バブルネット・・・数頭のクジラが気泡を吐き出して魚を追い込む、集団漁法だというのは知ってましたが。... : BUBBLE NET～guest space～

　バブルネット・・・数頭のクジラが気泡を吐き出して魚を追い込む、集団漁法だというのは知ってましたが。

　お昼前に訪れたら、店内の隅にあるピアノを弾いておられました。
　心地よい音色は、夜の営業時に奏でるためのもの？　しばし、開けっぱなしの扉の前で佇んでしまいました。厨房の方に、シェフらしき人の姿も見受けられます。昼間に見るバーのカウンターというものは、明るい日中にありながら、なぜかひっそりと静謐な印象を受ける。夜中には、さぞかし賑やかな宴が繰り広げられているのでは――眠りについたような昼間の静けさが、夜ごと酒を酌み交わす人々の去りしあと、その残り香を逆に大きくこの身に感じさせるのでした。カウンターの向こうには水槽があり、お魚が泳いでます。
　確かに、開店前のバーを彷彿とさせる雰囲気で、客もなく、静かな、落ち着いた空間がありました。
　昼間に訪れるのが、場違いな印象も。
　広々とした中に、勾玉？琵琶湖？・・・摩訶不思議な形をした大きなテーブルがひとつ。小さなソファ席もある。ピアノの前にも・・・。
　
　マジで開店前だったのかな、と思い始めた頃、ようやくピアノの演奏が止まりました。
　◎◎kaoru7様の口コミにあった、サービス担当の女性とは、この方のことなんでしょう◎◎
　不手際を詫びると、手慣れた様子でメニューなどを運んで来られました。長いこと、勤めていらっしゃる感じです。どこでも好きな席にどうぞ、と言われたので、どれか迷って挙句、あの摩訶不思議な大きなテーブルに一人、陣取りました。七、八人が座れるテーブルですね。
　さほど、混むようなこともなさそうです。お店を一人占めです。左手の冷蔵庫に、ビールとかがたくさんありました。
　ここを訪れたのは、kaoru7様がなかなか美味いと評した、手打ちの生パスタを味わうためです。
　大きく期待を上回るパスタが出てきた、とのこと。
　メニューを見ると、下の方にチョロンと記されています。イチオシ・・・というのでもないようです。
　女性のスタッフも、なにかとマグロのタルタル漬け丼を薦めてきます。美味しそうです。それか、手こねハンバーグ、クラムチャウダーのスープセットなんかを自信あり気に押してきます。気持ちが揺らいできますね。パスタにはひと言も触れてきません。
　この状況といい、盛況というには程遠い光景といい・・・本当に美味しいんだろうか、という不安・・・芽生えてきます。
　いや、情報に間違いはあるまい。いいマグロが届いたから、漬け丼を真っ先に挙げたのだろう。
　
　なんとか初志貫徹、手作り生パスタランチ　￥７５０を選択しました。ソースは三種類あります。スープセットのクラムチャウダーを使ったやつ、トマトベースのタイプ。そして・・・　
　◎◎エスカルゴバターソース、キノコとホウレン草の手打ち生フィットチーネ◎◎　――コレにしました。
　自家製のパンと、ミニサラダが付いてきます。
　
　ランチは数が限定されているようですね。帰り際にもらったチラシには、各限定１０食と書かれてます。

　サラダは、ドレッシングたっぷりでした。プチトマトと水菜だけの、シンプルなサラダ。パンは温められ、練り込まれたクルミの歯触りと、何かの果肉の甘みが混じり合います。バーが、昼間にランチを出すにしては、随分と丁寧な仕事ですね。逆に、なんでなの？　と聞きたくなります。パンも自らの店で作るなんて。
　パスタが来ると、その見た目ですぐに、その辺のカフェで出るような、ちょっとした料理自慢が作る程度のものではないとわかりました。
　パスタ、美味しいです。ソースはパンチのあるタイプではない、しっとりと美味いパスタ。生パスタだから、なお美味しい食感。なんか、綺麗なんです。料理自体が。キノコもたくさんで、パクパク食べてしまいます。少々名の知れたイタリアンで味わえるレベルに近いと思います。
　なんで・・・こんなのが出てくるの？　ますます疑問です。決して、￥７５０で食べられる美味しさではない気がします。まあ、ただ量的には、￥７５０なんですけど。間違いなく、「なかなか旨いパスタ」です。
　
　自分が食べ終わって、会計するまで、誰も来店されませんでした。昼をだいぶ回れば来るのかな。
　漬け丼もいっちゃおうかな、という欲望が燃え盛ります。でも、コーヒーなどはいかがですか、の言葉にやられ、ホットコーヒーを頼んでしまい、満足になっちゃいました。プラス￥１００です。
　コーヒーはアメリカンでした。これもまた、意外。

　１１年目を迎えるお店のようです。
　食べログは、旨い店を網羅しているようで、そうではないことを確信させるお店でした。
　夜がどんな営業をしているのか、まったく想像がつかない。ライブなども行われているようで、何も知らずにふらっとは入りにくい、一種のコミュニティ的な香りもしますが。ランチを、お店を知ってもらう意味合いで提供しているのだとすれば、そう身構える必要はないのかも。
　美味しいランチの味わいに誘われ、夜の仲間となるのもよろしいのではないでしょうか。