地元の有名店　上品で美味しい酒肴で信州の地酒が楽しめます　鹿の竜田揚げ絶品！ : きく蔵

松本の夜です。
お盆の時季ですから閉まっている店も多く、営業している店は必然的に観光客が集まる感じでしょうか。
駅前はかなりの人混みで賑やかですね。
陽が暮れると涼しくなってきて吹く風も爽やか、とても過ごしやすくなりました。
これが東京と違うところです。来て良かった。今晩はエアコンなしで寝られる〜（笑）。

さて、どこで何を食べようかと思案を始めたら、ワイフが実は一軒予約しておいたと言いだしました。
おお、門前の小僧（失礼）いつの間にそんな気の利いたことを・・・
ということで、駅から女鳥羽川に沿ってしばらく歩き、四柱神社を過ぎた先の路地にあるこちらの店にやって来ました。
辺りは落ち着いた街並みですが、住宅地ではなく近隣商業エリアになっていて洒落た店構えの店舗がそこここにあります。
涼しいと町歩きが楽しいですよね。良い雰囲気です。

ということで藍染の洒落た暖簾をくぐってお店に入ると、カウンターはすでに我々の席以外全部埋まっています。
予約してもらって良かった。ありがとう。
入口近くのカウンター角に陣取って、メニューと短冊を眺めます。
カウンターの中は店主と女将さん、奥の厨房には数名の料理人さんが作業しているようです。
店も周辺と同様落ち着いていますが、和やかな活気も感じられます。
土蔵を改装したような造りの、なかなか素敵な店ですね〜。
2階にお座敷もあってそこそこの人数は入れるみたいですよ。

ワイフになんでここを予約したのか聞いたら、居酒屋探訪の太田和彦さんが贔屓にされている店なんだそうで、たまたま番組で紹介していたのを覚えていたんだとか。
そんなチェックする人だったとは思いませんでした。余程気に入ったんでしょうね。
ワイフのお目当ては山賊焼きと馬刺しだそうです。そうか長野だもんね。
私は蕎麦しか頭になかったので夜も蕎麦屋で一杯と思っていたのですが、鶏肉好きとしては山賊焼きを食べない手はありません。

冷たいビールで喉を潤していたら、先にお通しが出て来ました。
金針菜のマヨネーズ和え、枝豆の寄せ豆腐、烏賊と鮫の和え物だそうです。
どれもとても上品な味付けでさっぱりしています。
下味のつけ方が良いのでしょうね。余計な味を乗せない素材本位の美味しさです。
特に烏賊と鮫の和え物が口に合いました。なかなかやるなぁ。

実はここに伺う前に日本酒を試飲しつつしこたま買い込んだので（笑）、ここでは焼酎の水割りでもいいかなと思ったんですが、このお通しの雰囲気からするとやっぱり日本酒ですね。
では地元の大信州の純米を楽しみつつ、鮎の一夜干しから。
もちろん山賊焼きに馬刺しは是非いただきたいですし、それと鹿の竜田揚げなんていうお目にかからないものがあったので、目についたものからお願いしてみました。

パリッと焼きあがった鮎は下味をつけてから干した自家製とのこと、そのまま頭からいただきます。
ソコソコの大きさに育っているので成魚ですね。
身の旨味が素晴らしいです。皮も程よく火が入っていてとても美味しい。
うん、酒が進む〜（笑）。

馬刺し（写真撮り忘れ）はワイフが大喜び。イメージしていた通りの美味しい馬刺しだそうです。
にんにく醤油とどうしてこんなに相性がいいんでしょうか。箸が止まらない美味しさです。
山賊焼きは焼きと言いつつもも肉の一枚揚げなんですね。
なんで山賊揚げじゃないんだろうか。まあいいか。
こちらもパリッと揚がっていて歯応えがあり、とてもジューシーです。
あっさり塩味なので、好みで七味や山椒を振っても良い酒肴になりますね。美味しいです。

でも一番美味しかったのは鹿の竜田揚げ。
これは好みにドンピシャ、油も軽くて癖がなく、いくらでも食べられそうなシンプルな味わいでした。
鹿は刺身にもできるそうで、またジビエの季節に伺った時にでもお腹に収めて帰ろうと思いました。
私が美味しい美味しいと鹿の竜田揚げを食べていたら、隣の客もその隣のお一人さんも注文。美味しいものは伝染します。
松本はうまいもんだらけだ、まだ3品目だけど（笑）。

で、アスパラ焼きと鷹山にんにくの天婦羅、自家製の鴨スモークを追加。
グリーンアスパラは地元の朝採れを焼いたものでもちろん茹でても美味しいですが、味が濃いので焼くと酒のアテにぴったりなんだとか。
確かに甘みと適度な塩気と香ばしさが酒の友ですね。

鷹山にんにくは初めていただきました。芽から根までまるごと食べられるスプラウトにんにくなんだそうです。これは東北が産地とか。
塩をつけていただきましたが、優しい味わいでにんにくのガツンと強い味はしません。
細ねぎのかき揚げをイメージすると分かりやすかも知れません。

自家製の鴨スモークはサラダ仕立てでなかなかのボリューム。
とにかく野菜が何を食べても美味しいので、鴨スモークとどちらがメインだか分かりません。
鴨肉ももちろん美味しいのですが、トマトにキャベツにレタスの瑞々しさが堪らないです。
水の良いところってなんでも美味しくできるから羨ましいです。
この野菜は東京では手に入らないよなぁ。

さて、日本酒もあれこれ1升以上飲んじゃったので、そろそろ焼酎に切り替えます。
赤兎馬のボトルをもらってぬるめのお湯割にしました。
夏でも口の中がさっぱりするので、また酒肴が楽しめますよ。お試しあれ。

お腹もまずまずいい具合になってきたので（こちらはそこそこのボリュームがあってアテでお腹が膨れる店ですね）、鯖のへしこ、ワイフの大好物の蛸のお造り、それにだだちゃ豆という軽いメニューにします。
鯖のへしこは生の大根に挟んで出てきました。
そのまま炙って食べたりしたことはありますが、大根に挟むと塩気がマイルドになって食べやすいです。
鮒寿司が大嫌いな筈のワイフも美味しいと喜んでいます。
魚を発酵させて作るので、鮒寿司もへしこも同じなんだけどなぁ（笑）。
蛸のお造りはめでたくワイフのお腹に収まって、だだちゃ豆をつまみながら芋焼酎をのんびり楽しみました。

松本の美味しいものを堪能させていただきました。
どの酒肴も素材の味を活かしてシンプルな味わいに徹底しているところが食べ飽きない秘訣でしょうか。
もちろん素材も良いものを使っているんでしょうね。

店内は結構客が入れ替わり、地元の方もちらほらとお越しになっているようで、カウンター越しに店主と和気藹々楽しんでいらっしゃいます。
地元でも人気のある店なんですね。
こういう気の置けない雰囲気の店って素敵です。

自家製さつま揚げと馬タンのお造り食べたかったけど、また次回に取っておくことにします。

松本、いいところです。
ご馳走様でした！！