いくら客足が遠のいても、こんな刺身は出しちゃ金沢の評判が落ちてしまう。 : 魚菜屋

久しぶりの金沢はGWの真っ最中で、当時はマンボウも適用もなかったのでコロナのご時世にしては観光客が多くて、駅ナカのレストランはかなり混み合っていました。

一回り物色して結局、以前に入って好印象だった「魚菜屋」さんに入ってみました。

アルコール消毒と検温をして、カウンターの奥の席に案内され、取り敢えずのビールと刺身の盛り合わせ一人前と、能登フグの唐揚げでスタートです。

刺身の盛り合わせは、甘海老、真鯛、鮪赤身、中トロ、鰤など9種類もの刺身が一切れづつとボリューム感があります。
ところが、魚の鮮度が落ちていて美味しくない。
こういう魚は「なれとる」と言って、地元民は嫌います。

能登フグというのは、能登半島で獲れたフグの総称です。あまり知られていませんが、天然フグの水揚高は石川県が全国トップなんです。
なので期待して注文しましたが、出て来たものは想像していたぶつ切りの唐揚げとはイメージが違って、厚めに引いた刺身の唐揚げでした。
そのため歯応えがなくて美味しくありません。

この二品だけで嫌になって会計して、他の店で口直しをすることにしました。
コロナ禍で客足が引いているのは分かりますが、こんな鮮度の落ちた魚を出しては店名にそぐわないと思います。

小松から最終便で帰京する前に金沢駅ナカで腹ごしらえをしておこうと金沢駅のショッピングセンター百番街に向かいました。
いつもなら迷わず黒百合でおでんで一杯なんですが、今回の金沢では魚を食べる時間が無かったので、気軽に新鮮な魚をたっぷり食べられるこちらのお店にしました。

黒板メニューにノドグロを発見して、一尾1,200円と手軽な値段だったので早速塩焼きにして貰いました。
炭火でじっくりと炙るので焼き上がりには時間がかかりますから、その間にジュウジュウ脂の滴るノドグロが焼けるのを眺めながら刺身の盛り合わせとカレイの骨酒で一杯。
焼きあがったノドグロはふっくらした厚い身から脂がじゅわっと染み出して来て絶品です。
白海老のかき揚げがボリュームたっぷりなので、〆のご飯代わりにお腹を一杯にしてくれました。
勿論、白海老も大きく白い身が甘くて、カリッと揚がった薄い殻が香ばしくて海老せんのようです。

骨酒が空いたので熱燗をお代わりして、蟹味噌でもう一杯。
蟹味噌には、ずわい蟹の剥き身が付いているので一緒に食べると、日本酒にぴったりですね。


2009年8月のレビュー
金沢駅で電車やバスの時間待ちの間にちょっと一杯というときは、金沢おでんの黒百合と決めていましたが、前夜遅くに奥能登から特急バスで着いた際に黒百合でおでんと白山蕎麦で夕食を摂ったばかりなので別の店を探して、この店を発見しました。

この店の存在は以前から知っていたのですが、入り口の大きな写真入りメニューで海鮮丼や定食物ばかりが目立ったので、居酒屋的な使い方は出来ないのかなと勝手に思っていました。
実は同じおみやげ館の中に魚菜屋という店名でもう一軒在って、そこはカウンターだけの小さな店で海鮮丼だけだったという記憶があって勝手にそう思い込んでいたようです。
店内は10人ぐらいがゆったりかけられる大きなカウンターと4人テーブル席が5,6個あってキャパはあります。
お一人さまなのでカウンターに案内されて生ビールとおつまみを注文。

「刺身盛り合わせ（１～２人前）」は蛸、サーモン、ふくらぎ（鰤の子）、甘エビ、マグロ、アラが少しづつと秋刀魚一尾にサザエ1個丸ごとついていたので一人ではもてあますぐらいのボリュームがありました。
真夏は美味しい魚が無くなる時季なので期待はしていなかったのですが、サザエだけは真夏が旬なので美味しかったです。
秋刀魚も新鮮で、まだ脂が乗っていない分さっぱりと食べられました。

「どじょう蒲焼」はあまり知られていませんが、金沢の隠れた夏の名物です。
砂糖を使わず俵屋さんのような飴屋さんの飴を使った甘辛いタレに、一寸ほろ苦いドジョウのこりこりとした食感がビールにぴったりです。
黒百合でも出していますが、焼き置きしてあるので硬くてあまり美味しくなかったのですが、ここのは焼き立てなので身もふっくらしているし、量もたっぷりあって数倍旨かったです。

このお店はあぶり焼きも名物のようで魚介類や焼きトンの串焼きメニューもありましたが、串かつならぬ串天というのが1本120円からあったので試してみました。
ネタは天ぷらの定番のキス、メゴチ、烏賊をお願いしましたが、どれもからっと揚がっていて中身はふっくらという天ぷらのメリットが良く出ています。
天つゆと塩を添えてあるのでお好みでいただけました。
この3本で360円はお得です。

「帆立の能登焼き」は帆立の貝殻に大きな帆立貝をざく切りにして焼いたものでした。
奥能登の魚醤である「いしり」かと期待していましたがしょうゆ味だったのがちょっぴり残念でした。

とはいえ、これだけ食べて生ビールに日本酒２杯で３０００円台とCPが良くて、
良い意味で予想を裏切るレベルで満足でした。