うどんらしさと廣島つけ麺らしさが同居してゐる「廣島つけうどん」（中辛、1,188圓）を頂きました : 太閤うどん 中町店

本日（令和4年6月3日、金曜日）、廣島市中區中町にあります「太閤うどん 中町店」さん（以下、「太閤うどん」さんと記します）にて、御晝を頂きました。

同店を利用するのは、昨年の11月以來、二囘目です。前囘は、季節のうどんである「雨後の月の酒粕を使つた倉橋産牡蠣のチャウダーうどん」（ミニごはん、パルミジャーノ附、1,408圓）を食しましたが、「チャウダーを用ゐたうどんと云ふ、いはゞ『變り種』のメニューを頂いた爲、うどん店として、同店の採點は控へ」ました。「次囘、たづねる事があれば、基本であるおつゆを用ゐた温かいうどんを頂きたいものです」とも書いてゐます。

が、今囘、同店をたづねたのは、季節のうどんの一つである、「廣島つけうどん」（1,188圓）が目當です。と云ふ訣で、前囘のレヴューに於ける結びどほりには行きませんでした。

12時40分ぐらゐに御店に到著すると、店内は4割ぐらゐの客入りです。私は一人ですので、カウンター席に著席します。メニューを見ますが、レギュラーメニューのみで、季節のうどんに就いてのメニューが見當りません。其處で「限定メニューはないのですか？」と御店の方に問うて見た處、季節のうどんに就いてのメニューを持つて來て頂けました。

「廣島つけうどん」他に就いて、私は御店のInstagramにて知りましたが、「廣島つけうどん」とは、要は、廣島つけ麺（冷麺）のうどん版と云ふ事です。と云ふ訣で、註文は「廣島つけうどん」ですが、辛さに就いては「中辛」にしました（他に「小辛」、「激辛」あり）。ランチタイムはうどんの大盛（1.5玉）は無料との事ですが、之でも、いちわう、ダイエット中ですので、大盛は止して置きました。

註文して12分で、「廣島つけうどん」が屆きます。左記、上述しましたメニューに就いて、詳しくは何時ものとほり、畫像を御覽下さい。「百聞は一見に如かず」と申しますから。

【うどん】

まづはうどんのみ食して見ます。畫像ではうどんは映つてゐませんが、廣島市では、まづ標準的か、やゝ太めのうどんです。やゝかために茹でられてをり、冷水で〆られてゐます。とても瑞々しくて、ツルリとした食感であり、靭やかで、腰があります。極めて微量な鹽の存在が、小麥本來の甘みを引出してゐるやうに感じます。うどんに拘りがある、專門店であるなと分ります。

【つけ汁】

昨日、「ラーメン屋 るっきー」さんに就いてのレヴューにて、私は、廣島つけ麺（冷麺）のつけ汁に就いて、以下のやうに記しました。「辛味のみならず、酸味や甘みをも用ゐた、まろやかでゐて重層的な味はひであるつけ汁を提供する御店もあれば、比較的、スッキリとした辛味主體の味はひであるつけ汁を提供する御店もあります」とです。「太閤うどん」さんに就いては、前者と後者とで、どちらであるかと云はれゝば、どちらかと云へば、前者でせう。

が、嚴密には異なります。「太閤うどん」さんのつけ汁は、恐らくではありますが、（西日本である）廣島市に於て、うどんに用ゐられてゐる出汁が、その土臺であると考へられます。然し、つけ麺ならぬ「つけうどん」のつけ汁ですから、おつゆとは異なり、濃厚さが必要だと思はれます。その邊、返しを用ゐるのは當然として、味淋を入れるなり、加糖を施す事によつて、甘みを加へて、「廣島つけうどん」ですから、唐辛子や辣油を用ゐる事によつて、辛味も加へられてゐる……と云ふ感じでせうか？　たゞし、「中辛」ですと、辛味は頗る抑制的で、うどんだしによる旨味と甘みとが、風味の主たる要素を占めてゐると云ふ印象です。酸味は全くと云つていゝ程、感じません。

このうどんとつけ汁とを食して見て、レギュラーメニューである温かいうどんのうどんとおつゆにも期待出來るのではないか、と推察されました。どうしても季節のうどんが魅力的である爲、レギュラーメニューを註文するに至らない儘でありますが……。

【具材】

具材は、自家製低温調理チャーシューが3枚、キャベツ、きうり、白ネギ、半熟玉子で、藥味としてレモンが添へられてゐます。後は、糸唐辛子が少々でせうか……？　自家製低温調理チャーシューは、未だ温かみが殘つてをり、赤身の旨味を邪魔しない程度の控へめな味附です。チャーシューと云ふよりも、まるでローストビーフを食べてゐるやうにさへ、思へて了ひます。之は美味しいです。白ネギのシャキシャキとした食感と適度な辛味と刺激性も心地好いです。半熟玉子は、半熟としては、やゝ火がとほり過ぎてゐるやうな感じではありますが、それでもとても美味しいです。

【總評】

今囘は、廣島つけ麺（冷麺）ならぬ、うどん專門店さんの「廣島つけうどん」を食しました。廣島つけ麺のテイストや在り方を踏襲しながらも、うどん專門店さんとしてのIdentityをも發揮されていらつしやり、とても美味しい「廣島つけうどん」を頂けました。

