素材を贅沢に使用したパン。多少高くても納得！ : ぱん吉

今回の札幌小旅行では、ベーカリー巡りも目的の一つにしました。
そしてせっかくなら食べログパンEAST百名店に選出されているベーカリーを巡ろうと考え、初日は、あの志賀勝栄シェフがグランシェフを務めている「ブーランジェリー コロン 本店」を訪れました。
ホテルでの朝食の調達で、いつものようにリベイクが出来ないというハンディがありましたが、やはり自家製酵母＆低温長時間発酵のパンは旨味が違いますよね。
私は志賀シェフだから評価するみたいな図式は好まないのですが、やはり美味しいものは美味しいと素直に評価したいです。

旅行2日目にして最終日のこの日は、札幌駅近くにあって、やはり名店の誉れ高い(パンEAST百名店にも選定されている)こちらのお店を利用することにしました。

当店は、2003年(平成15年)の創業ですから、来年には節目の創業20年を迎えることになります。
起業に関する帝国データバンクの統計データを見ると、企業の10年後の生存率は70％、20年後は52%という数字が出てきます。
他方、ベンチャー企業という前提の統計も別にあって、こちらでは1年後の生存率が40％、5年後は15％、10年後は6％、20年後になるとわずか0.3％に過ぎないと言われており、かなり厳しい現実があることを物語っています。
ベーカリーがベンチャー企業に該当するかどうかは良く分かりませんが、ベンチャー企業の定義を調べてみると、「独自のアイデアや技術で新しいサービスやビジネスに挑戦している企業のこと」ということらしいので、同じベーカリーでもチャレンジングなものはベンチャーに位置付けられるのかもしれませんね。
いずれにせよ、当店は、間もなく20年をクリアするのは確実なので、大したものだと思います。

当店の場所は、札幌駅の北口側になります。
札幌駅は、南口側の方が圧倒的に栄えており、北口側は同じ札幌駅？と思えるほどうら寂しい感じです。
必然、人通りも少ないので、立地条件的にはハンディを背負っているかもしれませんね。
ただ、ベーカリーの場合、一度評判になれば、あまり周辺の環境とは無関係ではないかというのが、これまでの経験から学んでおり、そうだとすれば、地価、家賃は安いにこしたことはないわけですから、むしろポジティブに評価すべき点なのかもしれませんね。

この日は12時を回った時間帯の訪店になりました。
店内は、お店の中央にある平台と入って左手の壁際にある2段棚にパンが並べられています。

パンの種類は20種類程度と少なめで、クロワッサン系とリュスティック系、デニッシュ系の3系統に大別されます。
お値段は、ノーマルクロワッサンが@250円、アレンジクロワッサンだと@300円台、5種類のリュスティックが@270円、デニッシュは@200円台後半〜@300円台とやはり普段使いにはやや厳しい高めの設定となっています。

この時間帯だと一部のデニッシュに売り切れのものがありましたが、まだ商品はたっぷり残っている感じでした。
本当は3つのカテゴリーから1点ずつ買いたいところだっのですが、東京まで飛行機で持ち帰ることを考えると、クロワッサンは崩れてしまう懸念もあったので断念し、結局、以下2点の購入となりました。
・リュスティック サラミ@270円
・マロンデニッシュ@320円
合計590円

決して安くはありませんが、こだわりパンのお値段として見れば、まあ納得の範囲内かと思います。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

リュスティック サラミは、レンジで20秒チンした後、600Ｗのオーブンで3分間加熱し、900Ｗで1分間仕上げ焼きしてマーガリンをつけていただきました。
リュスティックですので、加水率が高く成型しずらいため形がいびつですが、モチモチ生地のパンで、その中にたっぷりのクラッシュされたサラミが入っています。
サラミのスパイシーな風味がパン全体に広がり、小麦の風味とも相まって絶妙な味わいです。
当店がリュスティックにこだわる理由が良く分かる絶品のパンでしたね。
リュスティックは、サラミの他にフィグ・ノア、あんず＆クリームチーズ、さつまいも、ノア・フロマージュが置かれていましたが、他の種類も間違いなく美味しいだろうと確信が持てました。

マロンデニッシュは、大型のデニッシュですが、中央に渋皮付きの栗が1個丸ごと入っています。
その周りにたっぷりのマロンクリームが塗られ、更にその外側をカリッと焼かれたデニッシュ生地が包んでいます。
なかなかこれだけ素材が贅沢に使われたデニッシュは見たことがありませんね。
味の方も栗の香りが全体に広がって文句ないもので、これなら＠320円というお値段も不当に高いとは思えません。

全体にパンは、お値段相応のクオリティを十分に感じることが出来ました。
今回の札幌小旅行はうどんEAST百名店の攻略が主目的だったのですが、パンについても、前日のブーランジェリーコロンに次いで当店と、札幌のパンEAST百名店2店を訪問することが出来ました。
その2店、いずれもパンのレベルは高かったのですが、流行の先端を追い求めるコロンと、愚直に素材を贅沢に使ったパンを作っている当店というような好対照な感じも受けました。
個人的には、当店の方により強いシンパシーを感じますね。