たまには薄くて柔くても : 元祖赤のれん 節ちゃんラーメン 天神本店

平日の昼前博多駅近く。
たった今、今回の帰省の用件を終えたところ。

今年大学4年となる姪の就活の様子を聞き上から目線でこってりアドバイスをするのが目的だったが、思った以上にちゃんと周囲や自身を観察しており、かえってこちらが勉強になってしまった。

いやー、人が成長するのは早く、また無為に老いて行くのも早いものよの…

予定ではもうちょい早めに切り上げて今回の帰省の限られたランチタイムチャンスを堪能するつもりだったが、もうほぼ昼時と言っていい時間帯に突入している。

外は冷たい雨がシャバ降っているが、博多駅地下街から抜けて急ぎ足で一幸舎の博多本店へ向かうと、もう既にインバウンドらしき若者達が行列を作っている。
この天候で、しかもこんな何店舗もある店に行列とは、この人達の情報に踊らされ具合にはある意味頭が下がる。
まー自分だってその昔海外ではガイドブックに載ってる店しか怖くて入れなかったんだけど。てへ。

雨さえ降ってなければこのまま8マン(昭和…)走りで天神でも長浜でもすっ飛んで移動するのだが、先ほど姪の名調子(姪だけに…)に尻子玉を抜かれた格好の吾輩はそんなパワーも残ってなく、通りかかったタクシーで一気に天神西通りに向かった！

雨が降ると平日だろうが昼間だろうが博多の街は渋滞しがち。でも運転手さん達はよく抜け道を知っている。
と言う訳であっという間に我がフェイバリット博多食堂である赤のれん節ちゃんに到着。

残念ながら既に昼時真っ只中に突入しており、雨の店先には5組程の行列が。
但し店内はギチの満席ではなく、オペレーションの兼ね合いで入店をコントロールしている模様。

まあこれならばさほど待たすとも入れるかと、心底嫌な列の最後に並ぶが、後から後から行列は伸びていく。

幸い想像通り10分もかからず店内に案内となったが、どうも客の半分は観光客という感じ。
昼間から中年レディース6人で来てラーメンって、まあここなら可能って感じですけど、そう言う方向にアピールするお店じゃなかった気がするけどな…

カウンター席では近隣のリーマンさんぼい人々中心で、注文はラーメン+半チャーハンの平日限定Aランチか、更に餃子の付いたラーメン定食がマジョリティ。しかし常連らしきソロ客では中華定食系の注文も多い感じ。
しかし微妙に値上かっているとは言え、前者だと700円、後者でも780円というのは素晴らしいな…

そして程なくdropされた吾輩のA定食。
見た目は王道の博多源流ノスタルジーエクスタシーファンタジー。
だがね…今回ちょっと麺柔く、スープのパンチも弱かった。
麺は固め指定を忘れたせいでもあるけど、ここって元々そういう時があるのね。
それでもユルっとなりかけた細平麺は独特の美味さ。
スープは以前より油膜薄く、出汁・粘度だけでなく塩味も抑え目。これはこれでアリなんだけど、仕様が変わったもかも知れないですな。

それでラーメンが優しくなったせいか、チャーハンをサイドでガツガツ食べる感じではなくなったかな…妙にお腹が膨れてしまったが、次回はまた麺だけをじっくり攻めてみよう。

食べ終わるとまだ1時前。これから実家に戻って会社と繋いでリモート会議。慌ただしいが、こう言う方法ならもっとちょくちょくこっちに来れるな。

博多豚骨のルーツと言われる店であり、東京にも早くから暖簾分けなども含め進出している。さらにそこからの派生店も多い。経堂の英とその系列店はこちらとの関係は不明だが、先祖の血統を濃く継ぐ味わい。一方で地場の博多では近年になって支店がいくつか出来ているものの、あまり系統が増えず、この味といえばほぼここでしか食べられなかった。

そしてこちらは現店舗に移転後初の訪問。
土曜日の午後、時間は空けたが本日3軒目のラー修行。
ハンパな時間だがファミリー客、ソロ客、いろいろ一杯になっとる。

デフォルトでこうなのかは不明だが、オープンキッチンに沿ったカウンター席の後ろには巨大は扇風機。冷房の故障でなければキッチン換気などの基本設計に問題があったのではと思われるが、そういう個人店らしい風情がよいと言えなくもない。

お腹は程よく空いてきたところ。但し今晩は家族とイタリアンの予定につき、ラーメン並のみで。独特の平打ち細麺だが、普通茹でだと柔らか過ぎることが多く、固め指定だと今度は日◯カッ◯ヌードルのような食感になるような気がする。茹で加減の難しい麺だと思うが、ベストの時はこのマッタリ乳化プラス厚油膜スープにガッツリマッチする。
だが今日は、スープの出来は最高。なので正直麺はどうあれ既にもう満足している。

そしてここは、かなり強めに醤油味の元ダレを使用しており、更に具材に細目のメンマが入る。
これが、現在の博多豚骨では珍しいのだが、逆に東京エリア発祥のラーメン様式の影響が博多ラーメンの原型に残っているとすれば面白い。
このスープには合うが、長浜系や、一休、名代ラーメン亭などの現在の本流に近いオールドスタイルには合わない。雑な推測だが醤油風味から離れることでメンマとの親和性が低下していったのかも知れない。

先程の冷房不調のせいで長丁場の滞在は避けたいところだつたが、あっという間に食べ終わってしまった。かつてはここで東京戻り前名残ののラー食いをしていて、飛行機最終便に間に合わなかったこともある。今日はさっさと帰ろう〜！