凪の時 ☆ ニライカナイ : ニライカナイ

『凪の時』

先月、突然店主から3月2日で店を閉めると連絡があった。
沖縄の風が止まる前に
是が非でも一度行っておきたい。

今日は訪問前に
今まで撮った写真で振り返ってみることにする。

深夜3時のラフテー丼
破壊力は半端なかった。
乙だったのは文旦を器にした文旦泡盛
よく食べたのはタコライスにパパイヤしりしり。
ソーキそばにゴーヤチャンプル、もずく酢にチラガー。
驚いたのは強烈に美味いトマトの狼桃に白身だけ泡立てて石垣島のラー油をかける卵かけご飯。
高知にうまいカツ丼がないから始めたカツ丼行脚
それをしてる時には
そーき出汁のカツ丼を作ってれた。
夏の暑い日はリクエストでソーメンを茹でてもらって
冷たい麺にソーキそばの熱つゆのつけ麺。
ソーキつけ麺。

アキレス腱を切って入院した時は
大好きな門田のしぐれ煮、鮪の寿司を買ってきてくれて
味気ない病院食を彩ってくれた。
そうだmuumuuのケーキも。

車椅子で食べ歩きをしている時には
パイナップルポークの鍋を作ってくれた。

ここは私の0時過ぎの居場所だった。
ここに行くというよりここに帰る感覚。
三軒目、四軒目で当たり前のようにここに寄っていた時期がある。

よく笑いよく食べ、沖縄の唄に酔い、泡盛に酔った。
この店の閉店まであと1週間。
写真で振り返るとつくづく世話になったと思う。

ぷりちゃん。
外山剛士。
次のステージでも頑張れ。
そしてたまには東京で呑みに行こう。

あそうそう。
今日店を出る30分前に隣り合わせた女性
店主と話をしているとくすくすさんてあのクスクスさんですか？
ファンです。握手して下さい。と言って戴いて
少しだけ襟を正して対応してから店を出たら
ぷりちゃんが見送りに来てくれて耳打ちしてくれた。
あの方テレビで料理を教えてる有名な方ですよ。

いい気になってたら相手の方が有名人だったパターン。
これがなかなか恥ずかしい（笑）
初めて会う人と友達になるのもこの店の良いところだったなぁ。

ありがとう
ごちそうさま。

【2014.10】

『コトコトにっこり』

コトコトと五時間煮込んだラフテーは
口の中で何処にも当たらず、口腔に刺激を与えず、ただ ただ淡く儚く蕩けていく。
そして喉元を過ぎてようやく脳に旨味が届き、ニッコリと微笑んでしまう。
そう思わずニッコリと。

ソーキそば、ゴーヤチャンプルー、牛タンベーコン、島らっきょう、海ブドウ･･･

高知県民の為の沖縄がここにある。
三線の響きを聴きながら呑む泡盛もまた格別だ。


【2014.3】

*****　　繋がる店　　******


マスター空いてる？

ドアから顔を出して中を覗いてみると、あいにくマスターは奥のテーブル席のお客さんと談笑中。
カウンターを見ると女性同士の二人連れが二組座っている。
狭いスペースに無理やり座ることはないなと・・ドアを閉めかけたら

入口近くの女性が「つめれば座れますよ」と声をかけてくれた。
見ると一昨年のレビューで書いた神戸からの二人組だ！
「おぉ～スゴイ偶然ですね。　よく来てるんですか？」　
聞くと　どうやらこの二人での来店は私と会った時以来らしい。
私も2～3カ月に１度くらいのペースなんで　なかなかの確立だ。
*****高知と神戸が繋がった*****


そんな話をしていると　マスターが奥のテーブルの方達に「この方が高知ラガーさんですよ」と唐突な紹介をした。
やぶからぼうに　なんだよ？と思ったら
奥に座る若いご夫婦は　東京から転勤で高知に来られていて
私のレビューを参考に　食べ歩きをされているとの事。
レビューアー冥利に尽きる話だ。

軽く挨拶を交わしていたら　「一緒に写真を撮ってください」と言ってくれた。
東京の方はサービス精神が旺盛らしい。
「写真撮ってください」なんて言われたのは・・昨年の運転免許の更新以来だ。
少しはにかみながら　はいチーズ。
******高知と東京が繋がった*****


しばしオリオンビールで過ごしていると・・マスターの沖縄の恋歌がしんみりと始まった。
三線の調べが　やけに切ない。
私は明るい歌が好きなので、次に「足テビチの女」をリクエストした。
銘々が鼻歌で付いていく。
一曲終わった後　マスターが　
「この歌を作った方が、先日交通事故で入院されたんで
もう一度　みんなで唄ってもらって　その動画を送っても良いですか？」と聞いてきた。
もちろん反対するものは１人もいない。
応援歌は電波となってドコモの携帯から作曲者の携帯に送られた。
*****高知と神奈川が繋がった*****


その後　お隣さんと談笑していると・・突然の暗転。
マスターの優しい声で　ハッピィバースデイが唄われる。
周りのお客さんも自然と合唱しはじめる。
私の右隣のお客さんはこの日が誕生日らしい。
サプライズケーキのろうそくを吹き消して感動している高知のお客さんがいる。
マスターは福岡出身だ。
*****高知と福岡が繋がった*****


