連続百名店小説『MOSO de BOSO! 2』⑧たとえ どんなに… 【焼肉百名店EAST 再】 : 今久 本店

人気アイドルグループ｢綱の手引き坂46｣の特別アンバサダーを務めるタテルは、車好きで話題のメンバー・スズカと2泊3日の千葉旅行をする。約1年ぶりの房総ドライブを楽しもうとする2人を、謎の男・ワタル率いる｢脱帽しなかった男｣が追っていた。
純粋にレビューを読みたい方は【】で囲まれた部分を飛ばしてお読みください。
☆これまでのあゆみ
1.打墨庵 加瀬
https://s.tabelog.com/smartphone/reviewer/014810282/review/detail/B480141830/
2.食事処 池田
https://s.tabelog.com/smartphone/reviewer/014810282/review/detail/B480238646/
3.見波亭
https://s.tabelog.com/smartphone/reviewer/014810282/review/detail/B480309604/
4.テコテコ
https://s.tabelog.com/smartphone/reviewer/014810282/review/detail/B480516100
5.駿河屋
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6.金時の甘太郎焼
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7.ホーム オブ マザーズ
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〽︎ギンギラギンにさりげなく…
スズカとも関わりのあるマッチの曲を口ずさむタテル。ホテルから焼肉屋まで20分弱のドライブである。
｢車あるっていいよね｣
｢いいですよ〜｣
｢焼肉屋に14時に行って席確保してジェラート食べ、海を見て焼肉屋に戻る。車じゃなきゃできないよね｣
｢どこへでも行けちゃいますもんね。タテルさんも普段から車使いましょうよ｣
｢俺鉄ヲタなんだけど｣
｢運転してるタテルさん、カッコいいですよ｣
｢褒めすぎだって！｣

【中略】

14時にした予約のお陰で17時の開店と共に無事に入店したタテルとスズカ。入って左側、3つ並んでいるテーブルのうち真ん中に通された。気を抜いてもたれ掛かろうとすると人にぶつかるので注意しよう。

｢思い出しました。前回お腹いっぱいであまり食べられませんでしたよね｣
｢そんなことあったな。今回はたくさん頼むぞ！｣
タッチパネルを華麗に操作するタテル。カルビ・ロース・サーロインなどオーソドックスなものが7割くらいで、聞いたことないような部位はクラシタ・ハバキ・コウネくらいである。前回は様子見で並物ばかり頼んだが、今回は贅沢に上物もいく。

【中略】

いよいよ焼肉の登場。まずはタン。身が意外と厚く火が中まで通りにくい。勿論内部がレアな方が硬くなり過ぎず甘みも感じられて美味しいのだが、あたってしまう不安が付き纏う。よく火を通すと硬いし臭みが出る。何とも言えないジレンマではあるが結局美味しくいただいたので問題は無いだろう。

上カルビは流石和牛といえる脂のり。胃がおじいちゃんのタテルには少し重かったようで、主にスズカが駆逐する。

上ロースは一枚肉をカットして提供。カルビ程ではないが脂がのっている。

｢もう1皿食べません？｣
｢食べよう食べよう。ちょっと時間かかるらしいけど｣

｢あぁ、焼肉食いてえ！ってかどこだよここ｣
｢旭市。大気エスカレーター佐藤ねずみの出身地｣
｢知らん知らん。千葉の果てまで来てコンビニ飯とかおかしいだろ｣
｢馬鹿らしく思わないの？｣
｢思わないね。同じ轍は踏まない。スズカと隣の男をとっちめてやる｣

ハンバーグは年寄りでも噛めてしまうほど柔らかい。ハーブのような香りが若干ある一方、デミグラスソースと脂の旨味がマッチしてご飯をつつかせる。

【中略】

追加注文から20分ほどしてやってきたハバキは適度に脂が入りつつも歯応えがある。しかしおじいちゃん胃のタテルには重すぎるとどめであった。

｢胃もたれして夜眠れないかもしれない｣
｢グミさんみたいですね。グミさんもサーロインの脂は受け付けないって言ってました｣
｢でも和牛はち切れるほど食べて1万円いかないのはリーズナブルだよね｣
｢最高でした。美味しかったぁ！｣

【後略】

NEXT→うなせん
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連続百名店小説『MOSO de BOSO!』
グルメタレント・TATERU(25)と国民的アイドルグループメンバー・スズカ(21)が、房総の百名店を巡る禁断のドライブデート。
これまでのあゆみ
①ウシマル https://tabelog.com/rvwr/014810282/rvwdtl/B457553195/?cid=tw_u_rstrvwdtl_app_i_rnk

妄想パートは【】で区切ってあります(飛ばして読んでも大丈夫なようになってます)

