更なる高みへ : 天ぷら もっこす

更に軽やかに、益々洗練されたもっこすさんの天ぷら。

久しぶりに味わう冬の名物「ほうれん草の根の天ぷら」は、以前よりサイズアップして甘みが増している。
小振りの方が土の香りは豊かだが、根菜らしいホクホクした食感が楽しめる今の天ぷらもまた魅力的。

全国からお客さんが訪れる、群馬が誇る天ぷらの名店です❗️

進化と改革を重ね、唯一無二の境地へ。

天ぷらもっこすの進化が止まらない。
元々研究熱心な店主であったが、ここ1〜2年の進化は目を見張るばかり。
名店や生産者巡りで得た知識や経験を借り物の技術ではなく、
独自の解釈と表現で天ぷらの新時代を切り開いている。

ルッコラの天ぷらはえぐみもなく、甘みとわずかな苦味が映える一品。
花ズッキーニの天ぷらなど従来の天ぷらには無かった種も果敢に取り入れながら、奇をてらったイノベーティブではなく王道の天ぷらにしてしまうのが見事。
フリットとは別の魅力を表現した、西洋野菜天ぷらとして確立している。

村上商店の一番セリを使った雲丹の天ぷらは、海苔の上に潰した舎利の天ぷらと生雲丹を乗せたもの。
ミョウバン不使用の生雲丹の甘みと、揚げた舎利の酸味と香ばしさ、海苔の香りの一体感が味わえる逸品。

二品目の雲丹は変化球で、ダルクオーレの鈴木シェフと共同で考案したイタリアン天ぷら。
裏ごししたインカのめざにパルミジャーノレッジャーノを混ぜて揚げ、乗せた生雲丹に細かく挽いたコーヒーをかけた一品。
雲丹の甘みとコーヒーの香りが意外に相性が良く、揚げたパルミジャーノの香ばしさも重なって味わい深い。
このような創造性に富んだ創作料理も一品に留め、天ぷら本来の料理構成を逸脱しないところも好感が持てる。

毛蟹の天ぷらは蟹の身を海苔で巻き、レアに揚げた後に蟹味噌を乗せたもの。
絶妙に火入れされた身の甘さと、蟹味噌の風味がたまらない。

さつまいもは一度蒸して糖化させた後、2日天日乾しして旨味を濃縮させてから揚げたもの。
完全糖化の甘みと、高温揚げの焼き芋のような香ばしさを両立させた唯一無二の仕事。

天ぷら愛好家の間で、「天ぷら もっこすはもう行かれましたか？」が挨拶がわりになる日もそう遠くないように思える。
名古屋や静岡に続いて、次の新世代天ぷらの雄は高崎にあり。

年の瀬に、久しぶりに地元の天ぷらの名店を訪問。
約一年ぶりの訪問であったが、その進化と改革に驚嘆。

天ぷらもっこすの天ぷらは、キツネ色でごま油の香る江戸前天ぷらがベースであった。
ごま油の香ばしさは食欲を誘うが、食べ過ぎると胃もたれし易く食後感が悪くなる。

現在のもっこすの天ぷらは、ごま油の香りを押さえて軽さの極致を目指した天ぷらへと変貌を遂げた。
これは店主と交流のある、稀代の天ぷら名人 新留修司氏（名古屋市 にい留）の天ぷらに薫陶を受けたものと思われる。
衣の香りを抑え、最大限タネ（具材）の風味を感じられる玄人好みの天ぷらである。

今後も天ぷらもっこすから目が離せない。

（2016.11）再訪

もっこすさんの10周年記念特別イベントに参加。
当初４日間限定のイベントであったが瞬く間に予約が埋まり、１日追加され5日間の特別メニューイベントが開催された。
県内のみならず県外からもファンや料理人など多くの方が集まり、賑やかで楽しいイベントとなった。

（お料理）
⚪️先付：穴子の天ぷら、ふろふき蕪、田楽味噌
⚪️真鯛と金目鯛の炙り、馬刺しのサラダ
⚪️車海老
⚪️茨城 霞ヶ浦産 宮本三兄弟の新蓮根
⚪️雪嶺茸
⚪️キス酒粕漬け
⚪️墨烏賊：柚子塩と8年熟成の塩辛
⚪️カワハギの肝のせ
⚪️秋刀魚の燻製
⚪️雲丹の軍艦巻：赤酢のシャリの軍艦巻きを天婦羅にしたもの。
⚪️もち豚
⚪️ホッキ貝
⚪️お椀
⚪️抹茶のデザート

