素朴なのが一番！ : 平林のだんご

八街駅前の平林の団子さん。
昔は、千葉県内の小さな町のそれぞれにお団子屋さんがあったものだけど、櫛の歯が欠けるようにご商売をやめてしまって、こういうお店はかなり貴重な存在になりました。

夕方、時折りクルマを停めて買っていくお客さんが。
だから、こんな時間でもまだ団子を作っていて、出来たてを売っていただけます。

テーブルに腰掛けて、のんびり。
茶屋風の雰囲気満点、場所代無料。
お茶は勿論いつもサービス。

変わらない、小ぶりなお団子。
まだ温かい出来立てだから、独特な伸びとねっちりした柔らかさ。
かなり甘いこし餡は昔ながら。
みたらしは、都度焦がしてくれるから、香ばしい。

お値段は、長らく1本50円に消費税という時代が続いたのですが、ついに最近70円＋税に大きく値上げになりました。
うるち米そのもののお値段は変わっていないと思うものの、諸々の運営コストが跳ね上がって、ついにと言う感じなのでしょう。
それでもまだ世間相場からすればお求めやすい。
お値段より何より、末永くこのご商売を続けていただきたいと願うばかりです。

千葉・八街(やちまた)駅前で、明治の昔から団子を売る「平林のだんご」さん。
近くを通る度に立ち寄って、団子を齧って行くことにしています。

土曜の午後、お店には次々とお客さんがやって来ます。
見たところ、殆どが地元のみなさん。
クルマを横付けして、まとめて10本、20本と買っていくお客さんが多いですね。

テーブル席に腰かけて、いつものように熱いお茶を淹れてもらいます。
みたらし団子も、餡子の団子も、４本で210円。
出来たての皿盛りが用意されているので、そのままで。

まだ温かい、搗きたて、焼きたて、出来立て！
みたらしには焼きが入っていて、餡もとろーり熱々。
餡団子の方は、搗いたのがそのままで、幾分コシが強い。
どちらも、家に持ち帰って夜食べると、少し硬くなっています。
個人的にはそれくらいのねっちりした状態が好きなのですけどね。

あらためて、此処の団子は本物です。
近隣のうるち米を、自分のところで粉にして、搗いています。
だから、上新粉も糠も、店頭で売られることがあるのです。

お店の小上がりでは、子供たちが団子を美味しそうに食べながら、他愛もない話に興じています。
おそらく昔から連綿と続いてきたであろう、駄菓子屋ならぬ団子屋さんと子供たちの関わり。
ご当地の子供たちが、少し羨ましくなりました。

(2013/05 再々稿)

酒々井(しすい)にできたばかりのアウトレットへ。
東関東道のインター新設やアクセス道路の整備と一体に行われた大きな開発ですが、それにしても、オープン直後の混雑というのは凄いものです。
どこそこのショップが業態初出店！との触れ込みにも、通路にまであふれる人の波に押しつぶされそうで、そこそこに逃げ出す始末・・・・・

逃げ込んだのは、やっぱり「平林の団子」。
ご当地八街(やちまた)で明治中期から続く、素朴なお団子屋さんです。
ときおり団子を買い求める地元の皆さんが訪れる都度、団子を捏ねたり焼いたり。

店内のテーブルで、のんびり。
団子(４本210円)を頼むと、緑茶を淹れてくれます。

出来たてほかほかの団子に餡をのせた、素朴な餡団子は、噛むとネチネチと昔ながらの口当たり。
餡の甘さが最近穏やかになったか。
おかみに聞くと、「何も変えてない」と言うのですけどね。

焼き目の入ったみたらし団子がまた旨い。
焼くと、幾分コシが入ってくるし、持ち帰ったくらいのタイミングもまた、旨いです。

帰り際にレジ下に眼をやると、売っているのか頒けているのか、袋に詰めた糠が。
近隣で収穫された米を、ちゃんと玄米から挽いて団子を作るから、糠も出るわけです。
この糠で、これから出てくるご当地の夏野菜を漬ければ、さぞかし旨いのでしょうね。


