洪福寺松原商店街にある典型的な街のベーカリー : サン・ペルル

ロシアのウクライナ侵攻は食べ物の世界でも大きな影響をもたらすことになりそうです。
と言うのも、一つの例ということになるかもしれませんが、食材として極めて大きな地位を占めている小麦について見てみると、ロシアは全世界の輸出量の17.8%、ウクライナも7.4%を占めているんですね（2019年の数値。FAO（国連食糧農業機関）の統計による。）。
両国の輸出量を合計すると実に世界の輸出量の1/4に達することになります。
従って、今般の危機により、生産や輸出が鈍り、世界的な規模で品薄になるとの懸念が広がっています。
船会社は、小麦の積出港のある黒海沿岸地域には近寄りたがらないでしょうから当然のことですよね。

折りからの原油高やコロナ禍の影響により既に穀物価格は値上がりしており、日本の小麦を原料に使用するメーカー(製粉会社や製パン業者など)では値上げに踏み切ったところが多いだけにそれにさらに追い打ちがかかることが大いに懸念されるところです。
日本は小麦の国内需要の8割〜9割が輸入頼りですから、ロシアやウクライナからの輸入は無いにしても国際相場高騰の影響は避けられないところで、改めて国産小麦の利活用が求められますよね。
その国産小麦の中でも生産量ベースで7割を占めるのが北海道産で、とりわけ製パン適性のある小麦という面では他の産地を大きく引き離してダントツの存在だと思います。
春まき小麦だとハルユタカ、春よ恋、秋まき小麦だとキタノカオリ、ゆめちからといった品種が挙げられますが、これらと作付面積で北海道産小麦の4分の3程度を占めるきたほなみとのブレンド粉が北海道の製粉会社等によりパン用小麦粉として当たり前に流通するようになったのは北海道産小麦のステイタス向上に結び付いていますね。

この日のベーカリー巡りは、ランチで訪れた天王町界隈でということになり、洪福寺松原商店街にあるこちらのお店を訪ねてみることにしました。
洪福寺松原商店街は、商店街という名は付いていますが、大阪の黒門市場のような小売市場的な趣のある商店街です。
環状1号の西側に並行する旧・東海道と国道16号の北側に並行する道沿いを中心に商店街が形成されており、200m四方に食料品や衣料品の個人商店など約100店近いお店が集積し、12時～18時の間はメインストリートが歩行者天国になっています。
小売市場的な趣から「ハマの アメ横」の別称もあり、また、阪東橋の「横浜橋通商店街」、白楽の「六角橋商店街」と並ぶ「横浜の三大商店街」の一角を構成していて、地元だけでなく近隣に広い商圏を持つ商店街です。

この日は、ちょっと早めのランチを済ませた11時55分頃の訪店になりました。
天王町駅方面からのアプローチで、松原商店街入口の信号で国道16号線を渡って、旧・東海道を直進、最初の角を左折して商店街の目抜き通りを100ｍほど進んだ右手にお店はあります。
休日のお昼時ということもあって、この日もかなりの人出で賑わっていました。
こういう賑わいを見ると本当に新型コロナ禍の渦中なのか？という気になりますが、神奈川県の新規感染者はここ3日間72百人→65百人→62百人と高止まりしていますので、まだまだ油断は出来ません。
賑わいの中でもしっかりとマスクをして人を避けるように移動してお店に到着しました。

典型的な街のベーカリーかなと予想しながら訪店したのですが、当店の創業は1987年（昭和62年）だそうなので、かろうじて昭和に引っ掛かっているくらいでザ・昭和というほどの年季は無いようです。
それでも、当店では、店内だけでなく、店頭にも売場が設けられており、20種類ほどのパンが並べられているのが個性的です。
これは、食べ歩き用に手軽に買えるような配慮ということかもしれませんが、今のご時世ではいかがなものかなとも思います。
衛生面での問題もありそうな気もしますしね。

と言うことで、店内に入り、そちらでパンを調達することにします。
店内はそれほど広くはなく、さすがに店頭に並べられた商品よりは種類は多いですが、それでも全部で40種類内外かと思われます。
店頭陳列のおよそ倍くらいという勘定になりますかね。
確かに街のベーカリー風の店構えのお店なのですが、お値段は激安という感じでも無く、例えばクロワッサンは＠180円、あんぱんは＠160円、ベーコンエピは＠240円といったところです。
前述の通り、世界情勢から国産小麦回帰の動きが今後見込まれるところなので、そのあたりのこだわりが無いか確認したのですが、そこまで手を広げていない感じですね。
原料小麦や酵母に関するこだわり表記等は全く見られませんでした。

購入したのは、以下3点になりました。
・半熟玉子カレーパン（大辛カレー）＠240円
・塩バターパン＠140円
・とろとろクリームパン＠180円
合計560円

平均単価は、@187円ですが、街のベーカリーとして見れば、特別に安い感じでもありません。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

半熟玉子カレーパン（大辛カレー）は中に入っている玉子の破裂を防ぐためレンジは使用せず、600Ｗのオーブンで4分間じっくり加熱した後、900Ｗで1分間仕上げ焼きしていただきました。
当店の看板商品で、2016年3月にアド街ック天国（横浜・天王町）でランクインした際にも名物パンとして紹介されていました。
ナイフでカットすると、その傍から半熟の黄身がトロリと流れ出してきます。
ただ、レンジを使えなかったせいで玉子は十分温まってませんので、リベイクの仕方には工夫が要りそうです。
お店の方でもそのあたりの指南があるといいと思いますね。
カレールーは大辛とのことですが、玉子がまろやかなので、それほど辛さは感じません。
びっくりするほど美味しいパンではありませんが、見た目は綺麗ですし、まずまずですかね。

塩バターパンは、レンジで15秒チンした後、600Ｗのオーブンで3分間加熱していただきました。
白っぽい生地ながらもふわふわでは無く、結構しっかりした食感です。
バターで出来た空洞は小さめですが、底面はバターが染みてカリッとリベイク出来ており、なかなか美味しかったです。
@140円は安いですし、これはコスパ高いと思います。

とろとろクリームパンは、クリームパンにしては珍しい丸く高さのある形状ですが、やや位置に偏りはあったもののたっぷり入ったカスタードクリームはいかにも自家製という優しい味わいでとても美味しいです。
ブリオッシュ風のパン生地とも良く馴染んでおり、なかなかハイレベルのクリームパンで、街のベーカリーのクリームパンにしては高いと思われた@180円も納得ですね。

街のベーカリーとしてはお値段高めというのが第一印象だったのですが、パンのクオリティは結構高いので、お値段も十分納得出来るレベルで、従いコスパは高いと思います。
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