ハラミ弁当850円はオススメだった : ホルモン係長 京橋

この日はかなり冷え込んでいて、ランチタイムになってもコートが手放せず、外を歩いていてもなるべく陽のあたっている場所を選んでいたりしました。大阪の京橋駅付近で昼食をとろうと思い、とある店に向かっていたのですが、あまりにも寒いので、ルート途中にあるこの店の前に来た途端に「ここでいいから早く中に入ろう」と思ってしまったのです。

焼肉屋のランチ、なかなかのバリエーションのようで、入店後にカウンター席の左端に座った私は、目の前に置かれていたランチメニューを手に取りながら悩んでいました。と、そこにお茶を持ってきた男性スタッフが、

『オススメはハラミ弁当です』

と、メニュー表の先頭に書かれていた料理を勧めて来たのです。そう来ましたか。メニュー先頭のデフォでオススメってことなら、その言葉に乗るしかないなと、私は思い、

「じゃあ、それでお願いします」

とオーダーしました。店内はそれなりに暖かいのですが、風が強いせいか、目の前にまるで潜水艦の潜望鏡のように天井からぶら下がっている排煙用のダクトから、冷気が漏れて来ます。焼肉の時はファンが回ってちゃんと機能するだろうけど、使わない時は邪魔でしょうがない存在です。それこそ潜望鏡の様に昇降できるといいのに、なんて思いながら弁当を待ちました。

■ハラミ弁当

よく見る変形の半月状の弁当箱(内側が赤く外が黒いプラスチック製のやつ)に、ご飯が敷かれその上に横長の海苔が2枚、ご飯全面を覆う様に乗せられ、さらにその上に具材が乗っている構造です。具は、メインのハラミ焼肉、大根のキムチ、きゅうりのキムチ、ゼンマイのナムルです。

ハラミの焼肉は肉質もよくそれなりのボリュームがあり、焼肉弁当としては満足のいくものです。ただ、店頭掲示のサンプル写真が一枚肉が綺麗にカットされた状態で乗っていたのに対し、実際に配膳された弁当には肉がランダムな感じで盛られており、一瞬、違うものかと思ったほどです。量的には同じなのでしょうけど、出来ればもう少しビジュアルにもこだわって欲しいと思いました。

キムチは2種類乗っていて、そのどちらも想定以上にピリ辛で、好きなタイプでした。やっぱりキムチは辛くないとダメです。キムチとは対照的な甘めのナムルもご飯に合うもので、多めのご飯がしっかり最後まで残らずに完食できる補佐役として存在しているかのようでした。

弁当箱と一緒に配膳されるスープも秀逸で、おまけではないボリューム感と、豚汁に勝るとも劣らないほどの具材の多さが特徴で、満足のいくものでした。ただし、配膳された直後でもぐびぐび飲めるほどのヌルさで、もう少し熱い状態で提供されると良かったと思います。

あと、細かい話ですが、構造的には焼肉海苔弁とも言えるハラミ弁当、その海苔にもう一工夫して欲しいと思いました。大判の海苔を箸で切り取りながらご飯と具材を一緒に食べ進める格好になるのが海苔弁の食べ方ですが、ちょっと切り取りにくかったのです。その分、しっかりとした海苔だとも言えますが、食べにくい点は今後の改善テーマかも知れません。

以前、TVで焼き海苔工場が紹介されていたのですが、完成して包装直前の海苔に“ある加工”を施していたのです。その加工とは、海苔が食べやすい様に目に見えない程度の細かい切れ込みを、海苔全面に施すもので、専用の機械で処理している、というものだったのです。この時の海苔は、コンビニ工場(セントラルキッチン)のおにぎり製造ライン向けだったので、要は食べるときに、歯でサクッと嚙み切れる様に、という一手間だったわけで、番組を見ていて「なるほど」と思いました。

そういう海苔を使え、とは言えませんが、世の中にはいろんなことを考えてくれる人がいるものだと、この店のハラミ弁当を食べていて、思い出したのです。

食後のデザートとして、アイスクリームかシャーベットが付くようですが、その事がどこにも掲示されておらず、先客は料理を食べ終わって退店しようとして、スタッフに「食後のデザートが付きますので」と呼び止められたほどで、メニューにちゃんと記載すべきだと思いました。ちなみに、私は柚子シャーベットを選択しましたが、ちゃんと柚子の風味がしたので、おまけにしてはちゃんとしたものだと思いました。

12時少し前に入店し、先客6名、後客2名で、ちょっと寂しい感じですが、もう少し細かい点に気配りすれば、提供内容は悪くないだけに、もっと流行ると思いました。夜がメインの焼肉店でしょうけど、どうせランチもやるのなら、昼間から全力勝負でお願いしたいですね。実力はあると思いましたので。

ごちそうさまでした。