とまれ、御馳走樣でした。

本日（令和3年11月20日、土曜日）、廣島市中區中町にあります「太閤うどん 中町店」さん（以下、「太閤うどん」さんと記します）にて、御晝を頂きました。

最近、「食べログ」やFacebookに加へて、Instagramの利用も始めたのですが、そのInstagramに於ける「太閤うどん」さんの投稿を見て、興味深く思つたメニューがありました。

同店は、名前のとほり、うどんが賣りの御店のやうですが、「季節のうどん」と云ふメニューも提供されてゐるとの事です。今は3種類あるとの事ですが、その一つが「雨後の月の酒粕を使つた倉橋産牡蠣のチャウダーうどん」（ミニごはん、パルミジャーノ附、1,408圓）であり、畫像を見て、とても美味しさうに思ひました。

と云ふ訣で、上述しましたメニューを目當に、本日、御店に伺つた次第です。11時22分ぐらゐに御店に到著すると、先客は1、2名ぐらゐ、後の御客は多數です。私以外は、全員、老若を問はない女性ばかりです。うどん店と云へば、和風な内裝の御店が多いと云ふ印象ですが、同店はまるでカフェのやうな雰圍氣です。

上述しましたメニューを註文しますが、ランチタイムには大盛（1.5玉）が無料との事で、私が註文するメニューも、大盛が可能との事ですので、さうして貰ひます。註文して9分後に、うどん他が運ばれて來ます。メニューに就いて、詳しくは何時ものとほり、畫像を御覽下さい。「百聞は一見に如かず」と申しますから。

「チャウダー」と云はれゝば、多くの方々が直に思ひ附くのは、「クラムチャウダー」でせうね。「Chowder」とは、「貝・魚肉・鳥肉などを中心に、ベーコン・ジャガイモ・タマネギなどを煮込んだ濃厚なスープ。アメリカ獨特の料理」（「デジタル大辭泉」より）との事です。まあ、左記のやうに、態々、調べなくとも、クリーミーで濃厚なスープであるとは私も知つてはゐます。「クラムチャウダー」の「Clam」とは、「二枚貝」のチャウダーと云ふ訣ですね。

今囘は、メニュー名とほり、「牡蠣のチャウダー」をおつゆとして用ゐたうどんと云ふ事です。さうであれば、矢張り、クリーミーで濃厚な味はひをイメイジしてゐました。然し、チャウダー＝クリームとは一概には云へないやうです。Wikipediaには、以下のやうに記述されてゐます――。

「一口にチャウダーと言つても、移民元の國によつて具材や味附けが異な」り、「イギリス移民が多かつたボストン市などでは生クリームを多く使ひ（ニューイングランド風クラムチャウダー）、イタリア移民が多かつたマンハッタンなどではトマトをよく使ふ（マンハッタン風クラムチャウダー）」

――との事です（原文は略字新假名）。日本でよく飲まれるチャウダーとは、その多くがニューイングランド風と云ふ事ですね。今囘、「太閤うどん」さんで採用されてゐるチャウダーも同樣です。

と、私自身の爲の御勉強は以上にしまして、うどんを頂く迄は、濃厚なスープを想像してゐました。が、まづはスープのみを飲んで見ますと、豫想に反して、可也アッサリとした印象を受けます。普通、チャウダーと云へば、御肉ですとか、魚介ですとか、野菜ですとかの旨みや甘みを含んだ濃厚な味はひであると思ひ勝ちですが、恐らくは生クリームを主體とした、輕い感じがする味はひです。

旨み、野菜の甘み、鹽味、いづれも少し弱いのでは、と云ふのが第一印象ですが、全く旨みがない訣ではなく、具材である牡蠣や舞茸からも旨みは出てゐるものと感じられます。うどんは、もち／＼、しこ／＼とした太麺ですので、そのうどんの存在感に對抗する爲にも、スープの味はひには、もう少し強さが欲しいとも思ひます。が、メインとは別に、スープとしてチャウダーを食すのではなく、メインのうどんとしてチャウダーを食すばあひ、餘りスープの味はひが濃すぎると、途中で厭きが生ずる可能性もありませう。

また、うどんの食感や風味、具材の旨みを活かすのであれば、敢へて、チャウダーの味附を控へめにすると云ふ選擇もありだとは思ひます。同店の客層としては女性が多いやうにも思はれ、その點でも優しいスープが好まれるのかも知れません。が、私個人の好みとしましては、もう少しスープの味附にパンチを效かせて欲しい、と云ふのが本音です。

うどんは1.5玉の大盛でも、左程、多くは感じませんでした。ミニごはんを餘つたスープに、チーズ（パルミジャーノ）と共に投入して、〆のごはんとして食して欲しいとの事ですが、うどんが大盛で、〆のごはんを食べても、ヲッサンの私としては、腹八分どころか六分ぐらゐの感覺です。その點でも、同店は女性向きと云へるかも知れません。

書き忘れる處でしたが、酒粕に就いては、そのかをりを仄かに感じ取る事が出來たやうには思へます。

たゞ、今囘はチャウダーを用ゐたうどんと云ふ、いはゞ「變り種」のメニューを頂いた爲、うどん店として、同店の採點は控へたはうがいゝものと思はれます。次囘、たづねる事があれば、基本であるおつゆを用ゐた温かいうどんを頂きたいものです。

とまれ、御馳走樣でした。