3回
2021/01 訪問
ランチも美味しい、大石
2021年のフレンチは銀座大石からスタート。緊急事態宣言が発令され、なかなかディナーの外食が難しく、予約もキャンセルせざるを得ない中、大石はランチ予約だったのでセーフ。土曜日でスタートは12時。明るいうちから美味しいフレンチが食べられるのは幸せだね。
最初のバター茶が出てから、スタート。ドリンクはワインのペアリングをお願いしてみたが、この日は自分だけだったみたい。最初のアミューズに合わせるのはシャンパーニュ。力強い泡が印象的だったが、銘柄を聞きそびれてしまった。アミューズは定番のサーモンとイクラのグジェール。すだちの皮の酸味が爽やか。
この日は15皿というアナウンスが有って、心が引き締まる。続いてはコンソメのゼリー。バフンウニ、ボタンエビ、蒸し鮑などが入っているが、底にはカリフラワーのムースがあり、半分が過ぎたら底からすくってねと。というか、このボリューム感がすごい。
すべての料理を記載していると大変なので、記憶の限りで。
・燻製ずし。藁で燻したのどぐろの上にキャビアを乗せて。シャリはバルサミコ酢を使用
・すっぽんのスープ。出汁にはテナガエビも。聖護院かぶら。
・前菜盛合せは八寸スタイルで4種類。6種類のお野菜とオマール海老、イワシ、パテアンクルート(中がジビエで山うずらと山鳩)、そして赤キャベツ。
この八寸の手前で「少なくしてもらいたい方は手をあげてください」という素晴らしいご提案があり、迷わず挙手。前回はお腹が一杯になりすぎて、帰り道が辛いという苦い経験があったので、今回は戦略的な少量依頼を宣言。
結局、フォーカスポイントをどこに置くか、ということだと思う。前菜好きな方、メイン好きな方、バランスよく完走したい方。自分は前菜もメインも好きだったので、なんとか最後まで行きたかったので、苦渋の決断。
続いてフォアグラとモナカの第8弾。フォアグラはもちろんのこと、ラム酒のゼリー、そしてワンポイントのミント。立方体に切られた洋梨がめちゃくちゃいい仕事をしている。
白子。パン粉でカリッとふわっと仕上げて。トマトのソースにイタリアンパセリ。ポーションはそれほど大きくはないものの、食べごたえがある一品。
そして魚料理。萩の甘鯛を松かさ焼きに。芸術的なお芋のソースに魚のソースの二重仕上げ。カリッとサクッと仕上げた甘鯛は中がふわふわ。
この日の肉料理は鴨と牛。鴨は新潟燕三条の網取り。ローストが最初に出てきて、炭焼の部位は腕と脚を選べる。牛は飛騨牛の飛び牛のランプ。こちらはステーキor煮込みを選べる。2人だったので1種類ずつ頼んでシェア。どっちも美味いが、煮込みのほうがこってりしてて好みかな。
ご飯物1種類目は蟹がたっぷり入った毛蟹ご飯。なんとカニクリームコロッケまで入っている。前回はこの時点でお腹がはちきれそうだったが、今日はいけるぞ、ということで普通盛りに。大事なのは最後まで食事を楽しむこと。そして2種類目がカレー。玉ねぎトマトのペーストということで、あっさりしていて食べやすい。
デセール前の一皿はマールのシャーベット。デセールはタルトタタン。最後まで美味しかった!
