新橋リーマン6年やってたのにこの店に気がつかなかったとは : うさぎ

営業して18年になるそうです。
昨年3月まで新橋で6年間リーマンをしていたのに、しかもこの店の前は何回も通っているのに、不覚にも全くノーマークでした。
太田和彦氏の番組にも出たことがあるとのこと。
その番組も見逃してました。
新橋はまだまだ奥が深いです。

環状2号線から一本新橋寄りの通りの2階にある店。
この通りには、城喜元さんとか、雅さんとか、ぼんそわさんとか、いつもお客さんで賑わう店が並んでいます。
居酒屋が集まる通りに面したビルの2階でひっそり営業しているのがこの店。
「下に目立つ看板もないので分からないですよね」とママさん。
それでも一度来た人が知人を連れてきたり、ネットで調べて来る人がいたり、TVにも出演したりしたせいか、今はけっこう賑わっている様子。
知っている人は知っている店ということです。

狭い階段を上がって2階に上がると、店の灯りが点いていました。
ドアを開けると、照明を適度に落とした落ち着いた雰囲気の店内。
手作り感のある木製カウンター席がメインで、その後ろに「8人までは座れますよ」というテーブル席があります。
ママさんともうお一人の女性のお二人で切り盛りしている店。
日本酒が豊富に揃っているそうですね、と聞くと、「そうなんですよ～」とニコニコしながら本日の日本酒メニューが書かれた大きな看板を見せてくれました。
そこには30種近い日本酒の名前がぎっしりと書き込まれていました。
120ml650円、180ml900円というのが基本の値付。
お手頃価格です。

でも最初はトリビーで赤星を一本。
お通しは11種ある中から2種選べるそうで、今回は玉こんにゃくとかもスモーク（玉ねぎソースがけ）を選択。
玉こんにゃくによく味が沁みて美味いです。

ビールを空けたらいよいよ日本酒。
最初の一杯は、にいだしぜんしゅ。
「にごりと秋あがりがありますので飲み比べますか？」と呑兵衛の心を見透かすお誘い。
まんまとハマって90mlずつ注いでもらいました。
秋あがりは旨味がぐっと広がって酸がまろやかにひろがって実に美味し。
にごりは、糀が一粒一粒旨さをはじけさせてます。

二杯目は奈良萬純米ひやおろし。
口開けだったので、「日本酒はよく飲みます」というお二人にも味見してもらうために、180mlで注文。
でも、ひやおろしのわりにはちょっとおとなしめですね、というのが3人の共通した感想。もっと旨味がさく裂してるかと思ったんですけどね。

三杯目は一歩巳純米・
これまた口開けの酒なので180mlで注文。
安定の柔らかな旨さですねえ、とこれまた3人の見解が一致しました。

〆の四杯目は、福島シリーズが続いたので、目先を変えて岐阜県の淡墨桜純米生。
これは120mlでいただきました。
まろやかな味ですが、ちょっと濃いめで存在感のある酒。

これだけの酒を飲ませてもらったのに、お供がお通しの2品だけという訳には行きません。
この店は鮭に合う肴も非常に充実しているのです。
刺身はありませんが、焼き物、揚げ物、珍味、おでん、女将さんの手料理などいろいろ。
値段も350円から600円くらいで非常にお手頃価格です。

最初に選んだのは、みょうが豆腐(400円)。
みょうがのたまり漬が乗った冷奴。
豆腐はしっかり水気が切られて味が濃くなっています。
みょうがのたまり漬が味がしっかりしていて、豆腐の甘味とのバランスがよく、これは間違えなく酒のためにある一品。

2品目は、銀鮭のハラスの西京味噌漬け(600円)。
魚の刺身はありませんが、干物系は昔からの仕入れ先がいいものを届けてくれるのだそうです。
しっかり脂がのって、酒の旨味と西京味噌の味が一体となった、酒の肴に文句なしの一品。

3品目は、女将さん手作りの里芋とイカの煮っころがし(350円)。
よく出汁が染み込んでいます。
イカも柔らか。
器にウサギの模様があるところがこの店らしさ。

他にも食べてみたいものはあったのですが、今回はこの3品。
酒に合う肴でゆっくり飲むのには持って来いです。

しかし、最近の新橋は再開発が進行中で、こうした小さな飲食店が集まる建物を一棟丸ごと買って新しく建て替えてしまう動きもでているそうな。
この店のビルも某不動産会社に買われたそうで、「何年かしたら新しいところを探さないと」とママさん。
でもこの店ならどこに行っても、これまで通った人が再び集まってくるでしょう。
あぁ、もっと早く見つけておけばよかったなぁ。