市の外れながら、最も中心近くにいる？ : 山創

ご多分にもれず広島市も周辺市町村と合併したようで、北部や西部は勿論、東部の安芸区も

〝えっ！ ここが広島市内なの？〟

という、たいへん失礼ながら見る限りの僻地でも市内だったりします。

そんな正にギリギリ広島市内の片田舎にあるのが同店『山創』さんで、お隣の東広島市八本松方面へ抜ける戸坂峠の手前、阿戸という地区にあります。

お店はコンテナで、専用駐車場はお隣『GALAXy』さんと共同ですが、対面に『お食事処 峠』さんの第２Ｐがありますので、そちらには駐めないようにしましょう。

で、玄関口も専用Ｐ側ではなく反対側で、前者だと厨房なんで見りゃ分かるとは思うんですが（でも、開けちゃう人、たまにいるらしい）、それよりも気をつけてほしいのは、そこのテント屋根の下に名簿があり、待ちがないのを確認しないと、玄関を開けても入店できないことです。。

ワタシなどそのテント屋根の下で３人お仲間みたいな方々が喫煙してたから

〝あっ、食べ終わったんだなあ〟

くらいに思い、玄関を開けると、空席が２つ３つあり、何も言われないんで徐に腰掛けようとしたら、

「あっ、すいません。まだ待たれてる方がいらっしゃいますので、テントのとこの名簿にお名前を書いて、お待ちください」

と、厨房からモソっと現れた若き女性従業員さんに座るのを制されました。

「あっ？ はあ、すいません」

思わずワタシはそう謝罪したものの、一見さんなんで、そんな同店の待ち方なぞ知る術もないけど、すごすご退散し、テントの場所へ踵を返しました。

で、そんな貼り紙は確かにありましたが、目立った場所に待ち方の記載は、当時ワタシが見る限りではありませんでした。

そして名簿を見るなり、驚いたのは、前述した喫煙組以外にも待ちの名前が２つある。。。

そのままワタシが待つと、駐まってる車の中から一人出てこられましたが、あと一つの名前の２人組は、どうやらどこかの車内で待ってるご様子。。

なるほど寒い時期だし、もし先の女性従業員さんが出てこられて声が聞こえなくても、見える場所にさえ居れば、なんとなく動作で自分たちなのか否か分かりそうなもの。。。

かといって辺りを見回すに、いったいどの車にいらっしゃるのか、最後まで分かりませんでしたし、そのとき前出の車から出てきたお独り様が呼ばれ、その次は喫煙３人組と姿なき２人組、むろん前者に断りを入れ、女性従業員さんが後者の名前を呼ばれましたが、呼べども呼べども一向に見えなかったので、なんと２組差し置いてワタシが先に通されることになっちゃいました。

周りからは寂しく見えるでしょうが、こういうとき、お独り様っていいですよね？

「先程は失礼しました」

玄関までの僅かな間、その女性従業員さんが前述した件なんでしょう、そう軽く頭を下げられました。

「いえいえ、そんな」

別段、謝られる筋合いでもないから、そうしてワタシもパタパタ手を振り、エラく恐縮してみせましたが、というのも、他のレビュアーさんの投稿にもあるようにその女性従業員さん、美人さんだったからです。

こういうとき、美人さんっていいですよね？

といっても、どうやら従業員さんではなく、残念ながら同店のご主人の奥様のようです。。

入店すると、店内はカウンター10席強のみの、やはりコンテナらしい簡易的な小スペース。。。

まず驚いたのは、メニューを見ながら口にしたお冷の美味しさ。。

場所柄、水に恵まれてることは想像に難くないんですけど、まあ、この水で作られてるってだけで、これから出てくるラーメンも期待できそう。。。

『中華そば 600円』

さりとて一見さんだから、まずは無難にデフォを注文すると、

「にんにくは大丈夫ですか？」

とニコやかに奥様から訊かれました。

「ええ、大好きです。ドサっと入れてください」

相手が美人さんだと、つい要らんことまで口走っちゃうのが悪い癖。。

それで美人さんが微笑もうものなら、営業スマイルだろうに心の中でガッツポーズをする丸バカなワタシ。。。

オープン・キッチンというか遮るものがない厨房だから、作業状況も丸見えなんですが、とにかくご主人は調理に集中されており、だから先程ワタシが来たときも気づかず、奥様が客扱いをされてるようですけど、ふと見るに、洗い物が溜まると、それを抱えて裏口から出られ、お隣の『GALAXy』さんに入っていかれました。

つまり、そちらで溜めて洗ってるか、洗い専門の方が他にいらっしゃるのか定かではありませんが、だからワタシが先に入店したとき奥様がいなかったんじゃないかと想像します。

やがて提供されたのは、写真のようにネギが割と多め、にんにくが乗った、いかにもワタシ好みの見た目。。

ですが、まずはスープを一口。。。

〝うわーっ！ 美味〜い〟

瞬時に伝わってくる豚骨醤油のコクと微妙な甘さ。。

まさに広島ラーメンなんですが、その長所という長所が全て詰まってるような気がするほど。。。

揺蕩うような口当たりのやわらかさがあり、喉もとから先は逆にグっとくる力強さに満ち満ちている。

それに麺がワタシ好みの若干カタで、他のレビュアーさんによるとヤワなどという感想もありますが、どうもノビやすいようで、とかく早食いだからか個人的には最後まで美味しくいただけました。

しかもチャーシューはやわらか、ホロっとトロけ、意外に食べ応えもある。

ネギもシャキシャキ歯応えも愉しく、なんといっても、にんにくがガツンときてどんどん食欲が増し、気がつけばあっという間に完食完飲。。

〝ここまで美味いったぁ参ったなあ〟

何が参ったのかよく分かりませんが、そう感じたのは憶えています。

他のレビュアーさんのどなたかが広島Ｎｏ.１ラーメンとおっしゃってましたけど、なるほどそうかも知れず、前述のように平日の片田舎に待ちを作り、並んでまで食べる価値のあるラーメンであることは否めません。

市の外れにありながら、広島ラーメンの最も中心近くにいるお店でしょう。


● 個人的 食べログ 評価点・・・4.6

※ 2019年10月以前、増税前の価格です