桐一葉 うどんの湯気に 旅思ゆ : 甘楽PA（上り線）フードコート

本日は、「富岡市もみじ平運動公園陸上競技場」にて「富岡マスターズ陸上競技記録会」へ参加、その帰途、『高瀬食堂』〔群馬県富岡市下高瀬211〕にて、「富岡名物 ひれカツ丼」と銘打った「タレかつ丼」を戴いた。そこから流れるように、同じく「富岡 IC」近くの『極濃湯麺 シントミ』〔群馬県富岡市内匠253-1〕 で、「濃厚タンメン」「野菜増し」「麺大盛り」、「冷やしトマトもりタンメン」「唐揚げセット」を戴き、最後の締めとして、こちらを訪問してみたのであった。


『甘楽PA（上り線）スナックコーナー』
群馬県甘楽郡甘楽町天引向原2671 上信越自動車道甘楽PA上り
0274-74-6647


E18 上信越自動車道、長野方面となる 富岡IC の東 4.7km、東京・藤岡方面となる 吉井IC の西 4.2km にある『甘楽PA（パーキングエリア）』。将来的には、スマートインターチェンジが併設される予定であり、国土交通省より 2017.7.21〔平成29年〕付で新規事業化され、2022年度〔令和4年度〕までの供用開始を目指しているのだそうだ。起点となる 藤岡JCT からの距離は 15.4 km、住所は、群馬県甘楽郡甘楽町天引向原2671 となっている。


富岡製糸場をイメージし、赤レンガ調にデザインされた営業施設が、ちょっとお洒落な雰囲気を醸し出している『甘楽PA（パーキングエリア）』。富岡製糸場土産や上州、軽井沢土産をはじめ、地元農家直送の新鮮野菜も販売している PA となっている。

また、敷地内には、上信越自動車道建設に伴って発掘調査が行われた『神保下條古墳』の 復元 や、『下高瀬上之原遺跡』の「埴輪を焼いた窯」内に残されていた 1450年前 の「円筒埴輪」や、古墳出土の埴輪、4000年前 の縄文土器なども、多数復元されて展示されている。


日本全国の高速道路を安全・安心・快適・便利にご利用いただくためのサービスをさらに追及し、「休もっか」 「休もうよ」 と気軽に立ち寄れるような『いつものホッとがあるお店』をそのコンセプトに据えている「YASMOCCA」ブランド店が、今回訪問のスナックコーナーになる。
『NEXCO東日本』の SA・PA の直営店舗の運営を担当する『株式会社ネクスコ東日本リテイル』が、中・小規模の SA・PA の 56店舗 を「YASMOCCA（ヤスモッカ）」のブランド名で展開しているのだそうだ。

「YASMOCCA」Official Website〔URL : https://www.driveplaza.com/special/yasmocca/〕には、以下の記述で、その目指すべき姿が描出されている。

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YASMOCCA では、「美味しい」「リーズナブル」「スピーディー」「安全・安心」のお食事をご提供いたします。

「地域と季節が楽しめる」
各地自慢の食材を用い、そのSA・PAだけでしか食べられない「地域メニュー」や、その時期ならではの「季節メニュー」をご用意し、高速道路で毎日お食事されるお客さまにも飽きの来ないバラエティー豊かなお食事をご提供いたします。

「いつもの安心の味」
全てのYASMOCCAで特盛・大盛・普通盛をそれぞれメニューとして選べる「鶏唐揚定食」や「生姜焼定食」をご提供するほか、高速道路の定番メニューである、そば・うどん・カレーなども取り揃え「いつもの、安心の味」をご提供いたします。

これまで大規模なSA・PAにしかなかった給茶機を設置し、温かいお茶のサービスを提供いたします。

「『いまだけ』『ここだけ』『便利さ』『安全・安心』のお土産等をご提供いたします。」
そのSA・PAならではの、「地域のスター商品」を販売し、地域の魅力を発信する売り場を展開いたします。ドライブ中のお客さまにお使いいただけるよう、生活必需品・日用雑貨品等をいっそう充実いたします。
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こちら『甘楽PA（上り線）スナックコーナー』提供メニューの中、人気 第1位 は「もつ煮定食」780円（税込）で、中辛に仕上げられた食べ易い味わいの品なのだそうだ。『ショッピングコーナー』お土産品人気 第1位「とんもつ煮」710円（税込）と同じ物を使用し、不動の人気を誇っていると言う。第2位 の「舞茸天そば」630円（税込）、第3位 の「上州麦豚塩野菜炒め定食」730円（税込）の人気も高いそうなので、次回再訪時は、これらの中から何かしら戴いてみようかと考えている。
『ショッピングコーナー』人気 第2位 の「富岡スイートポテト(４個入)」1,166円（税込）も、甘楽 PA 限定販売商品 なのだそうで、ほんのり香ばしく、なめらかな舌触りの逸品とのことである。こちらにお寄りの際は、お土産品として是非ともご検討戴きたい品と言えよう。


さて、いつもの能書きはこのくらいにしておこう。

当日の現着は 14:35、『極濃湯麺 シントミ』を退店したのが 13:40 で、撮影写真の整理などしてから上信越自動車道に乗ったのだが、それ以前の喫食から 1時間 足らず経過した時間だ。小腹が空いたというわけでもないのだが、ここで「旅」気分を味わいたくなったことで、今回こうして、こちらを訪問した次第である。