なお、ペアリングのワインは最初のシャンパーニュを含めて12杯。泡1、白8、赤3と少し白が多い目だけど、どれも食事によく合っててこちらも満足。
好みはあると思うけど、みんなを楽しませようという大石シェフの気持ち、わかりやすい説明、おいしい食事、という三拍子揃ったフレンチ。この日はL字型のカウンターに11人だったけど、不思議な一体感が出てくる空間。おすすめです。
2021/02/03 更新
2020/10 訪問
クオリティとボリューム、そしてエンターテインメント。銀座大石。
四ツ谷にあるフレンチの名店といえば北島亭。その北島亭から大石さんが独立したのはちょうど1年ほど前。どんどん予約が取れなくなってきたので、満を持して訪問。場所は銀座二丁目、マロニエ通沿い。JRAのすぐ近くだ。エレベータで2階に上がれば、大石の看板。
オープンしてまだ1年ということもあるが、明るい店内にきれいな木目のカウンター。L字型で全12席だ。時間になり、お客さんが揃うと大石劇場の開幕。最初にいただくのは「バター茶」。これで少し胃を落ち着ける。
とにかく量が多いことで有名な大石。カウンターの上には本日出てくる食材がズラリ。最初に「量はどうされますか?」を聞いてくれるし、途中でも「量は大丈夫ですか?」という気配りがあり嬉しい。全12席に対して目を配っているのが印象的。少しのどが渇いていたので最初の1杯目はビールで、コースがスタート。
最初の一品目は一口でいただくアミューズから。グジェールかな。カニの身を挟んで、上には燻製キャビア。下には少しアボカド。さっと食べられるけど十分濃厚。
二品目はコンソメゼリー。中には浜中産のバフンウニとカリフラワーのムースがある。最初はコンソメとウニ、2口目はカリフラワーと合わせて食べると、味の違いがあって面白い。更に半分を超えたら、混ぜて食べてみてくださいのレコメンド。味のレベルが高いのに、量が感覚の3倍ぐらいあって、満足感が半端ない。
パンは丸い形のフランスパン。お店で焼いているみたい。美味しかったけど、これを食べすぎると肝心のコースが食べられなくなるので注意が必要だ。
ということで三品目はお寿司風。上に乗るのはのどぐろ(アカムツ)、その上には筋子(コンソメ漬け)、下にはシャリ。実は赤酢の代わりにバルサミコ酢の合わせ酢(25年物を砂糖と醤油代わり、フレッシュなものを酢代わり)を使っていて、本当に食べやすい。間に入るのは西洋わさび。お寿司と言うよりも合わせご飯的な感じ。このシャリは海外でお寿司を提供するときのヒントになりそう。
ここいらでワインを今更ながらペアリングでオーダー。
四品目はすっぽんのコンソメスープ。本当にシンプルなスープ。先月までは鱧が入っていたが、今回はテナガエビの旨味だけを加えた一品。それにしても量がなかなか多い!
五品目は前菜の盛り合わせ(通称第一関門)。一つ一つのポーションが大きいんだわ、これがまた。「八種類の野菜とオマール海老を合わせたゼリー寄せ」これはアメリケンソース、フレンチドレッシング、トマトのドレッシングと合わせて。「北海道のサンマと焼きナスとドライトマトを合わせたゼリー寄せ」こちらはにんにくのクリームソース、バルサミコのソースで一緒に食べる。サンマの刺身をにんにくじょうゆで食べる感覚を洋風にアレンジした感じ。「パテアンクルート」も絶品。フランスのホロホロ鳥をサクサクのサブレ生地で包んでいる。柿の葉の下に隠れた「赤キャベツの酢漬け」は口直しで。
続いてやってきた六品目は「フォアグラと無花果の最中」。フォアグラを使った最中を使ったシリーズ第七弾ということで、こんなん美味いに決まってるやん、的なやつ。フォアグラのムースの上に、無花果のコンポート、ラム酒を使ったゼリー、フランボワーズ。そしてアクセントにミント。
七品目はセップポルチーニ。香りと水分をきれいに閉じ込めるために、チーズを混ぜたパン粉でフライにして。これが美味いんだ。最初はそのままで。途中から「へべす」を絞って食べるとまた旨味が増す。
このあたりでようやく折り返し。普通のコースぐらい食べてる気がする。
八品目は魚。萩の甘鯛。下には海老芋。2種類の貝を合わせたソース。付け合せのキャビアを合わせて完成する。仕組み。丁寧な火入れで表面はカリッとしていながらふわっとしている。
九品目は仔羊のロースト。部位を2つに分けて提供。手前の赤身はしっとり、奥の骨付きはしっかり。万願寺とうがらしを添えて。バジルとドライトマトのソースが面白い味わい。ちょっと出汁のような、、とにかく癖になる味だった。
十品目は口直しで鳥取県のこだまのスイカ。ミントを回してモヒートのようにし、最後にライムのシャーベットと合わせることで爽やかに仕立てている。
十一品目は飛騨牛のランプ。ワンカットが80グラムだが、お腹の具合によって大きさを選べる。赤ワインのソース。無水調理をした八種類野菜を付け合わせて。サシは多すぎず、肉の旨味がきっちり引き出されている。
