか)"
  ・蝦夷噴火灣(えぞふんくわゝん)"鮪(しび)"、十三貫(≒50kg)精肉(あかみ)
  ・下總銚子(しもつふさてうし)"金目鯛(きんめだひ)"
  ・薩州出水(さつまいづみ)"竹筴魚(あぢ)"
  ・上總富津(かみつふさふッつ)"星鳗(はかりめ)"
  ・蝦夷噴火灣(えぞふんくわゝん)"鮪(しび)"、十三貫(≒50kg)中肥(ちゆうあぶ)
  ・"黃蓋鰈(まこがれひ)"

果子(このみくさのみ)】:
  ・羽州(では)櫻桃(さくらんぼ)"佐藤錦(さたうにしき)"
  ・紀州(きい)"琵琶(びは)"
  ・臺灣(たいわん)"茘枝(れいし)"
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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅MC Flektogon 2.4/35 @F4
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
毎年恆例(ならひ)の新年會(あらたなるとしをいはふつどひ)。
"美酒佳肴(よきさけによきさかな)"の數々(かずかず)、
加旃(しかのみならず)、"龍肝豹胎(うみやまのよきあぢ)"は常態(つね)のこと。
就中(わきても)、此度(こだみ)は"赤鰩肝(あかえいのきも)"まで、、。

「長州萩(ながとのくにはぎ)の濵(はま)に揚(あ)がりしもの」と云ふ。
"肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはざるほどのおどろき)"、
とまでは行(ゆ)かぬにせよ、珍味(よにもめづらしきあぢ)なるは確實(たしか)
海驢(あしか)、馬鹿(うましか)、饗應(もてなし)歟(か)?

「扨(さて)その經緯(いきさつ)は?」と問(と)はるれば、
「如此如此(かくかくしかじか)、、)」と應答(いら)ふる他(ほか)なし。
この他(ほか)、合馬(あふま)の"竹筍(たかむな)"、"鮮鱲子(なまのぼらこ)"、
羅臼(らうす)の"帝王鮏(ますのすけ)"に、"松葉蟹(まつばがに)"までも、、。

桌上型電腦(つくゑのうへなるエレキそろばん)が異常動作(ふてくされ)、
亂暴狼藉(あばれまはりて、をちこちとりちらか)し、一無方策(てもつけられず)。
復舊(もとにもどす)は輒(たやす)からず。
二日(ふつか)三日(みつか)、、、五日(いつか)かけて、ほゞ復舊(もとのすがたに)。

備忘錄(おぼゑがき)も紛失(なく)し、
記憶(おぼえ)曖昧模糊(あやふや)、劵(けん)ならダフ屋(だふや)、
"菽乳(とうふ)"沽(か)ふなら坊(まち)の零細豆腐店(ちいさなとうふや)がよい。
"淮南(とうふ)"昆布溏油(こぶだし)、"アベヾ"は跣(はだし)。

一(ひと)つに、二(ふた)つ、
故事(むかしのこと)を執筆(か)く時(とき)にャ、
×想起(おもひだ)しだし、〇想起(おもひだ)しつゝ記述(せ)にャならぬ。
そいや、當家(こちら)の"(わん)"も昆布溏油(ひろめだし)。

昆布(ゑびすめ)"利尻(りしり)"、
結(むす)ぶは眦(まなじり)、捉(とら)へて遊(あそ)ぶ言葉尻(ことばじり)、
"潮汁(うしほじる)"の鮮美(よきあぢ)なるは慥(たしか)なれど、
當日(このひ)の白眉(はくび)は"大頭鱈精巣(くもこ、=たらのしらこ)"。

適度(ほどよ)く調劑(あぢつけ)が施(ほどこ)され、
この、最上(このうへな)き淸湯(すましゞる)に調和(よくあふ)。
會(あ)ふは別(わか)れの劈頭(はじめ)に悲慘(みじめ)、三●締(さん▲んじめ)。
濟(す)ませ、黄昏(たそがれ)の『うを德』より辭別(いとまごひ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・"助子(すけこ)"
  ・雲州宍道湖(いづものくにしんじこ)の"膾殘魚(しらうを)"
  ・筑紫合馬(つくしのくにあふま)の"竹筍(たかむな)"
  ・《刺躬(さしみ)》
    ・淡路(あはぢ)"星王餘魚(ほしがれひ)"
    ・失念(わすれたり)
    ・"鮮鱲子(なまのぼらこ)"
    ・蝦夷地濱中(えぞちはまなか)の"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
  ・"赤海鷂魚肝(あかゑひのきも)"+"虎魨(とらふぐ)"
  ・蝦夷地羅臼(えぞちらうす)の"帝王鮏(ますのすけ)"
  ・"烏魚子(からすみ)"
  ・越中氷見(ゑつちゆうひみ)の"鮪幼魚(めじ)"
  ・能州(のと)"赤沙噀(あまなまこ)"、鮮(なま)+茶振(ちやぶり)
  ・因州(いなば)or伯州(はうき)の"松葉蟹(まつばがに、≒楚蟹)"
  ・江州(あうみ)琵琶湖(びはこ)の"稚年魚(ちあゆ)"
      +城州(やましろ)"萬願寺蕃椒(まんがんじなんばんこせう)"
  ・隱州(おき)"松葉蟹(まつばがに、≒楚蟹)"

(すし)】:
  ・上總竹岡(かづさたけをか)の"鱵(さより)" 
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)"、肥肉(あぶ)
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"甲烏賊(すみいか、=かふいか)"
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)"、中肥肉(ちゆうあぶ)
  ・蝦夷地野附(えぞちのつけ)の"海扇(ほたてがひ)"
  ・和泉灘(いづみなだ)の"小鰭(こはだ)"
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)"、痩肉(あかみ)
  ・雲州宍道湖(いづものくにしんじこ)の"鰻鱺(むなぎ)"

(しるもの)】:
  ・"潮汁(うしほじる)"
    ・椀種(わんだね):淡路(あはぢ)星王餘魚(ほしがれひ)
              蝦夷(えぞち)大頭鱈精巣(くもこ)
    ・吸口(すひくち):椒芽(きのめ)

果子(このみくさのみ)】:
  ・草莓(いちご)"アイベリー"
  ・橘子(たちばなのみ)"せとか"
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
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     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06

强(つよ)き颱風(のわけ)に因(よ)り、訪問(のれんくゞる)は四月(よつき)ぶり。
「豐穣(ゆたか)なる白藏(あき)の幸(さち)」を喰(く)ひそびれ
はや、水(みづ)も凍(い)てつく玄英(ふゆ)。
名殘(なごり)の"(むなぎ)"は"遠州濱名湖(とほとうみはまなこ)"。

江州琵琶湖(あうみびはこ)"本諸子(ほんもろこ)"、
隱州(おき)"松葉蟹(まつばがに、≒楚蟹)"と、
(い)ける×孔明(こうめい)〇魚介(うみ・みづうみのさち)、
冢中枯骨(つかのなかにかれたるほね)卍(まんじ)を狂喜亂舞(まひをど)らす

實(げ)に、
天下無雙(よにくらぶるものな)きは小宮親方(こみやおやかた)の"鱲子(からすみ)":
適度(ほどよ)く熟成(う)れ
芯(なか)は、なほ"(やはらか)さ"と"瑞々(みづみづ)しさ"を保持(たもつ)。

美味佳肴(よきあぢ)揃(ぞろ)ひなること、
何(いづ)れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」のごとき景状(ありさま)なれど、
當日(このひ)の白眉(はくび)は、
"活天然對蝦(いけてんねんくるまえび)"用(つか)ひし"雞卵炙(たまごやき)"。

實言(まこと)、
海内一(ひのもといち)の"雞卵炙(たまごやき)"」と斷言(よぶをはゞからず)。
小宮親方(こみやおやかた)も亦(また)、
會心作(くわいしんさく)」と自慢(むねをはる)、靑陽(はる)はまだ先(さき)。

これほどに、
沈魚落雁閉月羞花(うをしづみ、かりおち、つきとぢ、はなもはぢらふ)」
ほどの殊滋異味(よきあぢ)盡(づ)くしなれど、
勘定(しはらひ)は銀座(ざぎん)の●分の一(▲▲ぶんのいち)の廉價(やすさ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・江州琵琶湖(あうみびはこ)の"冰魚(ひうを)"
  ・鱲子(からすみ)
  ・能州(のと)"赤沙噀(あまなまこ)"
  ・"活天然對蝦(いけてんねんくるまえび)"による"雞卵炙(たまごやき)"  
  ・蝦夷仙鳳趾(えぞせんぽうし)の"眞蠔(まがき)" 
  ・江州琵琶湖(あうみびはこ)"本諸子(ほんもろこ)"の天麩羅(てんぷら)
  ・蝦夷濱中(えぞはまなか)"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
  ・播州明石(はりまあかし)の"眞鯛(まだひ)"、四百八十匁(≒1.8kg)
  ・佐渡島(さどがしま)の"阿羅魚(あら)"、五百三十匁(≒2kg)
  ・蝦夷余市(えぞよいち)"華臍魚肝(あんかうきも)"
  ・隱州(おき)"松葉蟹(まつばがに、≒楚蟹)"、二百匁(≒750g)
  ・但州香住(たじまかすみ)の"雌楚蟹(めすのすはへがに)"の澆飯(どんぶりめし)
  ・遠州濱名湖(とほとうみはまなこ)の"鰻(むなぎ)"二百七十匁(≒1kg)

(すし)】:
  ・能州(のと)の"鰤(ぶり)"、四貫五百三十匁(≒17kg)、肥肉(あぶらみ)
  ・房州勝浦(あはかつうら)の"鯥(むつ)"
  ・佐渡島(さどがしま)の"阿羅魚(あら)"、五百三十匁(≒2kg)
  ・奧州(むつ)の"金華鯖(きんくわさば)"
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"眞鰺(まあぢ)"
  ・陸州大間(むつおほま)の"鮪(しび)"、四十三貫(≒160kg)
  ・陸州大間(むつおほま)の"鮪(しび)"、四十三貫(≒160kg)、肥肉(あぶらみ)
  ・能州(のと)の"鰤(ぶり)"、四貫五百三十匁(≒17kg)

(しるもの)】:
  ・播州明石(はりまあかし)の"眞鯛(まだひ)潮汁(うしほじる)"、
         四百八十匁(≒1.8kg)、朝〆(あさじめ)

果子(このみくさのみ)】:
  ・越後(ゑちご)の洋梨(やうなし)"ル・レクチ"
  ・紀州(きい)"紅まどんな"
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
     旭光學 賓得(Pentax)K-5 單鏡反光數字照相機(でじいち) ※2011-06
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2   ※2011-06
時節柄(をりしも)、
盂蘭盆會(うらぼんゑ)と颱風(のわけ)が重(かさ)なり、
魚市塲(うをいちば)も蔬菜市塲(あをものいちば)も閉鎖(しま)り、
(いを)も蔬菜(あをもの)も缺乏(とぼし)き最惡(いとあし)き慘状(ありさま)

かゝる惡條件下(あしきめぐりあはせ)での、
淡路(あはぢ)"星王餘魚(ほしがれひ)"四百五十三匁(≒1.7kg)、
雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の"(むなぎ)"百七十九匁(≒670kg)、
能州(のと)の"阿羅魚(あら)"九百四十七匁(≒3.55kg)。

木砧(まないた)の上(うへ)の"星王餘魚(ほしがれひ)"は朝〆(あさじめ)。
噛(か)むほどに、心持(こゝち)よき齒觝觸(はあたり)を隨伴(ともな)ひ
風韻(かをり)・旨味(うまみ)が浮騰(ほとばし)る。
就中(わきても)、縁側(えんがは)には肝裂魄飛(きもさけたましひみにそはず)。

とは半點(いさゝか)大袈裟(おほげさ)なれど、
"星王餘魚(ほしがれひ)"も"(むなぎ)"も、實言(まこと)、美味(よきあぢ)。
"潮汁(うしほじる)"の美(あぢよき)は勿論(いふもさらなり)。
素材(そざい)秀逸(よし)、技倆(うで)さらに優秀(よし)

此度(こだみ)の米醋(よねず)と粕醋(かすゞ)の配合比(わりあひ)は、
「六(ろくぶ):四(しぶ)」との説明(よし)。
粕醋(かすゞ)は"山吹(やまぶき)"など三種(みくさ)の混合(まぜあはせ)。
舎利(すめし)に限定(かぎ)るなら、試行錯誤中(みちなかば)歟(か)?

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・"雞卵炙(にはとりのたまごやき)"
        ・・・・・
  ・長良川(ながらがは)の"香魚(あゆ)"
  ・土州四萬十(とさしまんと)の"沼知々武(ごり、≒ぬまちゝぶ)"と
     "伏見蕃椒(ふしみたうがらし)"有馬煮(ありまに)
        ・・・・・
  ・蝦夷地餘市(えぞちよいち)の"鮟鱇肝臟(あんきも)"
  ・播州明石(はりまあかし)の"海蛸子(たこ)"、九百卅匁(≒3.5kg)
  ・"秋葵(おくら)"
        ・・・・・
  ・房州勝浦(あはかつうら)の"鰒(あはび)"
  ・上州(かうづけ)"茄子(なすび)"
        ・・・・・
  ・淡路(あはぢ)"星王餘魚(ほしがれひ)"、四百五十三匁(≒1.7kg)
  ・蝦夷地噴火灣(えぞちふんくわゝん)の"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
  ・加州(かゞ)"加賀太胡瓜(かゞぶとそばうり)"
        ・・・・・
  ・山州(やましろ)"鹿ヶ谷柬埔塞瓜(しゝがたにかぼちやうり)"
        ・・・・・
  ・雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の"鰻(むなぎ)"、百七十九匁(≒670kg)

(すし)】:
  ・能州(のと)の"阿羅魚(あら)" 、九百四十七匁(≒3.55kg)
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)" 、中肥肉(ちゆうあぶ)
  ・三州(みかは)の"鯷(いはし)"
  ・下總銚子(しもつふさてうし)の"堅魚(かつを)"
  ・蝦夷地奧尻(えぞちおくしり)の"北紫靈螺子(きたむらさきうに)"
  ・豐後(ぶんご)"城下王餘魚(しろしたがれひ、≒まこがれひ)"
  ・江戸前海(えどまへうみ)の"小鰭(こはだ)"
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)"、肥肉(あぶ)
  ・淡路(あはぢ)"星王餘魚(ほしがれひ)"、四百五十三匁(≒1.7kg)
  ・豆州下田(いづしもだ)の"鮪(しび)"、醬油漬(しやうゆづけ)
  ・"星鳗(あなご)"
  ・陸前高田(りくぜんたかだ)"石影貝(いしかげがひ)"
  ・"新魷魚(しんいか)"
  ・"河童卷(かつぱまき)"

(しるもの)】:
  ・能州(のと)の"海糠魚(あら)"の骨邊肉(あら)九百四十七匁(≒3.55kg)と
      ブータン"松蕈(まつたけ)"の潮汁(うしほじる)

果子(このみくさのみ)】:
  ・宇留麻廼久尓(うるまのくに)"タヾヲゴールド"菠蘿(ぱいんあぷる)
  ・墨西哥(メキシコ)"芒果(まんご)"
  ・薩州(さつま)"茘枝(れいし)"
  ・"瀬戸(せと)ジャイアント"
  ・暹羅(しやむろ)"榴蓮(ドリアン)"
=======================================

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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
今季初(はつもの)」と云ふ"尼手鰈(あまてがれひ、=まこがれひ)"は、
淡路島(あはじゝま)の四百八十匁(≒1.8kg)、
備前小島灣(びぜんこじまわん)の(むなぎ)が百二十八匁(≒480kg)、
佐渡(さど)の(しび)は稍(やゝ)小(ちい)さめの十八貫七百匁(≒70kg)。

劈頭(いやさき)に、"饅膾(ぬたなます)"。
名殘(なごり)の"螢魷魚(ほたるいか)"を最惜(いとをし)みつゝ、
馬鹿貝(ばかゞひ)と九條蔥(くでうねぎ)を醋未醤(すみそ)にて堪能(あぢはふ)。
何(なん)でも「千鳥醋(ちどりす)」との説明(よし)。

伏見蕃椒(ふしみたうがらし)と縠雜魚(ちりめんざこ)の煮物(にもの)には、
破顏(かをほころば)さゞるべからず。
小宮親方(こみやおやかた)特有(ならでは)の優(やさ)しき味(あぢはひ)
實(げ)に、これを家苞(いへつと)ゝして囘(かへ)りたきところ

未開(いまだひらかざる)"(ぬなは)":、
水晶(すいしやう)のごとき"それ"には「肝裂魄飛(きもさけたましひみひそはず)」。
近接(ちかより)て詳細(つぶさ)に觀察(み)るに、
實言(まこと)、嬰兒(みどりご)の如(ごと)き容姿(すがたかたち)。

備前小島灣(びぜんこじまわん)の(むなぎ)は"白炙(志らやき)"。
雲州宍道湖(いづもしんじこ)の鰻(むなぎ)にも負(ま)けぬ美味(よきあぢ)
今季一(こんきいち)」
と云ふも、强(あなが)ち嘘僞(うそいつはり)にあらず

土州(とさ)の縞鰺(しまあぢ)、上總竹岡(かみつかさたけをか)の帶魚(たちうを)、、
百花繚亂(いづれあやめかゝきつばた)」。
早晚(いづれ)彩芽(あやめ)は老板(ひと)の(つま)。
眞妻山葵(まづまわさび)は刺躬(さしみ)の"つま"。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・"饅膾(ぬたなます)"
     勢州桑名(くはな)の馬鹿貝(ばかゞひ)
     越中富山滑川(ゑつちゆうとやまなめりかは)の螢魷魚(ほたるいか)
     山州(やましろ)九條葱(くでうねぎ)
  ・"煮物(にもの)"
     蝦夷余市(えぞよいち)の華臍魚肝(あんごうきも)
     山州(やましろ)伏見蕃椒(ふしみたうがらし)
     縠雜魚(ちりめんざこ)
  ・"醋物(すのもの)"
     羽州白神山地(ではのくにしらかみさんち)の蓴菜(ぬなは)
  ・"煮物(にもの)"
     床臥(とこぶし)
     冬瓜(かもうり)
     牛蒡(うまふゞき)
     實山椒(なるはじかみのみ)
  ・"臠(さしみ)"
     淡路島(あはじゝま)の尼手鰈(あまてがれひ)、四百八十匁(≒1.8kg)
     蝦夷禮文島(えぞれぶんたう)の蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)  
  ・"焼物(やきもの)"
     備前小島灣(びぜんこじまわん)の鰻(むなぎ)、百二十八匁(≒480kg)

(すし)】:
  ・房州勝浦(あはかつうら)の堅魚(かつを)
  ・佐渡(さど)の鮪(しび)中肥肉(ちゆうあぶ)、十八貫七百匁(≒70kg)
  ・眞鯒(まごち)
  ・土州(とさ)の縞鰺(しまあぢ)、一貫二百八十匁(≒4.8kg)
  ・淡路(あはぢ)の胡麻鯖(ごまさば)
  ・佐渡(さど)の鮪(しび)、十八貫七百匁(≒70kg)
  ・玉珧(たひらぎ)
  ・上總竹岡(かみつかさたけをか)の帶魚(たちうを)
  ・佐渡(さど)の鮪(しび)漿醬醃(しやうゆづけ)、十八貫七百匁(≒70kg)
  ・雞卵炙(にはとりのたまごやき)

(しるもの)】:
  ・吸地(すひぢ)
    利尻昆布(りしりひろめ)+鮪節(しびぶし)
  ・椀種(わんだね)
    雲州江の川(いづもごうのかは)の鰷(あゆ)
    芋莖(いもじ)
  ・吸口(すひくち)
    椒芽(きのめ) ※自家栽培(じかさいばい)

果子(このみくさのみ)】:
  ・蝦夷夕張(えぞゆふばり)甜瓜(からうり)、"夕張甜瓜(ゆふばりメロン)"
  ・羽州(では)櫻桃(さくらんぼ)、"佐藤錦(さたうにしき)"
  ・臺灣(たいわん)茘枝(れいし)
  ・葡萄(えびかづら)
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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
劈頭(いやさき)に眼精(まなこ)を射(い)るは、
俎上(まないたのうへ)の×"天狗(てんぐ)"〇"時不知(ときしらず)"。
そも、"時不知(ときしらず、おほめます)"なるもの、
高貴(やむごとなき)こと、鮏(さけ)の夥計(なかま)でも頂點(いたゞき)。

これを紀州備長炭(きしうびんちやうたん)に炙(あぶりや)きて頂戴(いたゞく)。
i.e.,(すなはち)、"鹽燒(しほやき)"。
不味(あぢあし)き理(ことわり)もなし。
かくて、「虎咽狼呑(むさぼりつく)」せば、身・皮(みかは)の竟(をは)り

信州篠ノ井(しなのしのゝゐ)の山菜(さんさい)も今季(ことし)で最後(をはり)。
×雞眼目(うをのめ)〇楤芽(たらのめ)、漉油(こしあぶら)。
尾張(をはり)に駿州(するが)遠州(とほとほみ)、
駿河灣(するがわん)遠州(とほとほみ)櫻蝦(さくらえび)の"天麩羅(てんぷら)"。

佛陀(ほとけ)の骨(ほね)に鮓(すし)の米(こめ)、
「舎利(しやり)」と喚做(よびな)す鮓業界(このせかい)。
小宮親方(こみや)の舎利(しやり)は×三度(さんど)まで〇七變化(しちへんげ)。
米醋(よねず)に粕醋(あかず)、横井(よこゐ)に中㙒(なかの)。

水果(くだもの)、悉(ことごと)く"清露(シロップ、みつゞけ)"と做(な)す。
"(なま)"でも"糖漿(みつゞけ)"でも、最上級品(いとよきもの)ばかり。
就中(わきても)、
琉球(りうきう)"桃菠蘿(ピーチパイン)"は「龍肝豹胎(まれにみるうまさ)」。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・"醋未醤和(すみそあへ)"
     薩州出水(さつまいづみ)の"墨烏賊(すみいか)" 
     土州(とさ)"四方竹(しはうちく)"
  ・"煮付(につけ)"
     江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)の"稚鰷(ちあゆ)"
     信州篠ノ井(しなのしのゝゐ)の"楤芽(たらのめ)"
     信州篠ノ井(しなのしのゝゐ)の"漉油(こしあぶら)"
  ・駿河灣(するがわん)櫻蝦(さくらえび)の"天麩羅(てんぷら)"
  ・時不知(ときしらず、おほめます)"鹽燒(しほやき)"
  ・"刺躬(さしみ)"
     淡路(あはぢ)"星王餘魚(ほしがれひ)"
     蝦夷地釧路(えぞちくしろ)の"蝦夷馬糞霊螺子(えぞばふんうに)"
  ・"雞卵燒(たまごやき)"

(すし)】:
  ・紀州那智勝浦(きいなちかつうら)の"鮪(しび)"、中肥肉(ちゆうあぶ)
  ・"櫻鱒(さくらます)"
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"春子鯛(かすごだひ)"
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"眞鰺(まあぢ)"
  ・江戸灣(えどわん)の"鳥蛤(とりがひ)"
  ・"小鰭(こはだ)"="鯯(このしろ)"の稚魚(をさないを)
  ・蝦夷地(えぞち)"富山蝦(とやまえび)"
  ・紀州那智勝浦(きいなちかつうら)の"鮪(しび)"、肥肉(あぶ)
  ・薩州出水(さつまいづみ)の"墨烏賊(すみいか)"
  ・紀州那智勝浦(きいなちかつうら)の"鮪(しび)"、醬油漬(しやうゆづけ)
  ・越中富山(ゑつちゆうとやま)の"白蝦(しろえび)"+陸州(むつ)"蚫(あはび)"

(しるもの)】:
  ・"花山椒鍋(はなざんせうなべ)"
     和州(やまと)"花山椒(なるはじかみのはな)"
     上總竹岡(かみつかさたけをか)の"白帶魚(たちうを)"
     泉州(いづみ)"水茄子(みづなす)"
     "防風(はますかな)?"

果子(くわし)】:
  ・果子(くだもの)ゝ清露(シロップ)
     米利堅(めりけん)の"櫻桃(さくらんぼ)"
     本朝(わがくに)の"櫻桃(さくらんぼ)"
     琉球(りうきう)"桃菠蘿(ピーチパイン)"
     日向(ひむか)"芒果(マンゴ)"
     "橘(みかん)"の等類(たぐひ)
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
備前(びぜん)兒島灣(こぢまわん)の"(むなぎ)"などの初物(はつもの)!
"(むなぎ)"には釣針(つりばり)までと云ふ邂逅(めぐりあはせ)。
炙(あぶりやき)に用(つか)ふ備長炭(しろずみ)も、
"日向備長炭(ひむかびんちやうたん)から"紀州備長炭(きしうびんちやうたん)"に、、。

勿驚(おどろくなかれ)、
"横井(よこゐ)"の"與兵衞(よへゑ)"が製造中止(もはやつくらず)とのこと。
已(や)むことを得(え)ずして、
"山吹(やまぶき)"+"江戸丹念酢(えどたんねんず)"を代替(かへとなす)。

"雞卵燒(たまごやき)":
天然對鰕(てんねんくるまえび)に鰕黃(えびみそ)まで擂込(すりこ)み、
顏色(いろ)・(あぢ)・風韻(かをり)とも 
實(げ)に、皇帝(すめらみこと)の風格(おもむき)

豐前(ぶぜん)"城下鰈(しろしたがれひ)"骨邊肉(あら)の"潮汁(うしほじる)"には、
肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはず)。
最貴(いとやむごとな)き"花山椒(なるはじかみのはな)"まで散見(ちらりほらり)。
そのほか、一(ひと)つとして不味(あぢあしき)は無(なし)

倩(つらつら)、昔日(むかし)の記録(ふみ・ゑ)を繙(ひもと)くに、
足掛十年(あしかけとゝせ)、此度(こだみ)で百三十二囘目(ひやくさんじふにかいめ)。
周知(あまねくしら)るゝ、掉尾(いやはて)の果實(くだもの)と云ふ形式(かたち)、
徐々(ゆるやか)に確立(なりし)ものと氣附(きづ)く。

嘗(かつ)ては、果子(くだもの)なきこともあり、
手製(みづからつくり)し甜品(あまみ)を提供(ふるま)ふことも、、。
小宮親方(おやかた)に據(よ)らば、
手間(てま)でもあり、賓(まらうど)も果實(くだもの)を怡(よろこ)ぶ」と。

實(げ)にも!
面倒(てのかゝ)る甜品(あまみ)簡易(てのかゝら)ぬ果物(くだもの)へ、、。
と云ふのは、"菓子(くわし)"の歴史(れきし)とは逆向(さかしま)
元來(もとより)"菓子(くわし)"とは、

庭訓往來】:南北朝時代末期~室町時代前期
=========================================
>"菓子"者(くわしは)、
>
> (ゆ)、柑々子(かうかうじ)、(たちばな)、熟瓜(じゆくくわ)、
> 澤茄子(さはなすび)等(とう)、可隨時景物也(ときのけいぶにしたがふべきなり)
>
> 伏菟曲(ふとまがり)、煎餠(せんべい)、燒餠(やきもち)、粢(しどき)、
> 興米(おこしこめ)、索<米并>(さくべい)、糒(ほしい)、粽(ちまき)等(とう)、
> 爲客料可被用意(かくれうのためにやういせらるべし)。
> 御時粥(おんときかゆ)、以前(いぜん)可被調置(とゝのへおかるべし)。
=========================================

日葡辭書】: 安土桃山期(刊行は江戸初期)
=========================================
>"Quaxi(くわし)" 
>
> 果實、特に、食後の果物をいふ。
=========================================

のであり、
古(ふる)く夏華(もろこし)より傳來(つたは)りし"唐菓子(からくだもの)"、
その後(のち)の"南蠻菓子(なんばんぐわし)"を含(ふく)め、
砂糖(さたう)を用(つか)ふやうに、、。

江戸初期(えどのはじめごろ)【料理物語】には、 
各種(さまざま)なる"菓子(くわし)"が紹介(しめさ)れ、
沙糖(さたう)用(つか)ふものも過半(なかばをこす)。
"蕨餠(わらびもち)"に不使用之(これをつかはざる)は後世(のち)も同(おな)じ

料理物語】:(45~47/56) ※拔粹 ●:砂糖練、▲:砂糖掛、×無糖
=========================================
>第十八、"菓子(くわし)"之部
>
>"玉子素麺(たまごさうめん)"●
>
>"おこし米(こめ)"●
>
>"牛蒡餠(ごばうもち)"●
>
>"葛燒(くずやき)もち"●
>    くず一升、水一升、沙糖(さたう)一升、三色(いろ)すくこね、
>    あはを、みかんほどにまろめ、なべに、すこしあぶらをぬり、
>    さいさい、うちかへし、燒(やき)申候。
> 
>"葛餠(くずもち)"▲
>    くずのこ一升に、水一升五合(がう)入、ねりて、出し候。
>    もちは、いづれも、"まめのこ"、鹽(しほ)、"さたう"、かけて吉。
>    又、"くずのこ"、"わらびのこ"は、何(なん)ときも、やげんにて、
>    よくおろして、こね申也。
>
>"蕨餠(わらびもち)"×
>    粉(こ)一升に、水一升六七合(かう)入、よくときて、ねり候よし。
>    粉(こ)同。
>
>"雪餠(ゆきもち)"×
>
>"杉原(すぎはら)もち"×
>
>"枸杞餠(くこもち)"×
>
>"五加(うこぎ)餠"×
>
>"ちまき"▲
>    是も四分六分の"こ"を水にてやはらかにね、ま薦(こも)にても、 
>    篠(さゝ)のはにても、つゝみまき、よくゆで候。
>    黃には、くちなしの汁入、"沙糖(さたう)"、大豆(まめ)の"こ"、しほ。
>
>"さゝ餠"×
>
>"御所樣餠(ごしよさまもち)"▲
>
>"近衞樣雪餠(このゑさまゆきもち)"×
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江戸後期(えどのをはりちかく)、
江戸流行料理通】には、
菓子(くわし)といふは砂糖(さたう)にて製(こしらへ)たるものにあらず
と、時流(ながれ)に逆(さか)らふ發言(ものいひ)も、、。

八百善料理通】:(39/81)
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>"菓子(くわし)"の心得の事
>
>一、菓子(くわし)といふは砂糖(さたう)にて製(こしらへ)たるものにあらず
> 菓子(くわし)は"くだ物(もの)"也。
> 四季(しき)の木實(このみ)草實(くさのみ)をいふ。
> 料理(りやうり)の終(をは)りに出す事は、
> 料理の厚味(かうみ)、魚鳥(ぎよてう)を食(しよく)し
> 食熱(しよくねつ)をさますため也。
>
> 料理にかゝはりたるにもあらず。
> 後(のち)に工夫(くふう)ありて、作(つく)れる也。
> 砂糖(さたう)は冷(れい)なる物なれば、惡(あし)き物にあらず。
> 宜(よろし)といへども、さりながら、木(こ)の實(み)草(くさ)の實(み)を、
> 盛合(もりあは)せ出すが宜(よろ)し
> 此の理(り)を捨(すつ)べからず。
>
> 茶請(ちやうけ)は砂糖(さたう)にて作(つく)りたる品(しな)宜(よろ)し
> の味(あぢは)ひには●(よろし●)の第一也。   ※ ←●:不能判讀
>
> 仍(よつ)て、”茶菓子(ちやくわし)”とは獻立(こんたて)には書(かゝ)ず
> ”茶請(ちやうけ)”と書事(かくこと)なり。
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因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・"蕗未醤(ふきみそ)"
  ・江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)の"冰魚(ひうを)"
  ・土州(とさ)四万十川(しまんとがは)の"沼知々武(ゴリ)"
  ・山州(やましろ)"花山椒(なるはじかみのはな)"

  ・豐前(ぶぜん)"城下鰈(しろしたがれひ)"、三百四十七匁(≒1.3kg)魥(さしみ)
  ・淡路(あはぢ)"眞子鰈(まこがれひ)"、三百廿匁(≒1.2kg)刺躬(さしみ)
  ・蝦夷地(えぞち)"蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)"
  ・山州(やましろ)長岡京(ながをかきやう) の"笋(たけのこ)"
  ・山州(やましろ)"花山椒(なるはじかみのはな)"

  ・江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)の"稚鰷(ちあゆ)"鹽燒(しほやき)

  ・備前(びぜん)兒島灣(こじまわん)の"鰻(むなぎ)"、九十三匁(≒350g)

  ・"雞卵燒(たまごやき)" ※天然對鰕(てんねんくるまえび)+鰕黃(えびみそ)
  ・蝦夷地(えぞち)余市(よいち)の"華臍魚(あんかう)"肝臟(きも)

(すし)】:
  ・下總(しもつふさ)船橋(ふなばし)の"鳥蛤(とりがひ)"
  ・上總(かみつかさ)竹岡(たけをか)の"鱵(さより)"
  ・"小鯛(かすご)"
  ・長州(ながと)仙嵜(せんざき)の"鮪(しび)"
  ・豐前(ぶぜん)佐賀關(さがのせき)の"雞魚(いさき)"

(しるもの)】:
  ・椀種(わんだね):
     豐前(ぶぜん)"城下鰈(しろしたがれひ)"の骨邊肉(あら) 
  ・吸口(すひくち):
     山州(やましろ)"花山椒(なるはじかみのはな)"

果子(くわし)】:
  ・"●●柑(なんとかゝん)"
  ・吉備(きび)の"酸漿(ほゞづき)"
  ・日向(ひむか)"芒果(マンゴ)"
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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
劈頭(いやさき)に"海鼠子(このこ)":
現今(いま)"ナマコ"と叫(よ)ばるゝものは、
古來(いにしへより)、和名(やまとことば)で""と號(よびな)さる。
海鼠(こ)の生殖巢(こ)」故(ゆゑ)、"海鼠子(このこ)"。

倭名類聚抄】(16/65):
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  "海鼠(こ)":
    "(ひる)"に似而(にて)大者(おほきなるもの)也。
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和漢三才圖會】(230~231/787):
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  "海鼠膓(このわた)":
    腹中に黃膓三條有り。
    之を淹し、"醬"と爲る者也。
    香美、不可言(いふべからず)。
      ・・・・(中畧)・・・・
    其膓中、赤黃色有て、糊の如きの者を、"海鼠子(このこ)"と名く。
    亦佳し
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"海鼠子(このこ)"に三種(みくさ)あり、
i.e.,(すなはち)、"(なま)"、"半生(はんなま)"、"(ひもの)"、これなり。
その容(かたち)から、(ひもの)は"撥子(ばちこ)"と喚做(よびな)さる。
老骨(それがし)、"(なま)"を最喜歡(なによりこのむ)。

江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)の"冰魚(ひうを)、=鰷稚魚(あゆをさなご)":
"海鼠子(このこ)"も"冰魚(ひうを)"も、魚河岸(いをがし)にて仕入(しい)れ、
寸毫(つゆ)不加工(てをくはへざる)ものなれど、
「實言(まこと)、佳味(よきあぢ)!」、と云ふほかなし。

肥前(ひぜん)大村(おほむら)の"靑海鼠(あをなまこ)"に、
能州(のと)"赤海鼠(あかなまこ)と云ふ競(あらそひ)。
(なま)の海鼠(こ)故(ゆゑ)、人(ひと)は"生海鼠なまこ)"と呼(よ)ぶ。
明白(あきらか)に"靑海鼠(あをなまこ)"が吉(よい)。

虎鯸(とらふく)の"精巢(しらこ)":
巨大(いとおほきな)る"精巢(しらこ)"を六等分(むつにわけ)、
振鹽(ふりじほ)をして、備長炭(しろずみ)にて叮嚀(ねんごろ)に炙(あぶ)る
不味(まづ)からう道理(わけ)もなし。

"烏魚子餈(からすみもち)"また然(しか)り。
雞(とり)が啼(な)く東國(あづまのち)では稀(まれ)なる"丸餈(まるもち)"。
越後(ゑちご)のもの」と云ふ。
"烏魚子(からすみ)"の華美(よきあぢ)なるは勿論(いふもさらなり) 。

この日(ひ)の(しるもの)は、正(まさ)に靑陽(はる)。
筑前(ちくぜん)八女(やめ) の(たけのこ)、獨活(うど)、大葉擬寶珠(うるい)、
椒芽(きのめ)の吸口(すひくち)も爽(さは)やか。
愚按(おもふに)、『うを徳』の(しるもの)は天下無雙(よにならぶものなし)。

雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の"鱣魚(むなぎ)"を堪能(あぢは)ひ、
薩州(さつま)出水(いづみ)の"眞鰺(まあぢ)"に、
伯州(はうき)境港(さかひみなと)の"松葉蟹(まつばがに)"、
掉尾(いやはて)は、阿州(あは)"さくらもゝ草莓(いちご)" にて掉尾(しめ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
  ・能州(のと)海鼠子(このこ)
  ・江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)の"冰魚(ひうを)、=鰷稚魚(あゆをさなご)"
  ・蝦夷地(えぞち)乙部(おとんべ)の"なめた王餘魚(がれひ)"
  ・播州(はりま)明石(あかし)?の"海蛸子(たこ)"
  ・滑子(なめこ)
  ・肥前(ひぜん)大村(おほむら)"靑海鼠(あをなまこ)"
  ・能州(のと)"赤海鼠(あかなまこ)"
  ・播州(はりま)明石(あかし)の"比目魚(ひらめ)"、六百四十匁(≒2.4kg)
  ・蝦夷地(えぞち)昆布森(こんぶもり)の"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"
  ・虎鯸(とらふく)"精巢(しらこ)"
  ・蝦夷地(えぞち)餘市(よいち)の"華臍魚肝臟(あんかうきも)"
  ・"烏魚子(からすみ)餈(もち)"
  ・雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の"鱣魚(むなぎ)"、三百廿匁(≒1.2kg)

(すし)】:
  ・豆州(いづ)下田(しもだ)の"鮪(しび)"、四十五貫三百匁(≒170kg)
  ・播州(はりま)明石(あかし)の"比目魚(ひらめ)"、六百四十匁(≒2.4kg)
  ・豆州(いづ)下田(しもだ)の"鮪(しび)"、四十五貫三百匁(≒170kg)
  ・薩州(さつま)出水(いづみ)の"眞鰺(まあぢ)"
  ・"障泥魷魚(あふりいか)"
  ・"牀臥(とこぶし)"
  ・豆州(いづ)下田(しもだ)の"鮪(しび)"、四十五貫三百匁(≒170kg)
  ・伯州(はうき)境港(さかひみなと)の"松葉蟹(まつばがに)="楚蟹(すはへがに)"

(しるもの)】:
  ・椀種(わんだね):
     筑前(ちくぜん)八女(やめ) の笋(たけのこ)、
     獨活(うど)、
     大葉擬寶珠(うるい、=おほばぎばうし)
  ・吸口(すひくち):
     椒芽(きのめ)

果子(くわし)】:
  ・阿州(あは)"さくらもゝ草莓(いちご)"
  ・白草莓(しろいちご) 、"初恋の香り"
  ・"金柑(きんかん)"二色(ふたいろ)
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【暗箱】 :東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【受象珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
以西巴爾亞(イスハニヤ)の繪師(ゑし)の手(て)になる石版印刷畫(リトグラフ)は、
先代(さきつおやかた)の所藏(もの)」と云ふ。
この日(ひ)の廚(つけば)には、"肥前(ひぜん)五島(ごたう)の垢穢(くゑ)"に、
"子籠(こゞもり)の公魚(わかさぎ)"、雌雄(めすとをす)"楚蟹(すはへがに)"。

はや、
"蜂斗菜(ふきのたう)"に加(くは)へ、
"(わん)"には、(たけのこ)と麪條魚(しらうを)に椒芽(きのめ)。
一足(ひとあぢ)早(はや)き靑陽(はる)の宴(うたげ)

對照的(これとはさかしま)、
名殘(なごり)の、"せこ蟹(がに)"に、"濱名湖(はまなこ)の(むなぎ)"。
やはり鰻魚(むなぎ)は龝(あき)が吉(よい)。
同席(せきをおなじくせ)し臺灣(あちら)の食通(かた)と蟹談義(かにばなし)。

稚拙(つたな)き漢語・英語(あちらのことば)にて會話(やりとり)するに、
楚蟹(すはへがに)は蟹身(み)、大閘蟹(もろこしもくづがに)は蟹黃(かにみそ)」
と互(たが)ひに打點頭(うちうなづ)く。
結局(とゞのつまり)、彼儕(かれら)とは日語(ひのもとのことば)が最適(よい)

"烏魚子(からすみ)二種(ふたくさ)"の内(うち)の一種(ひとつ)は、
「仕入値(しいれね)瓩(キロ)六萬五千圓(ろくまんごせんゑん)」。
奴僕(やつかれ)、
熟成(ひの)淺(あさ)き二萬五千圓(にまんごせんゑん)が嗜好(このみ)

酒足飯飽(ごちさうさまでござつた)!」
前述(くだん)の臺灣(たいわん)よりの貴人(たふときひと)も、
同意之(これにうなづく)。
很好吃(いとよきあぢなり)!」

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・松前漬(まつまへづけ)
     鯡魚子(かどのこ)
     魷魚乾絲(するめせん)
     昆布絲(ひろめせん)
     胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)
  ・肥前(ひぜん)小長井(こながゐ)の蠔(かき)
  ・油煠(てんぷら)
     蜂斗菜(ふきのたう)
     公魚(わかさぎ)
  ・胾(さしみ)
     蝦夷地(えぞち)濱中(はまなか)の馬糞靈螺子(ばふんうに)
     肥前(ひぜん)五島(ごたう)の垢穢(くゑ)
  ・清蒸赤鯥(あかむつむしもの)
  ・せこ蟹(がに)釜飯(かまめし)
  ・遠州(とほとほみ)濱名湖(はまなこ)の鰻(むなぎ)、二百十三匁(≒800g)
  ・烏魚子(からすみ)二種(ふたくさ)

(すし)】:
  ・雞卵燒(たまごやき)
  ・佐渡(さど)の鰤(ぶり)
  ・蝦夷地(えぞち)松前(まつまへ)の金槍魚(しび)
  ・因州(いなば)or伯州(はうき)の"松葉蟹(まつばがに)="楚蟹(すはへがに)"

(わん)】:
  ・清湯(すましゞる)
     椀種(わんだね):
       薩州(さつま)の笋(たけのこ)
       雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の銀魚(しらうを)
     吸口(すひくち):
       椒芽(きのめ)

果子(くわし)】:
  ・下總(しもつふさ)香取(かとり)の"アイベリ"
  ・肥前(ひぜん)"せとか"
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
烏魚子(からすみ)にせばや」と、
仕込最中(しこみさなか)の鯔魚子(ぼらこ)に眼眶(まなこ)釘附(くぎづけ)。
雌雄(をすめす)楚蟹(すはへがに)の姿(すがた)も、、。
やはり不可缺(かゝせぬ)江州琵琶湖(あふみびはこ)の諸子(もろこ)。

蝦夷地利尻(えぞぢりしり)の牙鮃(ひらめ)は八百匁(≒3kg)の大物(おほもの)。
(さしみ)→(すし)→潮汁(うしほじる)、
美味(うまさ)の三段活用(さんだんかつやう)
三段腹卍(さんだんばらまんじ)、遣繰算段(やりくりさんだん)四苦八苦(しくはつく)。

無理强(むりじ)ひせし"雞卵燒(たまごやき)":
薯蕷(いも)を(す)り、車鰕(くるまえび)、雞蛋(たまご)を加(くは)へ、
日向備長炭(しろずみ)にて叮嚀(ねんごろ)に燒成(やきあぐ)るぞ尤(いと)をかし。
感謝感激雛霰(かんしやかんげきひなあられ)もなき三段腹卍(さんだんばらまんじ)。

この日(ひ)、
唸(うな)り、腕組(うでをく)み、うち點頭(うなづ)きしは"炊合(たきあはせ)"。
聖護院菘根(しやうごいんだいこん)、金時胡蘿蔔(きんときせりにんじん)、
各々(おのおの)調味(あぢつけ)して、火候(ひいれ)完璧(ひのうちどころなし)。

山葵(わさび)にも瞠目(めをみはる)ほか術(てだて)なし。
卸金(おろしがね)を變(か)へ、
鮫皮(さめがは)にも無遜色(ひけをとらぬ)滑(なめ)らかさと黏(ねば)り
同(おな)じ山葵(わさび)でこれほどまでに變貌(かはる)とは、、。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・吉備(きび)と蝦夷地昆布森(えぞちこんぶもり)の眞蠔(まがき)
  ・炊合(たきあはせ)の類(たぐひ):
    ・聖護院菘根(しやうごいんだいこん)
    ・金時胡蘿蔔(きんときせりにんじん)
    ・蝦夷地餘市(えぞちよいち)の鮟鱇肝(あんきも)二種(ふたくさ)
  ・但馬津居山(たじまつゐやま)の勢子蟹(せこがに)
  ・魥(さしみ):
    ・蝦夷地利尻(えぞぢりしり)の牙鮃(ひらめ)、八百匁(≒3kg)
    ・蝦夷地昆布森(えぞちこんぶもり)の海膽(うに)
  ・江州琵琶湖(あふみびはこ)の諸子(もろこ)鹽炙(しほやき)
  ・羽州(では)"にかほ"楚蟹(すはへがに)、二百四十匁(≒900g)
       ※脚身(あしのみ)は撮影失念(とりわすれ)!
  ・羽州八郎潟(ではゝちらうがた)の鰻(むなぎ)、二百十六匁(≒810g)

(すし)】:
  ・雞卵燒(たまごやき)
  ・蝦夷地利尻(えぞぢりしり)の牙鮃(ひらめ)、八百匁(≒3kg)
  ・能州(のと)の鰤(ぶり)、二百七十匁(≒10kg超)
  ・蝦夷地(えぞち)の鯷(いはし)
  ・蝦夷地羽幌(えぞちはぼろ)の特大富山鰕(いとおほきなるとやまえび)
  ・紀州那智勝浦(きゐなちかつうら)の金槍魚(しび)

(わん)】:
  ・牙鮃(ひらめ)骨邊肉(あら)潮汁(うしほじる)

菓子(くわし)】:
  ・肥後(ひご)"太龝柹"(たいしゆうがき)
  ・正體不明(よくわからぬ)、尤(いと)柔(やは)らかなる柹(かき)
  ・ウズベキスタン柘榴(ざくろ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
當家(こちら)の招牌(かんばん)たる"紅椒ムース(パプリカむうす)":
明石鯛(あかしだひ)の骨邊肉(あら)より魚溏油(フュメ・ド・ポアソン)を引(ひ)き、
幾種(いくつ)もの香味(かをり)ある蔬菜(あをもの)と合(あ)はせ、
裏漉(うらごし)せし紅椒(パプリカ)と奶油(くれむ)と混合(まぜあはす)。

信州(しなの)ゝ松茸(まつたけ)に、鵡川(むかは)の柳葉魚(しゝはむ)、
(ゆ)を吸口(すひくち)とし、(わん)となす。
松茸(まつたけ)は勿論(いふまでもなく)、
柳葉魚(しゝはむ)の超絶美味(くらぶるものなきうまさ)に絶句(ことばをうしなふ)。

八百卅匁(≒3.1kg)と演述(い)ふ、
淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)にも悶絶(たましひみにそはず)。
(さしみ)、(すし)、(しる)の遣繰(やりくり)三段活用(さんだんかつやう)。
祕密蓄財(へそくり)、燒栗(やきぐり)、我同意(I agree)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・蝦夷地仙鳳趾(えぞちせんぽうし)の蠔(かき)
  ・丹波(たんば)黑菽(くろえだまめ)+菱實(ひしのみ)
  ・蝦夷地濱中(えぞちはまなか)蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
    +淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)、八百卅匁(≒3.1kg)、魥(さしみ)
  ・明石鯛(あかしだひ)骨邊肉(あら)による紅椒(ぱぷりか)のムース
  ・蝦夷地余市(えぞちよいち)鮟鱇肝臟(あんきも)燻製(いぶし)
    +蝦夷仙鳳趾(えぞせんぱうし)の蠔(かき)時雨煮(しぐれに)
  ・羽州(では)の鰆(さはら)、藁燒(わらやき)
  ・播州明石(はりまあかし)の蛸(たこ)、六百九十匁(≒2.6kg)、煮章魚(にだこ)
  ・常州霞ヶ浦(ひたちかすみがうら)の鰻(むなぎ)、百四十七匁(≒550g)、
    白燒(しらやき)

(すし)】:
  ・蝦夷地戸井(えぞちとゐ)の鮪(しび)、廿七貫(にじふなゝくわん、≒110kg)
  ・眞鯖(さば)
  ・薩州出水(さつまいづみ)の墨烏賊(すみいか)新子(しんこ)
  ・蝦夷地戸井(えぞちとゐ)の鮪(しび)、肥肉(あぶらみ)
  ・蝦夷地根室(えぞちねむろ)の鯷(いはし)
  ・淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)
  ・佐渡(さど)の鮪(しび)漿醤漬(しやうゆづけ)
  ・羽州(では)鰆(さはら)の藁燒(わらやき)
  ・蝦夷地戸井(えぞちとゐ)の鮪(しび)、紅肉(あかみ)

(わん)】:
  ・蝦夷地鵡川(えぞちむかは)の柳葉魚(しゝはむ)+信州松茸(しなのまつたけ)、
    +吸口(すひくち)柚(ゆ)
  ・淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)骨邊肉(あら)、潮汁(うしほじる)

菓子(くわし)】:
  ・肥前唐津(ひぜんからつ)の無花果(いちじく)"ビオレ・ソリエ"
  ・筑紫(つくし)の無花果(いちじく)"とよみつひめ"
  ・吉備(きび)葡萄(ぶだう)"シャイン・マスカット"
  ・信州(しなの)葡萄(ぶだう)"紫苑(しゑん)"
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :蔡司(Carl Zeiss)微距(Makro)Planar T* 2/50 ZK @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
先(さき)の大地震(おほなゐ)に配慮(かんが)み、
此度(こだみ)は蝦夷地(えぞち)山海(うみやま)の幸(さち)が主體(おも)
小人(それがし)嗜(この)む陶藝家(やきものし)長谷川奈津(はせがはなつ):
その(さら)と豬口(ちよく)を存分(こゝろおきな)く堪能(あぢはふ)。

蝦夷(えぞ)釧路(くしろ)の狹眞魚(さまうを)、
肥後(ひご)球磨川(くまがは)の子持香魚(こもちあゆ)、
蝦夷(えぞ)松茸(まつたけ)などの美味(よきあぢ)こそあれ、
當日(このひ)の白眉(はくび)は雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の(むなぎ)。

時季(とき)を得(え)
三百廿匁(≒1.2kg)と理想(ねがふべき)大(おほ)きさ
活〆(いけじめ)されたるものなれど、
猶(なほ)身(み)は活(い)きて庖丁(はうちやう)に頼哩(あらが)ふ

脆皮(もろきかは)に蕩(とろ)けんばかりの(み)。
素材(そざい)も然(さ)ることながら、
偏(ひとへ)に小宮親方(こみやおやかた)の技倆(うで)に依存(よる)
實言(まこと)、今季一(こんきいち)の美味(うまさ)

蝦夷(えぞ)余市(よいち)の鮟鱇肝臟(あんきも)も、
時季(いまどき)には稀有(めづらし)きほどの濃密(あぢのこ)さ。
實(げ)に、
海(うみ)の鵞鳥肝(フォアグラ)」と號(い)ふも諾(うべ)なる哉(かな)!

今季初(はじめて)の栗(くり):
常州(ひたち)友部(ともべ)の栗(くり)を澀皮煮(しぶかはに)と爲(な)す。
善哉(よき)、善哉(よき)!
野州(しもつけ)白無花果(しろいちじく)は今一(いまひとつ)。

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(さかな)】:
  ・蝦夷仙鳳趾(えぞせんぽうし)の蠔(かき)
   +京師(みやこ)萬願寺蕃椒(まんぐわんじたうがらし)
  ・京師(みやこ)小薯蕷(こいも)
   +陸州(むつ)土圞兒(ほどいも)
  ・丹波(たんば)菽(えだまめ)
  ・蝦夷釧路(えぞくしろ)の狹眞魚(さまうを)
   +肥後球磨川(ひごくまがは)の年魚(あゆ)
  ・四百卅匁(≒1.6kg)播州明石(はりまあかし)の眞鯛(まだひ)
  ・蝦夷利尻(えぞりしり)の紫海膽(むらさきうに)
  ・三百廿匁(≒1.2kg)雲州宍道湖(いづもしんじこ)鰻(むなぎ)、白燒(志らやき)
   +肥後(ひご)赤茄子(あかなす)
   +蝦夷(えぞ)余市(よいち)の鮟鱇肝臟(あんかうきも)

(すし)】:
  ・江戸灣(えどわん)眞子鰈(まこがれひ)
  ・土州(とさ)縞鰺(しまあぢ)
  ・蝦夷戸井(えぞとゐ)の鮪(しび)肥肉(あぶらみ)
  ・蝦夷戸井(えぞとゐ)の鮪(しび)
  ・蝦夷(えぞ)松茸(まつたけ)
  ・陸前高田(りくぜんたかだ)蝦夷石影貝(えぞいしかげがひ)
  ・黑鰒(くろあはび)

(わん)】:
  ・淡路(あはぢ)海鰻(はむ)+松茸(まつたけ)+吸口(すひくち)菊花(きくのはな)

菓子(くわし)】:
  ・野州(しもつけ)白無花果(しろいちじく)
  ・常州友部(ひたちともべ)栗澀皮煮(くりしぶかはに)
  ・吉備(きび)シャイン・マスカット
  ・信州(しなの)甲斐路(かひぢ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
掃愁帚(さけ)は"天狗舞山廃(てんぐまひやまはい)"。
嗜好(このみ)に適合(あ)ひ、一合半(いちがふはん、≒正一合)。
此度(こだみ)も尋常(つね)のごとく、山海珍味(うみやまのさち)盡(づ)くし。
就中(わきても)、六百四十匁(≒2.4kg)明石鯛(あかしだひ)は特異(とびきり)。

百八十七匁(≒700g)雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の(むなぎ):
紛(まぎ)れもなく今季一(こんきいち)!
肥後天草(ひごあまくさ)の小鰭新子(こはだのしんこ)は二枚漬(にまいづけ)。
やはり、二枚漬(にまいづけ)~三枚漬(さんまいづけ)が適切(よい)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・山科(やましな)無花果(いちじく)黑芝蔴(くろごま)和(あ)へ
  ・海膽(うに)+秋葵(おくら)+酸桔仔(シークワーサ)、
     眞子鰈潮汁魚凍(まこがれひ、うしほじるにこゞり)
  ・蝦夷地釧路(えぞちくしろ)狹眞魚(さまうを)
  ・酢物(すのもの)、
     奧州(むつ)海鞘(ほや)+能州(のと)岩水雲(いはもづく)
  ・魥(さしみ)
    ・六百四十匁(≒2.4kg)播州明石(はりまあかし)の眞鯛(まだひ)身(み)
    ・六百四十匁(≒2.4kg)播州明石(はりまあかし)の眞鯛(まだひ)鱗(うろこ)
    ・蝦夷地利尻(えぞちりしり)の蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
     +豆州御殿塲(いづごてんば)眞妻山葵(まづまわさび)
      ※田代惠一(たしろけいゝち)栽培(さいばい)
  ・土州清水(とさしみづ)の赤鯥(あかむつ)煮附(につけ)
  ・百九十匁(≒700g)雲州宍道湖(いづもしんじこ)鰻(むなぎ)、白燒(志らやき)

(すし)】:
  ・二十七貫(≒100kg)陸州大間(むつおほま)の鮪(しび)肥肉(あぶらみ)
  ・眞子鰈(まこがれひ)
  ・二十七貫(≒100kg)陸州大間(むつおほま)の鮪(しび)精肉(あかみ)~肥肉
  ・六百四十匁(≒2.4kg)播州明石(はりまあかし)の眞鯛(まだひ)
  ・相州松輪(さがみまつわ)の眞鯖(さば)
  ・肥後天草(ひごあまくさ)の小鰭新子(こはだのしんこ)

(わん)】:
  ・武州羽根田(むさしはねだ)の星鳗(はかりめ)+藝州(あき)松茸(まつたけ)

菓子(くわし)】:
  ・吉備(きび)"瀬戸ジャイアンツ"葡萄(ぶだう)
  ・筑紫博多(つくしはかた)”とよみつひめ”無花果(いちじく)
  ・琉球(りうきう)酸桔仔(シークワーサ)
  ・"長野パープル"葡萄(ぶだう)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
塑料袋(ビニルぶくろ)に悠然(ゆるり)と泅(およ)ぐ "手長鰕(てながえび)":
袋(ふくろ)より出(いづ)るや、
己(おの)が運命(さだめ)を覺悟(し)りて歟(か)?
のたうち、脚(て)を伸(の)ばし、師傅(おやかた)が指(ゆび)に頼哩(あらが)ふ。

南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)!
廚(つけば)には、"宍道湖(しんじこ)の(むなぎ)"、二百七十匁(≒1kg)。
その三分之一(さんぶんのいち)を、さらに三人(みたり)で再分割(わかちあ)ふ。
i.e.,鰻九分之計(むなぎをこゝのつにわくるはかりごと)。

"鹿ヶ谷蒲柬瓜(しゝがたにかぼちや)"は、
甘長蕃椒(あまながたうがらし)、壺盧(ゆふがほ)とゝもに、烹(に)て餐(くら)ふ。
近會(ちかごろ)の甜(あまみ)の强(つよ)き唐茄(かぼちやうり)に比較(くら)べ、
淡麗(あはくきよらか)なる味(あぢはひ)

今季一(こんきいちばん)、"雲州宍道湖(いづもしんじこ)の(むなぎ)"。
脆皮(もろきかは)、皮下(かはのした)の明膠(ゼラチン)と(あぶら)、
さらには、蕩(とろ)けんばかりの身肉(み)の三層(みかさね)。
風味(あぢかをり)と齒觝觸(はごたへ・したざはり)も三段活用(みかさね)。

これには、辭(ことば)を失(うしな)ふほか術(てだて)なし。
佐渡嶋(さどがしま)(しび)も、
"中膩(ちゆうあぶ)"、"鮮肉漿醤(あかみしやうゆづけ)"、"膩肉(あぶ)"と、
强力(いとつよき)三段火箭(みかさね)。

因(ちな)みに、
"鮪膩肉(あぶ)"は備長炭(しろずみ)以て叮嚀(ねんごろ)に炙(あぶ)る。
氷見(ひみ)は寒鰤(かんぶり)、野球(やきう)は素振(すぶ)り、
鮪(しび)の膩(あぶ)には"炙(あぶ)り"が奢(まさ)る。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・先附(さきづけ)の類(たぐひ)一
    ・鹿ヶ谷蒲柬瓜(しゝがたにかぼちや)
    ・甘長蕃椒(あまながたうがらし)
    ・壺盧(ゆふがほ)
    ・芝蔴麩(ごまふ)
  ・先附(さきづけ)の類(たぐひ) 二
    ・淡路(あはぢ)海鰻卵巣(はむのこ)
    ・星鳗(あなご)
    ・眞子鰈(まこがれひ)
    ・藕(はちすのね)
    ・實山椒(みざんせう) 
  ・魥(さしみ)
    ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百七十匁(≒2.5kg)、朝〆(あさじめ)
    ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百七十匁(≒2.5kg)、縁側(えんがは)
    ・蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
  ・江州(あふみ)琵琶鱒(びはます)、炭火炙(すみびやき)
  ・房州千倉(あはちくら)の黑蚫(くろあはび)、酒蒸(さかむし)
  ・手長鰕(てながえび)
  ・雲州宍道湖(しんじこ)鰻(むなぎ)、百九十匁(≒700g) 、白燒(志らやき)

(すし)】:
  ・縞鰺(しまあぢ)
  ・淡路(あはぢしま)星鰈(ほしがれひ)、六百七十匁(≒2.5kg)
  ・大坂灣(おほざかわん)鯔(ぼら)
  ・豆州式根島(いづしきねじま)劍先魷魚(けんさきいか、=あかいか)
  ・淡路嶋(あはぢしま)胡麻鯖(ごまさば)
  ・佐渡嶋(さどがしま)鮪(しび)、中膩肉(ちゆうあぶ)
  ・佐渡嶋(さどがしま)鮪(しび)、鮮肉(あかみ)豆油漬(しやうゆづけ)
  ・江戸灣(えどわん)下總行德(しもふさぎやうとく)の小鰭(こはだ)
  ・佐渡嶋(さどがしま)鮪(しび)、膩肉(あぶ)
  ・星鳗(はかりめ)

(わん)】:
  ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百七十匁(≒2.5kg)、朝〆(あさじめ)

菓子(くわし)】:
  ・シャインマスカット
  ・ピオーネ
  ・芒果(マンゴ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :蔡司(Carl Zeiss)C Sonnar T* 1.5/50 ZM @F2
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
腰痛(こしのいたみ)も多少(いくらか)緩和(やはら)ぎ、
藜杖(あかざのつゑ)にも頼(たよ)らで寺島町(てらじまゝち)に、、。
漬塲(つけば)には、
五十三匁(200g)を超(こ)す、勢州桑名(そのてはくはな)の本蛤(ほんはまぐり)。

魚市塲(うをいちば)に文蛤(はまぐり)多(おほ)しと云へど、
本蛤(ほんはまぐり)は稀有(まれ)。
縱令(たとひ)、本蛤(ほんはまぐり)ありと云へど、
これほどに巨大(SMGRP©ドクシマせんせ、≒おほきなる)ものは稀少(たふとし)。

九十九里(くじふくり)~鹿島灘(かしまなだ)に漁(すなどら)れ、
高名(なだか)き鯗店(すしや)にて用(つか)はるゝは、朝鮮蛤(てうせんはまぐり)。
努々(ゆめゆめ)、兩者(このふたつ)を混同(あやま)つこと勿(なか)れ
當日(このひ)の文蛤(くはなのほんはまぐり)は大(おほ)きさも頂點(いたゞき)

朝〆(あさじめ)、淡路(あはぢ)の星鰈(ほしがれひ)は六百四十匁(≒2.4kg)。
その身(み)の厚(あつ)さ、一寸(いつすん)にも及(およ)ぶ。
五枚(ごまい)に下(お)ろさば、厚(あつ)さを忘(わす)れ、
雪(ゆき)よりもなほ白(しろ)きその(み)に陶然(ことばをうしなふことしばし)。

雲州宍道湖(しんじこ)の(むなぎ):
百九十匁(≒700g)と、そこそこの大(おほ)きさなれど、
良質(よ)き膩(あぶら)に富(と)む。
秋毫(つゆ)無議論(まよふまでもな)く、「今季一(こんきいちばん)」!

必(かならず)しも得手(えて)とせぬ鮪肥肉(しびあぶらみ)も、
日向備長炭(しろずみ)に炙(あぶ)られ、
臼齒(おくば)どころか、舌先(したさき)に崩潰(もろくもくづれさる)
風韻(かをり)また佳絶(すばらしきもの)。

<魚荒>(あら)は、
骨邊肉(あら)を潮汁(うしほじる)、(み)は(すし)にて餐(くら)ふ。
いづれも、至高(このうへな)き鮮(うまみ)。
夜(よる)の怪人(ひと)」の噂(うはさ)をして辭別(いとまをこふ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・先付(さきづけ)の類(たぐひ)
    ・蒸蚫(むしあはび)
    ・賀茂茄子(かもなす)
    ・雜魚(ざこ)+實山椒(みざんせう)
  ・勢州桑名(そのてはくはな)の炸文蛤(あげはまぐり)、五十三匁(200g)超
  ・差味(さしみ)
    ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百四十匁(≒2.4kg)、朝〆(あさじめ)
    ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百四十匁(≒2.4kg)、縁側(えんがは)
    ・紫海膽(むらさきうに)
  ・蝦夷地余市(よいち)鮟鱇肝臟(あんかうのきも)
  ・鰖(たかべ)一夜干(ひとよぼし)
  ・潮汁椀(うしほじるわん)
    ・椀種(わんだね):[魚荒](あら)の骨邊肉(あら)
    ・椀褄(わんづま):羽州(では)蓴菜(ぬなは)
    ・吸口(すひくち):青柚(あをゆ)
  ・雲州宍道湖(しんじこ)鰻(むなぎ)、百九十匁(≒700g)

(すし)】:
  ・[魚荒](あら)、二日目(ふつかめ)
  ・境港(さかいみなと)鮪(しび)、十六貫(≒60kg)
  ・鰹(かつを)藁燒(わらやき)
  ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、六百四十匁(≒2.4kg)、朝〆(あさじめ)
  ・境港(さかいみなと)鮪(しび)、十六貫(≒60kg)
  ・下總行德(しもふさぎやうとく)の小鰭(こはだ)
  ・境港(さかいみなと)鮪(しび)、十六貫(≒60kg)、炙(あぶ)り

菓子(くわし)】:
  ・夕張甜瓜(ゆふばりメロン)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)1.4/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
此度(こだみ)は、氣鋭(いとするど)き食通(たべて)と一緒(とも)に、、。
眼前(めのまへ)に解體(ふわけ)されゆくは、城下鰈(しろしたがれひ)、
i.e.,、豐後(ぶんご)眞子王餘魚(まこがれひ)、四百五十匁(≒1.7kg)に、
肥後天草(ひごあまくさ)(むなぎ)、百八十七匁(≒700g)。

倩(つらつら)この城下王餘魚(しろしたがれひ)を吟味(うかゞ)ふに、
縁側(えんがは)の鮮(うまみ)は格別(ことのほか)。
肝臟(きも)には朝〆(あさじめ)固有(ならでは)の美味(よきあぢ)。
蝦夷地余市(えぞちよいち)鮟鱇肝(あんきも)をも凌駕(しのぐ)ほど。

次(つ)いで、久方(ひさかた)ぶりの"雞卵燒(たまごやき)"に舌鼓(したつゞみ)。
およそ雞卵燒(たまごやき)なるもの、
鮓店(みせ)に依(よ)り、鮓職人(ひと)に應(よ)り、多種多樣(さまざま)。
これぞ、僕(やつかれ)最喜歡(このうへなくこのむ)"煎雞蛋(たまごやき)"!!

