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西麻布から淡路島へ。「すし 藤森」の新天地
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船井香緒里(フードライターKaorin)
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店名 |
すし 藤森
|
---|---|
ジャンル | 寿司、日本料理、海鮮 |
予約・ お問い合わせ |
不明の為情報お待ちしております |
予約可否 |
予約可 |
住所 |
このお店は「港区西麻布2-24-14」から移転しています。 |
営業時間 | |
予算 |
¥20,000~¥29,999 |
予算(口コミ集計) |
|
支払い方法 |
カード可 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
席数 |
6席 |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
有 3台 |
利用シーン |
|
---|---|
ロケーション | 景色がきれい、海が見える、一軒家レストラン |
サービス | 2時間半以上の宴会可 |
公式アカウント | |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
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淡路島・釜口
東浦インターを降りてイーストコーストを南下すること約15分
2023年2月、西麻布からこの地へ移転した「すし 藤森」へ。
幾層にもご縁が重なり、念願の訪問が叶った。
藤森康博さん、女将・のり子さん。改めて御開店おめでとうございます。
まず内装に見惚れる。
主人を囲むよう、微妙に角度がついた白木のカウンター席。
土壁を手がけたのは、淡路島出身の左官職人・久住直樹さん。
まさかここで久住さん作品に出会えるとは…
久住さんと親交の深いメンバーの皆さんと共にボルテージmax。
その土壁は、波の表情なのか、夕暮れの砂浜なのか…
島のダイナミックな風景を切り取ったかのような臨場感。
シャンパーニュ
ルイナールで乾杯。この芳醇な香り、堪んない。
おまかせは…
最初に鮪の握りを供するのが、藤森さんの流儀。
■鮪 にぎり
この日は塩釜揚がりの本鮪。
酸味を利かせた温シャリに、融点が低い鮪の脂が絡み、豊潤な旨みが花開く。
どこまでも芳しくて、優しく消えた。
■真鯛
店の近くにある仮屋漁港で揚がった真鯛。
皮目だけを炭火で炙った、燻しの香り心地よく
旨みがねっとりと絡みつく。
■イカナゴと菜の花
イカナゴはふっくら、菜の花の素材感もくっきり。
島の山海の恵みを取り合わせた、今だけの味。
■トリ貝
酸味と塩味をくっきりと感じる温シャリにより
トリ貝のピュアな甘みが際立ち、清々しさが鼻腔に抜ける。
■サヨリ
腹黒いサヨリの、高貴なオーラにうっとりする。
温度低めのシャリが、ピンッと張り良いサヨリの
清らかな味わいを引き立たせている。
■「洌 純米大吟醸」と共に(山形・小嶋総本店)
目の前では、藤森さんがにぎり、
女将・のり子さんがテンポよく一品料理の仕上げを行なっている。
聞けば女将は『かんだ』出身。なるほど…と頷く品が続く。
そして女将は徳島出身。ということで、
地元に近い淡路島への移転を決めた、という。
■若竹煮
若芽を湯がくところから。鮮やかでいて素材感くっきり、
何も足さない、何も引かない、じつに端正な味。
■伝助穴子
炭火で炙った伝助は、熱すぎずの温さが見事。
ぷっくりとした身を頬張る。油の甘みの余韻がなんて深いんだろう。
■淡路島サクラマス
地元が誇る「淡路島サクラマス」の旬は3~5月。
その身に塩を施し、桜の葉を重ね合わせて香りづけ。
やさしい春の香りと、サラリとした脂の旨みが、赤シャリと渾然に。
ここらでアンリ・ジローが登場。
「HENRI GIRAUD ESPRIT NATURE」
樽の優しい香りと、なめらかな泡立ちに癒される。
■ミミイカ
明石揚がり、ミッキーマウスのような風貌のミミイカを
生でにぎりっていうのは初めてかもしれない。
味わい、濃厚。生姜醤油がよく合っていた。
■甘鯛
断面のグラデーション美しく、その濃密な旨みに杯が進む。
■赤貝 白ミル貝
赤貝は徳島より。噛むほどに甘みがじわじわ押し寄せる。
明石浦の白ミル貝は、シャクッ。清々しい香りを撒き散らす。
そして、あのにぎりへと…
■車海老
二尾重ねの車海老も、藤森流。
湯がきたてを一呼吸置いた頃合いゆえ、甘みが強い。
酸味くっきりのシャリが、一層、甘みを助長させる。
■雲丹
青森より。
口の中で蕩け、旨みを放ち
酸味強めのシャリと相まって消えた。
■大根 ふきのとう味噌
地元で採れた大根とふきのとう。
女将手製のふきのとう味噌は、赤味噌ベースのコク深い甘さ。
しみじみ旨い。
■バチコ
南あわじ「品川水産」より。
ハリ、ツヤ、サイズもそう。明らかにオーラが違う。
雑味が一切なく、噛むほどにふくよかな旨みが押し寄せる。
■ヅケ
温度高めのシャリのインパクトがすごい。
鮪の旨みと香りのスケールをぐっと広げた。
藤森さんと、女将・のり子さんの阿吽の呼吸も目を楽しませ、
かつリラックスできる空気感が気持ちいい。
■穴子
地元・仮屋揚がり。
重厚な煮ツメとシャリの赤酢が出合い
コクが深まり、儚くとろけた。
■茶碗蒸し
ふるふるをもっと柔らかくさせた繊細な質感で、
だしの旨みが心に沁み入るわぁ。
梅肉のあんで清新な後味。
「トロたく」と「たい焼き玉子」にニンマリしながらも、あぁ名残惜しい。
もう一巡したいとさえ感じる、ハッピーエンド。
汁物とともに。
「和三盆の黒蜜ときび糖アイス」で〆。
明けるのが惜しい、すばらしい夜でした。
酒肴と握りを1〜2品ずつ交互に出すコースの組み立ては、その抑揚も間合いも絶妙。
藤森さんによるにぎりは、江戸前の仕事に
淡路前、ときには明石のまえもんを織り交ぜた独創性を感じ、
のり子さんが担当する一品料理には、
名店仕込みの技と、淡路島の山海の素材らしさが見事に融合。
江戸前と淡路前、藤森夫妻のセッションが、たちまち食べ手を引き込む。
初夏にまた伺おうと心に決めた。
ご一緒させていただいたTKさん、皆さん、
ご紹介いただいた志賀さん、藤森夫妻、本当にありがとうございました。