まあ、今回戴いた品は、何でもない「かけうどん」なので、特筆事項も特にないところだが、軽くレビューをしつつ、私と「旅」と「うどん」の関係をここに記してみたい。と言うか、今回のこのレビュー、実際、随想のような内容になってしまったのであった。


「かけうどん」340円（税込）


冒頭、標題として掲げたこの一句。

「桐一葉 うどんの湯気に 旅思ゆ」

これはその昔、30代前半であったろうか、関西方面への修学旅行の引率で、その最終日に、ふっと頭に浮かんだ句である。「桐一葉（きりひとは）」は初秋の季語で、本日はその季節に当たらないのだが、当時の勤務校は「群馬県立桐生南高等学校」であったし、季節は秋、ゆっくり、はらりはらりと落葉する 1枚 の桐の葉に、思いを重ねた句でもある。

私は、個人的な趣味として、旅先では何故か「かけうどん」を食べたくなる。それぞれの地で戴く「かけうどん」を啜りながら、「非日常」を堪能すると言うか、「旅」にあって「日常」から乖離した自由な自分自身を、「うどん」を啜る行為に見出せるような気がしているのだ。

「旅」は好い。「日常」から我が身を解放し、その浮揚感とともに、置き去りにしてきた「日常」を鳥瞰させてくれるのである。追い込まれた「日常」によって、切羽詰まった自分自身も、その全てを高みから眺めれば、ちっぽけな自分自身の存在や、悩み自体の卑小さに目が向くため、ふっと肩の力が抜ける契機となる。そんな視点で改めて自身を内省すれば、そこには新たな観点、新しい方向性が自ずと芽生えてくるものだ。
人が空に憧れ、鳥に夢を馳せるのも、そんなことに由来しているのかも知れない。

そうして、そんな思いを如実に感じさせてくれ、改めて体感させてくれるきっけとなるのが、この、旅先での「かけうどん」なのだ。

桐の葉の落葉による、一瞬の時間停止、、、はらりはらりと舞うその様には、時間を切り取る効果があるようだ。そうして、眼前には一杯の「かけうどん」があり、それを立ち上る湯気とともに啜る。それを契機に、我が身はあたかも鳥の羽根を得たかのようで、我が心は高々と上空へと舞い上がる。
「我は旅にあり」、その意識が「日常」のわだかまりを消し去り、我が心は解放される。その上で、自身の位置付けを上空から垣間見ることで、その存在を斯くとその目に映すことが可能となる。位置付けを得、その所在を認識した自身は、足場を得ることで、未来への活力を漲らせることになるのである。

うどんの湯気が「我は旅にあり」と言う「非日常」感覚を、自然と沸き起こるように思わせる。「旅」にあって、「日常」を俯瞰する浮揚感を、うどんの湯気が招来し、そこに想いを馳せる瞬間に、自らは、ふっと極く自然に「日常」から解放される。
「思ゆ」とは、もちろん「おぼゆ」と読む。元は「おもはゆ」〔ハ行四段活用の動詞「思ふ」未然形 + 自発の助動詞「ゆ」〕であり、「自然とそう思われる」が原義だ。

旅先で食す「うどん」から立ち上る湯気は、「日常」から解放された自身の存在をふっと自然に気づかせる。それだけに、鯱鉾張らずに、自然体でそれを素で受け入れることを可能にする。


そんな味がした。と言ったら大袈裟であろうか。。。

何の変哲もない、機械打ち角刃麺の上州のうどんであるが、そのエッジの弱さ、コシのなさ、この不出来な様が、ある種、余計に私の旅感を演出してくれた。
肩肘張らずに、馴染みの味わいを異世界で堪能する感覚、それが好い。まあ、「非日常」の中の「日常」とでも言えば良かろうか。。。

飛び抜けて美味い必要はない。普通の味わいであればいい。

この「かけうどん」、そこそこに美味であるとは思う。但し、特筆してここが美味い！ と言うほどの特長があるわけでもなく、立ち食いうどんとして合格点、「よろし」のレベルにあると言う程度の品である。が、それでいい、それで充分なのだ。

旅先で食す「かけうどん」、その環境さえあれ良い。その味わいは、自身の位置付けを知らしむる。
それがアイテムとしての「かけうどん」であるのは、私独自のもので、余人には伝わらない感覚かも知れない。が、私にとっては、それが「かけうどん」なのだ。

「非日常」にあって「日常」に触れ、その「日常」が「非日常」を如実に招来する。

「旅」とは、うどんの味わいですら「日常」から解放するのだろう。

ううむ、何とも実に美味しうござった。


さて、今回の実測値は、

「かけうどん」340円（税込）
総重量（実測値）607g
うち麺・具材重量 314g
うちスープ重量（麺・具材等完食後）293g
器サイズ
直径 17.5cm、高さ 9cm、器重量 573g

完食時間 : 計測せず

訪問日 : 2019.7.7（日）


今回は、「旅」と称するには、距離的にも時間的にも、短く儚いものだった。が、今現在、自らの置かれた現状の一つ、左股関節の不具合は、実は手に負えないレベルの内容で、医者からは先々のことも言われている。今のところは耐えられない痛みではないが、この先に待ち構える「日常」は厳しいものが予測されるのだ。そんな自身を鳥瞰する機会に、今回の富岡遠征がなったのであり、その意味に於いて、ある種、「旅」だったとも言える。そうして「かけうどん」を食し、お蔭でまあ、前へ進む活力は得た。。。
今後は「細く、少しでも長く」そんなマスターズ陸上競技との付き合い方が望ましいようだ。