ここからご飯モノが2連発。十二品目はアワビの肝ご飯。十三品目はカレー。どちらも量が選べるので、一口ぐらい、というのも頼めるし、お腹に余裕がある方はほぼ1人前のカレーを食べてました(ツワモノ
またまたお口直しで、ソルベが出て、最後のディセールはモンブラン。
もう、大満足だったけどやっぱり量は多い!大石さんも丁寧にコースの順番を説明してくれるし、常に量を心がけてくれているので、お腹の具合によって量は調節しよう。最後まで食べられない自体だけは避けよう。
素晴らしいフレンチが銀座に誕生しました。
2020/11/02 更新
良い緊張感を持って訪れるフレンチ、そんな一つが銀座大石。どんな料理が食べられるだろうか、というワクワク感と、最後まで食べきれるだろうか、というドキドキ感。食事というのはある意味エンターテイメントのひとつなのかもしれない。
ということで、春の大石である。今回もランチタイム。12時にお客さんが揃ってスタート。ノンアルコールカクテルもあるが、ペリエで。最初にペリエって言ってしまったからペリエで。サンペレグリノでも良かったなぁ、と思ったけど初志貫徹だ。そんな個人的な感情はさておき、バター茶から。そろそろこいつが熱いな、と思える季節になったけど、気分を落ち着かせるには最高の一口。
最初のアミューズはいつもの一品。キャビアにたまごの黄身、そしてトップのディル。一口だけど料理のスタートを告げるには十分。そして、定番のジュレ。コンソメジュレの下に北海道のバフンウニ、北寄貝とボタン海老、底にカリフラワーのムース。コンソメジュレだけ食べると少し濃いな、と思うかもしれない。しかし、それで良い。味のコントラストと、フローを楽しむ料理なのだから。最後はウニとエビ、貝、カリフラワーが一体になる。
続いてまだアミューズと言って良いのだろうか、一品は簡単な魚料理。愛媛県産のスマを使って、下には酢飯(と言ってもバルサミコ酢を使って)、スマの上にワカモレとディル。爽やかで食べやすい。フォカッチャに続いて、コンソメスープ。こちらはすっぽんをふんだんに使っており、真ん中にはカブ。表現の仕方は難しいんだけど、美味いんだ、これが。
序盤の主役、前菜の八寸。前回はこのあたりから少量をお願いしていたが、今日は行けそうな予感。いつもどおり時計回りに6時の方向から説明。「6種類の野菜のゼリー寄せ」「ホワイトアスパラ」「サツキマス(サクラマス)」「紫キャベツ」「うずらのテリーヌ」、そしてピクルス。季節モノでいうと、ホワイトアスパラにびっくりすると思う。この太さと食べごたえはなかなかない。後はサクラマスかな。ちょっと濃い目の白ワインとかあったら最高だろうな。
そんな八寸の終盤で手渡されたのがモナカ。フォアグラとイチのモナカ(パート何番だったかは忘れた)。ザクッ、ガリッの食感のコントラストが良い。この辺は樽香の強い白ワインとか良さそうだよね。
シンプルなしいたけはゴルゴンゾーラのソースとともに。しいたけも良いんだけど、このゴルゴンゾーラのソースがすごい。酸味の香りを残しつつ、味としてはあっさり。ブルーチーズならではの臭み的なものが排除されてて、不思議と食べやすい(語彙力……
そろそろ食事も終盤に差し掛かり、魚料理は金目鯛。色々端折っているが、大石さんの説明により、この後なにがでてくるのかわかっている我々としては、調整の段階だ。個人的な決断は、「魚・鶏を少なめにして、牛肉を存分に楽しもう」だったので金目鯛は少ない目で。とはいえ、この金目鯛がめちゃくちゃ美味くて、少し後悔したのはここだけの話。
鳥料理はじっくりとフライパンっで仕上げた鳥取の大山地鶏。目の前で、丁寧にさばいてくれる。しかも説明付きで!最近焼き鳥屋さんによくいっていたので部位の説明があってわかりやすい。ボンジリとかソリレスとか、普通どこかわかんないよね。
そんな鶏が終わってでてきたお口直しはスイカ。高知県のルナピエナを使った一口ジュレだけど、これ美味い。いい表現かわからないけど、水筒に入れて少しずつ飲みたい、そんな感じ。
おまたせしました、メインの牛肉はタンとランプ。タンは炭火でじっくり焼き上げて、ピンクでじゅわっと食べるのでなく、サクッとした触感を楽しむ一品。包丁を入れてみたら、意外とピンクだったのはご愛嬌。歯ざわりはイメージ通りで、サクッと食べられる。タンの楽しみ方が変わる調理法(ここしか無いってことではないです)。ランプの脂ののり具合も最高でバランス感覚良い。
最後は、ずっと目の前でわさわさ動いていたオマール海老のご飯、カレーを頂いて、食事は終了。アヴァンデセールはびわの上にマールのシャーベット。グランデセールはパイ生地の中にクリームと上からたっぷりのマンゴーという組み合わせ。まぁ、控えめに言って最高ですな。
春の大石は初めてだったけど、個人的には最もフィットしていた。個人の好みとか、コンディションとかあると思うけど、食材がリッチな冬よりも春のほうが合っているのかもしれない、そう感じた5月。と言いつつ、また夏と秋の大石も楽しみなのである。