創作料理は難しい : カモシヤ クスモト

美味しいけど高い(山猫軒に毒されてるかもしれませんが)。昔の口コミのように、お酒をペアリングして2万円程度に落ち着くなら納得の味なんだけど。

あとお酒と料理を合わせるというコンセプトと伺っていたが、まさかお酒にスパイスを加えて料理に合わせてしまうとは。凄いセンス。だと思う。秋鹿の濁りにわさびは美味い！やられた！と思いました。山椒漬けの日本酒。確かに料理に合ってた。

でも僕は日本酒およびそれに携わってる人を尊敬しているので完全に別物にしてしまうやり方は好きではない。温度や氷を使うのがギリかな。

ということでお酒に対する信念の違いがあるようで、素直に賞賛できません。それを踏まえて参考にしてください。

今月は中華がテーマのよう。

辛子レンコンをイメージした辛子の泡とレンコンのムース。発想が面白いし、あわせて食べて美味しい。軽めでこれから出てくる料理としてわくわく感がある。なので最初の一品として良いかと

次いでカマスのこぶ締め、エビの紹興酒漬け、キュウリの浅漬けに卵黄酢を合わせたもの。カマスの味の締りがよく、エビも美味しい。キュウリもほどよい。卵黄酢は和風の上品なマヨネーズというべきか、キュウリと海老と合わせても美味しい。

鯛の刺身を３つのジャンで。海水の泡添え。海水と鯛を合わせるのは別の店でも食べたことありますが、それの泡版。そのままより泡の方が合わせやすくていい。鯛は熟成はされているんだろうけど、皮の部分のクニクニ感が残っていてじっくり噛んで味わうのによい。ごぼうの甘いジャンが一番あってて美味しかった。ただ残りの２種はそこまで。残り二つはもっと熟成して甘味を出た、もうちょっと厚めにきった身だったらもっと好みだったかも。

肝ソースのサンマと赤酢と紅麹であしらえた米とわさび。そして松茸スライス。
これはかなり美味しい。サンマとわさびと米のバランスが絶妙。昔からあるこのお店のスペシャリテの１皿かもしれない。ただ、松茸がそこまで好きではないこと、そこまで香りがしなかった(僕が風邪引いてたせい？)ので松茸の意義がやや乏しい感じ。いっそのこと松茸ご飯にしてそれを酢飯風にしたり、とりあえず火が入って香りがもっと増した状態で食べたい。歯ごたえを+するならもうちょっと厚めの方が好みかも。

子持ち鮎のカダイフ焼き。柿のジャンと万願寺や大シメジの甘酢漬けを添えて。
これも美味しい。カダイフのサクサクとした食感と鮎の香りと味が広がって美味しい。
カダイフでやや重くなりますが、甘酢漬けで程よくリセットされていい感じ。ただ柿のジャンと併せる美味しさは僕には難しかった。

スッポン、比内地鶏、松茸、 金華ハムで作ったスープ。佛跳牆（フォーティャオチァン)をイメージして作ったのかな？あけると松茸の香りが漂って味も複雑かつ濃厚。金華ハムの出汁の塩気だけ、というのも良い。中のスッポンもプルプルで美味しい。この日食べた料理の中で一番美味しかった。また食べたい。

松茸のアイスクリームと栗の渋皮クリームと栗の少し塩気の利いたチップス。
松茸の香りとチップスが重なってちょっとそこまで。理解しづらい味。秋を楽しむべきだったのかな。

さわらの炭焼き。あさり出汁の米とピータン豆腐添え。さわら、皮側はぱりっと。身の方は低温調理機で仕上げたような限りなく生に近い感じに火がはいっててふっくらジューシー。またそれに米を合わせると激ウマ。あさり出汁だけど、ゴマ？のような香りがして中華粥を彷彿させます。これとさわらが非常にマッチ。ピータンとも良い感じです。これもまた食べたい味。

鍋。すき焼き風。サーロインをごぼうでまいた八幡巻のようなものとネギと豆腐。醤油は大分強め。ただ、肉には弱いし、ネギには強すぎる。これが一番理解できない。この料理を無くして値段を安くしてほしい。菊姫のひやおろしと合わせてもらったけど、醤油にまけてる。もっと熟成した酒か、いっそのこと序盤にでた山椒漬けの日本酒を合わせる方が好み。

締めは蕎麦。細切りで腰、のど越しが良く美味しい。つけだれは酸辣湯を意識したそう。蕎麦湯で延ばすとなぜか沖縄のもずく酢のような印象に。でもこれは美味しい。難しかったのは付け合せのあわびの柚子漬け。箸休めとしても、あわびの旨さ的にも物足りなく、歯ごたえ的にもそばと合わせるのも難しく、で正直なくてよかった。

デザートはブドウのグラニテとコンポートと杏仁豆腐。杏仁豆腐がかなり濃厚で、グラニテとコンポートを合わせて美味しい。

長文になりましたが、とりあえず美味いです。何品かは思い出してまた食べたくなる味でした。

ただ、一部僕には追いつけない組み合わせがあり、３万円払ってることが考えるとちょっとなぁ。と思ってしまいました。

お金に余裕があって、近くで毎月通えるような人なら、数か所で？があっても新しい味と出会える分、良いお店なんでしょう。どんなに美味しいお店でも同じような料理だと飽きが来ますから。

でもたまにしか機会がないお客としてはコースに隙がない方が嬉しいかな。
年収が倍になったら再訪します。