"潮汁(うしほじる)"また然(しか)り。
眞子王餘魚(あまてがれひ、=まこがれひ)に、蓴菜(ぬなは)の椀(わん)。
愚按(やつがれおもふに)、
鮓店(すしや)の椀(わん)としては、尾根(をね)のそのまた頂點(いたゞき)

相州葉山(さがみのくにはやま)"障泥烏賊(あふりいか)":
漫(みだり)に黏(ねば)る食感(はごたへ・したざはり)が特徴(しるし)なれど、
實(げ)に、心持(こゝち)良(よ)き齒觝觸(はあたり)
平身低頭(ひたすらうやま)ふべきは、薄(うす)く削(そ)ぐ庖丁技(はうちやうわざ)。

"肥後天草(ひごあまくさ)の(むなぎ)"は今二(いまふた)つ。
やはり、鰻(むなぎ)餐(くら)ふなら龝(あき)が最善(よい)。
"春子(かすご)"・"小鰭(こはだ)"の醋〆(すじめ)は今樣(いまをときめくやりかた)。
瑞瑞(みづみづ)しく、鮮(うまみ)口中(くちのなか)へと浮騰(ほとばし)る

舎利(すめし)はさらに白醋(しろず)を多(おほ)めに、、。
如何(いか)ほどの混合比(まぜかた)を最適解(いとをかし)とする歟(か)?
今(いま)なほ、試行錯誤中(あれやこれやとこゝろみつゝあるところ)。
當家(うち)は白身(しろみ)が主體(おも)なれば、、」とのよし。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・上總大原(かずさおほはら)蒸蚫(むしあはび)
  ・江州(あふみ)琵琶湖(びはこ)稚鮎(ちあゆ)に花山椒(はなざんせう)
  ・豐後(ぶんご)眞子王餘魚(まこがれひ、しろしたがれひ)、四百五十匁(≒1.7kg)
    ・身(み)
    ・縁側(えんがは)
    ・肝臟(きも)
  ・小川水産(をがは)、蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
  ・蕨(わらび)
  ・鰻(むなぎ)魚凍(にこゞり) ※濱名湖(はまなこ)?
  ・蝦夷地餘市(えぞちよいち)鮟鱇肝(あんきも)
  ・雞蛋(たまご)
  ・潮汁(うしほじる)の椀(わん)、
    ・椀種(わんだね):播州(はりま)眞子鰈(あまてがれひ)骨邊肉(あら)
    ・椀褄(わんづま):羽州(では)蓴菜(ぬなは)
    ・吸口(すひくち):青柚(あをゆ)
  ・肥後天草(ひごあまくさ)鰻(むなぎ)、百八十七匁(≒700g)

(すし)】:
  ・相州葉山(さがみはやま)障泥烏賊(あふりいか)
  ・薩州出水(さつまいづみ)春子(かすご)
  ・紀州那智勝浦(なちかつうら)鮪(しび)
  ・蝦夷地(えぞち)鰊(にしん)
  ・薩州出水(さつまいづみ)眞鰺(まあぢ)
  ・豐後(ぶんご)城下王餘魚(しろしたがれひ)、=眞子鰈(まこがれひ))
  ・能州(のと)鳥貝(とりがひ)
  ・紀州那智勝浦(なちかつうら)鮪(しび)
  ・小鰭(こはだ)
  ・紀州那智勝浦(なちかつうら)鮪(しび)

菓子(くわし)】:
  ・阿州(あは)"珊瑚樹(さんごじゆ)"蕃茄(とまと)
  ・羽州村山(ではむらやま)"佐藤錦(さたうにしき)"櫻桃(さくらんぼ)
  ・米利堅(めりけん)櫻桃(さくらんぼ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
葛飾郡(かつしかのこほり)松伏(まつぶし)『三笠鮨』:
最上質(とびきり)の魚介(うみのさち)を用(つか)ひ、
確乎(たしか)なる技倆(うで)以(も)て鯗(すし)を提供(いだす)
しかし、掉尾(いやはて)の土瓶蒸(どびんむし)は「旨過(うます)ぎ」。

これ、必(かな)ずしも賞賛(ほめことば)に非(あら)ず
子曰(あのかたのたまは)く、「過猶不及 (すぎたるはなほおよばざるがごとし)」
車鰕(くるまえび)、文蛤(はまぐり)、櫻鰕(さくらえび)、香茹(しいたけ)。
これほどまでに濃厚(あぢこ)きものが重(かさ)なると首捻(くびゝぬ)るほかなし。

心(こゝろ)の片隅(かたすみ)に蟠(わだかまり)を抱(かゝ)へ、
當家(こちら)『うを德』に、、。
劈頭(いやさき)の"(わん)"から、
"石蓴醋物(あをさすのもの)"、"(ふき)"、 "花山椒鍋(はなざんせうなべ)"、、。

漫(みだり)に"鮮(うまみ)"を足(た)すことなく
必要最小限(ぎりぎり)の調味(あぢつけ)
それでも猶(なほ)、秋毫(つゆ)無所不足(たらざるところな)きは、
偏(ひとへ)に、小宮健一親方(こみやけんいちおやかた)が技倆(うで)

對價(しはらひ)は『三笠鮨』が幾分高(いくぶんたか)く、
居心地(ゐごゝち)と綜合的滿足度(みちたりかた)を競(あらそ)ふなら、
やはり、『うを德』に軍配(ぐんばい)。
この先(さき)、未來永劫(とこしへ)に續(つゞ)かんことを祈念(いの)る

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
 ・"眞鯛(まだひ)、卵巣(まこ)+精巣(しらこ)+花山椒(はなざんせう)"
 ・越中滑川(ゑつちゆうなめりかは)の螢烏賊(ほたるいか)
 ・江州琵琶湖(あふみびはこ)の稚鮎(ちあゆ)天麩羅(てんぷら)
 ・石蓴(あをさ)醋物(すのもの)
 ・蝦夷地釧路(えぞちくしろ)の蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
 ・播州明石(はりまあかし)の眞鯛(まだひ)、一貫目弱(≒3.7kg)、魥(さしみ)
 ・紀州那智勝浦(きいなちかつうら)の鰹(かつを)、藁燒(わらやき)
 ・阿州吉野川(あはよしのがは)の鰻(むなぎ)、百七匁(≒400g)、白燒(しらやき)
 ・花山椒鍋(はなざんせうなべ)
    ・和州(やまと)の花山椒(はなざんせう)@十萬圓(きろじふまんゑん)
    ・城州(やましろ)物集女笋(もづめだけ)
    ・越前勝山(ゑちぜんかつやま)の赤鯥(あかむつ、=のどぐろ)

(すし)】:
 ・豐後(ぶんご)城下鰈(しろしたがれひ、=まこがれひ)
 ・房州勝浦(あはかつうら)の鮪(しび)、四十三貫四百匁(≒163kg)
 ・陸州大間(むつおほま)の櫻鱒(さくらます) 、一貫百四十匁(≒4.2kg)
 ・春子(かすご)
 ・房州勝浦(あはかつうら)の鮪(しび)、四十三貫四百匁(≒163kg)
 ・三州(みかは)の鳥貝(とりがひ)
 ・明石(あかし)の眞鯛(まだひ)
 ・小鰭(こはだ)

菓子(くわし)】:
 ・羽州村山(ではむらやま)の櫻桃(さくらんぼ)、"佐藤錦(さたうにしき)"
 ・三州蒲郡(みかはがまごほり)の蜜柑(みかん)
 ・日向(ひむか)の芒果(まんご)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F2.8
時季(いまごろ)固有(ならでは)、
"四万十川(しまんとがは)の「ごり有馬煮(ありまに)"、
"城下鰈(しろしたがれひ)"、
i.e.,(すなはち、)豐後(ぶんご)日出城下(ひのでじやうした)眞子鰈(まこがれひ)。

"越中滑川(ゑつちゆうなめりかは)螢烏賊(ほたるいか)"に"蕗未醤(ふきみそ)"、
"山州(やましろ)の(たけのこ)"は"飯蒸(いひむし)"と"燒物(やきもの)"。
しかし、この日(ひ)の白眉(とびぬけてすぐれたるもの)は、
豐後佐賀關(ぶんごさがのせき)の雞魚(いさき)。

丸々(まる)と肥滿(こえふと)り力士(りきし)のごとき太鼓腹(たいこばら)
膩(あぶら)に冨(と)み、鮮(うまみ)も顯著(あらは)
これほどの雞魚(いさき)なら、
"鹽燒(しほやき)"に好適(よし)、"煮附(につけ)"でもまた可以(よし)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
(さかな)】:
 ・土州四万十川(とさしまんとがは)の"ごり" 有馬煮(ありまに)
 ・甘鯛(あまだひ)、鰒精巣(ふぐしらこ)、(たけのこ)の飯蒸(いひむし)
 ・蝦夷地箱館(えぞちはこだて)の馬糞海膽(ばうんうに)
 ・豐後(ぶんご)眞子鰈(まこがれひ、="城下鰈")、530匁(≒2kg)、魥(さしみ)
 ・越中滑川(ゑつちゆうなめりかは)螢烏賊(ほたるいか)+蕗未醤(ふきみそ)
 ・豐後(ぶんご)眞子鰈(まこがれひ、="城下鰈")骨邊肉(あら)、潮汁(うしほじる)
 ・山州(やましろ)の(たけのこ)
 ・豐後佐賀關(ぶんごさがのせき)の雞魚(いさき)、差味(さしみ)

(すし)】:
 ・失念(...)
 ・壹岐(いき)の鮪肥肉(しびあぶらみ)
 ・小鰭(こはだ)
 ・甲烏賊(かふいか、=墨烏賊) 
 ・豐後(ぶんご)眞子鰈(まこがれひ、="城下鰈")
 ・三州三河灣(さんしうみかはわん)の鳥貝(とりがひ)
 ・蝦夷地羽幌(えぞちはぼろ)富山鰕(とやまえび、=ボタンエビ) 
 ・豐後佐賀關(ぶんごさがのせき)の雞魚(いさき)
 ・雞蛋燒(たまごやき)

菓子(くわし)】:
 ・羽州山形(ではやまがた)の佐藤錦(さたうにしき)
 ・遠州(とほとほみ)の獼猴桃(キウイフルーツ)
 ・檸檬(レモン)
 ・肥前唐津(ひぜんのくにからつ)の"麗紅橘(れいこうオレンジ)"
 ・ウズベキスタン柘榴(ざくろ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
謹(つゝし)みて御零(おこぼ)れ頂戴(ちやうだい)仕(つかまつ)る
小人(それがし)に虎狼之意(とらおほかめのこゝろ)有之(これあり)。
否(いな)!
"鬣狗(たてがみいぬ)"、"禿鷲(はげわし)"、"毛賊(こそどろ)"の類(たぐひ)。

この日(ひ)は稀有(まれにみ)るほどの山海八珍(うみやまのさち)盡(づ)くし。
(いけ)が、"諸子(もろこ)"、"花咲蟹(はなさきがに)"、
朝〆魚(あさじめうを)として、"明石鯛(あかしだひ)"、"眼拔(めぬけ)"、
さらに、"虎鰒精巢(とらふぐしらこ)"に、"長岡京笋(ながをかのたけのこ)"、、。

獅子(しゝ)の眼(め)掠(かす)めての竊喰(ぬすみぐひ)
實(げ)に、"密夫(まをとこ)"の心境(こゝち)ぞしたりける。
"活諸子(いけのもろこ)"は初(はじめて)、
茹上(うであげ)"花咲蟹(はなさきがに)"の旨(うま)さは勿論(いふもさらなり) 。

やはり、この日(ひ)の白眉(とりわけすばらしきしな)こそ、"目拔(めぬけ)":
巷間(ちまた)では「超高級魚(いとたかきねのうを)」と云ふ。
目拔類(めぬけのたぐひ)夥(あまた)あれど、
就中(わきても)、最貴(すぐれてたふと)きが"赤魚鯛(あかうをだひ)"とも。

小人(それがし)、幼(いとけな)き砌(みぎり)、
赤貧如洗(あらふがごときまづしさ)なれば、
"眞鯛(たひ)"も"(ふぐ)"も口(くち)にせし前例(ためし)なく、
"狹眞魚(さまうを)"すら膓(はらわた)なき魚乾(ほしうを)。

偶(たま)の"差味(しびさしみ)"を除外(のぞ)くなら、
"梶木(かぢき)"、"眞鱈(まだら)"、
そして何(なに)より前述(くだん)の"赤魚鯛(あかうをだひ)"。
すなはち、六十年前(むそとせまへ)なら「下魚中(げうをのなか)の下魚(げうを)」。

それが、瓩(キロ)一萬三千圓(いちまんさんぜんゑん)と云ふから愕(おどろ)き。
一貫二百五十匁(≒4.7kg)の大(おほ)きさとのことなれば、
すなはち、沽(あたひ)、大畧(およそ)、六萬一千圓(ろくまんいつせんゑん)ぼど。
價格(ね)はともかく、その味(あぢはひ)は絶品・至高(このうへなきもの)

陳腐(ありきたり)の譬喩(たとへ)ながら、
"石狗公(きちじ)"をその儘(まゝ)巨大化(おほきく)したるがごとき形(なり)。
幼少時(いとけなきころ)の煮附(につけ)を想像(おもひゑがき)しに、
"長岡笋(ながをかたけのこ)"とゝもに最上(いとよ)き椀(わん)に、、。

堪(たま)りかね、
絶句(ことばをうしなふ)こと霎時(しばし)。
周圍(まはり)からも、一齊(ひとし)く、絶賛(はげしくほめたゝ)ふる聲(こゑ)
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

今朝(けさ)〆たばかりの明石眞鯛(あかしだひ)は、
未熟成(いまだうれず)と云へど、眞鯛(まだひ)固有(ならでは)の芳香(かをり)
臼齒(おくば)に噛締(かみし)むるや
鮮(うまみ)浮騰(ほとばし)りて、四角八方(をちこち)に旋(かけめぐ)る

心做(こゝろな)し歟(か)?
舎利(すめし)も、不尋常(つねなら)ず嗜好(このみ)に適合(あふ)
粒(つぶ)が立(た)ち、しかも、舌(した)に滑(なめ)らか
膨滿(はらふく)るゝ豫兆(きざし)もなく辭別(いとまごひ)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
 ・琵琶湖(びはこ)の冰魚(ひうを)
 ・淀蘿蔔(よどすゞしろ)
 ・蝦夷噴火灣(えぞふんくわゝん)馬糞海膽(えぞばふんうに)
   +朝〆(あさじめ)明石(あかし)眞鯛(まだひ)、七百五十匁(≒2.8kg)
 ・越中氷見(ゑつちゆうひみ)の小鮪(めじ)藁燒(わらやき)+菜花(なばな)
 ・琵琶湖(びはこ)の活諸子(いけもろこ)
 ・擇捉嶋(えとろふじま)、活花咲蟹(いけはなさきがに)
 ・【椀(わん)】、
   朝〆(あさじめ)房州勝浦(あはかつうら)目拔(めぬけ)、
   一貫二百五十匁(≒4.7kg)
   +長岡京(ながをか)の笋(たけのこ)
 ・蝦夷(えぞ)仙鳳趾(せんぽうし)の眞蠔(かき)
 ・虎鰒(とらふぐ)精巣(しらこ)

(すし)】;
 ・日向油津(ひむかあぶらつ)の中鮪(ちゆうばう)、十六貫(≒60kg)、肥肉(あぶ)
 ・玉珧(たひらぎ)
 ・越中氷見(ゑつちゆうひみ)の小鮪(めじ)藁燒(わらやき)
 ・朝〆(あさじめ)明石(あかし)眞鯛(まだひ)、七百五十匁(≒2.8kg)
 ・朝〆(あさじめ)房州勝浦(あはかつうら)目拔(めぬけ)、一貫二百五十匁
 ・日向油津(ひむらあぶらつ)の中鮪(ちゆうばう)、中肥肉(ちゆうあぶ)
 ・朝〆(あさじめ)明石(あかし)眞鯛(まだひ)、七百五十匁(≒2.8kg)
 ・日向油津(ひむらあぶらつ)の中鮪(ちゆうばう)、紅肉(あかみ)
 ・星鳗(はかりめ)

菓子(くわし)】:
 ・さくらもゝ草莓(いちご)+甘柑(かんかん)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
毎年恆例(まいとしならひ)の新年會(あらたなるとしをことほぐうたげ)。
其處(そこ)には、病(やまひ)癒(い)えたる友(とも)の顏(かほ)も、、。
漬塲(つけば)に鎭坐(おは)しますは、
鱈塲蟹(たらばがに)、鯨鯢畝須(くぢらのうねす)に明石眞鯛(あかしだひ)。

劈頭(いやさき)に"胡桃入干柹(くるみいりほしがき)"と"唐墨(からすみ)"。
雙方(ともに)見覺(みおぼ)えあり!
次(つ)いで、湯氣(ゆげ)の立(た)つ加須底羅雞蛋(かすていらたまご)。
(くれなゐ)鮮烈(あざかや)なる車蝦(くるまえび)が顯著(めだつ)。

"鰤藁燒(ぶりのわらやき)"には"冬茹甘露煮(どんこかんろに)"。
(ぶり)は米藁(こめわら)にて炙(あぶ)り、大蒜(おほひる)を利(き)かす。
當家(こちら)固有(ならでは)の味(あぢはひ)
冬茹(どんこ)は半點(いさゝか)甜(あま)め歟(か)?

扨(さて)、"鯨鯢畝須(くぢらうねす)の(わん)":
底(そこ)に蝦薯蕷(えびいも)が沈(しづ)み、山椒木芽(きのめ)が浮(う)く。
風味佳絶(たぐひまれなるすばらしきあぢかをり)なれど、
鯨鯢肉(くぢらにく)、臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ひて止(や)むことなし

備長炭(しろすみ)に炙(あぶ)りたる"鱈塲蟹(たらばがに)"、
さらには、"紅椒ムウス(ぱぷりかむうす)"と、
豫想(おもひ)に寸毫(つゆ)と違(たがは)ぬ味(あぢ)・風韻(かをり)。
卍(まんじ)、善哉(よき)、善哉(よき)!

倩(つらつら)舎利(すめし)を窺(うかゞ)ふに、
以前(まへ)に比較(くら)べて顏色(いろ)淡(あは)し
横井(よこゐ)"與兵衞(よへゑ)"を減量(へら)し、
中埜(なかの)"白菊(しらぎく)"を増量(ふや)したとの説明(はなし)。

掉尾(いやはて)に、
今季初(このふゆはじめて)の"さくらもゝ草莓(いちご)":
阿州(あは)の誇(ほこ)る草莓(いちご)の皇帝(すめらみこと)
その名(な)に相違(たがは)で、(さくら)と(もゝ)の芳香(かをり)を有(も)つ。

宴(うたげ)は、掃愁帚(さけ)を除(のぞ)き如下(つぎのごとし)。

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(さかな)】:
 ・胡桃入干柹(くるみいりほしがき)+唐墨(からすみ)
 ・蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)+明石(あかし)眞鯛(まだひ)八百匁(≒3kg)
 ・藁燒鰤(わらやきぶり)+冬茹(どんこ)
 ・鱈塲蟹(たらばがに)
 ・紅椒(ぱぷりか)のムウス

(すし)】;
 ・鮪(しび)、白川(しろあまだひ)、眞鯖(さば)、鮪(しび)、皮剥(かはゝぎ)、
 ・小鰭(こはだ)、墨烏賊(かふいか)、鰒(あはび)、鮪(しび)

菓子(くわし)】:
 ・さくらもゝ草莓(いちご)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
新年(あらたしきとし)を壽(ことほ)ぐ三段重(みかさねのぬりもの)。
對價(あたひ)、三萬二千四百圓也(さんまんにせんよんひやくゑんなり)。
今年(ことし)はこれを一人(ひとり)で啖(くら)ふ。
大雜把(あほまか)なる内容(うちわけ)は、如斯(かくのごとし)。

當家(こちら)の御節料理(おせちれうり)は、
七年連續(なゝとせつゞけて)、七度目(なゝたびめ)で最後(いやはて)。
これで永遠(とは)の離別(わかれ)
扨(さて)、來年(つぎのとし)は、如何(いか)にせん?

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)※肖像
      精機光學 佳能(Canon)nFD2.8/300 L @F4 ※元旦日出
      富山玩具 Borg 71FL 8/560 (5.6/400 + ×1.4Extender)  @F8 ※元旦日出
晝(ひる)九(こゝの)つ。
引戸(ひきど)を開(ひら)くと、(むしろ)には小人(それがし)一人(ひとり)
三年前(みとせまへ)ならいざ知(し)らず、
近會(ちかごろ)では稀有(めづらし)きこと。

今季一(こんきいち)」、
と號(い)ふ"松茸(まつたけ)"は、陸州(むつ)岩手(いはて)の産(もの)。
その優雅(みやび)この上(うへ)なき風韻(かをり)に霎時(しばし)陶醉(ゑふ)
これが夷僚(ゑびす)に理解(わから)ぬとは疑問(くびかし)ぐるばかり

播州(はりま)明石(あかし)の"眞鯛(まだひ)"が七百七十匁(≒2.9kg)。
中骨(なかぼね)には明石鯛(あかしだひ)固有(ならでは)の(こぶ)。
朝締(あさじ)めゆゑ、(うまみ)は未熟(これから)ながら、
齒觝觸(はあたり)拔群(むれよりぬきんいでたり)。

雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の" (むなぎ)"百六十匁(≒600g)。
時季(とき)ならず、半點(いさゝか)脂(あぶら)稀薄(うすめ)
今(いま)や、「鰻(むなぎ)の皇(すめらみこと)」と賞賛(もてはや)さるゝも、
かくのごとき淡白(あぢあは)き(もの)も、、。

愈々(いよいよ)盛(さか)りに向成(なりな)んとするは、
蝦夷(えぞ)仙鳳趾(せんぱうし)の"眞蠔(まがき)"。
やはり「眞蠔(まがき)の頂點(いたゞき)
" (ぶり)"も蝦夷地(えぞち)より越後(ゑちご)へと遷移(うつる)。

"娃娃菜(わゝさい)"と號(よびな)すは、
最小(いとちいさ)なる白菜(はくさい)。
房總(ばうさう)の花生(なんきんまめ)"おほまさり"も美味(よきあぢ)。
この日(ひ)も平生(つね)のごとく尋常(つね)のごとし

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
 ・先附(さきづけ)
   ・娃娃菜(わゝさい)
   ・房總(ばうさう)花生(らつくわせい)"おほまさり" 
   ・蝦夷(えぞ)サロマ湖(こ)の眞蠔(まがき)
   ・蝦夷(えぞ)仙鳳趾(せんぱうし)の眞蠔(まがき)
 ・但州(たじま)香住(かすみ)の雌蟹(せこがに)
   +山城(やましろ)蝦薯蕷(えびいも)

 ・椀(わん)
   ・陸州(むつ)松茸(まつたけ)
   ・蝦夷(えぞ)雲子(くもこ)
   ・金時胡蘿蔔(きんときにんじん)
   ・蕪(かぶら)
 ・向附(むかふづけ)
   ・播州(はりま)明石(あかし)の眞鯛(まだひ)
   ・明石鯛(あかしだひ)の肝臟(きも)
   ・蝦夷(えぞ)濱中(はまなか)蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
 ・雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の鰻(むなぎ)

(すし)】:
 ・奧州(むつ)大間(おほま)の鮪(しび)肥肉(あぶらみ)
 ・播州(はりま)明石(あかし)の眞鯛(まだひ)
 ・奧州(むつ)大間(おほま)の鮪(しび)
 ・肥後(ひご)天草(あまくさ)の小鰭(こはだ)
 ・越後(ゑちご)の鰤(ぶり)藁燒(わらやき)
 ・對馬(つしま)の星鳗(はかりめ)

菓子(くわし)】:
 ・小蜜(こみつ)
 ・蕃茄(あかなす)
 ・柹(かき)
 ・グレープフルーツ
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

染垂阿爺(しみたれおやぢ)卍(まんじ)、
唐墨(からすみ)」の報(しらせ)に觸(ふ)れ、俄頃(にはか)に色(いろ)めきたつ。
慌(あは)てふためき、鈔(ぜに)を工面(くめん)、
鼻息(はないき)荒(あら)く玉の井(たまのゐ)へと驀地(まつしぐら)。

その容(さま)、
將棋(しやうぎ)の香車(やり)かと疑(うたが)はれ、
西班牙(イスパニア)の猛牛(たけきうし)、
英國(エゲレス)筆學所(てならひ)の吶喊小僧(とつかんこぞう)に髣髴(さもにたり)。

劈頭(いやさき)に、
加賀藕(かゞはちすのね)と鮟鱇肝臟(あんきも)を摘(つ)まみ一安堵(ひとおちゐ)。
次(つ)いで早(はや)くも"唐墨(からすみ)"の登場(おでまし)。
素材(そざい)そのものは『やす秀』が上(うへ)歟(か)?

芯(しん)嫩(やはらか)にして、未完成(いまだならず)。
當家(こちら)の烏魚子(からすみ)は、その變化(かはりやう)を愉(たの)しむもの
童女(わらんべ)→少女(おいなご)→(をんな)→(うば)、、。
この唐墨(からすみ)、さしづめ、「少女(おいなご)」に喩(たと)ふべき歟(か)?

この日(ひ)の白眉(はくび)は、
奧州(むつ)小川原湖(おがはらこ)(むなぎ)、四百匁(≒1.5kg)。
「今季(こんき)二番目(にばんめ)」
と、主人(あるじ)自慢(むねをは)る巨大鰻(いとおほきなるむなぎ)。

江戸生艷氣樺燒(えどうまれうはきのかばやき)、
陸州生鰻白燒(むつうまれむなぎのしらやき)。
今(いま)まさに時季(とき)を得(え)て炙(や)くのは輙(たやす)く
"はしり"なら四十分(よんじつぷん)のところ、纔(わづ)かに二十分(にじつぷん)

法國渡來(ふらんすわたり)の黒無花果(くろいちじく)、
"ヴィオレ・ソリエ(Viollette de sollies)":
これまた今季初(こんきはじめて)。
未熟(いまだうれず)、甜(あまみ)・芳香(かをり)ともに不足(いまひとつ)

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

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(さかな)】:
  ・雲州(いづも)鮟鱇肝臟(あんきも)+加賀藕(かゞはちすのね)
  ・唐墨(からすみ)
  ・鯳卵巣(すけこ)
  ・蝦夷地(えぞち)鮃(ひらめ)五百三十匁(≒2kg)+馬糞海膽(ばふんうに)
  ・阿波(あは)蝦薯蕷(えびいも)+奧州(むつ)松茸(まつたけ)
  ・陸州(むつ)小川原湖(おがはらこ)鰻(むなぎ)、四百匁(≒1.5kg)
  ・蝦夷地(えぞち)鮃(ひらめ)潮汁(うしほじる)

(すし)】:
  ・琉球(りうきう)宮古島(みやこじま)鰆(さはら)
  ・五島列島(ごたうれつたふ)垢穢(くゑ)
  ・蝦夷地根室(ねむろ)眞鰯(まいはし)
  ・蝦夷地(えぞち)鮃(ひらめ)
  ・蝦夷地標津(しべつ)鮏(さけ)卵巣(はらこ)

菓子(くわし)】:
  ・無花果(いちじく)、"ヴィオレ・ソリエ"
  ・葡萄(ぶだう)、"シャイン・マスカット"
  ・刀根柹(とねがき)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
此度(こだみ)特選素材(ひとめをうばふもの)は、
紀州八幡濱(やはたはま)白尼鯛(しろあまだひ)九百六十匁(≒3.6kg)、
琵琶湖(びはこ)本諸魚(もろこ)、奧州(では)松茸(まつたけ)、
雲州宍道湖(しんじこ)の(むなぎ)、百十匁(≒400g)。

白尼鯛(しろあまだひ):
魚市塲(うをいちば)では"白川(しらかは)"と喚做(よびな)すが通例(つね)。
(さしみ)に好適(よし)、(わん)にまた佳良(よし)。
そのあまりの美味(よきあぢ)に、自(おの)づと頬(ほゝ)も緩(ゆる)む

"賀茂茄子(かもなす)の揚滲(あげびた)し":
尋常(つね)のことながら、
味覺(した)は怡(よろこ)び、胃腑(い)は驅(か)け巡(めぐ)る。
吾輩(われ)夢心持(ゆめごゝち)で啖之(これをく)ふ。

鰻(むなぎ)は、
宍道湖(しんじこ)に八郎潟(はちらうがた)。
各々(おのおの)、白炙(しらやき)、蒲炙(かばやき)となす。
時季(とき)を得(え)て、鮮(うまみ)頂點(いたゞき)を極(きは)めんとす

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

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【殽(さかな)】:
  ・水菜(みづな)、菊花(かきのもと)、松茸(まつたけ)、花生(なんきんまめ)
  ・蝦夷根室(ねむろ)の秋刀魚(さんま)
    +紀州(きしう)中山栗(なかやまぐり)特選(よりすぐり)
  ・蝦夷地利尻島(りしり)の紫海膽(むらさきうに)
    +紀州八幡濱(やはたはま)の白川(しらかは、=しろあまだひ)魥(さしみ)
  ・賀茂茄子(かもなす)揚滲(あげびた)し
  ・めじ藁燒(わらやき)
  ・白川(しらかは、=しろあまだひ)鱗煎餠(うろこせん遍゛以)
  ・白川(しらかは)と松茸(まつたけ)、蝦芋(えびいも)の椀(わん)
  ・琵琶湖(びはこ)本諸魚(ほんもろこ)
    +雲州宍道湖(しんじこ)の鰻(むなぎ)白燒(しらやき)
  ・羽州八郎潟(はちらうがた)の鰻(むなぎ)蒲燒(かばやき)
    +蝦夷地標津(しべつ)の鮏腹子(さけはらこ)

【鮓(すし)】:
  ・星鳗(あなご)
  ・陸州大間(おほま)の鮪(しび)
  ・墨烏賊(すみいか、=かふいか)新子(しんこ)
  ・鰤(ぶり)藁燒(わらやき)
  ・奧州大間(おほま)の鮪(しび)

【菓子(くわし)】:
  ・富有柿(ふいうがき)、洋梨(やうなし)、ピオーネ
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4

此度(こだみ)特選素材(ひとめをうばふもの)は、
淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)六百九十匁(≒2.6kg)、
紀州(きいのくに)活蝦蛄(いけしやこ)茹上(ゆであ)げ、
雲州(いづも)神西湖(じんざいこ)の(むなぎ)百三十匁(≒500g)。

劈頭(いやさき)の小皿(こざら):
松茸(まつたけ)、丹波黒(たんばぐろ)(えだまめ)、
花生(なんきんまめ)、水菜(みづな)を溏油(だし)に烹(に)たるもの。
うむ、これこれ、これッ!」、と膝(ひざ)を敲(う)つ。

「師傅(おやかた)、やはり、東都(あづま)に稀有(まれ)なる名匠(たくみ)!」
鹽(しほ)を抑制(おさ)へ
鰹(かつを)の馨(かをり)、昆布(こんぶ)の旨味(うまみ)を控(ひか)へ
なほ、不足(たらざるところ)皆無(なし)

松茸(まつたけ)完一本(まるいつぽん)に麪麭粉(ぱんのこな)塗(まぶ)し
炸之(これをあぶらにあ)ぐるがごときは、
徒(いたづら)に門牙(まへば)に挾(はさ)まり
臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ふばかりの惡趣味(いまいまし)き烹調法(やりかた)。

蝦蛄(いけしやこ)の茹上(ゆであげ):
溜池(ためいけ)『壽々』など、
活(い)ける蝦蛄(しやくなげ)、若(わか)き小僧(みならひ)を走(はし)ら」せ、
茹(う)でゝ、これを鮓(すし)と爲(な)す肆(みせ)も在(あ)るには存在(あり)

當家(こちら)の小宮親方(こみやおやかた)、
能(よ)くこの技法(わざ)を自家藥籠中(みにつけ、わがものとなせ)り
この日(ひ)の茹上(ゆであげ)は、
瞬間(またゝくうち)に沸騰水(にえたぎれるゆ)に潛(くゞ)らすもの。

これを迅速(すばや)く冷水(ひやみづ)に取(と)り
冷(さ)ますことあらで、その儘(まゝ)齧附(かじりつ)く
その容(さま)、
(ひぐま)の遡上鮏(かはさかのぼるさけ)を貪(むさぼ)り啖(くら)ふがごとし。

眞美味也(いとうまし、マ・ジ・ヤ・バ・ク・ネ・ッ)!
芯(しん)は半生(はんなま)にして、その肉(み)なほ活(い)くるがごとし
"漬込(つけこみ)"は勿論(いふまでもなく)、
尋常(なみ)の"茹上(ゆであげ)"をも凌駕(はるかにしの)ぐ。

この塲(ば)での即興(おもひつき)」と、恥(は)ぢ、謙遜(へりくだ)る。
俗(よ)に言ふ「定番(おはこ)」を重視(おもん)じつゝ、
時折(ときをり)、暴(にはか)に閃(ひらめ)き、創作(あらたなるものあみだす)
師傅(おやかた)、徒者(たゞもの)に非(あら)ず!

"根室(ねむろ)の秋刀魚(さんま)"。
"指身(さしみ)"と、"肝臟附(きもつき)秋刀魚飯(さんまめし)"で堪能(いたゞく)。
"つくり身(み)"は、三枚(さんまい)に下(お)ろし、
骨(ほね)を去(さ)り、肉(み)に鹿子庖丁(かのばうちやう)入(い)れたるのみ。

生薑醤油(はじかみじやうゆ)を滲(つ)け、口中(くちのなか)に抛込(はうりこ)むや、
膩(あぶら)混(ま)じりの旨味(うまみ)炸裂(はじけちる)
その容(さま)、鳳仙花(ほうせんくわ)に接觸(ふ)るゝや否(いな)や、
その種子(たね)の四角八方(あちこち)に飛散(とびち)るに似(に)たり。

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

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(さかな)】:
  ・奧州(むつ)松茸(まつたけ)、丹波黒菽(たんばくろえだまめ)、
   花生(なんきんまめ)、水菜(みづな)
  ・鰯(いはし)星鳗肝(はかりめきも)梅煮(むめに)
  ・鰒(あはび)、衣被(きぬかつぎ)
  ・淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)六百九十匁(≒2.6kg)
  ・蝦夷地(えぞち)箱館(はこだて)蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
  ・蝦夷地(えぞち)仙鳳趾(せんぽうし)蠔(かき)、鳴門金時(なるときんとき)
  ・紀州(きいのくに)蝦蛄(しやこ)
  ・奧州(むつ)松茸(まつたけ)に星鳗(はかりめ) 椀
  ・蝦夷地(えぞち)根室(ねむろ)秋刀魚(さんま)指身(さしみ)
  ・雲州(いづも)神西湖(じんざいこ)鰻(むなぎ)百三十匁(≒500g)
  ・蝦夷地(えぞち)根室(ねむろ)秋刀魚(さんま)飯(めし)、肝附(きもつき)
  ・淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)潮汁(うしほじる)

(すし)】:
  ・大間(おほま)鮪(しび)
  ・淡路(あはぢ)松皮鰈(まつかはがれひ)
  ・雉子羽太(きぢはた)
  ・淡路(あはぢ)眞鯖(さば)
  ・星鳗(はかりめ)

菓子(くわし)】:
  ・葡萄(ぶだう)四色(よいろ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4


"海鞘(ほや)"に惡臭(あしきにほひ)なきことに駭(おどろ)く。
小人(それがし)、生來(うまれてよりこのかた)海鞘(ほや)は得手(えて)とせず。
その縁由(ことのよし)如何(いかに)とならば、
海鞘(ほや)固有(ならでは)の強(つよ)き臭氣(くさみ)にあり。

惡臭(あしきかをり)なき"海鞘(ほや)"は、
纔(わづ)かに、津輕(つがる)『未來』なる家(ところ)で口(くち)にせしのみ。
この日(ひ)の"海鞘(ほや)"はそれに匹敵(ならぶ)。
師傅(おやかた)曰(いへら)く「鮮度(あたらしさ)の相違(たがひ)

"琵琶湖(びはこ)稚鮎(ちあゆ)魚凍(ゼリよせ)"の、
尋常(つね)とは異(こと)なる烹調法(たつき)を訝(いぶか)る。
小宮親方(こみやおやかた)應答(いらへ)て曰(いは)く、
因循守舊(マニエリスム)を打破(うちやぶ)らんがため

"蝦夷昆布森(えぞこんぶもり)の蠔(かき)"にも愕(おどろ)く。
これが眞夏(まなつ)の眞蠔(まがき)とは、、、
と、絶句(ことばをうしなふ)こと霎時(しばし)。
"蝦夷根室(えぞねむろ)の新秋刀魚(しんさんま)"もまた同樣(しかり)。

百十匁(≒400g)と小振(こぶ)りの"(むなぎ)"は大坂灣(おほざかわん)。
この大(おほ)きさにして、この脂肪(あぶら)。
その美味(あぢ)、口(くち)にせずとも、一目瞭然(ひとめであきらか)
惜(を)しむらくは、肉(み)が薄(うす)く、脆皮(もろきかは)ならざること。

"鮏卵(さけのはらこ)"は(なま)。
その塲(ば)で煮切(にきり)に潛(くゞ)らせ、即坐(すぐさま)鮓(すし)となす
これを臼齒(おくば)に噛(か)みしむるや、
旨味(うまみ)口中(くちのなか)へと浮騰(ほとばし)る。

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

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(さかな)】:
  ・鱸(すゞき)に毛豆(えだまめ)、意太利蕃茄(イタリあかなす)味(あぢ)
  ・江州琵琶湖(あうみびはこ)稚鮎(ちあゆ)魚凍(ゼリよせ)
  ・蝦夷昆布森(えぞこんぶもり)の蠔(かき)
  ・陸奥(むつ)の海鞘(ほや)に生榨菜(なまさくさい)
  ・佐渡島(さどがしま)<魚荒>(あら)+
   蝦夷積丹(えぞしやこたん)紫海膽(むらさきうに)
  ・上総大原(かずさおほはら)黒蚫(くろあはび)+
   播州明石(はりまあかし)章魚(たこ)櫻煮(さくらに)
  ・蝦夷根室(えぞねむろ)の秋刀魚(さんま)
  ・陸州氣仙沼(むつけせんぬま)の鰹(かつを)藁燒(わらやき)
  ・<魚荒>(あら)の骨邊肉(あら)潮汁(うしほじる)
  ・大坂灣(おほざかわん)の鰻(むなぎ)、百十匁(≒400g)

(すし)】:
  ・大間(おほま)の鮪(しび)
  ・佐渡島(さどがしま)<魚荒>(あら)
  ・相州小柴(さがみこしば)の新子(しんこ)
  ・鮏(さけ)肚子(はらこ)

菓子(くわし)】:
  ・加州(かゞ)”ルビーロマン”葡萄(ぶだう)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
この日(ひ)の眼玉(めだま)は、
"淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)"、五百八十六匁(≒2.2kg)。
"(むなぎ)"は霞ヶ浦(かすみがうら)、二百九十三匁(≒1.1kg)。
前囘(まへ)の"兒島灣(こぢまわん)"が半點(いさゝか)上(うへ)歟(か)?

此度(こだみ)うち點頭(うなづ)きしは、"小蕪菁(こかぶら)"への火候(ひいれ)。
そもそも、蕪菁(かぶら)なるもの、
蘿蔔(すゞしろ)とは對照的(ことな)り、火(ひ)の通(とほ)り易(やす)きもの
懐石(くわいせき)・割烹(かつぱう)の蕪菁(かぶら)は過柔(やはらかすぎ)。

愚按(やつがれおもふに)、
和食(わしよく)なら糠漬(ぬかづ)け、
洋食(やうしよく)なら煸炒(ソテ)が吉(よし)。
烹之(これをに)るは蕪菁(かぶら)の個性(もちあぢ)を毀損(そこな)ふばかり。

これに膝(ひざ)を叩(たゝ)き、その情由(わけ)を薀(たづ)ぬれば、
「かゝる火候(ひいれ)を着想(ひらめ)きし契機(きつかけ)、
修業先(わざをならひおぼえしさき)や他家(よそ)に非(あら)ず。」
「寧(むし)ろ、その濫觴(みなもと)、法國菜(ふれんすれうり)にあり。」

實(げ)にも!
當家(こちら)で一際(ひときは)名高(なだか)き"鰻白燒(むなぎ志らやき)":
脆皮(かはサクサクにもろく)、
その身(み)を蕩(とろ)けんばかりに炙(や)くは唯一無二(よそになきもの)

これもまた、法國菜(ふれんすれうり)の秘儀(ひめわざ):
"poêlé(ポアレ)"こそ手本(てほん)・嚆矢(さきがけ)。
能(よ)くこれに倣(なら)ひ、やがて自家藥籠中(みづからのものと)したるは、
嘗(かつ)て、小人(それがし)に物語(ものがたり)せし記憶(おぼえ)あり。

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

=======================================
(さかな)】:
 ・吉次(きちじ)煮附(につけ)
 ・炊合(たきあ)はせの類(たぐひ)
   蛸(たこ)、壺盧(ゆふがほ)、小蕪菁(こかぶら)、小薯蕷(こいも)、
   萬願寺蕃椒(まんぐわんじたうがらし)
 ・藝州太田川(あきのくにおほたがは)の香魚(あゆ)、有馬煮(ありまに) 、 
   加州(かゞ)金時草(きんじさう)
 ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、五百八十六匁(≒2.2kg)
 ・蝦夷奧尻(えぞおくしり)の紫海膽(むらさきうに) 
 ・蝦夷噴火灣(えぞふんくワわん)の"めじ"
 ・淡路(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、潮汁(うしほじる)
 ・霞ヶ浦(かすみがうら)の鰻(むなぎ)、二百九十三匁(≒1.1kg)
 
(すし)】:
 ・新烏賊(しんいか)
 ・鰯(いはし)
 ・星鰈(ほしがれひ)
 ・丹後舞鶴(たんごまひづる)の鮪(しび)
 ・淡路(あはぢ)胡麻鯖(ごまさば)
 ・雞卵燒(かひごやき)

水果(みづぐわし)】:
 ・蕃茄(あかなす)
 ・白桃(もゝ)
 ・櫻桃(さくらんばう)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F4
"紅椒(パプリカ)ムウス":
當家(こちら)の招牌(かんばん)とも云ふべき佳餚(よきさかな)
この日(ひ)の溏油(だし、フュメ・ド・ポアソン)は、
<魚荒>(あら)の骨邊肉(あら)より抽出(ひきいだ)せしもの。

これを制作(つく)るには、
西洋時辰儀(せいやうどけい)にして八時間(はちじかん)要(かゝ)ると云ふ。
"魚凍(にこゞり)"と"紅椒(パプリカ)ムウス"が二層(ふたへにをりか)さなり、
實言(まこと)、口(くち)に美味(あまし)!

しかし、この日(ひ)の白眉(きはめつき)は、
"備州(きびのくに)兒島灣(こじまわん)の(むなぎ)"。
百六十匁(≒600g)と小振(こぶ)りであるにもかゝはらず、
膩(あぶら)に富(と)み、旨味(うまみ)四角八方(よも)に炸裂(はじけちる)

やはり、當家(こちら)、
"蒲燒(かばやき)"ではなく、"白燒(志らやき)"が吉(よし)。
首級(みしるし)もまた頗(すこぶ)る味覺(した)に旨(あま)く
貪之(これをむさぼ)りて飽(あ)くことなし。

莫迦貝(あをやぎ、=ばかゞひ):
蝦夷地(えぞち)野附(のつけ)が近會(ちかごろ)の風習(ならひ)なれど、
この日(ひ)は、稀有(いとめづらし)き、桑名(くはな)の莫迦貝(ばかゞひ)。
小柱(こばしら)もまた、その手(て)は桑名(くはな)の大莫迦貝(おほばかゞひ)。

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(さかな)】:
 雲州(いづも)高津川(たかつがは)年魚(あゆ)
 紅椒(パプリカ)ムウス+<魚荒>(あら)骨邊肉(あら)の魚凍(にこゞり)
 上総(かづさ)大原(おほはら)黑鰒(くろあはび)に山科蕃椒(やましなたうがらし)
 豐後(ぶんご)城下鰈(しろしたかれひ)四百八十匁(≒1.8kg)
 利尻(りしり)の蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
 羽州(では)白神(しらかみ)の蓴菜(ぬなは)
 蝦夷(えぞ)厚岸(あつけし)の眞牡蠣(まがき)に蕃茄醤(あかなすびしほ)
 備州(きび)兒島灣(こじまわん)の鰻(むなぎ) 百六十匁(≒600g)
 豐後(ぶんご)城下鰈(しろしたかれひ)潮汁(うしほじる)

(すし)】:
 佐渡嶋(さとがしま)の鮪(しび) 廿一貫(≒80kg)
 鰯(いはし)
 肥後(ひご)天草(あまくさ)小鰭(こはだ)
 豐後(ぶんご)城下鰈(しろしたかれひ)
 佐渡嶋(さとがしま)の鮪(しび)
 その手(て)は桑名(くはな)の大莫迦貝(おほばかゞひ)に小柱(こばしら)
 相州(さがみ)松輪(まつわ)の胡麻鯖(ごまさば)
 佐渡嶋(さとがしま)の鮪(しび) 廿一貫(≒80kg)
 鐵火卷(てつくわまき)

水果(みづぐわし)】:
 蝦夷(えぞ)夕張甜瓜(ゆふばりメロン)
 琉球(りうきう)菠蘿(パインアプル)"タヾヲゴールド"
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
尋常(つね)のことながら、
劈頭(いやさき)から掉尾(いやはて)に至(いた)る惣(すべ)ての品(しな)、
一(ひと)つとして不味(あぢあ)しきもの皆無(なし)
實言(まこと)、「飯足酒飽(ごちさうさまにござる)!」

上總國(かずさのくに)大原(おほはら)。
當地(このち)で(あはび)と云ふと、
鮓店(すしや)が眼精(まなこ)の色(いろ)を變(か)ふる"眼高鰒(まだかあはび)"。
この日(ひ)は大(おほ)きな"黑鰒(くろあはび)"。

一時半(いつときはん、≒3h)ほど酒蒸(さかむ)しせしもの」と云ふ。
"眼高鮑(まだかあはび)"ともまた異(こと)なる風韻(かをり)。
嫩(やはらか)ながらも、適度(ほどよ)き齒應(はごた)へを殘(のこ)す
"たまげ茄子(なすび)"が絶味(このうへなきうまさ)には絶句(ことばをうしなふ)。

扨(さて)、この日(ひ)の白眉(はくび)"星鰈(ほしがれひ)"。
淡州(あはぢ)、八百廿七匁(≒3.1kg)と云ふ大物(おほもの)。
鰈(かれひ)は、大(おほきなるもの)能(よ)く小(ちいさなるもの)を制(せい)す
身(み)佳味(よし)、縁側(えんがは)さらに絶味(よし)。

播州(はりまのくに)三田(さんだ)にも負(ま)けぬ羽州(では)の蓴菜(ぬなは)。
その顏色(いろ)は翡翠(ひすい)かと疑(うたが)はれ、
その舌觸(したざは)りの滑(なめ)らかさたるや、
極樂淨土(ごくらくじやうど)の果凍(にこゞり)もかくやあらん」と思(おも)ふほど。

季(とき)至(いた)らず、色(いろ)なほ淡(あは)き"西瓜(すいか)"。
因州(いなば)・伯州(はうき)の山海(うみやま)の僥倖(さち)を用(つか)ひ、
これを割烹(さきてに)るを活業(なりはひ)とする方(かた)よりの音物(おくりもの)。
訝(いぶか)りつゝ口(くち)にするや、驚異的(おどろくばかり)の甜(あまさ)

因(ちな)みに、この日の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(さかな)】:
 芋莖(ずいき)+伏見(ふしみ)黒毛荳(くろえだまめ)+荏胡麻(えごま)
 上總(かずさ)大原(おほはら)黑鰒(くろあはび)+"たまげ茄子(なすび)"
 芝蔴淮南子(ごまどふふ)+羽州(では)蓴菜(ぬなは)
 淡州(あはぢ)星鰈(ほしがれひ)、八百廿七匁(≒3.1kg)
 蝦夷(えぞ)餘市(よいち)の鮟鱇肝(あんきも)
 相州(さがみ)佐島(さじま)の章魚(たこ)
 土州(とさ)四万十川(しまんとがは)の手長蝦(てながえび)
 九十九里(くじふくり)朝鮮蛤(てうせんはまぐり)の潮汁(うしほじる)
 備前(びぜん)兒島湖(こじまこ)の鰻(むなぎ)、百廿八匁(≒480g)

(すし)】:
 淡州(あはぢ)の星鰈(ほしがれひ)、八百廿七匁(≒3.1kg)
 紀州(きい)那智勝浦(なちかつうら)の鮪(しび)、廿一貫三百匁(≒80kg)
 陸前(りくぜん)閖上(ゆりあげ)の赤貝(あかゞひ)
 星鰈(ほしがれひ)潮汁(うしほじる)
 荳州(いづ)式根島(しきねじま)の縞鰺(しまあぢ)
 紀州(きい)那智勝浦(なちかつうら)の鮪(しび)、廿一貫三百匁(≒80kg)
 淡路(あはぢ)の眞鰺(まあぢ)
 帆立貝(ほたてがひ)
 有明灣(ありあけわん)の小鰭(こはだ)
 紀州(きい)那智勝浦(なちかつうら)の鮪(しび)、廿一貫三百匁(≒80kg)
 奧州(むつ)馬糞海膽(ばふんうに)

水果(みづぐわし)】:
 紅毛(こうまう)阿蘭陀(おらんだ)の草莓(いちご)
 日向(ひむか)の芒果(まんご)
 因州(いなば)or伯州(はうき)の西瓜(すいか)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
獅子(しゝ)の食殘(たべのこ)しを鬣狗(たてがみいぬ)が咋(くら)ひ、
鬣狗(たてがみいぬ)の剩餘(あまり)は禿鷲(はげわし)が銜(ついば)む。
これ、獸(けだもの)が世(よ)の風習(ならひ)。
この晝飧(ひる)の小人(それがし)は正(まさ)しく"禿鷲(はげわし)"。

"<魚荒> (あら)"、"葡萄蝦(ぶだうえび)"、"宍道湖(しんじこ)の(むなぎ)"、
と、前日(まへのひ)の殘留物(のこりもの)には、
美味(うまきもの)・珍味(めづらしきも能)の數々(かずかず)
殘留物(のこりもの)には福(ふく)があり、肩(かた)の凝(こ)りには"●●メルツ"。

最初(いやさき)に"毛蟹(けがに)白瓜卷(しろうりまき)"。
黄身酢(きみず)の圓(まろ)やかさに駭(おどろ)く。
千鳥酢(ちどりす)は出汁(だし)にて割(わ)るりたるものと云ふ。
尋常(つね)のことながら、優(やさ)しき味(あぢはひ)。

當家(こちら)の玄關先(げんくわんさき)に山椒(さんせう)の木(き)あり。
この日(ひ)、木の芽(きのめ)はこの木(き)より摘(つ)み、
潮汁(うしほじる)の吸口(すひくち)としてあしらふ。
若(わか)く嫋(たを)やかなる風韻(かをり)。

築地市場(つきぢ)には稀有(まれ)なる"葡萄蝦 (ぶだうえび)":
標準和名(たゞしくは)、"緋衣蝦 (ひごろもえび)"。
本來(もともと)の"葡萄蝦(ぶだうえび)"は、
駿河灣(するがわん)にて極稀(きはめてまれ)に漁(すなど)らるゝものと云ふ。

"牡丹蝦(ぼたんえび)"同樣(と、おなじく)、
"踊(をど)り"では甜(あまさ)を難感(わかりがた)く
死(し)ゝて權(しばらく)置(お)き、膠粘(ねば)るほどが吉(よい)」。
慥(たしか)に、味(あぢ)は"牡丹蝦(ぼたんえび)"に似(に)る。

"雲州宍道湖(いづものくにしんじこ)の(むなぎ)":
百九十匁(ひやくきふじふもんめ、≒600g)斗(ばかり)なれど、
脂肪(あぶら)があり、旨味(うまみ)に富(と)む。
疑念(うたがひ)もなく、今季一(こんきいち)

(に)る」、「(や)く」が多(おほ)き"赤鯥(あかむつ)":
鮓種(すしだね)としてもなかなかのもの。
豫想(おもひ)に秋毫(つゆ)と相違(たがは)ぬは、
"賀茂茄子(かもなす)"、"琵琶湖(びはこ)稚鮎(ちあゆ)"の美味(うまさ)。

最後(いやはて)に、
四種(よくさ)にも及(およ)ぶ"水果(みづぐわし)";
佐藤錦(さたうにしき)、日向(ひむか)芒果(まんご)、臺灣茘枝(たいわんれいし)、
冰酪(あいすくりん)、これなり。

因(ちな)みに、この日の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(さかな)】:
 毛蟹(けがに)白瓜卷(しろうりまき)
 厚岸(あつけし)眞牡蠣(まがき)
 賀茂茄子(かもなす)
 燻(いぶし)鮟鱇肝臟(あんきも)
 宍道湖(しんじこ)鰻(むなぎ)
 琵琶湖(びはこ)稚鮎(ちあゆ)有馬煮(ありまに)
 <魚荒>(あら)
 芋莖(いもがら)に榮螺(さゞえ)
 <魚荒>(あら)潮汁(うしほじる)
 琵琶湖(びはこ)鰻(むなぎ)

(すし)】:
 鮪(しび)
 虎魚(おこぜ)
 鮪(しび)肥肉(あぶらみ)
 竹岡沖(たけおかおき)赤鯥(あかむつ)
 舞鶴(まひづる)殼附(からつき)鳥貝(とりがひ)
 "緋衣蝦(ひごろもえび)"、俗稱(よにいふ)"葡萄蝦(ぶだうえび)"
 眞鯖(さば)藁燒(わらやき)
 障泥魷魚(あふりいか)
 鮪(しび)醤油漬(しやうゆづけ)
 蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)

水果(みづぐわし)】:
 佐藤錦(さたうにしき)、日向(ひむか)芒果(まんご)、臺灣茘枝(たいわんれいし)、
 冰酪(あいすくりん)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Macro Elmarit R 2.8/60 @F2.8
      萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Super Angulon R 4/21 @F8
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
夏(なつ)も近(ちか)づき、
誘(さそ)はれて、"山菜(さんさい)盡(づ)くめ"の旅(たび)に出(い)づ。
野獸肉(のゝけだものがしゝ)も加(くは)へ、
山幸(やまさち)を存分(こゝろおきな)く堪能(あぢはひつくしぬ)。

楤芽(たらのめ)、漉油 (こしあぶら)、(こゞみ)、(わらび)、老茸 (くろかは)、
蕗薹(ふきのたう)、(ふき)、行者大蒜 (ぎやうじやにんにく)、野蒜 (のびる)、
山獨活(やまうど)、山五加(やまうこぎ)、二輪草(にりんさう)、藤花(ふじのはな)、
花筏 (はないかだ)、花山椒(はなざんせう)、蒲公英(たんぽゝ)、などなど。

東都(えど)に囘(かへ)りて二日後(ふつかのゝち)の宴會(うたげ)。
この日(ひ)もまた山菜(さんさい)塗(まみ)れ。
花山椒(はなざんせう)に加(くは)へ、
漉油 (こしあぶら)、堅香子(かたかご)、芋莖(ずいき)、大葉擬寶珠(おほばぎぼし)。

季(とき)を得(え)たる魚介(うを・かひ)として、
銀寶(ぎんぱう)、城下鰈(しろしたがれひ)、初鰹(はつがつを)、稚鮎(ちあゆ)、
鳥貝(とりがひ)、その手(て)は鹿島(かしま)の燒蛤(やきはまぐり)。
因(ちな)みにこの蛤(はまぐり)は斧文蛤(てうせんはまぐり)。

銀寶(ぎんぱう)への火候(ひいれ)は完璧(ひとつとしてあやまちなし)
加熱(ねつがくは)ゝり、膠原纖維(こらあげんせんゐ)が明膠(ぜらちん)と化(な)り、
臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ふことなく、咽喉(のみど)に踊(をど)る
星鳗(あなご)に勝(まさ)るとも劣(おと)らぬ美味(よきあぢ)。

鳥貝(とりがひ)と城下鰈(しろしたがれひ)の肝臟(きも)と云ふ、
駭(おどろ)くべき搭配(くみあはせ)。
實(げ)に、「爲虎傅翼(とらにつばさをそふるがごとし)」。
善哉(よいかな)、善哉(よいかな)!

詳細(くはし)くはこちらを御覽(ごらん)あれ!
https://tabelog.com/rvwr/giblets/rvwdtl/B27568416/#67773091

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
「今(いま)を盛(さか)り」と、
彼此(をちこち)に咲(さ)き誇(ほこ)る櫻花(さくら)。
折(をり)しも、張替(はりかへ)たばかりの疉(たゝみ)に心躍(こゝろをど)らせ、
隅(すみ)の席(むしろ)に一安堵(ひとおちゐ)。

"塚原白子筍(つかはらしらこだけ)"、
"琵琶湖(びはこ)、子持(こも)ち本諸子 (ほんもろこ)、
四万十川(しまんとがは)の近江葦登 (ごり、=あふみよしのぼり)"、
"滑川螢烏賊(なめりかはほたるいか)"、"駿河灣櫻蝦(するがわんさくらえび)"など。

體長(みのたけ)、三寸五分(さんずんごぶ)を超(こ)え、
四寸(よんすん)に垂(なんな)んとする"本諸子(ほんもろこ)":
備長炭(しろずみ)に炙(あぶ)り、その儘(まゝ)貪(むさぼ)り餐(くら)ふ。
實言(まこと)、美味也(よきあぢなり)!

"塚原白子筍(つかはらしらこだけ)"は勿論(いふもさらなり) 。
"若筍煮椀(わかたけにわん)"美味(よし)、
"筍豆腐(たけのこどうふ)"を木芽未醤(きのめみそ)にて啖(くら)ふもまた吉(よし)。
「筍(たけのこ)では、"合馬(あふま)"と雙璧(ふたつにならぶ)」との定評(はなし)。

巧妙(たくみ)に油炸(あ)げられたる"螢烏賊(ほたるいか)"に"櫻蝦(さくらえび)":
"螢烏賊(ほたるいか)"の天麩羅(てんぷら)は初(はじめて)。
火候(ひいれ)絶妙(ほどよ)く
膓(わた) もまた複雜玄妙(ふかくいつくしみあるあぢはひ)

勿論(いはずもがな)の"櫻蝦(さくらえび)":
"櫻蝦(さくらえび)"天麩羅(あ)ぐる舖(みせ)夥(あまた)あれど、
寸毫(つゆ)雞卵(かひご)に頼(たよ)らで
最上質(いとよ)き麪粉(うどんこ)を薄衣(うすごろも)に用(つか)ふ

尋常(つね)のごとく、
頗(すこぶ)る美味(うま)き"薩州出水(さつしういづみ)の眞鰺(まあぢ)":
瓩(きろ)七千圓(なゝせんゑん)と云ふ。
その價格(ね)、野生鰻(てんねんむなぎ)に肉薄(せま)る威勢(いきほひ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :蔡司(Carl Zeiss)C Sonnar T* 1.5/50 ZM @F2.5
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影))
平身低頭(をがみたふ)し、半(なか)ば無理強(むりじ)ひすることにより、
漸(やうや)う實現(とゝの)ひし、「甲魚(すつぽん)盡(づく)し」の宴會(うたげ)。
天降川(あもりがは)の天然物(てんねんもの)は唐揚(からあげ)、
服部中村養鼈場(はつとり)のものは(わん)と肝臟刺身(きもさし)に、、。

その他(ほか)、
琵琶鰉 (びはひがい)、鳴門鯛(なるとだひ)、明石章魚(あかしだこ)、
箱館(はこだて)の蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)、銚子(てうし)の梶木(かぢき)、
陸中(りくちゆう)(さはら)、山城(やましろ)菜花(なばな)などなど。

小宮親方(こみやおやかた)歎息(ためいきつ)きて云ふやう:
隈(くま)なく魚河岸(かし)一帶(あたり)を探索(さがしもと)むれど
琵琶湖(びはこ)の"諸子 (もろこ)"、"稚鮎(ちあゆ)"、
絶(た)えてその姿(すがた)を見(み)ず!

「已(や)むことを得(え)ずして、この" (ひがい)"なる魚(うを)に、、」
との辯明(はなし)。
勿驚(おどろくなかれ)、
吾儕(わなみ)のみならず、親方(おやかた)も初(はじめて)となむ。

今(いま)は昔(むかし)、
明治天皇(めいじのすめらみこと)、これを大(おほ)いに賞賛(ほめたゝ)へたまひ、
後世(のち)、
"ひがい "に""なる字(じ)を當(あ)てるやうになりき、との故事(はなし)あり。

これを炭火(すみび)に炙(あぶ)りて"鹽燒(しほや)き"となす。
香魚(あゆ)固有(ならでは)の芳香(かぐはしきかをり)こそなけれ、
その身(み)の肌理細(きめこまか)さ、嫋(たを)やかさたるや、
若年魚(わかあゆ)に肉薄(せま)るほど。

但(たゞ)し、骨(ほね)の硬(かた)さは"杜父魚 (かじか)"竝(なみ)。
(あゆ)も、諸子 (もろこ)も、近江葦登 (あふみよしのぼり、=ゴリ)も、
悉(ことごと)く琵琶湖(びはこ)の財(たから)
琵琶湖(びはこ)、必守(かならずまもるべし)!

鳴門(なると)の"眞鯛(まだひ)":
その重量(めかた)、五百卅匁(ごひやくさんじふもんめ、≒2kg)ばかり。
捌(さば)くや、鳴門骨 (なるとこぶ)も顯著(あらは)。
皮(かは)と皮下(かはした)の旨味(うまみ)に驚愕(おどろく)。

扨(さて)、"水魚(すつぽん)":
"油炸(からあげ)"好吃(よし)、"肝臟刺身(きもさし)"美味(よし)、
"(わん)"また佳味(よし)。
その味(あぢはひ)、先頃(さきごろ)訪問(たづ)ねし『』より上(うへ)か?

(わん)は、平生(つね)のごとく、
調味料(あぢつけ)は、纔(わづ)かに、淡口醤油(うすくち)と(さけ)のみ。
昆布(こんぶ)に頼(たよ)らで、生薑(はじかみ)の佐(たす)けを受(う)けず。
裙邊(えんぺら)に、陶然(われをわす)ること霎時(しばし)。

久方(ひさかた)ぶりの"雞卵燒(たまごやき)":
燒(や)き方(かた)は、毎囘(そのつど)隱々(かすか)に搖(ゆ)らぎ
その搖(ゆ)れを心持(こゝち)よきものとして堪能(あぢはふ)
この日(ひ)は、瑞々(みづみづ)しく、柔(やは)らかく、舌(した)に滑(なめ)らか

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2
      旭光學 smc 賓得(Pentax) A☆ 1.4/85 @F2
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影))
この日(ひ)は、
舊友(ふるきとも)との新年會(あらたしきとしをことほぐうたげ)。
菜(れうり)の内容(うちわけ)は冩眞(ゑ)のごとし。
掃愁帚(さけ)を含(ふく)め、一萬四千圓也(いちまんよんせんゑんなり)。

今春(ことし)より、柳刄(やなぎば)は、
堺(さかい)の鍛冶名匠(かじのたくみ)の手(て)になる、
本燒(ほんやき)鏡面仕上(きやうめんしあ)げとなる。
掛軸(かけじく)を髣髴(おもは)す桐筥(きりばこ)入(い)り。

明石(あかし)の"眞鯛(まだひ)":
六百七十匁(ろうぴやくなゝじふもんめ、=2.5kg)。
仲卸(なかおろし)より、態々(わざわざ)"星鰈(ほしがれひ)"を避(さ)け、
選(え)りすぐりたるほどの逸品(よきしな)。

刺身(さしみ)、潮汁(うしほじる)、(すし)、何(いづ)れも、
筆舌(ふでやことば)で(つ)くせぬ美味(うま)さ。
眞鯛(まだひ)は五百匁(ごひやくもんめ、=1.9kg)ばかりが最善(よい)
とは云ふものゝ、この日(ひ)の"眞鯛(まだひ)"は別格(とびきり)。

雲州(いづも)の"活(い)け松葉蟹(まつばがに)":
三百五十匁(さんびやくごじふもんめ、=1.3kg)の旨(うま)さは勿論(いふもさらなり)。
備長炭(すみ)に炙(あぶ)りて甜(あま)さを堪能(あぢは)ひ
茹(ゆ)でゝ蟹内臟(かにみそ)と和(あ)へ絶味(すばらしきあぢ)に陶然(ゑふ)

"(さはら)"の藁燒(わらやき):
尋常(つね)に倣(なら)ひて、大蒜醤油(おほひるじやうゆ)を塗(まぶ)す。
めじ(ぶり)、(かつを)に優(まさ)るとも劣(おと)らぬ味(あぢはひ)。
善哉(よいかな)、善哉(よいかな)!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F4
      蔡司(Carl Zeiss)Planar T* 1.4/85 ZK @F2 (2011年6月撮影)
【2016-12-04追記】:
利尻羅臼眞昆布利尻へと囘歸(もどる)。
この日の舎利は米醋(よねず)。
活車蝦(いきくるまえび)の雞卵焼(たまごやき)、美味(よきあぢ)なり。

【2016-10-01追記】:
昆布(こんぶ)が利尻(りしり)から羅臼(らうす)に、、。

【2016-07-30追記】:
竹岡沖(たけおかおき)銀寶(ぎんぱう)、桑名(くはな)の(しゞみ)など、、。

【2016-04-10追記】:
走(はし)りの花山椒(はなざんせう)を愉(たの)しむ。
白身(しろみ)も(しび)も、眞鰺(あぢ)、鶏卵焼(たまごやき)も、
うを徳』、『与志乃』を凌駕(はるかにしのぐ)。
以爲(おも)ふに、『与志乃』が雋(すぐ)るは”穴子(あなご)”のみ。

此度(こだみ)は新規(あらた)なる試行(こゝろみ)あり。
 1)鮟鱇肝(あんきも)を燻(いぶ)す。     ※美味(うまし)
 2)敢(あ)へて章魚(たこ)を叩(たゝ)かず。 ※臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ふ

【2015-11-08追記】:
倩(つらつら)當家(こちら)の菜(れうり)を惟(おもんみ)るに、
二(ふた)つの弱點(よはみ)ありき。
一(ひと)つは、魚(うを)炙(あぶ)るに、瓦斯(がす)に頼(たよ)ること。
今一(いまひと)つは、舎利(しやり)。

已(すで)に、舎利(すめし)の大(おほ)きさ水分量(みづけ)は改(あらた)まり、
此度(こだみ)は、米醋(よねず)より紅醋(あかず)へと變更(きりかへ)。
口(くち)に含(ふく)むや、鳳仙花(ほうせんくわ)のごとくに四散(ほどけち)り、
瞬(またゝ)く中(うち)に臼齒(おくば)より吭(のみど)に到達(いた)る。

瓦斯(がす)より備長炭(びんちやうたん)への轉換(きりかへ)は、
來年(きたるとし)の早々(はじめ)。
東道(あるじ)曰(いへら)く、「馨(かをり)の佳(よ)さは、炭(すみ)ならでは。」、
「吾(われ)、漸(やうや)う、瓦斯(がす)の限界(かぎり)を曉得(さと)れり。」

"(しほ)ぽんす"に"橙鹽(だいだいじほ)"も新(あら)たなる試行(こゝろみ)。
鹽(しほ)は法蘭西(ふらんす)ゲランド産(さん)。
とまれ、若(も)し、二(ふた)つの弱點(よはみ)解消(きえう)さば
忽地(たちまち)、理想(のぞむべ)き姿(すがた)の舗(みせ)となるべし。

【2015-09-28追記】:
龜戸(かめゐど)の御大盡(おだいじん)が希望(のぞみ)に從(したが)ひ、
この度(たび)、新設(あらたにまうけ)し"御大盡(おだいじん)コース"。
"丹州(たんば)の松茸(まつたけ)"など、價格(ね)の張(は)るものがザクザク
無縁(ゆかりなし)とは云へ、金二萬圓也(きんにまんゑんなり)。

最初(いやさき)は"茸盡(きのこづ)くし":
松茸(まつたけ)、本占地(しめぢ)、黒茸(くろたけ)、舞茸(まひたけ)。
徒(いたづら)に出汁(だし)の勝(か)つことのなき佳味(よきあぢ)
丹州(たんば)の松茸(まつたけ)は纔(わづ)かばかりを味見(あぢみ)。

旨味(うまみ)彈(はじ)くる蝦夷利尻(えぞりしり)(ひらめ)の縁側(えんがは)。
羽州八郎潟(ではゝちらうがた)の(むなぎ)は四百五十匁。
この日(ひ)は、敢(あ)へて齒應(はごた)へを殘(のこ)す烹調法(やりかた)
噛(か)むほどに、美味(うまみ)溢れて、口中(くちのなか)へど浮騰(ほとばし)る

薩州(さつま)出水(いづみ)の眞鰺(あぢ)も、この日(ひ)は酢〆(すじめ)。
しみづ』、かつて四谷(よつや)に在(あ)りし『』を彷彿(おもはす)。
倩(つらつら)(むなぎ)、眞鰺(あぢ)を瞻(み)るに、小宮親方(おやかた)、
近來(ちかごろ)は、無人境(ひとなきところ)を獨行(ゆ)くがごとし

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【照相機】:旭光學賓得士K-三數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @1.8~2.0

【2015-03-14追記】:
近會(ちかごろ)、俄頃(にはか)に若(わか)き客(きやく)が増(ふ)へ、
剩(あまッ)さへ、異人客(いじんきやく)までと云ふ形勢(ありさま)
古(ふる)くからの客(きやく)、地元(ぢもと)の民(たみ)が行(ゆ)きづらくなるは
致(いた)し方(かた)のなきところか、、、。

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【照相機】:旭光學賓得士K-三數碼單鏡反光照相機
【鏡頭】:...蔡司(Carl Zeiss) Distagon T* 2.0/35 ZK @F2.0

【2013-09-20追記】:
鯵ヶ澤(あぢがさは)の[魚荒](あら)、大原目高鰒(まだかあはび)、などなど。
[魚荒](あら)は久繪(くゑ)にあらず。
姿形(すがた)は(すゞき)に似(に)、口味(あぢ)は眞鯛(まだひ)を髣髴(おもはす)。
頗(すこぶ)る美味也(びみなり)!

