現在おひとり様では入店禁止になりました。そんな寿司屋って日本で一軒じゃないの。 : 鮨処みずたに

（２０１２年９月）

守谷に来ています。

水谷さんに来るのは何と３年半ぶりのことです。随分とごぶさたをしてしまいました。この３年半の間に、地方の有名寿司店に何軒か行ける僥倖に恵まれ、水谷さんの一本筋の通った握りを思い出して守谷までやってきました。

お店にはかろうじて開店前に到着しました。そのために予約はしておりませんでしたが、なんとか席を確保していただきました。団体のお客様が予約しているとのことで、やはり行く前に確認の電話は必要ですね。

水谷さんご夫妻にお会いしてご挨拶。無沙汰をお詫びして席に座りました。ランチタイムです。マダムさんの予約のお客さんも詰めかけていて盛況ですね。こだわりのネタを使ったお料理、お寿司が破格の値段ですから、口の肥えたお客さんが集まってきます。幹線道路であるふれあい通りからはかなり入って来ますが、知ってる人は全員知っているお店です。

近況を話しながらご主人の包丁さばきを見ています。やっぱりお寿司屋さんって半端じゃないですよね。ジブンが普段入るような回転寿司や普通の寿司屋さんで包丁で切る場面なんか見ませんよ。丁寧にしかし素早く、骨が外され余計なものがどんどん除かれていって、寿司ねたに変貌していきます。握りをお願いしました。

最初にネタをとりだして、最後の隠し包丁を入れてますねえ。あれ、もしかしてコノシロのシンコ（新子）じゃないですか。うああ、大好きなんです。もちろん今年初めて。２枚準備しているので２枚づけですね。行列が来るのを知っていたようなシンコ・ウェルカム。この下ごしらえ、大変なんです。なにせ小さいので捌くのも容易じゃありません。大きな魚と同じことをミニチュアフィッシュでやるわけですから。

そして、塩振りと酢の締めで味が決まるシンコですから、寿司職人にとっては真剣勝負。シンコの大きさによって持っている脂も違いますから、塩、酢の加減は油断できません。おいしいおいしくない、が下ごしらえで決まってしまう最右翼のネタでしょうね。

長かったプロセスの最後が握り。ゆっくりと丁寧に、しかししっかりと握り、さっと出されます。笑いがこみあげてくるのを我慢して、いただきます。いやあ、フレッシュなおいしさ、これに勝るものはないでしょう。うまいねえ。大トロのおいしさにはない対極の味。シンコは夏の間のホンの一瞬しか食べられません。あっという間に大きくなってしまうからです。この時期にお寿司屋さんに足を運ばないと前提が崩れます。ですから、行列が来るのを知っていたのでは、と思ったわけです。

そのあと、あんまりおいしそうだったので、写真も撮らずそのまま食べちゃったみたいです。写真がありません。青森県大間であがった珍しいまぐろが手に入ったとか。濃厚でありながらさっぱりしていて、それはもう天国でした。そのあと貝、白身に続いて鰹です。ちょうど春先の脂のない鰹が秋にたっぷり脂を蓄える寸前で、しっかりと薬味をかかえた握りはやはりうまい。

そして、中トロ２貫、イカ、金目鯛、芽ねぎ、巻物、玉子、お椀と続きましたが、この寿司のレベルが守谷で食べられるならわざわざ飛行機に乗って地方に行く必要がないなあ。目の前で握っているのを見ていると、ネタのおいしさを引き出すいろんな技を使うんですね。食材はすべておいしいものばかりなのに、なおそれをおいしくするために仕事をしているんですよ。座敷に座って運ばれてきたものを食べると、おいしいことは分かっても、いかにおいしくしているかは不明ですからね。

お椀は生湯葉でした。どこまでもこだわりを入れてくる店主です。

本当においしかったです。ごちそうさまでした、って席を立ったらもう一品ありますからと言われ。この上、何が、と思ったらデザートでした。黄粉や黒蜜がかかっているサイコロ状の和菓子だったので、くずもちかと思って口に含むと、味はくずもちですが食感はソフトでまったく違います。お訊きしたところ奥様の作品でしがろごまのくずもち風、とか。うまい。家に帰って調べたら作り方の出ているサイトがありました。これは自作してみよう。

そんなおまけまでいただき、大満足のランチでした。最後にお勘定をしたら思っていた金額の半分以下でしたね。こだわりの寿司とCPの高さ。鮨処水谷、健在です。

記念レビュー、準備にはいりました。今週中には必ず。


（２００９年２月　初稿）

このお寿司やさんも奥様方からの情報。ネタがいい。お部屋がすてき。なるほどねえ。そんじゃあ、と思って食べログを見たら、おお、コミが入ってます。珍しいお寿司も入って、夜のお値段も安心、とあります。この両方のニュースソースから、そう言われちゃあ、現場主義で食べに行くしかないだろう、と。ランチを食べに行って来ました。

