英国王室御用達をお手軽に : フォートナム・アンド・メイソン・コンセプトショップ 日本橋三越店

日本橋三越新館B2F。
ちょうど「クラブハリエ」の反対側、ブルーグリーンの煌びやかなテナントの店先に出された椅子に、いっつも女性客がずらーっと並んでいるのですぐに分かる。

この独特な色は Eau de Nil（オーデニール：ナイルの水） と呼ばれ、「フォートナム＆メイソン」を象徴するテーマカラーにもなっている。

ちょうど20年前の2004年、世界初のコンセプトショップとしてオープン。
パンをはじめ英国本国からの直輸入品として紅茶、ジャム、蜂蜜、テーブルウェアなどをラインナップ。

さらに遡ればウイリアム・フォートナムとヒュー・メイソンによって1707年、イギリスはロンドン／ピカデリーにて創業された総合百貨店として、先見性のある商品ラインナップと高い品質から英国王室御用達として名高い。

英国の本店では毎時定刻になると、正面玄関真上にあるからくり時計からフォートナムとメイソンの2人を模した人形が姿を現し、今もロンドンの街並を見守っている。

大英帝国の誕生と同じ年の創立だとか、スコッチエッグの発案者など語り草も多く、同業の「マリアージュ・フレール」「フォション」などと競合。いずれも日本では紅茶が有名かな。


併設のカフェサロンを利用したくて過去に何度か訪れているが、何故かいつもタイミングが合わず。
いちかばちかで覗いてみたら待機人数は5〜6人だったけど、女性ばかりでこの様子だとどれくらい待たされるか分からない。。。

ので、いい加減あきらめてパンをテイクアウトすることにした。
ちなみにティーサロンとパン売り場は、食べログでは六本木の「ブリコラージュ ブレッド&カンパニー」同様、別個に登録されているみたい。

スコーン（チョコチップ）@260
モーニングロール@120
クロックムッシュ@350
イングリッシュメロンパン@300
ブラックポピーシードケーキ@380

レシートに商品名が記載されてないので値段と一致しないかも。

向かって右手に直輸入品売り場と記帳台を設けたティーサロン入り口、左手はパン売り場でオープンスペース。パンは店員にとってもらうショーケースシステム。

＊

とりあえず定番を押さえようと、人気No.1のスコーン、No.2のモーニングロール、No.3のクロックムッシュを指名。スコーンは分かるけど、クロックムッシュもベスト3入りとはね。

プレーンスコーンを買ったらクロテッドクリームも欲しくなっちゃうんで、スコーンは手軽に食べられるチョコチップ入りとしておいた。
もちろん側面にはオオカミの口が。良質のスコーンには焼く際にひび割れたオオカミの口が必ずあるといい、その裂け目から上下にスコーンを割ると現れる凹凸。そこにたっぷりとクロテッドクリームとジャムを塗っていただくのが英国流。もちろんお供には紅茶をお忘れなく。

いつかはこのスコーンで、本場仕込みのアフヌンをお隣のティーサロンでヌン活してみたい。

人気No.2とあるモーニングロールは、いろんな意味で衝撃だった。仄かに塩気があるだけでフィリングは何も入らず、しかもロールじゃなくてまん丸。
逆に言えば、どんな料理にも合わせられる万能パン。日本でいう食パンやバターロールみたいな感覚だろうか。

意外だったのはクロックムッシュ。食パンにハムとチーズを乗せて焼いた朝食の定番で、20世紀初頭にパリのカフェで考案されたらしい。それが英国王室御用達になるなんて、100年も戦争していたお国同士とは思えない。
このクロックムッシュに目玉焼きを乗せるとクロックマダムになる。

イングリッシュなメロンパン。いったいどこがどう英国風なのか、そもそもメロンパンは日本発祥ゆえ日本向けにアレンジしたのか、一般的なメロンパンとの明確な違いはなく。。。

芥子の実を練り込んだブラックポピーシードケーキ。ポピーとは芥子のことで、芥子の実といえばあんパンにトッピングされるアレ。シナモンロールに芥子の実を練り込んだ、と言ったほうが早いか。
甘くて重くてボリューミー。芥子の実のザクザクしたテクスチャが楽しい。これはラス1だった。


老舗デパ地下なだけあって接遇も含めて雰囲気に品がある。それでいて価格帯が町のパン屋と大差ないことにも驚きを隠せない。
本国仕様に近づけるため、日本法人のアルチザンは材料の違いから苦労されたようだが、勤勉な日本人の努力が結実し、本国から認められたという証は大いに誇りにしたい。