お隣なんで私からもオリオンビールを。
お嬢さんからは島らっきょうのお裾わけが返ってきた。
*****高知と高知も繋がった*****


やがて夜は更け　一組また一組と帰路に着いていく。
私は最後まで残って呑んでいる。
ふと、テーブルを見ると神戸の女性が呑んでいた泡盛の器が置かれていた。
半分に切った文旦の皮をグラスにして泡盛を注いだ洒落た器だ。
*****そこでは　沖縄と高知が静かに繋がっていた*****


ごちそうさまでした。


【2013.10】
3～4軒目に一人で訪問することが多いこのお店。
この日も2軒目までご一緒した方と別れて一人で訪問です。

地下に降り店を覗くと・・相変わらず盛況ですね～。　
カウンターがかろうじて1名分だけ空いています。
それではお邪魔して・・オリオンビール瓶とタコライスの小さなものをお願いします。

すると・・そのタイミングで隣の団体さんに通常サイズのタコライスが届きました。
見ると・・顔なじみの常連さんだったのでお願いして写真を撮らせていただきました。
通常のタコライスは2.3人でシェアして丁度といった量です。

私のお願いしたのはその1/3位かな。
前の店で　汁そばで〆てたんで、これでも多すぎるくらいの量が有ります。

では頂きましょう。
とろけたチーズに挽き肉・トマトにレタス・・・カレー粉のアクセントも良い具合に効いててコレも美味しい！
若い方向きの良い〆の一品だと思います。

ごちそうさ　・・・あっ！　そうそう。　
今月から日本ラグビーフットボール協会の会員証を提示すれば飲食代が10％ＯＦＦになるそうです。
http://www.jrfu-members.com/

それは・・知らなかった。。。

次回から・・お財布に会員証を偲ばせて街を徘徊することにしましょう。

ごちそうさまでした。


【2012.10】
左とん平・・・いや古いプロレスファンの方には「マサ斎藤」の方がしっくり来るかもしれない。
この店のマスターの風貌は個性的かつ沖縄的だ。(実は福岡出身なのだが・・）
そして何とも言えない愛嬌が有り、二つの意味で腹の太さもある。
実に愛すべき男だ。

この店のおすすめ料理はソーメンチャンプルにテビチ、牛タンベーコン・ラフテーにそーきそば　と数え上げたらきりは無いが・・・
客を一番に惹きつけているのは、このマスターの人柄かもしれない。

一軒目の飲み会を終えた人たちがポツポツと店を覗きにくる。
マスター空いてる？
地下の場末感のあるお店にもかかわらず女性だけのグループも多く訪れる。
そしてこの店で知り合った客同士がそこここで言葉を交わし始める。

この日私は一人だったんでカウンターに座ったが
右隣りを見ると・・先月来た時に、隣合わせて仲良くなった常連さんだ。
軽く挨拶を交わし早速　お互いに注文した一品を分け合って味の情報交換をする。
前回に引き続きお裾わけ頂いた牛タンベーコンや初めていただくチラガー。　どちらも中々渋い一品だ。
※チラガーとは・・豚の顔のお肉らしい。

コチラからはラフテーと青パパイヤのしりしりサラダのお裾わけを。
とろっとろでコラーゲンたっぷりのラフテーはイヤな香りがなく、高知人でも食べやすいように調理されている。
5時間かけて煮込んだそうで口に入れるとすぐに溶けていく。

青パパイヤには脂を流してくれる働きが有るとのことでラフテーの前にマスターが是非にと出してくれた。
キュウリ・ツナと合わせたサラダは食感が良くつまみ感覚で頂ける美味しいサラダだった。

飲み物はオリオンビールを瓶で。
前の店でギネスの樽生を飲んでたんで、元々軽い飲み口のオリオンビールが余計に軽く感じる。
すぐに泡盛のロックに切り替えた。
宮古島の多良川酒造所の泡盛「琉球王朝」　癖が無く飲みやすい美味しい泡盛だ！
石垣島の仲間酒造所の泡盛　「宮之鶴」　泡盛らしい香りのするお酒、一口目は癖を感じるが口に馴染むと美味しく感じてくる泡盛だった。
その他にも飲んでみたい泡盛が色々あって飲み飽きない。

そうしていると後から左隣に2人組が・・神戸から高知に移住したという女性と神戸から遊びに来たそのお友達。
高知は楽しそうだから・・とこの4月に引っ越してきたらしい・・・すごい行動力だ。
こちらの方からはＡ＆Ｗのカーリーフライと楽しい話のお裾わけを頂いた。
そんな垣根のない交流があちらこちらで当たり前のように行われている。
まさに・・ゆんたくＢＡＲ　実に居心地が良い。

そして時間も深まると自然発生的にマスターが三線をとりだし沖縄の唄が始まる。
この日は沖縄出身のお客さんがいて三板（沖縄のカスタネット）の伴奏とかけ声を。
すると高知の客も負けずに指笛で答える。
たちまち店に沖縄の風が吹き始める。
前回来た時は店の客全員で「足テビチの女」の大合唱だった。

いや～楽しい。
そして癒される。
自然に笑いがこみあげてくる。

この空気感・癒しを求めて、よなよな店を訪れる客は後を絶たない。
来週で開店　7周年だそうだ。
浮世のうさを忘れ　腹から笑える良い店だと思う。

ごちそうさまでした。