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相変わらず秀逸な居酒屋
伏見の路地にある隠れ家的旬菜割烹
1964年竣工の御園西ビル。
昭和40年当時の界隈の画像を見たことがあるけれど、四階建てともなれば堂々としたビル。
半世紀以上の歴史を刻んだ建築物だ。
一階の路面に面した階段のところに看板が置かれている。
ビルの内部にも階段はあるのだが、そちらは折り返しになっていてなだらかだ。
路地から直接二階に上がれる階段は、やや急になっている。
急な階段を上がり、建物の中に入った左手に“和しん”と書かれた扉が見える。
その右側の通路の先、右手にトイレの看板。
「ここの欠点はトイレが各店舗にないことなんですよねえ」
後で自嘲気味に店主が話してくれた。
開戸から店内に入ると、こぢんまりとした四角い空間の右手前角が入口。
右側の壁に貼られた鏡が圧迫感を軽減してくれるけれど、手狭は手狭。
奥の二面に沿うようにカウンター席、フロアには四角いテーブルが二卓に、丸テーブルが二卓。
限られた空間を最大限、効率的に活用された配置だ。
和食の調理白衣に調理帽を纏った店主がカウンターの中から声をかけてくれる。
隣には、これまたいかにも和食店という感じの作務衣のような服をきた若い女性。
アルバイトだろうか。
左手のカウンター席に座る。
目の前には箸袋に収まった割り箸が箸置きに置かれ、丸皿が一つ。
手書きをコピーしたと思しき品書きが三枚、扇形に置かれている。
カウンターの上も、効率利用だ。
生ビールは、サッポロ黒と琥珀ヱビス。
迷った末にサッポロ黒。
今日の喉に琥珀ヱビスは少し重い。
口取りはひじきと野菜、それに油揚げの煮物。
やや甘めだが、あっさりとした味つけになっている。
場所柄、仕事帰りの勤め人の憩いの場のようで、平日18時に予約もなく入ってみたものの、テーブル席には既に男女一組の先客。
空いている席も、次々に客がやってきて、18時半頃にはほぼ満席。
常連に愛されている店だということがわかる。
毎日手書きをしてコピーをしているという品書きも情緒があっていい。
作り手は店主一人のようだが、メニューは実に豊富。
そして、個人的に嬉しいのは、純米酒のラインナップもなかなか充実している。
天然鰤の刺身と〆鯖。
鰤は雌節。
浅く締められた鯖も色目がいい。
ところが、見た目とは裏腹になかなかしっかり酢が効いている。
驚くようなことはないが、しっかりと拵えられていて好感。
牡蠣フライも揚がり具合が程良くて、熱を通しすぎず、さりとて牡蠣特有の香りが邪魔することもなく、まさにいい塩梅。
タルタルソールが添えられてはいるれけれど、つけなくても十分愉しめる。
純米酒はほしいずみ 純米を。
おでんは関西風といってもいい感じの出汁が薄口でいい。
二杯目は土田 純米。
この頃にはすっかり酒場といった雰囲気になり、今宵のはじまりを感じさせる。
一見客にとっては、こんな頃合いが立ち去り退きだ
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blueboy
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店名 |
旬菜割烹 和しん
|
---|---|
ジャンル | 日本料理、寿司、海鮮 |
予約・ お問い合わせ |
052-231-7678 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
地下鉄伏見駅6番出口・7番出口より徒歩3分 伏見駅から251m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算(口コミ集計) |
¥3,000~¥3,999
~¥999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 |
個室 |
無 |
---|---|
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席喫煙可 2020年4月1日より受動喫煙対策に関する法律(改正健康増進法)が施行されており、最新の情報と異なる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | カウンター席あり |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、日本酒にこだわる |