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【照相機】:富士胶片(ふじふぃるむ) X-E1無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれすかめら)
【鏡頭】  :蔡司(Carl Zeiss) Makro Planar T* 2.0/50 @F2.0 (By Sony)

【2013-05-25追記】:
"茄子(なす)の揚(あ)げ浸(びた)し"、"淡竹(はちく)に水菜(みづな)"など。
(むなぎ)は琵琶湖(びはこ)。
"城下鰈(しろしたがれひ)"は指身(さしみ)、潮汁の三種(みくさ)。
〆は"能登大納言(のとだいなごん)のアイス"。

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【照相機】:富士胶片(ふじふぃるむ) X-E1無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれすかめら)
【鏡頭】  :東蔡(Carl Zeiss Jena) 紅MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

【2013-03-10追記】:
此度(こだみ)は琵琶湖(びはこ)の"いさゞ"、"諸子(もろこ)"など。
頗(すこぶ)る美味(びみ)也。
名殘(なご)りの"(ふぐ)"に"炙(あぶ)りめじ"また佳(よ)し。
目新(めあたら)しきは岩手(いはて)の"雁喰豆(がんくひまめ)"。

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【照相機】:富士胶片(ふじふぃるむ) X-E1無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれすかめら)
【鏡頭】  :Kern Macro Switar 1.8/50 @F2.0

【2012-07-21追記】:
フィレンツェ茄子(なす)+ズッキーニ(しろ)バルサミコ
濱名湖(はまなこ)の(むなぎ)、百七十三匁(=650g) 、
球磨川(くまがは)の(すつぽん)、二百六十七匁(=1000g)、
小川原湖(おがはらこ)の(ごり)有馬煮(ありまに)、などなど。

【2012-07-07追記】:
武州羽根田(ぶしうはねだ)の鰻(むなぎ)、百卅匁(ひやくさんじふもんめ、=500g)。
脂(あぶら)こそ少(すく)なめなれど舌觸(したざは)り頗(すこぶ)る滑(なめ)らか。
古來(いにしへより)、江戸前海(えどまへうみ)の鰻(むなぎ)はを盛りとす。
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

【2012-06-23追記】:

【2012-06-10追記】:
この日は京師(みやこ)より東下(あづまくだ)りせし師匠(おやかた)と鉢合せ。
小宮(こみや)親方(おやかた)を交(まじ)へ四方山話(よもやまばなし)に花(はな)。
鰻(むなぎ)のほどよき大(おほ)きさ、海鰻(はむ)の産地(さんち)は勿論(いふにおよばず)、
師匠(おやかた)生(む)まれし能登(のと)の魚(うを)などとゞまるところを知らず。

【2012-05-26追記】:
胡麻鰒(ごまふぐ)の白子、豐後(ぶんご)三隅川(みくまがは)の香魚(あゆ)、
雲州(うんしう)中海(なかうみ)の二百十三匁(にひやくじふさんもんめ、=800g)、
賀茂茄子(かもなす)の田樂(でんがく)、淡路(あはぢ)の牡丹海鰻(ぼたんはむ)、
明石(あかし)の小豆羽太(あづきはた)、大原目高鮑(おほはらまだかあはび)など。

【2012-05-12追記】:
喜界嶋(きかいじま)大名笋(だいみやうだけ)、琵琶湖二百十匁、
石川芋(いしかはいも)、明石鯛(あかしだひ)、江戸灣(えどわん)の鳥貝
四万十川(しまんとがは)の(ごり)、大和丸茄子(やまとまるなす)など。
出水(いづみ)と淡路(あはぢ)の眞鰺(まあぢ)比(くら)べも、、。

【2012-05-04追記】:
此度(こだみ)は、遠州濱名湖(ゑんしうはまなこ)の(むなぎ)、百六十匁、
豐州(ほうしう)城下鰈(しろしたがれい)五百卅三匁(ごひやくさんじふさんもんめ)など。
江戸灣(えどわん)の穴子(あなご)に大車蝦(おほくるまえび)はひさかたぶりの品。
紅椒(ぱぷりか)ムウスに咖啡(こおふィ)葛切(くづき)りは鮓屋らしからぬ品。

【2012-04-21追記】:
今季(こんき)の初鰻(はつむなぎ)は、備州兒嶋湖(びしうこじまこ)。
大約(およそ)一百三十匁(いつぴやくさんじふもんめ、=500g)と小振(こぶ)り。
脂(あぶら)も少なく、龝(あき)盛りの鰻(むなぎ)とは雲壌(うんじやう)の相違(たがひ)。
しかはあれど、これぞ正眞正銘(まがふかたなき)天然物(てんねんもの)。

この日(ひ)の白眉(はくび)は"コンソメ"に"蕨餠(わらびもち)"。
"コンソメ"は牛脛肉芹菜(せろり)、洋葱迷迭香(ろーずまり)など、
菜蔬(あをもの)・香艸、胡椒百里香(たいむ)など香辛料(かうしんれう)を加へ、
さらに鳴門鯛(なるとだひ)骨邊肉(あら)の潮汁(うしほじる)を加へたる逸品(しな)。

居多(あまた)洋食屋ですら尻込みする"コンソメ"に挑(いど)むとは見上げたもの。
最初(いやさき)の"コンソメ"より初鰻(はつむなぎ)、(にぎ)りを經(へ)て、
最後(いやはて)は本蕨粉(ほんわらびこ)にて製(こしら)へたる"蕨餠(わらびもち)":
上にかゝるは丹波黒豆黄粉(きなこ)にて、その旨さ、勿論(いふもさら)なり。

【2012-04-07追記】:
この日の目當(めあ)ては今季初塚原(つかはら)の"白子筍(しらこだけ)"に、
"備州(びしう)白小豆(しろあづき)"の"水羊羹(みづやうかん)"。
偶(たまさ)か、朝〆(あさじめ)したる鳥羽(とば)の"星鰈(ほしがれひ)"と、
これまた今季初、肥州八代(ひしうやつしろ)の"(すつぽん)"も、、。

倩(つらつら)筍(たけのこ)の優劣(いうれつ)を考察(かんがみ)るに、
塚原(つかはら)の"白子筍(しらこだけ)"は、
"長岡京(ながおかきやう)"の筍(たけのこ)と比(くら)べても、一枚上手なるべし。
寸毫(つゆ)えぐみや癖の類(たぐひ)あらで、寔(まこと)、筍の頂點(いたゞき)

鳥羽(とば)の"星鰈(ほしがれひ)":
縁側(えんがは)もさることながら、 潮汁(うしほじる)の出來榮えが類稀(たぐひまれ)。
半月前(はんつきまへ)の明石鯛(あかしだひ)を凌(しの)ぎ、
一月前(ひとつきまへ)の"城下鰈(しろしたがれひ)"に竝(なら)ぶほどの美味(うまきあぢ)。

五百卅匁(=2kg)と云ふ"鼈(すつぽん)"は肥州八代(ひしうやつしろ)の産。
半晌(はんとき、=1時間)かけて鍋(なべ)に仕立(した)てたるものにて、
震旦(もろこし)の佳き清湯(すましゞる)か上質のコンソメを髣髴(おもはす)。
惜(を)しむらくは、身(み)頗(すこぶ)る硬(かた)く大味(おほあぢ)なること。

"薩州出水(さつしういづみ)眞鰺"の甘美(うま)さは勿論(いふもさら)なり。
扨(さて)、"備州白小豆(しろあづき)"の"水羊羹"に"黒豆あいすくりん":
實(げ)に、鮨屋(すしや)で供(いだ)すものとも思(おも)はれぬ出來(でき)。
就中(わきても)、"あいすくりん"は居多(あまた)卵黄ヴァニラビンズが光る一品。

【2012-03-25追記】:
此度(こだみ)は、長岡京(ながおかきやう)の稚鮎明石鯛など。
閖上(ゆりあげ)の赤貝(あかゞひ)は『峯八』に續き、大地震(おほなゐ)の後二度目。
明石鯛(あかしだひ)は子持ちにて、やはり龝(あき)の紅葉鯛(もみぢだひ)に分。
待ち遠しきは塚原(つかはら)の"白子筍(しらこだけ)"。

牛乳(うしのちゝ)を吉野葛にて固(かた)めたる"牛乳豆腐(ぎうにゆうどうふ)"が、
この日の白眉(はくび)。
生の米粒(こめつぶ)のごとき塊(かたまり)を訝(いぶか)しく思ひ、これを問(と)ふと、
「自(みづか)ら編出(あみいだ)せしものにて、葛(くづ)の粒(つぶ)にてござる」と。

【2012-03-11追記】:
銀寶(ぎんぽう)、山獨活(やまうど)、、走りの明石櫻鯛(さくらだひ)。
それに、琵琶湖(びわこ)の"もろこ"。
潮汁(うしほじる)は時季(じき)も向去(さりなん)とする(ひらめ)。
小振(こぶ)りなれど、口味(あぢ)はなかなかのもの。

【2012-02-19追記】:
漸(やうや)う生業(なりはひ)からも解放(ときはなた)れ、この日久々の『うを徳』。
最初(いやさき)は椀(わん)。
雲子(くもこ)、菜花(なのはな)、蘿蔔(すゞしろ)、吸口(すひくち)は柚子。
"淀蘿蔔(よどだいこん)"と號(よびな)す聖護院蘿蔔(しやうごいんだいこん)の一つ。

とは云へ、この日(ひ)の白眉(はくび)は"城下鰈(しろしたがれひ)"。
身(み)は二百四十匁(にひやくよんじふもんめ、900g)と聊(いさゝ)か小振(こぶ)り。
この日の旦(あさ)活け〆にしたばかりなれば、旨味(うまみ)乏(とも)しきは明白(あきらか)。
さらば、亭主(あるじ)の捌(さば)く姿(すがた)を虚(うつ)ろに眺(なが)む。

刺身(さしみ)を箸(はし)に取(と)り、ゆるりこれを吟味(あぢは)へど、
冬の青森鮃(あをもりひらめ)、龝(あき)の明石鯛(あかしだひ)を仰(あふ)ぎ見、
星鰈(ほしがれひ)、否、高名(なだか)き鮨店(すしや)の眞子鰈(まこがれひ)にも劣る。
時季(じき)に外れ、身の締まり、香氣(かをり)、旨味(うまみ)ともに今一つ

"城下鰈(しろしたがれひ)"と云ふは遍(あまね)く知(し)らるゝごとく、
豐後(ぶんご)は城下海岸(しろしたのはま)にて漁(すなど)らるゝ眞子鰈(まこがれひ)。
まともに口(くち)にするはこれが初(はじめて)。
求むるまでもなく、阿吽(あうん)の呼吸(いき)にて供(いださ)れし"潮汁(うしほじる)"。

上面(おもて)には珠(たま)のごとき油脂(あぶら)が浮(う)かみ、
湯氣(ゆげ)とゝもに、芳香(かぐはしきかをり)四方(よも)に漂(たゞよ)ふ。
これを口に含(ふく)むに、ほどよき鹽加減(しほかげん)と無限(かぎりな)き旨味
味覺(した)を搖(ゆ)さぶり、鼻竅(はな)を穿(うが)ち、吭(のんど)を貫(つらぬ)く

想定外(おもひのほか)に柔(やは)らかく、舌(した)に滑(なめ)らか。
これを噛み締むれば、奧齒(おくば)に抗(あらが)ふ方策(すべ)もなく蕩(とろ)け、
骨(ほね)の周圍(まはり)より旨味(うまみ)滾々(こんこん)と溢(あふ)れ出(い)づ
これを舐(ねぶ)り、慈(いつく)しみ、最後(いやはて)の一滴(ひとしづく)まで飮み干す

およそ、鮃(ひらめ)の骨邊肉(あら)なるは、
朝(あさ)〆なれば硬(かた)く、舌に逆らひ、:旨味(うまみ)乏(とも)しきもの
日を置くに從(したが)ひ旨味(うまみ)を増し、味はひを深(ふか)むるが通例(つね)
眞鯛(まだひ)また然(しか)り。

俗(よ)に鮃(ひらめ)は生で啖(くら)ふがよく、鰈(かれひ)は煮るが何よりと云ふ。
とは云へ、大(おほ)きなる眞子鰈(まこがれひ)は鮃(ひらめ)に似(に)て、
煮ては舌(した)に逆(さか)らひ、鮨(すし)・刺身(さしみ)に好適(む)く。
この日の鰈(かれひ)は鮃・眞鯛と云ふより鮎魚女(あゆなめ)に彷彿(さもにたり)。

【2012-01-01追記】:
■□■□謹賀新年■□■□、御節料理
2012-01-01日記に、、。

【2011-12-19追記】:
2011-12-19日記に、、。

【2011-12-10追記】:
2011-12-10日記に、、。

【2011-11-20追記】:
2011-11-20日記に、、。

【2011-11-09追記】:
2011-11-07、11-09日記に、、。

【2011-10-29追記】:
2011-10-29日記に、、。

【2011-10-19追記】:
備前(びぜん)兒嶋湖(こじまこ)の蝦蛄鰻(しやこむなぎ)など。
殘(のこ)りは2011-10-19日記に、、。

【2011-10-08追記】:
綸子(りんず)”天草緑川(みどりかは)の鰻(むなぎ)など。
殘(のこ)りは2011-10-08日記に、、。

【2011-09-29追記】:
琵琶湖(びわこ)の鰻(むなぎ)など。
殘(のこ)りは2011-09-29日記に、、。

【2011-09-22追記】:
宍道湖(しんじこ)の鰻(むなぎ)など。
殘(のこ)りは2011-09-22日記に、、。

【2011-09-10追記】:
球磨川(くまがは)の鰻(むなぎ)など。
殘(のこ)りは2011-09-10日記に、、。

【2011-09-04追記】:
此度(こだみ)は、『とよみつひめ』なる新種(しんしゆ)無花果(いちじく)。
殘(のこ)りは2011-09-04日記に、、。

【2011-08-18追記】:
土州(としう)鏡川(かゞみがは)の(すっぽん)。
生姜(はじかみ) を加(くは)へず、掃愁箒(さけ)も嘗(かつ)ての三分(さんぶん)の一(いち)。
纔(わづ)かな臭(くさ)みこそあれ、なかなかのもの。
鼈裙(えんぺら)、頭(かうべ)も、、。

殘(のこ)る冩眞(しやしん)は2011-08-18日記に、、。

【2011-08-10追記】:
四万十川(あゆ)、佐島(さじま)の章魚櫻煮(さくらに)、土州(としう)の鰹、
蝦夷地(えぞち)釧路(くしろ)の秋刀魚(さんま)など。
家苞(いへつと)ゝして『ばらちらし』。
秋刀魚(さんま)は身(み)も膓(わた) もなかなかの旨(うま)さ。

殘(のこ)る冩眞(しやしん)は2011-08-10日記に、、。

【2011-07-03追記】:
此度(こだみ)の白眉(はくび)は紅椒(ぱぷりか)のムウス
眞子鰈(まこがれひ)のあらより出汁(だし、"Fumet de poisson")を引(ひ)き、
牛(うし)の出汁(だし、"Consommé de bœuf")を併(あは)せ六日(むいか)かけたものと云ふ。
紅椒(ぱぷりか)の苦味)、凝乳(くりいむ)のまろやかさ、ほどよき鹽氣(しほけ)と非のうちどころなし。

握りとして、茹で上げ蝦蛄(しやこ)、三枚漬(さんまいづ)けの新子(しんこ)、
大原の蒸鮑(むしあはび)、明石鯛、佐島(さじま)の章魚(たこ)櫻煮(さくらに)など。
で上げ蝦蛄に舌鼓(したつゞみ)を打つは大約(およそ)一年(ひとゝせ)ぶり。
時季(じき)の穴子(あなご)はまづまづ。

【2011-06-15追記】:
此度(こだみ)は、『四万十川香魚(あゆ)』、『北上川山女(やまめ)』、
『丹後舞鶴(まひづる)の鳥貝』、『房州勝浦(ばうしうかつうら)の(かつを)』、
淡路(あはぢ)の(はむ)』、『江戸前(えどまへ)の穴子(あなご)』など。
『吉野川』の鮎(あゆ)の比(くら)べ、四万十川(しまんとがは)には力強(ちからづよ)さ。

(かつを)、(あぢ)にも優(まさ)るこの日の白眉(はくび)は穴子(あなご)。
皮(かは)甚(いと)柔(やは)らかにして、身(み)も崩(くづ)れんばかり。
身皮(みかは)の間(はざま)なる脂(あぶら)が舌に纏(まと)はりつゝ、 吭(のんど)の奧に、、。
やはり鰻(むなぎ)は龝(あき)穴子(あなご)は初夏(なつのはじめ)が何より。

鳥貝(とりがひ)を解體(さば)く過程(かてい)2011-06-15日記(につき)に。

【2011-06-03追記】:
・・・・・・(略)・・・・・・
此度(こだみ)の酒菜(さかな)は、吉野川、京師(みやこ)賀茂茄子(かもなす)、
壹岐(いき)の岩牡蠣(いはがき)など。

鮎(あゆ)には楓(かえで)と加賀太胡瓜(かゞぶときうり)があしらはれ目にも鮮やか。
これを貪(むさぼ)るに、身と膓(わた) より心持(こゝち)よき香(かをり)迸(ほとばし)る。
岩牡蠣(いはがき)はその儘(まゝ)でも旨(うま)く、ぽん酢(ず)もまた佳(よ)し。
賀茂茄子(かもなす)はほどよき齒應(はごた)へを殘(のこ)し、出汁(だし)も上々。

握(にぎ)りは生平(つね)のごとし。
出水(いづみ)の眞鰺(あぢ)は時季(じき)に適(かな)ひ旨さ口中(くち)に横溢(あふ)る。
肥後(ひご)の本蛤(ほんはまぐり)も朝鮮蛤(てうせんはまぐり)と見紛(みまが)ふ大きさ。
天草(あまくさ)の車蝦(くるまえび)は俗(よ)に云ふ『大車(おほぐるま)』。

【2011-04-28追記(拔粹)】:
蝦夷(えぞ)苫小牧馬糞海膽、洛(みやこ)塚原白子筍(しらこだけ)、
越中富山喉黒(のどぐろ)などを貰(もら)ひ杯(さかづき)を傾(かたぶ)く。
握りで、鮃(ひらめ)縁側(えんがは)、眞鰺(まあぢ)、小鰭(こはだ)、黄肌(きはだ)、
赤貝(あかゞひ)、穴子(あなご)。

音(おと)に聞(き)く『白子筍(しらこだけ)』を口にするはこれが初(はつ)。
鹽茹(しほゆ)でに見(み)えしかど、出汁(だし)を加(くは)へたるものとなむ、、。
滑らかなる舌觸(したざは)りは絹に似て、えぐみのなさは泉(いづみ)を髣髴(おもはす)。
慥(たしか)に笋(たけのこ)の皇(すめらみこと)。

喉黒(のどぐろ)は兜(かぶと)ばかりを擇(えら)み、ほどよく炙りて供(いださ)る。
豫(あらかじ)め降り鹽(じほ)が施(ほどこ)され、その旨味も一入(ひとしほ)。
遉(さすが)に閖上(ゆりあげ)の赤貝はなく、周防にて漁(いさ)りしものゝみ。
殼(から)を剥(む)き、肝(きも)を燒(や)き、身(み)と紐(ひも)は握りとなす。

【2011-04-17追記】:
・・・・・・(略)・・・・・・
漬け場に目立つ九十九里(くじふくり)の朝鮮蛤鶏卵燒(たまごや)き。
車蝦山芋を擂り込み、四十分かけて燒上(やきあ)げたるもの。

主人(あるじ)、『大地震(おほなゐ)に遭ひて閖上(ゆりあげ)の赤貝など皆無』と、、。
掃愁箒(さけ)を貰ひ、酒菜(さかな)二種(ふたくさ)に主人(あるじ)心盡くしの品。
最初(いやさき)に、越中滑川(ゑつちゆうなめりかは)の螢烏賊(ほたるいか)。
獨活(うど)を添(そ)へ酢未醤(すみそ)で戴(いたゞ)く。

酒菜(さかな)として、品書きより、琵琶湖(びわこ)のもろこ鹽燒(しほやき)と、
洛(みやこ)は長岡京(たけのこ)の炙り燒きを注文(たのむ)。
もろこは二寸斗(にすんばかり)の大(おほ)きさで子持(こも)ち。
築地(つきぢ)で琵琶湖(びわこ)のもろこを扱ふは纔(わづ)かに一軒のみとか。

穴子肝煮(きもに)、走りの淡路島(あはぢしま)海鰻(はむ)落とし、
それに、海鰻(はむ)のあら汁(じる)は、 主人(あるじ)の好意(かうい)。
握り十二、鶏卵燒、玉薤(さけ)、酒菜(さかな)二種(ふたくさ)で八千二百圓也。
價格(ね)の廉きは、家族(うから)ばかりで商(あきな)ひ、廛(みせ)も持ち家なればこそ。

銀座『青木』とは互ひに先代(せんだい)よりの附き合ひとか。
主人(あるじ)、今は『はしぐち』となりし紀尾井町時代をも知る。
京師(みやこ)の馨(かをり)漂ふは、先代女將(さきつおかみ)の生まれもさることながら、
偏(ひとへ)に主人(あるじ)の修業先(しゆげふさき)にあり。

力みがなく、『某(それがし)、鮨より懐石料理(くわいせき)が得手(えて)』とポツリ。
扨(さて)、鮓職人が力量(うで)を餘すところなくあらはす鶏卵燒(たまごや)き。
些(いさゝ)か滑(なめら)かさに虧(かく)と云ふとも、
車蝦(くるまえび)の色尤(いと)鮮烈(あざやか)にして味はひもまたなかなかに深淵(ふかし)。

昆布〆に用(つか)ふ昆布(こんぶ)は利尻(りしり)と、これまた京風(きやうふう)。
江戸(えど)の鮨屋(すしや)では眞昆布(まこんぶ)を用(つか)ふが通例(ならひ)。
煮切(にき)りは醤油(しやうゆ)七に味醂(みりん)三で配合(ま)ぜ、
出汁(だし)を加へたるもの。

驚(おどろ)くべきは主人(あるじ)の記憶力(ものおぼえ)の凄(すご)さ。
四月(よつき)も前の客(きやく)の呑み啖ひしたるものをつぶさに憶(おぼ)えてをり、
剩(あまッ)さへ、話のやりとりまでもが審(つまびらか)。
以爲(おも)ふに、☆☆☆を爭ふ賈(みせ)にはあらねど、實(げ)に居心地よき廛(みせ)

【2010-12-04記(拔粹)】:
最初(いやさき)に掃愁箒(さけ)。
酒菜(さかな)は豊後(ぶんご)冬茹(どんこ)の含(ふく)め煮(に)。
一日(いちにち)西洋時辰儀(せいやうとけい)にして六時間煮詰(につ)め、
それを幾日(いくにち)も繰(く)り返(かへ)すと云ふ驚(おどろ)くほどの手間隙(てまひま)。

次いで『星鰈(ほしがれひ)の卵巣(こ)』。
主人(あるじ)の修業先(しゆげふさき)は洛(みやこ)木屋町通り『やました』。
慥(たしか)に味附けは淡く、京師(みやこ)の割烹(かつぱう)を髣髴(おもはす)。
この星鰈(ほしがれひ)、常磐(じやうばん)のものにて、主人(あるじ)誇りの品。

握りは、星鰈(ほしがれひ)、星鰈縁側(えんがは)、眞鯖(まさば)、小鰭(こはだ)、
墨烏賊(すみいか)を煮切(にき)りと鹽(しほ)で、
鮪(しび)の赤身(あかみ)醤油漬(しやうゆづ)けに、赤身(あかみ)に近き脂身(あぶらみ)、
蛤(はまぐり)、卷き、煮穴子(にあなご)、燒穴子(やきあなご)、冬茹(どんこ)卷き。

途中(とちゆう)、唐墨(からすみ)に蟹汁(かにじる)を挾(はさ)み、
握(にぎ)り十三(とあまりみつ)、卷物(まきもの)一つ、合はせて値(あたひ)八千五百圓也。
口惜(くちをし)きは鶏卵燒(たまごや)きなきこと。
勿驚(おどろくなかれ)、各々(おのおの)品の價格(ね)が黒板(こくばん)に審(つまびらか)。

この日は午の刻より未の刻まで一時(いつとき,=2時間)ばかり。
僕(やつかれ)のほか、絶(た)へて客(ひと)の姿(すがた)を見ず。
近傍(ちかく)に寺多く、粗方(あらかた)休日(やすみのひ)の法事客(はふじきやく)とか。
饗應(もてなし)に用(つか)ふ廛(みせ)なれば、價段(ね)を明かす道理(ことわり)なし。

唐墨(からすみ)は自家製。
鹽(しほ)ばかりで製造(こしら)へたるものとは明らかに異なる圓(まろ)やかさ。
その理(ことわり)を訊(たづ)ぬれば、燒酎(せうちう)に暫し漬け込みたるものとのよし。
傍(かたは)らの紅芯蘿蔔(こうしんだいこん)は鮨屋(すしや)には珍しき品。

要求(もとめ)に應(おう)じ、唐墨(からすみ)に添(そ)ふると、、。
そも、蘿蔔(すゞしろ)は徒(いたづら)に強き鹽氣(しほけ)を和(やはら)ぐるもの。
鹽(しほ)強(つよ)からざれば、そのまゝに味(あぢ)はふが何より。
こゝろみに紅芯蘿蔔一片(ひとひら)を齧(かじ)るに、爽やかなること梨(なし)に似たり。

萬願寺唐辛子(まんぐわんじたうがらし)も東都(えど)の鮨屋にはなき菜蔬(あをもの)。
舎利(しやり)は粒(つぶ)が立ち、舌(した)に滑(なめ)らか。
暖(あたゝ)かさは人肌(ひとのはだ)ほどならん。
酢は尾州半田(びしうはんだ)の白酢に、纔(わづ)かながら沙糖を用(つか)ふ。

甘酢(あまず)漬け生姜(はじかみ)の自家製(じかせい)なるは勿論(いふもさらなり)。
くどさなく、口直(くちなほ)しにはほどよし。
近會(ちかごろ)の行きつけ に比(くら)ぶれば、聊か冷たく、酢も弱め。
山葵(わさび)は本物(ほんもの)ながら、高名(なのある)廛(みせ)には遠く及ばず。

主人(あるじ)の誇る『星鰈(ほしがれひ)』は〆てより三日目(みッつかめ)。
この時季の、『喜久好』か『ほかけ』のの美味(うまきあぢ)にはとてもとても、、。
喜久好』なれば〆て間(ま)もなきものを厚(あつ)めに切りつく。
身が活き、噛み締むるほどに旨味(うまみ)奔(ほとばし)るが通例(つね)。

(はまぐり)』は他店(よそ)で用(つか)ふ鹿島灘(かしまなだ)朝鮮蛤とは異なり、
肥後(ひご)の濱(はま)にて漁(すなど)られし本蛤(ほんはまぐり)。
これを『漬け込み』となし、煮詰(につ)めを寸毫(つゆ)施(ほど)さずに味はふ。
僅(はつ)かながらも火の入り過ぎたるけはひこそあれ、なかなかの出來榮(できば)え。

主人(あるじ)が『今一つ』と羞(は)ぢらふ『煮穴子(にあなご)』は江戸前(えどまへ)。
煮工合(にぐはひ)もほどよく、この時季(じき)としては、まづまづ。
最(いと)面白(おもしろ)きは『燒穴子(やきあなご)』。
洛(みやこ)に倣ひて、骨切(ほねき)りを行ひたる後これを炙(あぶ)る。

やはり『燒穴子』に限るなら『468』に一日(いちじつ)の長(ちやう)。
鶏卵(たまご)の代替(かはり)に『尤(いと)自信(じゝん)あるもの』と、問はゞ、
『含ませ煮の冬茹(どんこ)』を海苔(のり)に卷くは如何(いか)に、と、囘答(いら)ふ。
ぬばたまの黒さながらも、味は海苔卷きの干瓢(かんぺう)よりも穩(おだ)やか。

さても、握り鮨の華(はな)たる光物(ひかりもの)ゝはと檢(あらた)むるに、
鯖(さば)はやゝ淺(あさ)め、小鰭(こはだ)は聊(いさゝ)か強き酢〆
主人(あるじ)に據(よ)らば、鯖は、鹽(しほ)二時間半、酢(す)四十分、
小鰭(こはだ)は、鹽(しほ)を五十分、酢(す)を四十分とか。

豐後(ぶんご)の鯖(さば)は、その身頗(すこぶ)る肥(こ)え、
脂(あぶら)は鹽(しほ)を蹴散(けちら)らし、酢を四方(よも)に彈き飛ばさんばかり。
小鰭(こはだ)には"卷き"より拵(こしら)へたる朧(おぼろ)を挾(はさ)む。
〆の強さたるや、九段下『壽司政』、烏森稻荷『しみづ』に次ぐ。

そも『うを徳』なる屋號(やがう)、小宮徳造(こみやとくざう)が魚屋に因む。
倅(せがれ)(たけし)、當地(このち)に開きし鮨屋こそ『おすもじ處(どころ)うを徳』。
二代目(にだいめ)重病(おもきやまひ)に仆(たふ)れ、跡を繼ぎしが、三代目(さんだいめ)。
すなはち、現行(いま)の親方(おやかた)小宮健一(こみやけんいち)その人(ひと)。

  • 小宮健一(こみやけんいち)親方(おやかた) 【撮影許可濟】 2011年6月撮影、2019-01モザイク處理
  • "鮑魚(あはび)"+《越中滑川(なめりかは)》"螢烏賊(ほかるいか)"
  • 『服部中村養鼈塲(はつとりなかむらやうべつじやう)』"鼈(かはかめ)"

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2位

Bien (春日部、八木崎 / ビストロ、フレンチ)

43回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2023/03訪問 2023/03/15

"番紅花(サフラン)"の 風韻(かをり)漂(たゞよ)ふ "西班牙大鍋飯(このめし)"を 殽(さかな)に蜷局(とぐろ) 醉客(たゞゑふひとなり)

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)APO-LANTAR 2/50 @F2.6~F4
     福倫達(Voigtländer)SUPER WIDE-HELIAR 4.5/15 ASPH. III @F11
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03
此度(こだみ)の"午套餐(ひるのきまりめし)"は、
"西班牙大鍋飯(パエージャ、イスハニアのなべだきめし)"。
"葡萄酒(えびかづらのみのさけ)"と"芒果雪葩(マンゴ・ソルベ)"を加(くは)へ、
對價(あたひ)、二千三百十圓也(にせんさんびやくじふゑんなり)。

"(えび)"、"蛤仔(あさり)"とも、二種(ふたくさ)、
輒(すなは)ち、剥身(むきみ)と(から)の附着(つ)きたるもの用(つか)ふは、
武井師傅(たけゐおやかた)が智慧(ちゑ、かしこきところ)。
"番紅花(サフラン)"の風韻(かをり)吉(よき)は勿論(いふもさらなり)。

"雞翅(とりのてばにく)"、"(えび)"、"蛤仔(あさり)"、
どれも高貴(ねのたかき)ものには非(あらざ)れど、"火候(ひいれ)"は巧妙(たくみ)。
"(えび)"の上漿(したあぢ)など、
"中國菜(あ)"の廚藝(わざ)を用(つか)ふでもなくこの食感(はごたへ・したざはり)

そも、"小鰕仁(ちいさなるむきえび)"なる貨物(しろもの)、
"冷凍物(かたくいてつきたるもの)"と雖(いへど)も、
あそこ』の"これ"とか、『この肆(いちくら)』の"これ"とか、『こちら』の"これ"など、
想定外(おもひのほか)の佳味(よきあぢ)」と云ふも稀(まれ)ならず。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtlaender)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2~F5.6
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03
粕壁(みゝよきまち)で午餔(ひる)となると、
寶來家』か『Bien』となるが「世界標準(よのならひ)」と云ふもの。 ※←イツモノウソ
暫(しばら)く前(まへ)、『寶來家』にて"韭菜豬肝(あれ)"に"啤酒(これ)"、
、、、と相成(あひな)れど、新規(あらた)に記(しる)すべきことも皆無(なし)

東口(ひがしぐち)『タパス』も、
書(か)くべきか、將又(はたまた)、書(か)くべきに非(あら)ざる歟(か)?
沈吟(うちあん)ずるばかりで、一向(すこしも)筆(ふで)が進(すゝ)まぬ
で、當家(こちら)『Bien』:

あれだけ寂(さび)れ、"(みつ)"と無緣(ゆかりな)き當家(こちら)なれど、
前囘(まへ)も今囘(こだみ)も、畧(ほゞ)滿席(あきなし)
いやはや、何(なん)とも怪訝(いぶかしきかぎり)。
大地震(おほなゐ)など災禍(わざはひ)の前象(しらせ)歟(か)? ※←コレモウソデス

當日(このひ)は、
"農夫雞(プーレ・ペイザンヌ、にはとりにくゐなかふうにこみ)"。
"葡萄酒(えびかづらのさけ)"と"黃油(バタ)"、"冰酪(あいすくりん)"を併(あは)せ、
對價(あたひ)、二千三百十圓也(にせんさんびやくじふゑんなり)。

二年前(ふたとせまへ)にも"農夫雞(これ)"を噉(くら)ひし例(ためし)あり。
今囘(いま)は無皮(かはなし)、前囘(まへ)は皮附(かはつき)。
愚按(IMHO、やつがれおもふに)、
(とり)も(ぶた)も、皮附(かはつき)・骨附(ほねつき)が究極理想(なにより)。

無皮(かはのなき)"魚(うを)"を嗜好(この)む民衆(たみ)は稀有(まれ)
然(しか)るに、"(へび)"・"(かいる)"、
況(ま)して有皮(かはつき)の"蛇蛙(へびかへる)"を好(この)む食通(かた)は、
宛然(あたかも)、「海底撈針(うみのそこにはりをすくふがごとくまれ)」。

皮(かは)の不可食(くへぬ)は、
"(さめ)"に"剝皮魚(かはゝぎ)"、"長命寺(ちやうめいじ)のさくらもち"。
あとは、"春の小川(はるのをがは)"に"アマゾン河(がは)"くらゐのもの。
ま、菟(と)にも角(かく)にも、"冰酪(あいすくりん)"にて〆(しめ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtlaender)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2~F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03
全身(いたるところ老朽化(ガタがきてを)り、藥漬(くすりづけ)の老骨(このみ)。
だが、僥倖(さいはひ)にも、(みゝ)・(はな)・咽喉(のど)の健常(よき)は、
これ偏(ひとへ)に、"粕壁浦舟大明神(あのかた)"の御利益(おかげ)なるべし。
嗚呼(あゝ)!

と云ふ次第(わけ)でまたも粕壁宿(かすかべじゆく)に、、。
當日(このひ)は『Bien』。
"午套餐(ひるのきまりめし)"は"匈牙利燉牛頬(うしのほゝにくハンガリアに)"。
"(しる)"、"麪麭(パン)"、"小菜碟兒(こざら)"、"甜品(あまみ)"附屬(つき)。

通例(つね)の若(ごと)く、
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"、"黃油(バタ)"、"冰酪(あいすくりん)"、
の三品(みしな)を追加(つけ)てもらひ、
對價(あたひ)、二千四百二十圓也(にせんしひやくにじふゑんなり)。

"小菜碟兒(こざら)"は"胡蘿蔔絲(キャロット・ラベ)"。
その内(なか)にはかの"モッツァレッラ"の粒(つぶ)も散見(ちらりほらり)。
"蕈菇湯(きのこじる)"には、
"牛肝菌(やまどりだけ、セップ)"も用(つか)はれ、佳味(なかなかによきあぢ)。

で、"匈牙利燉牛頬(うしほゝにくハンガリアに)":
"牛肉(うしのにく)"、當日(このひ)は"牛頬肉(うしのほゝにく)"を、
"蕃茄(あかなす)"、"燈籠椒(パプリカ)"、"蔥頭(たまねぎ)"、などゝ燉(にこ)む、
"匈牙利風(ハンガリアふう)"の"(あつもの)"。

"土芋(じやがたらいも)"に"燻肉(ベイコン)"の姿(すがた)も、、。
"武井師傅(たけゐおやかた)"得手(えて)とする素朴(きどら)ぬ"羹(あつもの)"
その他(ほか)は、常態(つね)に一無變化(つゆことなるところなし)。
偉大(おほい)なる×王八蛋〇定型(ひとつのかた)」、と云ふべき歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtlaender)Apo-Lanter 2/50 Asph. @F2~F5.6
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03
今宵(こよひ)から明日未明(あすのあかとき)まで、
"雙子座流星群(あめのごとくふりそゝぐ、ふたござのながれぼし)"でも觀測(み)ばやと、
いろはに星(ほし)より、涎(よだれ)そ滴(したゝ)る午餔(ひるのめし)
と云ふ仔細(わけ)で、久々(ひさびさ)當家(こちら)『Bien』に遠征(あしをはこぶ)。

"菜譜(こんだて)"ゟ(より)"套餐(きまりめし)"、
"紅葡萄酒燉五花肉鹹鯷風味(ぶたばらワインにこみしほづけいはしのかをり)"に、
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"、"黃油(バタ)"、"冰酪(あいすくりん)"、
對價(あたひ)、二千三百十圓也(にせんさんびやくじふゑんなり)。

"五花肉(ぶたのばらにく)"を紅葡萄酒燉(あかきえびかづらのさけにてにこ)むは、
旣知(すでにしられ)たる烹飪法(やりかた)なれど、
"鯷魚(かたくいはし)"の"(うをびしほ)"にて風味(あぢをかをり)を附加(くはふ)
武井師傅(たけゐおやかた)が創案(あらたにあみいだせしもの)」とか。

當日(このひ)の"(しる)"は、
本格的(まとも)な"鷄湯(フォン・ド・ヴォライユ)"、、と想像(おも)ひきや、
手輕(てがる)に雞(にはとり)と蔬菜(あをもの)ゟ(より)抽出(ひき)たるもの
と、「爲遣(してや)つたり!」とばかりに北叟笑(ほくそゑ)む。

"醋醃胡蘿蔔(せりにんじんすづけ、キャロット・ラペ)"には、
林檎(りんご)と蕃茄(あかなす)。
足(た)すべきところは足(た)し、引(ひ)くべきところは引(ひ)く
と云ふが、"武井良明師傅(たけゐおやかた)"特有(ならでは)の流儀(やりかた)。

有左程(さるほど)に、
"カルピス黃油(バタ)"は常態(つね)のことながら、
試供品(おためし)として"意大利産黃油(イタリのバタ)"も二缺片(ふたかけら)。
その大名(なのおほきさたるや)、「如雷貫耳(いかづちがみゝをつらぬくがごとし)」

"oさま✨.:*゚:.。:."ゟ(より)再三再四(いくたび)も聞(き)かされ、
妄想(みだらなるおもひ)が膨脹(ふくら)み
鼻竅(はなのあな)にはその幻香(まぼろしのかをり)が殘存(のこる)ほど。
吟味之(これをあぢはふ)に、"カルピス黃油(バタ)"との差異(さ)は纔(わづ)か。

これ、老骨(それがし)が、
嗅覺異常(はなのあやまり)and/or味覺異常(したのあやまり)歟(か)?
無論如何(どちらにせよ)、
雙方(どちら)も最上質(いとよきもの)なるは「明若觀火(ひをみるよりもあきらか)」

"冰酪(あいすくりん)"として選擇(えら)みし"芒果雪葩(マンゴ・ソルベ)":
こちらは拂郎西察(おふらんす)の逸品(すぐれもの)。
通常(つね)に不變(かはら)ぬ華美(よきあぢ)
いやはや、「酒足飯飽(ごちさうさまに厶(ござ)つた)!」

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F5.6
     高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 2/21 @F5.6 ※雙子座流星群
三ヶ月(みつき)ぶりの『Bien』。
當日(このひ)の主菜(おもなるうけ)は、
かのアルザス=ロレーヌ(=エルザス-ロートリンゲン)の鄕土菜(ゐなかめし)、
"Baeckeoffe(ベッコフ、にくじやがのたぐひ)"。

"麪麭(パン)"が拂郎西察(おふらんす)"BRIDOR(ブリドール)"のものに變化(な)り、
"冰酪(あいすくりん)"も待望(まちかねた)る復活(よみがへり)
食後(めしのあと)は"(ちや)"が習俗(つねのならひ)なりしが、
これ拔(ぬ)きとなると、この"冰酪(あいす)"、"(あまさ)"が顯著(きはだつ)。

やはり、"焙麥餠(パン)"には"葡萄酒(えびかづらのさけ)"、
"餜子(あまきもの)"には"(ちや)"、と云ふが、
"(つがひ)"・"女夫(めをと)"のごとき難分(わかちがた)き配搭(くみあはせ)
輒(すなは)ち、「比翼連理(ひよくれんり)」、「偕老同穴(かいらうどうけつ)」。

當日(このひ)は常態(つね)に無(な)く大盛況(おほいにゝぎはひ)
門前如市(ひとあふれて、まちびとうまるゝほど)」。
かくて、迅速(そゝくさ)と辭別(いとまをごふ)。
"郭嘉(くわくか)"パイセン曰(いは)く、「兵貴神速(いくさはすばやきをたつとぶ)」

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F2.8
七月十七日(金)ゟ(より)商賣再開(ふたゝびのみせびらき)
但(たゞ)し、盆(ぼん)に載(の)る"套餐(きまりめし)"のみと云ふ形式(かたち)。
當日(このひ)は"白葡萄酒煮牛頬肉(うしほゝにくのしろぶだうしゆにこみ)"。
何(なん)でも「ニース風(ふう)」との説明(よし)。

"眞空管増幅器(しんくうくわんアンプ)"が壞(こは)れ、
食器(うつは)も無機質・簡素化(いろけなきものに)、、。
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"と"黃油(バタ)"を追加(くは)へ、
對價(あたひ)、一九百八十圓也(いつせんはつぴやくはちじふゑんなり)。

いかにも朱明(なつ)に相應(ふさは)しき"豌豆涼湯(ひやしのらまめじる)"。
鮮美(よきあぢ)!
"白葡萄酒煮牛頬肉(うしほゝにくのしろぶだうしゆにこみ)"、亦(また)、然(しかり)。
この"顏色(いろみ)"、蓋(けだ)し"蕃茄(あかなす)"由來(によるもの)歟(か)?

有左程(さるほど)に、
食後(めしのあと)の〆に"冰酪(あいすくりん)"無(な)きは、
眞言(まこと)、口寂(くちさび)しきもの。
落(おち)無(な)き落語(らくご)、續編(つゞき)無(な)き"Doctor-●(あれ)"。

取急(とりいそ)ぎ、告知(おんしらせ)まで。
※當面(しばらくは)、
 ・金、土、日の晝食のみ
 ・一種類のランチプレートのみ

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F5.6
     旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6
掉尾(いやはて)の粕壁(かすかべ)『Bien』。
閉店(みせじまひ)は、三月末(さんがつすゑ)→四月十日(しがつとほか)に、、。
同(おな)じ屋號(な)で
 神田神保町(かんだじんぼうちやう)へと移轉(うつるべし)」との情報(よし)。

「櫛齒(くしのは)の毀(こぼ)るゝが如(ごと)く」とは正(まさ)にこのこと。
僕(やつがれ)相知(なじみ)の肆(みせ)が、一軒(ひとつ)、また一軒(ひとつ)。
「またにたま」。
"また"に一箇(ひとつ)は爆笑問題田中(このおかた)。

"また"に两箇(ふたつ)の●●滿堂莫之能守(▲んぎ▲▲まんだうよくまもるなし)。
"また"に一杯(いつぱい)、信樂燒(しがらきやき)。
「一杯一杯復一杯(いつぱいゝつぱいまたいつぱい)©李白ぱいせん」
玻瓈(ビイドロ)の 器(うつは)に一杯(いつぱい) "赤葡萄酒(えびかづらのさけ)"。

、、と云ふ次第(わけ)にて、
"香腸(サルシッチャ)"+"赤葡萄酒(えびかづらのさけ)"+"冰酪(あいすくりん)"、
〆に"意太利咖啡(エスプレッソ)"。
對價(あたひ)、三千八十圓也(さんぜんはちじふゑんなり)。

主菜(しゆさい)の一皿(ひとさら)"香腸(サルシッチャ)":
今更(いまさら)言(い)ふも憚(はゞか)るが、
それにしちャ、滿更(まんざら)でもなき味(あぢはひ)。
舌鼓(したつゞみ)からの腹鼓(はらつゞみ)、婆娑羅(ばさら)で辭去(さらば)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
●●町(▲▲▲▲▲▲▲ちやう)移轉(いてん)の如何(いかん)を問(と)はで
三月一杯(さんがついつぱい)を以て廢業閉店(あきなひをやめてみせじまひ)」。
此度(こだみ)は"トゥールーズ風カスレ"に"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"、
對價(あたひ)、三千三百円也(さんぜんさんびやくゑんなり)。

通例(つね)のごとき琺瑯鍋(はふらうなべ)。
"カスレ"には種々(さまざま)あれど、「"トゥールーズ風(ふう)"」との由(こと)。
"緬羊肉(らしやめん)"、"油煮鳧(かものコンフィ)"、"五花肉(ぶたばらにく)"、
"香膓(ちやうづめ)"、"白腰豆(しろいんげんまめ)"、からなるξ(ぐざい)。

「"カスレ"專用(せんやう)」と云ふ"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)":
Cooper's』ほどではないにせよ、
高脚盞(ビイドロのうつは)には適度(ほどよ)き大(おほ)きさもあり、
能(よ)く優雅(みやび)なる風味(あぢかをり)を輔(たす)く

これを一口(ひとくち)飮(や)り、
上記(くだん)の四色(よいろ)の禽獸肉(とりけだものゝしゝ)を齧(かぢ)るに、
各(それぞれ)の個性(もちあぢ)を保持(たもち)つゝ、
"(あつもの)"としてこの"南蠻渡來酒(なんばんわたりりのさけ)"に調和(つりあふ)。

武井師傅(たけゐおやかた)の"(あつもの)"もさることながら、
心殘(こゝろのこ)りは拂郎西察(おふらんす)舶來(わたり)の"冰酪(あいすくりん)"。
こればかりは、何國(いづく)の如何(いか)なるものより華美(よきあぢ)ゆゑ、
今后(これよりのち)、難儀(こまる)、絡(から)まる、跽(かしこまる)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8



久方(ひさかた)ぶりの『Bien』。
移轉話(よそにうつるはなし)が二轉三轉(こちらがまろびて、あちらにかはり)
暫(しばらく)は當地(このち)にての商賣(あきなひ)
而(しか)して、捲土重來(きたるべきひにまきまへしをねらふ)。

此度(こだみ)は、
"焗烤牡蠣(かきグラタン)"+"桃色葡萄酒(もゝいろのえびかづらのさけ)"、
甜點(あまみ)として、"冰酪(あいすくりん)"、
對價(あたひ)、二千五百三十圓也(にせんごひやくさんじふゑんなり)。

"焗烤牡蠣(かきグラタン)"には二色(ふたいろ)の"乾酪(チーズ、かんらく)"。
その内(うち)の一種(ひとつ)が"靑黴乾酪(あをかびのかんらく)"。
扨(さて)、"鮮蠔(なまがき)"←→"靑黴乾酪(あをかびのかんらく)":
その相性(あひしやう)や如何(いか)に?

およそ、"鮮蠔(なまがき)"なるもの、
上質(よき)ものは、"檸檬(レモン)"・"ぽん醋(す)"で啖(くら)ふに限(かぎ)る。
"鮮蠔(なまがき)"に檸檬(レモン)、
新垣結衣(あらがきゆいチャン)×ピチレモンニコラ

澀柹(しぶがき)、駕籠舁(かごかき)、靴磨(くつみがき)。
駕籠舁(かごかき)に鞜(くつ)不要(いらず)。
箱根山(はこねやま)の雲助(くもすけ)草鞋履(わらぢばき)。
筑波山(つくばのやま)四六蝦蟇(しろくのがま)は四面鏡張(かゞみばり)。

己(おのれ)の醜姿(みにくきすがた)に垂(た)らす蝦蟇(がま)の膩汗(あぶらあせ)。
さすがに"蝦蟇膏(がまのあぶら)"は斷念(あきら)め、
"鮮蠔(なまがき)"の次點(つぎ)に"油炸鮮蠔(かきのあぶらあげ)"、
"法式焗菜(グラタン)"はその下(した)、と云ふのが卑見(それがしがみかた)。

"法式焗烤(グラタン)"に用(つか)ふ"乾酪(かんらく)"としては、
沒個性(くせのなき)ものが適當(よ)く
"靑黴乾酪(あをかびのかんらく)"の匂(にほひ)は、
"鮮蠔(なまがき)"の"それ"と衝突(ぶつかりあ)ひて不融合(とけあふことなし)

宛然(あたかも)、
虎(とら)に草(くさ)、象(ざう)に雞(にはとり)を給餌(あたふる)がごとし。
やはり、虎(とら)には雞(にはとり)、象(ざう)には草(くさ)が適合(よい)。
"鮮蠔(なまがき)"の配搭調劑(とりあはせ・あぢつけ)は"葷(なまぐさ)"なるべからず

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
新規事業(あらたなるあきなひ)の状況(いま)を薀(たづ)ねんと『Bien』に、、。
「"K澄S河(けいすみえすかは)"へは來年(きたるとし)。」
「なれど、正式契約(はんをつく)には未到達(いまだいたらず)。」
との説明(はなし)。

此度(こだみ)は、"農夫雞(プーレ・ペイザンヌ、≒にはとりにくのゐなかふう)"。
"甘味(デセール)"として"桃雪葩(もゝのソルベ)"を選擇(えらむ)。
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"を加(くは)へ、
對價(あたひ)、二千一百六十圓也(にせんいつぴやくろくじふゑんなり)。

"農夫雞(プーレ・ペイザンヌ、≒にはとりにくのゐなかふう)"には、
"烤雞肉(あぶりたるにはとりにく)"に、"瓜哇芋(じやがたらいも)"のほか、
椎蕈(しひたけ)、洋蔥(たまねぎ)、煙肉(ベイコン)、胡蘿蔔(せりにんじん)、
山毛欅濕地茸(ぶなしめぢ)、と、多士濟々(いろとりどり)

(とり)も種々雜多(とりどり)、自由選擇(よりどりみどり)。
似鳥(にとり)、服部(はつとり)、本名(な)は染谷(そめや)。
目脂(めやに)、松脂(まつやに)、三流大學(すべりどめ)。
四脚(よつあし)を、嫌(きら)ふ關取(せきとり)二本脚(にほんあし)。

雞皮(とりかは)は"脆皮燒肉(あれ)"の若(ごと)く、
嫩(やはらか)き雞肉(み)は乙女(をとめ)の耳朶(みゝたぶ)を髣髴(おもは)す。
蔬菜(あをもの)、蕈菇(きのこ)の等類(たぐひ)は、
燉(にこま)れて口味(あぢ)が滲(し)み、實(げ)に優(やさ)しき味(あぢはひ)

"桃雪葩(もゝのソルベ)"は初(はじめて)。
やはり、"芒果雪葩(まんごソルベ)"か"ヴァニラ冰酪(あいすくりん)"が吉(よい)。
"紅茶(こうちや)"はと吟味(み)るに、
茶葉(は)から推定(し)て、"大吉嶺茶(ダージリン)"とは異(こと)なるもの歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
二度三度(ふたゝびみたび)と臨時休業(ときならぬやすみ)に遭遇(あ)ひ、
この日(ひ)、久方(ひさかた)ぶりの兒(こ)"蒲池(かまち)"に"はまち"。
菜單(しながき)に"わらさ"もあれど、
何(なに)を喰(く)ふかと、沈吟(しあん)しどころ、此處(こゝ)『Bien』。

「茲(こゝ)は車渠(ほたて)の兒(こ)にすべし!」とて、
"小車渠(ちいさなほたてがひ)と蔬菜(あをもの)ゝ蕃茄烹(あかなすじたて)"に、
"白葡萄酒(しろきえびかづらのさけ)"を加(くは)へ、
對價(あたひ)、一千八百九十圓也(いつせんはつぴやくきふじふゑんなり)。

赤色(あかきいろ)の琺瑯鍋(はふらうなべ)には、
"小車渠(ちいさなほたてがひ)"のほか、
"胡蘿蔔(せりにんじん)"、"蘿蔔(おほね)"、"西蘭花(はなめやさい)"、など。
その口味(あぢはひ)、生平(つね)に無所相違(つゆことなるところなし)

愈々(いよいよ)、翌月(あくるつき)には閉店(みせをしめ)
花(はな)の東都(おえど)の根津(ねづ)、or、門前仲町(もんなか)に、、。
おめおめ當地(このち)に囘歸(もどる)まじ!」との決意(はら)。
あと一~二度(ひとたび、ないし、ふたゝび)訪問(あしをはこぶ)ことになる歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
此度(こだみ)は、
"紅酒燉牛肉ブッフ・ブルギニオン、うしにくあかきえびかづらのさけにこみ)"。
法國(おふらんす)ブルゴーニュ名菜(なだがきめし)なるは勿論(いふもさらなり)。
肉(にく)の部位(ぶい)は風習(ならひ)の(ほゝ)。

"薔薇(むはら)"歟(か)?、"糖酒葡萄乾(さけづけのほしえびかづら)"歟(か)?
冰酪(あいすくりん)として"糖酒葡萄乾(ラム・レザン)"を選擇(えらむ)み、
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"を加(くは)へ、
對價(あたひ)、三千四百五十六圓也(さんぜんしひやくごじふろくゑんなり)。

"糖酒葡萄乾(ラム・レザン)"とは、
葡萄乾(ほしえびかづら)を廢糖酒(さたうきびしぼりかすざけ)に漬(つ)け、
これを冰酪(あいすくりん)として製(こしら)へたるもの。
珍(めづら)しき白葡萄(しろきえびかづら)。

劈頭(いやさき)に"紅酒燉牛肉(ブッフ・ブルギニオン)":
不硬(かたからず)
さりとて、徒(いたづら)に嫩(やはらかき)に走(はし)ることなき火候(ひいれ)。
醢醯(しほけとすみ)亦(また)適切(ほどよし)。

金屬洋食器(かとらり)は法蘭西(おふらんす)"Christofle"牌(じるし)。
叉子(にくさし)に抑(おさ)へ、餐刀(めしがたな)以て截(き)り、
赤葡萄酒(あかきえびかづらざけ)の醬汁(たれ)は湯匙(ちりれんげ)に拯(すく)ふ。
佳味(よきあぢ)、佳味(よきあぢ)!

"糖酒葡萄乾(ラム・レザン)"の"冰酪(あいすくりん)"なるもの、
當家(こちら)では初(はじめて)。
襃(ほ)めて、搦手(からめて)、×惡口雜言〇美辭麗句(ことば)責(ぜ)め。
責(せめ)て怡(よろこ)ぶ薩德侯爵(さどこうしやく)。

〽荒海(あらうみ)や、佐渡(さど)に飛翔(とびか)ふ朱鷺(とき)の聲(こゑ)。
〽あら巧(うま)や、薩德(さど)の欣喜雀躍(よろこ)ぶ(むち)の音(おと)。
、、と云ふは眞赤(まつか)な虚文(うそ)・戲(たはふれ) にて、
〽あら旨(うま)や、師傅(おやかた)烹飪(つく)る(なべ)の味(あぢ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
古稀(こき)過(す)ぎて、なほ、煩惱(なやみ)多(おほ)き老骨(わがみ)
此度(こだみ)は、"咖哩飯(かりィめし)"を選擇(えらむ)ことに、、。
別料金(おひぜに)して、"冰酪(あいすくりん)"を二種(ふたいろ)にして貰(もら)ひ、
對價(あたひ)、一千二百九十六圓也(いつせんにひやくきふじふろくゑんなり)。

最初(いやさき)に、
盌(まり)の咖哩(かりィ)を米飯(こめのいひ)に#BCMKR! ©ドクシマぱいせん
と、忽地(たちまち)、咖哩飯(かりィめし)へと變貌(かはる)ぞめでたし! 
徐(おもぶる)に匕(さじ)以(も)て拯之(これをすく)ひ、一口(ひとくち)。

平生(つね)に無處相違(ことなるところなし)
落膽(きおち)するでもなく、感歎(ためいきもらす)譯(わけ)でもなく、、。
武井師傅(たけゐおやかた)、
やはり"咖哩(かりィ)"より"煮込(にこみ)"が得意(えて)歟(か)?

冰酪(あいすくりん)二種(ふたいろ)は、
"ヴァニラ冰酪(あいすくりん)"に"芒果雪葩(まんごそるべ)"。
これも亦(また)、平生(つね)に無處相違(つゆとたがふところなし)
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)、アローカナ

假名(かな)の濫觴(はじまり)は眞名(まな)=漢字(もろこしのもじ)。
漢字(もろこしのもじ)にて記(しる)されたる"萬葉假名(まんゑふがな)"。
「""んやふが""」→「まな」 ※許譌(うそ) 、虚文(うそ) 、大虚談(おほうそ)、
一匹(いつぴき)欲(ほ)しいな小爪獺(こつめかはうそ)。

葡萄酒玻璃盞(えびかづらのさけをいるゝびいどろのうつは):
その内容(なかみ)は冷水(つめたきみづ)。
玻璃(びいどろ)の表面(おもて)に水滴(しづく)が附着(つ)き、
水温(みずぬる)み、軈(やが)て、大(おほ)きくなりゆく容(さま)、「いとをかし」。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
"野豬(くさゐなぎ)":
當家(こちら)で野禽獸(のにすむとりけだもの)とは稀有(まれ)な事象(こと)。
周知(あまねくしら)るゝごとく、
"ゐのしゝ"とは「"豬()"の"肉(しゝ)"」にて、""とはその鳴聲(なきごゑ)と云ふ。

大和言葉(やまとことば)には一音(ひとつのおと)多(おほ)し。
例示(ためしにあぐる)なら、""、""、"、""、"、"海鼠"は孰(いづれ)も""。
愚老(やつがれ)が淺學(さるぢゑ)では、その理(ことわり)不詳(つまびらかならず)
""も""も、ともに""と發音(くちよりおとにしていだす)。

"表記法Notation、かきしるしかた)":
天竺(てんじく)發明(あみいだせ)し"位取記數法(くらゐどりきすうはう)"、
"洋式算術記號(やうしきさんじゆつきがう)"、そして、"漢字(もろこしもじ)"。
悉(ことごと)く學問進歩(ちゑとまなびのあゆみ)に不可缺(かくべからざるもの)

そも、諸學(もろもろのちゑ)、萬(よろづ)食物(くちにするもの)、
夏華(もろこし)の恩惠(めぐみ)に無關係(かゝはらざる)は稀(まれ)
無震旦(もろこしなくして)、無東瀛(ひのもとなし)」。
就中(わきても)漢字(かんじ)は「その象徴(しるし)」とでも云ふべき存在(もの)。

"(Wi)"の儘(まゝ)でも、
その塲(ば)の氣配(けはひ)・前後(うしろとまえ)の脈歴(つながり)から、
能避免混亂(よく”まぎらはしさ”をさけう)るとも、
漢字(もろこしもじ)を活用(つか)ひ""と""を辯別(わ)くるに最善(しくはなし)。

一音(おとひとつ)の大和言葉(ひのもとのことば)そのものも、
"野豬()"→"くさゐなぎ"、"ゐのしゝ"、"ぼたん"、"やまくぢら"、"くすり"、
"鹿()"→"しか"、"もみぢ"、
"蔥()"→"ひともじ"、"ねぶか"、"ねぎ"、と變化(かはり)しも納得(うべなるかな)。

ともあれ、野豬肉(ゐのしゝ)なるもの、
本朝(わがくに)では往古(いにしへ)より好(この)まれ
時(とき)に、"牡丹(ぼたん)"、"山鯨(やまくぢら)"、"(くすり)"と稱(とな)へ、
大賞味之(おほいにこれをあぢは)ふが風習(ならひ)。

かくて、菜單(しながき)より、
"燉橘野豬蔬菜("たちばな"はみてそだちし"くさゐなぎ"と"あをもの"ゝにこみ)"に、
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"を合(あ)はせ、
對價(あたひ)、三千二十四圓也(さんぜんにじふしゑんなり)。

愚按(やつがれおもふに)、
野禽獸(のにすむとりけだもの)啖(くら)ふには肉叢(しゝむら)が最善(よい)
如何(いかに)せん、この大(おほ)きさでは、
野豬(くさゐなぎ)の特徴(もちあぢ)を存分(こゝろゆくま)で難愉(たのしみがたし)

此度(こだみ)は"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"が上々(なかなか)。
「法國(おふらんす)Bourgogne(ブルゴーニュ)"Hautes Côtes de Nuits 2012"」
との説明(よし)。
やはり、「あまりの安酒(やすざけ)は忌避(さ)くべき」と云ふこと歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
此度(こだみ)は、
"豕五花肉オーベルニュ風(ぶたばらにくおべるにュふう)"。
"薔薇冰酪(むはらのアイスクリン)"を加(くは)へ、
對價(あたひ)、二千二百六十八圓也(にせんいじやくろくじふはちゑんなり)。

そも、奴僕(やつかれ)、
"オーベルニュ菜(めし)"なるもの、無所通(ひとつとしてしるところなし)
維基百科(あれ)に據(よ)ると、
「蔬菜(あをもの)では、甘藍(はぼたん)に小扁豆(ひらまめ)」との説明(よし)。

"鏡珠(レンズ、たま)"の名(な)の、
"小扁豆(レンズまめ、ひらまめ)"に由來(ちな)むは周知(あまねくしら)る。
莱茨(Leitz)・千代田光學(ちよだくわうがく)提携(ちからあはせ)の砌(みぎり)、
歡迎宴(もてなしのうたげ)に"小扁豆羹(ひらまめのあつもの)"との逸話(はなし)も。

かの【創世記(さうせいき)】二十五章(にじふごしやう)に、

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茲(こゝ)にヤコブ(あつもの)を煮(にた)り。
時(とき)にエサウ、野(の)より來(き)たりて憊(つか)れ居(を)り。
エサウ、ヤコブにむかひ、
「我(われ)憊(つか)れたれば、請(こ)ふ:
 其(その)紅羹(あかきもの)
 其處(そこ)にある紅羹(あかきもの)を我(われ)にのませよ!

.........中畧(なかをはぶく).........

彼(かれ、=エサウ)すなはち誓(ちか)ひて、
其(その)家督(かとく)の權(けん)をヤコブに鬻(う)りぬ

是(こゝ)に於(お)いてヤコブ、
麪麭(パン)と扁豆(あぢまめ)の(あつもの)とをエサウに與(あた)へければ、
食(く)ひ、且(か)つ飮(の)みて、起(た)ちて去(さ)れり
斯(か)くエサウ、家督(かとく)の權(けん)を藐視(かろん)じたり
========================================

つまり、
耶蘇教(やそのをしへ)に歸依(すがりてふしをが)む南蠻紅毛(あのあたり)では、
「"扁豆(ひらまめ)"は豆(まめ)の一(ひと)つにあらず」、と云ふこと。
唐山(もろこし)に於(お)ける"(まめ)"のごとき存在(もの)歟(か)?

