元祖！　めっちゃ休むパン屋 : カオパン

　～　憧れでもあったお店。ようやく訪問できました。スローライフを楽しむ方々のためのお店　～

　芦屋という立地だと、「ビオブロート」や、伝説のお店である「ビゴの店」へと、どうしても足が向いてしまう・・・
　誰もが好きになるとはかぎらない、地味で滋味なるインディーズレーベル的パンのお店なら、後回しになりがち。。。

　「大人のパン」　・・・をテーマに。ゆっくりと、好きな酒とともに。あるいは、とっておきのディナーにでも添えるべきパン。
　「旬の果物を使った天然酵母」　・・・え！　そこから四季が感じ取れる！？
　「仕込から焼き上がるまで、半日から丸一日」　・・・人手が少ないからじゃなくて、より手間を掛けているかららしい。

　◎よって、一日に一回しか焼き上げることができない・・・って、ホームページにありました。

　それは！　あらゆる購買客が想像している、常日頃のパンだとはかぎらない。

　あれもこれも、世間一般のニーズに合わせて焼かれたパンにはあらず。。。
　ここ・・・お店発信の、草場香里さんが育み、大きく成長させていった、かおりのパン。カオパン。
　ここに来るお客はつまり、カオパンを食べに来るのだった。。。

　＊＊　ここに来て、自分が普段買うようなパンがないじゃないか、ってのはご法度です。

　体に優しい、そして安心というだけではない、良い素材が発する力強い生命力、そこから生まれる自然の美味しさ。
　主役は素のパンそのものであり、その美味さを損なうような脚色はされない。
　ここだけの美味しさがあるわけで、その醍醐味を味わうってのが魅力なわけですから。。。

　お客様が喜ぶパンとは・・・来店される方々、それぞれの好みに沿うような、いろんな味わいのパンをたくさん作る、ってのが主流の信条ではありますが。。。自分なりのやり方で喜ばせる、って考え方もあるのですね。

　どちらが本当のパン屋のあり方なのかはさておき～ひとたびお店に入れば、ずらりとパンの勢揃いする様は、お馴染みの光景。

　トングとトレーがないですね。
　お店いっぱいに、手の届くところに、美味しそうなパンが並べられているのに。。。
　店員さんに取ってもらう方式でした。ショーケースに入ってるわけでもなく、珍しいと思います。。。

　自分が普段買うようなパンがない！

　びっくり！　わかってはいましたが、ほんまに、こんな感じなんや・・・と実感しました。
　どれにしようか、迷ってしまいますね。自分の定番、と呼べるものが見当たらない。そこらにない感じのパンばかりで、新鮮ではありますが。。。
　味かぶりを避けるのにも必死でございます。とりあえずは、クロワッサンは外せないですね。
　＊＊　少し値の張る気もしますが、お値段とは味わいをもって判断するもの。。。芦屋価格としては、激安には違いないです。本物のセレブたちの思う一万円は、おそらく、自分たちの百円くらいの価値でしかないのだった。

　芦屋といっても、路地を入った先の、さらに奥へと踏み入った先にある辺鄙な場所。途中には、謎めいた店が取り囲む。アンダーグラウンド的な場所柄、そこで育まれた生命力にあふれた元気なパンでありました。。。


　～いい、匂いに包まれています。

　シナモンレーズン　・・・むせぶほどスパイシーなシナモンの香りが特徴でありました。さすがに大人のパン。超極もっちりの生地に、惜しみなくシナモンを利かせ、その名の通りの味わいを心底味わわせてくれる。ちょっぴり、からーい。

　オリーブのパン　・・・細切れのオリーブが生地に練り込まれています。生地と共に味わう。じんわり、と食べていくのがいいようです。よくある丸ごとオリーブの入っているタイプと違い、ガツガツ食べるものではない。オリーブの風味に満たされます。

　クロワッサン　・・・ベッカライ・ビオブロートのものと見た目は似ていますが、あそこまで明快な菓子パンには仕上げていません。表面の砂糖もほどほどに、がっしりと詰まった内部構造、バターの風味に彩られた凝縮度の半端ではないパン。単純に、甘さだけで食べさせてはくれはしませんね。雑穀の風味に触れながら、ほのかな生地の甘さを感じ取るのみ。。。

　食パン　・・・美味しいに決まってるでしょ。小さめのやつだけど、実は詰まってるのだ。

　毎日のパン　・・・これが、このお店の有名なやつですね。毎日でも食べられるパン、ってどんなんかなと思いました。持ってみれば、驚くほど軽いのです。すかすか？　温めてみれば、パンの香りが心地よい。薄い表面が、サクリと弾けます。断面は、気泡の大きなのがいっぱい。ふんわりとしていて、あらゆるパン生地の中性的イメージ。なんとなく、漫画とかに出てきそうな、美味しいパンの実写版に思えてしまう。。。　　
　想像とは違ってたけど、その無骨なビジュアルは、あらゆる味付けに対応できる素朴さで際立っていた。


　感動するものとは違う・・・というイメージ。
　よく噛み締めてみれば、その価値に思い当たるようなパン。
　＊＊　すぐさま味覚を呼びさまし、美味しい、と顔をほころばせるものとは違うのだ。。。

　◎毎日の生活の中で、何気なく食べているようなパン・・・ふと、美味しかったんだなぁ、と気付かされる。そんなところにあるようなパン。
　・・・ああ、日々、生きているって喜びを実感しますね～。そんなパンでした。。。