【ウシマルを後にした2人。さらなるロマンを求め、アサヒを見に行くことにした。

｢ジャジャーン！大気エスカレーター・佐藤ねずみの出身地『旭』！｣
｢アサヒって地名のことなのね｣
｢見てほしいのは朝日じゃなくて夕日。ここ飯岡灯台は恋人たちの集まる場所なんだよ｣
｢恋人って…私たち付き合ってるみたいじゃん！｣
｢冗談だよ、冗談｣
｢でも2人でいると楽しいね」スズカは間違いなく、タテルの世界に引き込まれていた。】
｢飯岡灯台で夕日を眺めた後にピッタリの焼肉屋があるんだ｣
｢えー、まだ腹パンなんだけど」
｢19時に予約したから大丈夫。飛び込みだとすんごい待つから、1ヶ月前に予約したの｣
【｢えっ⁈でも私が来れなかったらどうするつもりだったの？」
｢…相方のO-JIMAを連れてきたかな。でもアイツ食に興味ないじゃん。だからとっておきの相手が来てくれるの、待ってたのよ｣
｢私がとっておきの相手でいいの？…めっちゃうれしい！ねえ、時間になるまで踊りましょ、うちのグループの曲」
｢ズンとか、鹿しか勝たんとか！いいね！｣
沈みゆく夕陽を背に2人は仲良く踊った。まるで『会いたかった』のMVのように。】

予約の時間になった。平日だからそこまで混んではいなかったが、それでも飛び込みの客の待ちは生じていた。予約しておいて正解だった。


あ、本当はやはり電車で行きました。サンキュー♥︎ちばフリーパス旅2日目。ウシマルを後にし松尾駅から総武本線を引き続き東へ。飯岡灯台は天気が悪くて断念、終点の銚子駅に着いたものの何もすることなく即引き返して干潟駅へ。歩道もない道を歩くこと約20分。予約も取れなかったので飛び込みでしたが平日早い時間であれば待たず入れます。そしてもちろん、ひとり焼肉です笑


注文は田舎の店では珍しいタッチパネル式。店員は忙しく動いており、実に効率的なシステムだ。対面じゃないことをとやかく言う者も多いが、今や外食産業は人手不足。店員のおもてなしが無くても、愛するパートナーが側にいてくれれば十分ではないか。タテルは外食産業の明日を見ていた。
｢やっぱあまりお腹空いてないや」ガスロースター越しのスズカはちょっぴり不機嫌だった。
｢じゃあカルビとロースを頼んでちょこちょこずつ食べよう、あとジンジャーサワーも｣
｢タテルさんまだ飲むんですか？あんだけウシマルで飲んだのに」

カルビとロース、どっちがどんなかは詳しく覚えていない。しかしどちらも高品質であることはわかる。
｢うちのキャプテン、サーロインとか和牛とかもう食べられないって言ってたけど、これなら食べれそうだ」スズカは機嫌を取り戻した。そう、和牛らしい脂が入ってはいるもののクドさはなく、年取ったタテルの胃にも優しい。それでいて肉らしさもしっかりあって憎らしい。
また、そのまま焼くと鉄板に肉がひっついてしまうところ、牛脂が用意されているので塗っておけば簡単にひっくり返せる。火の入りにもムラが生じにくい。

｢今日は頼めなかったけど、今度は前沢牛の焼肉とハンバーグ食べたいね」タテルはもどかしそうに言う。
｢前沢牛ってどこの肉ですか？山形？」
｢それは米沢牛。前沢牛は岩手」
【｢あらやだ、私っておバカさん？」
｢悲観することナイヨ。女の子はちょっとおバカなくらいが愛嬌あっていいんだ」
ありのままの自分を受け入れてくれる人を見つけたスズカ。もちろん同じグループのメンバーとか家族とか、頼れる人はたくさんいるけど、異性の理解者はおそらく初めてだった。恋に落ちてしまいそうなスズカ。でもそれは許されない、彼女はアイドルだから。

焼肉果て、漆黒の126号を進む。タテルは寝なかった。寝られるわけなかった。自分より若いスズカに、運転を任せっきりだから。
そういえば自分は人任せの人生を送ってきた。家事は全部母親にしてもらってるし、ネタは相方に書かせる受取師。自分には「責任」というものがないのだ。そんな自分が、スズカを本当に幸せにできているのか。
そうこうしているうちに、銚子の、予約していたビジネスホテルに着いた。
｢明日は8:30出発ね。ちょっと海見て、今川焼きを買いに行きたい。それから佐原で鰻を食べよう」
｢明日も楽しみですね！でもこんな美味しいものばっか食べてたら太っちゃう…」
｢じゃあ2人で青春の虎でも踊ろうか」
2人はタテルの部屋で小一時間踊り、ひとまず解散した。】

NEXT→さのや(銚子)
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https://youtu.be/a8EAFVUtAhM