並び甲斐のある美味さ : 和風もつ料理 あらた

17：30に到着。

先客は3組4人で余裕だと思っていたら、マナーの悪い連中で、
うち2組は後から何人か割り込んでくる。

行列管理に慣れたラーメン屋は「全員揃ってから並ぶ」を徹底させるが、
まあここの店主夫婦にそんな行動は期待できない。

これで私が1回転目から溢れるようなら断固抗議するところだが、
すんなり入店できる人数だったので黙認。

「何度か来た客」と認識されれば、自動的に出てくる煮込み。

シンプルな出汁で煮込まれるもつ。
ふわとろの食感に、脂の甘み、もつ独特の旨味・コク味が見事に融合。

並ぶのは大嫌いだが、これを食べると並んで良かったと実感できる。

ミノ湯引き。

湯引きと名がつくが、湯通ししていたのは開店当初だけ。
現在は生で供されており、店主の機嫌が良ければ一見客にそれを説明する。

心地よい噛み応えと、フレッシュな甘みが美味い。

首肉を桜のチップで燻すネックスモーク。

噛み締めるごとに湧き出る旨味のジュースがたまらない。

瓶ビールをここで飲み干し、アルコール度数の高い独特ハイボールに切り替える。
これもいつものこと。

1度目の煮込みお代わり。

豚のもつ焼き、すなわち焼きとんは大阪でも美味い店は確保できているが、
美味い牛もつを食わせる専門店を、この店の他に知らない。

焼肉屋でも美味い生センマイなどには巡り合えるが、
この煮込みは他ではお目にかかれぬ。

茹でたタンを冷やしたコールタン。

厚切りタンにかぶり付くと、ザクッとした心地よい歯触りとともに、
脂がとけて甘みを堪能すると同時に、濃い旨味が口中を埋め尽くす。

美味い。

心のたたき。

エッジ鋭い心臓は、鮮烈な甘みが信条。

2度目のお代わり。

いくら食べても飽きない。

生センマイ。

新鮮かつ手当てが丁寧だからこそ、徹底してクセがない。
食感を愛でるが、以外にコク味も楽しめる。

コールタンのお代わり。

コールタンはお代わりできない暗黙のルールがあり、
おまかせ注文の客であれば焼き物なども食べているのでお代わりにならない。

なので、店主の機嫌を見て申し出る。

昔は「今日は量が足らないので」と断られることもあったが、
最近は毎度スムーズに注文が通る。

3度目のお代わり。

さすがに店主が「今日はよく食べるね」と半ば呆れ顔。
飽きないし、いくらでも食べたくなるので仕方がない。

サッと切り上げて退店すると、外にはかなりの行列。
早めに並んだ甲斐が実感できる。

もつ（内臓肉、ホルモン）料理専門店の「あらた」に久しぶりに潜入しました。

まずは和風煮込み。
いわゆるもつ煮込みですが、もつのクセ・臭みを抑えるために濃い出汁で煮込む店が
ほとんどですが、何しろ新鮮なもつですから臭みがありません。
あっさりした出汁で煮込むため、色が白い（？）んですね。

本当にクセがなく、食感柔らかく、はんなりとでも言いましょうか、
穏やかに口の中で広がる脂の旨味がたまりません。最初は何もかけずに食べ、
それからカウンターに置かれている唐辛子と青ネギをかけて楽しみます。

生レバーです。
焼肉屋などでは胡麻油と塩で食べることがほとんどですが、この店では辛子醤油で食べさせます。

レバー特有の臭みはほとんどなく、醤油によってさらに引き立てられた甘みがとにかく鮮烈です。
「もつ（ホルモン）は鮮度が命」であることを教えてくれる旨さです。

心のたたきは、「ほとんど生やん」と感じるフレッシュな心臓で、これまたクセが一切なく、
甘みがあります。まずは、レモンを絞っただけで食べてみますが、心地よい歯ごたえ、
強い甘みにレモンの風味が加わると何か爽快さまで感じます。

ミノの湯引き。これもかなりのレア状態です。

ミノの湯引きには、ゴムをしばらく噛まされるようなものがありますが、
この半生ミノはもっと歯ごたえが強くて、そのうえ歯切れがいい。
そして、噛むとジュワーッと旨味が広がるという何とも心地いいミノですね。

ここらでビールから特製ハイボールに交代です。

昨今流行のサントリー角ハイボールではありません。ジンジャーエールの風味は感じるのですが、
ベースの酒が何かは想像も付きません。ちなみに、聞いてもヒントすら教えてくれません。

キンキンに冷やしたハイボール、口当たりが軽く、実にさっぱりして旨いのですが、
調子に乗って飲みすぎると足に来ます。ちなみに、お代わりは口で言う必要はなく、
空グラスをカウンターの上に置けば勝手に注いでくれます。

続いてコールタン。ボイルしたタン（舌）を冷やしたものです。

厚切りタンにちょっと辛子を乗せ、塩をちょんと付けて食べるともうたまりません。
ヒンヤリ、サクッとした食感の直後に、タンの脂がじんわり溶けてきて、
口の中を何ともいえない旨味が占領します。これでハイボールをキュッと飲むと、
大げさでなく「ああ！」と声が出そうになります。

ネックスモーク。首の肉（そうやんな・・・）の燻製です。

見た目からは想像しにくいですが、噛むと凄いジューシー。
口の中が上質の肉汁で溢れかえる感じで、ハイボールがなんぼでも飲めちゃいます。危険な旨さです。

フク（肺）の照焼。

照焼といっても、こってりしたタレに絡めて焼いたものではなく、あっさりしています。
味濃い、旨味濃いものというより、独特のフワッとした食感を楽しむ一品だと拙者は思います。
この食感に生姜がアクセントになっていて、拙者はかなり好きです。

いやあ、本当にここのホルモンは旨い！
関西に住む拙者は、ホルモンは「放る（ほうる）もん＝捨てるものの関西弁」と
信じ込んできました（「トリビア」はガセビアと否定）が、ここのホルモンは必死に拾うべきもの。
ホルモンの概念が変わるといって過言ではないでしょう。

この店は、カウンターのみの行列店であるため、一番古い入店客に対して
「2時間経ちまして、外でお待ちですのでそろそろ」と女将が比較的ストレートに
退店要求する慣例があります。

それは一向に構わないのですが、この日は食べ終わった直後ぐらいに一番古い入店と
なっていた拙者たちが退店要求されました。入店して1時間10分ちょっと、
飲まず食わずの空白時間もなかったので、さすがに70分はどうなんだろうな、とは思いました。

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