あの、「N」の女性シェフのお料理が期間限定で食べられた鎌倉のビストロ。 : JARDIN SHOKUDO

かつて小坪の高台に「ジャルダン・ヴェール」と呼ばれる小さなビストロがあった。湘南に暮らす友に誘われて何度訪問したことだろう。此方は、その小さなビストロの移転先なのだそうだ。移転直後から何度か誘われていたものの、今回が初めての訪問となった。なんでも、多くの方々に惜しまれつつ今年3月に閉店した鎌倉のイタリアン「N」の女性シェフが期間限定で腕を奮っているという極秘情報を友づてにキャッチ！！「これは！」ということではるばると出かけてみることとなった。

「予約不可」ということなので、18時のオープンと同時に店内になだれこむ（爆）。
「あっ！」という間に小さな店内は満席となった。そして、あの、女性シェフがにこやかな笑顔でそれぞれのテーブルにパンとフォカッチャ入りのバスケットやワインを運び、注文を聞いてまわっている。もちろん、此方のシェフもかわいいエプロンをつけて各テーブルをまわり、二人のコンビネーションもピッタリの様子だ。なんと贅沢な2ショットなのだろう（笑）。

当日は三人だったので、前菜を一品、メイン三品をシェアすることにした。私を除く二人は此方の常連でもあるので、オーダーはすべてお任せする。なんと！メインは「当日のおすすめ三皿！」という注文内容だった（驚）。

●当日いただいたものは下記の通り。
・おまかせ前菜盛り合わせ（1,500円）
・鶏もも肉のパン粉焼き（1,200円）
・黒鯛の香草ロースト（1,200円）
・豚肉のロースト（？）
・フォンダンショコラ（500円）
・桃のコンポート（500円）
・自家製フォカッチャとパン
・白ワイン（グラス）
・赤ワイン（DOMAINE Des TOUR）


生ハム、レンズ豆、きのこのマリネ、盛りだくさんのお野菜にヒシコイワシが盛られた「おまかせ前菜盛り合わせ」をいただいてみただけで、この、女性シェフならではの「天性の才能」をつくづくと実感してしまう。ちょうどよいバランスの塩加減で、それぞれの素材の持つおいしさを最大限に引き出してしまっている。「これってもうマジックだよねぇ！」などと感嘆しながら食べ進んでしまう。

続いて登場したのが「鶏もも肉のパン粉焼き」だ。何の変哲もない鶏肉なのだけれど、これもやはりプロフェッショナルの味つけと焼き加減だ（当たり前！）。鶏肉本来のおいしさが一切れの中にギュッと凝縮されていて、口に含むとジュワーッという感じで広がっていく。添えられたジャガイモはホクホクしておいしい。

「黒鯛の香草ロースト」はさすがに競争率が高いらしく、私たちのオーダー直後に売り切れとなった。もちろん焼き加減・味付けともに「完璧！」と呼ぶにふさわしい内容であることは言わずもがなだ。添えられたジェノヴェーゼのソースがホワホワに焼き上がった黒鯛ととてもよくマッチする。

「豚肉のロースト」はいかにもこの女性シェフらしいダイナミックなアレンジ。鶏肉同様に旨みを中に封じ込めた焼き加減は素晴らしいの一言に尽きる。しかもこの豚肉にかけられたピリ辛風のソースがまたクセになりそうなお味だったりするのだ。付け合わせは鶏肉同様、じゃがいもとインゲンだったのだけれど、全く異なるソースのおかげで、それぞれに楽しむことができた。

この日は6月にしては暑い日だったので、最初に冷やした白ワインをグラスでいただき、その後はお肉料理に合わせて赤ワインを3人でシェアさせていただいた。そうそう、塩加減が絶妙の自家製フォカッチャは、あの、懐かしい「N」そのものの味で、それだけでもはるばると鎌倉を訪れてよかったなー！という気になる。

と、後のテーブルに座っていた客が何故か甲斐甲斐しく手伝っている。よく見たら「N 」でホールを担当していたオニイサンだった（驚）。

すっかりと満腹になったのだけれど、やはり甘いものは別腹。友の一人は「桃のコンポート」、私は「フォンダンショコラ（共に500円）をいただくことにした。少し味見させてもらったけれど、いずれのデザートも完成度が高い納得のお品だ。
しかも三人でこれだけいただいて一人5,000円もいかないのだから、その人気の理由も納得できるものだろう。

噂によると、此方のお店で女性シェフのお料理が楽しめる「スペシャルな日々」は6月末日をもって終了したらしく、すでにご自身の新しいお店のオープンに向けて着々と準備を進められているらしい。またまた予約が困難な名店誕生の予感だ（笑）。

此方本来のお料理をいただいた訳ではないので、「評価は控える」にしようと思ったりもしたのだけれど、いつか再訪して「あの、ジャルダンの味」を楽しませていただきたい。また今回、女性シェフの味を再び楽しませてくれたお礼も兼ねて★4つを進呈させていただきたいと思う。