この日(ひ)は珍(めづら)しき"安南靑胡椒(あんなんあをこせう)"も、、。
本朝(わがくに)"實山椒(なるのはじかみ)"のごとき外觀(みため)。
漢土(もろこし)にも早(はや)くより傳來(つたは)りしと推測(おぼし)く、
本草綱目】卅二卷には、(32/69)

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■"胡椒(こせう)":

 "恭"曰:"胡椒"生"西戎"、形如"鼠李子(くろうめもどきのみ)"、調食用之味、甚辛辣
 "微"曰:按、●成式西陽雜俎云「"胡椒"出"摩伽陁國"、呼爲"●履支"、、云々」

 ・(み):
   <氣味>:辛大、温、無毒。
   <主治>:下氣温中、去痰、除臟腑中風冷。
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常態(つね)のことながら、火候(ひいれ)は完璧(ひのうちどころなし)
黑胡椒(くろこせう)に、
上述(くだん)の"安南靑胡椒(あんなんあをこせう)"も加(くは)ゝり、
風韻(かをり)佳(よ)く適切(ほどよ)き辛辣(から)み

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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
臣僕(やつかれ)、
法國菜(おふらんすめし)は愚昧無智(いとくら)く、
意大利菜(いためし)に一竅不通(ひとつとしてあかるきものなき)こと、
宛然(あたかも)、五里霧中(ふかきゝりのなかをさまよひあるく)がごとし。

葡萄酒(えびかづらのさけ)また、冥頑不靈(あまりにうと)く、
只顧(ひたすら)、東道(あるじ)の提供(いだ)す掃愁帚(もの)を頂(いたゞ)くのみ
かくて、"風乾豕面頰肉(グアンチャーレ)"を摘(つ)まみつゝ、
高脚盞(ぐらす)の白葡萄酒(いろしろきえびかづらのさけ)を呷(あふ)る。

その(あぶら)の美味(よきあぢはひ)、
かの、黑熊(つきのわぐま)・(あなぐま)に匹敵(ならぶ)ほど。
以西巴爾亞(イスハニヤ)の誇(ほこ)る橡果豕(どんぐりぶた)の火腿(からん)、
"ハモン・デ・ベジョータ・イベリコ"をも髣髴(おもはす)。

"カスレ"とは、
禽獸肉(とりけだものゝにく)と"白腰豆(しろいんげんまめ)"の燉(にこみ)。
"白腰豆(しろいんげんまめ)"は米利堅大陸(メリケンのおほくが)渡來(わたり)にて、
"白藊豆(しろふじまめ)"とは異(こと)なる。 ←※"維基百科(あれ)"の受賣り

禽獸肉(とりけだものゝにく)への火候(ひいれ)は完璧(ひのうちどころなし)。
さりながら、
白腰豆(しろいんげんまめ)は、これこそ正宗(まことのあるべきすがた)ならめど、
やはり、齒觝觸(はあたり)留(のこ)すほどが嗜好(このみ)

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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
紅葡萄酒(さけ)、LEVONI社(レボーニしや)シャルキュトリー二種(ふたくさ)、
葡萄酒燉五花肉(ぶたばらのさかに)、
法國(おふらんす)甜瓜雪葩(めろんそるべ)、煎茶(せんちや)。
對價(あたひ)、三千廿四圓也(さんぜんにじふよゑんなり)。

膩(あぶら)の辛(つら)き愚老(おひぼれ)なれど、
この義大利産(イタリ)シャルキュトリー絶品(おどろくほどくちにあふ)。
これに駢(なら)ぶは、熊(くま)・貛(あなぐま)の膩(あぶら)くらゐ。
高脚盞掃愁帚(びいどろざけ)にて慢慢地(ゆるり)堪能之(これをあぢはふ)

紅葡萄酒(ぶだうのさけ)以て燉(ゆるりとに)こみたる五花肉(ぶたばら):
鰮醢(ひしこのひしほ)も加(くは)ゝり、
實言(まこと)、複雜玄妙(おくゆきぶか)き味(あぢはひ)
〆(しめ)は法國産(おふらんすの)甜瓜雪葩(めろんそるべ)。

當地(こちら)での商賣(あきなひ)は今年(ことし)の龝(あき)まで
東都(えど)に移轉(うつる)との説明(よし)。
寂(さび)しくもあり、愉(たの)しみでもあり、、。
愚按(やつがれおもふに)、やはり、粕壁(かすかべ)が似合(にあ)ふ。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
此度(こだみ)は、
仔羊肉(こひつぢにく)の"火上鍋(ポトフ)"。
西班牙(イスパニア)の"紅葡萄酒(さけ)"と合(あ)はせ、
對價(あたひ)、二千二百六十八圓也(にせんにひやくろくじづはちゑんなり)。

完璧(ひのうちどころな)き火候(ひいれ)
近會(ちかごろ)の小賢(こざか)しき器械(うちもの)に頼(たよ)らで
經驗(けいけん)を活(い)かし、智慧(ちゑ)を働(はたら)かす。
適度(ほどよ)き齒觝觸(はごたへ)と馨(かをり)を留(とゞ)む。

"火上鍋(ポトフ)"の醋(す)は、
紅葡萄酒(さけ)に競(きそ)はすがごとき"白葡萄酒醋(しろぶだうのす)"。
高脚杯(グラス)から杯墊(コースタ)に至(いた)るまで、
寸毫(をさをさ)無怠(おこたりなし)。

"ヴァニラ冰淇淋(あいすくりん)"の味(あぢはひ)、
至高・最上(このうへなきもの)なるは勿論(いふもさらなり) 。
尋常(つね)のごとく、四表八表話(よもやまばなし)に花(はな)が笑(さ)き、
辭別(いとまをこふ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
"醃豬頚肉(ぶたほゝにくしほづけ)":
「意大利(イタリ)LEVONI社(レボーニしや)"グアンチャーレ"」との説明(よし)。
纔(わづ)か廿日未滿(はつかたらず)と謂(い)ふ熟成期間(ねかし・うらし)ゆゑ、
その顏色(いろ)甚(はなは)だ淡(あは)き櫻色(さくらゐろ)。

徐(おもぶる)に一噛(ひとか)みするや、
膩(あぶら)由來(よりきたる)と推測(おぼし)き鮮(うまみ)
臼齒(おくば)より湧出(わきい)で、口中(くちになか)へと浮騰(ほとばし)る
"シャルキュトリ"なれど、香膓(ソーセージ)とも火腿(ハム)とも異質(ことなる)。

その超絶美味(あまりのうまさ)に絶句(ことばをうし)なひ
霎時(しばし)陶然(ゑひしれ)膽魂(きもたましひ)を奪(うば)ゝる
巷(ちまた)の肥肉愛好者(アブラー©Motsu大せんせ、あぶらずき)にして、
能(よ)くこれに耐(た)へ得(う)る者(もの)、一人(ひとり)としてなかるべし

赤葡萄酒(ぶだうざけ)は、昨年(こぞ)新酒(あらたにしこみたるさけ)。
釀造家(つくりて)は新井順子(あらゐじゆんこ)女史(ぢよし)」とのこと。
馨(かをり)を聞(き)、光(ひかり)に(かざ)して檢(あらた)むるも、
その精麁巧拙(よしあし)、不詳(つまびらかならず)

香膓(ソーセ-ジ)には馬達加斯加産黑胡椒(マダガスカルのくろこせう)。
芳醇馥郁(かをりゆた)かにして、香膓(これ)に調和(よくあふ)
Laguiole牌(じるし)肉餐刀(にくナイフ)以て香膓(ソーセ-ジ)を切斷(き)り、
その斷面(きりくち)を眺(なが)めて北叟笑(ほくそゑ)むほかなし。

半點(いさゝか)鹵味(しほけ)强(つよ)く、
前述(くだん)の赤葡萄酒(さけ)にてこれを漱(くちすゝ)ぎつゝ、
宍(しゝむら)のごとき香膓(ソーセ-ジ)を貪(むさぼ)り啖(くら)ふ。
蔬菜(あをもの)への火候(ひいれ)は强(つよ)め

さて、その次(つぎ)に控(ひか)へしが、
法國(おフランス)鹽焦糖冰酪(しほカラメルのアイスクリン):
鹽焦糖(しほカラメル)は大好物(おほいにこのむもの)なれど、
やはり、香莢蘭冰酪(ヴァニラ)が贏(まさ)る。

掉尾(いやはて)に、
柳櫻園茶舖(りうあうゑんちやほ)"青焙茶(あをはうじちうや)":
茶葉(ちやば)には慥(たしか)に青味(あをみ)を留(と)ゞむ。
柳櫻園茶舖(こゝ)は京師(みやこ)の老舖(しにせ)」との解説(はなし)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F2.8
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
アルザス=ロレーヌ(=エルザス-ロートリンゲン):
神聖羅馬帝國(ひじりなるロマみかどのくに)以來(よりこのかた)、
時(とき)に德國(ドイツ)、時(とき)に法國(フランス)と、
相互(たがひ)に奪合(うばひあひ)、現今(いま)は法國領(フランスのなはゞり)

言語(ことば)や(めし)も、德國(ドイツ)に近(ちか)きものと云ふ。
かの"キッシュ・ロレーヌ"はロレーヌ(=ロートリンゲン)、
"Baeckeoffe(ベッコフ、にくじやが)"はアルザス(=エルザス)の菜(くひもの)。
この日(ひ)はその"Baeckeoffe(ベッコフ、アルザスにくじやが)"。

武井師傅(たけゐおやかた)、
嘗(かつ)て當地(かのち)の葡萄酒釀造所(さかぐら)にて餐(くら)ひし砌(みぎり)、
あまりの旨(うま)さに感動(こゝろうごかさ)れ、自作(みづからつく)ることに、、。
アルザス(=エルザス)の白葡萄酒(ぢざけ)以て燉(にこ)むが風習(ならひ)」

元來(もとより)、白葡萄酒(アルザスのぢざけ)ばかり用(つか)ふところ、
酒(さけ)を控(ひか)へ、
蔬菜屑溏油(べジブロス、=あをものくずのだし)を活用(いかす)。
肉(しゝ)は、牛豚羊(うしぶたひつぢ)、三獸(みくさのけだもの)。

天火(てんぴ)に烤(あぶりや)きたる後(のち)、
各々(おのおの)肉(しゝ)の性質(たち)に遵(したが)ひ燉(ゆるりにこ)む
あるものは長時間(ながく)、またあるものは短時間(みじかく)、、。
豬(ぶた)は墺太利(オーストリ)、他(ほか)は濠太剌利亞(オーストラリア)。

ξ(ぐざい)は、
三獸肉(みくさのけだものにく)に加(くは)へ、
馬鈴薯(じやがたら)、胡蘿蔔(せりにんじん)、洋蔥(たまねぎ)。
肉(しゝ)嫩(やはらか)く、蔬菜(あをもの)も適切(ほどよ)き火候(ひいれ)

この日(ひ)は掃愁帚(さけ)もアルザス(=エルザス)の白葡萄酒(しろ)、
"MARCEL-DEISS(マルセル・ダイス)Pinot d'Alsace(ピノ・ダルサス)2012"。
老生(それがし)、稀有(まれにみ)る不知酒(さけしらず)なれど、
愚按(おもふに)、「端麗辛口(たんれいからくち)」の類(たぐひ)なるべし。

たつた今(いま)!
と、息(いき)せき切(き)りたる"奶黃布甸(カスタード・プディング)":
温(あたゝ)かく、「甜(あま)き茶碗蒸(ちやわんむし)」と云ふ風情(おもむき)。
(さじ)で掬(すく)ふや、出現(あらはれいで)し焦糖(カラメル・ソース)。

「今(いま)は無(な)き『マキシム・ド・パリ』の廚藝(わざ)」
とのよし。
ストロバヤ』の"奶黃布甸(カスタード・プディング)"と比較(くら)べ、
半點(いさゝか)嫩(やはらか)

"薔薇果醬(ばらコンフィチュール)"添(ぞ)へ"薔薇冰淇淋(ばらアイスクリン)":
實言(まこと)、美味也(よきあぢなり)!
この"薔薇果醬(コンフィチュール)"、『ストロバヤ』とは異(こと)なる顏色(いろみ)。
風味(あぢとかをり)は無所大差(おほきくことなるところなし)。

金屬洋食器(カトラリ)は過半(あらかた)"Christofle牌(クリストフルじるし)"。
銀鍍金(しろかねのときん)。
"Baeckeoffe(アルザスのにくじやが)"、"奶黃布甸(カスタード・プディング)"から、
沙糖壺(さたうつぼ)まで、都(すべ)て"LeCreuset牌(ルクルゼじるし)"。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
此度(こだみ)は、
"茄子(なす)と(きのこ)の蕃茄醬(サルサ・ポモドーロ)"。
劈頭(いやさき)に西班牙(イスパニア)の紅葡萄酒(さけ)を貰(もら)ひ、
高脚杯(グラス)を呷(あふ)る。

ほどなくして前述(くだん)の(しな)。
"Christofle"の(さじ)にて掬(すく)ひ、一口(ひとくち)。
旨味(うまみ)炸裂(はじけちり)、口中(くちのなか)へと浮騰(ほとばし)る
無味精(あれぬき)でこれほどの鮮(うまみ)...........!」

と、絶句(ことばをうしなふ)こと霎時(しばし)。
ξ(ぐざい)は、茄子(なす)、山毛欅占地(ぶなしめぢ)、牛骨邊肉(うしのあら)。
これに、乾酪(ちいず)、蕃茄(とまと)が加(くは)ゝる。
それらが混然一體(ひとつにまじはり)、超絶美味(このうへなきあぢはひ)に、、。

陳腐(ありきたり)ながら、
イノシン酸(さん)+グルタミン酸(さん)+グアニル酸(さん)、
冨士山(ふじさん)+御釋迦(おにい)さん+御地藏(おぢざう)さん、
相乘效果(あひたすけあひてのすごわざ)!

掉尾(いやはて)は、當家(こちら)のヴァニラ冰酪(あいすくりん):
實(げ)に、前日(まへのひ)の"それ"とは雲泥之差(くもとつちほどのたがひ)。
芝蔴鹽飯(ごましほめし)かと疑(うたが)はれ、
南國(みなみのくに)の仙人掌果(サボテンくわ)と錯覺(みまがふ)ばかり。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
古來(いにしへよりこのかた)、
大倭豐秋津洲(おほやまとゝよあきつしま)では、
(うを)は、(み)のみならず(かは)・(かぶと)をも珍重(おもん)じ、
尾頭附(をかしらつき)を至高(このうへなきもの)とす。

愚按(やつがれおもふに)、
およそ、(うを)・禽獸(とりけだもの)なるもの、
その骨皮(ほねかは)、内臟(はらわた)の旨(うま)さは精肉(み)をも凌駕(しのぐ)
とは云へ、世(よ)には嫌之者(これをきらふもの)少(すく)なからず。

無豬皮(かはなき)東坡肉(とうばにく)は、
無聲(こゑなき)鈴蟲(すゞむし)に同等(ひとし)く、
内臟(はらわた)なき狹眞魚(さまうを)は、
無薫(かをりなき)伽羅(きやら)・沈香(ぢんかう)に異(こと)ならず。

懐石(くわいせき)、法國菜(ふらんすめし)など、
格式高(かくしきたか)き席(せき)では精肉(み)のみ供(いだ)すが風習(ならひ)。
内實(なかみ)を疎略(おろそ)かにし
外見(みため)を重視(おもん)ずる傾向(きらひ)なきにしもあらず

"豕内臟白葡萄酒煮(ぶたモツのしろワインに)":
法國菜(ふらんす)に無(な)く、内臟烹(モツに)の技藝(わざ)を薀(たづ)ね、
己(おの)が技倆(うで)を活(い)かしたるものと演述(い)ふ。
鮮(うまみ)に横溢(あふ)れ、臭(くさ)みなく、彩(いろどり)に雋(すぐ)る

掃愁帚(さけ)は師傅(おやかた)に一任(まか)せ、
"ヴァニラ冰酪(あいすくりん)"にて〆。
颳目(まなこけづ)るは、
黑芝蔴(くろごま)かと錯覺(みまが)ふほどのヴァニラ・ビンズ

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
颱風(のわけ)が去(さ)るや、頓(にはか)に猛暑(たけりくるふあつさ)。
最寄(もより)の停車塲(ていしやば)より急行(きふかう)に乘車(のりこ)むも、
「はてさて、車站(ステンショ)近傍(ちかく)で佳肆(よきみせ)は?」
と、霎時(しばし)尋思(おもひなやむ)。

冰酪(あいすくりん)、雪葩(そるべ)の類(たぐひ)も、、」
と意(こゝろ)が動(うご)き、またも『Bien』に、、。
これを「"河馬(●●)^(-1)"の一(ひと)つ憶(おぼ)え」と號(い)ふ。
嗚呼(あヽ)!Oh my "oppih"?!

劈頭(いやさき)に"甜瓜雪葩(めろんそるべ)"と決意(かたくこゝろをき)め、  
あとは、掃愁帚(さけ)に主菜(ひとさら)。
主菜(ひとさら)として"煎銀鮏(ぎんざけソテ)"を擇(えら)み、
あとは師傅(おやかた)に投身(みなげ)、一任(まるなげ)、雞天然塊金(チキンナゲ)。

かくて、擇(えら)ばれし玉薤(さけ)、西班牙産(いすぱにあ)"雪利酒(シェリー)"。
「勿驚(おどろくなか)れ、酒精無添加(あるてんなし)の"雪利酒(シェリー)"にて、
 葡萄(ぶだう)はかの"ペドロ・ヒメネス"にて厶(ござ)りまする。」
との説明(はなし)。

徐(おもぶる)に高脚杯(びいどろのうつは)を傾(かたむ)け一口(ひとくち)。
確實(たしか)に憶(おぼ)えのある風味(あぢかをり)。
ヘドロ(へどろひめ)、ネス湖(こ)にのたうち、
ヒロド姫(ひめ)、寝(ね)ずにOA(ほんばん)しどろもどろ。  ←虚談(うそ)

軈(やが)て"銀鮏(ぎんざけ)"の烹飪(てうり)も竟(をは)り、
"雪利酒(シェリー)"と合(あ)はせて堪能之(これをあぢはふ)。
(せり)は七草(なゝくさ)鍋(なべ)に好適(よし)。
(せり)で賑(にぎ)はふ朝(あさ)の魚河岸(うをがし)。

掉尾(いやはて)に法國産(おフランス)"甜瓜雪葩(めろんそるべ)":
その芳香(かをり)、懐(なつ)かしき"眞桑瓜(まくはうり)"にも似(に)て、
自(おの)づと、小人(それがし)が鼻竅(はな)を穿(うが)つ。
善哉(よき)、善哉(よき)!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
此度(こだみ)は、
"Rillauds angenius(アンジュのリヨー)"なる地方菜(ゐなかめし)。
豕(ゐのこ)五花肉(ばらにく)を油煮(コンフィ、あぶらに)とせし菜(ひとしな)。
食後(めしのあと)には薔薇雪葩(ばらのソルベ)と云ふ流(なが)れ。

玻璃盤(がらすざら)涼(すゞ)やかなる"Rillauds angenius(アンジュのリヨー)":
醋(す)は法國(おふらんす)紅葡萄醋(あかワインす)。
師傅(おやかた)、胸(むね)を張(は)りて曰(いへら)く、
晩餐(よる)は意大利香醋(バルサミコ)にて、、云々(うんぬん)」

その五花肉(ばらにく)を吟味(み)るに、至高(このうへな)き火候(ひかげん)。
平滑濕潤(したざはりのなめらかさとうるほひ)は、
流行(はやり)の低温烹飪(ていおんてうり)に酷似(よくに)る。
されど、焦糖化(カラメリゼ)され、絶妙無比(えもいはれ)ぬ齒觝觸(はあたり)

流(なが)さるゝを嫌(きら)ひ、傳統技法(ふるきやりかた)を墨守(まもる)るも、
その味(あぢはひ)は最新技法(あらたしきやりかた)に無遜色(ひけをとらぬ)
實(げ)に、「弘法(こうばふ)筆(ふで)を選(えら)ばず」。
光芒(くわうばう)技倆(うで)を擇(えら)みて廚(くりや)に射(さ)す。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
     :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
"ニース風(ふう)"、
と喚做(よびな)す"白葡萄酒(しろワイン)による燉牛頬肉(うしのほゝにくにこみ)"。
"紅葡萄酒(さけ)"、"麪麭(ぱん)"、"冰酪(あいすくりん)"、"(ちや)"、
あはせて、對價(あたひ)、二千五百九十二圓也(にせんごひやくきふじふにゑんなり)。

燉牛頬肉(うしのほゝにくにこみ)の(しほけ)は、
"アンチョビ鹽漬"、すなはち、腌鯷(しこいはしのしほづけ)。
かの古代羅馬(いにしへのロマ)の醢(ひしほ)魚露(ガルム)にも通底(つらなる)。
この魚露(うをびしほ)はポンペイの食譜(レシピ)より復元(ふくげん)せしもの。

"ナンプラ"、"ヌクマム"、"いしる"、"しよッつる"に似(に)たる風味(あぢかをり)。
これを「當たり前田のクラッカー」と稱(い)ふ。
この複雜玄妙(たへなる)味(あぢ)の深(ふか)みは、
偏(ひとへ)に、アンチョビ鹽漬(しこいはしのしほづけ)に起因(よる)。

網笠茸(あみがさだけ、モリーユ)にも、
吃驚(びつくり)、苦力(クリ)、九里(くり、≒36km)、陰蒂(くり)ッ、操(く)り。
此度(こだみ)は口(くち)にする機會(めぐりあはせ)なしと云へど、
その芳香(かぐはしきかをり)、鼻竅(はな)を穿(うが)ちて已(や)むことなし

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 smc 賓得(Pentax)A Macro 2.8/50 @F2.8
     :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
この日(ひ)は、盛夏(なつのさかり)を髣髴(おもは)す暑(あつ)さ。
されば、粕壁停車塲(かすかべステンショ)より至近(いとちか)き『Bien』。
最後(いやはて)の"法國芒果雪葩(おふらんすまんごそるべ)"を主軸(はしら)に、
"德國啤酒(どいつびいる)"、"咖哩飯(からみいりしるかけめし)"なる構成(くみたて)。

Bien』の"咖哩(かりい)"は二度目(にどめ)。
前囘(まへ)は米飯(うるちまひのひめいひ)がなく、麪麭(ぱん)のみ。
此度(こだみ)は米飯(うるちまひのひめいひ)ゆゑ、
"咖哩飯(からみいりしるかけめし)"と云ふ次第(わけ)。

德國(どいつ)"ケストリッツァ-牌(じるし)黑啤酒(シュバルツ・ビア)"。
高名(なだか)き英國(あんげりあ)"のギネス"よりも味覺(した)に馴染(なじ)む。
咽喉(のみど)を潤(うるほ)し、いざ、"咖哩飯(からみいりしるかけめし)":
所謂(いはゆる)"碎肉咖哩(キーマカリィ)"の類(たぐひ)。

とは云へ、
豐葦原瑞穗國式咖哩飯(とよあしはらみづほのくにのからみいりしるかけめし)。
徒(いたづら)に咖哩粉(かりィこ)ばかりが突出(きはだ)つ、
二昔前(ふたむかしまへ)一世風靡(もたはやされ)し「本塲咖哩(ほんばかりィ)」。

やはり、
洋蔥(たまねぎ)を徹頭徹尾(とことん)炒(いた)めねば
味(あぢ)に深(ふか)みは生(う)まれず
香辛料(かうしんれう)も咖哩粉(かりィこ)ばかりでは擴(ひろ)がりに缺(か)く

往古(いにしへ)の「本塲咖哩(ほんばかりィ)」と見做(みな)すが吉(なにより)。
妄想・夢想(むなしくおもひをはす)は、
東天竺摩訶陀國(ひがしてんじくまがたこく)王舎城(わうしやじやう)に、
拘薩羅國(こうさらこく)舎衞城(しやゑいじやう)祇園精舎(ぎをんしやうじや)。

陋屋(ぼろや)に蠢動(のたうち、うごめ)く下流老人卍(それがし)、
天竺參詣(てんじくまうで)は實現(かな)ふことのなき夢(ゆめ)のまた夢(ゆめ)。
月光(つきのひかり)に日光(ひのひかり)、
野州(しもつけのくに)は日光詣(につくわうまうで)が限度(せきのやま)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
久方(ひさかた)ぶりの『Bien』。
此度(こだみ)は、
"烤雞腿(とりもゝにくロティ)"に、"ペドロ・ヒメネス冰酪(あいすくりん)"、
掃愁帚(さけ)は"桃紅葡萄酒(ロゼ)"。

皮附(かはつき)の雞腿(にはとりもゝにく)を、
沙羅曼蛇(サラマンダ)に炮(あぶ)ること霎時(しばし)。
適度(ほどよ)く燒目(やきめ)が、つきは朧(おぼろ)に不二山(ふじのやま)。
痛(いた)き、炊飯(めしたき)、那智(なち)の瀧(たき)。

扨(さて)、これに取出(とりいだ)しましたるは、
かの名刀(なだかきかたな)"備前長船兼光(びぜんをさふねかねみつ)"、
と云ふは眞赤(まつか)な嘘(うそ)にて、
南蠻(なんばん)法國(フランス)渡來(わたり)の"ラギオール"。

刀一閃(かたながきらりとひかるや)、
雞腿肉(とりのしゝむら)は堪(たま)らず一刀兩斷(まッぷたつ)。
倩(つらつら)その斷面(きりくち)はと觀察(うかゞ)ふに、
雞油(あぶら)浮騰(ほとばし)りて華嚴(けごん)の瀧(たき)と化(な)る。

〆は、尋常(つね)のごとく、"ペドロ・ヒメネス冰酪(あいすくりん)"。
ヴァニラ荳(まめ)は綺羅(きら)星辰(ほし)のごとく、
その美味(このうへなきあぢはひ)は、
「かの醍醐(だいこ)もかくや?」、と錯覺(おも)はるゝほど。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4
前日(まへのひ)の紅葱頭醬(エシャロットびしほ)に心奪(こゝろうばゝ)れ、
紅葱頭(エシャロット)を用(つか)ふ法國菜(ふれんち)では如何(いかに)?」
と興味津々(おほいにこゝろそゝらる)。
加之(くはふるに)、異朝(もろこし)の龍徽赤霞珠葡萄酒(ぶだうざけ)も、、。

この日(ひ)は南亞墨利加(みなみあめりか)智利(チリ)の"紅葡萄酒(さけ)"。
昨日(きのふ)の"芒果布甸(まんご・ぷでいんぐ)"に、
今日(けふ)の"芒果雪葩(まんご・そるべ)"、
と云ふ競(きそひあひ)も、、。

(うを)」が土州(とさ)の"(かつを)"、
禽獸(とりけだもの)」が"香腸(ちやうづめ)と扁豆(ひらまめ)の羹(あつもの)"。
南蠻・紅毛國(あちら)では、
"扁豆(ひらまめ)"を殊(こと)の外(ほか)重視(おもんず)。

切支丹宗門(きりしたん)の經文(きやうもん)にも、

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茲(こゝ)に、ヤコブ、羹(あつもの)を煮(に)たり
時(とき)に、エサウ、㙒(の)より來(きた)りて憊(つか)れ居(を)り。

エサウ、ヤコブにむかひ、
「我(われ)憊(つか)れたれば、
 請(こ)ふ、其(その)紅羹(あかきあつもの)
 其處(そこ)にある紅羹(あかきあつもの)を我(われ)にのませよ!」
といふ。

是(これ)をもて彼(かれ)の名(な)は"エドム(紅)"と稱(となへ)らる。

ヤコブ言(いひ)けるは、
「今日(けふ)汝(なんじ)の家督(かとく)の權(けん)を我(われ)に鬻(う)れ!」

エサウいふ、
「我(われ)は死(しな)んとして居(を)る。
 此(この)家督(かとく)の權(けん)、
 我(われ)に何(なん)の益(えき)をなさんや?」

ヤコブまた言(いひ)けるは、
「今日(けふ)我(われ)に誓(ちか)へ!」
と。

彼(かれ)すなはち誓(ちかひ)て、
其(その)家督(かとく)の權(けん)をヤコブに鬻(うり)ぬ。

是(こゝ)に於(おい)て、
ヤコブ、パンと扁豆(ひらまめ)の羹(あつもの)とをエサウに與(あた)へければ、
食(たべ)且(かつ)飮(のみ)て起(おき)て去(され)り。

斯(かく)エサウ、家督(かとく)の權(けん)を藐視(かろん)じたり。
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と、あるがごとく、
"扁豆羹(ひらまめのあつもの)"は家督權(かとくけん)を讓(ゆづ)るほどのもの。
それほどの甘美(うま)さか否(いな)かはさて置(お)き、
滋味(いつくしみ)横溢(あふ)るゝ味(あぢはひ)

法國菜(ふれんち)では色附(いろづ)くほどに煎(い)ることなく
 小人(それがし)も、
 紅葱頭(エシャロット)を洋蔥(たまねぎ)で代用(かはりにもちゐ)るが常態(つね)」
とは、師傅(おやかた)が辯(はなし)。

葡萄酒(ぶだうざけ)の精麁(よしあし)は不詳(つまびらかなら)ねど、
癖(くせ)の强(つよ)きは"龍徽赤霞珠葡萄酒(こちら)"。
芒果(まんご)は當家(こちら)の"芒果雪葩(まんご・そるべ)"が贏(まさ)る。
生(なま)の完熟(よくうれ)たる芒果(まんご)に異(こと)ならず

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
劈頭(いやさき)に紅葡萄酒(さけ)を貰(もら)ひ、
"鴨ブレザオラ(かもぶれざおら)"、"鰤リエット(ぶりゝえつと)"、
掉尾(いやはて)に、"ペドロ・ヒメネスがけ冰酪(あいすくりん)"、"エスプレッソ"。
對價(あたひ)、大畧(およそ)三千五百圓也(さんぜんごひやくゑんなり)。

西洋土圭(せいやうどけい)にして一時間半(いちじかんはん)。
賓(まらうど)は小人(それがし)一人(ひとり)
一人(ひとり)、塵取(ちりとり)、借金取(しやくきんとり)。
單獨(ひとり)寛(くつろ)ぐは、ありがたくもあり、勿體(もつたひ)なくもあり、、。

そも"ブレザオラ"なるもの、元來(もとより)牛肉(うしにく)にて製(こしら)ふるもの。
さりながら、合鴨(あひがも)ゝ頗(すこぶ)る美味(よきあぢ)
熟成(ねかし・うらす)こと、大畧(およそ)廿日(はつか)
鮮(うまみ)口中(くち)に浮騰(ほとばし)り、鼻竅(はな)をも貫通(つらぬく)

この鴨肉(かもにく)、
酸塊(すぐり)、干柹(ほしがき)、蘋果(りんご)と調和(よくあふ)。
宛然(あたかも)、爲虎添翼(とらにつばさをそふる)がごとし。
"ペドロ・ヒメネスがけ冰酪(あいすくりん)"の芳味(あぢ)は勿論(いふもさらなり) 。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分
久方(ひさかた)ぶりの『Bien』。
菜譜(こんだて)に"ペドロ・ヒメネスがけ冰酪(あいすくりん)"の名(な)!
"獸肉(けだもの、ヴィヤンド)"には"トリップ・ア・ラ・モード"、
すなはち、燉蜂巢胃(はちのすにこみ)も、、。

當日(このひ)は想定外(おもひのほか)の盛況(にぎはひ)。
桌子(つくゑ)一脚(ひとつ)を殘(のこ)し、無席(あきなし)。
紅葡萄酒(さけ)を貰(もら)ひ、霎時(しばし)、碟(さら)を俟(まつ)ほどに、
琺瑯鐵鍋(はうらうなべ)到達(きたりぬ)。

鐵鍋(くろがねのなべ)には、牛蜂巢胃(はちのす)のほか、
香茹(しいたけ)、白占地(しろしめぢ)、胡蘿蔔(にんじん)、西蘭花(ブロッコリ)。
火候(ひいれ)・淡醎(しほけ)ともに絶妙(ひのうちどころな)く
臼齒(おくば)に噛締(かみし)むるや鮮(うまみ)口中(くち)に浮騰(ほとばし)る

"乾酪(フロマージュ)"に四色(よいろ)あり。
就中(わきても)"ブリア・サヴァラン"は、
小人(それがし)が嗜好(このみ)に寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし
これぞ口福(くちのしあはせ)!

"ペドロ・ヒメネスがけ冰酪(あいすくりん)":
胡椒(こせう)と見紛(みまが)ふばかりに、
多量(おほ)くのヴァニラ・ビーンズが悋嗇(をしげ)もなく用(つか)はれ、
その比類(くらぶるもの)なき美味(うまさ)たるや、勿論(いふもさらなり)。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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獸肉(けだもの、ヴィヤンド)】:
  "トリップ・ア・ラ・モード"

乾酪(フロマージュ)】:
  カステルマーニョ・アルペッジ
  ブリア・サヴァラン
  マロワール
  ブルー・デ・コース

菓子(くわし、デセール)】:
  ペドロ・ヒメネスがけ冰酪(あいすくりん)

(ちや、テ)】:
  緑茶(りよくちや)”朝日(あさひ)”
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
     :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-03撮影分

切支丹邪宗門(きりしたんばてれんのよこしまなるをしへ)の安息日(やすみのひ)。
盞(さかづき)を傾(かたむ)け、仔羊(こひつぢ)の羹(あつもの)を銜(ついば)む。
羊(ひつぢ)は死(し)ゝて(かは)を殘(のこ)し、
耶蘇(やそ)は斃(し)ゝて釘穴(くぎあな)を殘(のこ)す。

"燉小羊(こひつぢのにこみ)"は通常(つね)のごとく、
眼眶(まなこ)にも胃腑(いぶくろ)にも優(やさ)しき品(しな)。
麪麭(ぱん)は『コンテ・ジャポン』製(のもの)。
燉(にこみ)との相性(あいしやう)たるや絶妙(げに、たへなるものあり)。

法蘭西渡來(ふらんすわたり)のヴァニラ・冰酪(あいすくりん):
その外見(すがた)、
雪上(ゆきのうへ)に炭粉(すみのこ)でも撒布(まきちら)したかと疑(うたが)はれ、
その味(あぢはひ)は、「醍醐(だいご)もかくや」と想像(おもは)すほど。

(ちや)は洛(みやこ)"柳櫻園(りうあうゑん)"の"朝日(あさひ)"。
嫩(やはらか)なる澁(しぶみ)があり、鮮(うまみ)豐富(ゆたか)。
その馨(かをり)、初夏(なつのはじめ)の叢(くさむら)を髣髴(おもはす)。
舌(した)を洗(あら)ひ、汚(けが)れを流(なが)して辭別(いとまごひ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
この日(ひ)、
套餐(コース)の肉主菜(ヴィヤンド)として、
"豬五花肉(ぶたばらにく)と扁豆(あぢまめ)煮込(にこみ)オーベルニュ風(ふう)"、
を選擇(えらむ)。

およそ"扁豆(あぢまめ、=レンズまめ)"なるもの、
その眞價(まことのよさ)・眞味(まことのあぢ)を不知(しらず)
にもかゝはらず、菜單(しながき)に"扁豆(あぢまめ)"を發見(み)て、
注文(たの)まざる前例(ためし)なし。

その故(ゆゑ)如何(いかん)となれば、
僕(やつかれ)若(わか)かりし砌(みぎり)、
讀齧(よみかぢ)りし書籍(しよじやく)に、
エサウ弟(おと)ヤコブに家督讓(いへゆづ)りし故事(ふるきものがたり)あり。

舊約聖書(ふるきちぎりの、ひじりぶみ)創世記(さうせいき)に、
ヤコブ麪麭(ぱん)と扁豆羹(あぢまめのあつもの)とをエサウに與(あた)へければ
食(くひ)且(かつ)飮(のみ)て起(たち)て去(され)り
斯(かく)エサウ家督(かとく)の權(けん)を藐視(かろん)じたり。」 とある。

その後(のち)、小倉敏布(をぐらとしのぶ)が書籍(ほん)に、
"Ernst Leitz(エルンスト・ライツ)"・"千代田光學(ちよだくわうがく)"が、
合從連衡(きづなをむす)ぶ折(をり)の往事(いまはむかしのものがたり)があり、
益々(ますます)心(こゝろ)の隅(すみ)に蟠(わだかま)ることに、、、。

歡迎晩餐會(もてなしのうたげ)にて恭(うやうや)しく出(いだ)されしが、
"扁豆羹(あぢまめのあつもの)"。
"透鏡(レンズ)"の語源(ことばのみなもと)は"扁豆(あぢまめ、レンズまめ)"。
加旃(しかのみならず)、切支丹(きりしたん)には深甚(いとふか)き意(こゝろ)あり。

初(はじ)めて扁豆(あぢまめ)を口(くち)にせしは、それより後(のち)のこと。
この日(ひ)の"扁豆(あぢまめ)"も陳腐(とるにたるものなし)。
愚按(やつがれおもふに)、
およそ豆(まめ)なるもの、齒應(はごた)へを殘(のこ)すが肝要(かなめ)

近來(ちかごろ)、
獸肉(けだもの)への火候(ひいれ)は日進月歩(ひゞすゝみ)
法國菜(フレンチ)は勿論(いふまでもなく)、
拉麪店(らあめんや)の類(たぐひ)まで細心留意(こまやかにこゝろをくばる)。

菜蔬(あをもの)ゝ(いろどり)や火候(ひいれ)もまた、
配慮(きくばりさる)ゝこと多(おほ)し。
然(しか)るに、燉菜(にこみれうり)に多用(おほくもちゐら)るゝ豆類(まめ)は、
太古以來(いにしへよりこのかた)火候(ひいれ)に無頓着(こゝろくばりされず)

この日(ひ)、
"新姫(にいひめ)"と喚做(よびな)す柑橘類(たちばなのたぐひ)を知(し)る。
風味(あぢとかをり)は不詳(つまびらかならず)。
"麪麭(ぱん)"はコンテ・ジャポン製(のもの)。

因(ちなみ)に、この日の菜譜(こんだて)は、如下(つぎのとほり):

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 ・"牛舌(うしのした)白葡萄酒煮(しろぶだうしゆに)"
 ・"豬五花肉(ぶたばら)と扁豆(あぢまめ)燉(にこみ)"
 ・"甜瓜(めろん)の雪葩(そるべ)"
 ・"紅茶(こうちや)"
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4~F4

牛舌(うしゝた)の白葡萄酒煮(しろワインに)」
なる店頭(みせさき)の菜單(しながき)に眼眶(まなこ)釘附(くぎづけ)。
先祖代々(とほつおやより)、
舌(した)を驅使(あやつ)り、衆人(もろびと)欺(あざむ)くを活業(なりはひ)とす

と云ふは、眞赤(まッか)な許譌(うそいつはり)。
素面(しらふ)では、口籠(くちごも)り、支離滅裂(はなしちゞにみだ)れ、
掃愁帚(さけ)以て冷靜沈着(おちつ)かんとするも、
舌縺(したもつ)れて、呂律(ろれつ)も廻(まは)らぬが通例(つね)。

僕(やつかれ)、
洋食(やうしよく)で、最喜歡(もつともこのむ)は"燉牛舌(タンシチュ)"なれば、
件(くだん)の品(しな)に、"赤葡萄酒(さけ)"、"冰酪(あいす)"、を追加(くはふ)。
對價(あたひ)、二千四百八十四圓也(にせんよんひやくはちじふよゑんなり)。

皿(さら)は適温(ほどよ)く温(あたゝ)められ、
(いろどり)も見事(みごと)。
醢醯(あぢつけ)は、
鹽胡椒(しほこせう)に白葡萄酒(しろワイン)のほか粒芥子(つぶからし)。

ゆるり、これを堪能(あぢはふ)。
適度(ほどよ)き(さんみ)により、味(あぢ)がキリヽと締(し)まり
一(ひと)つとして不足(たらざるところ)なし。
實言(まこと)、「天晴(あつぱれ)」と賞賛(い)ふほか術(てだて)なし。

食後(めしのあと)の甘味(かんみ)は尋常(つね)のごとし。
"芒果雪葩(まんごそるべ)"に加(くは)へ、
"薔薇(ばら)の冰酪(あいすくりん)"も頂戴(いたゞく)。
何(いづ)れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
久々(ひさびさ)の『Bien』。
此度(こだみ)は、"前菜(さきづけ)"を拔(ぬ)き、
主菜・獸肉(ヴィヤンド)として、
"蕃茄燉蜂巢胃ハチノスあかなすにこみ、まァトリッパ)"を選擇(えらむ)。

"甜點(あまきもの)"は、"西番莲(パッションフルーツ)の雪葩(そるべ)"、
飮料(のみもの)が"冰咖啡(アイス・コーヒー)"。
"茶菓子(ちやぐわし)"は"コンテ・ジャポン製(こしらへ)のラスク"。
對價(あたひ)、二千圓餘(にせんゑんあまり)。

コンテ・ジャポン』老板(あるじ)とは親(した)しき仲(なか)と云ふ。
想像通(おもひどほ)りの"蕃茄燉蜂巢胃ハチノスあかなすにこみ)"。
愚按(やつがれおもふに)、
「まァトリッパ!」と賞賛(たゝ)へらるべき水準(たかみ)。

西番莲(パッションフルーツ)の味(あぢ)濃厚(こ)き雪葩(そるべ)には、
霎時(しばし)、辭(ことば)を失(うしな)ふ。
"(さんみ)"と"(あまみ)"に、仄(ほの)かなる"風韻(かをり)"、
競合(きそひあ)ひ、佐合(たすけあ)ひ、舌上(したのうへ)に躍動(をど)る

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
久方(ひさかた)ぶりの『Bien』。
「尤(いと)稀有(めづら)しき清湯(こんそめ)がござりまする。」
との辭(ことば)に釣(つ)られ、「晝飧(ひるめし)D(でえ)」、
すなはち、(しる)と菓子(くわし)をともに頂(いたゞ)くことに、、。

掃愁帚(さけ)は薔薇色葡萄酒(ろぜ)。
前菜(さきづけ)として"蘇格蘭(すことらんど)燻製鮭(いぶしざけ)"。
泥炭(でいたん)以(も)て燻(いぶ)したるものと云ふ。
上(うへ)には、法國産乾酪(ふらんすちいず)に、大徳寺納豆(だいとくじなつとう)。

"雞湯(コンソメ・ド・ヴォライユ、とりのすまし志゛る)"には、
雞胸肉(とりむねにく)と香味菜蔬(かをりのあをもの)を用(つか)ふ。
外觀(みため)・風味(あぢかをり)、
ともに、清(きよ)らかに澄(す)み、なかなかに佳味(よきあぢ)

"主菜(しゆさい)"は"(ヴィアンド)"。
二種(ふたくさ)あるうちより、
白葡萄酒(しろ)にて燉(にこ)みたる"牛頬肉(うしほゝにく)"を選擇(えらむ)。
牛頬肉(うしほゝにく)を炮(あぶ)りて燉(にこ)みたるもの」との説明(はなし)。

齒應(はごた)へ、(しほ)、滋味(おくぶかさ)、
何(いづ)れも適切(ほどよ)く
瞬(またゝ)く中(うち)に鐵鍋(くろがねのなべ)は空(から)となる。
師傅(おやかた)の面目躍如(めんもくやくじよ)

最後(いやはて)に、
油滴天目茶碗(ゆてきてんもくぢやわん)擬(もど)きに抹茶(ちや)を頂(いたゞ)く。
上質(よ)き茶(ちや)なるは疑(うyが)ふべくもあられど、
それを利(き)ゝ分(わ)くるほどの力量(ちから)なし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Macro Elmarit R 2.8/60 @F2.8~F4.5
此度(こだみ)は、以前(まへ)に啖(くら)ひしものゝ組合(くみあは)せ。
"コルシカ島(じま)豬肉(ぶたにく)テリーヌ"、
"豬内臟(ぶたもつ)白葡萄酒煮(しろワインに)"、
"法國産(フランスさん)冰酪(アイスクリン)、ペドロ・ヒメネス添(ぞ)へ"。

赤葡萄酒(さけ)は、
"エルザス(アルザス)"Eric Rominger(エリック・ロミンガ(ロマンジェ))。
"豬肉(ぶたにく)テリーヌ"、"冰酪(アイスクリン)"とも、
前例(まへ)に寸毫(つゆ)異(こと)なることなく、頗(すこぶ)る美味(よきあぢ)

小皿(こざら)は、近傍(ちかく)で入手(てにいれ)たと云ふ古伊万里(こいまり)。
東道(あるじ)武井師傅(たけゐおやかた)、
"Cristofle(クリストフル)"牌(じるし)の金屬洋食器(カトラリ)など、
骨董品(ふるだうぐ)を巧妙(たくみ)に用(つか)ひこなす

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Macro Elmarit R 2.8/60 @F2.8
      萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Super Angulon R 4/21 @F8
      萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Elmarit R 2.8/35 @F4
この日(ひ)の晝飧(ひるめし)は、
前菜(アントレ)として"香腸(ソーセージ)"、
肉(ヴィアンド)が"仔羊(こひつぢ)ナヴァラン"、
菓子(デセール)として"薔薇(ばら)冰酪(あいすくりん)"なる構成(くみたて)。

"仔羊(こひつぢ)ナヴァラン"のみ東道(あるじ)手製(てづからつくりしゝな)。
"香腸(ソーセージ)"には"Laguiole"牌(じるし)、
そのほかは"Cristofle"牌(じるし)の金屬洋食器(カトラリ)。
ともに法國舶來品(おふらんすわたりのもの)。

燉(にこ)む鍋(なべ)は法蘭西(おふらんす)"Le Creuset"、
片手鍋(かたてなべ)はと窺(うかゞ)ふに、
越後(ゑちご)燕(スワロシチ)宮嵜製作所製(みやざき)"Geo"牌(じるし)。
叮嚀(ねんごろ)に磨(みが)かれ、鏡(かゞみ)かと錯覺(みまがふ)。

"仔羊(こひつぢ)ナヴァラン"には、
風習(ならひ)の仔羊肉(こひつぢにく)と(かぶ)に加(くは)へ、
胡蘿蔔(にんじん)、蕃茄(とまと)、西蘭花(ぶろつこり)、 甘藍(きやべつ)、
香茹(しいたけ)、山毛欅占地(ぶなしめぢ)と云ふ陣容(かほぶれ)。

適度(ほどよ)く燉(にこ)まれ、調味(あぢつけ)も適切(よきほど)
煮汁(にじる)を餐匙(さじ)に掬(すく)ひ、
無作法(はしたなく)も、麪麭(ぱん)に吸(す)はせて堪能之(これをあぢはふ)。
善哉(よいかな)、善哉(よいかな)!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4  ※2016年10月撮影分
前囘(まへに)、
「次囘(つぎは)"鹿肉(かのしゝ)のブレザオラ"啖(くら)ぶべし」、
との約束(はなし)があり、久々(ひさびさ)當家(こちら)に、、。
頃(ころ)は、八つ時(やつどき)も間近(まぢか)のこと。

倩(つらつら)金屬洋食器(カトラリ)の類(たぐひ)を觀察(み)るに、
過半(あらかた)"Christofle牌(じるし)"。
周知(あまねくしら)るゝごとく法國(ふらんす)渡來(わたり)の品(しな)。
眞新(まあたら)しきものならで、適度(ほどよ)く枯(か)れたもの。

件(くだん)の"鹿肉(かのしゝ)のブレザオラ"より、
松露(せうろ)の芳香(かをり)漂(たゞよ)ひ來(きた)る。
勿駭(おどろくなかれ)、黑(くろ)き粒(つぶ)は松露(せうろ)ならで、
洛(みやこ)の「"大徳寺納豆(だいとくじなつとう)"」。

大徳寺一久』にて沽(か)ひ求(もと)めたるものと云ふ。
"大徳寺納豆(だいとくじなつとう)"は唐山(もろこし)"豆豉(ドウチ)"、
"大徳寺麩(だいとくじふ)"は異朝(あちら)の"烤麩(ガオフ)"に同(おな)じ。
松露(せうろ)の馨(かをり)の正體(しやうたい)は"松露油(トリュフオイル)"。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F8
【2017-01-09追記】:
この日(ひ)は、前菜(アントレ)が"(かも)ブレザオラ"、
肉(ヴィアンド)として"豬五花肉(ぶたばら)ブレゼ"、
菓子(デセール)に"拔絲草莓(いちごカラメリゼ)"、
飮料(テ)は"冰鎭咖啡(アイスコオフィ)"、と云ふ構成(ながれ)。

"ブレザオラ"とは、端的(はや)い説明(はなし)、"火腿(ハム)"の類(たぐひ)。
鹽(しほ)をして熟成(ねかしうら)すこと十日(とほか)。
その旨味(うまみ)
臼齒(おくば)より溢(あふ)れて口中(くちのなか)へと浮騰(ほとばし)る

"豬五花肉(ぶたばら)ブレゼ":
その外見(みため)、打扮(いでたち)たるや、
夏華(もろこし)杭州(かうしう)、"東坡肉(とうばにく)"を髣髴(おもはす)。
硬(かた)からず、柔(やは)らかに過(す)ぎぬ齒應(はごた)へ

(あまみ)は、ペドロ・ヒメネスと赤砂糖(あかざたう)由來(ゆらい)とのよし。
そも、豬肉(ぶたにく)と(あまみ)は、「梅(むめ)に鶯(うぐひす)」。
"蜜瓜火腿(なまはむめろん)"、"蜜汁叉燒 (やきぶたみつゞけ)"、
"咕嚕肉(すぶた)"、"糖醋排骨(くろずゝぶた)"などその證左(あかし)。

草莓(いちご)は些(いさゝ)か小振(こぶ)り。
異朝(もろこし)魯國(ろのくに)の"拔絲(あめだき)"を髣髴(おもはす)も、
絲(いと)を引(ひ)くことなし。
さりとて、屋臺(やたい)の"蘋果飴(りんごあめ)"とも異質(ことなる)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :Kern 微距(Macro) Switar 1.8/50 @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
【2016-12-18追記】:
東道(あるじ)、
"武井箪笥店(たけゐたんすてん)"三代目(さんだいめ)とのよし。
創業以來(あきなひのはじめよりこのかた)、桐材(きりざい)を活業(なりはひ)とし、
桐箪笥(きりだんす)を扱(あつか)ふも、今(いま)はかくのごとき商賣(あきなひ)に。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F4

【2016-12-03追記】:
此度(こだみ)は、
前菜(オードヴル)に、"セルヴェル・ド・カニュ"、
肉(ヴィアンド)として、"カスレ"と云ふ選擇(えらみかた)。
師傅(おやかた)、自信作(むねをは)りて已(や)むことのなき"カスレ":

幾種(いくゝさ)もの鳥獸肉(とりけだものゝしゝ)と(まめ)の燉(にこみ)。
心持(こゝち)よき芳香(かをり)小人(それがし)が鼻竅(はな)を射(い)る。
その儘(まゝ)では強(つよ)めの(しほ)は、
葡萄酒(さけ)と合(あ)はすや、須臾(たちまち)適度(ほどよき)鹹(からさ)に、、。

豬肉(ぶたにく)は上質(よ)き"東坡肉(とうばにく)"を髣髴(おもは)せ、
隱々(かすか)に癖(くせ)のある薫(かをり)は羊肉由來(ひつぢよりきたりし)か?
家鴨(あひる)、もしくは(とり)と思(おぼ)しき鳥肉(とりにく)も、、。
白腎豆(しろいんげんまめ)も原形(もとのかたち)を保持(たもつ)。

菓子(デセール)は"芒果雪葩(マンゴ・ソルベ)"。
これまた法國渡來(フランスわたり)のものと云ふ。
雪葩(ソルベ)と云ふより、
鮮芒果(なまのマンゴ)をその儘(まゝ)凝縮(につめ)たるがごとき味(あぢはひ)

滑(なめ)らかなること、絹(きぬ)のごとく、
甜(あま)きこと、栗甘露煮(マロン・グラッセ)に髣髴(さもにたり)。
世(よ)に阿(おもね)り、民(たみ)に侫媚(へつら)ひ、
漫(みだり)に沙糖(さたう)を控(ひか)ふるは、法國菓子(フランスぐわし)にあらず

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 賓得(Pentax)S-M-C Takumar 1.8/55 @2.4~F4

【2016-11-18追記】:
此度(こだみ)は"咖哩(カレー)"。
米飯(こめのいひ)なかりしかば"麪麭(ぱん)"を用(つか)ふ。
なかなかに香辣(スパイシー)なれど、
大量(おほく)の洋葱(たまねぎ)による奧行(おくゆき)が今一(いまひと)つか?

"菓子(デセール)"は法國渡來(フランスわたり)の"草莓(いちご)の雪葩(そるべ)"。
(あまみ)、(さんみ)、(かをり)の調和(てうわ)が取(と)れ、
「實言(まこと)佳味(よきあぢ)!」と云ふべし。
善哉(よいかな)、善哉(よいかな)!

眼前(めのまへ)にて向調合(あはせな)んとするは、"ソース・ヴィネグレット"。
能(よ)く蔬菜(あをもの)に和(あ)へてサラドとなす。
この日(ひ)は"(テ)"として、"煎茶(せんちや)"を選擇(えらむ)。
京師(みやこ)、柳櫻園茶舖製(りうあうゑんちやほせい)の上等品(よきしな)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

【2016-11-07追記】:
赤貧如洗(あらふがごときまづしさ)故(ゆゑ)、
「此度(こだみ)は"咖哩飯(かりいめし)"でも啖(くら)はゞや」と意(おも)ひしに、
啤酒燉牛肉(うしにくビールに)がござりまする」の誘惑(さそひ)に瞬殺(コロリ)。
その容(さま)、猫(ねこ)に木天蓼(またゝび)蜜(みつ)に蟻(あり)

かくて、選擇(えら)みし"D"なる品(しな)。
前菜(オードヴル)、湯(スープ)、肉(ヴィアンド)、菓子(デセール)、茶(テ)。
"テリーヌ・ド・カンパーニュ"を前菜(オードヴル)として擇(えら)み、
(ヴィアンド)が"啤酒燉牛肉(うしにくのビールに)"。

(スープ)は"胡蘿蔔(にんじん)の濃湯(ポタージュ)"、
菓子(デセール)は"法國冰酪(フランスのアイスクリン)ペドロヒメネス添(そ)へ"。
自家製(てづからこしらへたるもの)にはあらねど、法國渡來(ガリアわたり)の、
"テリーヌ・ド・カンパーニュ"と"冰酪(アイスクリン)"は尤美味(すこぶるうまし)。

手製(そのてになる)"啤酒燉牛肉(うしにくのビールに)"は勿論(いふもさらなり) 。
豪州牛(がうしうゝし)の頬肉(ほゝにく)を用(つか)ひ、
白耳義麥酒(ベルギービール)以(もて)燉込(ゆるりとにこ)む。
纔(わづ)か西洋時辰儀(せいやうとけい)にして一字間半(いちじかんはん)とのよし。

その味(あぢはひ)の複雜玄妙(おくぶかき)こと、深海(ふかきうみ)のごとし
徹底的(よ)く炒(いた)めたる洋葱(たまねぎ)に、
この白耳義啤酒(ベルギーびいる)固有(ならでは)の酸味(さんみ)と、
白胡椒(しろこせう)の馨(かをり)が加(くは)ゝる。

師傅(おやかた)に據(よ)らば、
「加旃(くはふるに)、"Veg broth(ベジ・ブロス)"の貢獻(てがら)あり」と、、。
蔬菜屑(あをものくづ)より叮嚀(ねんごろ)に引(ひ)きたるものにて、
駭(おどろ)くばかりに、淡麗(あはくきよらか)なる味(あぢはひ)。

"ペドロヒメネス"と云ふは、
西班牙(イスパニア)に産(さん)する葡萄(ぶだう)の種類(ひとつ)にして、
これを葡萄乾(ほしぶだう)とし、
白蘭地(ブランデー)に漬(つ)けたる雪利酒(シェリーしゆ)とのよし。

法國冰酪(フランスのアイスクリン)との相性(とりあはせ)たるや
正(まさ)に、梅(むめ)に鶯(うぐひす)唐獅子(からじゝ)に牡丹(ぼたん)
獨學(ひとりてならひ)」と謙遜(へりくだ)りながらも、
その技倆(うで)と感覺(センス)は近邊(あたり)で無雙(ならぶものなし)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4.5

【2016-10-21記】:
日光街道(につくわうかいだう)粕壁宿(かすかべじゆく)。
倩(つらつら)當地(このち)の西餐(せいやうれうり)を窺(うかゞ)ふに、
思(おも)ひ浮(う)かぶは、
地中海菜(ちゝゆうかいれうり)『シェ・ウメツ』、野味(けものにく)『アレコ・レーノ』。

當家(こちら)、『Bien』を知(し)れりしは、
今(いま)を遡(さかのぼ)ること、纔(はつ)か一月前(ひとつきまへ)。
この日(ひ)、西洋時辰儀(せいやうどけい)十三字(じふさんじ)、
勇躍(いさみて)扉(とびら)を開(ひら)く。

賈内(なか)に賓(まらうど)は居(を)らで、
御内儀(おかみ)、莞爾(につか)と小人(それがし)を迎(むか)ふ。
菜單(しながき)は黒板(こくばん)にあり。
肚工合(はらぐあひ)を考慮(かんがへ)、"C"を選擇(えらむ)。

湯(スープ)と菓子(デセール)は二者擇一(ふたつよりひとつえらむやりかた)。
躊躇(たゆた)ふことなく菓子(デセール)を擇(えら)み、
前菜(オードヴル)、(ヴィアンド)、菓子(デセール)、(テ)、
小菓子(プティフール)と相成(あひな)る流(なが)れ。

前菜(オードヴル)六種(むくさ)より"コルシカ島(たう)のテリーヌ"、
主菜(ヴィアンド/ポアソン)四種(よくさ)の中(なか)より、
"仔羊肉(こひつぢ)白葡萄酒煮(しろワインに)橙風味(だいだいのかをり)"、
菓子(デセール)四種(よくさ)より、"法國製(フランスの)冰酪(アイスクリン)"。

櫃臺(カウンタ)には午餐墊子(ランチョンマット)が敷(し)かれ、
その上(うへ)には、餐刀(ナイフ)と餐叉(フォーク)。
因(ちな)みに、設置法(おきかた)は、仰向(あふむ)け英國式(あんげりあしき)*)
餐巾(ナプキン)は大(おほ)きめの烹調紙(クッキングペーパー)のごときもの。

最初(いやさき)に、紅葡萄酒(あかワイン)を高脚盞(ぐらす)に貰(もら)ふ。
ほどなくして"コルシカ島(たう)のテリーヌ"が此方(こなた)に、、。
罐詰(かんづめ)のテリーヌを匙(さじ)にて粗(あら)く掬(すく)ひたるもの
生蔬菜(なまのあをもの)ゝ上(うへ)に載(の)る。

美味(よきあぢ)、
寔(まこと)、美味(よきあぢ)
テリーヌの壓倒的(ひれふさんばかりの)旨味(うまみ)に辭(ことば)を失(うしな)ふ
口内(くち)に殘(のこ)る膏(あぶら)は蔬菜(あをもの)にて漱(くちすゝ)ぐ

次(つ)いで、
"仔羊肉(こひつぢ)白葡萄酒煮(しろワインに)橙風味(オレンヂふうみ)"。
徐(おもぶる)にこれを吟味(あぢはふ)に、
秋毫(つゆ)臭氣(くさみ)なく、爽(さは)やかなる旨味(うまみ)が擴散(ひろがる)

(いろどり)も見事(みごと)。
乾燥蕃茄(ほしとまと)の(くれなゐ)、胡蘿蔔(にんじん)の(だいだい)、
西葫蘆(ズッキーニ)・西蘭花(ブロッコリ)の(みどり)、
黄椒(パプリカ)の(き)、香茹(しいたけ)の(くろ)、、。

麪麭(パン)は當地(このち)では珍(めづら)しき黑麥麪麭(ライむぎパン)。
福島(ふくしま)の麪麭商(パンや)に依頼(たの)みて誂(あつら)へたるものと云ふ。
塑料袋(ビニルぶくろ)入(い)りのせゐか、外皮(クラスト)が柔(やは)らか
氣泡(あは)も半點(いさゝか)小(ちい)さめ

"法國製(フランスせい)冰酪(アイスクリン)":
香草(ヴァニラ)の黒(くろ)き粒(つぶ)が顯著(あらは)
匙(さじ)にて掬(すく)ひ、これを堪能(あぢは)ふに、
一言(ひとこと)、「美味(びみ)!」と呟(つぶや)くほか、術(てだて)なし。

夫婦(めをと)兩個(ふたり)による零細(ほそぼそ)たる商賣(あきなひ)
東道(あるじ)、常(つね)に微笑(ほゝゑみ)を絶(た)やさで
心底(こゝろより)烹調(れうり)を愉(たの)しみ
賓(まらうど)を悦(よろこ)ばさんとす

六十歳(むそぢ)ばかりの好々爺(やさしきおきな)と推察(おも)ひしかど、
「滿五十二歳(まんいそぢあまりふたとせ)」とのこと。
ほゞ獨學(ひとりならひ)」と謙遜(へりくだる)。
とは云へ、『ダロワイヨ』、『マキシム』にて製麪麭(ぱんづくり)せしことありと、、。

この道(みち)を志(こゝろざ)す契機(きつかけ)はポール・ボキューズ
勿論(いふまでもなく)、新派法國菜(ヌーベルキュイジーヌ)の旗頭(はたがしら)。
近會(ちかごろ)流行(はやり)の烹調法(わざ)を嫌(きら)ひ
已(すで)に「古典(こてん)」とも呼(よ)ぶべきボキューズを敬(うやま)ふ。

店内(なか)に小洒落(こじやれ)たる景色(けしき)なく、
そこいらの家庭(いへ)のごとき設(しつら)へ・佇(たゞづま)ひ
とは云へ、鍋(なべ)の類(たぐひ)は悉(ことごと)く磨(みが)かれ
最上質(いとよ)き鏡(かゞみ)かと疑(うたが)はる。

廚(くりや)より流(なが)るゝ絲竹管弦(しちくゝわんげん)の索(たづ)ぬるに、
紛(まが)ふ方なき眞空管 増幅器(くわんきうアンプ)。
近傍(ちか)くの増幅器廠商(アンプのつくりて)が持込(もちこ)みたるものと云ふ。
その巧拙(よしあし)、審(つまび)らかならず。

小菓子(プティフール)は、洛(みやこ)への逆旅(たび)の土産(みやげ)とか。
それを古伊萬里(いにしへのいまり)の小皿(こざら)に、
咖啡(コーフィ)は徳國(ドイツ)Seltmann Weidenの器(うつは)に盛(も)る。
なかなかに粹(いき)で纖細(こまやか)なる配慮(こゝろくばり)

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*)MSSBHNS氏 氏に據(よ)る

【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4.5

  • 亭主(あるじ)、武井良明(たけゐよしあき)師傅(おやかた)【掲載許可濟】 ※2017-03撮影
  • 玻瓈杯(ぎやまんさかづき)に"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"
  • "鴨肉(あひがも)リエット"

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3位

三笠鮨 (大袋 / 寿司)

7回

  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2020/06訪問 2020/06/08

「よくぞ茲(こゝ)まで、、」

前囘(まへ)に當家(こちら)を訪問(たづね)てゟ(より)一年半餘(ひとゝせあまり)。
「"雞卵燒(たまごやき)"未完(いまだならず)」との説明(はなし)を受(う)け、
赤貧如洗(あらふがごとまづしさ)」までもが共振(くはゝ)り、かくなりぬ。
否(いな)!、それこそが「心腹之疾(ねぶかきなやみ)」と云ふべき歟(か)?