(2010/11 再稿)

総武線八街(やちまた)駅前の「平林だんご」さん。
お店の前を通りかかると、相変わらず横付けするクルマが後を絶ちません。
地元の人たちにとっては、なくてはならない馴染みのだんご屋さんなのですね。

もちろん、ちょっと腰掛けて出来たてを・・・・・
近隣で産する米を挽いた上新粉だけで作ると言う、軟らかいほかほかの団子。
いまどき、一本たったの52.5円(一皿4本210円)。
最近一般に売られる串だんごとはかなり印象の違う、ねちっとした歯ごたえ。
甘さがちっとも隠れてない素朴な漉し餡も、相変わらずたっぷりと・・・・
持ち帰って冷えて来るとコシが出てくる半面、たった数時間でどんどん硬くなってしまいます。

だから、遠来の身には、こうして店先でお茶を啜りながら熱々を食べていくのがいちばんなのです。


(2010/02 初稿)

八街旧市街の街角。
先日ご紹介した大判焼きの「富士アイス」さんと同じビルに入っているのが、「平林だんご」さん。
お店には次々と地元の方がクルマを乗り付け、お土産の団子を買い求めています。

かなり広い間口の、立派な和の風情で、店内には広々とした小上がりやテーブルもあります。
ゆっくりと寛ぎながら団子を齧って行ける昔ながらの団子屋が立派なビルに入った、そんな感じでしょうか。
店内には、背広姿で時計を気にしながら団子を齧る姿も。
次の電車までの合間に団子で一服とは・・・・粋なものですね。
しかしこんな業態、まるで江戸時代の団子の茶屋のようで、もはやあまり見かけなくなりましたね。

お店をはいってすぐのところにガラスケースが置かれ、中には、出来上がったばかりで熱々の団子が皿に盛られ、並んでいます。
４本入りの小皿が210円、８本入りの大皿が420円。
この値段のままで、店内で食べていけて、しかも、緑茶まできちんと淹れてくれるからありがたいですね。
皿に盛る団子の内容も、餡団子かみたらし団子か、本数の組み合わせも要望に応えてもらえるとのことで、とりあえず２本ずつ盛ってもらいましょうか。

地元のお米を100％使用した焼き団子、時間が経つとすぐに硬くなってしまいますが、ここはまだ熱々の出来たて、焼き立て。
口当たりは極めてふんわりとしていて、驚きました。
やっぱり、昔堅気の団子はできたてを食べなくては駄目なのですね。

餡団子は、搗きたて蒸したての温かい串団子の上に、とても甘い漉し餡がたっぷり添えられています。
とてもキメの細かい、風味もよい濾し餡ですが聊か甘すぎるか。
みたらしは、串団子を丁寧に焼き器でこんがりと焦がし、とろとろ熱々のタレをかけたもの。
タレは餡ほどには甘くなく、全体的にあっさり、ふんわりと醤油の香る素朴な感じ。

ご創業は明治中期とのことで、おそらくは大昔、総武鉄道「八街停車場」の開設とともに、取り付け道路が整備された時代から、脈々と続くご商売なのでしょう。
まさに現代に続く、茶店的商売。

この平林だんごさんが入るのは、ちょっとした低層のビルなのですが、左にこの平林さん、そして、右側には「富士アイス」さんが入り、まさに伝統的な茶屋と現代の溜まり場のコラボレーション、この小さな町の、貴重な社交場を偶然にも形作っているのですね。

クルマで大型ＳＣへ出かけていろいろな「コト」を済ませてしまう時代。
それに、鉄道やバスなどでの移動がほとんど成立しなくなった地域もあって、駅前商店街のこうした営みも、今一つ元気がない昨今。
八街に残るこの一角、ひょっとしたら街づくりやにぎわい創出の上でも、大切な意義があるのではないか・・・・・
そんなことをふと思ったりしますね。