取手からふれあい通りをずんずん進みますが、最後は住宅街に突入。国道６号の取手の交差点から１０ｋｍくらいかなあ。守谷駅が近いです。こんなところにあるの、の代表みたいなところにあります。こういう時には奈美は頼りになり、すぐヒットして迷わずに行けたのですが、連れていかれた先は駐車場。コミを読んでいて駐車場からお店まで少し歩くと書いてあったのですが、おい、どっちなんだ、と思いますよ。まあ、東西南北、４本の道を順番に歩けば着くベえ、と思い、トライアンドエラーメソッドでお店発見の旅へ。あっけなく、最初に選んだ道で正解。素敵な外観のお店に着きました。

駐車場から電話すれば、手がすいていればお店の人が来てくれるかも。忙しかったら、少なくとも行き方は教えてくれますよ。とってもいい方でした。でも、こんな場所で商売になるの、と最初に思いましたよ。商店街にないので、こっちが心配してしまいますが、逆に商店街にあったら、この贅沢な空間は確保できないだろうな、ともおもいます。

お店は、手入れされた庭をアプローチに使い、なんとお店の中に入ってもその延長にいるような趣向が凝らしています。この雰囲気のあるお寿司やさんをランチで使えるんですから、奥様方の特権がうらやましい。

お店のアプローチを進み、入口の戸の前まで来ましたが、一瞬ここでいいのかなあ、と思う凝った戸を引いて中に入ります。中に入ると、また日本風の渡りになっていて、お花を飾った目をひく所が２カ所。そこを左に曲がると、カウンターが右に、お部屋が左にありました。手前の部屋はちょうど団体さんが入っていて、閉められたお部屋の外に履物がずらっと並んでいました。

すいません、ひとりですが。
どうぞ、こちらへ。ということで、こじんまりしたカウンター席に案内されました。客は行列だけ。カウンターに座ったときは、１３時をまわり、その後すぐ団体さんがお開きになったようです。わだすも、わだすも、とお店の名刺をひとりひとりもらっている声が聞こえていました。

カウンター席は、ちょっとした小さな部屋のようになっており、ここも落ち着いてお寿司をいただける雰囲気です。目の前で握っていただくと、またいちだんとおいしいんですよね。

ランチメニューは、３種類。この日は、団体さんが３０００円のを食べつくしたようで、にぎりの２０００円かバラちらしの１５００円かの２種類のみとのこと。レビューの写真うつりを考えて、それでは、にぎり、で。

写真を撮りたいんですが、いいですか。カウンターでご主人が目の前。写真を取りにくい場面なので、最初に聞きます。

ええ、どうぞどうぞ。それでは、１貫ずつ握りましょうか。
それじゃあ、お手数ですが、お願いいたします。

１個握って。１個記念写真。１個食べる。そのあいだ、いろんなお話をさせていただきました。お忙しい中、申し訳なかったです。１個握る。１個記念写真。１個食べる、うんまいなあ。これ、なままぐろですね。あじがちがう。一度も冷凍をくぐっていないまぐろの赤身。うまいなあ。ランチで出していいんですかねえ。

めねぎ、といいましたか。この細いねぎの握り、初めてでしたが、うまかったなあ。名前は、２度も聞いて、その時は十分覚えてましたが、これだよねえ、老人性健忘症。ねぎのうまさをお寿司で味わうとは。お寿司コミの少ない行列のことですから、初体験を楽しめました。かれいのえんがわもうまかった。これは、はずさないね。

東京から仕入れてくるというお話でしたが、仙台まで足を伸ばして仕入れることもあるとのこと。この辺が、お店の評判をとるネタを仕入れる努力なんでしょうか。自身の目で確かめて買う、というのは、守谷のような場所では結構大変なことなんだなあ、と思っちゃいました。

お椀とか茶碗蒸しとか、お寿司屋さんが作るとちょっとほかと違いますね。飲み屋で出てくる茶碗蒸しとちがうんだなあ。手間のかけたぶんだけ、うまくなる。

写真ばっか撮るんで、食べ物のブログについてお話させていただきました。気さくなとっても感じのいいご主人です。お若い。話題はうまいお店の話になり。守谷近辺のお店の話になり。共通のお店の話はたのしいですねえ。最後に、ここのご主人が奥様と一緒にいくフレンチのお店を紹介していただきました。よくあるでしょう、グルメ本に。シェフが休日にいくうまい寿司や。その逆で、寿司屋の店主が行くうまいフレンチ。

やっぱり、見方が違うし、ＣＰがものすごい。へへ、このお寿司屋さんに行ってすぐにそこのフレンチに行きました。お話の通り、ホント大満足。この値段でえ？手が込んでいて、信じられない安さ。食べログ未登場なんで、すぐＵＰします。プロが選んだプロ。お話の途中で奥様も合流し、お二人からフレンチのお話をききました。奥様も若い。

お寿司、おいしかったなあ。話も楽しかったし。ランチ、おしゃべり好きな奥様方の憩いの場所として人気があるのも、な～るほどの納得でした。食べログの醍醐味。何も知らないでお店を見ると、自分とはまったく縁のない高級寿司屋、と思うでしょう。知らないと、行列だって入れませんよ、ラーメンじゃないんだから。レビューあってこそ、また食の冒険ができる、ってことですね。