ランチタイムも華ありき : 鮨処 凜

とある晴れた土曜日の昼下がり、寿司でも楽しもうと穏やかなる大人レビュアー3名での訪問だ。


●厳選握りコース　11,000円

こはだ
くえ
本鮪赤身
すみいか
赤貝
本鮪中トロ
春子鯛
金目鯛
本鮪大トロ
のどぐろ

雲丹（追加）
いくら（追加）


山崎12年ハイボールで乾杯。まずは　まろやかの後にゆずの香りふわり。アワビは肝醤油で滋味深く。

握りは江戸前らしい小肌からスタート。前回よりも若干硬さがほぐれ、個人的にはこのタイプではジャストと思える塩梅であり、赤酢の効き加減も良かった。

有名な仕入れ先である山幸な本マグロ、今回は長崎産でシャープな旨味、やはり質は良い。そして個人的には赤貝、のどぐろが美味かった。赤貝は旨味濃く、のどぐろは軽い炙りで香ばしく、のどぐろ本来の味わいの後に熱で溶け出す上品な脂感が赤酢のシャリと融合して幸せ気分。

日本酒は高価な而今から始まり、希少な新政、そして大将おすすめの口万（ろまん）どれも飲み口は柔らかながら芳醇で寿司にも合う。

皆様のレビュー画像を見ると、握りにはバラつきが見えなくもないが、有名処で修行された若い大将、
慣れた頃には板についてくるのであろう。

会話も弾み、ランチタイムも満足な会食となった事は言うまでも無い。

江戸前寿司をつまみたくなり、ふらりと暖簾をくぐる。それでいて、しっかりとよそ行きな気分も満たしてくれる。そんな寿司屋の登場だ。

こちらはANAクラウンプラザホテル札幌に店を構える鮨処、場所柄からも期待値は上がる。土曜日の夜、暖簾をくぐると気さくな大将が笑顔で出迎えてくれた。

今日は久しぶりに合う仲間と4人での会食だ。まずは白州12年という今や貴重なシングルモルトウィスキーで乾杯だ。やはり独特の香りが良く、樽熟成の深味も感じられる。アテは旬のホタルイカ。


【ディナー】厳選握りコース◆握り10貫が堪能できる贅沢なプラン　11,000円


真蛸からの金目鯛からすみでウォーミングアップ…と言うには上等なもの。我々のテンションは急速に上昇していった。

ちなみに大将の宮嶋氏は、ミシュラン店である「立ち喰い寿司あきら」の出身。そして初セリでも有名な日本屈指のマグロ中卸しである「やま幸」からの仕入れルートという強みを持つので、マグロ好きは刮目だ。

シャリは大好きな赤酢。ハラリと解ける事にウェイトを置いたのだろう、米は珍しい北海道産ササニシキを使用。ササニシキを使用する事には、熟成ネタの多い江戸前寿司にはマッチしていると思うし、あえて固めに炊いているのは狙いだそう。口中でどう感じるかを計算しているのだろう。

その昔、寿司におけるシャリには粘りを出したいコシヒカリ派とハラリ解け重視のササニシキ派に二分されていた。私が食の業界に入った30年程前はササニシキ派が多かった気がするが、私自身が商品で扱っていたシャリは新潟コシヒカリ…但し押し寿司や巻物だったので合っていたと思う。そして北海道産米はレベルアップしてきたとは言え、粘りや甘味はまだ東北名産地には叶わないので、比較的淡麗なササニシキを使用する寿司シャリならば尚更、宮城や山形産をオススメしたい。

話は逸れたが…こちらの鮨は江戸前を基本とし、最近より注目されている「熟成」を得意としているようだ。

■小肌　佐賀
ふくよかな酢締め、身の旨みも感じられた。

■すみいか　兵庫
サクッと歯切れ、熟成程よくジワリと甘味旨味。

■本まぐろ赤身　塩釜
シャープな酸味、新鮮でスッキリ、赤酢に合う。

■くえ　長崎
モッチリ歯応え。熟成による白身の旨味が良く、この魚らしい脂感で後味に甘味。

■細魚（サヨリ）　宮城
春を感じる旬の魚。新鮮だからこそ感じるサヨリらしい上品で繊細な旨味。

■かつお　静岡
カラシで。程よい熟成で独特の旨味が濃い。

■ぼたん海老　
生の海老はあまり好みでは無いが、この熟成は旨し！甘さに加えて旨味の縁取りあり。

■ずわいがに　カナダ
新鮮で筋肉質で引き締まった棒肉は、噛めば解けて旨味がジュワリ。

■本まぐろ中とろ　塩釜
塩で。加減が絶妙。身の繊細さを感じ、旨味の質がハイレベル。

■雲丹巻き
時季では無いが新鮮で濃厚。煮切り絶妙につき、海苔の香りとグルタミン酸が良いハーモニー。

■吸い物
春らしいハマグリ。出汁感が好み。

■とろたく（追加）
やま幸マグロ複数部位。ネタ・シャリ・海苔…各々のバランスが良く、言うまでもない美味しさは画像で判断して頂きたい。これも大満足。海苔は有明海苔で、メーカーを見て納得。私も以前業務で使っていた質の良い海苔だ。


総合的に価格と内容・質や味わいはマッチした印象で充分に満足。


酒も山崎12年から新政No.6など、旨い鮨に相応しいものを頂き大満足。ラインナップにも優れるので、酒にもとことん拘りたい方にも適応。

感じの良い大将に美味い江戸前鮨、そして銘酒の数々… 格調高いホテルにもよく似合う存在感だ。