此度(このたび)の"特別定額給附金(おすくひまい)"は
正(まさ)に「旱天之慈雨(めぐみのあめ)」、と云ふより「守株待菟(たなぼた)」。
これを懐中(ふところにしのば)せ、
いざ、武州葛飾郡松伏村(むさしのくにかつしかのこほりまつぶしむら)に、、。

"靈螺子(うに)"など素材(すしだね)の良質(よ)さを再認識(あらためてしれり)。
當地(このち)にありて銀座(ざぎん)に無所遜色(ひけをとら)ぬ水準(たかみ)なるは、
勿論(いふもさらなり)。
それでゐて、價格(ね)は半値未滿(なかばにもみたぬ)

通例(つね)のことながら、
"山葵(わさび)"は豆州御殿場(いづごてんば)の"眞妻種(まづま)"。
かの"田代農園(たしをなうゑん)"の産(もの)。
瀬戸(せと)さんが上(うへ)なれど、現在入手困難(いまはてにいれがたし)。」

、、と、菅山親方(おやかた)口惜(くちをし)がること頻(しき)り。
これを摺卸(すりおろ)すは、かの"鋼鮫(はがねざめ)"。
「"鯊皮(さめがは)"よりも肌理(きめ)微細(こまか)く滑(なめ)らか
との評判(はなし)なれど、親方(おやかた)、「鯊皮(さめがは)が吉(よい)」と、、。

不變(かはらぬ)ことや、蟭螟(こまけーこと©ドクシマぱいせん)は保留(さてお)き、
此度(こだみ)、感銘(ひざをうち)たるは、次(つぎ)の二點(ふたつ)。
 一)、"汁椀(しるわん)"の溏油(すひぢ)がより洗煉(とぎすまされた)ること。
 一)、"雞蛋糕(にはとりのたまごやき)"の鮮美(あぢよき)こと。

■【汁椀(しるわん)】:
 (い)、一等檢(いとよき)"利尻海帶(りしりのあらめ)"
 (ろ)、血合拔(ちあひぬき)の"鮪脯(しびぶし)"
 (は)、"(かはかめ)"

眞言(まこと)、
(い)と(ろ)の配搭(くみあはせ)は、華洛(みやこ)の膳(ぜん)を髣髴(おもはす)。
徒(いたづら)に"鰹脯(かつをぶし)"の風韻(かをり)漂(たゞ)よはすは、
天離(あまさか)る(ひな)の膳(ぜん)。

"吸地(すひぢ)"に"(かはかめ)"が要不要(いるか、いらぬか)?
評者(ひと)に依存(よ)り分離(わ)かるゝところなれど、
風味(あぢ・かをり)ともに淸冽(きよらかにすみわた)り、
"甲魚(かはかめ)"が顯著(きはだ)つことなき調和性(しらべのよさ・とゝのひかた)

■【雞蛋糕(たまごやき)】:
「"對蝦(くるまえび)"と"毛蠘(けがに)"を擂込(すりこ)みたるもの」と云ふ。
"薯蕷(やまのいも)"の等類(たぐひ)に"泡立卵白(メレンゲ)"まで、、。
その两箇(ふたつ)を併用(あはせもちゐ)るは愕(おどろ)き。

東都(えど)で高名(なのあ)る鮓店(すしや)はその二者擇一(どちらか)
"薯蕷派(やまのいもは)"は、
修業先(わざをならひおぼえたるさき)の廚藝(わざ)を繼承(うけつ)ぎ、
"泡立卵白派(メレンゲは)"は、"薯蕷(やまのいも)"の匂(にほ)ひを嫌(きら)ふ

これも賛否兩論(よしとするものと、あしとするもの)存在(あ)らん
冢中枯骨(くたばりそこなひのそれがし)が味覺(した)には、
"(あまみ)"も"食感(はごたへ・したざはり)"とも絶妙(このうへなきたかみ)。
よくぞ茲(こゝ)まで、、」と云ふが、不僞(いつはらざ)る心境(おもひ)。

老骨(それがし)、
稚(いとけな)きより"冩眞鏡珠(しやしんのたま)"に溺愛(おぼる)。
名匠(たくみ)の設計(て)になる"透镜(たま)"、
名玉(なのあるたま)は、簡素(かんそ)であり、無虚飾(かざりけなきもの)。

工作(つくり)容易(いとやす)く費(つひえ)・價格(ね)も控(ひかへ)め
輕小(かろくちいさ)く、携帶(もちはこび)も樂(らく)。
「"(すし)"も、かくあるべし!
と云ふが持論(そもそものかんがへ)。

しかはあれど、當家(こちら)の所在地(あるところ)は、かゝる邊鄙(かたゐなか)。
いきなり贅肉(ぜいにく)を削落(そぎお)とし
枯淡(かれ)たる鮓(すし)にしたところで、理會(わか)る客(ひと)も纔(わづ)か
愚按(やつがれおもふに)、現狀(いまのまゝ)で吉(よい)のでは?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:莱茨(Leitz)Elmarit-R 2.8/35 @F4~F4.5
     莱茨(Leitz)Elmarit-R 2.8/90 @F2.8 ※菅山親方(すがやまおやかた)
久方(ひさかた)ぶりの『三笠鮨』。
鮓好(すしず)きには徐々(ゆるやか)に認知(し)られつゝあるものゝ、
まだまだ閑散(ひとけもまばら)
當日(このひ)も臣僕(やつかれ)のほかは、食桌(めしづくゑ)の兩個(ふたり)のみ。

ま、邊鄙(かたゐなか)ゆゑ、致(いた)し方(かた)のなきところ歟(か)?
漬塲(つけば)には最上質(いとよき)魚介(うみのさち)が列(なら)ぶも、
生簀(いけす)は空(から)天竺(てんじく)鼠輩(ねづみのともがら)いけ好(す)かぬ。
何(なん)でも、「生簀(いけす)の魚(いを)は不味(あぢあし)」との説明(よし)。

實(げ)にも!
最佳(いとよ)き魚介(うみのさち)を最惜(いとをし)み
勞(いた)はり、犒(ねぎら)ひ、慈(いつく)しむの神社(かむやしろ)。
雪櫃(ひむろ)に貯藏(たくは)へ、適宜(ときには)熟成之(これをねかしうらす)。

閑話休題(それはさておき)、
この日(ひ)晝飧(ひるめし)として頂戴(いたゞ)きたるもの:
掃愁帚(さけ)を貰(もら)ひ、(さかな)、(さしみ)、燒物(やきもの)、
(すし)、(しるもの)、果子(くだもの)、と云ふ構成(ながれ)。

掃愁帚(さけ)の餚(さかな)として、盃(さかづき)の"靈螺子醬油(うにじやうゆ)":
無忌憚(はゞかりなく)言(い)ふなら、
半點(いさゝか)醬油(しやうゆ)が强(つよ)め。」
山葵(わさび)は今(いま)や稀少(まれ)なる御殿塲(ごてんば)の"眞妻種(まづま)"。

盤(さら)の"(さしみ)"に驚愕(まなこしろくろ)。
"雲子(くもこ)"+"藜鰕(あかざえび)"+"魚子醬(てふざめはらこ)"、
噴火灣(ふんかわん)の"毛蟹(けがに)"、"葡萄鰕(ぶだうえび)"、
"槍魷魚(やりいか)"、と、豪華絢爛(きらぎやか)なること無限(かぎりなし)。

"槍魷魚(やりいか)"の火候(ひいれ)は完璧(ひのうちどころなし)
盌(まり)の"葉形仔魚(のれそれ)"は鰹脯溏油(かつをだし)仕立(じた)て。
(なま)の"葉形仔魚(のれそれ)"とは雲壤(くもとつち)ほどの相違(たがひ)
可惜(をしむらく)は、鰹脯(かつを)の風味(あぢかをり)强(つよ)きこと

長州(すわう・ながと)にて漁(すなどら)れたる"馬鮫(さはら)"は、
一貫目超(いつくわんめごえ、≒4kg)と云ふ立派(みごと)さ。
表面(おもて)ばかりを炭火(すみび)にて叮嚀(ねんごろ)に炙(あぶりや)く。
上品(そこはかとなくやむごとな)き魫(うをのあぶら)に陶醉(よ)はずといふことなし。

(すし)として、
方頭魚(あまだひ)、甲烏賊(かふいか)、南鮪(みなみのしび)、
鮪醬油漬(しびしやうゆづけ)、鮪肥肉(しびのあぶ)、小鰭(こはだ)、
(あかゞひ)、鮏鮞(さけはらこ)、"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)。

一(ひと)つとして不味(あぢあしき)もの皆無(なし)
就中(わきても)、
小鰭(こはだ)の絶妙(このうへなき)醢醯(しほとす)には脱帽(したをまく)
淺(あさ)く〆(しめ)て、なほ、腥(なまぐさ)みと無縁(ゆかりなし)

靈臝子(うに)の仲卸(なかおろし)でも頂點(いたゞき)と演述(い)ふ、
南千島(みなみちしま)が"蝦夷馬糞靈螺子(えぞばふんうに)"の美味(よきあぢ)にも、
敬服(おそれいり)やの蕣市(あさがほいち)、海膽中之一(うにのいち)。
その費用(つひへ)幾許(いくばく)ぞ?

讃州(さぬき)の"(あかゞひ)"も、まァ御立派(ごりつぱ)! ©ドクシマぱいせん
親方(おやかた)演述(い)ふやう:
「奧州(むつ)閖上(ゆりあげ)は名(な)のみにて、味(あぢ)ならこちら
と自慢(むねをはる)。

上總竹岡(かみつかさのくにたけをか)の”太刀魚(たちうを)”の美味(よきあぢ)は、
勿論(いふもさらなり) 。
根津(ねづ)の鮮魚肆(あたらしうをゝあきなふいちくら)以來(よりこのかた)、
價格(ね)が昂騰(はねあが)りて停止(とゞま)る兆(きざし)なしとか。

"方頭魚(あまだひ)"の骨邊肉(あら)は、
"椎蕈(しいたけ)"などゝ(しるもの)に、、。
やはり"潮汁(うしほじる)"の類(たぐひ)なら『うを徳 』に匹敵(し)くはなし。
とまれ、茲(こゝ)が生死(いきしに)を分(わ)くる狹門際(せとぎは)なるべし。

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【暗箱】 :東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【受象珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-12撮影分
先般(さきごろ)、不本意(こゝろならず)も急病(にはかやまひ)を罹患(わづら)ふ。
折(をり)しも、颱風(のわき)續(つゞ)きで海上(うみ)は時化(しけ)
かくて、訪問日(たづぬべきひ)が延(の)び延(の)びとなり、
當日(このひ)、遲(おく)れ馳(ば)せの 『三笠鮨』:

東道(あるじ)と御内儀(おかみ)の老生(それがし)を迎(むかふ)ること、
宛然(あたかも)、
千年來(ちとせまへから)の舊友(ふるきとも)でも歡迎(むか)ふるがごとし
須臾(たちまち)、積(つも)る思(おも)ひ溢(あふ)れて堰(せき)を切(き)る

あれやこれや、あれもこれも、これもあれも、なにもかも、、
これほどに最上質(いとよ)き素材(もの)を仕入(しいれ)
 丹精込(まごゝろこめてまをゝしま)ず工作(しごと)するも鮮報(むくひすくなし)!」
疑義(うたがひ)あらば、颳目(まなこけづ)りてよく觀察(み)よ!

仔細(こまかきこと)は省略(はぶく)。
窮理(ものゝことわりをきは)めんと、舎利(すめし)を大改革(おほいにあらたむ)
近會(ちかごろ)巷(ちまた)では、
醋(す)を際立(た)ゝせ鹽(しほ)を强(つよ)くするが流行(はやり)

舎利(すめし)を熱(あつ)くし
時(とき)に、
鮓種(すしだね)ごとに温度(あたゝかさ)を變化(か)ふる試行(こゝろみ)も、、。
個々(ひとつひとつ)の實驗(こゝろみ)は尊重(うやまふ)に値(あたひ)す。

當家(こちら)も、
甜(あまみ)を控(ひか)へ醋(す)を强(つよ)く變更(あらたむ)
口中(くちのなか)へ抛(はう)り込(こ)むや、酸(すみ)浮騰(ほとばし)り
三噛(みかみ)ほどで、舎利(すめし)、雲散霧消(くもきりときえうせぬ)

(す)は以前同樣(まへとおなじく)紅白二色(あかしろふたくさ)。
(こめ)、(す)、(しほ)、温度(あたゝかさ)、、
舎利(すめし)の味(あぢ)を左右(さいう)する要素(もの)少(すく)なからず
參考(ちな)みに、古今名店(むかしといまのなだかきみせ)は、

米一升(こめいつしやう)に、
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               酢(cc) 鹽(g)   砂糖(g)  酢    
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 一)華屋與兵衞(小泉清三郎)90     80     ---- 中埜"山吹"
               90     90    ---- 「すし通」、
                             「家庭鮓のつけ方
 二)美佐古鮨        270    90    ---- 「すし通
 三)新富鮨         270    135    ---- 「すし通
 四)毛拔鮓         225    豬口1.5  ---- 「すし通
 ................................................................................
 五)乃池          135    100    ---- 赤酢?
 六)辯天山美家古壽司    180    40    20  酒粕添加の米酢、
                              横井"珠玉"
                             "赤酢"とも言へる
 七)淺草"壽司清"      300    25    12.5 赤酢
 八)福元          200    60    60
 九)鮨わたなべ       200    18    8
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山葵(わさび)は、
不問晝夜(ひるよるとはで)、漬塲前(つけばまへ)なら、
價格(ね)の高(たか)き、御殿塲眞妻種(ごてんばまづま)を專用(もつぱらつかふ)。
今(いま)や貴重品(いとたふたきしな)。

東道(あるじ)菅山親方(すがやまおやかた)、
暴騰(はげしくねのあがる)こと、鮪(しび)に同(おな)じ」、
「今(いま)や、亞細亞(アジア)どころか、杜拜(ドバイ)まで!
と、うち哭(なげ)き袖(そで)を濡(ぬ)らす。

最上質(いとよきもの)用(つか)ふからには、
それなりの費用(つひへ)が必要(いる)
これに無視(めをとざ)し、したりし顏(がほ)にゴチャゴチャ論(ぬ)かすは、
贋者(にせもの)・愚者(しれもの)ゝ類(たぐひ)。

遠州(とほとほみ)棘鋸蝤蛑(とげのこぎりがざみ、どうまんがに)、
肥前串野(ひぜんくしの)赤海膽(あかうに)、
仙鳳趾(せんぽうし)の眞蠔(まがき)、二種(ふたくさ)の天然鰻(てんねんむなぎ)、
信州(しなの)ゝ松茸(まつたけ)など山海珍味(うみやまのさち)盡(づ)くし。

就中(わきても)感服(したをま)きしが、蝦夷(えぞ)余市(よいち)の(ぶり)。
時季(とき)得(え)たる氷見寒鰤(ひみのかんぶり)に無遜色(まさるともおとらず)
余市(よいち)で狂騒(さはぎ)となりしは、極最近(つひさきごろ)のこと。
"麗玉(れいぎよく)"なる(すもゝ)にも肝魂(きもたましひ)を失(うしな)ふ。

巷(ちまた)の"(はまぐり)"は過半(あらかた)"朝鮮蛤(てうせんはまぐり)"。
當家(こちら)のは、その手(て)は桑名(くはな)の文蛤(ほんはまぐり)
うを徳』に比較(くらべ)て半點(いさゝか)小振(こぶ)り。
大(おほ)きなもの求(もと)むれど、魚市塲(いちば)に皆無(なし)」とのこと。

雲州(いづも)宍道湖(しんじこ)の(むなぎ)も入手不可(えられず)。」
と、口惜(くちを)しがる。
皮(かは)を脆(もろ)く身(み)は蕩(とろ)けんばかりに嫩(やはらか)
と云ふ「廚藝(わざ)」も『うを徳』に一日之長(いちじつのちやう)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :福倫達(Voigtlaender) NOKTON 1.5/50 As. VM @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-12撮影分
手藥煉(てぐすね)引(ひ)きて待機(まちかまへ)、、」
とは、正(まさ)にこのこと。
「何日頃(いつごろ)伺(うかゞ)ふべきや?」と打電話(たづ)ぬるに、
「今日(けふ)、これから直(す)ぐにでも!」との應答(いらへ)。

これには、吃驚(びつくり)、燒栗(やきぐり)、I agree(アイアグリー)。
己(おのれ)の顏(つら)は、超(まじ)Ugly(アグリー)。
「なら、今(いま)」、と云ふ經緯(やりとり)にて四ヶ月(よつき)ぶりの『三笠鮨』。
この日(ひ)も、最上鮓種(いとよきすしだね)盡(づ)くしの晝飧(ひる)。

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最上素材(このうへなきすしだね)
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魚河岸一番(かしいちばん)」と云ふ房州勝浦(あはかつうら)の"(しび)"、
一貫目超(いつくわんめをこ)す、
"障泥烏賊(あふりいか)"、"星鰈(ほしがれひ)"、"金目鯛(きんめだひ)"、など、
枚舉(かぞ)ふるに遑(いとま)あらず。

倩(つらつら)、
大(おほ)ぶりの鮓種(すしだね)の處理(あつかひ)を注視(うかゞひみる)に、
その厚(あつ)さに挑戰(いど)むがごとく
巧妙(たくみ)、かつ、叮嚀(ねんごろ)に庖丁(はうちやう)を施(ほどこ)す。

纖維(すぢ)を斷(た)ち
煮切豉油(にきり)を絡(から)み易(やす)くせんとする奧技(ひめわざ)
温度(あたゝかさ)、熟成(うらしかた)、ともに適切(ほどよし)。
舎利(すめし)との相性(つりあひ)また然(しか)り。

一方(かたや)、"金目鯛(きんめ)"には炭火責(すみびぜ)め。
火(ひ)に遭(あ)ひてその全身(み)より膩(あぶら)の浮騰(ほとばし)ること、
盛期(さかり)の"狹眞魚(さまうを)"に異(こと)ならず。
熱源(ひ)は日向備長炭(ひむかびんちやうたん)。

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(むなぎ)に長足進歩(めをみはるほどのすゝみかた)
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"(うなぎ)"も日向備長炭(しろずみ)にて烤(あぶりや)く。
(あき)の(うなぎ)には不及(およばね)ど、
技倆(うで)は、前囘(まへ)に較(くら)べて長足進歩(めをみはるほどのすゝみかた)
"地燒(ぢやき)"は食感(はごたへ・したざはり)の對比(たがひ)が命(いのち)

i.e.,「(もろ)き(かは)に、(とろ)けんばかりの(み)」
と云ふが、"地燒(ぢやき)"の理想(めざすべきところ)。
倩(つらつら)菅山親方(すがやまおやかた)の烹調(しごとぶり)を觀察(うかゞ)ふに、
炙(あぶ)ること大約(およそ)十分(じッぷん)

俚諺(ことわざ)に曰(いは)く、
身皮(みかは)の炙(やき)に終焉(をはり)なし!」
愚按(やつがれおもふに)、
文火(よはび)で氣長(きなが)に烤(あぶりや)くが最善(なにより)

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無缺(あしきところなし)と云へど、無尖(とがりたるところもなし)
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扨(さて)、舎利(すめし):
醢醯(しほかげん、すかげん)、温度(あたゝかさ)、水分量(みづけ)、
平滑性(なめらかさ)、粒立(つぶだ)ち、、、
悉(ことごと)く無問題(くびかしぐるところなし)

口中(くち)に抛(はう)り込(こ)むや、
須臾(たちまち)炸裂(はぢけちる)こと、鳳仙花(ほうせんくわ)のごとし。
鮓種(すしだね)との相性(あひしやう)も適切(なかなか)
一(ひと)つとして無缺(あしきところな)きが、缺點(かくるところ)歟(か)?

精麁(よしあし)は另(べつ)にして、
特徴(しるし)ある舎利(すめし)は、耳目(みゝとめ)を奪(うば)ふもの。
初音鮨』、『豬股』、嘗(かつ)ての『とかみ』、『佐竹』、『やまだ』、
何(いづ)れも然(しか)り。

複數(いくつも)の醋(す)を用(つか)ひ分(わ)け
醢醯(しほとす)を强(つよ)くし、粒立(つぶだち)を突出(きはだゝ)す。
温度(あたゝかさ)、その昇降(あがりさがり)など、千差萬別(みせごとにさまざま)。
中(なか)には芯(しん)の殘存(のこ)るほどに激烈(はげし)き舎利(すめし)も、、。

今(いま)や「日本一(ひのもといち)」とも賞賛(たゝへら)るゝ『さいたう』、
それに肉薄(せま)る『すぎた』、長期熟成(ながきうらしの)『喜邑』:
元來(もとより)、特徴(きはだちたるしるし)なき鮓店(すしや)なりしかど、
何(いづ)れもこの十年(とゝせ)で變身(かはりみ)を果(は)たす。

すぎた』は嘗(かつ)ての『都壽司』。
廉(やす)きばかりで顯著(あらは)なる特徴(しるし)なきに
互聯網(ねッと)にて騒(さは)がれて以來(よりこのかた)、
技藝(わざ)を磨(みが)き素材(すしだね)も上質(よ)きものへと變更(きりかへ)

小人(それがし)、
獨立(ひとりだち)して『すぎた』と化(な)りてからは不案内(しらね)ど、
地位(くらゐ)が職人(ひと)を作(つく)る」、
あるいは、「虚談(うそ) から出(いで)し眞實(まこと)」とでも評(い)ふべき。

窮餘(きゆうよ)の策(さく)長期熟成(ながきうらし)に賭(か)けた『喜邑』、
前述(くだん)の『初音鮨』、『豬股』も、長期熟成(ながきうらし)を得手(えて)とす。
ともあれ、
舎利(すめし)and/or鮓種(すしだね)に、顯著(あらは)なる特徴(しるし)あり。

熟成(うらし)を避(さ)け、舎利(すめし)も陳腐(ありきたり)でありながら、
俄頃(にはか)に人氣店(ひとのあつまるみせ)となりしが『うを德』。
京割烹(みやこのわざ)を自家藥籠中(わがもの)となし、
(むなぎ)と水果(くだもの)に雋(すぐ)る。

閑話休題(それはさておき)、當家(こちら)『三笠鮨』:
魚介(うみのさち)こそ他(よそ)を睥睨(みお)ろすほどに秀逸(とびきり)なれど、
舎利(すめし)は半點(いさゝか)謙虚(おとなしく・ひかへめ)。
爪先(つまさき)ほどの缺點(あしきところ)もなき優等生(かしこすぎるをとこ)。

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不足(たらざる)ものとは?
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女(をんな)が不良(わる)に惹(ひ)かるゝがごとく、
客人(ひと)は何(なん)らかの新規性(めあたらしさ)、
時(とき)に「邪道(よこしま)」と譏(そし)らるゝものを希求(もとむ)
特選素材(とびきりのすしだね)ばかりでは東都(えど)から客(ひと)を呼(よ)べぬ

東都(えど)から客(ひと)を呼(よ)ぶに不可缺 (かくべからざる)もの
それが何(なに)なの歟(か)?
敢(あ)へて不良(わる)になるべき歟(か)?
それとも、屋號(みせのな)・普請(しつらへ)を變化(か)へるの歟(か)?

改裝(しつらへをか)へるには、
孔方(ぜに)が必要(い)り、鮓(すし)の味(あぢ)にも直結(むすびつか)ず
小人(それがし)に解決策(よきちゑ)は思(おも)ひ浮(う)かばず、
親方(おやかた)も日々(ひゞ)暗中摸索中(てさぐりのさなか)とか、、。

すぎた』は、
地位(くらゐ)が職人(ひと)を作(つく)る」、
妄語(うそ) から出(いで)し眞實(まこと)」。
しかし、「虚談(うそ)も百度(もゝたび)、、 」と云ふ惡例(あしきためし)も、、。

互聯網(ねッと)を惡用(よこしまにもてあそ)び、
虚談(うそ)も百度(もゝたび)反復(くりかへ)さば眞實(まこと) 」となるは、
親方(おやかた)希望(のぞ)むところにあらず。
冀(こひねが)はくは、諸兄(みなさま)の忌憚(はゞかること)なき直言(こゑ)を

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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(さかな)】:
  ・先附(さきづけ)
  ・長州(ながとのくに)(あはび)、二百四十匁(≒900g)
  ・肥後天草(ひごあまくさ)(むなぎ)、百六十匁(≒600g)
  ・土瓶蒸(どびんむし) 
     巻(まき)、文蛤(はまぐり)、櫻鰕(さくらえび)、香茹(しいたけ)
 
(すし)】:
  ・相州佐島(さがみのくにさじま)障泥烏賊(あふりいか)、一貫六十七匁(≒4kg)
  ・星鰈+縁側(ほしがれひ+えんがは)、一貫六十七匁(≒4kg)
  ・播州明石(はりまのくにあかし)眞鯛(まだひ)、一貫目(≒3.8kg)
  ・房州勝浦(あはかつうら)金目鯛炙(きんめだひあぶり)、一貫六十七匁(≒4kg)
  ・NZ(ニュージーランド)南鮪豆油漬(みなみまぐろしやうゆづけ)、
  ・房州勝浦(あはかつうら)鮪中肥肉(しびちゆうあぶ)、四十三貫七百匁(≒164kg)
  ・房州勝浦(あはかつうら)鮪肥肉(しびあぶ)、四十三貫七百匁(≒164kg)
  ・小鰭(こはだ)
  ・車鰕(くるまえび)
  ・淡路嶋(あはぢしま)、眞鰺(まあぢ)
  ・羽根田(はねだ)星鳗(はかりめ) ※←無写真(とりわすれ)
  ・雞蛋焼(たまごやき)     車鰕(くるまえび)、山藥(やまのいも)
  ・手卷鐵火(てまきてつくわ)

甜品(あまみ)】:
  ・橘バヴァロア(オレンヂ・バヴァロア)の類(たぐひ)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
泡沫(うたかた)の狂騒(ばかさはぎ)に浮(う)かるゝ東都(えど)の鮓店(すしや)。
他方(かたや)、天離(あまさか)る鄙(ひな)に佳店(よきみせ)は稀(まれ)。
前日(まへのひ)の惡(あ)しき記憶(おもひ)を拂拭(ふりはら)はんと
口直(くちなほ)しに當家(こちら)『三笠鮨』を訪問(たづぬ)。

(しび)、眞鯖(さば)、星鳗(あなご)は紅醋(あか)、
白身(しろみ)などは米醋(しろ)と、
鮓種(すしだね)に依存(よ)り紅醋(あかず)を用(つか)ひ分(わ)くるは、
前二囘(まへ)に寸毫(つゆ)異(こと)なることなし。

醢醯(しほかげん、すかげん)、温度(あたゝかさ)、水分量(みづけ)、
平滑(なめ)らかさ、粒立(つぶだ)ち、ほゞ無缺點(あしきところな)く、
口中(くち)に抛(はう)り込(こ)むや、口中(くちのなか)に炸裂(はぢけちる)
たゞ、『初音』、『やまだ』、『佐竹』ほどの「尖鋭性(あらぶるたましひ)」はなし。

初音』はや「高嶺(たかね)の花(はな)」。
と云ふより、今(いま)や夜空(よぞら)の月(つき)よりなほ遠(とほ)く
十月十日(とつきとほか)俟(ま)てど、暮(く)らせど、
暖簾(のれん)潛(くゞ)るは不可能(かなはず)といふ景状(ありさま)。

初音』に、衆人(もろびと)殺到(おしあひへしあひ)する容(さま)、
宛然(あたかも)、
正月(しやうがつ)の福袋(ふくぶくろ)に蝟集(むらが)る群衆(たみ)のごとし。
あな、うたてしやな!

當家(こちら)の舎利(すめし):
肝魂(きもたましひ)を奪(うば)ひ、瞠目(まなこをひら)かすほどにはあらねど、
往古(ふる)き烹調法(たつき)を墨守(かたくなにまも)る老舖(しにせ)より、
一日之長(いちじつのちやう)、羊膓(ひつぢのちやう) 、夜之蝶(よるのてふ)。

毛蟹(けがに)ばかりは、半點(いさゝか)握(にぎ)りが緩(ゆる)く、
指(ゆび)に向崩潰(くづれな)んとするも、
その餘(ほか)は、
能(よ)く、老(お)いさらばへ震える櫡(はし)にも耐(た)へたり

豬股』と同樣(おな)じく、
(しび)と海膽(うに)は市塲(いちば)でも最上質(とびきりのもの)。
小鰭(こはだ)、星鳗(はかりめ)には技倆(うで)が要(い)り、
技藝(わざ)あれど、鄙(ゐなか)に客(かく)呼(よ)ぶは至難(いとかた)きこと

小鰭(こはだ)、眞鯖(さば)の〆方(しめかた)も纖細(こまやか)で、
味覺(した)に逆(さか)らふこともなし。
やはり、「鄙(ひな)には稀(まれ)なる佳舖(よきみせ)
と賞賛(てばなしでほめたゝふ)ほか術策(すべ)なし。

山葵(わさび)は御殿場(ごてんば)の眞妻種(まづま)。
鮫皮(さめがは)用(つか)ひ、頻繁(こまめ)に卸之(これをおろす)。
「お任(まか)せ」を嫌(きら)ひ
魚介(うを)より廚藝(わざ)を重視(おもんず)る眼(め)にも怡(よろこ)ばしきこと。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

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・玉薤(さけ)
・殽(さかな)
・上総竹岡(かづさたけおか)眞鯛(まだひ) 
    一貫目九十匁(≒4.1kg)竹岡沖(たけおかおき)、四日目(よつかめ)
・相州佐島(さがみさじま)甘鯛(あまだひ) 四日目(よつかめ)
・相州佐島(さがみさじま)障泥烏賊(あふりいか) 四日目(よつかめ)
・陸州三厩(むつみんまや)鮪(しび)三十六貫(≒137kg) 紅肉(あかみ)
・陸州三厩(むつみんまや)鮪(しび)三十六貫(≒137kg) 中肥肉(ちゆうあぶ)
・陸州三厩(むつみんまや)鮪(しび)三十六貫(≒137kg) 肥肉(あぶ)
・小鰭(こはだ) 立鹽(たてじほ)●分、醋(す)▲分半
・長州萩(ながとはぎ)海鸛貝(あかゞひ)
・蝦夷噴火灣(えぞふんくわゝん)毛蟹(けがに)+茨蟹(いばらがに)
・豐後別府(ぶんごべつぷ)大車蝦(おほくるまえび) 
    活(いけ)の茹上(ゆであ)げ
・眞鯖(まさば) 四日目(よつかめ)
・蝦夷濱中(えぞはまなか)蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
・奥州大間(むつおほま)の鮪(しび)
    手卷(てまき)鐵火(てつくわ)、廿六日(はつかあまりむいか)
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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

鮓種(すしだね)の上質(よ)さは既知(すでにしらる)ゝところ。
此度(こだみ)は、
築地一(つきぢいち)と云ふ蝦夷紫海膽(えぞむらさきう尓)に、
駭(おどろ)くほどに價格(ね)の張(は)る大車鰕(おほくるまえび)などなど、、。

舎利(しやり)の精麁(よしあし)
これこそ、握(にぎ)り鮓(すし)の好醜(よしあし)を測(はか)る尺度(ものさし)
倩(つらつら)その米粒(こめつぶ)を窺(うかゞ)ふに、
粒(つぶ)が立(た)ちて、しかも舌(した)に滑(なめ)らか

口中(くち)に抛込(はうりこ)むや、
米粒(こめつぶ)の四角八方(よも)に跳躍(はねをど)ること、
鳳仙花(ほうせんくわ)の種(たね)の爪先(つまさき)に炸裂(はぢけち)るがごとし。
前囘(まへ)に比較(くら)べ、小人(それがし)が嗜好(このみ)に接近(ちかづく)

その縁由(ことのよし)、
偏(ひとへ)に水分量(みづけ)の調整(とゝのへかた)にあり。
これに停滯(とゞまること)なく、更(さら)に改良(よくせ)ばやと
日々(ひゞ)鋭意努力中(てさぐりのさなか)と云ふ。

紅白(あかしろ)二種(ふたくさ)の醋(す)を用(つか)ひ分(わ)け、
鮓種(すしだね)を活(い)かすは、前(まへ)に寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし。
(す)は纔(わづ)かながらも弱(よは)め歟(か)?
(しほ)は適度(ほどよ)く、餘(あま)ることも足(た)らざることもなし

鮪(しび)や魷魚(いか)への庖丁技藝(はうちやうわざ)も、前囘同樣(まへにおなじ)。
穴子(あなご)はまたも稀少(まれ)なる羽根田沖(はねだおき)。
やはり"星鳗(あなご)"は老舖(しにせ)に限(かぎ)る。
「鮃(ひらめ)に甘鰕(あまえび)」といふ"煎雞蛋(たまごやき)"も今一(いまひと)つ。

小人(それがし)一人(ひとり)のため、
一時間半前(いちじかんはんまへ)から、
叮嚀(ねんごろ)に炙(あぶ)りたる鰻(むなぎ)白燒(しらやき)
狙(ねら)ひは理解(わか)るものゝ、方法(やりかた)には首(くび)を傾(かし)ぐ

備長炭(しろずみ)の遠火(とほび)」
との説明(はなし)なれど、百九十匁(≒500g強)の大(おほ)きさで、
一時間半(いちじかんはん)では半點(いさゝか)火(ひ)の遠(とほ)過(す)ぎ
その二倍(にばい)の鰻(むなぎ)でも四十分(よんじつぷん)も不要(いらぬ)。

適切(ほどよ)き火候(ひいれ)なら、
(かは)は脆皮(カリカリ)に、
(み)は膩(あぶら)と瑞々(みづみづ)しさを保(たも)ちつゝ、
蕩(とろ)けんばかりの嫩(やはらか)さとなるが常識(よのならひ)。

賓(まらうど)は僕(やつかれ)一人(ひとり)。
一人(ひとり)のために
炭(すみ)を熾(おこ)し、鰻(むなぎ)を燒(や)き
飯(めし)を炊(た)きて、二種(ふたくさ)の舎利(しやり)と成(な)す

これには、鐵面(あつかま)しき僕(やつかれ)も恐縮(おそれい)るほかなし。
雞卵燒(たまごやき)、(むなぎ)など、
改良(あらた)むべき餘地(ところ)は散見(いくつかあ)れど
眞摯(まじめ)に他人(あだしひと)の意見(はなし)にも傾聽(みゝをかたぶく)

粗削(あらけづ)りなれど、大器(おほもの)ゝ片鱗(しるし)あり。
直向(ひたむ)きに精進努力(おのれをみが)ゝんとする意欲(こゝろざし)や吉(よし)
されば、これからの發展可能性(のびしろ)は無限(かぎりなし)
鮓通(よくすしをしるかた)の嚴正(きびし)き指摘(をしへ)を希(こひねが)ふ

因(ちな)みに、この日(ひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

========================================
鮃(ひらめ)
鮪(しび)、三種(みくさ)
新子(しんこ)八枚漬(はちまいづけ)
春子(かすご)のごとく黄身酢魚鬆(きみずおぼろ)漬(づ)けの眞鯛(まだひ)
眞鰺(まあぢ)
大車鰕(おほくるまえび)
鰻(むなぎ)白燒(しらやき) 霞ヶ浦(かすみがうら)百九十匁(≒500g強)
劍先烏賊(けんさきいか) 三日熟成(みつかねかし)
毛蟹(けがに)?
蒸鰒(むしあはび)
蝦夷紫海膽(えぞむらさきうに)
小柱(こばしら)
蝦夷馬糞海膽(えぞばふんうに)
星鳗(あなご) 羽根田沖(はねだおき)
蛋糕(かすていら)雞卵燒(たまごやき)
出汁卷(だしまき)雞卵(たまご)
咖啡果凍(コーヒー・ゼリ)
========================================

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4  ※2017-04撮影分
現在(いま)の埼玉縣北葛飾郡松伏町(さいたまけんきたかつしかぐんまつぶしまち):
そもそも葛飾郡(かつしかのこほり)と云ふは、
古來(いにしへより)下總國(しもふさのくに)なりしが、
徳川(とくがは)の御世(みよ)になりて武藏國(むさしのくに)と編入(な)る。

明治(めいぢ)となり、(みなみ)、(きた)、(ひがし)に分割(わかたる)。
すなはち、南葛飾郡 (みなみかつしかのこほり)は東京府(とうきやうふ)、
北葛飾郡(きたかつしかのこほり)は埼玉縣(さいたまのあがた)、
東葛飾郡(ひがしかつしかのこほり)は千葉縣(ちばのあがた)と云ふ工合(ぐあひ)。

東葛飾郡(ひがし)は"東葛地域(とうかつちいき)"として名(な)のみを殘(のこ)し、
南葛飾郡(みなみ)はその一部(ひとかけら)が後(のち)の"葛飾區(かつしかく)"、
北葛飾郡(きた)は"北葛飾郡(きたかつしかのこほり)"として名(な)を殘(のこ)すも、
今(いま)や、そこには、杉戸町(すぎとまち)と松伏町 (まつぶしまち)のみ。

日光街道(につくわうかいだう)、
東武伊勢嵜線(いせざきせん)の通(とほ)る杉戸町(すぎと)と比較(くら)べても、
松伏町(まつぶし)は陸(くが)の孤島(はなれこじま)のごとき景状(ありさま)。
乘合自動車(バス)のみが唯一(たゞひとつ)の公共交通機關(あし)

それすらも甚(いと)少(すく)なく、
往復(ゆきもかへり)も悲慘(なさけな)き憂目(うきめ)に、、。
當家(こちら)『三笠鮨』は、
かゝる地(ところ)に二代(ふたよ)續(つゞ)く鮓店(すしや)。

二代目(いまの)主人(あるじ)は菅山浩(すがやまひろし)。
この日(ひ)が生日(うまれたるひ)にして、年齢(よはひ)四十代半(よそぢのなかば)。
和食修業(ひのもとのめしづくりをまな)び、
をざは』と『きどぐち』にて鮓(すし)を習得(おのがものに)。

をざは』出身(にてまなびし)『やまだ』山田祐介(やまだいうすけ)とは、
同門(おなじまなびや)なれど、「無面識(そのかほをみしらず)」とのよし。
をざハ』は周圍(あたり)に三店舖(みつ)も構(かま)ふる大店(おほだな)。
相不知(たがひにあひしらぬ)も諾(うべ)なる哉(かな)!

店内(なか)の野點傘 (のだてがさ)は、『きどぐち』に倣(なら)ひしものか?
しかはあれど、
やまだ』は『をざは』とは異質(ことな)る流儀(やりかた)を貫(つらぬ)き、
三笠鮨』も獨自技法(おのがやりかた)を指向(めざす)。

"雞卵燒(たまごやき)"こそ陳腐(ありきたり)の出汁卷(だしまき)なれど、
最上級(いとよ)き鮨種(すしだね)を仕入(しい)れ
大多數(そのおほく)を適宜(ほどよく)熟成(ねかしおく)
酢飯(すめし)も紅白(あかしろ)二種(ふたくさ)。

就中(わきても)、
"(しび)"と"海膽(うに)"の仕入(しいれ)には力(ちから)を入(い)れ、
「川口(かはぐち)『豬股』と一二(いちに)を爭(あらそ)ふ」ほど。
その原價(しいれね)、幾許(いかばかり)か?

漬場(つけば)に列(なら)ぶ鮨種(すしだね)も、
"牡丹蝦(ぼたんえび)"、"介黨鱈卵巣(すけこ)"、"鎌倉蝦(いせえび)"、
"鰒精巣(ふぐしらこ)"など、「江戸前(えどまへ)」らしからぬもの。
生簀(いけす)に泅(およ)ぐ は、車蝦(くるまえび)に虎魚(おこぜ)。

紅醋(あかず)は横井(よこゐ)の酒粕酢(さけかすゞ)"與兵衞(よへゑ)"、
白醋(しろず)は中埜(みつかん)の米酢(よねず)"白菊(しらぎく)"。
魷魚(いか)や白身魚(しろみ)には米酢(しろ)、
(しび)、穴子(あなご)などには、酒粕酢(あか)を用(つか)ふ。

「白身魚(しろみ)でも赤鯥(あかむつ)など膩多(あぶらおほ)きもの紅醋(あか)」
とのよし。
舎利(しやり)を口(くち)に抛込(はうりこ)むて吟味之(これをあぢはふ)に、
(しほ)・(す)ともに穩(おだ)やか。

實言(まこと)、
初音鮨 』、『とかみ』、『豬股』、『やまだ』ほどの駭(おどろ)きはなし。
炊(た)きて直後(すぐさま)醋(す)を合(あ)はせて舎利(すめし)となすは、
僕(やつかれ)知(し)る限(かぎ)り、『初音鮨 』、『やまだ』の二店(ふたつ)のみ。

粒(つぶ)が立(た)ちて易解(ほどけやす)く、舌(した)に滑(なめ)らか」、
と云ふが小人(それがし)が理想(ねがふところ)。
そこまでは到達(ゆ)かぬにせよ、嫌(いや)な粘着(ねばり)は皆無(なし)
温度(あたゝかさ)も適温(ほどよし)。

すなはち、
所謂(よにい)ふ「尖鋭(とが)りたる舎利(しやり)」とは異質(ことな)り、
鮨種(すしだね)に適合(あ)はせ
快適(こゝちよ)き酢飯(すめし)となすが當家(こちら)の技藝(わざ)か?

(しほ)は豆州(いづ)。
山葵(わさび)も豆州(いづ)御殿場(ごてんば)の眞妻種(まづま)。
鮫皮(さめがは)の山葵卸(わさびおろ)しを用(つか)ふ。
香(かをり)と、辛(からみ)、滑(なめ)らかさでは鮫皮(さめがは)が優(まさ)る。

"雉羽太(きぢはた)"は四日目(よつかめ)。
(しほ)と酢橘(すだち)に訝(くびかし)げつゝも、
"雉羽太(きぢはた)"固有(ならでは)の個性(もちあぢ)を、
熟成(ねかしうら)せて抽出(ひきいだ)せし技倆(うで)には脱帽(おそれいる)

良(よ)くも惡(あ)しくも驚嘆(おどろ)かされしは"障泥烏賊(あふりいか)"。
一貫目強(いつくわんめあまり、≒4kg)の素材(もの)に振鹽(しほをふ)り、
熟成(ねかしおくこと)二週間(にしゆうかん)。
これを寸々(ずたずた)に刻(きりきざ)みて鮓(すし)となす。

その芳香(かぐはしきかをり)は紛(まが)ふ方(かた)なき魷魚(いか)なれど、
顏色(いろ)白(しろ)く、甜(あま)く柔(やは)らかきこと、
越中富山(ゑつちゆうとやま)の白蝦(しらえび)と錯覺(みまが)ふほど。
甲烏賊(かふいか)偏執愛(ず)きの僕(やつかれ)も駭(おどろ)く一品(ひとしな)。

那智勝浦(なちかつうら)の"(しび)"は三週間(さんしうかん)。
旨味(うまみ)が極大化(いたゞきとな)るほどに寢(ね)かさるゝも、
やはり、冬場(ふゆば)の鮪(しび)とは乾坤・天淵(あめつち)ほどの相違(たがひ)
古人(いにしへのひと)曰(いは)く「時節須知(すべからく、ときをしるべし)!」

"小鰭(こはだ)"は(しほ)を効(き)かせ、
(す)は(しほ)の半分(なかば)ほどの短時間(みじかさ)。
かゝるが故(ゆゑ)に、
慥(たしか)なる鹵味(しほけ)ながらも瑞々(みづみづ)しさを保持(たもつ)

"障泥烏賊(あふりいか)"、"(しび)"、"小鰭(こはだ)"に光(ひか)るは、
纖細(いとこまやか)なる庖丁技(はうちやうわざ)。
周知(あまねくしら)るゝごとく、
"鹿子(かのこ)"は、 懐石(くわいせき)・割烹(かつぱう)で多用(おほくつかはる)。

火候(ひいれ)の廚藝(わざ)も見事(みごと)。
"車蝦(くるまえび)"に、その手(て)は桑名(くはな)の"(ほんはまぐり)"。
悋嗇(しはんばう)は鈔(ぜに)を惜(を)しみ
蝦(えび)・貝(かひ)は火(ひ)を惜(を)しむが最善(なにより)。

今季初(こんきはじめて)」と自慢(むねをは)る"羽根田(はねだ)の穴子(あなご)":
やはり、時季(とき)未到(いまだいたらず)と云ふべきか、、?
以爲(おも)ふに、
"煎雞蛋(たまごやき)"と"星鳗(あなご)"は老舖(しにせ)に限(かぎ)る。

外觀(みせがまへ)も内裝(なかのしつらへ)も、
天離(あまさか)る鄙(ひな)の飮食店(くひものや)そのもの
櫃臺(かうんた)にも僞漆(ニス)が塗(ぬ)られ、
上質(よ)き鮓種(すしだね)ともども、七里(なゝさと)『大壽司』を髣髴(おもはす)。

しかはあれど、
味道(あぢ)に限(かぎ)るなら、當家(こちら)『 三笠鮨』が上(うへ)。
豬股』と比較(くらべ)て如何(どう)か?
舎利(しやり)の嗜好(このみ)で判斷(い)ふなら、やはり『豬股』が優越(まさる)。

とは云へ、
研究熱心(ひたむ)きさでは、『豬股』に寸毫(すこしも)劣(おと)ることあらで、
管待(もてなし)ぶりも『豬股』に肉薄(せま)る水準(たかみ)。
實(げ)に、「鄙(ひな)には稀有(まれ)」なる佳舖(よきみせ)!!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F8
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.4/35 @F5.6

  • 菅山浩(すがやまひろし)親方(おやかた)【掲載許可濟】 ※2020-06撮影
  • "毛蠘(けがに)"+"海膽(うに)"+俄羅斯(ヲロシア)"鱘子醬(てふざめのこしほづけ)"
  • 常磐(ひたちいはき)の"黃蓋鰈(まこがれひ)"、+"魨精巣(まふぐのしらこ)"

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4位

和三盆 恵菓 (蒲生 / 和菓子)

19回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2019/05訪問 2019/05/05

越谷(こしがや)の そのまた外(はづ)れの 鄙(ひな)の地(ち)に 食通(あぢしるもの)なく 花(はな)と散(ち)りける

掉尾(いやはて)の訪問(おとづれ)。
"抹茶(まつちや)"+"上生菓子(じやうなまぐわし)"に、
"ふりだし、伊豫(いよ)のマーマレイド"、
對價(あたひ)、一千三百五十圓也(いつせんさんびやくごじふゑんなり)。

讃州(ゐなか)に歸(かへ)り、
 "臥薪嘗膽(まきにふし、きもをなめ)"、"捲土重來(いづれまきかへし)"」
と再起(いつのひか、ふたゝびたちあがらん)と期(こゝろにちか)ふ。
せめて、通販(つふはん)だけでも、、」とは、當方(こちら)も願(ねが)ふところ。

南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、
南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、南無阿彌陀佛(なむあみだぶ)、
チーーーン!
合掌(がつしやう)!

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F4~F5.6
グヮッ、グヮ、グヮッ、グヮ-----------ン!
五月五日(ごがついつか)を以て閉店(みせじまひ)
なる貼紙(はりがみ)に氣(き)も散漫(すゞろ)。
肆(いちくら)を疉(たゝ)み、讃州(くに)ゝ囘(かへ)る」との説明(よし)。

確乎(たしか)なる廚藝(わざ)を持(も)ち、
製菓技能士一級(さるすぢのおすみつき)を獲得(え)、
剩(あまッ)さへ、
各種(さまざま)なる紙媒體(かみばいたい)にまで掲載(とりあ)げられと云ふに、、。

惜(を)しみても餘(あまり)ある!」とは正(まさ)にこのこと。
此度(こだみ)は、"岩躑躅(いはつゝじ)"+"抹茶(まつちや)"に、
"牡丹餈(ぼたもち)or萩花(はぎのはな)"、
對價(あたひ)、一千一百卅圓也(いつせんいつぴやくさんじふゑんなり)。

ム-----------!?
やはり、この近邊(あたり)の民(たみ)には不能理解(わから)ぬ味(あぢ)
だ●●縣民(▲▲▲▲けんみん)には『十●石』でも喰(く)はしておけ!
と云ふこと歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F4.5 ※牡丹餈、複冩
     高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8 ※主
和漢三才圖會】にも、
本朝、古者、"花"と稱する者は梅也、中古以來、唯、"花"と稱する者は櫻也。」
とあるがごとく、梅花(むめのはな)は、
鑑賞(ながむ)るものとして、また、(くすり)としても重用(おもんぜ)らる。

和漢三才圖會、卷八十六】: (8~9/49)
=========================================
梅花(むめのはな):

 初て放時、收之(これをゝさめて)陰乾きて 
 小兒濕疹不出不起者(いでずおきざるもの)を治す。
 湯に泡(ふりいたし)、與之(これにあたへれば)、速に出、速に起る

 ・・・・畧(りやく)・・・・

 本朝、古者、"花"と稱する者は梅也
 中古以來、唯、"花"と稱する者は櫻也
=========================================

"春告草(はるつげぐさ)"、
i.e.,(すなはち)梅花(むめのはな)。
此度(こだみ)は、"春告草(はるつげぐさ)"に"抹茶(まつちや)"、
對價(あたひ)、九百圓也(きふひやくゑんなり)。

抹茶(まつちや)は唐土(もろこし)より傳來(つたは)りしものなれど、
彼地(かのち)にては廢(すた)れ
東瀛(ひのもと)にて喫(の)まれ、「茶道(ちやのみち)」として興隆(さかゆ)。
(ちや)の効能(きゝめ)は周知(あまねくしら)るゝごとし。

茶經、卷上】:
=========================================
 茶之爲用(ちやのもちゆるに)、味至寒(あぢいたりてかん)なり。
 爲飮(のまんとするに)、最宜精行儉德之人(おこないたゞしきものにもつともよし)。
 若(もし)、"熱渴"、"凝悶"、"腦疼"、"目澁"、"四支煩"、"百節不舒"なら、
 聊(わずか)四五啜(よたびいつたびすゝ)らば、
 "醍醐(だいご)"・"甘露(かんろ)"與(に)、抗衡也(ならぶものなり)。
=========================================

和漢三才圖會、卷八十九】: (27/44)
=========================================
(ちや):

 ・茶葉
   (五氣五味:)苦、甘、微寒

   手足"厥陰"經を入れ、"陰證"を治す。
   藥の内に此を入て、能く、"頭目"を清なり。
   氣を下し、食を消し、"痰熱"を去る。

   大抵、茶を飮むに、熱き宜し、少き宜し
   不飮(のまざる)は、尤佳なり。

   空心(はらすき)に飮茶(ちやをのむ)には、
   鹽を入れは、直に"腎經"に入れ、且つ、"脾胃"を冷し、乃(●)い、
   賊(ぬすひと)を引て、室に入る也。

   惟、飮食の後、濃茶(こひちや)に漱口(くちをすゝぐ)は、
   "煩膩(いらぬあぶら)"を去るのみ。
=========================================

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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
     高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
"ふりだし"の容器(うつは)が、
從來(いまゝで)の桐筥(きりばこ)に加(くは)へ、
玻瓈製(びいどろ)、有田燒(ありたやき)、備前燒(びぜんやき)も、、。
實言(まこと)、各々(それぞれ)に趣(おもむき)あり。

寒具(ひぐわし)、金貸(かねかし)、上生果子(じやうなまぐわし)。
と云ふ經緯(いきさつ)にて、
上生果子(じやうなまぐわし)"水仙(すいせん)"に抹茶(まつちや)、
對價(あたひ)、九百圓也(きふひやくゑんなり)。

"和三盆(わさんぼん)"出現(よにいでし)は寛政期(くわんせいき)と云ふ。
享保年間(きやうほねんかん)、
徳川吉宗公(よしむねこう)琉球(りうきう)より傳(つた)へたまへしかど、
"和三盆(わさんぼん)"以前(よりまへ)は過半(あらかた)舶來物(はくらいもの)。

本朝食鑑】 元祿十年(1697)〈四、菓〉
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 近代蔗種中華(もろこし)朝鮮(てうせん)琉球(りうきう)自(より)移る。
 然(しかるに)、本邦之地、未(いま)だ生長を得ず
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貞丈雜記】 寶暦十三年 (1763) ~天明四年 (1784)  〈六、飮食〉
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 "砂糖"は古は今の如く多くはなかりしなり
 舊記に"さたうやうかん"とあるも、
 "砂糖"を入て調(とゝのへ)たる"やうかん"珍しき故、此の如くいふなるべし
 常の"羊羹"は"さたう"を不入(いれざる)なるべし

 いにしへ"砂糖"なき時代、すべて菓子類は"あまづら"と云ものにて、あまみを附たる也
 今は異國より"砂糖"多く渡る故、世に澤山なり。
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嬉遊笑覽】 文政十三年 (1830) 〈十上、飮食〉 <236/359>
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 "甘蔗":
 漢土(もろこし)にも古(いにしへ)は"白ざたう"を製することをしらず。
 (ぐゑん)の世に、始て出(いで)きたること、"汝南國史"に見ゆ。
 又、本邦にて"甘蔗"を植作ることは、享保年中琉球(りうきう)より傳へしが始めなり。
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【暗箱】: 東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【受象珠】:蔡司(Carl Zeiss)C Sonnar T* 1.5/50 ZM @F2.5~F2.8
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
"果子(くわし)"の由緒來歴(すぢめ)なるもの:
旣(すで)に彼此(をちこち)にて記述(しる)せしことなれば、畧之(これをはぶく)
此度(こだみ)の上生餜子(じやうなまぐわし)は、
練切(ねりきり)"めで鯛 (たひ)"なる品(しな)。

金箔(きんぱく)が載(の)り、なかなかに煌(きら)びやかなる裝飾性(よそほひ)。
これと"抹茶(まつちや)"に、
家苞(いへつと)ゝして、寒具(ひぐわし)"初春(はつはる)"を追加(くは)へ、
對價(あたひ)一千二百卅圓也(いつせんにひやくさんじふゑんなり)。

練切(ねりきり)の木型(きがた)は贖(あがな)ひたるものと演述(い)ふ。
黑文字(くろもじ)にて一刀兩斷(ふたつにき)り、斷面(きりくち)を窺(うかゞ)ふに、
(あづき)の濾餡(こしあん)と"抹茶(まつちや)"は、
寔(まこと)、×蛤蚧(おほやもりだきあふ)、〇共鳴(おほいにたかめあふ)。

當日(このひ)は想定外(おもひもかけ)ぬ夥(あまた)の(まれびど)。
「"門前如市(いちのごときにぎはひ)"に肉薄(せま)るほどの勢(いくほひ)」、
と演述(い)ふも強(あなが)ち虛談(うそいつはり) にあらず。 ※チトオホゲサデハアル
狹隘(せま)き肆(いちくら)に溢(あふ)れんばかりの客(ひと)、また客(ひと)

今旦(けさ)、初春(はつはる)迎(むか)へし季(いま)の"寒具(ひぐわし)":
硬(かた)きあり、嫩(やはらか)きあり、脆(もろ)きあり、黏(ねば)るものあり、
實(げ)に、多種多樣・千變萬化 (いろいろ、さまざま)なる配合(くみあはせ)。
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)、宮澤正之(さかな)かな。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
      タカラトミー Borg 71FL 8/560 (5.6/400 + ×1.4Extender) ※初日出
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
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■"日葡辭書"
 慶長八年(1603)

 "Quaxi(くわし)":
   果實(くわじつ)、特(とく)に食後(しよくご)の果物(くだもの)を云ふ。

■"料理通"
 『八百善(やをぜん)』四代目(よだいめ)栗山善四郎(くりやまぜんしらう)
 文政五年~天保十一年(1822-1834)

 ”菓子(くわし)の心得の事”

 一、菓子(くわし)といふは砂糖(さたう)にて製(こしらへ)たるものにあらず
  菓子(くわし)はくだ物(もの)也。
  四季(しき)の木實(このみ)・草實(くさのみ)をいふ。

  料理(れうり)の終(をは)りに出す事は、
  料理の厚味(かうみ)、魚鳥(ぎよてう)を食(しよく)し、
  食熱(しよくねつ)をさますため也。

  料理にかゝはりたるにもあらず。
  後(のち)に工夫(くふう)ありて、作(つく)れる也。
  砂糖(さたう)は冷(れい)なる物なれば、惡(あし)き物にあらず。

  宜(よろし)といへども、さりながら、木(こ)の實(み)、草(くさ)の實(み)を
  盛合(もりあは)せ出すが宜(よろ)し
  此の理(り)を捨(すつ)べからず。

  茶請(ちやうけ)は砂糖(さたう)にて作(つく)りたる品(しな)宜(よろ)し
  茶の味(あぢは)ひには●(よろ●●)の第一也。 ※●:蟲喰にて判別不能

  仍(よつ)て、茶菓子(ちやくわし)とは、
  獻立(こんたて)には書(かゝ)ず、茶請(ちやうけ)と書事(かくこと)なり。
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i.e.,(すなはち)、
徳川初期(とくがはのみよのはじめ)、"菓子(くわし)"とは、
果物(くだもの)、木實(このみ)、草實(くさのみ)を意味(さ)したるが、
徳川後期(とくがはのみよのをはりちかく)には現代(いま)と同義(おなじ)に、、。

四代目(よだいめ)栗山善四郎(くりやまぜんしらう)老翁(おきな)、
時流(よのながれ)に逆(さか)らひ、
敢(あ)へて"茶請(ちやうけ)"と喚做(よびな)したまひぬ。
"茶請(ちやうけ)"なる詞(ことば)、今(いま)に殘存(のこる)は奇蹟(おどろき)。

當家(こちら)の師傅(おやかた)修業先(わざをならひおぼえしさき)『とらや』、
さらに古(いにしへ)より商賣(あきな)ふ『鹽瀬』も、
四代目栗山善四郎(よだいめくりやまぜんしらう)演述(い)ふ"茶請(ちやうけ)"を"、
菓子(くわし)"と稱(よびな)して恥(は)づることなし。

況(いはむ)や、巷(ちまた)の肆(みせ)に於(お)いてをや?
當家(こちら)もまた同樣(しかり)。
案下某生再説(ともあれ)、此度(こだみ)は、"寒椿(かんつばき)"に抹茶(まつちや)、
對價(あたひ)、九百圓也(きふひやくゑんなり)。

味道(あぢ)の精麁(よしあし)、廚藝(うで)巧拙(よしあし)、
もはや、疑(うたが)ひを挾(さしはさ)む餘地(すきま)皆無(なし)。
紛(まが)ふ方(かた)なき凄腕職人(てだれ)。
努々(ゆめゆめ)疑(うたが)ひたまふこと勿(なか)れ!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
淺草象潟(あさくさきさかた)『かね庄』の"雞卵燒(たまごやき)":
芝鰕(しばえび)を擂(す)りて、蛋黃(きみ)と蛋白(しろみ)を分離(わ)け、
蛋白(しろみ)ばかりを攪拌(かきま)ぜ蛋黃(きみ)と合(あ)はす。
嗚呼(あゝ)、蛋黃(きみ)小石川養雞所(こいしかはやうけいじよ)。 ←妄語(うそ)

勿駭(おどろくなかれ)、(あまみ)は"和三盆(わさんぼん)"。
かくて、專(もつぱ)ら"和三盆(わさんぼん)"を商賣(あきな)ふ當家(こちら)に、、。
"初霜(はつしも)"+抹茶(まつちや)、
對價(あたひ)、九百圓也(きふひやくゑんなり)。

その斷面(きりくち)より窺(うかゞ)ふに、
荳沙(あづきあん)を栗金團(くりきんとん)の類(たぐひ)に包(つゝ)みたるもの。
いつもながら、適度(ほどよ)き甜(あまみ)、口中(くちのなか)に浮騰(ほとばし)る
武者小路千家(むしやのこうぢせんけ)の抹茶(まつちや)が絶妙(よくあふ)。

さりながら、
この日(ひ)の白眉(はくび)は黑文字(くろもじ)。
流麗(うるはし)き姿(すがた)は、備前長船(びぜんおさふね)を髣髴(おもは)せ、
その切味(きれあぢ)たるや、剃刀(かみそり)に無所不異(つゆことなるところなし)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
ラベヤ』にて"雞炊込飯(チキン・ビリヤニ)"餐(くら)ひ、
目的地(めざすは)當舖(こちら)『惠菓』。
週末限定(しうのすゑかぎり)の生菓子(なまぐわし)が標的(ねらひ)。
遠路遙々(とほきところはるばる)十五町(じふごちやう)ほど。

完全(すつか)り店内(なか)の裝飾(よそほひ)が變貌(さまがはり)し、
戸惑(とまど)ふこと、霎時(しばし)、『石ばし』江戸川橋(えどがは者゛し)。
紅毛(こうまう)の祭祀(まつり)を祝(いは)ふ、
柬埔塞瓜(かぼちやうり)、南瓜燈(なんきんたう)の數々(かずかず)。

久々(ひさびさ)に暑(あつ)き日(ひ)なれば、
"冷抹茶(ひやしまつちや)"に、
南瓜燈(なんきんたう)象(かたど)りたる"ジャック・オ・ランタン"、
對價(あたひ)、九百圓也(きふひやくゑんなり)。

"Baccarat(バカラ)"の玻璃盞(ぐらす)に"冷抹茶(ひやしまつちや)":
劈頭(いやさき)にこれを一口(ひとくち)。
甘露(かんろ)、甘露(かんろ)!
實(げ)に、八功德水(はちくどくすい)でも頂戴(いたゞ)く心持(こゝち)。

扨(さて)、"ジャック・オ・ランタン":
勿論(いふまでもなく)、
蒲柬瓜(たうなす)刳拔(くりぬき)たる提燈(ちやうちん)を象(かたど)る
唐茄(かぼちや)に白餡(しろあん)混(ま)ぜたるもの」とのよし。

老生(おひぼれ)、
元來(もとより)、唐茄(かぼちやうり)も白餡(しろあん)も苦手(にがて)なれど、
頼冨師傅(よりとみおやかた)の凄腕(すごうで)にかゝると、
かくのごとき美味(よきあぢ)に化(な)るは愕(おどろ)くほか術(すべ)なし

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
葉月十五日(はづきじふごや、新暦9月24日)、仲龝節(ちゆうしうのいはひ)。
當家(こちら)の"上生菓子(じやうなまぐわし)"を狙(んら)ふも、
臨時休業(ときならぬやすみ)。
唐菜館(もろこしめしや)には"月餠 (つきもち)"もなき朧月 (おぼろづき)。

長月(ながつき)と改(あらた)まり、再度(ふたゝび)當家(こちら)に、、。
此度(こだみ)は、
"栗名月(くりめいげつ)"+"抹茶(まつちや)"、
對價(あたひ)八百五十圓也(はつぴやくごじふゑんなり)。

月遲(つきおく)れなれど、
上質(よ)き栗(くり)を用(つか)ひ、
(くり)、若(も)しくは名月(めいげつ)象(かたど)りたる(しな)。
堪能之(これをこゝろゆくまであぢはふ)。

御内儀(おかみ)に據(よ)らば、
「銀座(ざぎん)三井越後屋(みつゐゑちごや)にても、
 當家(こちら)の砂糖菓子(さたうぐわし)を販賣(あつか)ふ。」
とのよし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※惠菓通信
親方(おやかた)の(ちや)は武者小路千家(むしやのこうぢせんけ)。
婦人畫報(ふじんぐわほう)に、
師匠(しゝやう)による紹介記事(せうかいきじ)が掲載(の)ッた所爲(せゐ)歟(か)?
門前如市(もんのまへいちのごときにぎはひ)。

此度(こだみ)は"姫菊(ひめぎく)"。
その斷面(きりくち)より窺(うかゞ)ふに、
(あづき)の漉餡(こしあん)を、
向開花(ひらかん)とする菊(きく)に見立(みた)てた練切(ねりきり)に包(つゝ)む

その姿形(すがたかたち)、
實(げ)に、
蕾(つぼみ)が膨(ふく)らみ開花(はなひらか)んとする容(さま)を冩(うつ)す。
愚按(やつがれおもふに)、"姫菊(ひめぎく)"の名(な)の縁由(ことのよし)ならむ。

「白餡(しろあん)には薯蕷(とろゝ)を加(くは)へて、、」との説明(はなし)なれど、
小人(それがし)が舌(した)には、
薯蕷(いも)の有無(ありやなしや)頓(にはか)には難判別(わかりがたし)
これを「猫(ねこ)に小判(こばん)」、「下戸(げこ)に而今(じこん)」と號(い)ふ。

(うつは)の類(たぐひ)は能(よ)く吟味(ぎんみ)され、
隅々(すみずみ)まで磨(みが)ゝれ眩(まばゆ)きばかりの光(ひかり)を放(はな)つ
宛然(あたかも)、
手入(てい)れ行屆(ゆきとゞ)きたる枯山水(かれさんすい)でも見(み)るがごとし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6
週末(しうのすゑ)の生菓子(なまぐわし)に、
月毎(つきごと)の"惠菓通信(けいくわつふしん)"目的(ねら)ひの『惠菓』。
「"惠菓通信(けいくわつふしん)"は未完(いまだなら)で、
 生菓子(なまぐわし)にも障碍(さしさはり)あり」との説明(よし)。

構想(ねらひ)に秋毫(つゆ)と相違(たが)はぬ佳味(よきあぢ)なれど、
 上下兩層(うへとした)とが剥離(はが)れ、、」とて、
師傅(おやかた)、賣物(うりもの)とするを大躊躇(おほいにためらふ)
「明々地(あからさま)にせぬ」ことを誓約(ちか)ひ、沽之(これをかひもとむ)。

"桃實(もゝ)の水羊羹(みづやうかん)"に"冷抹茶(ひやしまつちや)"、
都合(あはせて)八百五十圓也(はつぴやくごじふゑんなり)。
これに、生羊羹(なまやうかん)"玉縁(ぎよくえん)"四箇(よッつ)を追加(くは)へ、
總計(まとめて)二千三百七十圓也(にせんさんびやくなゝじふゑんなり)。

"桃實(もゝ)の水羊羹(みづやうかん)"は上下二層構造(うへしたふたへ)。
下層(した)が、
"手亡(てばう)"と"大福(だいふく)"、白隱元豆(しろいんげんまめ)二種(ふたくさ)、
上層(うへ)は桃實(もゝのみ)と云ふ構成(くみたて)。

水(みづ)に、
深山溪谷(みやまのたに)の湧水(わきみづ)、洛(みやこ)の井戸水(ゐどみづ)、
純水(まじりけなきみづ)、異國(ゑびすのち)の礦泉水(くわうせんすい)、、、
と、その數(かず)、濱(はま)の眞砂(まさご)に異(こと)ならず。

豆腐(とうふ)には京師(みやこ)の井戸水(ゐどみづ)が最適(よ)く、
半導體製造(はんだうたいづくり)なら純水(まじりけなきみづ)が專(もつぱ)ら。
沙糖(さたう)もまた、用途(つかひみち)に依存(よ)り適不適(むきふむき)あり。
砂糖菓子(さたうぐわし)なら"和三盆(わさんぼん)"が最善(このうへなし)。

桃實(もゝのみ)の甘露煮(コムポート)にはグラニュー糖(たう)、
他方(かたや)、和三盆(わさんぼん)による甘露煮(かんろに)には、
形容不能(えもいはれ)ぬ仄(ほの)かにして優(やさ)しき甜(あまみ)
隱々(かすか)なる不純物(まじりけ)こそ、その正體(まことのすがた)歟(か)?

漫(みだり)に固有(そのもの)ゝ味(あぢはひ)ばかりを突出(きはだゝす)でも
徒(いたづら)に個性(もちあぢ)を遮蔽(おほいかく)すでもなく
類稀(たぐひまれ)なる調和(しらべ・つりあひ)。
さながら、(しやう)篳篥(ひちりき)の絲竹艷曲(しらべ)でも聽(き)くがごとし。

あるいは、
打水(うちみづ)に颯(さつ)と一陣之風(ひとしきりのかぜ)、
炎天下(やけつくあつさ)の緑陰(こかげ)、旱(ひでり)に慈雨(めぐみのあめ)、
縁臺(えんだい)に冷(ひ)えたる西瓜(すいか)、、。

竹糖(ちくたう)の收穫(かりいれ)は半年後(はんとしのち)。
「抑巷(さと)の收穫(かりいれ)も同(おな)じ頃(ころ)」とのよし。
竹糖(ちくたう)→和三盆糖(わさんぼんたう)→砂糖菓子(さたうぐわし)、と、
完全自給(くわんぜんじきふ)も間近(まぢか)なるべし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F5.6
漢高祖(かんのかうそ)、
三尺劔(さんじやくのつるぎ)を引提(ひッさ)げ斬白蛇(しろへびをき)りたまふ。
近藤勇(こんどういさみ)は電光三尺劔(いなびかりのごときさんじやくのつるぎ)に
可惜(あたら)失首(そのくびをうしな)ふ。

小人(それがし)小脇(こわき)に携行(たばさむ)は、
大畧(およそ)五十年前製造(いそとせまへ)の業物(わざもの):
旭光學(あさひくわうがく)"超琢磨八枚玉(SuperTakumarはちまいだま)"に、
福倫達(Voigtlaender)"COLOR-SKOPAR 4/21"。

劈頭(いやさき)に惠菓通信七月號(けいくわつふしんしちがつがう)を貰(もら)ひ、
いざ點菜(しなえらみ)。
"沙糖羊羹(さたうやうかん)"+"冷抹茶(ひやしまつちや)"、
對價(あたひ)、八百五十圓也(はつぴやくごじふゑんなり)。

"冷抹茶(ひやしまつちや)"には和三盆糖蜜(わさんぼんたうみつ)も、、。
何(いづ)れも甚(いと)涼(すゞ)やかなる玻璃容器(がらすのうつは)。
"冷抹茶(ひやしまつちや)"の玻璃盞(ぐらす)は"Baccarat(バカラ)"。
法國(おふらんす)の高名(なだか)き玻璃(がらす)なるは勿論(いふもさらなり) 。

倩(つらつら)"沙糖羊羹(さたうやうかん)"を窺(うかゞ)ふに、
奧州久慈(くじ)の琥珀(こはく)かと疑(うたが)はれ、
その"抹茶(まつちや)"を眺(なが)むるに、
越前絲魚川(いといがは)の 翡翠(ひすい)に異(こと)なるところなし。

(あぢはひ)また秀逸(いとひいでたるもの)。
漫(みだり)に(あまみ)に頼(たよ)ることなく、
(あづき)の個性(もちあぢ)を頂點(きはみ)まで活(い)かす
實言(まこと)、絶妙無比(くらぶるものな)き美味(よきあぢ)

失語(ことばをうしな)ふこと霎時(しばし)。
最早(もはや)、
肝裂(きもさ)け、魂(たましひ)身(み)に沿(そ)はず
雞(とり)が啼(な)く東國(あづま)のものとしては頂點(いたゞき)なるべし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※惠菓通信
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4  ※東道(あるじ)
幸樂』→『恵菓』なる順路(みちすぢ)。
蒲生(がまふ)なら『ジラソウ 』、
若(も)しくは、『ひゞき庵』→『恵菓』が常態(つね)の習慣(ならひ)なれど、
機能回復鍛錬(いためたるからだをもとにもど)さんと、遠征(はるばるとほで)。

招牌(かんばん)には"(こほり)"の(はた)。
廻廊(めぐりのほそどの)にも玄關先(げんくわんさき)にも同(おな)じ(はた)。
店内(なか)には當家(こちら)を紹介(よにしら)しむ紙媒體(ゑざうし)。
毎月發行(つきごと)の"惠菓通信(おしらせ)"も、、。

倩(つらつら)菜單(しながき)眺(なが)むるに、
慥(たしか)に"搔冰(かきごほり)"が、二種(ふたいろ)、三品(みしな)。
かくて、菜單(しながき)より、"搔冰(かきごほり)、荅和三盆(あづきわさんぼん)"、
對價(あたひ)、七百圓也(なゝひやくゑんなり)。

ほどなくして件(くだん)の(しな)が此方(こなた)に、、。
天然冰(てんねんごほり)ならで、器械(うちもの)も電動式(エレキじかけ)。
金屬筒(かなものゝつゝ)に格納(い)れられたる和三盆(わさんぼん)と、
(ちや)が附屬(つく)。

上質(よ)き"搔冰(かきごほり)"は羽毛(うまう)のごとき姿(すがた)なれど、
形(かたち)が崩潰(くづ)れ、(みぞれ)かと錯覺(みまがふ)。
およそ"搔冰(かきごほり)"なるもの、
口中(くちのなか)へ入(い)るゝや、淡雪(あはゆき)のごとく溶融(と)くるがよい

(こほり)は適温(ほどよきつめたさ)なれば、口溶(くちどけ)良好(よし)
半量(なかば)ほどになりたる時(とき)、
前述(くだん)の和三盆(わさんぼん)を一振(ひとふり)、二振(ふたふり)。
荅餡(あづきあん)は當家特有(こちらならでは)、絶味(たぐひまれなるよきあぢ)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
      旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)4.5/20 @F11
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※惠菓通信
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4  ※東道(あるじ)
ジラソウ』から『惠菓』と云ふ經路(みちすぢ)れは今囘初(これがはじめて)。
「『ジラソウ』の食后甜品(デセール)がなかなかに優秀(すぐ)れ、
 これに敢(あ)へて甘味(あまみ)を加(くは)ふるは、
 宛然(あたかも)、"畫蛇添足(へびをゑがきてあしをそふるがごとし)"。」

今月(こんげつ)は"牡丹(ぼたん)":
生花(いけばな)は芍藥(しやくやく)。
(^^♪生花(はな)は芍藥(しやくやく)、甘味(あまみ)は牡丹(ぼたん)、
(^^♪餐(くら)ふ(まんじ)は團子鼻(多゛ん古゛ばな)。

惠菓通信(けいくわつふしん)に仗(よ)ると、
愈々(いよいよ)今玆(ことし)から甘蔗(さたうきび)自家栽培(じかさいばい)
とのよし。
いやはや、そこまでやるとは、實言(まこと)、天晴(あつぱれ)!

