コロナ対応で、自慢の懐石コースは予約限定に！ランチタイムは2種の御膳で。 : 北鎌倉 円

北鎌倉 円

北鎌倉の駅前なのに円覚寺の白鷺池を眺めながら落ち着いて食事ができます♪

2020年6月3日現在　食べログ評価　3.68

仕事の中日。
スタジオ籠りとコロナ籠りで運動不足は歴然。
精神的にも肉体的にも物凄く疲労困憊です。

気晴らしも必要、ということで自宅から北鎌倉までウォーキングをすることにしました。
ただただ飲食店を探し求めて歩いても鎌倉の本当の魅力を体験することはできません。
普段通らない場所にこそ、初の武士による政権”鎌倉幕府”の残した痕跡を体感し、その浪漫に想いを馳せることができるのです♪

さて、鎌倉には大小多くの切通しというものが残存しています。
「切通し」とは山や丘陵を掘削し、通行できるようにした道の総称です。
鎌倉は南は海、残る東西北を小高い山に囲まれた、いわば自然の要塞のような地形になっています。
その山に道を切り通すことで、外界と出入りする交通の要所にするとともに、外敵からの侵入を制限し、その攻撃から幕府を守る軍事的な自然の要塞化する重要な役目を果たしていたのです。

有名なのは鎌倉七口と言われる朝夷奈、名越、大仏、巨福呂坂、化粧坂、亀ヶ谷坂、極楽寺坂の切通しで、その面影を残しているもの、そうでないものもありますが、鎌倉を観光するのであれば是非とも訪れていただきたい場所です。
他にも衣張山の釈迦堂切通も有名ですが現在は崩落の危機があり通行止めとなっています。

そんな切通しですが、大船から北鎌倉へと抜ける処にも複数の切通しが現存しているのを皆さんご存知でしょうか？
県立大船高校は六国見山へと向かう厳しい坂道の先の丘陵地にありますが、その周辺に2か所の切通しがあるんです。
・長窪の切通
・高野の切通
七口と異なり、これらは付近に住んでいる方以外だと、鎌倉住民と言えどもなかなか気づくことはできないでしょう。
詳しく掘り下げていくとその話だけで終了しそうなので、これ以上触れませんが、実に奥深い謎を秘めた切通しのようなんです。
今回歩いた「長窪の切通」はこんな処に驚くほどのリアリティで通る者の心に迫ってきます。
3mほどに切り通された、細い道は間違いなくタイムスリップできますね。
現在では鎌倉街道から常楽寺交差点を曲がり、この切通しを抜けて大船高校、六国見山へと抜けることができますが、その昔は、山の中に自由に通行できない袋小路の平野が存在していたらしく、そこが一体何だったのか？
一説によると隠れた城か砦のようなものがあったという説もあるくらいの神秘的な場所。

是非、鎌倉へおいでになるなら大船で下車し、この切通しを通って六国見山から鎌倉を一望し、北鎌倉へ抜けるコースをお勧めします。
天園ハイキングコースは未だ通行止めみたいなので、このルートを楽しんでみてください♪
これであなたもチョッピリ鎌倉ツウですよ(ﾟ∀ﾟ)
2022年にはNHK大河ドラマで『鎌倉殿の13人』の放映が決定！
三谷幸喜が手掛ける、源氏が築いた礎の武士の世を盤石にした北条義時の物語だそうです♪
ますます鎌倉が楽しくなりますね！
是非歩いてみてください。

話しはいささか長くなりましたが、このルートで歩き北鎌倉駅付近へ到着。
昼メシはどうしようと。
駅舎脇には和菓子屋、いなりずし、喫茶店、そば処などと並び、私にとって唯一未訪の小さな懐石料理があるんです。
屋号は『北鎌倉 円』といいます。

なぜ未訪だったかというと、懐石料理という敷居の高さが最大の理由でした。
それにいなりずし「光泉 3.56」の2階にあり、様子を窺えないことも手伝って尚更足が遠のいていたということです。

ところが、今回の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発出の影響で、こちらもその業態の変更を余儀なくされ、持ち帰れる弁当などのテイクアウトメニューを始めることになり、1階階段脇に写真入りのメニューが並ぶようになったんです。
それとともに懐石コースは予約のみの提供に絞り、イートインメニューは2種類に絞られています。

【テイクアウト】　1,500円＋税
・葉山牛御膳
・ロースカツ御膳
・エビ野菜天重
【イートイン】　2,200円税込
・葉山牛御膳
・天ぷら御膳
以上に絞られています。

