カウンター和食ならココだね : おん喰　せき尾

少し前の訪問である。カウンターで上質の和食を食べたいなら真っ先に頭の中に浮かぶお店なのだ。今回は直前に電話して席が空いているのを確認してからの訪問であった。中に入ると案の定お客さんはまばらであった。
人気のあるお店なので満席で断られたことも何度かあったがこの日はラッキーであったのだろうね～～

目の前にはおばんざいが3種並んでいたがまずは筍と茄子から頂くことにした。本格的な料理の前に、間髪入れずにこういうのを頂けるのはとっても嬉しいのだ。人間お腹がすくと機嫌が悪くなり、満たされるとおおらかになるものである。やはり食事は待たされない方が良いのである。

こちらはコースもあるのかもしれないが、料理はアラカルトが中心のようである。その日仕入れた最高級の食材をいろいろな形で食べさせてくるのだ。おまかせでも良いが、カウンターの上に並んでいる食材を指定してそこからは大将にお任せするのが良いのではないだろうか。またカウンター割烹の醍醐味と言えばやはり大将の熟練の技を見ながら頂くことであろう。こういうお店はそういう楽しみ方もできるのである。

この日頂いたのはお刺身の盛り合わせ、焼きアホワイトアスパラ、春の山菜天ぷらに海老天、そしてクロムツの焼き物、親鳥のの醤油焼きなどなどであった。どれも単純そうな料理ばかりであるが塩梅、焼き具合などプロの技そのものである。どれもとても美味しく頂くことが出来た。

最後の〆は山葵ご飯をお願いした。熱々のご飯の上に鰹節と卵、そしておろしたての山葵を乗せて頂くのであるが、これがまた美味、単純な組み合わせだからこその美味しさなのである。
以前似たような料理を孤独のグルメの伊豆編で見たような気もするが、結構有名な定番料理なのかな？？

もうどれもこれもとっても美味しかった。しかしあまり調子に乗り過ぎると最後に厳しい洗礼が待っている。店構えの割には良い素材を使い、腕の良い料理人が作っているので大方の人が予想するよりはお値段は結構高くなってしまうのである。

どの料理を食べてもとても美味しい、自信をもってお勧めできるカウンター割烹だ。

久しぶりの訪問である。美味しいお店でも行きたい店が多過ぎてなかなか再訪するのが難しいのだ。そうこう言っているうちに数年が経ってしまった。
お久しぶりにお会いした関尾さんは相変わらずカウンターの向こうでテンポよく仕事をされていた。美味しいものを限られた時間で料理する・・・これぞプロの技だと思うのだ。

今回は全くのお任せでお願いした。カウンターの上になるねたケースの中を見ているとどれもこれも食べたくなるのだが、そう欲張りなことばかり言っても始まらない。こういう場合は店主にお任せが一番だろうと信じているのだ。

最初はタコの柔らか煮からであった。旨味凝縮、こういうさりげない仕事がこちらの魅力であろう。

そして寒い時期であったのでボタン海老のお刺身が出てきた。これも大きくてプリップリ！！食べ応えのある一品であった。河豚の白子は言わずもがな、トロトロの食感を楽しめた。

蟹しんじょうのお吸い物も出汁が最高でであった。

ホントこちらの大将、季節のものを上手に使うね～～
この日の一番はマカジキの髄肉の焼きものであった。奥の焼き場でじっくりと焼かれたカジキは最高！！私のカジキに対する概念を覆してくれるような美味しいものであった。

その他帆立の酢味噌、ぶり大根、そして牡蠣フライを頂いて終了。どれもこれもひと手間以上手をかけて素材の美味しさを引き出してくれていて大満足であった。

こういう店は何気なくふら～～と寄って好きなものを好きなだけ食べてサッと帰りたい、そんな使い方が似合うお店であろう。

ここの店のことは昨年より知っていた。私自身大好きな和食屋の大将と女将が自信を持って勧めてくれたお店だからである。ちなみにそのお店のご夫婦は食べログ嫌いのようで今現在は削除されている。そんな一流の料理人が勧めてくれるお店なら間違いないだろうと常々思っていた。人間の記憶というものはいい加減なもので、特に私は思いっきり忘れっぽいようだ。それだけ頭の中に刷り込まれたはずなのに他のことを記憶すると前のことがすっかり頭の中から消えていく。そうしてこの店の名も私の頭の中からは消えていった。しかし行く運命にあるのだろうか。あるときその近所の有名なパン屋さんにパンを買いに行った時である。パン屋を出て左を向くとなにか記憶がある名前の看板が・・・・覗いてみると誰かがいる。中に入って直接予約を取ってその日は帰った。

そして予約した日、夜８時ぐらいに行くとお店の中はすでに満員。まずは飲み物、私の連れがワインを頼むと店主はどこかに消えていき、そしてワインを持って帰ってきた。どうやら同じビルのワインバーからもらってきたようである。常連になると店主に何も言わずグラスだけ持って向かいのワインバーに行き、自分でワインをもらいに行くのがこの店のスタイルらしい。

店主一人で切り盛りしているのでかなり忙しそうだ。その代りお客さんがイライラしないようにカウンターには大皿料理が置いてある。まずはこれを食べさせ黙らせようという作戦みたいだ。まあお腹も空いているのでその作戦にのった。ポテトサラダ・・・無茶苦茶美味しい。ポテトの味がしっかりとしてそれが玉ねぎの味と相まっていい感じなのだ。

こういう姿勢のお店は何を食べても美味しい・・と言うのが私の今までの経験則だ。これは楽しみ！と思いこういうお店での鉄板、刺身の盛り合せ、期待に違わず美味しい。魚はその日の仕入れによって異なるらしいが、今回はキンキ、料理の仕方は選べるのだが焼いてもらうことにした。カウンターの向こうは非常に狭い空間なのだがちゃんと炭火の焼き場がある。そこでじっくり焼いたキンキが美味しくないはずはないだろう。シラウオの天ぷらなども美味であった。
最後に一つ付け加えないといけないことがある。　もともとお客さんの適当なリクエストから始まったらしいが、絶品のナポリタン。
これを食べずには帰れないだろう。最近のイタリアンブームで本格的なパスタは食べる機会は多いが、昔ながらの喫茶店で出てくるようなナポリタンはあまり食べる機会はない。一流の板さんが作るナポリタンはホントに美味しい。ぜひ〆に食べてもらいたい一品である。