無條件(てばなし)に賞賛(ほめたゝふ)べし!
京師(みやこ)や東都(えど)の老舖(しにせ)すらなし得(え)ぬことを、
かゝる邊鄙(かたゐなか)で試行(こゝろみる)とは、、、。
訪問(い)くなら、媒體(メディア)の騒(さは)ぐ前(まへ)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F2.8
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Flektogon 2.8/20 @F5.6~F11
      旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※菜單(しながき)
土曜日限定(どやうびかぎり)、
今日(けふ)の生菓子(なまぐわし)」、"初櫻(はつざくら)"。
"抹茶(まつちや)"と合(あは)せて、
對價(あたひ)、七百圓也(なゝひやくゑんなり)。

今月(こんげつ)より、
"惠菓通信(けいくわつふしん)"なる瓦版(かはらばん)を開始(はじむ)。
窗際(まどぎは)には、玻璃製壺盧(びいどろのひさご)。
因(ちな)みに、壺盧(へうたん)は當家紋所(こちらのもんどころ)なるべし。

肆内(なか)で戴(いたゞ)く"初櫻(はつざくら)"には、
櫻(さくら)の花瓣(はなびら)があしらはれ、
自然(おのづ)と、春(はる)の情緒・風情(おもむき)を釀成(たゞよはす)
奇(く)しくも當日(このひ)、東都(えど)では櫻花(さくら)開花(はなひらきぬ)

案下某生再説(それはさておき)、
"初櫻(はつざくら)"なる生菓子(なまぐわし):
黑文字(くろもじ)にて兩斷(ふたつ)にし、その斷面(きりくち)を窺(うかゞ)ふに
荳沙(あづき)粒餡(つぶあん)の環繞(ぐるり)を白餡(しろあん)が圍(かこ)む。

(あづき)は大納言(だいなごん)、沙糖(さたう)は和三盆(わさんぼん)。
その儘(まゝ)餐(くら)ひて美味(よきあぢ)なるは勿論(いふもさらなり)。
況(ま)して抹茶(まつちや)となると、
梅(むめ)に鶯(うぐひす)」、「柳(やなぎ)に燕(つばめ)」。

倩(つらつら)その姿(すがた)を眺(なが)むるに、
修業先(わざをならひおぼえ)し『とらや』"遠櫻(とほざくら)"に酷似(よくにる)。
御内儀(おかみ)と四方山話(よもやまばなし)にうち興(きよう)じ、
ほどなくして辭別(いとまをこふ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F3.5
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Flektogon 2.8/20 @F5.6~F11
      旭光學 賓得(Pentax)微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※惠菓通信
"燒最中(やきもなか)":
何(なん)でも、「新作(しんさく)」と云ふ。
上質(よ)き荳沙(あづき)に和三盆(わさんぼん)を用(つか)ひ、
叮嚀(ねんごろ)に拵(こしら)へたるは明白(あきらか)。

注文(ちゆうもん)を請(う)けてから炙之(これをあぶり)
茶(ちや)を點(た)て此方(こなた)に、、。
(うつハ)は、「蝦夷地(えぞち)の新進作家(わかきつくりて)のもの」と云ふ。
抹茶(まつちや)の(わん)より、"茶請(ちやうけ)"の(さら)が吉(よい)。

生花(はな)は桃花(もゝ)。
改(あらた)めて、この長屋(ながや)の美點(よきところ)に感動(こゝろうたる)。
外壁(そとかべ)こそ混凝土(こんくり)ながら、構造部材(ほねぐみ)は木材(き)
庭(には)と屋内(なか)の階(きざはし)には大谷石(おほやいし)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F11
丸仙』からの歸途(かへりみち)、またまた、當舗(こちら)『惠菓』に、、。
此度(こだみ)は、
無農藥(あやしげなるくすりぬき)の"煎茶(せんちや)"、
"茶請(ちやうけ)"附(つ)きで、對價(あたひ)四百圓也(よんひやくゑんなり)。

"茶請(ちやうけ)"として、
招牌商品(いつもの)"ふりだし"の佗(ほか)、
白珠錺職人(しらたまかざりしよくにん)との合力(ちからあはせ)により、
眞珠(しらたま)象(かたど)りたる玻璃玉大(びいどろだまほど)の(しな)も、、。

東道(あるじ)曰(いへら)く;
勢州(いせ)の眞珠(しらたま)を粉碎(こなと)し、
 篩(ふるひ)にかけ、阿州(あは)和三盆(わさんぼん)と混淆(まぜあは)せ、
 能(よ)く練(ね)りて(たま)と化(な)す。」

さらに、
「この綺羅(きら)のごとき光輝(またゝくきらめき)こそ眞珠粉(しらたまのこ)。」
白珠(しらたま)も過(す)ぎれば、食感(したざはり)を損(そこ)なふ。」
と、製作餘話(たまづくりこぼればなし)。

"眞珠入和三盆(しらたまいりわさんぼん)"には、
"勢州(いせ)の白珠(しらたま)と(しほ)、阿州(あは)和三盆(わさんぼん)。
對照的(かた)や、"ふりだし"は、
土州(とさ)の(しほ)に讃州(さぬき)の和三盆(わさんぼん)を用(つか)ふ。

"眞珠入(しらたまいり)"と"ふりだし"を一對一比較(よこにならべてくらぶ)るに、
その味(あぢはひ)には明確(あきらか)なる差異(さ)。
"白珠入(しらたまいり)"には、
果實(くだもの)を髣髴(おもは)す爽快(さは)やかなる酸味(すみ)

相違點(ことなるところ):
眞珠(しらたま)の有無(ありやなしや)の它(ほか)は、
(しほ)と和三盆(わさんぼん)の産地(うぶすな)、硬度(かたさ)のみ。
實言(まこと)、訝(いぶか)しき哉(かな)!

(すみ)あるもの不使用(つかは)で、拵(こしら)へて居(を)りまする。」
とは、頼冨親方(よりとみおやかた)の辯(はなし)。
口解(くちど)けの差(さ)こそあれど、
白珠(しらたま)の有無(ありなし)で、これほどの乖離(ひらき)とは、、。

元來(もとより)、
(しほ)も、和三盆(わさんぼん)も酸(すみ)を含有(ふくむ)ものにあらず
上質(よ)き煎茶(せんちや)で咽喉(のみど)を潤(うるほ)し辭去(いとまごひ)。
と、雨滴(あまつぶ)が店先(みせさき)の池(いけ)にポツリ。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~f3.5
行(い)きつけの饂飩店(うどんや)が休業(やすみ)、
すぐ近傍(ちかく)に在(あ)る代替候補(かはりのみせ)も休業(やすみ)。
かくて、「温飩(うどん)の後(のち)」に寄(よ)る豫定(つもり)の『こちら』に、、。
此度(こだみ)は前(まへ)とは異(こと)なる脇(わき)の玄關(いりぐち)から。

この日(ひ)の店番(みせばん)は頼冨博貴師傅(よりとみひろたかおやかた)。
產土(うぶすな)讃州(さぬき)『ばいかう堂』⇒ 
銀座(ぎんざ)『鹿乃子』⇒ 赤坂(あかさか)『虎屋』に十年(とゝせ)、
職人歴(あはせて)、 大畧(およそ)二十年(はたとせ)と云ふ手煆煉(てだれ)。

平成廿三辛卯歳(へいせいにじふごかのとうどし)、
全國和菓子協會(ぜんこくわぐわしけふくわい)認定(みとむ)る、
優秀和菓子職(ひいでたるわぐわしゝよく)に、、。
その年(とし)は纔(わづ)か十六人(とたりあまりよたり)。

合格率(とほる)は二割(にわり)に滿(み)たぬと云ふ難關(せまきもん)。
加旃(しかのみならず)、
高麗屋(かうらいや)役者襲名(しふめい)に因(ちな)む比賽(うでくらべ)でも、
"優秀賞(いうしうしやう)"の榮冠(ゑいくわん)。

案下某生再説(それはさておき)、
此度(こだみ)は、汁粉+抹茶(しることまつちや)に、
ふりだし苔桃(クランベリ)、達磨最中(だるまもなか)、
對價(あたひ)、二千六百七十圓也(にせんろつぴやくなゝじふゑんなり)。

年賀(ねんが)として瓢箪最中(へうたんもなか)。  
茶道(ちや)は、
ばいかう堂』時代(のころ)に江戸千家(えどせんけ)、
虎屋』時代(のころ)に武者小路千家(むしやのこうぢせんけ)を習得(おぼえぬ)。

勿駭(おどろくなかれ)、
白玉(しらたま)は注文(ちゆうもん)請(う)くる度(たび)に製作(つくる)
汁粉(しるこ)の(わん)もどこぞの土藏(くら)より發掘(ほりいだ)せし
上等(よき)骨董(ふるだうぐ)

疵一(きづひと)つなき美品(うつふくしきしな)。
(ぼん)も木製(き)。
茜色(あかねいろ)の(さじ)も木(き)に漆塗(うるしぬ)り歟(か)?
塑材(ぷらすちく)を避(さ)くるは掌柜(あるじ)の嗜好(このみ)ならむ。

瓢箪形(へうたんがた)の木型(きがた)は蝦夷地(えぞち)にて誂(あつら)へたるもの。
東都(えど)の職人(しよくにん)には、
過小(あまりにちいさし)」 とて膠(にべ)もなく被拒絶(ことわらる)。
達磨(だるま)の金型(かながた)は既製品(そんじよそこいらのもの)。

ふりだし のみならず、
有平糖(あるへいたう)紅梅白梅(こうばいはくばい)、最中(もなか)二種(ふたくさ)、
悉(ことごと)く和三盆糖(わさんぼん)を使用(つかふ)。
卍(まんじ)善哉(よき)善哉(よき)!

鏡餠(かゞみもち)には串刺(くしざ)しの干柹(ほしがき)。
草薙劍(くさなぎのつるぎ)を象(かたど)りたるものと云ふ。
組紐(くみひも)の伊勢蝦(いせえび)に金龜(きんのかめ)も、、。
東道(あるじ)曰(いへら)く、「讃州(くに)の母堂(はゝ)製作(つく)りしもの」。

北越谷(きたこしがや)『樂の藏 』とは淺(あさ)からぬ縁(つながり)と云ふ。
御内儀(おかみ)、嘗(かつ)てこちらに勤務(はたら)き、
亭主同士(たがひに) 肝膽相照(かんたんあひて)らす間柄(あひだがら)。
實(げ)にも!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F5.6~F8
扨(さて)、
"年越蕎麥(としこしそば)"ならぬ"年越饂飩(としこしうんどん)"は『ひゞき庵』。
慢慢地(ゆるり)御徒(かち)にて嚮(むか)ふに、
"和三盆(わさんぼん)"なる立招牌(たてかん)、眼精(まなこ)を穿(うが)つ。

霎時(しばし)立(た)ち止(ど)まり、右(めて)を望遠(はるかのぞ)むに、
(おく)にそれらしき家(いへ)。
その屋號(やがう)『恵菓』と喚做(よびな)す。
普請(かまへ)は今風(いまふう)。

帖場(ちやうば)を守(まも)るは、東道(あるじ)が姉(あね)。
主人(あるじ)は讃州(さぬき)の人(ひと)にて、
かの『とらや』などで修業(わざをならひおぼえ)、
二月前(ふたつきまへ)、當地(このち)に開業(みせびらき)

雞(とり)が啼(な)く東國武州(あづま)の鄙(かたゐなか)蒲生(がまふ)。
その中(なか)でも秋毫(つゆ)目立(めだ)つものなき地(ところ)に、
敢(あ)へて"和三盆專門店(わさんぼんばかりをあきなふみせ)"とは、
實(げ)に、呆(あき)れるやら、駭(おどろ)くやら、、。

"和三盆(わさんぼん)"の美味(よきあぢ)なるは周知(あまねくしら)るゝところ。
小人(それがし)も嗜之(これをこの)むと云へど、過半(あらかた)音物(いんもつ)。
試(こゝろ)みに、"ふりだし"、"阿波の青梅"、"阿波の白"を求(もと)む。
對價(あたひ)、大畧(およそ)一千六百圓(いつせんろつぴやくゑん)。

陋屋(ぼろや)に戻(もど)りて堪能之(これをあぢはふ)。
"これ"ほどの小筥(こばこ)に圓(まろ)き孔(あな)が空(あ)き、
その孔(あな)より「振出(ふりいだ)す」と云ふ趣向(しかけ)。
その姿(すがた)を窺(うかゞ)ふに、瓢箪(へうたん)を象(かたど)りたるもの。

一(ひと)つ味(あぢ)はひ、また一(ひと)つ。
紛(まが)ふ方(かた)なき"和三盆(わさんぼん)"。
"青梅(あをうめ)"のみならず、
「"伊豫柑(いよかん)"など樣々(さまざま)なる風韻(かをり)あり」とのよし。

口溶(くちど)け、(かをり)、(やはらか)なる(あまみ)、
一(ひと)つとして小人(それがし)が嗜好(このみ)に外(はづ)るゝものなし
惜(を)しむらくは、
その價格(ね)の「廉價(やすし)」とは難言(いひがた)きこと

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4

  • 東道(あるじ)頼冨博貴(よりとみひろき)師傅(おやかた)【掲載許可濟】2018-12撮影
  • 上生菓子(じやうなまぐわし)
  • 抹茶(まつちや)

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5位

ひびき庵 (蒲生 / うどん、そば)

12回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 -
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2019/12訪問 2020/01/01

玄英(ふゆ)の"鴨(かも)" あきなき"切麥(うどん)" 靑陽(はる)は軈而(そこ)

冢中枯骨(それがし)、"河漏津(楚者゛きり)"より"切麥(きりむぎ)"を嗜(この)む。
Hence, Therefore, かゝるがゆゑに、
"大晦蕎麥(おほつごもり楚者゛)"が"大晦温飩(おほつごもりうどん)"と化(な)るは、
道理(よろづのものゝことわり)と云ふもの。

となると、渦潮(うずしほ)、樢布(わかめ)、阿波踊(あはをど)り。
(とり)より甘香美(うま)き玄英(ふゆ)の"(かも)"。
と云ふ次第(わけ)で、通例(つね)のごとく、"鴨蒸籠温飩(かもせいらうゝどん)"、
對價(あたひ)、一千二百圓也(いつせんにひやくゑんなり)。

仔細(こまけーこと©ドクシマぱいせん)は、
旣(すで)に幾度(いくたび)も記述(しる)せしことなれば、畧之(これをはぶく)。
武具馬具(ぶぐばぐ)、武具馬具(ぶぐばぐ)、三武具馬具(みぶぐばぐ)。
系統(システム)に"(バグ)"は附物(つきもの)、厄介者(やつかいもの)。

贖物(かひもの)に錢(ぜに)の要(い)るは、これまでの、
世界(よ)は大(おほ)きく遷移(うつろ)ひて、
孔方(ぜに)の用(つか)へぬ店(みせ)までも、
出(いで)し世間(よのなか)、哭(なげ)き頼哩(あらが)ふ、この卍(まんじ)。

大晦日(おほつごもり)の當日(このひ)は、
御内儀(おかみ)も子女(むすことむすめ)も大童(おほわらは)
两個(ふたり)の初見(みなれ)ぬ中居(なかゐ)までもが、
忙(いそがは)しく疉敷(たゝみじき)の間(ま)を動(うご)き囘(まは)る。

軈而(やがて)靑陽(はる)、
朱明(なつ)はその先(さき)、玄英(ふゆ)の"(かも)"、
何時(いつ)にても、白藏(あき)無(な)き"切麥(きりむぎ)"堪能(あぢはひ)て、
貰(もら)ふ"(みかん)"の重要性(おもみ)かな!

當家(こちら)、
口味(あぢ)も、商賣(あきなひ)の方法(やりかた)も往古(そのかみ)の儘(まゝ)
潔(いさぎよ)し!、これで吉(よし)!、これが正解(よし)!
可惜(をしむらく)は、"饂飩(うんどん)"の寸々(ずたずた)なること。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F5.6
     高千穗光學(Olympus)Zuiko Auto 3.5/21 @F11
惠菓』が消滅(き)え、この近邊(あたり)は久方(ひさかた)ぶり。
"あの口味(あぢ)"難忘(わすれがた)く」と云ふのも然(さ)ることながら、
"讃岐(さぬき)"を標榜(うた)ふ『根の津』の"切麪(きりむぎ)"と較(くら)ぶるが、
最大(もつともおほきな)る目的(ねらひ)。

"彈力性(はごたへ)"、"(ねば)り"、"平滑性(なめらかさ、したざはり)"、
は勿論(いふまでもなく)、
"光澤(つや)"、"亂雜性(みだれ)"、"捩率(よれ)"、"稜線(かどのするどさ)"、
と云ふが着目點(みるべきところ)。

"彈力性(はごたへ)"は两者(どちら)も、
不硬不軟(かたからず、やはらかきにすぎず)」
然(さ)りながら、"(ねば)り"ばかりは『根の津』の"それ"が優越(まさる)。
當家(こちら)の"それ"は、(はし)にも臼齒(おくば)にも不黏(ねばらず)。

茹(ゆ)でゝ漉水囊(みづこし)に掬(すく)ひ、
冷水(つめたきみづ)に漱(すゝ)ぎたる時點(とき)には旣(すで)に短(みじか)く、
"两不黏(はしにもおくばにもねばらぬ)"は、當然(あたりまへ)。
愚按(やつがれおもふに)、"足踏(あしぶみ)"不足(たらざる)に起因(よるもの)。

およそ"温飩(きりむぎ)"なるもの、
"彈塑性體(かたさとねばりづよさをもつもの)"として把握(とらふ)べきものなれど、
當家(こちら)の"それ"は、
"降伏點(かうふくてん)"から黏(ね)ばりきれず破斷(たちきれ)てしまふ。

"平滑性(なめらかさ、したざはり)"、"光澤(つや)"、"稜線(かどのするどさ)"、
不平不滿(くびひぬるところ)皆無(な)く
"亂雜性(みだれ)"、"捩率(ねぢれ、よれ)"、では『根の津』を"太刀山(たちやま)"。
"四十五日(ひとつきはん)"、否(いな)、"不戰勝(たゝかはづしてかてり)"。

これぞ、"孫氏兵法(そんしいくさのきはみ)"。
"太刀山(たちやま)"の"睨出(にらみだ)し"と云ふもこの等類(たぐひ)なるべし。
若(も)し懐疑者(うたがひをいだくもの)存在(あ)らば、
刮目(まなこゝすり)てこの圖繪(ゑ)を注視(よくみ)よ!

鴨汁(かもじる)"の"ξ(ぐざい)"と"溏油(だし)"は、
旣述(すでにいくたびもしるせ)しことなれば、省略之(これをはぶく)。
敢(あ)へて一點(ひとつ)だけ演述(い)ふなら、
笹搔(さゝがき)にせし"牛蒡(うまふゞき)"の重要(おも)き役割(やくわり)。

南蠻紅毛暦(あちらのこよみ)十月朔日(じふがつゝいたち)、
消費税(あきなひにかゝるおかみへのみつぎもの)が一割(いちわり、=10%)に、、。
御内儀(おかみ)、これを冷笑(ちやんちやらをかしきことゝわらひとばす)。
價格(ね)は以前(まへ)と不變(かはら)ぬ一千二百圓(いつせんにひやくゑん)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F11
過年(としこし)に不可缺(かゝせぬ)×河漏(楚者゛きり)、〇切麪(きりむぎ)。
やはり、"鴨南蠻(かもなんばん)"より"鴨蒸籠(かもせいらう)"。
"鴨蒸籠(かもせいらう)"なれど、拔群(なみよりもたかし)
by 丸十將軍(さつましやうぐん)放屁老(へィひるらう)。

溏油(だし)の效(き)ゝたる暗黑醤油(あんこくしやうゆ)※©ドクシマぱいせん。
殘酷(ざんこく)、遲刻(ちこく)、狗邪韓國(くやかんこく)、
欽察汗國(キプチャク・ハンこく)、伊兒汗國(イル・ハンこく)、
伊漢(イルハン)媼(めのこ)にひつぱりだここのタコ~ッ!奴凧(やつこだこ)。

若(なんじ)、若(も)し、隻眼(ひとつでもまなこ)所有(あ)らば、
眼精(めんたま)全開(ヒンむき)て仔細(よ)く凝視(これをみよ)!
正雄(まさを)と正男(まさを)に淺田美代子(あさだみよ)、
(つや)、齒觝觸(はあたり)、亂雜性(みだれ)、とも、夢幻之境(ゆめかうつゝか)。

太陽暦(きりしたんごよみ)では、今日(けふ)は大晦日(おほつごもり)。
將(まさ)に、
(いぬ)去(さ)りて、(ゐのこ)向來(きたりなん)とす。 ←閲覽注意!!
新年好(いざ、ともに、あらたなるとしをいはゝむ)!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
愚按(やつがれおもふに)、
"鴨蒸籠(かもせいらう)"の饂飩(うんどん)こそ頂點(いたゞき)なれど、
此度(こだみ)は、敢(あ)へて"鴨南蠻(かもなんばん)"を選擇(えらむ)。
對價(あたひ)、一千六百圓也(いつせんろつぴやくゑんなり)。

溏油(だし)も切麥(うどん)も"鴨蒸籠(かもせいらう)"に共通(おなじ)とは云へ、
この怒(いか)れる大蛇(をろち)猛々(たけだけ)しき切麥(きりむぎ)には、
やはり、濃厚(こ)き"滲汁(つけじる)"が最適(よくあふ)。
この饂飩(うんどん)に"かけ汁(じる)"では力不足(ちからおよぶところにあらず)。

辭別(いとまごひ)に際(あた)り、
×雞眼(うをのめ)、〇鵜眼(うのめ)・鷹眼(たかのめ)、棚(たな)を物色(さぐる)。
今(いま)は、"月桂葉(げつけいゑふ)"に(かき)。
"月桂葉(げつけいゑふ)"を貰(もら)ひ、"苦橙(だいだい)"をも撈(さぐ)らんとす。

御内儀(おかみ)應答(いらへ)て説明(い)ふやう:
色附(いろづ)きつゝあるも、庭(には)にはまだいくらでも、、
この辭(ことば)に甘(あま)へ、
庭(には)の苦橙樹(き)より"苦橙實(だいだい)"五箇(いつゝ)收穫(つみていたゞく)。

雙方(どちらも)利用價値大(おほいにやくにたつ)た川(がは)、
唐紅(からくれなゐ)の燉牛肉(ビフ・シチュウ)、
夢中(むちゆう)、ハイチュウ・プレミアム
檸檬水(レモネード)、擬制(もどきてつく)る苦橙水(だいだいすい)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
通例(つね)のごとく、" 鴨蒸籠(かもせいらう)"、
對價(あたひ)、一千二百圓也(いつせんにひやくゑんなり)。
"鴨汁(かもじる)"に限定(かぎ)るなら、當家(こちら)より
千壽 竹やぶ』門下(もんか)『ふか川』のそれ が贏(まさ)る。

やはり、當家(こちら)は"温飩(うんどん)"。
(つや)、平滑性(なめらかさ)、硬(かた)からず適度(ほどよ)き(こし)、
亂雜性(みだれ・ばらつき)、(よ)れ、鋭角性(かど)、
何(いづ)れも、老生(おひぼれ)が嗜好(このみ)

惜(を)しむらくは、
細(こま)かに千切(ちぎ)れたる切麪(きりむぎ)少(すく)なからざること。
先代(さきつおやかた)に比較(くら)べ、まだまだ、、
とは女將(おかみ)の歎息(ためいき)。

庭(には)に生(な)る"苦橙(だいだい)"を貰(もら)ふ。
「いくらでも、、」との言質(ことば)に甘(あま)へ四箇(よつ)。
古來(いにしへよりこのかた)、
"ポンス"には、香橙(ゆ)、酢橘(すだち)ならで、"苦橙(だいだい)"が風習(ならひ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
小人(それがし)、
"蕎麥切(そばきり)"より"饂飩(うんどん)"を嗜(この)む。
世(よ)に、"索麪(さくめん)"、"餺飥(はくたく)"、"切麪(きりむぎ)"、、、
"饂飩(うんどん)"に相似(あひに)たるもの少(すく)なからず

"索麪(さくめん)"は元々(もともと)"索餠(さくべい)"と記(かきしる)す。
往古(いにしへ)、唐土(もろこし)で"(べい)"が"(めん)"と變化(かはりぬ)。
"(べい)"は纔(わづ)かに、
烤鴨(あぶりがも)"春餠(しゆんべい)"などにその名(な)を殘(のこ)すのみ。

(こむぎのこ)を用(つか)ひ、
字面(じづら)のみ似(に)て姿形(すがたかたち)の異(こと)なる"餛飩(こんとん)":
そも"餛飩(こんとん)"とは、"渾沌(こんとん)"に由來(ちなむ)。
"渾沌(こんとん)"とは無七竅(なゝつのあなゝ)き神話生物(ものがたりのいきもの)

"渾沌(こんとん)"は"混沌(こんとん)"に同(おな)じ。
白麪(こむぎ)を練(ね)りて餡(あん)を包(つゝ)み竅(あな)なき故(ゆゑ)
その姿(すがた)より"混沌(こんとん)"と喚做(よびな)す。
嬉遊笑覽(きいうせうらん)*)に曰(いは)く:

「按ずるに、"混沌"、後に食偏に書かへたるなり
 煮て熱湯に漬して進る故、此方にては一名を"温飩"ともいひしなり。」
「今世"温飩"は、名の取違へなり
 それは、温麪にて"あつむぎ"といふものなりといへり。」

とは云へ、"日葡辭書(につぽじゝよ)"には、
"Vdon(うどん)"、もしくは"Vndon(うんどん)"の説明(はなし)として、
麪粉(こむぎこ)を捏(こ)ねて甚薄(いとうす)く作(つく)り、煮(に)たものにて、
 索麪(さくめん)、あるいは切麥(きりむぎ)のごとき餗(たべもの)」

江戸初期(えどのはじめ)"料理物語(れうりものがたり)"にも、
"うどん"と"切麥(きりむぎ)"を峻別(きびしくわ)けて記述(しる)さる。
兩者(ふたつ)の相違(たがひ)は太(ふと)さ
"うどん"は太(ふと)く、"切麪(きりむぎ)"は細(ほそ)し。

因(ちな)みに、"切麥(きりむぎ)"と"索麪(さくめん)"の差(さ)は、
"切麥(きりむぎ)"は庖丁(はうちやう)にて截(き)り
"索麪(さくめん)"は油(あぶら)を混(ま)ぜて拉(ひきの)ばすにあり。
これ、異朝(もろこし)も本朝(わがくに)も共通(おなじこと)

案下某生再説(それはさておき)、
當家(こちら)の饂飩(うんどん):
亂雜性(みだれ)、(こし)、平滑性(なめらかさ)、
一(ひと)つとして嗜好(このみ)に適合(あ)はざるは無(なし)

大多數(おほく)の讃岐饂飩(さぬきうどん)は齊一(とゝのひすぎてみだれなく)
武藏野饂飩(むさしのうどん)は臼齒(おくば)に頼哩(あらが)ひ
待塲饂飩(まちばうどん)に腰(こし)はなし
食獸(しよくじう)何(いづ)れの渾沌(こんとん)にも無竅(あなはなし)。

五秒(ごびやう)~十秒(じふびやう)、
鴨汁(かもじる)に(ひた)して咋之(これをくら)ふ。
實言(まこと)、味美也(よきあぢなり)!
(かも)、(ねぎ)、牛蒡(ごばう)、都(すべ)て吉(よし)。

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*)コマ番號 223/359
【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
久方(ひさかた)ぶりの『ひゞき庵』。
佳(よ)き鄙温飩(ゐなかうどん)を求(もと)め、彼此(をちこち)彷徨(さまよ)へど、
ひゞき庵に如(し)くは皆無(なし)の飛礫(つぶて)、
四九(しく)三十六計、走爲上計(さんじふろくけいにぐるにしかず)。

否(いな)、否(いな)、否(いな)!
爰(こゝ)で逐電(にぐ)るは漢(をのこ)にあらず。
石見銀山不要猫(いはみぎんざんねこいらず)、
遠山金四郎(とほやまきんさん)水野(みづの)を惶(おそれ)ず。

僕(やつかれ)卍(まんじ)、鴨(かも)を忘却(わす)れず
かくて、尋常(つね)のごとく、
"鴨蒸籠温飩(かもせいらうゝんどん)"、
對價(あたひ)、一千二百圓也(いつせんにひやくゑんなり)。

温飩(うんどん)は舌(した)に滑(なめ)らかにして、
適度(ほどよ)き齒觝觸(こし)を留(とゞ)む。
縒・亂雜性(よりとばらつき)も常態(つね)に異(こと)なるところなし。
溏油(だし)もまた然(しかり)。

"こし"と"だし"の存在(あ)る容(さま)、
宛然(あたかも)、神社(かむやしろ)の收納藏(くら)のごとし。
"だし"は慢慢(ゆるり)と引(ひ)き、
"こし"は激(はげ)しく肩(かた)に擔(かつ)ぎ、强(つよ)く足(あし)に踏(ふ)む。

足踏(あしぶみ)、繪踏(ゑぶみ)、これ 一二三(ひふみ)。
無齒(はなし)、無宿(やどなし)、狼藉(やりぱなし)。
田無(たなし)、龜無(かめなし)、雜談(むだばなし)。
温飩(うどん)啜(すゝ)りや、完食(のこりなし)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Flektogon 2.8/20 @F6.3~F11
更科』にて觸(ふ)れたごとく、
小人(それがし)、
漸(やうや)う、"うどん山(やま)"の宏大(ひろ)き裾野(すその)に到達(いたれり)
當家(こちら)『ひゞき庵』の位置附(いちづけ)は如下(つぎのとほり)。

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  【麪條(きりむぎ)(ふと)さ】  【麪條(きりむぎ)彈力(はごたへ)】
    ↑                 ↑
    |        ◎(武藏㙒)   |        ◎(武藏㙒
    |                 |
    |         ■『ひゞき庵』 |
    |                 |      △(加須
    |                 |     ■『ひゞき庵
    |        △(加須)    |
    |                 |  
    |                 |
    |                 |
    |                 |
    +----------→      +----------→
    【亂雜性(みだれ・ばらつき)】 【掛汁(かけじる)←→滲汁(つけじる)】
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淡醎(しほからさ)適度(ほどよ)く、多量(おほ)き(しる)には、
"掛汁(かけじる)"のごとく全體(すべて)を滲(ひた)すが適切(よい)
その儘(まゝ)では、冷(つめ)たく、硬(かた)めの麪條(きりむぎ)も
涮牛肉(しやぶしやぶ)のごとく泅(およ)がせば、軟化(やはらかに)、、。

ひゞき庵』の温飩(うどん)が正(まさ)にこれ。
その容(さま)、
宛然(あたかも)、工藝茶(こうげいちや)の熱水(ゆ)に開花(はなひら)くがごとし
この温飩(きりむぎ)を汁(しる)に潛(ひた)さぬは愚昧(おろか)

御内儀(おかみ)曰(いへら)く:
合鴨(あひがも)は腿肉(もゝ)ばかりを用(つか)ひ、
 厚(あつ)く切附(きりつ)くるを旨(むね)とす。」
「その理由(ことわり)、只顧(ひたすら)鮮(うまみ)を重視(おもんず)ればなり。」

麪條(きりむぎ)の短小(みじか)きは、
 二代目東道(にだいめあるじ)たる倅(せがれ)が所爲(せゐ)。」
勿使用之(これをつかふことなかれ)!と諭(さと)すも、
 聽(き)く耳(みゝ)持(も)たず!」

と、先代(さきつおやかた)との相違(たがひ)をうち哭(なげ)く
とは云へ、
「多(おほ)くの賓(まらうど)、
 "難冷(さめがたし)"と、この汁(しる)を絶賛(てばなしでほめたゝへたまふ)。」

倩(つらつら)"(しる)"と"温飩(うどん)"の相性(なか)を窺(うかゞ)ふに、
實(げ)に、
"比翼連理(ひよくれんり)"、"偕老同穴(かいらうどうけつ)"の趣(おもむき)。
卍(まんじ)、善哉(よき)、善哉(よき)!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 賓得(Pentax)Super 琢磨(Takumar)8枚玉 1.4/50 @F2.4~F4
小人(それがし)、
"鴨南蠻(かもなん)"より"鴨蒸籠(かもせいらう)"を嗜(この)む。
その理由(ことわり)、
暖(あたゝ)かき鴨汁(しる)と冷(つめ)たき温飩(うどん)との邂逅(であひ)にあり。

この日(ひ)課題(つまびらかにすべきこと)は、
温飩(うんどん)の最適温度(ほどよきあたゝかさ)
并(なら)びに、
鴨汁(かもじる)と温飩(うんどん)との最適温度差(もつともよきあたゝかさのさ)

そも、食感(はごたへ・したざはり)の對比(たがひ)、
たとへば、
 ・外皮(そと)は脆(もろく)←→ 中實(なかご)は嫩(やはらか)
は、誰(たれ)しもが意識(きにかく)るが常態(つね)。

然(さ)れば、
齒觝觸(はあたり)のみならず、
温度差(あたゝかさのさ)も、吾儕(わなみ)が研究課題(きはむべきこと)。
鮓(すし)の舎利(すめし)と鮓種(すしだね)との關係(あひだがら)などなど。

室温(へやのあたゝかさ)に馴染(なじ)ますが近會(ちかごろ)風習(ならひ)。
しかはあれど、
舎利(すめし)と鮓種(すしだね)が等温(おなじぬるさ)では
何(なん)とも締(し)まりなき味(あぢはひ)と墮(な)るほかなし

案下某生再説(それはさておき)、
件(くだん)の、温飩(うんどん)←→ 鴨汁(かもじる)
饂飩(うんどん)は冷水(つめたきみづ)に晒(さら)され、
大畧(およそ)攝氏十度(せつしゞふど、=10℃)ほど。

一方(かたや)、鴨汁(かもじる)は攝氏七十度(せつしなゝじふど、=70℃)ほどか?
 ①、饂飩(うんどん)を鴨汁(かもじる)に一秒(いちびやう)滲(ひた)す。
 ②、饂飩(うんどん)を鴨汁(かもじる)に五秒(ごびやう)滲(ひた)す。
 ③、饂飩(うんどん)を鴨汁(かもじる)に十秒(じふびやう)滲(ひた)す。

一秒(いちびやう)では、差(さ)が激(はげ)しく違和感(ゐわかん)、
十秒(じふびやう)だと、馴染(なじ)み過(す)ぎて、まるで"鴨南蠻(かもなん)"。
此度(こだみ)の實驗(こゝろみ)では五秒(ごびやう)が最善(もつともよし)。
人(ひと)に依(よ)り、太(ふと)さに從(したが)ひ、差異(さい)あるべし。

"鴨蒸籠(かもせいらう)"なるもの、
讃州(さぬき)で號(い)ふ"ひやあつ"に相當(あたる)。
"ひやあつ"を如何(いか)にして啖(くら)ふを「吉(よし)」とするか、
興味(ひかるゝところ)こそあれ、小人(それがし)、不案内(あづかりしらぬ)

玻璃(がらす)と錯覺(みまが)ふばかりの透明感(すけてきよらかなるさま)、
舌觸(したざは)りの平滑(なめ)らかさ、彈力(はごたへとねばり)、
(より)、稜線(かどのするどさ)、亂雜性(ばらつき・みだれ)、
一(ひと)つとして、僕(やつかれ)が嗜好(このみ)と相違點(ことなるところ)なし

鴨汁(かもじる)もまた秀逸(すばらしきもの)。
倩(つらつら)鴨肉(かも)の(そびら)を窺(うかゞ)ふに、
燒蔥(やきねぎ)ならで青々(あをあを)たる淺蔥(あさつき)を負(お)ふ
笹搔牛蒡(さゝがきごばう)用(つか)ふは、東都(えど)にもなき智慧(ちゑ)。

この(かも)、
畏(おそ)れ多(おほ)くも越谷御狩塲(こしがやのおんかりば)より、
五右衞門(ごゑもん)が盜(ぬす)み、次郎吉(じらきち)ばら撒(ま)きたるもの。
、、と云ふは、眞赤(まッか)な虚談(うそ)つきは泥棒(ぬすびと)の濫觴(はじまり)

扨(さて)、御立合(おたちあひ)!
武州越谷(むさしこしがや)に飼育(そだて)られましたる合鴨(あひがも)。
御狩塲(おかりば)の青首(あをくび)に比較(くら)べ、
己(おのれ)の醜惡(みにく)き姿(すがた)に駭(おどろ)き脂汗(あぶらあせ)

と演述(い)ふは、妄想(ゑそらごと)なれど、
蔬菜(あをもの)と一緒(とも)に燉(トロリトロリとにつむ)ること、霎時(しばし)。
相互(たがひ)に鮮(うまみ)を補(おぎな)ひ、高(たか)め、
これにある鴨油(かものあぶら)と成(な)りまする。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8~F4
二日(ふつか)拔驅(ぬけが)けの晦日饂飩(つごもりうんどん)。
勿論(いふまでもなく)、行方(ゆくへ)は手打饂飩(てうちうどん)『ひゞき庵』。
此度(こだみ)、初(はじめ)て"鴨南蠻温飩(かもなんばん)"を擇(えら)む。
對價(あたひ)、一千六百圓也(いつせんろつぴやくゑんなり)。

愚按(やつがれおもふに)、
"かへし"や溏油(だし)そのものは"鴨蒸籠(かもせいらう)と"共通(おなじもの)。
なれど、冷水(つめたきみづ)に〆る"蒸籠(せいらう)"と、
暖(あたゝ)かき儘(まゝ)の温飩(うどん)では齒觝觸(はあたり)が異(こと)なる

加旃(しかのみならず)、
"かけ汁(じる)"と"つけ汁(じる)"とでは濃度(こさ)に相違(たがひ)
利尻昆布(りしりこんぶ)+鰹本枯節(かつをほんがれぶし)+鯖節(さばぶし)、
なる構成(くみあはせ)は"つけ汁(じる)"に吉(よし)。

そもそも、利尻昆布(りしり)・鰹本枯節(ほんがれ)は、
懐石(くわいせき)・割烹(かつぱう)の(わん)に用(つか)ふもの。
縱令(たとひ)、これに鯖節(さばぶし)を加(くは)へたとて、
"かけ汁(じる)"に不可缺(かゝ)せぬ"下手味(げてみ)"に乏(とも)し。

"鴨蒸籠(かもせいらう)"が★4.5なら、"鴨南蠻(かもなん)"は★3.8ほど。
とは云へ、食(た)べ進(すゝ)めど、
一向(すこしも)「食(た)べ疲(づか)れ」する豫兆(きざし)なく
爽快(さはやか)にして、咽喉(のみど)も怡(よろこ)ぶ

そもそも、小人(それがし)、かの『室町砂塲』でも、
"天麩羅蕎麥(てんぷらそば)"より、
"(てん)もり"、もしくは"(てん)ざる"選擇(えらむ)が通例(つね)。
冷(つめ)たき蕎麥切(そばきり)に、温(あたゝ)かき滲汁(つけじる)

讃州(さぬき)ではこれを「ひやあつ」と號(い)ふ。
あまりに大名(なのおほき)な"讃州(さぬき)"に比較(くら)ぶれば、
温飩(うどん)の世界(よ)で、"武州(むさし)"など塵芥(ちりあくた)。
しかはあれど、"手截(てぎり"は"讃州(さぬき)"にも稀有(まれ)。

"手截(てぎり)"の特長(よさ)は、
 一、無機的均一性(つまらぬひとしさ)がなく、ほどよき亂雜性(みだれ)あること
 一、稜線(かど)の鋭角(するど)きこと
 一、"(よ)れ"を隨伴(ともな)ふこと

この近邊(あたり)、
武里(たけさと)に"讃岐饂飩(さぬきうどん)"『基藏』、
越谷(こしがや)に"武藏野饂飩(むさしのうどん)"『うちだや』など、
若手職人(わかて)"手截(てぎり"の舖(みせ)あれど、やはり『ひゞき庵』が吉(よい)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4

やはり温飩(うんどん)は手截(てぎり)に限(かぎ)る
琵琶湖(びはこ)に繁殖(はびこ)るブルーギル
丸龜(まるがめ)』嘯(うた)ふトリドール
饂飩(うどん)打(う)つのは製麪機(せいめんき)。

今(いま)や、彼此(をちこち)に跳梁跋扈(はびこ)る『丸龜製麪(こちら)』。
その容(さま)、
瞬(またゝ)く中(うち)に子孫(こやまご)を増殖(ふ)やし、
天(そら)を覆(おほ)ひ、地(ち)に滿(み)つる(いなご)を髣髴(おもはす)。

温飩(うどん)は"讃州(さぬき)"のみにあらず!!
人(ひと)を騙(だま)すは"(たぬき)"のみにあらず 。
副知事(ふくちじ)は(かなめ)のみにあらず。
妖怪(ばけもの)は垢甞(あかなめ)のみにあらず。

當家(こちら)の溏油(だし)は、
利尻昆布(りしりこんぶ)+鰹本枯節(かつをほんがれぶし)+鯖節(さばぶし)。
味精(あれ)を不使用(つかふことな)く、この魂消(たまぐ)るばかりの鮮(うまみ)
漿醤(しやうゆ)は銚子(てうし)の"濱口儀兵衞(やまさ)"。

當肆(こちら)の饂飩(うんどん)、
足踏(あしにてふ)み、手切(てぎり)し、一日(ひとや)熟成(ね)かす。
舌(した)に滑(なめ)らかで、絶妙(このうへな)き齒觝觸(はあたり)を殘(のこ)す
何(なに)より、麪條(きりむぎ)の(より)と亂雜性(ばらつき)が白眉(かなめ)。

連鎖店(れんさてん)『丸龜製麪(あそこ)』は勿論(いふまでもなく)、
讃州(さぬき)で名店(なのあるみせ)ですら、
菜刀(はうちやう)で手截(てぎ)りするは稀有(まれ)
(より)と亂雜性(ばらつき)は手截(てぎ)りなればこそ

この色艷(いろつや)は美女(たをやめ)の口唇(くちびる)を髣髴(おもは)せ、 
その光輝(かゞやき)は燕流鏡面研磨(みがきやのかゞみしあげ)の如(ごと)く、
鴨汁(かもじる)に浮(う)く膩(あぶら)も天目茶碗(あれ)に似(に)たり。
愚按(やつがれおもふに)、味(あぢ)も姿(すがた)も讃岐(さぬき)を凌駕(しのぐ)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :蔡司(Carl Zeiss)C Sonnar T* 1.5/50 ZM @F2.2~F4
日光街道(につくわうかいだう)に佳店(よきみせ)なきこと
宛然(あたかも)、
蛙(かはづ)に臍(ほぞ)なく、和尚(おしやう)に髮(かみ)なきがごとし
土龍(むぐら)が天空(そら)を飛翔(と)ぶ」と言(い)ふべき歟(か)?

蒙御免、餐廳番附、行司=價格公司(ごめんかうむるくひものやばんづけ)」に、
四星(よつぼし)は稀有(まれ)。
加旃(しかのみならず)、
番附上位(うへ)も新派拉麪(あたらしきもろこしのきりむぎ)ばかり。

往古(いにしへ)以來(よりこのかた)、
當地(このあたり)は小麥(こむぎ)に恵(めぐ)まれ、
家々(いへいへ)で打(う)つほど"温飩(うんどん)"は身近(みぢか)
"餛飩(うんどん)"とは元來(もとより)"餛飩(こんとん、ワンタン)"のこと。

羊羹(ひつぢのあつもの)が紅豆果凍(あづきのにこゞり)に變化(ば)け、
"餛飩(ワンタン)"は"切麥(きりむぎ)"へと"收斂進化(かはりはてぬ)"。
因(ちな)みに、
"切麥(きりむぎ)"は異朝(もろこし)"切麪(きりめん、せつめん)"が濫觴(はじまり)。

巧拙(よしあし)ありと雖(いへど)も、
この近邊(あたり)では麪粉(うどんのこ)を捏(こ)ねて延(の)し
これを庖丁(はうちやう)で切斷(たちき)りて温飩(うんどん)となすが通例(ならひ)。
其處(そこ)の蕎麥店(そばや)も、彼處(かしこ)の温飩(うどんや)も、、。

とは云へ、
山葵(わさび)は(こな)、(えび)は冷凍物(あれ)と云ふ爲體(てゐたらく)。
如何(いか)に山葵(わさび)と蝦(えび)を囘避(さ)くるか」、が、
温飩(うんどん)啖(くら)ふ要諦(かなめ)となる。

饂飩(うんどん)は讃州(さぬき)に限(かぎ)る!」が衆目一致(ひとしきみかた)。
さはあれ、その多(おほ)くは舶來麪粉(あちらのこな)を用(つか)ひ、
庖丁(はうちやう)ならぬ器械(うちもの)にて截斷之(これをきる)。
"亂雜性(みだれ)"も"(より)"もなき陳腐(ありきたり)の麪條(きりむぎ)

反之(これにひきかへ)、
武州(むさし)、就中(わきても)、この近邊(あたり)の温飩(うんどん)は、
"亂雜性 (みだれ)"も"(より)"もあり、 角(かど)が立(た)つ
されば、血沸(ちわ)き、肉踊(にくをど)り、魂(たましひ)も搖(ゆ)さぶらる

かの"刀削麪(とうしやうめん)"は勿論(いふまでもなく)、
便宜店(こんびに)の蕎麥切(楚者゛きり)ですら、
"亂雜性(みだれ)"を重視(おもん)ずるが近會(ちかごろ)の烹飪法(やりかた)
"彈力性(こし)"と"平滑性(なめらかさ)"は肆(みせ)に依存(よりけり)。

御内儀(おかみ)に據(よ)らば、
麪粉(うどんのこ)は、何季節(いつ)でも"あかぎ "、"百合星 (ゆりぼし)"。」
六(むつ)かしき東瀛(ひのもと)の麪粉(うどんのこ)を用(つか)ふは、
激賞(てばなしでほめたゝ)ふるに價値(あたひ)す。

當家(こちら)の麪粉(こ)は (ふすま)を除去(のぞ)きたるものなれど、
全粒粉(ふすまいりうどんのこ)を用(つか)ふ家(いへ)も、、。
幸手宿(さつてじゆく)『中村製麪所』これなり。
二升五合(にしやうはん)糠(ふすま)の舌觸(したざは)り。

およそ、"温飩(うんどん)"なるもの、
地域(ところ)により千變萬化(さまざまにかはる)
"平滑性(なめらかさ)"なら"稻庭(いなには)"、
"亂雜性(みだれ)"ならこの界隈(あたり)のものが最善(なにより)。

扨(さて)、
その溏油(だし)はと惟(おもんみ)るに、
讃州(さぬき)なら"いりこ"すなはち"鰯煮干(いはしのにぼし)"に昆布(こんぶ)、
東國(あづま)では"鰹節(かつをぶし)"+"鯖節(さばぶし)"が主體(おも)。

當家(こちら)の溏油(だし)は、
利尻昆布(りしりこんぶ)+鰹本枯節(かつをほんがれぶし)+鯖節(さばぶし)。
京師(みやこ)で嗜(この)まるゝ利尻(りしり)も、東國(あづま)では稀有(まれ)。
東道(あるじ)、板前出身(いたまへあがり)なれば、、」との説明(はなし)。

汁(つゆ)の鹵味(しほけ)は慣習(ならひ)の濃口豆油(こいくちしやうゆ)。
具材(ぐ)は、合鴨(あひがも)、小蔥(こねぎ)、牛蒡(ごばう)、金針菇(えのき)。
上記(くだん)の溏油(だし)と濃口生抽(こいくちしやうゆ)に、
合鴨(あひがも)の(うまみ)と(あぶら)が共鳴(ひゞきあふ)。

その音色(ねいろ)、
(しやう)、篳篥(ひちりき)の名匠達(たくみたち)の協奏(かな)づる、
絲竹艷曲(しちくえんきよく)に異(こと)ならず。
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

鰯煮干 溏油(いりこだし)に薄口秋油(うすくちしやうゆ)」、
と云ふ 讃州(さぬき)ばかりが温飩(うんどん)にあらず!
關東(あづま)の温飩(うんどん)にも精麁(よしあし)あり。
當家(こちら)の饂飩(うんどん)、紛(まが)ふ方(かた)なき上等品(よきしな)。

藥味(やくみ)の(ねぎ)は、
東都(えど)の老舖(しにせ)とは天淵冰炭(おほきなるたがひ)
山葵(わさび)・(えび)は勿論(いふもさらなり) 。
(ちや)も出涸(でが)らし。

五十嵐(いがらし)、木枯(こが)らし、來(き)にけらし。
そもそも東都(えど)では茶(ちや)は提供(いださ)ぬが慣習(ならはし)
かゝるところに眼(まなこ)瞑(つぶ)るなら、
この"鴨蒸籠(かもせいらう)"、胸(むね)を張(は)るべき佳品(よきしな)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F3.5
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F8

  • "温飩(うんどん)"
  • "鴨汁(かもじる)"に"温飩(うんどん)"#BCMKR! ©ドクシマぱいせん ①
  • "橘(みかん)"

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6位

NOURA (浅草(つくばEXP)、浅草(東武・都営・メトロ) / ビストロ)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2018/11訪問 2018/11/11

田圃裏(たんぼうら)に うち出(いで)ゝみれば 狼狽(うろたへ)の 東道(あるじ)廚(くりや)に 平鍋(なべ)を振(ふ)りつゝ

今夏(このなつのこと)、
淺草象潟(あさくさきさかた)『オマージュ』裏(うら)に大衆食堂(めしや)」
との噂(うはさ)を耳(みゝ)に、、。
うらめしや」たァ、淺草田圃(あさくさたんぼ)象潟怪談(きさかたくわいだん)。

當時(そのころ)、
急病(にはかやまひ)を罹患(わづら)ひ、
漸(やうや)う、葉(は)も色附(いろづ)く時候(ころ)になりて、
豬牙舟(ちよき)・四手駕籠(よつで)ならぬ徒歩(かち)にて遲參(おくればせ)。

オマージュ』の裏食堂(うらめしや)『NOURA』:
扉(とびら)を開(ひら)き、廚房(くりや)を見(み)るに、
平鍋(なべ)を振(ふ)るは、荒井昇師傅(あらゐのぼるおやかた)その人(ひと)。
眼眶(まなこ)擦(こす)ること三度(みたび)

菜譜(しながき)より、
"前菜(アントレ)"のタスマニア鮏(さけ)、
"禽獸肉(ヴィヤンド)"の煎豬排(ぶたにくロティ)、
"甜品(デセール)"として雪葩(ソルベ)を選擇(えらむ)。

その直後(すぐあと)、
「南無三寶(なむさん)、"パテ・ド・カンパーニュ"にすべき!!」、
と後悔(くやむ)こと頻(しき)り。
技倆(うで)の判別(わ)かるがこの類(たぐひ)の菜(もの)

上質(よ)き紅葡萄酒(さけ)を貰(もら)ひ、
麪麭(ぱん)に牛酪(ばた)、麪麭蝶(Bread-and-Butterfly)を頂戴(いたゞく)。
酒(さけ)美味(うま)く、仲居(なかゐ)沈魚落雁閉月羞花(うつくし)
なる戲歌(ざれうた)を想起(おもひおこす)。

小麥馨(こむぎのかをり)こそ稀薄(うす)きものゝ、
麪麭(ぱん)は適切(ほどよ)く炙(や)かれ、齒觝觸(はあたり)良好(よし)
「"スタイルブレッド"のもの」とのよし。
高名(なのあ)る麪麭(ぱん)では强(つよ)きに過(す)ぐる歟(か)?

奧州(むつ)南部高原豚(なんぶかうげんぶた)の"烤豬排(ロティ、あぶりやき)":
芯(なか)の舌(した)に滑(なめ)らかなること豆腐(とうふ)かと疑(うたが)はれ
武火(つよび)以て固(かた)めたる環繞(ぐるり)は、
心持(こゝち)よき齒應(はごたへ)に富(と)む。

その火候(ひいれ)の妙(たくみさ)には感服(したをまく)ほか術(てだて)なし。
小賢(こざ)しき"低温調理(ていおんてうり)"に依存(たよ)らで、
天火(てんぴ)に烤(あぶ)り、霎時(しばし)休(やす)ませ
提供直前(いだすゝぐまへ)に煎(いりつけ)、と演述(い)ふ烹調法(やりかた)。

(いろどり)、食器(うつは)、纖細(こまやか)なる盛附(もりつけ)、など、
オマージュ』とは雲壤(くもとつち)ほどの相違(たがひ)。
とは云へ、★★師傅(ふたつぼしおやかた)が自(みづか)ら平鍋(なべ)を振(ふる)ひ
この價格(ね)で濟(す)むとは、脱帽(おそれいり)やはこの近傍(ちかく)

辭別(いとまごひ)せんとするに、
亭主夫婦(あるじめをと)、うち揃(そ)ひて叮嚀(ねんごろ)に挨拶(あいさつ)。
瞬時(かたとき)も離(はな)れぬ容(さま)
漢方藥局(くすりや)の蛤蚧(おほやもり)に寸毫(つゆ)異(こと)なることなし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4~F4
     :福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F11

※↓圖像(ゑ)の"縱縞(たてじま)"は、
 點滅光源(ちらつくあかり)の無音撮影(おとなしさつえい)に伴(ともな)ふもの。

  • 東道(あるじ)夫婦(めをと)【掲載許可濟】2018-11撮影
  • 屋號入(やがうい)りの水(みづ)
  • 高脚杯(ぐらす)に掃愁帚(さけ)

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7位

オクサリス (越谷 / フレンチ)

4回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 ¥1,000~¥1,999

2020/04訪問 2020/05/02

"蜂巢胃(うしのはちのす)"に惹(ひ)かれて『オクサリス』參(まゐ)り

東道(あるじ)が"Facebook"の"蜂巢胃咖哩(うしはちのすいのカリィ)"に惹(ひ)かれて、
氣(き)も漫(すゞ)ろ、慌忙(あはて)ゝ電話(テレフヲーン)すれど、
「午刻(うまのこく、≒0PM)より未刻(ひつぢのこく、≒2PM)までは一杯(うまり)、
 未刻(ひつぢのこく)以降(よりのち)なれば、、」との説明(よし)。

かくて、西洋土圭(せいやうどけい)十五字前(じふごじまへ)に訪問(たづぬ)。
"蜂巢胃咖哩(うしはちのすいのカリィ)"は取置(とりお)きなれど、
"奶黃布甸(カスタード・プヂング)"が完賣(うりきれ)、"カヌレ"を需(もと)む。
對價(あたひ)、一千一百圓也(いつせんいつぴやくゑんなり)。

"ゆめぴりか"なる米飯(うるのこめひめいひ)に掛之(#BCMKR!©ドクシマぱいせん)、
ベジブル農商』の"掻菜(かきな)"を配搭(あしら)ひ、
"蜂巢胃咖哩飯(うしはちのすいのカリィめし)"と做(な)す。
"行森師傅(ゆきもりおやかた)"、やはり、"拂郎西察菜(ふらんすめし)"が適(よし)。

茲(こゝ)で"カヌレ"はと觀察(み)るに、
徑(さしわたし)一寸(≒3cm)、丈(たけ)一寸(≒3cm)のものが五箇(いつゝ)。
無論(いはずもがな)の鮮美(よきあぢ)なれど、
"小餜子(ちひさきなんばんぐわし、プティ・ガトー)"の等類(たぐひ)歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)3.5/35 @F5.6~F8
     旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8 ※2018-03
嘗(かつ)て、
何(なん)でも齧(かぢ)らう」の異名(またのな)を持(も)つ男(をのこ)あり。
映畫監督(えいぐわかんとく)"山本嘉次郎(やまもとかじらう)"こそ、その人物(ひと)。
萬事無所不通(よろづ、つふじざるところなく)、"食(うけ)"は勿論(いふもさらなり)。

その博識家(ものしりな、おと)が、
亭主(あるじ)に、美菜(うまきもん)食(く)はす顏(かほ)あり!
なる名言(めいげん)喝破(は)きしは大畧(およそ)五十年前(いそとせまへ)のこと。
東西(ひがしとにし)に兩横綱(ふたりのよこづな)あり」とも、、。

その東横綱(ひがしのよこづな)こそ、
吾(わが)義伯父(ぎりのをぢ)"T橋T嗣"(ていはしていじ)。
"小さん"を髣髴(おもはす)貍顏(たぬきがほ)ながら、技倆(うで)は慥(たしか)
"山本嘉次郎(なんでもかじらう)"斯(か)く斷言(いひ)しも納得(うべなるかな)!

華洛(みやこ)の廚師(いたまへ)にかゝる顏(かを)不稀(まれならず)といへど、
冢中枯骨(それがし)、西國(あちら)に甚疎遠(はなはだうとし)。
東都(えど)では如何(どう)歟(か)?
喜壽司油井隆一先代親方(ゆゐりゆういちせんだい)が筆頭(いやさきにうかぶ)。

二年前(ふたとせまへ)入鬼籍(なくなられ)たは、
鮓好(すしず)きには痛手(いたで)であり、惜(を)しみてもなほ餘(あま)りある。
鶴八師岡幸夫初代親方(もろをかゆきをしよだい)は旣(すで)に引退(しりぞ)き、
今時(いまどき)の若手(わかて)は大同小異(どんぐりのせくらべ)

扨(さて)、當家(こちら)『オクサリス行森二郎師傅(ゆきもりじらうおやかた):
愚按(やつがれおもふに)、
紛(まぎ)れもなく「美菜(うまきもん)食(く)はす顏(かほ)」!
(ことば)、舉動(ふるまひ)、眼光(まなこのひかり)、亦(また)然(しかり)。

加旃(しかのみならず)、
午(ひる)の商賣(あきなひ)なき木曜日(もくやう)に覗(のぞ)くと、
晩餐(よる)に備(そな)へて塵一(ちりひと)つなきやう清掃(きよらかにはきゝよむ)
これには、驚歎(おどろき)、草石蠶(ちよろぎ)、六本木(ろつぽんぎ)。

その廚藝(わざ)・凄腕(すごうで)ぶりは旣知(すでにしる)ところ。
"胡蘿蔔(せりにんじん)"を"シャトー"に剥(む)かで、皮附(かはつき)にせしは、
その方(はう)が"甜(あまみ)"に分(ぶ)あり」との説明(よし)。
實(げ)にも!