最初は弁当のテイクアウトしか頭になく「葉山牛御膳」を持ち帰ろうと思い、階段を上っていったのですが…
戸を開けて店内へ入ると、先客は1組だけ。
広くはないものの、密接にならず落ち着いて食事ができそうだったので、急遽イートインしてみることにしました。
こちらは食べログ評価3.68の名店です。
そして王道は懐石料理なので、そのポテンシャルをすべてお伝えすることはできませんが、その断片でも、ということで。

こんなご時世なので一応記載しておきます。
消毒液はスタッフ専用のようです。
配膳する際など必ず利用してました。
衛生面には気を付けているようです。
わたしはハンディのエタノールジェルを持っているので自分のを使用しましたが、できれば客用のものもあった方がよろしいかと。
窓の外は円覚寺の双子池「白鷺池」と草木の緑、そして横須賀線の往来を見渡せます。
雰囲気は良好ですね。
熱かったのでクーラーが効いていましたが、できれば窓を開け放った方が換気が強化されてよかったのでは？
最近はそういうことばかり気になるようになってしまって…困りものですw

店は男性2名で切り盛りしていました。
実はもっと高齢の方が営んでいるのかと勝手に思い込んでいましたが、全然違うw
けっこうガタイのイイ男性で、これまた意外。

北鎌倉らしく落ち着いた趣きで、それほど敷居も高くない印象です。
大いなる誤解の積み重ねでしたね。

注文はテイクアウトと同じく「葉山牛御膳」2,200円で。
大船側から山を越えて来たのでご褒美としてビール中瓶「麒麟ラガー」770円も。
合計2,970円也。

喉がカラッカラですから心底旨いですよ♪
でも一気にではなく大事に。
料理とも味わいたいですからね♪

御膳の中から小鉢のやさしい味わいの「人参」の煮つけを出していただいたので、ゆっくり味わいながら♪
柔らかな甘さがイイですね。
こういう料理はお手のものなのでしょう。
精進的です。

しばらくして葉山牛御膳の本体の登場です♪
肉のボリュームは上品。
高価な葉山牛ですから、こんなもんでしょう。
加えて香の物としめじと小松菜のお浸し。
白飯にお椀は味噌汁です。

味噌汁は深い味噌の味わいが印象的でした。
インスタントな出汁では出せない味ですね。
具は牛蒡、麩、青葱でしたが茗荷の香味も感じられました。
複雑な旨み！

白飯は粒立ちが良くふっくら。
やや固め炊きの美味しいコメです。
お新香がよく合いますね♪
糠漬けの胡瓜、かぶら、塩昆布。
葉山牛はビールの肴で消えましたから、香の物がご飯のお供でした！

やはり小鉢のレベルの高さはさすが高評価の懐石料理店の片鱗が感じられました。
お浸しもグッド♪

そして肝心の葉山牛ですが…
期待値が高過ぎたのか、思ったほどの感動は得られず、残念でした。
おろしポン酢のタレでさっぱりと食べる炙った肉。
あっさりで柔らかかったものの、特段凄みと旨みがあったわけではなく、なんというか平凡。
元々単品で5,000円前後で提供している葉山牛のステーキとは別物。
それは当然ですが、もっとなにかあったはずです…
一瞬脳裏をよぎったのですが、餅は餅屋、揚げ物＝天ぷらが正解だったのかなと、それも後の祭りということで。

もちろん小鉢のレベルやお椀などからはその片鱗は感じられましたから合わせ技で味3.5は余裕なのですが、期待値が物凄く上がっちゃっただけに、この昼のメニューからでは3.68のポテンシャルは到底感じることができず。

あ、でも最後に食べた、葉山牛の皿に盛られていた甘味がわりの蜜柑の密煮は超美味でした！
こう言う処が違うんだな！を実感。

やはり勝負は懐石料理ということですね。
残念ながらミシュラン☆うんぬんというレベルではありませんでした。
この事態を乗り切るための大衆に目線を落とした御膳メニューはあくまで仮の姿ということでしょう。
本領を発揮できる日は何時やって来るのでしょうか…
飲食店にとって受難の時代は続きます。

ただ、マニアックな北鎌倉を散策して今まで利用をためらっていた店で食事をするという、充実のオフを過ごすことができて素晴らしい一日になりました。
これなら次回は家族で懐石コースに挑戦できそうです。
果たして気軽に外食できる日はいつ？
外食は緊張する…
まだまだ厳しい状況は続きます。

味偏差値　60
居心地度　62
食べログ評価＞体験判断

常連向き　□□□■□　一見向き
男性向き　□□□■□　女性向き
庶民向き　□□■□□　高級志向
ハイＣＰ　□□■□□　ロウＣＰ