---|---|
料理 | 魚料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | テイクアウト |
ホームページ | |
オープン日 |
2010年6月 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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「明けましておめでとさん!」
板場で大将が怪訝そうな顔をしている。
「そんなにご無沙汰でしたっけ?」
「ちゃうがな!まん防明けておめでとさんっちゅうことやがな」
「あーっ!ありがとうございます」
いや、お礼を言われる筋合いでもないが。
新年早々正月21日から実施されていた"まん延防止等重点措置"が昨日で解除された。
解除初日だから一杯飲りにいこう!ということになり、さて、この目出度い日に何処へ行こうか、ワクワクしながら思案していた。
同伴者は若い仕事関係者2人。
リクエストは、"刺身が美味しいこと"、"話しができること"。
というわけで、オフィスから程近いことも考慮して"和しん"にした。
広い店ではない。
まん防明けで混み合っているかも…と、事前に電話を入れてた。
「和しんです」
「○○です」
「あ、どうも」
「今日は混んでるかな?」
「何名様ですか?」
「三人」
「大丈夫ですよ」
「ほな、いまから行くわ」
目指す御園西ビルまでは車で移動。
かつてハートランドがあった場所がコインパーキングになっている。
「ここ、前はライブハウスやったんやけどなあ」
「そうなんですか?」
最早ハートランドがあったことすら知らない世代。
ヒルトン名古屋の東。
懐かしい場所に車を停めて御園西ビルへ。
年魚市やよっちも入居している還暦を迎えるビルの2階。
こぢんまりとした店内はL字型のカウンターとテーブル席が3卓。
そのうちの1卓に陣取って、まん防明け祝いのスタート。
まずは琥珀ヱビスで乾杯。
刺身がいろいろあったので、刺盛りを「豪華版にして」と。
それに烏賊の丸干し、灰干し秋刀魚、う巻き、栃尾揚げ葱味噌納豆。
「あとは…大将、何かおすすめある?」
「品書きには書いてないですけど、これ、いいですよ」
手は動かしながら、目線で示した器には牛スジ煮込。
なるほど、いい感じのツヤと色目と香りだ。
もちろん、注文。
刺盛りは、天然本鮪の赤身と中トロ、天然真鯛、天然鰺、紋甲烏賊、蛸ぶつ、海松貝、自家製〆鯖…つまりは、この日の刺身全部が三切れずつ。
刺身をリクエストされて選んだだけあって、こちらの刺身はどれもなかなか。
殊に旬を迎えた海松貝は美味かった。
火山灰の中に水分だけを通す特殊なセロファンでラッピングした秋刀魚を入れる。
秋刀魚には天然塩。
こうすることで、余分な水分が抜け、秋刀魚の旨味だけが凝縮される灰干し秋刀魚は紀州和歌山の特産。
以前はわざわざ出向いて買い求めた程だ。
ふわりと梅紫蘇の香りがする。
そういう作り方をされているのか、それとも紀州繋がりで大将が一手間掛けたか。
栃尾揚げは東京で仕事をしている頃、四谷三丁目にある東京へぎそば匠で覚えた。
そちらはカリカリの栃尾揚げに、これでもかっ!というくらいの小口切りの白葱が挟まってくる。
これが滅茶苦茶気に入って、訪問する度にオーダーしていた。
こちらの栃尾揚げには葱味噌と納豆が挟まれていて味わいはガッツリ。
日本酒には、こちらの方が合うだろう。
というわけで、まずは石鎚 槽搾り純米 初(石鎚酒造/愛媛県)から。
酒も田酒 特別純米(西田酒造店/青森県)に代わり、若い二人を相手に馬鹿話。
こういう時間が呑兵衛には堪らない。
仕事上の人間関係という些細な日常から露烏戦争まで。
酒席の話題は取り止めがない。
蛸ぶつと紋甲烏賊、海松貝が殊の外気に入ったようで二人がお代わりを所望。
美味しい肴を愉しむ…ということに、程良さという要素が含まれることを若さはまだ知らない。
それもまた微笑ましく愉しい。
さらに蕗の薹と烏賊の天麩羅。
おお、さすがに若い。
天麩羅は二人に任せて愛でるのみにして、蛍烏賊の酢味噌和え。
すると、
「烏賊の一夜干しももう一度頼みませんか?」
最近、日本酒に目覚めた片方が言い出す。
すっかり魅了されたようだ。
漬物盛り合わせ、焼椎茸、煮込大根揚出汁、それに鰯の磯辺巻を追加。
煮込大根揚出汁はタイトルに興味を持って注文。
固めに煮た大根が揚出汁になっていて、予想外に濃厚な味わい。
〆にソース焼きそば。
若い二人の食欲に圧倒される。