そもそも、
"禽獸(とりけだもの)"も"魚類(うをのたぐひ)"も、
(かは)と皮下(かはのした)に華美(よきあぢ)存在(あ)るが通例(つね)。
忌避(いみきら)はるゝ"(かいる)"・"蟒蛇(うはゞみ)"とて同(おな)じこと。

"蔬菜(あをもの)"、"果子(このみ、くさのみ)"、また、ほゞこれに準(したが)ふ。
剥(む)きたる"獨活(うど)"や"蘿蔔(おほね)の皮(かは)を再利用(いか)し、
煎附(いりつ)けて"金平(きんぴら)"と爲(な)すも、
悋嗇(エコ、しはんばう)であるのみならず、その鮮美(あぢのよさ)さにも起因(よる)

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
掃愁帚(さけ)】:
  ・紅葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)

先附(アントレ)之一】:
  ・豕肉醤糜(ぶたにくテリヌ)
     +フラマンふう紫甘藍(むらさきはぼたん)
        シュー・ルージュ・ド・フラマンドル 林檎+餹霜(しろざたう)
     +扁豆(ひらまめ)+紅蘿蔔(せりにんじん)

先附(アントレ)之二】:
  ・寶塔花菜(ロマネスコ)

先附(アントレ)之三】:
  ・紅蘿蔔湯(せりにんじんポタージュ)

麪麭(パン)】:
  ・裸麥入(らいむぎい)りの麪麭(パン)

禽獸肉(ヴィアンド)】:
  ・燻烹五花肉(いぶしぶたばらにくにこみ)
    ・五花肉(ぶたばら)溏油(ブイヨン)仕立(じたて)
        櫻(さくら)+林檎(りんご)のチップで燻(いぶ)す
    《配搭(つけあはせ)》
     ・靑梗菜(せいかうな)
     ・菘根(かぶら)
     ・胡蘿蔔(せりにんじん)
     ・秋葵(おくら)
     ・甘藍(はぼたん)
     ・玉米笋(なんばんきびのこ)
     ・西蘭花(ブロッコリ)


甜品(デセール)】:
  ・杏(からもゝ)入(い)り奶黃布甸(カスタード・プディング)
  ・磅蛋糕(カトルカール)の等類(たぐひ)+雪葩(ソルベ)

飮料(テ)】:
  ・意大利咖啡(エスプレッソ)
=======================================

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8~F5.6
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8 ※2018-03
劈頭(いやさき)に紅葡萄酒 (さけ)を貰(もら)ふ。
これを一口(ひとくち)餘(あま)して【先附(アミューズ)】を嚥下(ひとのみ)。
然(しか)る後(のち)、麪麭(パン)が此方(こなた)に、、。
隨伴(つきしたが)ふは無鹽醗酵牛酪(しほなしはつかうバタ)。

倩(つらつら)麪麭(パン)の仔細(あれやこれや)を觀察(うかゞ)ふに、
圖像(ゑ)のバゲット擬(もど)きの小法國麪麭(プティ・パン)と、
無傘(かさなき)蕈菇(シャンピニオン)を髣髴(おもは)すもの。
中相(クラム)に無氣泡(うたかたなし)と云へど、なかなかに味美也(よきあぢ)。

東道(あるじ)説明(い)ふやう:
「"リスドォル麪粉(こ)"に"裸麥(らいむぎ)"を加(くは)へ、、、云々(うんぬん)」
黃油(バタ)とも仲睦(なかむつ)まじく、
宛然(あたかも)、百年(もゝとせ)連添(つれそ)ひたる女夫(めをと)のごとし。

安宅(あたか)も富樫(とがし)、夜鷹(よたか)は無宿(やどなし)、
田中(たなか)無●丸(たまなし)、一二三(ひふみん)無齒(はなし)、
(たぬき)と西鄕(あのひと)、八疉敷(はちじやうじき)。
越ヶ谷(ゐなか)に法國大餐(これ)は、非常識(ひじやうしき)。

勿驚(おどろくなかれ)、
劈頭(いやさき)の麪麭(パン)から、
掉尾(いやはて)の茶菓子(ミニャルディーズ)に至(いた)るまで、
悉(ことごと)く、行森師傅(ゆきもりおやかた)自家製(てづからのしな)。

廚(くりや)には唯一人(たゞひとり)
仲居(なかゐ)は勿論(いふまでもなく)、猫前脚(ねこのて)すらもなし。
かゝる鄙(ゐなか)に正宗法國菜(まともなるフランスのあぢ)とは、
(ねこ)に小判(こばん)」、「成金(なりきん)に猫脚家具(ねこあしかぐ)」。

成金(なりきん)に猫脚家具(ねこあしかぐ)、
變態(へんたい)猫肉球嗅(ねこあしをか)ぐ。 ←※失禮(すまそ)
しかして、小人(それがし)、
師傅(おやかた)の手(て)になる菜(れうり)の芳香(かぐはしきかをり)を嗅(か)ぐ

"(いろどり)"、"火候(ひいれ)"、"季節感(きせつかん)"、
一(ひと)つとして疑義(くびかし)ぐるところなし
慥(たしか)に、現今(いま)をときめく師傅(おやかた)にして
火候(ひいれ)を失敗(あやま)り、色(いろ)を毀損(うしな)ふは稀(まれ)

とは云へ、
碟(さら)に、(はる)~初夏(なつのはじめ)の食材(しよくざい)が列(なら)ぶは、
望外(のぞまざ)る怡(よろこ)び。
師傅(かれ)は、季(とき)を辯(わきま)へ、客(ひと)の意(こゝろ)を察知(し)る

螢魷魚(ほたるいか)、蛤蜊(あさり)、青山椒(あをざんせう)、春甘藍(はぼたん)、
甜瓜(めろん)、(えだまめ)、蠶豆(そらまめ)、蒲柬瓜(かぼちやうり)、、。
淺蜊(あさり)の火候(ひいれ)、春甘藍(はるのはぼたん)の甜(あまみ)、
蠶豆(そらまめ)、(えだまめ)の翠(みどり)。

東瀛(ひのもと)ならずとも、震旦(もろこし)なら、
(なつ)の西瓜(すいか)、冬瓜(たうがん)、哈密瓜(はみうり)、
(あき)大閘蟹(もくづがに)、(ふゆ)には冰糖葫蘆(さんざしあめがけ)と、
季節(とき)を象徴(あらは)し、民(たみ)を悦(よろこ)ばす逸品(よきしな)あり。

然(しか)るに、
遠(とほ)く南蠻紅毛(あちら)の餐檯(めしづくゑ)を窺(うかゞ)ふに、
(はる)の蘆笋(アスパラ)、(ふゆ)の牡蠣(かき)・獵物(ジビエ)など、
屈指(ゆびをゝりてかぞふ)るほど。

當家(こちら)、
本朝(わがくに)懐石・割烹(よきめしどころ)には不及(およばぬ)にせよ、
季節感(とき)に配慮(おもんみ)色彩(いろどり)を忖度(おもんばかる)
その容(さま)、●ヶ關(あそこ)や、■大美式足球部(こちら)を凌駕(しのぐ)。

但(たゞ)し、
權力者(ながきもの)に卷(ま)かれ、阿(おもね)り阿諛(へつら)ふにあらで
徹頭徹尾(あくまでも)、
己(おのれ)が廚藝(わざ)を活(い)かし、客(きやく)を喜(よろこ)ばすため

價格(ね)が値(ね)故(ゆゑ)、
高級食材(ねのはるもの)は皆無(なし)
家鴨(あひる)はバルバリー鰕仁(えび)は冷凍白對蝦(れいとうバナメイ)。
(すし)・天麩羅(てんぷら)なら、かゝる鰕(えび)は忌避(さ)くるが尋常(つね)

烹飪技術(くりやわざ)に桌越(ひいで、いとすゝみ)たる、
唐土(もろこし)・法國(フランス)なら、
"白對蝦(バナメイ)"すら良質素材(よきそざい)と化(な)る。
とは云へ、夏華(もろこし)上漿・包油(したあぢ・あぶらどほし)に如(し)くはなし。

師傅(おやかた)、
甜品(デセール)として"玻璃盞甜品(ヴェリーヌ)"を選擇(えらむ)。
高々(たかだか)廿年前(はたとせまへ)に登場(あらはれ)たる製菓技法(わざ)
外觀(みため)と(あぢ)・齒觝觸(はあたり)の重層感(かさなり)や吉(よし)。

加旃(しかのみならず)、
風韻(かをり)もまた、層毎(そうごと)に千變萬化(さまざま)
八角茴香(たうしきみ)、甜瓜(メロン)、香莢蘭(ヴァニラ)、(やしのみ)、、。
攪拌(かきま)ぜて餐(くら)ふも、また、吉(よし)

その上(うへ)に、
茶菓子(ミニャルディーズ)とは惶(おそ)れ入谷(いりや)の蕣市(あさがほいち)
さりながら、行(ゆ)きつけの『あそこ』や『こゝ』の素朴(そぼく)さを前(まへ)に
無顏色(かほのいろをうしなふ)

あそこ』は築地蔬菜市塲(やッちやば)仕入(しい)れの果實(くだもの)、
こゝ』は法國渡來(フランスわたり)の冰酪(あいすくりん)。
元手(もとで)こそ要(い)るものゝ、手間(てま)不要(いらず)
手間(てま)も元手(もとで)も不要(かゝらぬ)は"これ"くらゐのもの。

因(ちな)みに、當夜(このよ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
掃愁帚(さけ)】:
  ・紅葡萄酒(ぶだうざけ)

先附(アミューズ)】:
  ・"螢魷魚(ほたるいか)"燻製(くんせい)
  ・奶油乾酪(くれむちいず)+石蓴(あをさ)

麪麭(パン)】:
  ・小法國麪麭(プティ・パン)などに+醗酵黃油(はつかうバタ)

前菜(アントレ)之一】:
  ・"煎鰕仁(むきえびソテ)"+"豬腿肉(ぶたもゝにく)"

前菜(アントレ)之二】:
  ・"煎蝦夷扇貝(ほたてがひソテ)"に、
      蠶豆(そらまめ)、淺蜊(あさり)、春甘藍(はるはぼたん)

禽獸肉(ヴィアンド)】:
  ・煎鴨(かもいりつけ)

(スープ)】:
  ・蒲柬瓜(かぼちやうり)の濃湯(ポタージュ)
     洋蔥(たまねぎ)+胡桃(くるみ)+西班牙香膓(チョリソ)

甜品(デセール)】:
  ・"玻璃盞甜品(ヴェリーヌ)"、三層(さんそう)
    ・八角茴香(たうしきみ)ブランマンジェ
    ・甜瓜果凍(メロン・ジュレ)
    ・香莢蘭冰酪(ヴァニラあいすくりん)
    ・椰(やしのみ、コヽナッツ)

飮料(テ)】:
  ・意大利咖啡(エスプレッソ)

茶菓子(ミニャルディーズ)】:
  ・カヌレ
  ・橘(オレンヂ)と芭蕉(バナヽ)の燒菓子(やきぐわし)
=======================================

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
Vit師傅(おやかた)が注目(あつきまなざしそゝ)ぐ肆(みせ)。
網站(ウゑブサイト)より窺(うかゞ)ふに、
勿愕(おどろくなか)れ、"パテ・アンクルート"まであるではない歟(か)!
と云ふ經緯(いきさつ)にて當家(こちら)『オクサリス』に、、。

扉(とびら)開(あ)くるや、
東道 (あるじ)莞忝(につか)とうち咲(ゑ)み小人(それがし)を歡迎(むかふ)。
烹飪(てうり)から管待(もてなし)まで、都(すべ)て一人(ひとり)
實(げ)に、獅子奮迅(しゝふんじん)、八面六臂(はちめんろつぴ)の働(はたら)き。

行森二郎(ゆきもりじらう)師傅(おやかた)、
昭和四十九甲寅歳(せうわよんじふくきのえとらどし、=1974)、陸州生(むつう)まれ。
内外(をちこち)にて修業(わざをみにつ)け、今日(いま)に至(いた)る。
その面相 (つらがまへ)たるや、人氣師傅(いまをときめくはながたおやかた):

チウネ古田諭史(ふるたさとし)、『Ode生井祐介(なまゐいうすけ)、
Amour後藤祐輔(ごとういうすけ)、『ラチュレ室田拓人(むろたゝくと)、
タパテリア ラ カソーラ大久保恆平(おほくぼこうへい)等(ら)と較(くら)べて、
贏(まさ)ると云ふとも劣(おと)ることなし

端的(てみじか)に斷言(い)ふなら、
凄腕師傅(すごうでおやかた)の骨相(かほつき・つらがまへ)」
(なべ)や(くりや)の清掃(ていれ)もまた完璧(ひのうちどころなし)
これで不味(まづ)き道理(ことわり)も皆無(なし)

金屬洋食器(カトラリ)は、葡萄牙(ポルトガル)"Cutipol"製(せい)。
桌布(テーブルクロス)はなく、餐巾(ナプキン)は(かみ)。
午餐(ひるめし)の菜譜(こんだて)も纔(わづ)かに三種(みくさ)のみ。
一人(ひとり)では致(いた)し方(かた)のなきところ歟(か)?

"前菜(アントレ)"、"主菜(しゆさい)"、"甜品(デセール)"、"飮料(テ)"、
と云ふ流(なが)れ。
"主菜(しゆさい)"は、
"禽獸肉(ヴィアンド)"・"魚肉(ポアソン)"三種(みくさ)より選擇(えらむ)。

"甜品(デセール)"なしなら一千五百圓(いつせんごひやくゑん)、
"甜品(デセール)"が三百圓(さんびやくゑん)、
"紅葡萄酒(さけ)"六百圓(さんびやくゑん)で、
都合(あはせ)て、對價(あたひ)、二千四百圓也(にせんよんひやくゑんなり)。

火候(ひいれ)、(いろどり)、鹵味(しほけ)、齒觝觸(はあたり):
一(ひと)つとして嗜好(このみ)に不適合(あはざる)はなし
就中(わきても)、
"ポトフ"を髣髴(おもは)す、"燉豬五花肉(ぶたばらにこみ)"には感服(したをまく)。

"東坡肉(とうばにく)"のごとくして"東坡肉(とうばにく)"にあらず。
"ポトフ"とは元來(もとより)家常菜(いへめし)なれど、
陳腐(ありきたり)の家常菜(いへめし)ならで、
高名(なだか)き餐廳(めしや)の一碟(ひとさら)に足(た)る洗煉度(たかみ)。

"秋葵(オクラ)"・"油菜(あをな)"の色彩(いろみ)、
"蕪菁(かぶら)"と"玉米(たうきび)"の慥(たしか)なる食感(はどたへ)、
そして何(なに)より"豬五花肉(ぶたばらにく)"への火候(ひいれ)。
至高(このうへな)き原汁(フォン)は「雞溏油(フォン・ド・ヴォライユ)」。

やはり、晩餐(ばんめし)ならざれば實力(まことのちから)を評價(うかゞ)ひがたし
稀有(まれにみ)る手煆煉(てだれ)なるは明白(あきらか)なれど、
午餐(ひるめし)ばかりでは、
髭一條(ひげひとすぢ)より虎(とら)の姿(すがた)を想像(うかゞ)ふに等(ひと)し。

因(ちな)みに、當日(このひ)の菜譜(こんだて)は如下(つぎのとほり):

=======================================
紅葡萄酒(さけ)】:

先附(アントレ)】:
  ・"鴨肉(かも)"+紫甘藍(むらさきはぼたん)+扁豆(ひらまめ)+菜花(なばな)
  ・"芽甘藍フラン(めきやべつふらん)"
  ・"胡蘿蔔濃湯(せりにんじんポタージュ)"

禽獸肉(ヴィアンド)】:
  ・"燉豬五花肉(ぶたばらにくにこみ、≒ポ・ト・フ)"、
    ・豬五花肉(ぶたばらにく)
    ・胡蘿蔔(せりにんじん)、玉米(たうきび)、蕪菁(かぶら)、秋葵(オクラ)、
     甘藍(はぼたん)、油菜(こまつなのたぐひ)、咬<口留>吧(じやがたら)

甜品(デセール)】:
  ・雪葩(ソルベ)
  ・南蠻菓子(ガトー)
  ・抹茶布甸(まつちやプディング)

飮料(テ)】:
  ・紅茶(こうちや)
=======================================

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F3.5
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Flektogon 2.8/20 @F5.6~F11

  • 行森二郎(ゆきもりじらう)師傅(おやかた)【掲載許可濟】2018-03撮影
  • "蜂巢胃咖哩(はちのすカリィ)"、#BCMKR!(©ドクシマぱいせん)
  • "蜂巢胃咖哩(はちのすカリィ)"に”掻菜(かきな)”

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8位

宝来家 (春日部 / 中華料理、食堂、ラーメン)

38回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 3.6
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2023/03訪問 2023/03/31

井蛙語於海(ゐのなかのかはづがうみをかたり)、夏蟲語於冰(なつのむしがこほりをかたる)

有一日(あるひ)、普請中(ふしんのさなか)、
"粕壁停車塲(かすかべステンショ)"へと下車(おりた)つ。
右手(めて)に"櫻花(さくらのはな)"を見遣(みや)りつゝ、いざ、『寶來家』に、、。
炮(あぶり)、寒鰤(かんぶり)、久方(ひさかた)ぶり。

壁面(かべ)の菜譜(こんだて)を睨(にら)むこと霎時(しばし)。
「あれでもなし、これでもなし、ろくでなし、西洋梨(せいやうなし)」と惱(なや)み、
竟(つひ)に、またもや、またまた、"雲吞麪(こんとんそば)"、
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)。

その"(あぢはひ)"、常態(つね)に一無差異(ことなるところなし)。
"味精(あれ)"?  -----> 無問題(くるしうない)!
嫩(やはらか)き"麪條(きりむぎ)"  -----> 許容範圍内(くるしうない)!
紅白(くすりまみれ)の"鳴門卷(なるとまき)" -----> 無關係(くるしうない)!

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)APO-LANTHAR 2/50 Asph. @F2.8~F4
     福倫達(Voigtländer)SUPER WIDE-HELIAR 4.5/15 ASPH. III @F11
     高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2 ※2018-02
猛暑(たけだけしきあつさ)には"啤酒(むぎのあはざけ)"!
、、、となるが、庶民(われわれ)であり、世(よ)の風習(ならひ)と云ふもの。
"麥酒(これ)"に適合(よ)き"鍋貼(やきかうじ)"が今一(いまひとつ)ゆゑ、
"韭菜豬肝(にらレヴァ、ぶたきもとにらのいためもの)"一擇(あるのみ)。※←ワカモノコトバ

この雌雄(つがひ)は尋常(つね)のことながら、
此度(こだみ)は、"大業物(おほわざもの)"による"据斬(すへぎり)"が目的(ねらひ)。
かの「七ツ胴(なゝつどう)」にも匹敵(ひとし)き"APO-LANTHAR 2/50 Asph."に、
"MACRO APO-ULTRON 2/35"が何處(いづく)まで肉薄(せま)れる歟(か)?

とは云へ、
嚴密(ひいきめなし)の性能比較(ちからくらべ)なんぞ、
宛然(あたかも)、「挐雲攫霧(くもをひき、きりをつかむ)」が如(ごと)きもの。
徒(いたづら)に「三寸不爛之舌(むだぐち)」叩(たゝ)かば惑人(ひとをまどはす)。

"近接撮影能力(ちかよれるちから)"に限定(かぎる)なら、
"MACRO APO-ULTRON 2/35"が贏(まさ)るは「明若觀火(ひをみるよりもあきらか)」。
ま、そんなこんなで、この"兩品(ふたしな)"、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

"啤酒(むぎのあはざけ)"三合五勺(さんがふごしやく、≒633ml)。
下戸(げこ)には難儀(つら)き三合五勺(さんがふごしやく)。
"麥酒(これ)"と"●(あれ)"とは二合八勺(にがふはつしやく、≒500ml)まで。
身丈八尺(みのたけはつしやく、≒242cm)、巨人妾(さすがにデカい)。※←イナイケド

"虀(にらぎ)"の"越瓜(しろうり)"を除(のぞ)き通例(つね)の若(ごと)し
"(あぢ)"も"管待(もてなし)"ぶりも、何(なに)もかも
"(かも)"は無(な)けれど、"(うそ)"無(な)く"(さぎ)"も無(なし)。
これで吉(よい)、これが好(よい)!

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:福倫達(Voigtländer)MACRO APO-ULTRON 2/35 @F2.8~F4
              ...
【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2 ※2018-02
久方(ひさかた)ぶりに"韭菜豬肝(にらレヴァ)"を堪能(あぢはふ)。
"韭菜豬肝(にらレヴァ、ぶたきもとこみらのいためもの)"に、
"粳飯(うるしいひ)"、"(しる)"、"(にらぎ)"の附(つ)く"套餐(きまりめし)"、
對價(あたひ)、八百五十圓也(はつぴやくごじふゑんなり)。

通例(つね)の如(ごと)く、"小菜碟兒(こざら)"も附屬(つく)。
輒(すなは)ち、
"金平藕(はちすのねのきんぴら)"に"菠薐(からな)"+"金針菇(えのきだけ)"、
加旃(のみならず)、"甘藷(りうきういも)"と"生薑未醤(くれのはじかみゝそ)"まで。

常態(つね)にも増(ま)してのこの品數(しなかず)!
熟々(つらつら)惟(おもんみ)るに、
杖(つゑ)の老翁(おきな)を慮(おもんばか)りて席(むしろ)讓(ゆず)りしを、
"女將(おかみ)"見逃(みのが)さゞりし故(ゆゑ)ならん。

扨(さて)、茲(こゝ)で"(しる)"はと窺(うかゞ)ふに、
"拉麪(もろこしのきりむぎ)"の"それ"と一無差異(つゆことなるところなし)。
瞬間(またゝくうち)に、一滴(ひとしづく)殘(のこ)さずこれを飮干(のみほ)す。
その容(さま)、如斯(かくのごとし)。

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:Voigtlaender NOKTON 1.2/35 @F2.6~F2.8
              ...
【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2 ※2018-02
近來(ちかごろ)巷(ちまた)で囂(かまびす)しきは、
町中華(まちゝゆうくわ)」に「懐古趣味拉麪(ノスラー)」なる辭(ことば)。
繪草紙(ゑざうし)、電視節目(でんきかみしばゐ)、網誌(ブログ)、等々(などなど)、
枚舉(かぞふる)に無暇(いとまなし)。

武州東北部(むさしのくにのうしとら)に限定(かぎる)なら、
大宮(おほみや)『多萬里食堂』が一際(ひときは)高名(なだかし)。
とは云へ、冢中枯骨(それがし)が味覺(した)に調和(なじ)むことなく
唯(たゞ)、粕壁(かすかべ)『寶來家』の高(たか)みを再認識(あらためてし)るのみ。

しかはあれど、However、さりながら、
"拉麪(もろこし楚者゛)"、"餛飩麪(こんとん楚者゛)"など"湯麪(しる楚者゛)"に、
"韭菜豬肝(ニラレバ、ぶたきもとこみらのいためもの)"以外(のほか)、
一無佳味(ひとつとしてあぢよきものはなし)。※←卑見(IMHO、わがいやしきおもひ)

但(たゞ)し、御内儀(おかみ)手製(てづから)の"小菜一碟(こざら)"は別(べつ)。
風味清冽(あぢきよらかにすみ)、智辯時季(ときをわきまへ)、
懐舊(なつかしさをおぼ)へ、稀(まれ)に珍味(かゝるめづらしきもの)まで、、。
これが吉(よい)

御内儀(おかみ)、
老骨(それがし)が質問(とひ)に應答(いらへ)て説明(い)ふやう:
「"拉麪(この楚者゛)"の溏油(だし)は"豬骨(ぶたのほね)"に"雞骨(とりがら)"、
 それに蔥(ねぎ)など"蔬菜(あをもの)"も、、。」

加旃(しかのみならず)、
鯷乾(にぼし)など魚介(うみのもの)避(さ)くる、
 先代(さきつおやかた)その儘(まゝ)の廚藝(わざ)に厶(ござ)りまする。」とも。
これで萬事吉祥(よい)!!

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【暗匣】:富士膠片(Fujifilm)X-T4 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:銘匠光學 TTArtisan 1.4/35 @F2~F5.6
              ...
【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2 ※2018-02
ま、飽(あ)きもせず、懲(こ)りもせず、毎度恆例(いつも)の『寶來家』。
して、これ亦(また)習慣(ならひ)の"餛飩麪(こんとんめん)"。
加之(くはふるに)、"干蘿蔔絲(きりぼしおほね)"+菘菜(はくさい)の"(にらぎ)"、
、、と、一無新味(ひとつとしてめあたらしきものなし)。

從(したが)ひ、敢(あ)へて記述(しるす)も烏滸(をこ)なれど、
「『小判』を含(ふく)む"餛飩麪(こんとんそば)"の度(さしのめ)にでもなれば、、
との思惑(おもわく)にて、
×あることないこと〇思(おも)ひうかぶことを徒然(つれづれ)なる儘(まゝ)に、、。

硬(かた)く極薄(いとうす)き"叉燒(×やきぶた〇にぶた)"に、
輭(やはらか)く腰(こし)の無(な)き"麪條(きりむぎ)"と、
個々(ひとつひとつ)の構成要素(もの)は貧弱(ひなびて、よはよはし)きものなれど、
これらが都(すべ)て合體(あはさ)ると完璧(きづひとつなきたま)と化(な)る

この邊(あた)りの原理(ことのよし)、
個々(ひとつひとつ)の構成要素(もの)が剛直(つよく、たけだけし)き
桂花』"太肉麪"に彷彿(さもにた)り。
合力(ちからあは)せば、雜兵(ざふへう)能(よ)く將(しやう)を倒(たふ)す

一方(かた)や肉(にく)の薄片(うすぎり)、他方(かなた)肉塊(しゝむら):
(うし)も(ぶた)も、
(すぢ)ある肉叢(しゝむら)は燉(ゆるりにこ)が好適(よ)く
然(さ)もなくば、(やはらか)き部位(ところ)を(うすぎり)にするが吉(よい)。

雙方(どちら)も合理(ことわりにかなふ)」と斷言(いはざるべからず)。
"穗先乾筍(ほさきほしたかむな)"、"低温調理(ぬらりくらりのひいれ)"、など、
徒(いたづら)に流行(はやり)を追(お)ふこともせぬは、
實(げ)に、「街塲中華(まちうくわ©MNH女史✨.:*゚:.。:.)の鑑(かゞみ)」!

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2~F4
久方(ひさかた)ぶりの『寶來家』。
ま、通常(つね)のごとく"拉麪(もろこしのきりむぎ)"、
對價(あたひ)、なんてふ四百八十圓也(しひやくはつしんゑんなり)。
その"(あぢはひ)"、亦(また)、無所變化(ひとつとしてつねにことなるところなし)

で、あらためて記(しる)すこともあらねど、
それでは何(なん)とも不能收集(おさまりがつかぬ)
そーだッ!、甜瓜曹達(メロンソーダ)の"鰹脯(かつをぶし)"。
"雞肋(とりのあばら)"に、×"カポネ"×"馬骨(うまのほね)"〇"豬骨(ぶたのほね)"。

「〽『寶來家』(はうらいや~) この"豬骨(ぶたぼね)"に 手(て)をかけて~
  "雞肋(とり)"もろともに "溏油(いでしもの~)"、、」
これぞ"懐古趣味拉麪(ノスラー)"の"皇帝(すめらぎ)"・"(いたゞき)"。
"拉麪(もろこしふうつゆ楚者゛)"として銘印(すりこま)れたる"親鳥(おやどり)"。

ま、畧(ほゞ)"親鳥(おやどり)"、、、
ではあるものゝ、老骨(それがし)が"初體驗(ふでをろし)"は、
"(うつは)"を含(ふく)め"かくのごとき拉麪(もの)"、、デアッタキガシマス(©KYTさん
かゝる「記憶(おもひで)の改竄(かきかへ)」は不稀有(めづらしきことにはあらず)

有左程(さるほど)に、昨日(きのふ)、"電氣紙芝居(テレヴィジョン)"にて、
 )「獨裁者ヒトラー 演説の魔力
 )「海の向かふに遺された江戸
の二番組(ふたつ)を視聽(みたり)。

)には、
無否應(いやがおうでも)、"あれ"を想起(おもひおこさずといふことなし)。
"大衆迎合・煽動主義(たみにおもねり、たぶらかさんとするわるだくみ)"は、
東瀛(ひのもと)を含(ふく)む全世界(つゝうらうら)に蔓延(はびこ)りつゝあり。

書肆(ふみや)の"賣筋商品(うれすぢ)"を觀察(み)、
"網站動畫(ネットのうごくゑ)"を閲覽(なが)むれば"、
近來(ちかごろ)、頓(とみ)に、"それ"の「跳梁跋扈(ほしいまゝにのさばる)」こと、
明若觀火(ひをみるよりもあきらか)」。

扨(さて)、):
"シーボルト"や"モース"が夥(あまた)"民具(たみのだうぐ)"を持歸(もちかへ)り、
保存之(これをたくはへおき)しは周知(あまねくしらる)。
その中(なか)に、"羅宇屋(らうや)"、"鑄掛屋(いかけや)"の名(な)も、、。

昭和三十年代初頭(せうわさんじふねんだいはじめ)、
輒(すなは)ち、"拉麪(もろこしふうの楚者゛きり)"に邂逅(めぐりあひ)たる頃(ころ)、
生家(わがうまれしいへ)にも"羅宇屋(らうや)"、"鑄掛屋(いかけや)"の聲(こゑ)。
但(たゞ)し、"羅宇屋(らうや)"は「ピーー」と云ふ甲高(かんだか)き音(おと)のみ。

"鑄掛屋(いかけや)"の掛聲(かけごゑ)はと云ふと、
(なべ)、(かま)、藥罐(やかん)、蝙蝠傘(かうもりがさ)の修繕(なほし)」
と云ふもの。
遉(さすが)に"蝙蝠傘(かはほりがさ)"は明治以降(めいじのみよゝりのち)のもの。

昭和三十年代初頭(あのころ)、
江戸(えど)の名殘(なごり)を多(おほ)く留(とゞ)めながらも、
"文明開化(ぶんめいかいくわ)"の恩恵(めぐみ)も弊害(いらぬつきもの)もあり、
海洋汚染(うみのよごれ)に因(よ)る"赤潮(あかしほ)"も屡(しばしば)。

"目黑川(めぐろがは)"と云ふと、
やれ"(さくら)"だの"咖啡店(カフェ)"だのと「人口膾炙(もてはやさるゝ)」も、
往古(そのかみ)は、"屎尿處理舟(をわいぶね)"往來(ゆきか)ひ、
"メタン"の泡沫(うたかた)浮(う)かむ汚穢(こぎたな)き川(かは)なりき。

就中(わきても)、河口(うみにちか)き"品川(しながは)"では顯著(あらは)。
「淀(よど)みに浮(う)かむ泡沫(うたかた)は、
 かつ消(き)え、かつ結(むす)びて
 久(ひさ)しく留(とゞ)まりたる例(ためし)なし。(©鴨長明ぱいせん)」

"拉麪(もろこしふう楚者゛きり)"も、
"(すし)"同樣(とおなじく)「日進月歩(ひゞすゝみゆくもの)」。
過半(あらかた)、"泡沫(うたかた)"として消滅(きえさる)ものゝ、
"拉麪(こやつ)"ばかりは「永垂不朽 (すゑのよまでくちることなし)」。 ※←IMHO

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto 微距(Macro)2/50 @F2~F4

【2020-08-24】:
  ・"韭菜豬肝(ニラレバ、ぶたきもとこみらのいためもの)"
  ・"啤酒(むぎのあはざけ)"
【2020-09-24】:
  ・"餛飩麪(こんとんめん)"

この二品(ふたしな)、
名店(よそ)にも不劣(まけず)、"冠状病毒(はやりやまひ)"にも不屈(まけず)、
 通常(つね)に不變(かはらぬ)佳味(よきあぢ)。」
、、と斷言(いふ)ばかりでは何(なん)とも無爲無策(てをこまねくばかりのまぬけ)。

"餛飩麪(こんとんめん)"を探訪(たづねある)きて當家(こちら)を評價(みる)に、
あまりに風味(あぢとかをり)刺戟的(つよ)き『新華』、
"(むぎのこ)"に"綠球藻(クロレラ)"摻(まぜ)て練(ね)る『長春樓』より、
手擀(ての)し"餛飩(こんとん)"『桃源鄕』と雙璧(ふたつにならぶ)頂點(いたゞき)。

やはり、"餛飩麪(こんとんめん)"は當家(こちら)が東正横綱(ひがしせいよこづな)。
「"味精(あれ)"は?」と詰問(と)はるれば、
「まッ、いーんダよッ、些細(こまけー)ことはッ!©毒さま✨.:*゚:.。:.」
と、「將錯就錯(ひらきなほり、けつをまくる)」他(ほか)無術策(すべなし)。

當家(こちら)、
"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの)"と、
"拉麪(もろこしのきりむぎ)"の等類(たぐひ)は華美(このうへなくよきあぢ)なれど、
"咕嚕肉(すぶた)"は、眞言(まこと)に不味(あぢよろしからず)。

"炒飯(やきめし)"は粳飯(うるしいひ)が團塊(こりかたま)り、
味(あぢ)にも締(し)まり無(なし)。
"醤汁炒麪(ソースやきそば)"、"炸豬排蓋飯(かつれつどんぶり)"、何(いづ)れも、
何(なに)かゞ不足(たりぬ)一味(ひとあぢ)不足(たりぬ)

"(しほけ)"歟(か)?、"味精(あれ)"歟(か)?
"味精(あれ)"を效(き)かさば、それなりの味(あぢ)になるが通例(つね)。
これほど精麁(よしあし)の分(わ)かるゝ原因(ことのよし)、
妄(みだ)りに"味精(あれ)"や"(これ)"に頼(たよ)らぬことにあらん。←IMHO

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F5.6
     高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8※2018-02
"餛飩(こんとん)":
その名(な)、無七竅(なゝつのあなのな)き"渾沌(ばけもの)"に由來(ちなむ)は、
旣(すで)に彼此(をちこち)にて記(しる)せしこと。
輒(すなは)ち、"混沌(こんとん)"(="渾沌")→"餛飩(こんとん)"。

"(さんはい)"、"(かうしう)"近邊(あたり)などでは、
知(し)る限(かぎ)り、"銀錠形(いにしへのしろかねをかたどる)"が常態(つね)。
元來(もとより)、"華北(もろこしのきた)"發祥(うまれ)と云ひ、
"東北(もろこしのうしとら)"でも"かゝる象(かたち)を採(と)る。

"華南(もろこしのみなみ)"や"本朝(わがくに)"では"雲呑(うんどん)"と書(か)く。
その形狀(なり、すがたかたち)も↑とは大異(おほいにことなる)。
これに"麪條(きりむぎ)"配搭(くみあはせ)たる"雲呑麪(うんどんそば)"は、
「"華南(そのあたり)"起源(うまれ)」、と、"維基百科(あれ)"は説明(いふ)。

と、まァ、窮屈(かたくるし)き能書(なうがき)はこれくらゐにして、
當家(こちら)の"餛飩麪(こんとんそば)"、いや、"雲呑麪(うんどんそば)":
所謂(いはゆる)"日式(ひのもとしき)"。
それも典型的(ゑにゑがきたるがごとき)"街塲中華(まちうか©MNH女史)"の"それ"。

近會(ちかごろ)の、
衒奇(ひとをあざむき、めをくらま)す小賢(こざか)しき廚藝(くりやわざ)とは、
天地懸隔(あめつちほどのたがひ)」。
「"堯舜(げうしゆん)"×"桀紂(けつちう)"ほどの差(ひらき)」と云ふべき歟(か)?

これを一氣呵成(ひといき)に「狼餐虎咽(むさぼりくらふ)」や、
かくのごとき景狀(ありさま)に、、。
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)、(やりがんな)、
かけて嬉(うれ)しや、"誕生佛・天井天下唯我獨尊(ほとけ)"に"千歳蘽(あまちや)"。

この日(ひ)の白眉(とびきり、きはめつき)は"(にらぎ)"。
"黃瓜(そばうり)"の"鹹菜(しほづけ)"ならで、"糠漬(ぬかみそづけ)"。
粗茗(そちや)"も"臍茗(へそちや)"も御茶(おちや)の一種(うち)。」
♪晝飧(ひるめし)の、"鹽分(しほけ)"を流(なが)す湯呑(ゆのみ)の"(ちや)"。

、、、、、、
な~ンてことは、かの陸羽(りくう)"茶經(ちやきやう)"の何處(どこ)にも無(なし)。
まッ、存在(あ)る道理(わけ)もネーし、、。
殘念(ざんね~~~~ん)!、んちゃ!

茶經(19/69)六之飮】には、
「"觕茶(そちや)"、"散茶(さんちや)"、"末茶(まつちや)"、"餠茶(へいちや)"、
 乃斫(すなはち、きり)、乃熬(すなはち、いり)、乃煬(すなはち、あぶり)、
 乃舂(すなはち、つ)く。」と、、。

"觕茶(そちや)"とは、その葉(は)の儘(まゝ)斫(き)り
"散茶(さんちや)"は釜熬(かまい)り、"末茶(まつちや)"は粉(こ)にする。
"餠茶(へいちや)"を舂(つ)くとは、
"磚茶(たんちや)"・"普洱茶(ふじちや)"を舂(つ)き崩(くづ)すことを指(さ)す。

茶經(4/69)一之源】には、
茶之爲用(ちやのきゝめ)は、味"至寒"(あぢ、いたりてさむく)、、」
 若熱渴(もしねつありてのどがゝはき)、、、のことあらば
 四五啜(しごすゝりにて)、"醍醐(だいご)"・"甘露(かんろ)"に抗衡(ならぶ)」

と、「解熱(ねつをさます)に著效(きゝめ)あり」と説明(とく)。
i.e.,(すなはち)、
雲吞麪(うんどんめん)”の肥膩(あぶら)・鹽分(しほけ)のみならず、
朱明(なつ)の暑(あつ)さ凌(しの)ぎにも有効(きゝめあり)と云ふこと歟(か)?

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F5.6
     高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8※2018-02
蟄居(ひきこもり)明(あ)けの粕壁宿(かすかべじゆく)。
その枕詞(まくらことば)は「みゝによし」。
〽耳(みゝ)によし 粕壁宿(かすかべじゆく)の 街塲中華(まちうか©MNH女史)に 
 匂(にほ)ふ"韭菜豬肝(ぶたきも、こみらのいため)"。

否(いや)、
こりャ「みゝによし」と云ふより「はなによし」歟(か)、、、?
とかなんとか、
意味不明(わからぬ)こと呟(つぶや)きつゝ潛(くゞ)る暖簾(のれん)は『寶來家』。

正午前(ひるまへ)とは云へ、席(せき)は半(なか)ば埋(う)まり、
沓(くつ)を脱(ぬ)ぎて小上(こあが)りに、、。
と、厠(かはや)の扉(とびら)に、
「肆内(なか)で想思草(たばこ)ふかすは罷(まか)りならぬ!との貼紙(はりがみ)。

此度(こだみ)需(もとめ)しが、
"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいため)"に"啤酒(むぎのあはざけ)"なるは、
勿論(いふもさらなり)。
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

當日(このひ)の"小菜碟兒(こざら)"は、
"(たかむな)"、"茄子(なすび)"、"毛豆(えだまめ)"、"玉蜀黍(なんばんきび)"。
常態(つね)のことながら、適度(ほどよ)き淡味(うすあぢ)
"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいため)"も尋常(つね)のごとし。

これぞ、「眼福(めによし)」、「口福(くちによし)」!
〽阿保(あほ)に吉(よし) 腹中(はらのなか)には 葷(なまぐさ)の 
 豬肝(きも)と韭菜(こみら)で 今(いま)膨(ふく)れたり。
とかなんとか、支離滅裂(をかしな)こと呟(つぶや)きつゝ辭去(いとまごひ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:莱茨(Leitz)Elmarit-R 2.8/35 @F5.6
     高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8

【二月十日(にがつとほか)】
 ・"湯麪(もろこしのしるそば)" ※冩眞(しやしん)失錯(しくじる)
  ※對價(あたひ)、六百圓也(ろつぴやくゑんなり、=\600.__)。

【二月廿日(にがつはつか)】
 ・"油炸鮮蠔(かきフライ)"
  ※對價(あたひ)、七百五十圓也(しちひやくごじふゑんなり、=\750.__)。

"湯麪(もろこしのしるそば)"は"以前(まへ)"に秋毫不變(すこしもかはるところなし)。
豕肉(ぶたにく)、甘藍(はぼたん)、胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)、糵(もやし)、
麪條(きりむぎ)は"拉麪(もろこしの楚者゛)"より太目(ふとめ)。
辣油(なんばんこせうあぶら)をかけて狼餐虎咽之(これをむさぼりくらふ)。

扨(さて)、初體驗(はじめて)の"油炸鮮蠔(かきフライ)":
配搭(あしらひ)は、甘藍絲(はぼたんせん)、胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)。
"米飯(うるのこめひめいひ)"、"(にらぎ)"、"未醤湯(みそしる)"、
に、"菠薐(からな)"、"土芋沙拉(ほどサラド)"、"茄子(なすび)"も附屬(つく)。

久喜(くき)『福吉』の"それ"と比較(くら)べ、
ヤマヤ』の"それ"同樣(とおなじく)、油炸(あげ)も顏色(いろ)も穩當(おだやか)。
配搭(つけあはせ)の甘藍絲(はぼたんせん)・胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)は、
明白(あきらか)に手切(てぎ)り。

"未醤湯(みそしる)"は、萊菔(おほね)と三葉芹(みつばぜり)。
"米飯(こめのいひ)"輭(やはらか)なれど、非必不好(かならずしもあしからず)。
褻(け)の食(うけ)として何無不足(なにかたらざるところやある)
實(げ)に、染垂阿爺(しみたれおやぢ)に相應(ふさはし)き大衆食堂(めしや)

ナザレなる 厩(うまや)に生(う)まれ 磔(はりつけ)に
 なるも運命(さだめ)か 悲(かな)しき救世主(メシヤ)
〽毒(どく)盛(も)られ 民谷岩(たみやおいは)は 「恨(うら)めしや~
 四谷(よつや)田宮神社(たみや)は 陽運寺(てら)が恨(うら)めし

、、、とは、當家(こちら)とは一切無縁(つゆゆかりなし)
卍(まんじ)無錢(ぜになし)、一二三(ひふみ)に無牙(はなし)。
四方山話(よもやまばなし)にもならぬ放言(いゝッぱなし)の與太噺(よたばなし)、
閑話(とりとめもな)き"油炸鮮蠔(かきフライ)"の一節(ひとふし)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8
ま、尋常(つね)のごとく『寶來家』。
「怨入骨髓(うらみほねみにしみわたる)」"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいため)"。
"啤酒(むぎのあはざけ)"と合計(あはせ)、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

その他(ほか)は↓添附圖像(ゑ)のごとし。
この中(なか)で時季(とき)を得(え)たるものは"款冬(ふき)"。
喜歡(す)き、"款冬(ふき)"、清楚(すつきり)、"蕗薹(ふきのとう)"。
生憎(あいにく)當日(このひ)は、"(ふき)"の"葉柄(くき)"耳(のみ)。

其處彼處(そこかしこ)、"梅蕾(むめのつぼみ)"も綻(ほころ)び、
彼此(をちこち)に、"寒緋櫻花(かんひざくら)"も向咲(さきな)んとす。
巷(ちまた)に跳梁跋扈(のさばる)、阿毘羅吽缺蘇婆訶(あびらうんけんそはか)、
そこはか、まさか、俄惡德覆面商法(にはかざくら)の狂(くる)ひ笑(ざき)

費(か)くる一手間(ひとてま)この"(さら)"に、
二手間(ふたてま)要(か)ゝるはあの"沙拉(サラド)"、 
"惡德覆面詐欺商法(ステマ)"に騙(か)ゝるは愚者(おろかもの)。
冢中枯骨(それがし)も、一杯(いつぱい)喰(く)つたは無面目(めんぼくなし)

凱歌(かちほこ)る、剽竊(ぱくり)、糖炒栗子(あまぐり)、暴利(ぼつたくり)、
蒙古(むくり)に高麗(こくり)、松浦(まつら)の濵(はま)、
〽「石川(いしかは)や 濵(はま)の眞砂(まさご)は 盡(つ)くるとも、
  世(よ)に盜人(ぬすびと)の種(たね)は盡(つ)きまじ」 ©石川五右衞門ぱいせん

、、、とかなんとか、、
"啤酒(むぎのあはざけ)"舐(な)めつゝ、愚痴(ぐち)ること霎時(しばし)。
軈而(やがて)運搬(はこばれきたり)し"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの":
これ、これ、これぞ、當家(こちら)の極印附(きはめつき)の一品(ひとしな)。

目附(めつき)、札附(ふだつき)、狐憑依(きつねつき)。
今宵(こよひ)の月(つき)は晦日月(みそかづき)。
愛想(あいさう)盡(つ)きたり、あの惡德覆面詐欺商人(さくら)。
早晩(おそかれはやかれ)、惡運(あくうん)盡(つ)くるは無疑(うたがひなし)

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:高千穗光學(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-微距(Macro)2/50 @F2.8
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F4 ※女將(おかみ)

「久々(ひさびさ)、"韭菜豬肝(ニラレバ、ぶたきもとこみらのいためもの)"!」
と斷乎決意(かたくこゝろにちかふ)も、
豬肝(ぶたきも)の在庫拂底(たくはへおきがな)く
 本日(けふ)これより後(のち)に屆(とゞ)く豫定(はづ)」との應答(いらへ)。

已(や)むことを得(え)ずして、
"拉麪(もろこしのきりむぎ)"+"春捲(はるまき)"、
對價(あたひ)、七百六十圓也(しちひやくろくじふゑんなり)。
女將(おかみ)の配慮(きくばり)により、"春捲(はるまき)"は二本(にほん)。

朝起牀(あさおき)て、"豬肝(きも)"の無(な)くては少々困惑(ちとこまる)。
賭博狂(かけぐるひ)、身包(みぐる)み剥(は)がれ無着衣(きものな)く、
筵(むしろ)に卷(ま)かれ、大川(おほかは)に、
浮(う)かむは"簀卷(すまき)"、"春捲(はるまき)"、"磯部マキ(←※知る人稀)"。

半點(いさゝか)油炸(あ)げが强(つよ)く鳶色(とびいろ)と化(な)るは、
かの"韭菜豬肝(あれ)"に同(おな)じ。
ξ(ぐざい)は、"笋絲(たかむなせん)"、"胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)"など。
"(つなぎ)"が多(おほ)く、舌觸(したざは)り滑(なめ)らか。

茲(こゝ)で"和物(あへもの)"はと觀察(み)るに、
"鹿尾菜(ひじき)"、"蘿蔔絲(おほねせん)"、"胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)"、
"紫甘藍絲(むらさきはぼたんせん)"、と、多種多樣(さまざま)。
上(うへ)にかゝるは"摺胡麻(すりごま)"歟(か)?

掉尾(いやはて)に"黑荳(くろまめ)":
かの"丹波篠山黑荳(たんばさゝやまのくろまめ)"より薄(うす)く小振(こぶ)りながら、
なかなかに美味(よきあぢ)。
蓋(けだ)し、調劑(あぢつけ)の妙(めう)なるべし。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8~F4
有一日(あるひ)粕壁(かすかべ)まで遠征(き)たりしその理由(わけ)は、
偏(ひとへ)に、
×純粋無垢(けがれなき)〇狼心狗肺(よこしま)なる下心(したごゝろ)にあり。
晝飧(ひるめし)はまたも『宝来家』。

"鮮蠔(なまがき)"も"新垣(あらがき)"も大好物(おほおいにこのむところ)なれど、
唐突(いきなり)の"樽柹(たるがき)"には当惑(めんくらふ)。
"拉麪(めん)"を啖(くら)ふは、×密夫(まをとこ)〇丈夫(をのこ)の意地(いぢ)。
×衣桁(こんなところ)〇食桌(つくゑ)に"(うめ)"だ、"醃梅(うめぼし)"だ。

かくて、
"拉麪(もろこしのきりむぎ)"+"半雞蛋蓋飯(たまごどんぶりめし、なかば)"、
對價(あたひ)、七百八十円也(しちひやくはちじふゑんなり)。
"樽柹(たるがき)"のほか、図絵(づゑ)のとほりの副菜(しなじな)。

"雞蛋蓋飯(たまごどんぶりめし)"は、
前回(まへ)の"炸豬排蓋飯(かつれつどんぶりめし)"に似(に)るも、
纔(わづ)かに甘(あま)めで、"火候(ひいれ)"、均一(ひとし)からず
かゝる(むら)、硬輭(かたさ・やはらかさ)の対比(さ)も愉(たの)しきもの。

敷物(しきもの)、愚者(しれもの)、無頼漢(ならずもの)。
織物(をりもの)、智者(きれもの)、半端者(はんぱもの)。
良品(エーもん)、贋物(パチもん)、非正規品(バッタもん)。
寺門(じもん)、雷紋(らいもん)、倶利伽羅紋々(くりからもんもん)。

空(から)の"拉麪(らあめん)"の(まり)には"雷紋(らいもん、≒いかづちがら)"。
背(そびら)の×堀右衛門(ほりゑもん)×文身(ほりもん)、
〇腫瘍(できもん)を、襤褸(つゞれ)にて遮蔽(おほひかく)し、辞去(いとまをこふ)。
實言(まこと)、「酒足飯飽(おいしうござつた)!」

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
     旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8 ※2019-07
またも木下藤吉郎(きのしたとうきちらう)。
臍下(へそした)、朝(あした)、鼻下(はなのした)、
伸(の)ばして嚮(むか)ふ武州粕壁宿(むさしのくにはよきみゝのまち)『寶來家』。
當日(このひ)は快晴(くもひとつなきあをぞら)。

(あをぞら)に誘(いざな)はれ、
足取(あしど)り輕(かろ)く、『寶來家』の扉(とびら)を開(ひら)く。
時刻(ころ)は西洋時辰儀(せいやうどけい)十一字過(じふいちじすぎ)。
窗際(まどぎは)には旣(すで)に老翁(おきな)が一人(ひとり)蟠踞(わだかまる)。

"鴨脚子(ぎんなん)"を一(ひと)つ二(ふた)つと銜(ついば)みつゝ、
慢慢地(ゆるり)、玻璃盞(ヒイドロコツプ)に"啤酒(あはざけ)"を呷(あふ)る。
冢中枯骨(それがし)、已(や)むことを得(え)ずして、その隣席(となり)に、、。
隣席(となり)の老翁(ぢゞ)は能(よ)く"啤酒(さけ)"呑(の)む爺(ぢゞい)

毎度(いつもいつも)頑固(かたくな)に、
"拉麪(もろこしのきりむぎ)"、"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらいため)"ばかりでは、
何(なん)とも「頑迷固陋(いしあたま)」と云ふもの。
唐變木卍(このあほ)は、「智慧(ちゑ)も腕力(ちから)も無(な)かりけり」。

と云ふ情由(わけ)にて、
此度(こだみ)は初(はじめて)の"炸豬排蓋飯(ぶたのかつれつどんぶりめし)"、
對價(あたひ)、七百圓也(しちひやくゑんなり)。
いざ、暗匣(カメラ)の異常動作(くるひ)し前囘(まへ)の雪辱(はぢをそゝ)がん

と、陸續(つぎつぎ)に來店(のれんをくゞる)(おきな)に(おみな)。
十一字十七分(じついちじゞふしちふん)には、六組(むくみ)、七人(なゝたり)。
先客(さきのきやく)も"啤酒(むぎのあはざけ)"に"(さかな)"のみ。
その後(のち)、最後(いやはて)までの小半晌(こはんとき)この面子(かほぶれ)

i.e.,(すなはち)、
養生所(やうじやうしよ)の待合室(まちあひべや)と同一(おなじ)。
營業開始(くちあけ)と同時(ひとし)く
暇(ひま)な老人(としより)が競(きそ)ふがごとくに蝟集(むらがりつどふ)

冢中枯骨(それがし)も、亦(また)、その内(うち)の一人(ひとり)。
列舉(ならべてかぞふ)れば、
 い)♂ "啤酒(むぎのあはざけ)"→"拉麪(もろこしのきりむぎ)"
 ろ)♂ "炸豬排蓋飯(ぶたのかつれつどんぶりめし)" ※←卍(まんじ)
 は)♀ "拉麪(もろこしのきりむぎ)"
 に)♀ "拉麪(もろこしのきりむぎ)"        ※←は)の連(つ)れ
 ほ)♂ "炒蔬菜肉(にくとあをものいため)+"啤酒(むぎのあはざけ)"
 へ)♂ "拉麪(もろこしのきりむぎ)
 と)♂ "炸豬排蓋飯(ぶたのかつれつどんぶりめし)"

と、七人中四人(なゝたりのうちのよたり)が"拉麪(もろこしのきりむぎ)"。
かくのごとく、この"拉麪(もろこしきりむぎ)"、大人氣(なのめならざるけしき)。
冢中枯骨(それがし)も、亦(また)、これを當家(こちら)の"白眉(はくび)"とす。
否(いな)!、「待塲中華(まちうか©MNHぱいせん)の頂點(いたゞき)」と云ふべき。

閑話休題(それはさておき)、
當日(このひ)の"炸豬排蓋飯(ぶたのかつれつどんぶりめし)":
"(しる)"は"中華風(もろこしふう)"のものか、"未醤湯(みそしる)"。
冢中枯骨(それがし)、霎時(しばし)惱(なや)みて"未醤湯(みそしる)"に、、。

"盌(まり)"が塑材(プラ)なるに半點(いさゝか)落膽(きもおとさゞるべからず)。
"雞卵(にはとりのたまご)"への火候(ひいれ)は適當(ほどよ)く、
なほ、輭(やはらか)さを保持(たもつ)ぞ喜歡(いといみじ)。
"三葉芹(みつばぜり)"の(あを)さも吉(よし)。

扨(さて)、その口味(あぢ)はと吟味(うかゞ)ふに、
當家(こちら)特有(ならでは)の「温和(やさしくおだやか)」なる醢醯(あぢつけ)。
"(しほけ)"、"(あまさ)"、ともに然(しかり)。
「足(たれり)」とするか「不足(たらざり)」とするかは、依個人(ひとによる)。

冢中枯骨(それがし)にこの"(あまみ)"は適度(ほどよ)く、
"(しほけ)"は"梅子乾(うめぼし)"加(くは)へて適(ほどよし)。
淡味(うすあぢ)でも"溏油(だし)"により適切(よ)き醢醯(あぢつけ)となるは、
京坂(にし)の"蓋飯(どんぶりめし)"を考慮(み)れば「明若觀火(あきらか)」。

"未醤湯(みそしる)"には、石蓴(わかめ)+三葉芹(みつばぜり)+蘿蔔(おほね)。
これも亦(また)、温和(やさしくおだやか)。
愚按(やつがれおもふに)、
"炸豬排蓋飯(かつどん)"+"未醤湯(みそしる)"は蕎麥店(楚者゛や)に限(かぎ)る。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
     旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8 ※女主人
     高千穗光學(Olympus)Zuiko Auto 3.5/21 @F11
卑鄙齷齪(あまりにいやし)」き冢中枯骨(それがし)には、
炮鳳烹龍(あまりにすご)」き『レ・セゾン』での午餐(ひるげ)。
實(げ)に、「(ねこ)に小判(こばん)」、「(ぶた)に眞珠(かひのたま)」
あるいは、「下戸(げこ)に"ピンドン"」、「醜女(ブ●)に和氏璧(かしのたま)」

河童(かつぱ)の好(す)きな"尻子玉(しりこだま)"、
狹眞魚(さんま)を偸(ぬす)む猫(ねこ)の"タマ"、
唐變木(たうへんぼく)の"瓢碌玉(へうろくだま)"、
その名(な)は、醉狂亭卍(すいきやうていまんじ)たま、埼玉(ださいたま)。

となると、翌日(あくるひ)は分相應(みのたけにあ)ひたる晝飧(ひるめし)となるが、
道理(ものゝことわり)であり、人倫(ひと)ゝしての分別(わきまへ)と云ふもの。
かくて、
暗匣(カメラ・オブスクラ)の障碍(さはり)も忘(わす)れ、當家(こちら)に、、。

西洋時辰儀(せいやうどけい)十一字(じふいちじ)過(す)ぎ。
旣(すで)に、窗際(まどぎは)には老媼(おひたるめのこ)が一人(ひとり)。
某(それがし)はその隣(となり)に着席(こしをおろし)、"餛飩麪(こんとんそば)"、
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)を需(もと)む。

"餛飩麪(こんとんそば)"は平生(つね)のごとし。
「籠原(かごはら)の女兒(むすめ)持參(もちきたり)し」と云ふ"鴨脚子(ぎんなん)"、
"金平牛蒡(きんぴらうまふゞき)"、"紅白膾(あかとしろのなます)"に"(かき)"。
"紅白膾(こうはくなます)"の上(うへ)には"食用菊(もつてのほか)"が載(の)る。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
     旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8 ※女主人

日光街道糟壁宿(につくわうかいだうかすかべじゆく)と云ふと、
鐵路(くろがねのみち)の東側(ひがしがは)。
となると、
晝飧(ひる)は『Bien』、若(も)しくは『寶來家』と相成(あひな)るが尋常(つね)。

寶來家』となると
"拉麪(もろこしきりむぎ)"か"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの)"、
二者擇一(ふたつにひとつ)。
これぞ、×「王八蛋(まをとこされしまぬけ)」〇「閉目塞聽(●●のひとつおぼえ)」

實言(まこと)、
井底之蛙(ゐのなかのかはづ)」、「夏蟲語冰(こほりをかたるなつのむし)」。
これを忸怩(は)ぢ、此度(こだみ)は"炒麪(やきそば)"+"啤酒(むぎのあはざけ)"、
對價(あたひ)、一千二百圓也(いつせんにひやくゑんなり)。

菜單(しながき)には什錦炒麪(ごもくやきそば)"すらあるものゝ、
かゝる街塲中華(まちうか©MNH女史)では避之(これをさく)るが習慣(ならひ)。
所謂(よにいふ)"ソースやきそば"を期待(のぞみ)て、需之(これをもとむ)。
はてさて、如何(いか)なることに相成(あひな)る哉(や)?

頂上(いたゞき)に紅生薑絲(あかきくれのはじかみのせん)の載(の)るは、
其處(そこいら)の"ソースやきそば"に同(おな)じ。
"乾苔粉(のりのこ)"が、
"石蓴(あをさ)"ならで"紫菜(あまのり)"と云ふが相違點(ことなるところ)。

ξ(ぐざい)は、肉片(ぶたにくうすぎり)に、甘藍(はぼたん)、(もやし)。
"酱汁(ソース)"による調劑(あぢつけ)」とのことなれど、
"酱汁風味(ソースのあぢとかをり)"が稀薄(うす)く、"(すみ)"比較强(つよめ)
とは云へ、當家固有(こちらならでは)の優(やさ)しき口味(あぢ)

"例湯(しる)"も亦(また)然(しかり)。
巷(ちまた)の街塲中華(まちうか©MNH女史)の"それ"は、
"湯麪(しるそば)"の(しる)より、なほ漿醬(しやうゆ)が優越(まさる)も、
當家(こちら)の"それ"は最温和(いとおだやか)なる醢醯(あぢつけ)

かくて、
"拉麪(もろこしきりむぎ)"同樣(とおなじく)これを「狼餐虎咽(むさぼりつくす)」。
但(たゞ)し、
"生臙脂(かひがらむし)"塗(まみ)れの"紅生薑絲(あれ)"ばかりは除外(のぞく)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.8
     旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8 ※女主人
漸(やうや)う颱風(のわけ)去(さ)りて、拔(ぬ)くるがごとき蒼穹(あをぞら)。
されど、河川(かはのみづ)は奔流(はげしくながれ)
收穫(かりをはり)てなほ靑(あを)き田(た)は冠水(みづにつか)りて、
畦(あぜ)に農夫(ひと)の姿(すがた)なし。

巳刻(みのこく、≒10a.m.)より運行(うごきはじめ)たる鐵路(くろがねのみち)。
紆餘曲折(あれやこれやとかさなり)、漸(やうや)う來(き)たりし『寶來家』。
西洋時辰儀(せいやうどけい)十一字廿分(じふいちじにじつぷん)と云ふに、
旣(すで)に、三組(みくみ)六人(むたり)もの先客(かたがた)

勿駭(おどろくなかれ)、
消費税(みつぎ)變更(かは)れど、菜單(しながき)は以前(まへ)の儘(まゝ)
"啤酒(むぎのあはざけ)"に"韭菜豬肝(ニラレバ、ぶたきもとこみらのいためもの)"、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

口味(あぢ)も亦(また)、尋常(つね)に一無差異(つゆことなるところなし)
"膩分(あぶら)"、"鹵味(しほけ)"、"あれ"、何(いづ)れも温和(やさし)く、
上漿(したあぢ)を施(ほどこ)し、
强(つよ)く炸(あ)げたる"豕肝(ぶたのきも)"が"啤酒(むぎのさけ)"に調和(あふ)。

邂逅(あ)ふは別離(わかれ)の契機(はじめ)、
朱明(なつ)の餘波(なごり)の"(えだまめ)":
白藏(あき)來(き)たれど、"毛豆(こやつ)"ばかりは「春夏冬(あきなし)」。
再審之扉(あくことなし)」!

掉尾(いやはて)には甘酢漬(あまずづけ)にせし"菊花(かはらよもぎのはな)":
女主人(をんなあるじ)、
この"菊花(かはらよもぎのはな)"を"延命樂(もつて)"と號(よびな)す。
越後(ゑちご)で稱(い)ふ"かきのもと"に同一(おなじ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F3.5
     福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F11
〽千腹蟲啼卍欲餵(ちひきのはらむしなきて、まんじ、うゑんとす)
 魚餠三角田樂風(つけあげ、さんかく、でんがくふう)
 ×三兆四百八十圓(さんてうしひやくはつしんゑん)。
 〇"拉麪(らあめん)"、對價(あたひ)"四百八十圓也(しひやくはつしんゑんなり)。

尋常(つね)のごとく、"拉麪(これ)"には、種々雜多(あれやこれや)が附屬(つく)。
"煮物(にもの)"は蘿蔔(おほね)に炸魚餠(つけあげ、さつまあげ)。
"(にらぎ)"が白菜(はくさい)+菘根片(おほねのうすぎり)。
廚(くりや)の女夫(めをと)は生平(つね)に不變(かはらず)。

有左程(さるほど)に、
近來(ちかごろ)の"拉麪(らあめん)"の激流(はげしきながれ)を瞻(み)るに、
當家(こちら)、舊態依然(むかしからすこしもかはらず、ふるきまゝ)、
一周(ひとまはり)どころか十周(とまはり)もの遲延(おくれ)

さはあれ、愚按(やつがれおもふに)、
現状(いま)の"拉麪(らあめん)":
その"滄海桑田(はげしくかはり)"・"周章狼狽(あはてふためくさま)"は、
進化(しんくわ)の袋小路(ふくろこぢ)」にでも嵌(はま)りたるが如(ごと)し。

世(よ)に、「一周遲(ひとまはりおく)れの魁(さきがけ)」なる辭(ことば)あり。
當家(こちら)、
一周(ひとまはり)どころか、「十周遲(とまはりおく)れの先陣(さきがけ)」
古(ふる)きがゆゑに、なほ、新(あらた)しきものゝ先(さき)を行(ゆ)く

徒(いたづら)に新規性(めあらたしさ)を追求(おひもとむ)ることなく
"泰然自若(すこしもあはてず)"、只顧(ひたすら)我道(わがみち)を歩(あゆ)む
これを「不磨(いろあせ)ぬ古典(ふることぶみ)」と號(い)ふ。
停滯(あしぶみ)・瀬踏(せぶみ)、不必惡(かならずしもあしきことにあらず)

腳(あし)が三本(さんぼん)八咫烏(やたがらす)、
烏(からす)の行水(みづあみ)、誰(だれ)より迅速(はやし)。
兵貴神速(いくさはすばやさをたつとぶ)」
かくて、掉尾(いやはて)の一滴(ひとしづく)も平定(たひら)げ退却(いとまごひ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax) S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4~F4
颱風(のわけ)一過(す)ぎたる有一日(あるひ)、
またも『寶來家』に伺(うかゞ)ひ、
"韭菜豬肝(ニラレバ、ぶたきもとこみらのいためもの)"+"啤酒(むぎのあはざけ)"、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

"啤酒(これ)"の外(ほか)は尋常(つね)に同(おな)じ。
同(おな)じ味(あぢ)の×貉(むじな)〇"韭菜(こみら)"、、に"豬肝(ぶたきも)"。
"切干蘿蔔(きりぼしおほね)"の佳味(よきあぢ)もまた平生(つね)のごとし。
作(つく)りたて歟(か)?、なほ温(ぬく)もりを保(たも)つ。

"(にらぎ)"は胡瓜(そばうり)の糠漬(ぬかづけ)。
今朝(けさ)漬(つ)けたばかり
とのことにて、慥(たしか)に半點(いさゝか)淺(あさ)めなれど、
糠(ぬか)の芳香(よきかをり)、口腔(くち)より竅(はな)に擴散(ひろがる)

掉尾(いやはて)に"靑梅酒漬(あをうめのさけづけ)":
「貰(もら)ひ物(もの)」との説明(よし)。
梅酒(むめしゆ)の"梅(うめ)"とは異質(こと)なるも、美味(よきあぢ)。
珍(めづら)しく當日(このひ)の客(きやく)は冢中枯骨(それがし)一人(ひとり)。

辭別(いとまごひ)にあたり、"女主人(をんなあるじ)"と二言三言(ふたことみこと)。
「"拉麪(もろこしのきりむぎ)"の溏油(だし)は、
 雞骨(とりがら)+豕骨(ぶたのほね)+甘藍(はぼたん)などの蔬菜(あをもの)」
「これは先代(せんだい)の廚藝(わざ)を蹈襲(ひきつぎ)たるもの」

「されど、この"韭菜豬肝(ニラレバ)"は、
 他店(よそ)に修業(うでをみがき)し檀那(だんな)の廚藝(わざ)
以爲(おもふに)、
上記二品(このふたしな)は、待塲中華(まちうか©MNH女史)の譽(ほまれ)

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4~F2.8
漸(やうや)う暑熱(あつさ)も和(やは)らぎ、
久々(ひさびさ)"拉麪(もろこしそば)"狙(ねら)ひで『寶來家』に伺(うかゞ)ふ。
休日(やすみ)の所爲(せゐ)歟(か)?、席(せき)過半(あらかた)埋(う)まりて、
廚前(くりやのまへ)に着席(こしをおろす)。

彼方(あちら)も此方(こちら)も、
舊(ふる)くからの相知(なじみ)と推定(おぼし)き客(きやく)また客(きやく)
されど、列(なら)ぶこともなく、
冢中枯骨(それがし)の外(ほか)に"鏡珠(たま)"玩(もてあそ)ぶ輩(やから)なし。

その"鏡珠(たま)"とは、旭光學(あさひくわうがく)"S-M-C Takumar 1.8/55":
これを"東通工(とうつうこう)"暗匣(カメラ・オブスクラ)に、、。
裝着(はめこむ)や否(いな)や、"餛飩湯麪(こんとんそば)"を需(もと)む。
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)。

程(ほど)なくして來(き)りし"餛飩湯麪(こんとんそば)":
(すがたかたち)も(うつは)も、何(なに)もかも以前(まへ)と同一(おなじ)。
これを啜(すゝ)るに、口味(あぢ)も風韻(かをり)も亦(また)同一(おなじ)。
同(おな)じ味(あぢ)の×(むじな)〇一品(ひとしな)。

嗚呼(あゝ)、これ、これ、これ、これッ!
瞬間(またゝくひま)に盌(うつは)の中(なか)は(から)と化(な)る。
何(なに)から何(なに)まで蛻殼(もぬけのから)、
〽「鳴(な)く蝉(せみ)の 壽命(いのち)短(みじか)し 卅日(みそか)まで」

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【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.4~F2.8
またまた、偶々(たまたま)の『寶來家』。
またも、"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの)"+"啤酒(むぎのあはざけ)"、
實(げ)に、「井底之蛙(ゐのなかのかはづ)」と云ふほかなし。
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

此度(こだみ)の"碟兒(こざら)"・"(さかな)"の等類(たぐひ)は、
"(えだまめ)"に"燈籠椒(パプリカ)"。
通例(つね)のごとく、"生薑未醤(くれのはじかみみそ)"、"金平(きんぴら)"と、
至(いた)れり盡(つく)くせり。

そも"金平(きんぴら)"とは、
かの大江山酒呑童子 (おほえやまのしゆてんどうじ)を退治(たいぢ)せし、
源頼光(みなもとのよりみつ)が家禮(けらい)坂田公時(さかたのきんとき)が子(こ)、
坂田金平(さかたのきんぴら)に由來(ちな)むと云ふ。

倩(つらつら)この"金平(きんぴら)"を觀察(うかゞふ)に、
"牛蒡絲(うまふゞきせん)"のほかは"胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)"のみ。
菜刀(もろこしのめしがたな)による"(せんぎり)"と云ふより、
"笹搔(さゝがき)"のごとき姿形(すがたかたち)。

ともあれ、
食感(はごたへ・したざはり)、調味(あぢつけ)とも、
冢中枯骨(やつがれ)が嗜好(このみ)に一無相違(ひとつとしてことなるところなし)
"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの)"も、亦(また)、平生(つね)のごとし。

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梅雨明(つゆあけ)の幽谷(かすかへ)。
この暑熱(あつさ)、咄嗟(にはか)に浮(う)かぶは"啤酒(むぎのあはざけ)"。
"啤酒(むぎのあはざけ)"となると、
あそこ』の"韭菜豬肝(ぶたきもとこみらのいためもの)"に若(し)くはなし!

