完成度の高い牡蠣そば : 国分寺そば

12月に入り気温もようやく例年並みになってきたようだ。
夜になると結構冷え込む。
こちらのお店は10〜11月頃は夜でも待たないと入れなかったが
12月に入り寒くなったら少し空いてきて、待たずに入れるようになってきた。

今回は季節メニューの牡蠣そば、玉子焼き、肉豆腐をいただいた。
さて、今回はこの牡蠣そばの完成度の高さに驚いた。
甘汁は他のメニューで使うものとは異なり、独自に作っているようだ。
基本は昆布出汁でそれに牡蠣の旨み（エキス）が溶け込んで
さっぱりとした味わいながら旨味はしっかり出ている。
調味料は醤油は不使用か使っているとしてもごく少量と思われる。
基本的には塩味で日本料理の椀物と同程度の塩分濃度だ。
とにかく上品な塩分濃度だが、それ故に牡蠣の旨みがストレートに伝わって来る。
トッピングの牡蠣は軽く焦げ目を付けた蒸し焼きにしてある。
ぷりぷりの食感で一口噛めばミルキーな風味が口中に広がる。

今回の蕎麦は茨城県桜川市産の常陸秋そば。出たばかりの新そばだ。
甘汁の中でも風味が感じられる。

夏に食べたトマト蕎麦でも感じた事だが、普通の蕎麦屋で出て来る種物とは
一線を画した出来映えで十分に吟味されていることがわかる。
ご主人の料理センスと丁寧な仕事に脱帽です。

10年以上ご無沙汰してしまったが
日曜日の夜、久々に再訪した。
相変わらずの人気で午後8時頃でも7〜8人が待っていた。
それでも以外に回転が早く、20分程で店内に案内された。

今回いただいたのは出汁巻き玉子と季節商品のトマトそば。
トマトそばは、アレンジメニューでイタリアンのトマトの冷製パスタのようなもの。
冷たく締めた蕎麦の上に小角切りのトマト、トマトピューレのソースが掛かっていて
中央に温度卵が置かれ、細かく切った大葉が散らされている。
トマトの赤、温度卵の白、大葉の緑がイタリア国旗の様に映えている。
トマトソースの味付けは塩、胡椒、摺り下ろしニンニク、オリーブオイル等と思われ
醤油は使われていない。正にイタリアンの味付けだ。
このソースが冷たい蕎麦と意外に合う。
この状態だと蕎麦自体の風味を判断するのは困難だが
切りべら30に整えられた蕎麦はコシがあり、喉越しも良好だった。

ちなみにこちらの蕎麦は手打ちでは無いが蕎麦の製粉作業は自店で行っている。
本日の玄蕎麦は茨城県桜川市産と栃木在来種と書かれていた。
蕎麦の味はそのほとんどが玄蕎麦の味で決まってしまうので
手打ちに拘るよりは原材料に拘る方が遥かに効果的だ。

もう一つ今回感心したのがサービス体制。
厨房以外に5〜6人はいるだろうか。
とにかく全員きびきびとした動きで、満員の客をスムーズに捌いていた。
ほとんどがアルバイトと思われるが教育も行き届いていて
好感の持てる接客が印象に残った。
味、サービス、雰囲気等が高次元に整った優良店だろう。

神奈川県の県央に位置する海老名市は比較的平地に恵まれ、田園地帯も数多く残っている。
一方で、小田急線、相鉄線、JR線の駅中心に大規模な複合型商業施設が建ち並び、近年発展を続けています。

そんな駅周辺を見下ろす小高い丘の上にこちらのお店が在ります。
駐車場からは駅周辺の夜景が見渡せ、なかなか良い立地条件です。

平日の夜、閉店時間の40分ほど前にお邪魔しましたが店内は結構な数のお客さんたちで賑わっていました。
入口脇には、本日の玄蕎麦の産地として茨城県境町との表記がありました。

時間もあまり無いので、せいろ蕎麦、鴨南ばん蕎麦、豆腐サラダをお願いしました。
さほど待たずに、サラダ、せいろ、鴨南ばんの順に運ばれて来る。

サラダは小角切りの豆腐の他、レタス、人参、長ネギ、ワケギ、水菜等の野菜と揚げ蕎麦、海苔が盛られている。
豆腐を裏ごししたものがドレッシングと共にかけられていて、独特の食感を醸し出していました。
甘さを抑えたドレッシングが口をさっぱりさせます。

蕎麦は機械打ちですが、ほのかに香る上質なもので、コシも有り、喉ごしも良好でした。
茨城県は蕎麦の一大産地として有名ですが、今日の玄蕎麦は南部の境町産とのこと。一般的に常陸秋そばと呼ばれ、他よりも高価で取り引きされているようです。

辛汁は鰹本節のダシがしっかりと利いていて、かえしの角も取れていて、全体的にすっきりとした印象でまとまっていました。
やや薄めですが、こちらの蕎麦には良く合っていると思います。

種物と呼ばれる「鴨南ばん」ですが、だしは種物用に別に取っているようです。
鰹節の他に昆布の旨みも利いた上品な味で、鴨の脂が汁に厚みをつけています。
蕎麦のコシも残っていて美味しくいただきました。

手打ちと、機械打ちを比べると、一般的に手打ちの方が上質なイメージが有るかもしれませんが、それよりも大切なのは原材料の善し悪しです。こちらのお店のように良質な玄蕎麦を使えば機械打ちでも美味しいお蕎麦が完成します。
そんな感慨を抱きながらお店を後にしました。

ごちそう様でした。