奥会津の桃源郷 : 宮下温泉 栄光舘

【理想の温泉宿の条件】
①良い湯が豊富に無塩素で掛け流されていること（源泉湧出量の制約から掛け流しが、或いは条例で塩素なしが難しいケースがあるのはやむを得ない）
②部屋数が多すぎないこと
③近くにスキー場がないこと（スキー場近くでもオフシーズンは可）
④良い風景に囲まれていること
⑤酒飯が美味しいこと（決して豪奢である必要はない）
⑥往復の電車・バスなど公共交通手段に旅愁が感ぜられること。

管見の限り宮下温泉栄光舘さんはその全てを満足する有難いお宿である。

1月の雪の降らぬ日に訪問。2022年に全線運転再開した只見線の会津宮下駅から残雪やアーチ橋を眺めつつ歩いてチェックイン。冷涼な山林の香が漂う。日記によると、まだ私が20代の前半の若者であった2009年より今回で6回目の宿泊である。

まずは懐かしい笹濁りの、やや熱めでさっぱりとした塩化物・炭酸水素塩泉に浸かる。湯上りに眺望素晴らしい部屋で大谷川の流れを眼下に吉村昭『ポーツマスの旗』を読了。

17:30から再度湯に。腹を空かせ、夕食。まずは一番絞り中瓶で喉を潤す。

会津の味＝滋味溢れる地鶏鍋や大蒜味噌で頂く馬刺が並ぶ。旨い！

続いて会津の地酒3種。若松の鶴の江酒造・永賓屋、喜多方の笹正宗酒造・ささまさむね、坂下の廣木酒造・泉川。

永賓屋は爽やか、ささまさむねは微発泡の鮮烈、泉川は豊潤と個性豊か。

〆に白飯と会津の武家の味・こづゆ。こづゆは濃いめの味わいで飯が進む。

早めに就寝し翌朝三度湯に。大きな窓から、谷間に朝靄が立ち込め、冷たい雨が裸の木々を濡らす様子が窺える。

朝食に飯2杯を平らげ、最後に四度目の風呂に。

お世話になりました。これまた日記によれば前回訪ねたのはまだ平成の頃の盛夏、担当した法案が通常国会で成立せずも秋の臨時国会でうまく運ぶ目処がたった頃合いに2泊とある。その際は昼は蝉、夜には山間に早くも現れた蟋蟀や松虫の音を聞き寛いだようだ。今回もまた心身共に癒された。

数十年先、私が仕事を引退し、経済状態と生活環境と健康が許すのであれば、季節に応じて宮下温泉栄光舘さん、貝掛温泉さん、白骨温泉湯川荘さん、手白澤温泉さん、奥湯河原の加満田さんを毎年めぐりたいものだ。

4月の週末、一人只見線沿線の宮下温泉に旅に出ることにしました。奥会津の地は今がまさに桜のピーク。
山肌に、川沿いに花が咲き乱れ、心洗われるほど美しい風景が広がります。

今回旅に出ようと思い立ったのは出発の前日で突発的なものでした。プライベートでおもいっきり凹んでしまうような出来事があり、心の洗濯のためローカル線と良湯、美しい景色を求めて東京から4時間ほどかけ、三島町の宮下温泉へ。

宮下温泉は、やや熱めの炭酸水素塩泉で、サッパリした浴感が特徴です。
今宵のお宿は栄光舘さん。私のお気に入りの湯宿で、今回で3回目の宿泊になります。

私は温泉が大好きで、これまで48か所の温泉地に宿泊してきましたが、栄光舘さんは何度もリピートしたいと思える素敵な旅館です。

早めにチェックインし、まずは掛け流しのお湯を堪能。只見川支流を望む開放感抜群の浴場で、金気臭のするフレッシュな湯にじっくりと浸かります。風が吹き抜ける湯上り処で一休みした後に、川のせせらぎを耳にしながら昼寝。

夕食30分前に目覚め、再度湯に浸って、この後の麦酒へ向けてコンディションを調整。喉の渇きを覚える状態を作ります。

栄光舘さんのお料理は、豪華さはありませんが、地の物たっぷりで実に満足いくものです。宿泊料金を考えると、かなりCPはいいと思います。この日のメインは大蒜味噌で頂く会津坂下町の馬刺しと、地元三島町の地鶏の蒸し焼き。地鶏はブロイラーとは違って歯ごたえがあり、滋味深いです。その他、季節感あふれる山菜の天ぷらや筍の煮もの、湯葉のお刺身や胡麻豆腐など私の好物が並びます。
麦酒と、自家製の梅酒で程よく酔って、早めに床へ。

ホーホケキョという鶯の声で、朝6時に目覚め。朝の澄んだ空気を肺に充満させ、三度風呂へ。じっくり汗を流してお腹を空かせて朝食にそなえます。少し濃いめの味噌汁に、こごみのお浸し、蕗味噌を添えた豆腐が特に旨いです。思わずお櫃のご飯を完食してしまいました。

食後はチェックアウト前最後の風呂へ。素晴らしいお湯へ一礼し、宿を発つことに。

今回ものんびり過ごして、大変に癒される旅となりました。お世話になりました。また今度、季節を変えて伺いたいと思います。