"炎暑(あつさ)"→"啤酒(むぎのあはざけ)"→"韭菜豬肝(ニラレバ)"、
と云ふ、このあまりに禽獸(とりけだもの)ゝごとき衝動(つきうごかされたるこゝろ)。
夏蟲(なつのむし)が火(ひ)に入(い)り、
(ねこ)が木天蓼(またゝび)に酩酊(ゑ)ふに、無所相違(つゆことなるところなし)。

此度(こだみ)の(さかな)は、
"(えだまめ)"に"鞘豌豆(さやいりのらまめ)"。
"(えだまめ)"は「どこぞの家庭菜園(にはのはたけ)のもの」と演述(い)ふ。
"鞘豌豆(さやいりのらまめ)"には"炸豆皮(あぶらあげ)"を搭配(くみあはす)。

常態(つね)のことながら、
實言(まこと)、胃腑(い)にも味覺(した)に優(やさ)しき調劑・調味(あぢつけ)
とは云へ、"(えだまめ)"の×鹽嘉言(しほかげん)〇鹽加減(しほかげん)は、
半點(いさゝか)過淡(あはきにすぐ)る遺憾(うらみをのこす)。

愚按(やつがれおもふに)、
夏塲(なつば)の"啤酒(むぎのあはざけ)"には强(つよ)き鹵(しほけ)が適切(よい)
アターブル』は「過鹹(しほけがすぐ)る」と、使吾思(ひとをしておもはしむ)るも、
"赤葡萄酒(あかきえびかづらのさけ)"には調和(よくあふ)。

これ、これ、これ、これ~-----------ッ!
"啤酒(これ)"には、何時(いつ)もの"韭菜豬肝(ニラレバ)":
上漿(したあぢ)施(ほどこ)されたる"炸豬肝(ぶたきものからあげ)"を齧(かじ)り、
"(にら)"と"(もやし)"を一氣呵成(ひといき)に「狼餐虎咽(むさぼりくらふ)」。

掉尾(いやはて)に" (つけもの)":
白菜(はくさい)に加(くは)へ、胡瓜(そばうり)の糠漬(ぬかづけ)。
やはり、"(にらぎ)"は不可缺(かゝせぬもの)。
四季漬物鹽嘉言(しきつけものしほかげん)】も斯(か)く論述(い)ふ。

四季漬物鹽嘉言(しきつけものしほかげん)】(5/37):
=========================================
>"料理本膳(れうりほんぜん)"の
>手厚(てあつ)き二汁三汁(にじふさんじふ)を椀(わん)に盛(もり)、
>七菜(しちさい)の器(うつは)を竝(なら)ぶるとも、
>"香(かう)の物(もの)"なき時(とき)は
>立派(りつぱ)な行列(ぎやうれつ)に"(おさへ)"なく、
>お坐敷狂言(ざしきゝやうげん)に祝儀(しうぎ)をつけざるが如(ごと)し。
>
> ..............中畧(なかほどをはぶく)...............
>
>「千門萬戸(せんもんばんこ)暫(しばらく)も缺(かく)べからず。」
=========================================

店(みせ)の招牌(かんばん)たる御内儀(おかみ):
二代目主人(にだいめあるじ)の女兒(むすめ)にして、
 三代目女主人(さんだいめをんなあるじ)」
との説明(はなし)に吃驚(こしをぬか)し、霎時(しばし)絶句(ことばをうしなふ)。

戰前(いくさのまへ)の藝者置屋(おきや)に濫觴(はじま)り、
鮓店(すしや)を經由(へ)て、
待塲中華(まちうか©MNH女史)に再轉業(ふたゝびのなりはひがへ)。
戰中・戰後混亂期(いくさのどさくさ)に鮮魚涸渇(うをなき)が契機(きつかけ)とか。

"割烹(かつぱう)"・"會席(くわいせき)"と異(こと)なり、
通年(ひとゝせ)不變(かはらぬ)が常態(つね)待塲中華(まちうか©MNH女史)。
然(しか)るに、
當家(こちら)では、季節(ときのうつろひ)が肌身(はだみ)に沁(し)む

靑陽(はる)は、"(ふき)"、"竹筍(たかむな)"
朱明(なつ)には、"(えだまめ)"、"茄子(なすび)"に、"芋莖(いもがら)"、
白藏(あき)なら、"(かき)"、"鴨脚子(ぎんなん)"、
玄英(ふゆ)に至(いた)りて、"(おほねむし)"、云ふ工合(ぐあひ)。

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毎囘(いつも)、"拉麪(もろこしそば)"か、"韭菜豬肝(ぶたきもこみら)"、と云ふのも、
頑迷固陋(あまりにくらき、いしあたま)」。
詳細(つぶさ)に右(めて)なる菜譜(こんだて)を睨(にら)めど、
「これぞ!」と魅(ひ)かるゝ菜(もの)は皆無(なし)

已(や)むことを得(え)ずして、
左(ゆんで)の菜單(しながき)より選擇(えら)みし"餛飩麪(こんとんそば)"。
霎時(しばしま)がありて、提供(はこばれきた)りし"擔擔麪(しせんやたいそば)"、
對價(あたひ)、七百圓也(なゝひやくゑんなり)。

「ま、これも、何(なに)かの邂逅(めぐりあひ)」、
塞翁失馬(こちらにころびて、あしくなり、あちらにまろびて、よくもなり、、)」
と、かつ諦(あきら)め、かつ慰(なぐさ)め、湯(しる)を一口(ひとくち)。
"芝蔴醬(ごまびしほ)"の香(かをり)漂(たゞよ)ひ、舌(した)には"(からみ)"。

上面(うはも)の"(もやし)"と"菠薐(からな)"に"肉鬆(そぼろ)"を摘(つ)まみ、
一口(ひとくち)。
新鮮(あらたし)く、齒觝觸(はあたり)を留(のこ)す"(もやし)、
熬(いりあげ)られたる"肉鬆(ぶたにくそぼろ)"には優(やさ)しき調味(あぢつけ)

"正宗擔擔麪(ほんばしせんやたいそば)"と異(こと)なるは、
明若觀火(ひをみるよりもあきらか)」。
東瀛(ひのもと)の名店(なだかきみせ)と比較(くら)べても異質(ことなるもの)。
やはり、"餛飩麪(こんとんそば)"が吉(よい)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8~F4
     福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F8
     高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8 御内儀
飽(あ)きもせで、またも來(き)たりし『寶來家』。
習慣(ならひ)の、
啤酒(むぎのあはざけ)に、"韭菜豬肝(レバニラ、ぶたきもとこみらのいためもの)"、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

俟(まつ)ほどに、"辣韭(らつきやう)"、
次(つ)いで"炸茄子(あげなすび)"が此方(こなた)の食臺(めしづくゑ)に、、。
茄子(なすび)は「今旦(けさ)屆(とゞ)きましたるばかり!」
との御内儀(おかみ)の口上(はなし)。

蘿蔔泥(おほねおろし)に漿醬(しやうゆ)を垂(た)らし、
熱(あつ)きうちに啖之(これをくら)ふ厚顏野干(こうがん、のぎつね)の卍(まんじ)。
程(ほど)なくして"韭菜豬肝(レバニラ、ぶたきもとこみらのいためもの)"も、、。
炸豬肝(きもあげ)の苦味(ほろにがさ)が味覺(した)を騒擾(さはがす)

調味(あぢつけ)は『こちら固有(ならでは)の優(やさ)しさに橫溢(あふ)れ
筯(はし)の進(すゝ)むこと、
强弓(つよゆみ)より放(はな)たれたる箭(や)の飛翔(あまかく)るがごとし。
と、玄關(いりぐち)には、うら若(わか)き乙女(をとめ)が两個(ふたり)

瞳孔(ひとみ)全開(ひらき)て、啞然(くちあけはなたれ)
自失(われをうしなふ)こと霎時(しばし)躊躇(たゆた)ふ引裂箸(ひきさきばし)。
氣(き)も漫(すゞ)ろ、上(うは)の空(そら)、伴(とも)は曾良(そら)。
日光街道(につくわうかいだう)"韭菜豬肝(レバニラ)"の逆旅(たび)。

猫(ねこ)に木天蓼(またゝび)、卍(まんじ)に女(めのこ)。
茲(こゝ)に至(いた)りて、俄頃(にはか)に櫡(はし)も停留(とゞこほ)る
その容(さま)、
蝸牛(かたつむり)の四葩(よひら)の葉(は)を歩(あり)くに異(こと)ならず。

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「〽眼精(め)にも吉(よし)、耳鼻咽喉(みゝはなのど)に『寶塚(たからづか)』、 
 脾撓(ひだる)き(はら)には『寶來家』」
と云ふ次第(わけ)にて、
またも來(き)ました日光街道粕壁宿(につくわうかいだうかすかべじゆく)『寶來家』。

"拉麪(らあめん)"歟(か)?
はたまた、"韭菜炒豬肝(レバニラ、=こみらとぶたきものいためもの)"歟(か)?
霎時(しばし)躊躇(たゆた)ふも、またもや、"拉麪(らあめん)"に、、、。
×何兆(なんてう)四百八十圓也(しひやくはつしんゑんなり)。

平生(つね)に不變(かはらぬ)佳味(よきあぢ)。
愚按(やつがれおもふに)、
"懐古趣味拉麪(ノスラー、いにしへのもろこしきりむぎ)"の頂點(いたゞき)。
かくて、空(から)の(まり)を賞(ながめ)、一安堵(ひとおちゐ)。

碟兒(こざら)の"煮物(にもの)"は、
蕗莖(ふきのくき)、蕗葉(ふきのは)、切干蘿蔔(きりほしせしおほね)。
切干蘿蔔(きりほしおほね)には、蘿蔔乾絲(ほしたるおほねせん)、
炸豆皮絲(あぶらあげ)、胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)、椎蕈片(しひたけうすぎり)。

時季(とき)に適(かな)ふ"(ふき)";
(め)には(め)、(は)には(は)、(くき)には(くき)」と、
"ハンムラビ法典(はふてん)"さながら、個性(もちあぢ)に差(たがひ)があり、
風韻(かをり)、食感(はごたへ・したざはり)も異質(ことなる)。

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毉(くすし)"塚狂七六福耳庵師(づかぐるひなむふくみゝあんし)"。※假稱(かりのな)
その論評(はなし)を耳(みゝ)にするや、俄頃(にはか)に色(いろ)めきたち
猿眞似(さるまね)」の誹(そし)りも懼(おそ)れず、"韭菜炒豬肝(レバニラ)"に。
但(たゞ)し、米飯(こめのいひ)を避(さ)けて"啤酒(むぎのさけ)"。

麥酒(むぎのさけ)は"麒麟牌(きりんじるし)"の大瓶(おほびん)のみ。
あまりの潔(いさぎよ)さに脱帽(おそれいりやのあさがほいち)。
"韭菜炒豬肝(レバニラ、=こみらとぶたきものいためもの)"と都合(あはせて)、
對價(あたひ)、一千二百五十圓也(いつせんにひやくごじふゑんなり)。

劈頭(いやさき)に、
"麒麟啤酒(きりんむぎのさけ)"と"煠魚餠(さつまあげ、=うをのねりものあぶらあげ)"。
"煠魚餠(さつまあげ、つけあげ)"の上(うへ)には、
蘘荷末(めうがのこぐちぎり)と生薑泥(おろしたるくれのはじかみ)。

"煠魚餠(うをのねりものあぶらあげ)"は適度(ほどよ)く燙(あたゝ)められ
數滴(ふたしづく)ほどの醬油(しやうゆ)を滴下(たら)して一噛(ひとかみ)。
實言(まこと)、相互(たがひ)に調和(よくあ)ひ、心持(こゝち)よきかぎり
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

俟(まつ)こと霎時(しばし)。
注文品(くだんのしな)が此方(こなた)に、、。
寔(まこと)、(うはさ)に無所相違(つゆとたがふところな)きその姿(すがた)!
上漿(したあぢ)→(ころも)→油煠(からあげ)、と云ふ做法(やりかた)なるべし。

肝臟(きも)の臭氣(くさみ)は巧妙(たくみ)に抑制(おさへ)られ、
(しほけ)と(うまみ)に溢(あふ)れて(カリッ)と齒觝觸(はにあたる)。
對照之(これにひきかへ)、蔬菜(あをもの)は嫩(やはらか)く淡味(うすあぢ)
(こみら)、(もやし)、胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)、これなり。

これには、肝裂魄飛(きもさけ、たましひみにそはず)。
もはや、絶句(ことばをうしなふ)ほか術(てだて)なし。
(もやし)の(ね)が、、」
などゝ、努々(ゆめゆめ)、野暮(やぼ)を演述(い)ひたまふこと勿(なか)れ

と、感慨(おもひ)に耽溺(ふけ)る遑(いとま)もなく、
"(ふき)"に"蕗未醤(ふきみそ)"、"白菜(はくさい)の腌菜(つけもの)"まで。
掉尾(いやはて)には、必殺技(とゞめ)の"梅乾(うめぼし)"。
御内儀(おかみ)手製(てづからこしらへたる)は勿論(いふもさらなり) 。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2 ※女將
杉花粉症(あのやまひ)を罹患(わづら)ひ、はや四十有餘年(よそとせあまり)。
眼精(め)・耳竅(みゝ)ともにムズ痒(かゆ)く、 
壓(お)さで鼻竅(はな)より泉(いづみ)湧(わ)く~~~ ( ´艸`)( ´艸`)
七六〇四一八七(ならうよいはな)!」、「七六〇四一三三(ならうよいみゝ)!」

かくて、またもや『寶來家』に、、。
壁面(かべ)と云ふ壁面(かべ)には夥(おびたゞ)しき數(かず)の短册(たんざく)。
捨鈔(すてぜに)するは悋嗇(けち)の恥辱(はぢ)
「東國(あづま)の惚獼猴(ぼけざる)無錢(ぜになき)なり

と云ふ最深刻(いとふか)き事情(わけ)ありて、
平生(つね)のごとく、
"拉麪(らあめん)"唯一品(たゞひとしな)、
對價(あたひ)、なんてふ四百八十圓(しひやくはつしんゑん)の廉價(やすさ)。

"(にらぎ)"は白菜(はくさい)、
"小碟(こざら)"として蛋黃醬(マヨネイズ)和(あ)への意大利麪(パスタ)。
常態(つね)に不變不動(かはら)ぬ佳味(よきあぢ)
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

(まり)の湯(しる)を悉(ことごと)く鯨飮(のみほ)し、
底(そこ)の鳳凰(おほとり)と縁(ふち)の雷紋(かみなりもん)を伏拜(ふしをが)む。
愚按(やつがれおもふに)、
拉麪(らあめん)の瓷器(うつは)として、これに贏(まさ)るもの皆無(なし)

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【暗箱】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.4
     高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2
三日前(みつかまへ)『榮樂飯店』の"餛飩麪(こんとんめん)"かき咋(くら)ひ、
如何(いか)に記(しる)すべきか「あれやこれや」と沈吟(うちあん)ずるに、
幻影(まぼろし)、
俄頃(にはか)に老骨(それがし)が味覺(した)と嗅覺(はな)に蟠踞(わだかまる)

かくなる上(うへ)は粕壁宿(かすかべじゆく)『寶來家』の他(ほか)になく、
またも勇躍(いさみ)て扉(とびら)を開(ひら)く。
(そびら)にカビラ傳單(せんでんびら)。
ム、ムッ!

廚(くりや)の御内儀(おかみ)より聲(こゑ)がかゝり、
半點(いさゝか)の躊躇(ためらひ)もなく、大音聲(だいおんじやう)にて、
餛飩麪(こんとんめん)」!
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)。

"餛飩(こんとん)"は旣述(すでにのべた)るとほり。
とは云へ、"饂飩(うんどん)"なるものゝ、
"切麪(きりむぎ)"、"餺飥(はくたく)"と酷似(いとよくに)て、
且(かつ)、"餛飩(こんとん)"とは似(に)ても似(に)つかぬは謎(なぞ)。

溫(あたゝ)かき"切麪(きりむぎ)"が"溫麪(あつむぎ)"、
冷(つめ)たき"切麪(きりむぎ)"が"冷麪(ひやむぎ)"なるは勿論(いふもさらなり)。
愚按(やつがれおもふに)、太(ふと)き"切麪(きりむぎ)"が、
唐山傳來(もろこしよりつたはりし)"餛飩(こんとん)"と混同(こんだう)歟(か)?

和漢三才圖繪】  正徳二年(1712年)刊
■コマ番號 【905/921】:
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"溫飩(うとん)" 、="湯餠(たうへい)"、"不托(ふたく)"、"餺飥(はくたく)":
「唐には"不托(ふたく)"と曰、宋には"餺飥(はくたく)"と曰。
 凡そ、麪を以て食と爲し、煮之者(これをにるもの)、皆、"湯餠(たうへい)"と謂ふ。」
「按、"温飩"は、乃(すなはち)、"湯餠(たうへい)"の俗稱也。、、云々」
======================================

嬉遊笑覽】  天保元年(1830)刊  
■コマ番號 【223/359】:
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「按ずるに、"混沌(こんとん)"、後に食偏に書かへたるなり。
 煮て熱湯に漬して進る故、此方にては一名を"溫飩(うんとん)"ともいひしなり。」
「今世"溫飩"は、名の取違へなり。
 それは、溫麪にて"あつむぎ"といふものなりといへり。」
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閑話休題(それはさておき)、當家(こちら)の"餛飩麪(こんとんめん)":
瓷器盌(せとものゝまり)は、"拉麪(らあめん)"の(うつは)に限(かぎ)る。
榮樂飯店』の四百五十圓(しひやくごじふゑん)よりは比較高(たかめ)なれど
綜合(すべてあはせ)て評價(かんがみ)るに、當家(こちら)が吉(よい)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2
平生(つね)のごとく"拉麪(らあめん、=もろこしのきりむぎ)"。
試(こゝろ)みに、"半炒飯(やきめしなかば)"も注文(たのむ)。
都合(あはせて)對價(あたひ)、一千百十圓也(いつせんひやくじふゑんなり)。
人生初(うまれてはじめて)、オコエ、鼻聲(はなごゑ)、千圓超(せんゑんごえ)。

やはり、當家(こちら)の"拉麪(らあめん)":
街塲中華(まちうか*)の頂點(いたゞき)、車力(しやりき)、消臭力(せうしうりき)。
一滴(ひとしづく)だに殘(のこ)すことなく完食之(これをたひらぐ)。
(まり)には、尋常(つね)のごとく、雷紋(いかづちもん)と鳳凰(おほとり)。

"(にらぎ)"として、胡瓜(きうり)、白菜(はくさい)の糠漬(ぬかづけ)、
"煮物(にもの)"の小碟(こざら)に載(の)るは、
土芋(ほど)、胡蘿蔔(せりにんじん)、竹輪魚餠(ちくわ)。
さらに、"土芋沙拉(ほどさらど)"まで、と云ふ豪華陣容(いときらびやかなるかほぶれ)。

有左程(さるほど)に、初體驗(はじめて)の"炒飯(やきめし)":
板橋系(かのいたばしをもしのぐ)黏性(ねばり)に、呆然自失(たましひみにそはず)。
泣面(なきつら)に紅色(あか)の福神漬(ふくじんづけ)。
悔(くや)し、恨(うら)めし、この日(ひ)の"炒飯(やきめし)"。

櫡(はし)も停滯(とゞこほ)り、進退(すゝむもしりぞく)も不如意(まゝならず)。
これを、
囊中之鼠(ふくろのねづみ)」、
もしくは、煮詰(につめ)、附爪(つけづめ)、雪隱詰(せついんづめ)と稱(い)ふ。

總身(からだ)より膏汗(あぶらあせ)滴(したゝ)らすこと、
筑波山麓四六蝦蟇(つくばさんろくしろくのがま)に無所不異(つゆことなるところなし)。
當家(こちら)で不味(あぢあ)しきは、
"咕嚕肉(すぶた)"のほか、記憶(おぼえ)なしもとまさる(いぬ)も去(さ)る。

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*)©MNH女史

【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2
またも來(き)たりし×『寶塚(たからづか)』〇『寶來家』。
拉麪(らあめん)の、味道(あぢ)とξ(ぐざい)とその姿形(すがた)、
この上(うへ)に、
何(なに)足(た)す?、何(なに)引(ひ)く?、無一物(なにひとつ)!

それ盛(も)る湯碗(うつは)雷紋(いかづちもん)。
碗底(そこ)の鳳凰(おほとり)、由緒(すぢめ)正(たゞ)しきこの姿(すがた)。
井上聰(ゐのうへさとし)が、どうたらかうたらうんぬんかんぬん、、
なこたァ、懲言(こゞと)、戲言(ざれごと)、重箱之隅(ぢゆうばこのすみ)。

遺漏(もれ)なく、
素朴(そぼく)にして滋味深(いつくしみあふる)ゝ煮物(にもの)が附屬(つく)。
此度(こだみ)は、(さといも)、竹輪(ちくわ)、蒟蒻(こんにやく)。
(にらぎ)と、晩龝(ふかきあき)ならでは銀杏(ぎんなん)まで、、。

都合(すべてあ)はせて、南朝(なんてう)四百八十圓(しひやくはちじふゑん)。
小賢(こざか)しき若輩(しりあをきやから)が
紅本(あかほん)の★獲得(ほしとり)に血眼(ちまなこ)となる昨今(このごろ)、
かゝる商賣(あきなひ)、寔(まこと)、淸々(すがすが)しきかぎり

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8
老生(おひぼれ)、
紛(まが)ふことなき狂信的待塲中華教原理主義者(まちうかぐるひ)。 ©MNH女史
その手本(かゞみ)とも斷言(い)ふべき店舖(みせ)こそ、
當家(こちら)『寶來家』。

管待(もてなし)ぶりは至高(このうへも)なく、
實言(まこと)、寶塚(きよく、たゞしく、うつくし)き商賣(あきなひ)。
抑々(そもそも)、屋號(みせのな)からして『寶來家(はうらいや)』。
だから何(なに)?」と詰問(と)ふは野暮(やぼ)の蟒蛇(うはゞみ)。

卍家(まんじけ)、
不快(きしよ)く、下賤(さもし)く、淺猿(あさまし)く!」
湯碗(しるわん)は鳳凰柄(おほとりがら)雷紋(いかづちじるし)に限定(かぎる)!」
が、先祖代々(とほつおやよりつたは)る家訓(いへのをしへ)

これを違反(やぶ)るは、末代(すゑ)までの恥(はぢ)
御先祖樣(とほつおや)に對(たひ)し奉(たてまつ)り、
辯解不能(まうしひらきがたちまうさぬ)。
腹(はら)十文字(じふもんじ)にかッ捌(さば)きて謝罪(おわび)するほかなし。

因(ちな)みに、 某家(あるかたのいへ)では、
(さけ)と(まぐろ)は二貫(にくわん)まで!」
饐飯(すえめし)喰(く)はすな犬(いぬ)のハチ!」
と云ふが代々傳承(むかしからつたは)る不磨大典(かはることなきゝまり)。

かくのごとき縁由(ことのよし)にて、
拉麪(らあめん、もろこしきりむぎ)、
對價(あたひ)、四百八十圓也(よんひやくはちじふゑんなり)。
小皿(こざら)の醬油田樂(しやうゆでんがく)と柹膾(かきなます)が附屬(つく)。

(あぢ)?
それを肯(あへ)て菊正宗(きくまさ)?、小政(こまさ)、高橋眞麻(たかはしまあさ)。
"ちゝ"が偉大(でか)くて鼻竅(はな)顯著(めだつ)
惡(わる)からう理由(わけ)も無(な)き桃太郎侍(もゝたらうざむらひ)。

一(ひと~つ)、他人(ひと)の餘(のこ)り湯(じる)を啜(すゝ)り、
二(ふた~つ)、懐(ふところ)寂(さみ)しき待塲中華三昧(まちうかざんまい)。
三(みッつ~)、身(み)の程(ほど)不知(しらず)の愚者(おろかもの)。
鈔(ぜに)を布施(おくれ)よ~、左右旦那衆(みぎやひだりのだんなさま~)♪

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8 ※御内儀
手許(てもと)には、
"旭光學製(あさひくわうがく)超琢磨八枚玉(スーパータクマーはちまいだま)"、
焦距(しやうてんまでのながさ)五十粍(ごじふミリメートル、=50mm)、
光圈値一點四(あかるさいちてんよん、=F1.4)。

業物(わざもの)とは異(こと)なる鈍刀(なまくらがたな)。
据物斬(すゑものぎり)と云ふより、辻斬(つじぎり)の心持(こゝち)。
鈍刀(なまくらがたな)で寸々(ずたずた)に斬刻(きりきざ)まれては
斬(き)られた者(もの)こそ浮(う)かばれまい

先(ま)づは、『寶來家』にて腹拵(はらごしら)へ。
壁面(かべ)には手書(てがき)の菜單(しながき)。
此度(こだみ)は拉麪(ラーメン)を避(さ)け、初(はじめて)の"湯麪(タンメン)"、
對價(あたひ)、六百圓也(ろつぴやくゑんなり)。

甘藍(はぼたん)、豆芽(もやし)、胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)、豬肉(ぶたにく)、
麪條(そば)は拉麪(ラーメン)より太目(ふとめ)歟(か)?
胡蘿蔔絲(せりにんじんせん)は尤(いと)細(ほそ)く、
甘藍(はぼたん)も幅(はゞ)二分(にぶ)ほどの(ほそぎり)。

(しる)は雞骨(とりがら)と推定(おぼし)き淡(あは)き溏油(だし)
(しほ)、(あぶら)、ともに適量(ほどよし)。
とは云へ、
やはり當家(こちら)、"拉麪(ラーメン)"が最佳(なにより)。

辭別(いとまごひ)せんとするに、
御内儀(おかみ)、莞忝(につか)と相好(おもて)を崩(くづ)し、
御大事(おだいじ)に!
小人(それがし)が腰(こし)惡(わろ)きを配慮(おもんばか)る一言(ひとこと)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)1.4/50 @F2.4~F4
      高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8 ※御内儀
久方(ひさかた)ぶりの『寶來家』。
大畧(およそ)半年(はんとし)ぶりにもかゝはらず、
御内儀(おかみ)、莞忝(につこ)とうち咲(ゑ)み小人(それがし)を歡迎(むかふ)。
さながら、親類縁者(うからやから)でも訪問(たづ)ねたるがごとし

廚(くりや)には東道(あるじ)たる師傅(おやかた)、
客席(きやくせき)に在(あ)りて管待(もてなし)に當(あた)るは仲居 (なかゐ)、
前述(くだん)の御内儀(おかみ)は、
房間(へやとへや)とを、縱横無盡(いそがはしくかけずりまは)る働(はたら)き

「"餛飩麪(わんたんめん)"だと碗(どんぶりばち)が今一(いまひとつ)、
 "拉麪(らあめん)"は毎度毎度(いつもいつも)、、。」
と、霎時(しばし)沈吟(うちあん)じたる後(のち)、
"湯麪(たんめん)"を注文(たの)むことに決意(こゝろさだむ)。

南無三寶(なむさん)!
うら若(わか)き仲居(なかゐ)運搬(はこびきたり)しは、
"拉麪(もろこしきりむぎ)"、
對價(あたひ)、四百八十圓也(よんひやくはちじふゑんなり)。

具(ぐ)はと瞻(み)るに、
叉燒(やきぶた)、筍乾(めんま)、菠薐草(はうれんさう)、鳴門卷(なるとまき)、
紫菜(のり)、と、尋常(つね)のごとし。
上(うへ)には、椀(わん)の吸口(すひくち)のごとき黄柚(きゆ)が浮(う)く。

"(にらぎ)"に"小皿(こざら)"、と、
これまた、常態(つね)に寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし
食後(めしのあと)には”咖啡(こおふィ)”。
實言(まこと)、往古(いにしへ)の大衆食堂(たみのめしや)そのもの

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2.8~F4
壁(かべ)に耳(みゝ)あり、障子(しやうじ)に火蟻(ひあり)。
水際(みづぎは)で阻止(とめ)ねばならぬ、この蟻(あり)が、
殲滅(なくなる)ほどに效(き)くならば、これぞまことの殺蟲劑(さつちゆうざい)。
川口(かはぐち)に『菜來軒』あり、粕壁(かすかべ)には『寶來家』あり。

良(よ)くも惡(あ)しくも、往古(いにしへ)の拉麪(らあめん)。
就中(わきても)『寶來家』は、雞骨(とりがら)と思(おぼ)しき溏油(だし)に、
叉燒(やきぶた)、筍乾(めんま)、鳴門卷(なると)に、
紫菜(のり)、菠薐草(はうれんさう)と云ふ黄金(こがね)の布陣(かほぶれ)

葱末(ねぎのみじん)の做法(しかた)も小人(それがし)嗜好(このみ)。
薄過(うすゝ)ぎては蕎麥店(そばや)、麁過(あらす)ぎては齒(は)に逆(さから)ふ。
(しほ)、(あぶら)、(しる)の顏色(いろ)、、
一(ひと)つとして味覺(した)に適合(あ)はざるは皆無(なし)。

その容(さま)、
「海底(うみのこそ)の"シーラカンス"」は半點(いさゝか)大袈裟(おほげさ)なれど、
白袴(しらばかま)の神主(かんぬし)ほどに、
昔日(むかし)と不變(かはら)ぬ樣式(すがた)を保持(とゞむ)。

此度(こだみ)、
耳(みゝ)なき壁(かべ)の短册(たんざく)より選擇(えら)みしは、
"餛飩麪(わんたんめん)"、
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)。

尋常(つね)のごとく、小皿(こざら)などが附屬(つく)。
i.e.,(すなはち)、
黄瓜(きうり)の腌菜(つけもの)、菜蔬(あをもの)煮物(にもの)、
冰鎭咖啡(ひやしこおふィ)、これなり。

"黄瓜(きうり)の(つけもの)"は、
胡瓜(きうり)と薑絲(はりしやうが)の鹽漬(しおづけ)。
"煮物(にもの)"は、(はちすのね)、胡蘿蔔(にんじん)、蒟蒻(こんにやく)、
竹輪蒲鉾(ちくわかまぼこ)、彩(いろどり)として鞘豌豆(さやゑんだう)。  

胡蘿蔔(にんじん)は聊(いさゝ)か軟弱(やはらか)なれど、
鞘豌豆(さやゑんだう)は能(よ)く色味(いろみ)と食感(はごたへ)を殘(のこ)す
洗煉(あかぬけ)てはをらで、素朴(ひねりのな)き味(あぢはひ)。  
實(げ)に、「心優(こゝろやさ)しき大衆食堂(たみひやくせいのめしや)」と云ふべし。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4

久方(ひさかた)ぶりの『寶來家』。
菜單(しながき)より點菜(えら)みしは"拉麪(らあめん)"、
對價(あたひ)、四百八十圓也(よんひやくはちじふゑんなり)。
馬鈴薯(じやがたら)サラド(つけもの)、芋莖(いもがら)が附屬(つく)。

向島(むかふじま)は相知(なじみ)の"芋莖(いもがら)"とは、
半點(いさゝか)顏色(いろあひ)相違(こと)なれど、
鹵味(しほけ)は想定外(おもひのほか)に淡(あは)く、
寧(むし)ろ、甘蔗(さたう)の甜(あまみ)が顯著(きはだつ)。

とは云へ、
風味(あぢとかをり)は、正(まさ)しく"芋莖(ずいき)"そのもの。
"咬[口留]吧(じやがたら)サラド"の慣親(なれした)しみたる味(あぢはひ)に、
一安堵(ひとおちゐ)。

扨(さて)、"拉麪(もろこしそば)":
(いろ)、(あぢ)、(かをり)、(すがた)を窺(うかゞ)ふに、
往古(いにしへ)の街場中華(まちばちゆうくわ)の拉麪(それ)に
寸毫(つゆ)異(こと)なるところなし

有左程(さるほど)に、
近會(ちかごろ)、"ノスラー"なる辭(ことば)が闊歩(わがものがほにうろつく)
互聯網(ねッと)に瓦版(かはらばん)、
聚會(おふくわい)に電視節目(でんきかみしばゐ)、、。

小人(それがし)、
幼少期(いとけなきころ)より、
"街場中華教(まちうかのをしへ)"に深(ふか)く歸依(きえ)し、
現今(いま)や、歴(れッき)とした"街場中華教原理主義者(をしへのまもりて)"。

當家(こちら)の拉麪(そば):
拉麪(らあめん)の頂點(いたゞき)にして、街場中華(まちうか)の鑑(かゞみ)
今(いま)こそ、その旗印(はたじるし)を髙掲(たかくかゝ)げ、
巷(ちまた)の"ノスラー噺(ばなし)"を拂拭(ふりはら)ふ好機(ころあひ)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F5.6
切支丹暦(きりしたんごよみ)四月朔日(しがつツいたち)。
何(なに)か恆例(まいとしならひ)の嘘僞(うそいつはり)でも、、」、
と沈吟(うちあん)ずるほどに、
よき智慧(ちゑ)の浮(う)かぶ兆(きざ)しなく、氣分轉換(こゝろのきりかへ)。

戸外(そと)を逍遙(ふらつく)に、櫻花(さくらのはな)もちらりほらり。
「いざ、晝飧(ひる)は久方(ひさかた)ぶりに大奮發(だいふんぱつ)!」
と決心(かたくこゝろにちか)ひ、
粕壁(かすかべ)の頂點(いたゞき)」と推定(おぼし)き餐廳(めしや)に、、。

拉麪(らあめん)の器(どんぶりばち)は年代物(ねんだいもの)。
擦(かす)れたる雷紋 (らいもん)が、侘(わ)びたる佇(たゝづま)ひを釀成(かもす)。
菜譜(こんだて)より選擇(えら)みしは、
その價格(ね)、"拉麪(らあめん)"を凌駕(はるかにしの)ぐ、"咕嚕肉(すぶたにく)"。

あな嬉(うれ)しや!
櫻花(さくら)もて着色(いろづけ)したかと錯覺(おもは)す梅干(うめぼし)に、
顏色(いろ)尤(いと)鮮(あざ)やかなる花鰹(はながつを)。
その容(さま)、實(げ)に、櫻(さくら)の花瓣(はなびら)に髣髴(さもにたり)

ほどなくして、"咕嚕肉(すぶたにく)"も、、。
これまた、その價格(ね)に恥(は)ぢぬ鮮(あざ)やかなる色彩(いろみ)
(あかね)、紅赤(べにあか)、薄紅(うすくれなゐ)、、、。
韓紅(からくれなゐ)に染(そ)まる夕暮(ゆふぐれ)の山際(やまぎは)

洋葱(たまねぎ)と木耳(きくらげ)が顯著(あらは)。
健康志向(すこやかなるをこゝろが)けたる思(おも)ひやりに相違(たがひ)なし。
豬肉(ぶたにく)も小(ちい)さく、その(ころも)も柔(やは)らか。
推察(おもふ)に、老翁(おきな)姥(うば)への配慮(こゝろくばり)にほかならず。

あまりの有難(ありがた)さに袖(そで)を濡(ぬ)らし、
秋毫(つゆ)渇(かは)く遑(いとま)も皆無(なし)。
その涕(なみだ)、頬(ほゝ)を經由(つた)はり牀(ゆか)へと落下(ながれお)ち、
周圍一面(あたりはすべて)水滲(みづびた)し。

瞬(またゝ)く中(うち)に、
外面(とのも)に溢(あふ)れて大瀑布(おほだき)と成長(な)り、
巖(いはほ)を穿(うが)ちて砂礫(いしとすな)に變(か)へ、
砂塵(すなぼこり)は天(そら)に舞(ま)ひて龍(たつ)と化(な)る。

嗚呼(あゝ)、夢(ゆめ)か現(うつゝ)か幻(まぼろし)か、、?
やはり、當家(こちら)、
"拉麪(らあめん)"などを氣輕(きがる)に堪能(あぢは)ふべき舖(みせ)
"咕嚕肉(すぶた)"などの菜(れうり)、努々(ゆめゆめ)慢(あなど)るべからず!

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :高千穗光學 奧林巴斯(Olympus)瑞光(Zuiko)Auto-Macro 2/50 @F2
      萊茨(Leitz)徠卡(Leica)Apo Macro Elmarit R 2.8/100 @F2.8  ※櫻花
【2016-12-04追記】:
切支丹暦(きりしたんごよみ)日曜(ぞんたく)。
ふらり、吟(さまよ)ひ來(き)たりし粕壁(かすかべ)『寶來家』。
此度(こだみ)は、"拉麪(らあめん)"に加(くは)へ、"鍋貼(やきゞやうざ)"も、、。
對價(あたひ)、八百五十圓也(はつぴやくごじふゑんなり)。

尋常(つね)のごとく、小皿(こざら)が附(つ)く。
"銀杏(ぎんなん)"に"煮物(にもの)"、"新香(かうのもの)"。
倩(つらつら)"銀杏(ぎんなん)"の大(おほ)きさより推察(うかゞ)ふに、
そこらの公孫樹(いちやうのき)より落下(お)ちたるものならん。

豫想(おもひ)に相違(たがは)で、鍋貼(やきゞやうざ)は陳腐(ありきたり)。
拉麪(らあめん)の湯(しる)を悉(ことごと)く飮干(のみほ)すや、
俄頃(にはか)に現出(あらはれいで)し鳳凰(おほとり)の圖柄(づがら)。
梧桐(ごだう)にあらざれば栖(す)まず、竹實(たけのみ)にあらざれば食(く)はず。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

【2016-11-28追記】:
當家(こちら)で啖(くら)ふは、拉麪類(らあめんのたぐひ)が通常(つね)。
此度(こだみ)は、初(はじめ)て、定食(ていしよく)を試(ため)す。
"眞鰺(あぢ)フライ定食(ていしよく)"、
對價(あたひ)六百八十圓也(ろつぴやくはちじふゑんなり)。

御内儀(おかみ)、"(いなご)"を手(て)に廚(くりや)より現出(あらはれい)で、
小人(それがし)に質問(とふ):
「能(よ)くこれを食(は)み給(たま)ふ哉(や)?」
疾(と)く應答(いらへ)て曰(いへら)く、「無論(あげつらふまでもなし)!」。

稻(いね)は雷電(いかづち・いなづま)によりて結實(みをむすび)、
人(ひと)喰之(これをく)らひ、(いなご)蝕之(これをむしば)む。
その稻蟲(いなむし)も、
人倫(ひと)により佃煮(つくだに)となり、被啖(くはる)ゝところとなる。

およそ、稻子(いなご)なるもの、
人(ひと)の口(くち)に這入(はい)る昆蟲(むし)としては、
蜂子(はちのこ)と列(なら)ぶ頂點(いたゞき)、帝(すめらみこと)
とは云へ、それは技倆(うで)の巧拙(よしあし)に依存(よる)

僕(やつかれ)、初(はじ)めて口(くち)にせしは、
年齢(よはひ)、七歳(なゝつ)~八歳(やつ)くらゐの頃(ころ)。
小蝦佃煮(こえびつくだに)に寸毫(つゆ)と相違(たが)はぬその美味(うまさ)。
以降(それよりこのかた)、(いなむし)あらば、すなはち求之(これをもとむ)。

さはあれ、
居酒屋(ゐざかや)、佃煮店(つくだにや)を不問(とはで)、
甜(あま)きに過(す)ぎ、舌(した)に粘着(ねばりつく)が通例(つね)。
外面(とのも)は乾燥(かは)き、内面(なか)瑞々(みづみづ)しきが吉(よい)

當家(こちら)の(いなご)、
かゝる惡(あ)しき佃煮(つくだに)とは異(こと)なり、
市販(そこいら)の小蝦佃煮(こえびつくだに)にも匹敵(かな)ふほど。
甜(あまみ)も駭(おどろ)くほどに控(ひか)へめ

加旃(しかのみならず)、
"煮物(にもの)"、"(しる)"まで、悉(ことごと)く、
京師(みやこ)"御番菜(おばんざい)"に肉薄(せま)るほどの淡味(うすあぢ)。
鶏(とり)が啼(な)く關東(あづま)では稀有(まれ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4

【2016-11-03追記】:
有一日(あるひ)、
手打拉麪(てうちらあめん)」が氣(き)にかゝり、再訪(ふたゝびたづぬ)。
この日(ひ)、舖内(なか)には東道(あるじ)と御内儀(おかみ)のみ。
御内儀(おかみ)、接客(もてなし)のみならず、能(よ)く鍋(なべ)に面(むか)ふ

つぶさに壁面(かべ)の菜單(しながき)を覽(み)るに、
"拉麪(らあめん)"と"手打拉麪(てうちらあめん)"の二種(ふたくさ)あり。
躊躇(たゆた)ふことなく選擇(えら)みし"手打拉麪(てうちらあめん)"。
對價(あたひ)、四百八十圓也(よんひやくはちじふゑんなり)。

御内儀(おかみ)に據(よ)らば、
 ・"手打(てうち)"は相對的(くらぶる)に太(ふと)め。 
 ・内製(みづからうちたるもの)にあらず
 ・"佐野拉麪(さのらあめん)"の何(なん)たるかを不知(しらず)。

俟(まつ)こと霎時(しばし)。
此方(こなた)へと運(はこ)ばれ來(き)たりし件(くだん)の品(しな)。
倩(つらつら)その姿(すがた)を觀察(あらた)むるに、
太(ふと)く、均一(ひとし)く、角(かど)も縮(ちゞ)れもなき麪條(そばきり)

"佐野拉麪(さのらあめん)"とは似(に)ても似(に)つかぬ貨物(しろもの)。
何(なに)を以(も)て"手打(てうち)"を嘯(うた)ふか、不詳(つまびらかならず)。
これはこれで可(よし)!
鄙(ひな)の食堂(めしや)ゆゑ、目(め)くぢら立(た)つるは野暮(やぼ)。

震旦(もろこし)で云ふ"拉麪(らあめん)"は、
鹸水(かんすい)に頼(たよ)らで練(ね)りたる麪粉(うんどんこ)を、
幾度(いくたび)も拉(ひ)き重(かさ)ね條(すぢ)のごとくに製作(つくる)。
扶桑(わがくに)"索麪(さうめん)"のごときもの。

因(ちな)みに、
竹棒(たけぼう)にて麪粉(うどんこ)を打(う)ち、
菜刀(はうちやう)使用(つか)ひてこれを切斷(き)る技法(やりかた)を、
異朝(あちら)では、"竹昇麪(ちくしやうめん)"と喚做(よびな)す。  

高名(なだか)き佐野拉麪(さのらあめん)、白河拉麪(しらかはらあめん)がこれ。
粕壁(かすかべ)なら、
法隆』なる鋪(みせ)がこの做法(やりかた)、
すなはち、"竹昇麪(ちくしやうめん)"の流儀(やりかた)を貫徹(つらぬく)。

案下某生再説(それはさておき)、
當家(こちら)の"手打拉麪(てうちらあめん)":
その味道(あぢ)を吟味(あらたむ)るに、
慥(たしか)に、"細麪條(ほそきそば)"用(つか)ふ"拉麪(らあめん)"が上(よい)。

(だし)は、
"雞骨(とりがら)"に加(くは)へ、"豬骨(とんこつ)"より抽出(ひきいだす)。
(しほけ)、(うまみ)が過度(す)ぐることもなく、
尤(いみじう)優(やさ)しく爽快(さはやか)なる味(あぢはひ)。

茄子(なす)に(ふき)の煮物(にもの)また然(しかり)。
およそ、天離(あまさか)る(ひな)の惣菜(さうざい)なるもの、
平均的(おしなめ)て、甜鹹(あまから)く濃厚(あぢこ)きが常態(つね)
見榮(みば)えはせずとも、味覺(した)への優(やさ)しさに安堵(こゝろなごむ)。

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4

【2016-10-27記】:
日光街道粕壁宿(につくわうかいだうかすかべじゆく)。
倩(つらつら)街(まち)の消長(いくほひ)を窺(うかゞ)ふに、
東武鐵道(とうぶてつだう)西側(にしがは)は益々(ますます)榮(さか)え
東側(ひがしがは)は寂(さび)るゝばかり

さればこそ、
東側(ひがしがは)、日光街道(につくわうかいだう)近傍(ちかく)は
能(よ)く往古(いにしへ)の佇(たゝづま)まひを遺(のこ)す
食堂(めしや)、また然(しか)り。

街場中華(まちばちゆうくわ)に限定(かぎ)りても、
や婦゛楚者゛』、『豐樂亭』、そして、當家(こちら)『寶來家』と、
昭和(せうわ)の馨(かをり)を留(とゞ)むる舖(みせ)少(すく)なからず
方(かた)や、西側(にしがは)は陳腐(とるにたら)ぬ連鎖店(れんさてん)ばかり。

東側(ひがしがは)には、
懐古趣味(くわいこしゆみ)溢(あふ)るゝ『や婦゛楚者゛』、
類稀(たぐひまれ)なる技藝(わざ)を誇(ほこ)る『豐樂亭』、
そして、當家(こちら)『寶來家』。

有一日(あるひ)、
手打(てうち)」の招牌(かんばん)に惹(ひ)かれて暖簾(のれん)を潛(くゞ)る。
壁面(かべ)には飫(おびたゞ)しき數(かず)の短册(たんざく)。
"拉麪(ラーメン)"から"かつ丼(どん)"まで、枚舉(かぞふる)に遑(いとま)なし。

小人(それがし)、
壁面(かべ)の菜譜(しながき)より點菜(えら)みしは、
傳統(しきたり)を蹈襲(ふま)へて"餛飩麪(わんたんめん)"。
對價(あたひ)、五百八十圓也(ごひやくはちじふゑんなり)。

廚(くりや)には老翁(おきな)と(おみな)の兩個(ふたり)。
息(いき)を合(あ)はせて、
麪條(そば)を茹(ゆ)で、湯(しる)を調合(とゝのふ)。
管待(もてなし)に當(あ)たるは、三十半(みそぢもなかば)の中居(なかゐ)。

ほどなくして、件(くだん)の品(しな)が此方(こちら)に、、。
餛飩(わんたん)に加(くは)へ、叉燒(やきぶた)、鳴門卷(なるとまき)、
筍乾(めんま)、菠薐草(はうれんさう)、海苔(のり)が載(の)る。
藥味(やくみ)は(ねぎ)小口切(こぐちぎり)に柚子(ゆず)。

柚子(ゆず)は「畫蛇添足(くちなはゑがきてあしをそふるがごとし)」なれど、
實(げ)に、僕(やつかれ)嗜(この)む組合(くみあはせ)
(しる)も、淡麗(あはくさはやか)なる雞骨(とりがら)出汁(だし)。
増味劑(うまみてうみれうのたぐひ)も最小限(ひかへめ)。

高(たか)らかに「手打(てうち)」を嘯(うた)ふも、
麪條(そばきり)は、細(ほそ)く、均一(ひとし)く、腰(こし)もなし
とは云へ、能(よ)くこの雞骨湯(とりがらじる)に適合(あ)ひ
瞬(またゝ)く中(うち)に碗(うつは)は空(から)と化(な)る。

その(どんぶり)には由緒(すぢめ)正(たゞ)しき雷紋(らいもん)。
やはり、 拉麪(らあめん)・雲吞麪(わんたんめん)の碗(うつは)ハ、
傳統的(ふるくよりつたはる)雷紋(らいもん)に限(かぎ)る。
理想(おもひねがふところ)に限(かぎ)りなく近(ちか)き"餛飩麪(わんたんめん)"。

駭(おどろ)くことに、
怒涛(いかれるなみ)のごとく、小皿(こざら)が手許(てもと)に、、。
"咬[口留]吧(じやがたら)サラド"、"黄瓜(きうり)腌菜(つけもの)"、
食後(めしのあと)には(かき)と咖啡(こおふィ)と云ふ次第(しだい)。

もはや、唖然(あき)れ、笑(わら)ふほか術(てだて)なし。
小賢(こざか)しき拉麪(らあめん)が跳梁跋扈(はびこ)る昨今(けふこのごろ)
實言(まこと)、
潔(いさぎよ)く、衒(てら)はず、尤(いと)實直(まじめ)なる商賣(あきなひ)

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :徠卡(Leica)Apo Summicron M 2/50 Asph. @F2.4~F4.5

  • "御内儀(おかみ)"、【掲載許可濟】2018-02撮影
  • "雲吞麪(こんとんめん)"
  • "雲吞麪(こんとんめん)"、菠薐(からな)

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9位

中村製麺所 (幸手 / そば、うどん)

7回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2020/11訪問 2020/12/03

この"鬼柚(をにゆ)" 始末(しまつ)に困窮(こまり) 寸々(ずたずた)に 刻(きざ)みて"密煮(みつに)"と 爲(な)すほかになし

通例(つね)に倣(なら)ひ、
全粒粉(ふすまゐり)の"平打饂飩(ひらうちうんどん)"を六玉(むたま)、
これに加(くは)へて、"鬼柚(をにゆ)"一玉(ひとたま)、
都合(あはせて)、對價(あたひ)、七百圓也(しちひやくゑんなり)。

この"平打饂飩(ひらうちうんどん)"は、
こだはりや』《島田食品》"油炸豆皮(あぶらあげ)"以て"狐饂飩(けつねうろん)"に。
因(ちな)みに、"菠薐(からな)"と"(ねぶか)"は『ベジブル農商』のもの。
眞言(まこと)、鮮美(よきあぢ)なり!

扨(さて)、"鬼柚(をにゆ)":
徑(さしわたし)、大畧(およそ)四寸三分(しすんさんぶ、≒13cm)。
"(ゆう)"の名(な)こそあれ、その親族(うからやから)に非(あら)で、
"文旦(ぶんたん)"の夥計(なかま)とのこと。

慥(たしか)に、その風韻(かをり)、"(ゆ)"とは異質(ことなる)。
果皮(かは)と果實(み)を切刻(きりきざ)み、餹霜(しろざたう)と煮(に)る。
"明膠(ゼラチン、にかはのたぐひ)"を加(くは)へて冷(ひ)やし固(かた)め、
"果凍(にこゞり、ジュレ)"と爲(な)す。

初體驗(はじめて)なれど、
"柑橘醬(マーマレイド)"のごとき風味(あぢとかをり)。
"酸味(すみ)"、"苦味(にがみ)"、餹霜(しろざたう)による"甘味(あまみ)"、
三巴(みつどもへ)となりて拮抗(きそひあ)ひ、均衡(つりあひ)を齎(もたら)す。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 2017-08撮影
     旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6
通例(つね)のごとく"平打饂飩(ひらうちうどん)"×三玉(みたま)、
對價(あたひ)、三百圓也(さんびやくゑんなり)。
茹之(これをゆ)で上(あ)げ"狐温飩(×けつねうろん、〇きつねうどん)"と爲(な)す。
翌日(つぎのひ)には"釜玉(かまたま)"に、、。 ※←無冩眞(ゑはござらぬ)

因(ちな)みに、"狐温飩(きつねうどん)"のξ(ぐざい)は如下(つぎのとほり)。
 ・『木村豆腐店』の"油炸豆皮(あぶらあげ)"
 ・『わくわく廣塲』の"竹筍(たかむな)"+"(ねぶか)"、
 ・『ベジブル農商』の"菠薐(からな)"

"溏油(だし)"と"調劑(あぢつけ)"は旣述(すでにのべたる)がごとし。
全粒粉(ふすまいり)の"平打饂飩(ひらうちうどん)"の味(あぢはひ)はと云ふと、
これ亦(また)旣述(すでにのべたるとほり)。
屋上架屋(やのうへのやね)」避(さ)くるが大人(おとな)の嗜(たしな)み。

嗜(たしな)みだか馬竝(うまなみ)だか不知(しらぬ)が浮屠(ほとけ)。
佛陀(ほとけ)の眉間(みけん)に白毫(しらが)一本(ひとすぢ)。
相光照東方萬八千世界(ひかりをはなちて、ひむがしのかた、よろづせかいをてらす)。
とか何(なん)とか、理會(わかり)もせぬ儘(まゝ)啖之(これをかきくら)ふ。

扨(さて)、扨(さて)、幸手(さつて)の五商家(いつゝあきなひのみせ):
"暗匣(カメラ・オブスキュラ)"に裝着(つ)くる"鏡珠(たま)"として、
"旭光學製(あさひくわうがくせい)賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)3.5/35"
を選擇(えらむ)。

"Tessar(テッサー)"の前方(まへ)に、
負(ふ)の"メニスカス・レンズ"を加(くは)へたゞけの意匠(こしらへ)。
小型(ちいさく)、輕量(かろく)、高性能(こまかやかにうつしとるちからをほこる)
善哉(よきかな)、善哉(よきかな)!

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 賓得(Pentax)S-M-C 琢磨(Takumar)3.5/35 @F5.6
     東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※亭主(あるじ)

前囘(まへ)は、當(こちら)『中村製麪所』の"平打饂飩(ひらうちうどん)"に、
木村豆腐店』"炸豆皮(あぶらあげ)"、と云ふ配搭(くみあはせ)。
今囘(こだみ)は、近傍(ちかく)の『菊池豆腐店』を狙(ねら)ふも、
鎧戸(よろひど)が閉(と)ざゝれ、商賣(あきなひ)の氣配(けはひ)皆無(なし)

已(や)むことを得(え)ずして、
只顧(ひたすら)日光街道(につくわうかいだう)を徒歩(かち)にて下(くだ)り、
齋藤長吉商店』を標的(めざ)す。
と、前方左(ゆんでのさき)に"齋藤米穀豆腐店"なる袖招牌(そでかんばん)。

御内儀(おかみ)と丁々發止(あれやこれや)の應答(やりとり)の末(すゑ)、
竟(つひ)に『齋藤長吉商店』"炸豆皮(あぶらあげ)"を獲得(えたり)。
かくて、これを『中村製麪所』"平打饂飩(ひらうちうどん)"に配搭(くみあは)せ、
習慣(ならひ)の"狐温飩(けつねうろん)"を烹調(つくる)ことに、、。

"(なべ)"は、かの天狗牌不鏽鋼两口鍋(てんぐじるしふたくちなべ)"、
"(まないた)"は(ひのき)、
俎上(うへ)では、天狗(てんぐ)と野干(きつね)が同穴(おなじあな)の(むじな)。
"炸麪花(あげだま)"も、有(ある)には有(ある)が、少々劣化(ちとふるめ)。

と云ふ情由(わけ)にて、
"貉温飩(むじなうどん)"を諦(あきら)めての"狐温飩(けつねうろん)"。
"盌(まり)"の古伊萬里(こいまり)の色繪(いろゑ)なるは、勿論(いふもさらなり) 。
扨(さて)、その口味(あぢ)は、、、?

やはり、"全粒紛(ひきぐるみ)"が吉(よい)。
嘉(よい)、良(よい)、佳(よい)の、宵(よひ)の醉(ゑひ)。
愚按(やつがれおもふに)、(むぎ)を身包(みぐる)み剥(は)ぐは、
箱根山(はこねやま)の追剥(おひはぎ)にも劣(おと)る愚舉(おろかなるふるまひ)。

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4
     福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F11
この近邊(あたり)、
東都(えど)に比較(くら)ぶれば何(なに)も無(な)く、
宛然(あたかも)、「如入無人之境(ひとなきところをゆくがごとし)」©羅漢中ぱいせん
書肆(ほんや)、两替商(りやうがへしやう)なんぞ、ある理(ことわり)も無(な)し。

人(ひと)を唸(うな)らす"美食(よきうけ)"は勿論(いふもさらなり) 。
ところが、往古(いにしへ)より、
"切麪(きりむぎ)"の類(たぐひ)は自家(いへ)で手擀(てうち)するが風習(ならひ)
"蕎麥(楚者゛)"、"温飩(うんどん)"を沽(う)る者(もの)、亦(また)然(しかり)

とは云へ、「玉石混淆龍蛇混雜(たまといし、りゆうとへびとがまじりあふ)」。
"瓦礫(がれき)"の中(なか)から"玉璧(たま)"を探索(さがしもとむ)るは、
さながら、「畫脂鏤冰(あぶらにゑがき、こほりをきざみ)」、
海底撈針(うみのそこにはりをさぐるがごと)」き「徒勞(むだぼね)」に終(を)はる。

なれど、
"全日空(ANA、やることがなく、ひねもす、ひまをもてあます)"老翁(おきな)には、
愉(たの)しきことでもあるし、
發掘(ほりいだ)したる折(をり)は「欣喜雀躍(まひをどらずといふことなし)」。

その中(なか)の一軒(いつけん)が當家(こちら)『中村製麪所』。
"麪粉(むぎのこ)"は"國産(くにつもの)"。
"手擀(てのし、てぎり)"なれど、
「"(の)し"の一部(いちぶ)に器械(からくり)を活用(つか)ふ」とも、、。

かの"讃岐(さぬき)"ですら、
なほ、"濠太剌利亞(アウストラリア)"の"麪粉(むぎのこ)"を用(つか)ひ、
過半(あらかた)、かゝる器械(うちもの)に依存(たよ)る。
これでは、"均一(ひとしき)"ばかりの"野箆坊(のつぺらばう)"。

"捩率(よれ)"も"亂雜性(みだれ)"も「立錐無地(きりをたつるすきまもなし)」。
當家(こちら)は、かゝる"菜刀(はもの)"を利用(つか)ひ、
延(の)したる"(めん)"を截斷(たちきる)。
かくて、適度(ほどよ)き"(よ)れ"と"雜音(みだれ)"が生(う)まるゝことに。

加旃(しかのみならず)、
"平打饂飩(ひらうちうんどん)"は"全粒粉(ふすまも、めも、まるごとのひきぐるみ)"。
顏色(いろ)の白(しろ)さと"平滑性(なめらかさ)"こそ喪失(うしな)はれど、
風味(あぢとかをり)に"深(ふか)み"があり、"舌觸(したざは)り"愉快(いとをかし)。

"手擀(てのし、てぎり)"が當然(あたりまへ)のこの近邊(あたり)でも、
"全粒粉(ふすまも、めも、まるごとのひきぐるみ)"となると稀少(きはめてまれ)。
身(み)ぐるみ剥(は)ぐは、
"追剝(おひはぎ)"に、巷(そこいら)の"製粉小麥(せいふんこむぎ)"。

これを"狐温飩(×けつねうろん、〇きつねうどん)"に、、。
"炸豆皮(あげ)"は『木村豆腐店』、"炸麪花(あげだま)"は淺草(あさくさ)『まさる』。
"(ねぶか)"と"菠薐(からな)"は、
近鄕(ちかくのさと)の百姓作(たみのてになる)"無農藥蔬菜(くすりなしあをもの)"。

"炸豆皮(あぶらあげ)"の顏色(いろ)は、
"不鏽鋼雪平鍋(なべ)"の操作(あつかひ)を誤(あやま)り、焦(こ)がしたがため。
木村豆腐店』の所爲(せゐ)でも、"天狗物産(あそこ)"の瑕疵(わるさ)でもなく、
偏(ひとへ)に、冢中枯骨(それがし)が責任(せめをゝふべきこと)

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4
     旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8  ※菜刀(はもの)
有一日(あるひ)、
日光街道幸手宿(につくわうかいだうさつてじゆく)を徘徊(たもとほ)る。
和食(ひのもとのめし)の『こちら』から、洋菓子(やうぐわし)の『こちら』、
掉尾(いやはて)が切麪(きりむぎ)の『こちら 』。

外觀(かまへ)も肆内(いちくらのなか)も平生(つね)のごとし。
此度(こだみ)も全粒粉麪(ふすまいり、ひきぐるみのこむぎこ)による、"ひらうち"。
"ひやむぎ"を合(あ)はせ、
對價(あたひ)、四百圓也(しひやくゑんなり)。

"うどん"を標榜(うたふ)も、原來(もとより)"切麪(きりむぎ)"。
これを茹(ゆ)で、"熱麪(あつむぎ)"、および、"冷麪(ひやむぎ)"と做(な)す。
茹汁(ゆでじる)に灰汁(あく)のごとき泡沫(うたかた)の、
かつ消(き)え、かつ結(むす)ぶ」は全粒粉麪(ふすまいり)特有(ならでは)。

(あぢはひ)、平滑性(なめらかさ)、齒觝觸(はあたり)、
悉(ことごと)く、常態(つね)に無所相違(つゆことなるところなし)
近接(ちかより)て詳細(つぶさ)に觀察之(これをみる)に、
"(ふすま)"と推定(おぼし)き(まだら)、棒鱈(ぼうだら)、あほんだら

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【暗匣】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡珠】:旭光學 S-M-C 琢磨(Takumar)1.8/55 @F2.8
     旭光學 S-M-C 微距琢磨(Macro Takumar)4/50 @F5.6 ※陋屋(ぼろや)にて
     東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-08撮影
     福倫達(Voigtlaender) COLOR-SKOPAR 4/21 P VM @F11 ※外觀(かまへ)
久方(ひさかた)ぶりの『中村製麪所』:
僕(やつかれ)狙(ねら)ふは、此度(こだみ)も"平打(ひらうち)"。
全粒粉(ぜんりふゝん)を捏(こ)ねて手(て)に延(の)し
菜刀(はうちやう)にて截(た)ち、"切麥(きりむぎ)"となす。

心(こゝろ)なし、以前(まへ)に比較(くら)べて、色白(いろじろ)。
あるいは、普通麪粉(そこいらによくあるこむぎこ)を混(ま)ぜたる歟(か)?
これに"紐皮(ひもかは)"を加(くは)へ、 四玉(よたま)合計(あはせて)、
對價(あたひ)、四百圓也(よんひやくゑんなり)。

試(こゝろ)みに、
羅臼昆布(らうすこんぶ)、枕嵜本枯鰹節(まくらざきほんがれぶし)、
鯖節(さば)+宗田鰹節(さうだがつを)にて溏油(だし)を抽出(ひ)き、
淡口醬油(うすくちしやうゆ)とゲランド鹽(じほ)にて調味(あぢをとゝのふ)。

これに、
茹(う)でた"切麥(きりむぎ)"、ありあはせの菠薐草(はうれんさう)、
さらに、小蔥(あさつき)小口切(こぐちぎり)をあしらひ、"熱麥(あつむぎ)"となす。
所謂(いはゆる)"素饂飩(すうどん)"、もしくは"かけ饂飩(うどん)"。

愚按(やつがれおもふに)、
やはり、以前(まへ)の方(はう)が風味(あぢとかをり)に贏(まさ)る
麪麭(ぱん)にしても、全粒粉(ぜんりふゝん)は嗜好(このみ)が二分(まふたつ)。
老生(それがし)、天竺菜(てんじくめし)でも"(ナン)"より"烤餠(チャパティ)"。

"紐皮(ひもかは)"≒棊子麪(きしめん)は、
鰹節出汁(かつをだし)の暗黒醬油味(あんこくしやうゆあぢ、©ドクシマぱいせん)に、
芝蔴油(ごまあぶら)薫(かを)る揚玉(あげだま)が吉(よい)!
京坂流(あちら)の"狐饂飩(けつねうろん)また惡(あ)しからず !

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【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony)α7 III 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :旭光學 超琢磨(Super Takumar)(8 ele.) 1.4/50 @F2.8~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)紅 MC Pancolar 1.8/50 @F2.4 ※2017-08撮影分
"收斂進化(しうれんしんくわ)":
"血統(ちすぢ)"こそ海(わた)と陸(くが)ほどに異(こと)なれど
悠久(なが)き時(とき)を經(へ)て
相似(あひに)たる容貌(すがたかたち)に收斂(なりゆ)くことをかく喚做(よびな)す。

"饂飩(うんどん)"と"切麥(きりむぎ)"の關係(あひだがら)もこれに同(おな)じ。
"饂飩(うんどん)"は"あの餛飩(わんたん)"が濫觴(みなもと)、
"切麥(きりむぎ)"は"切麪(せつめん)=刀切麪(たうせつめん)"が本家(ほんけ)。
"切麥(きりむぎ)"なる語(ことば)、今(いま)も稀(まれ)に用(もち)ゐらる。

今(いま)を遡(さかのぼ)ること大畧(およそ)四百年(よもゝとせ)、
"日葡辞書(あれ)"を閲覧(く)り、"料理物語(これ)"を精讀(よみこ)むに、
"うどん"と"切麥(きりむぎ)"は太(ふと)さの差異(たがひ)を殘(のこ)すのみにて、
做法(つくりかた)・佐料(たれ)とも、寸毫(つゆ)異(こと)なるところ皆無(なし)

僕(やつかれ)以爲(おも)へらく、
素麪(そうめん)、中華麪條(もろこしふうきりむぎ)を含(ふく)め、
扶桑(わがくに)の麪(めん)は四海(よも)に誇(ほこ)るべき水準(たかみ)にあり。
意太利麪(パスタ)を超越(こ)え、中華麪(もろこしのきりむぎ)をも凌駕(しのぐ)。

その要諦(かなめ)、
(こし)と(なめ)らかさを兩立(ふたつながらにならびたゝすこと)にあり。
稻庭温飩(いなにはうどん)、『しゆはり』など、枚舉(かぞふ)るに遑(いとま)なし。
松翁』一門(いちもん)が"冷麥(ひやむぎ)"も出色(ことのほかすぐる)。

有左程(さるほど)に、
滑(なめ)らかさことあれど腰(こし)なき温飩(うどん)・ひもかはの類(たぐひ)も、
僕(やつかれ)大(おほい)に愛好(このむ)
當家(こちら)"の"温飩(うどん)"が、正(まさ)しくこの屬(たぐひ)。

抑々(そもそも)、古來(いにしへよりこのかた)、
武州北部(むさしのくにのきたあたり)は小麥(こむぎ)に恵(めぐ)まれ、
百姓(ひやくせい)、能(よ)く、これを粉(こ)に挽(に)き、
捏(こ)ねて延(の)し、切(き)りて"うどん"、"切麥(きりむぎ)"となす。

地域(ところ)や家庭(いへ)による差異(たがひ)、
(こし)の有無(ありなり)など不詳(つまびからならず)。
"武藏野温飩(むさしのうどん)"は、"讃岐温飩(さぬきうどん)"と同樣(おなじく)、
元來(もとより)、腰(こし)強(つよ)きものと云ふ。

強(つよ)く踏(ふ)まねば強靭(つよ)き腰(こし)は生(む)まれず
適度(ほどよ)く寢(ね)かさねば滑(なめ)らかを齎(もたら)すことなし
冷水(ひやみづ)に締(し)むるも腰(こし)に繋(つな)がる
實(げ)に、『しゆはり』のごとき最上(いとよ)き温飩(うどん)は稀有(まれ)。

"料理物語(れうりものがたり)"には、
うすにて、よくつかせ」とあるも、"(ふ)む"と云ふ做法(やりかた)はなく、
その手本(てほん)たる西土(もろこし)にも、
青竹打(あをだけう)ちで高名(なだか)き"竹昇麪(ちくしやうめん)"あるのみ。

嚴密(うるさ)き「武藏野温飩(むさしのうどん)」の定義(きまり)はさておき、
うちだや』の温飩(うどん)には護謨(ごむ)のごとき彈力(はごたへ)。
平滑(なめ)らかさにも虧(かき)、その食感(はごたへしたざはり)、
中野十貫坂上(なかのじつくわんざかうへ)『四國屋』を髣髴(おもはす)。

當家(こちら)の"平打(ひらうち)うどん":
全粒粉(ふすまぐるみのうどんこ)を用(つか)ひ、
極(きは)めて薄(うす)く延(の)し、"タリオリーニ"ほどの幅(はゞ)に截(き)る。
勿論(いはずもがな) の手截(てぎ)り。

今(いま)を時(とき)めく"讃岐温飩(さぬきうどん)"も、
庖丁(はうちやう)にて手切(てぎ)りする肆(ところ)は稀少(まれ)。
"手截(てぎ)り"は、適度(ほどよ)き制作誤差(きりむら)を生(う)むのみならず、
温飩(うどん)稜線(かど)の鋭利(する)どさに聯結(つながる)。

件(くだん)の『しゆはり』も『うちだや』も"手截(てぎ)り"。
さりながら、當家(こちら)の饂飩(うんどん)には腰(こし)を缺(か)く。
肆(みせ)の推奬(すゝむる)四分(よんふん)では、
半點(いさゝか)嫩(やはらか)に過(す)ぎ彈力(はごたへ)を喪失(うしなふ)

冷水(ひやみづ)に晒(さら)さで、
"釜玉(かまたま)"にて吟味(あぢみ)せしもその一因(わけのひとつ)歟(か)?
何(いづ)れにせよ、
僕(やつかれ)、かゝる腰拔(こしぬ)け温飩(うどん)を大嗜(おほいにこの)む

庶幾(こひねが)はくは、
この薄(うす)さで幅廣(はゞひろ)の"ひもかは"を柔(やは)らかに茹(う)で
暗黒醬油味(あんこくしやうゆあぢ)*)の汁(つゆ)に、
芝蔴油(ごまあぶら)の揚玉(あげだま)かけて餐(くら)はんことを。

【2017-08-22追記】:
冷水(ひやみづ)に晒(さら)して、一氣呵成(ひといき)に餐之(これをくらふ)。
目映(まばゆ)きばかりの輝(かゞや)きを保持(たも)ちつゝ、
透通(すきとほ)ること芳野葛(よしのくづ)のごとく、
その粘性(ねばり)、「大福餠(だいふくもち)歟(か)?」と錯覺(うたがはる)。

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*)©MSSBHS氏

【照相機】:東京通信工業 索尼(Sony) α7 II 無反光鏡可換鏡頭照相機(みらーれす)
【鏡頭】 :東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Pancolar 1.8/50 @F2.4~F4
      東蔡(Carl Zeiss Jena)MC Flektogon 2.8/20 @F8

  • 三代目(さんだいめ)東道(あるじ)、昭和二十二(せうわにじふに)丁亥歳(ひのとゐどし)生(む)まれ【掲載許可濟】2017-08撮影
  • "平打麪(ひらうちめん)"を"狐饂飩(けつねうろん)"に
  • "鬼柚(をにゆう)"

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