記念メニューということもあり、新作の目白押し。
決して奇をてらった品ではなく、しっかり手をかけて作り込まれていて完成度が高い。
今回も圧巻のお料理と、抜群のコストパフォーマンス。


（2016.8）再訪

この日は久々に、天婦羅の名店もっこすへ。
幸いタイミング良く、前日予約で席を確保。

常に研究熱心な店主 山口氏。
休日は足繁く都内の料理店や試飲会に足を運び、その進化は留まることを知らない。

（お料理）
・先付
　佐渡産 岩もずく
　胡桃餅
　那須の揚げ浸し 雲丹と茗荷味噌

・お造り
　真鯛
　真鯛昆布締め
　金目鯛炙り
　アオリイカ
　熊本産 馬刺し（赤身、たてがみ）
　
・車海老✖️２
　：火入具合を変えて揚げてあり、その違いを楽しむ。
　　最初はレア状態で、ジューシーな海老の香りと旨味を堪能。
　　次はミディアム。衣のサクサクと、海老のプリプリした食感が魅力。

・オクラ

・甘鯛 燻製オイルと岩塩
　：鱗ごと揚げた甘鯛は、鱗揚げならではの食感が魅力。
　　燻製オイルとの相性は、少し好みが分かれそう。

・茨城 霞ヶ浦産 宮本三兄弟の新蓮根

・真鯛 西京味噌ソースと茗荷
　：こちらも初体験。斬新な一品。
　
・茶碗蒸し　鼈甲餡かけ
　：開店直前に引いた鰹出汁を使った鼈甲餡。
　　鰹出汁と山葵の風味がしっかりしていて美味。
　
・とうもろこし

・豚ロース 黒胡椒と塩、京都産 黒七味とおろしポン酢

・蒸鮑 酢橘塩、肝醤油

・茗荷

・十全茄子

・天茶漬け

・デザート
　トウモロコシのアイス、カボチャのプリン ブルーチーズのせ、シフォンケーキ ブルーベリーソース

（日本酒）
・山形正宗　辛口純米（山形　水戸部酒造）
・寫楽　純米吟醸 愛山（福島　宮泉銘醸）
・鶴齢　純米酒　山田錦65％ 無濾過生原酒（新潟　青木酒造）
・五人娘　自然酒 純米（千葉　寺田本家）
・王禄　純米大吟醸（島根　王禄酒造）

旨い天婦羅と日本酒をこれだけ満喫して、この日の支払いは１万円台前半。
地方の名店ならではの恩恵を、存分に享受した一夜であった。


（2015.12）初投稿
群馬を代表するお店は？と聞かれた時に、必ず脳裏をよぎるのは高崎市にある天ぷらの名店「もっこす」である。
以前は倉賀野町で多くの天ぷらファンを楽しませていたが、現在は大類町の高崎健康福祉大学短期大学部前に移転している。
倉賀野時代からこのお店のファンであるが、師走の夜に久しぶりの再訪問。

唐墨の炙り・真鱈の白子・お造り（平目・金目の炙り・馬刺し etc）などをつまみに、夜明け前（小野酒造）を楽しむ。
日本酒や焼酎共に品揃え豊富。個性豊かなお酒が楽しめる。

（天ぷら）
・車海老：本日は多忙のせいか、普段よりやや火入れが過ぎた感がある。
・下仁田ネギ：ネギの甘みが引き出されている。
・蓮根：サクサクと食感を楽しむ
・かき：燻製したごま油をかけて食す。
・からすみ
・真鱈白子：口のなかで蕩ける。やや黒胡椒が強いか。
・香箱蟹：本日一番のお気に入り。
　　　　　天ぷらにすることで、香箱蟹の旨味・香りを引き立たせ美味。
　　　　　蟹酢は甲羅に日本酒を注ぎ、蟹みそと混ぜて作ったもの。これがまた絶品！
・寒ブリ
・ウニの磯辺揚げ　　　　　
・穴子：目前で捌かれた活穴子は「めそっこ」と呼ばれる小降りな物で臭みが無い。
・ハゼ
・しいたけ
・かきあげ：桜エビの香り楽しみながら、出汁をかけて天茶でいただく。

「もっこす」とは熊本の方言で「頑固者」の意味があり、熊本生まれの店主の天ぷらへのこだわりが至る所に感じられる。
澄んだ黄金色の太白胡麻油で揚げられたこだわりのネタは旨味が恐縮され、衣はサクサクで香ばしい。
本物の味を提供したいと飲料水や料理に藤岡の名水を使用し、天つゆ、ドレッシング、マヨネーズ等全て手作りの無化学調味料と徹底している。