とんかつ百名店、名物の"豆腐かつ煮"も基本の“とんかつ”も美味しかった。 : 田むら銀かつ亭 本店

箱根には前から行きたかったお店がありました。
箱根は強羅にある“田むら銀かつ亭 本店さん”です。
2019年こそ、逃してしまいましたが、食べログとんかつ百名店に2017年、2018年と2年連続で選出されたお店です。
このお店は、ロースやヒレと言ったとんかつ屋さんとしての通常の類いの料理は勿論有るのですが、“豆腐かつ煮”と言う他では見られないお料理が、名物になっているのです。

長くなりますが、メニューに記載された説明では、
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　「しゃくり豆腐」で有名な「銀豆腐」より特別注文。
　豆腐にジューシーな国産豚ひき肉を挟んで揚げた後、土鍋で煮込んだものでございます。
　現在の形になるまで幾度と無く試行錯誤を重ね、現在の味に至っております。
　サバ節のダシに長ネギやタマネギの甘みが利いて、いくらでもご飯がすすむとご好評を頂いております。
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とされており、“田むら銀かつ亭 本店さん”の名物とだけでは無く、”強羅名物“までに、格上げされています。
これが食べたいのです。

7月の平日に一人ドライブで行きました。
11:00の開店時間を狙って移動したのですが、少し遅れ11:22に、銀かつ工房の前にある駐車場に到着、空きが有るか？心配ですが、残り1台分の空きがあり、ラッキーです。
まだ、非常事態宣言が解除になったとは言え、世間はまだ旧には復していないようです。

早速に駐車場の一段下がったところにある“本店さん”へと向かいます。
前には2組のグループが歩いています。
初めてですので、嫌がられないように、お店の外観を撮影しながら、後ろに付いていきます。
すると“順番待ち番号札発券機”が設置されています。
早速に液晶画面をタッチ、発券時間11:26で12番でした。
表で待つ必要も無く、お店の中を覗き、居合わせた女性スタッフに“1人”と告げると、早速に奥の方の、2人掛けテーブルへと案内されました。
1階はテーブル席が沢山置いてあります。

お店の外観は、平屋建てですが、切妻屋根ながらも一部に吹き抜けを設け、屋根に変化を与え、使用している瓦も銀鱗瓦を使用し、意匠を凝らしたお洒落な和風の建物です。

お店の前庭には通りも作られており、石塔が置いてあります。
綺麗に刈り込まれた庭で、紫陽花はそろそろ終わりかけていましたが、ここを通り過ぎると公道に出ます。
そこを渡った先に旧館があります。
そして本店と旧館の間の道から見える遠くの山は、箱根強羅夏まつり大文字焼が行われる明星ヶ岳です。
山肌の一部は伐採されており、大の字が見えています。

店内はと言うと、灯りを少し落とした暗めの設定で、落ち着いた雰囲気になっています。
吹き抜けは大きな木で組まれた格子天井です。
古い家屋を改装した様な雰囲気で、風情のある日本家屋のような店内です。

既にいただく料理は決めていますが、参考にと一応メニューを繰ります。
結果は同じで、お願いしたのは
　・豆腐かつ煮定食（豆腐かつ煮鍋、ご飯、味噌汁、お新香）　\1,380/税別
　・銀かつフライ（ヒレかつ ２枚、大海老フライ 1本、サラダ）　\1,790/税別
の2品です。
“豆腐かつ煮定食”はこのお店名物の“豆腐かつ煮鍋”が付いています。
これを外すわけにはいきません。
“豆腐かつ煮御膳”と言うのもあるのですが、小付けやデザート、お飲物は要らないとして、シンプルな方の”定食“を選択します。
“銀かつフライ”はやはり食べログとんかつ百名店のお店ですから、選出理由となる基本の“とんかつ”を食べないことには話にならないだろう・・・じゃあ、ついでに海老も・・・と言うことで頼むことにしたものです。

最初に取皿、お箸、スプーン、お新香が乗ったお盆が配膳されます。
お新香は口コミを見ていて、ひょうたん漬を期待したのですが、大根の味噌漬けとウリの糠漬けのお新香だけでした。

