フレンチ系・鴨ガラのスープは淡麗派をうならせる実力あり！ : 支那そば　まるこう

＜はじめに＞
日本縦断シリーズの途中でありましたが、最近頂いて特にインパクトの有った、関東出張の際のお店をいくつかご紹介します。
レビューをかなりスキップしてまでも書きたかったのが、こちらの群馬県は高崎市のまるこうさん。こちらのお店は、今でこそ食べログの順位が少し下がったものの、群馬県を代表するラーメン屋さんとして、メディアや口コミでもよく耳にしているお店で、特に端麗派にマッチするものと、知り合いのレビュアさんからも推薦を受けます。お伺いした日は、台風の影響でJRのダイヤが乱れ、大変でありましたが、何とか無事に到着いたします。
有名店ということもあり、かなりの混雑を予想していたものの、着いてみると客は私１人のみ。台風で雨がすごかったことと、営業時間の終わりギリギリを狙ったこともあり、待ち時間無しで、オーダーすることができました。
お店の方にお勧めをお伺いすると、ここは定番の支那そばを勧められます。それでは、お勧めの支那そばをオーダーして、出てくるのを待ちます。

＜支那そば＞
待ち時間ゼロということもあり、程なく支那そばが出て参ります。これは美しいルックスでありますね。
まずは、スープをいただきます。
「えっ・・・・」
これは、今まで食べたことが無い、かなりオリジナリティーあふれるテイストであります。
端麗派の私でも、かなり端麗と思えるほどに、かなりのライトテイストであり、ラーメンのスープというよりも、むしろフレンチスープの域にあります。
というのも、こちらのお店のオーナーさんは、もともとフレンチシェフであり、スープや麺を含めて、あらゆるところにフレンチの手法が用いられております。そして、極めつけは、スープに鶏ガラならぬ、「鴨」ガラを使用されているという点であります。
以前、知り合いから骨付きの雉をもらったことがあり、それを用いて、雉ガララーメンを作ってもらったことはありましたが、鴨ガラから作るスープは初めてでありますね。鶏ガラよりも、かなりマイルドで優しい味わい、それに野菜も結構煮込まれているために、全体的に甘目なテイストに仕上がっております。
最近、飛騨地方に住んでいることもあり、高山ラーメンなど、少ししょっぱ目のラーメンを頂く機会が多いせいか、こちらの支那そば、最初は少し端麗過ぎるかな？とも思いましたが、食べ進めていくと、これが何とも丁度いい端麗レベルに。これは、スープまで飲み干してしまうレベルですね。

そして、すごいのは、デフォルトで白トリュフオイルが付いてくるということ。トリュフオイルはイタリアンやフレンチでは、高級食材として良く使用されていますが、ラーメンで出てきたのは、初めてみました！！！どちらかというと、イタリアンが白トリュフ、フレンチが黒トリュフといったイメージが強いですが、ここはより香の強い白を使用されているようですね。
この白トリュフオイルを入れるとスープの味が１８０度くらい変わるくらいに、すさまじい香りと旨味を持っています。正直、このトリュフオイルが付いて、８００円というのは、安すぎます。関西などでも、たまにフレンチラーメンなるものを頂きますが、ここまで素材にこだわっていなくても、普通に１０００円近くしていますので、鴨ガラに白トリュフオイルが付いて８００円というのは、本当にお値打ちだと思われます。
デフォルトのスープが端麗過ぎると感じられる方は、是非こちらの白トリュフオイルを入れてみて欲しいですね。味にアクセントが出て、より食べやすくなると思います。ただ、個人的に少し残念だったのは、メンマをあえる際に用いられているごま油の風味が強く、ソフトで繊細なスープにかなりの影響力を及ぼしている点であります。もちろん、ごま油の風味も織り込み済みかもしれませんが、個人的には、少し強すぎるかな～と感じました。
このごま油のレベルが低ければ、総合評価も４．８くらいになっていたかもしれません（笑）。

最後に、スープも美味しいですが、熟成した鴨肉チャーシューと麺も、かなり高いレベルでありました。フレンチの一流レストランで用いられる、真空タイプのパーシャル冷蔵により、凍らせず、低温でじっくり熟成させることができ、基本麺や鴨肉、それにスープまでもが、数日間かけてじっくり寝かせます。
この冷蔵庫、かなり高額なもので、ラーメン屋さんで使っておられるのは、初めてみました。特に麺は全粒粉を使った細麺なのですが、この熟成技術によって、細いが伸びにくく、しなやかで、かつコシのある絶妙な麺に仕上がっておりました。スープとの相性も抜群でありますね～。

＜白湯そば（鴨ガラ）＞
鴨ガラを使用した支那そばがあまりにレベルが高く、おいしかったので、夜の仕事のお付き合いが控えているものの、つい二番人気の白湯そばもオーダーしてみることに。こちらは、子供サイズ？にして下さり、お腹にやさしい仕様となりました。
こちらも、支那そばがと同じく、鴨ガラのスープなのですが、一般的な白湯スープとは、かなり異なった方向性だと思います。本当に優しい味付けで、パンチは無いものの、包み込まれるようなまろやかで、ソフトなテイストは、食べれば食べるほどに、スープの持つ深みにはまっていくようであります。
個人的には、白トリュフオイルが付いていなければ、こちらの白湯の方がよりおすすめだろうか・・・。白湯の方はラー油の方がマッチするとのことでありましたが、私はかけずに頂きました。結局スープまで飲み干しましたが、ラーメンのスープを飲み干した時の後味とは比べ物にならないくらい、後味が良かったです。

＜総括＞
少し長いレビューになってしまいましたが、ここの味は今でもはっきり覚えているくらいで、マイルドでソフトだが、しっかりとしたテイストを持っており、味わい深さという意味では、近年稀にみる出来の高い一杯に出会った気分であります。
フレンチシェフが試行錯誤の上に、熟成技術を駆使して出来上がった、麺、カモ肉チャーシュー、それにスープ。時間をかけるのを惜しまず、コストもかなりかかっているスープの数々。それを、この値段で提供できるのは、ある意味素晴らしいの一言であります。
こってり系の方や、二郎系の方からすると、あっさりし過ぎているという評価も出るかもしれませんが、私のような端麗派の人間には、聖地とも言えるくらいにインパクトの強い一杯でありました。女性客に人気があるのもうなづけるところであります。

フレンチシェフが提供する、究極の鴨ガララーメンを是非食べて頂きたいものであります。
本当に美味しかったです！！