佐久郊外にある「宝石箱のような」大衆食堂の危機⁉ : 手づくりくまさん

6月下旬の山梨・長野出張２日目。

この日は先方の要望で急遽最終日に行くはずだった佐久の取引先に行くことになった。

下道を１時間半走り予定よりも早く佐久の入口に着いた我々は、
私の提案で、休憩兼早めのランチをここ「手づくりくまさん」で摂ることにした。

ここは以前にもご紹介した通り、私のプライベートでのお気に入りのお店。
主に家族で蓼科に行く時によくここに立ち寄っている。

ログハウス風の建物ながら、
ここのメニューは、うどん・ラーメンからカレー・和洋の定食まで何でもある。
でもどの料理もとても美味しく、特に食べ放題の「漬物ビュッフェ」が絶品。
最後のコーヒーも水が良いせいなのか何故かとても美味しい。

だが、この日は何だか前回と比べて雰囲気が少し違っていた。
店に入っても先客の２組以外人の気配を感じない。

しばらくすると厨房からおばちゃんがやって来た。
明らかに忙しそう。

水や紫蘇ジュースや食後のコーヒーはセルフサービスである旨や、
漬物ビュッフェはコロナで停止中で、
２種類の小皿に入った煮物のうちどちらかをとるよう説明を受けた。

どうやら、おばちゃんひとり（もしくはせいぜい2人）でオペレーションしているようだ。


オーダー（信長???）は私が前回に引き続き「味噌カツ定食」、
連れのスタッフは「エビフライカレー」。

まずは紫蘇ジュースを一気に飲み干し、
筍の煮物とふきの煮物ををいただく。
漬物に負けないぐらい相変わらず美味しい。

そして「味噌カツ定食」
名古屋地方の「味噌カツ」とは違って信州味噌で作った味噌ソースは、
甘さを抑えた多少の渋みを感じる名古屋の物とは全く別物の美味しさ。
「味噌カツ」と構えなくてもあっさりと食べられる一品。
相変わらず美味しい。

連れのカレーも、手づくり感はあるが、
家庭料理のそれとは明らかに違う辛口ながらフルーツの味を感じる本格派。

やはりここは外さない。

食後のコーヒーはポットに入っていたためやや香りが抜けていたが、これはご愛嬌。

こんな場所で（と言うと失礼だが）で相変わらずいぶし銀のような店である。
次はどんな美味しい宝石が見つかるのだろうか???

「ワンオペ???」がちょっと気になったものの、
この夏にまた妻たちか誰かと必ず来ることになるだろうとこの時は思っていた。


***

ところが・・・、

この後、夏に２度この道を通ったのだが店は２度とも休業していた。
地図でググっても「休業中」と表示されている。

やはり今回の「ワンオペ」は悪い予兆だったのだろうか???


***

そして・・・、

11月にこちら方面に行く機会があったのでダメ元で寄ってみた。
その日はたまたまこの日１日の日にち指定で「臨時休業」だったが、

とにかく、営業は再開したらしい。

ググっても「休業中」の表示が消えていた。

ひとまずはホッとしたが、本当に安心してよいのだろうか???

10数年前家族旅行の時、長野県佐久市で仕事がらみの用事があった私は、朝いちでそれをこなし、新幹線の佐久平駅で家族をピックアップして蓼科高原へと向かった。

初めて通るこのルートで、昼食場所を探していた私たちに「もう（空腹の）限界だ！」と騒ぐ子供達の声が天に聞こえたかのように一軒の食堂が目の前に現れた。
それがここ「手づくりくまさん」。

ログハウスではあるものの斬新さはなく、その佇まいはどちらかというと「喫茶店」という雰囲気。
さほど期待もせずに入ったこの店だったが、周囲の閑散とした環境からは想像できないほど賑わっていた。
地元の人たちには大人気のようだった。

メニューは完全に「大衆食堂」の世界。
ラーメンやうどんにカレーライスやチャーハンから、焼き魚やアジフライなど魚の定食、とんかつやハンバーグなどの肉料理の定食まで何でもある。
そして、定食もラーメンなどの単品メニューもどれもとびっきりではないものの間違いなく旨い。

加えて、ここは漬物やちょっとした惣菜がとても美味しいというのがこの店のウリになっている。
出来立てが常時２～３種類あって、しかもそれらは全て食べ放題。
飲み物のメニューも喫茶店並みに豊富だ。

値段は特に安くはない（かといって決して高くはない）が、前述の漬物や惣菜およびワンドリンクが付いてこの値段なのでコスパはめちゃくちゃ良い。

それ以来、私たちは蓼科に行くときは、ここで昼食をとることを目的にするようになった。

今回は３年ぶりに訪れたが、やはり混みあっていた。
満席のようなので少し待とうかと思っていたら２階席に案内された。
実は今日まで２階席がある事を知らなかった。
漬物を取りに行くのが多少面倒だがいかにもログハウスという感じで雰囲気が良い。
しかも、蓼科の水を使ったここのコーヒーはとても美味しい。
ここなら喫茶店としても充分使える。

私たちは今回も美味しい料理と「手づくり」の惣菜や漬物を楽しんだ。
特に息子の注文した「味噌かつ」は、柔らかな肉と味噌の塩梅が抜群だった。
コーヒーの美味しさも相変わらずだった。

聞けば、この店は地元企業の社長さんが「ここにもよい店を」という事で店を作り、地元の料理自慢のおばさんたちが営んでいるという。

何の変哲もない街道沿いにあるきらりと光る「大衆食堂」。
また来年も訪れたいものだ。

ちなみにこの店は朝は早くからやっているものの14時閉店なのでご注意を。