10分程で、“豆腐かつ煮鍋”が到着です。
赤い塗りのお櫃のような器に、底の浅い土鍋がセットされています。
スタッフは「熱いですから、気をつけて下さい。」と、説明しながら蓋を取ってくれます。
土鍋の中はグツグツと煮立っており、モウモウと湯気が立ち上がっています。
未だ音が聞こえてくるようで熱々です。
そして、卵綴じの甘～いお醤油の香りが漂ってきます。

土鍋の中には挽肉を挟み、“とんかつ”のように衣を付けて揚げられた分厚い絹ごし豆腐。
4ツにカットされ、タマネギと一緒に土鍋の中で煮込まれ、卵で綴じてあります。
そして、三つ葉が優しく乗せてあります。

熱くて、熱くて、とても“お豆腐”や“おつゆ”には、中々辿り着けません。
おそるおそる、スプーンで“おつゆ”を掬い、一啜りしてみます。
熱い！！！
そして、出汁が濃い・・・上品な甘さが口の中に拡がる・・・という感じです。
これを上述のお店の説明をお借りすると“サバ節のダシに長ネギやタマネギの甘みが利いて”と言うことになります。
サバ節の特長はコクと甘みのある出汁が取れるとされています。
長ネギは気付きませんでしたが、この出汁の中にタマネギの甘みが表出し、甘くて美味しいとされる“おつゆ”が出来ているのだと思います。

熱々になった“かつ”となる“お豆腐”も、衣が美味しい“おつゆ“を充分に吸い込んでいます。
そして、挟んだ挽肉と相俟って、滑らかなお豆腐が美味しくなっています。
外カリッ、中フワッの揚げ出し豆腐とは異なり、外の衣と中のお豆腐が一体となった美味しいお豆腐料理です。
柔らかい“お豆腐カツ”をご飯の上に乗せても、煮立てられ衣に浸みた“おつゆ”とで、美味しくいただくことが出来ました。

“豆腐かつ煮定食“には、味噌汁とお新香が付いてきます。
お味噌汁は、ワカメに綺麗に折り結んだ湯葉が入っています。
この組み合わせで、お味噌汁が必要かは少し疑問でしたが、お新香は熱々の途中で、箸休めでいただきました。

美味しくと言うよりは、一生懸命に“豆腐かつ煮鍋”を食べている時に、銀かつフライは到着していました。
“ヒレかつ”の２枚は3ツにカットされています。
そして“大海老フライ”は1本で半分にカットされ、タルタルソースとレモン、パセリが一緒に、四角いお皿に載っています。
サラダの入れ物は小さいのですが、沢山の千切キャベツとパプリカ、ミニトマトに焙煎ごまのドレッシングがかかっています。
お肉をいただくに当たり、有り難い充分な量のサラダです。

ヒレカツの衣は良い加減の茶色になっていますが、油切りが少し悪いような感じです。
調理が忙しいのかも知れません。
カットされた断面を見ると、ほんのりと赤いレア部分が残され、ヒレ肉故に脂身は見えないのですが、旨味を持った油がジワ～・・・・・と滲み出ています。
良いお肉を使用されているのが、良く分かります。
食べても柔らかく、噛むことでお肉の旨さが口の中に拡がっていきます。
とても美味しいとんかつです。
食べログとんかつ百名店の実力を感じた瞬間です。

海老も“大海老”の名に恥じない立派な海老です。
立派なこと、太さは、出てきた時のカット面では分かり難かったので、囓り、断面を確認してみました。
これほどの太さの海老には最近、遭遇していません。
食べても、プリプリと歯応えと美味しさが伝わります。
タルタルソースを付けても美味しくいただきました。

サラダの沢山の千切りキャベツは水切りも良く、柔らかく、フワフワです。
そして、かかっていた焙煎ごまのドレッシングで美味しくいただくことが出来ました。

大変美味しく満足のいく少し、リッチなランチでした。
ご馳走様でした。

なお、このお店の一品料理のメニューを見ますと、ヒレかつでは“和豚もち豚”の1種類ですが、ロースかつでは“和豚もち豚”に、“富士の黒豚”、“ルイビ豚”の2種類が加わっています。
通常、お肉では、豚でも牛でもロースよりヒレの方が高価なのですが、この2種類のロースの“富士の黒豚”、“ルイビ豚”は、ヒレの“和豚もち豚”より高い価格設定となっています。
味の方は、如何か？
違いを確認するのは、次回の宿題ですね。