Champagneさんのマイ★ベストレストラン 2013

Champagneのクリスタルなサロン

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Champagne (女性・神奈川県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

○今年も、いつも馴染みのお店に行く率が高く、その心地よさを楽しんでいます。

○中でも、「ロオジエ」の再オープンは、私の中での大きなニュース。
エキサイティングな再会、新シェフの味との出会い、を堪能しました。

○今年オープンのお店で期待を持っているのは、「ドミニク・ブシェ」。
懐かしさを感じるフレンチの王道の料理と、「レ・セゾン」からのソムリエとのタッグ。
銀座に出店という気合の入り方、どう生きるか、楽しみです。

○来年も、自然体で感謝しつつ、いいお店の数々を応援していきたいと思っています。




マイ★ベストレストラン

1位

ロオジエ (銀座、新橋、内幸町 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2017/10訪問 2018/01/01

銀座の柳

<2013年10月>
9月のあるとき。
筆書きの宛名の、立派な招待状が届きました。
それは、ロオジエのオープニングパーティ。
もちろん何を置いてでも、最優先で「出席」決定です。
返信ハガキを送り、当日を楽しみに迎えました。

さて当日。
エントランスには資生堂の幹部を始めとした社員の方々。
そして、懐かしいロオジエのスタッフが、順々にお出迎え。

建て替えた資生堂本社ビルは、以前とはすっかり様変わり。
入口の重厚な扉はまるで、パリのヴァンドーム広場の高級宝飾店に迷い込んでしまったかのよう。

メインダイニングは地下。
しかし、1階から大きな吹き抜けとなっているので、外光が入り、圧迫感はゼロ。
逆に、1階にある緑も目に入り、開放感を感じるほど。

弧を描いた階段を降りると、メインダイニング。
全体を見回すと、シャンパンゴールド、ベージュ、白がメインのカラースキーム。
テーブルセッティングされている位置皿は、ゴールド。

ドリンクサービスのテーブルには、3種類。
ドラモット、ペリエ、あとはブラッドオレンジジュースだったか…。
もちろん、シェフソムリエのサーブです。

シャンパーニュを片手に、新しいダイニングを回遊したり、スタッフの方々とお喋りしたり。

勧められるがままに、フィンガーフードをいただいてみると…。
素晴らしいキャヴィア、力強く薫るトリュフなど、
どれもこれも、小さいながら主張がしっかり。
タダモノではないのは、さすがです!

周囲は、ロオジエの長い歴史を知る人々や署名人で、賑わっていました。
顧客の奥の深さが実感できます。
よくぞ、私ごときに招待状が届いたものだと、改めて驚きと感謝です。

帰りには、お礼のカード、お店のブローシャー、お土産のショコラをいただき、
お店を後にしました。

新しい「銀座の柳」が、ドラマチックに始まりました。

<2011年2月>
一時閉店まであと1ヶ月あまりの頃。
大理石の白い階段を踏みしめて、2階のダイニングへ。
デジュネでも、いつもよりもフォーマルに装ったお客様が多いようです。
だいぶ華やいでいました。

今回も、心に残ったお皿をいくつか。

「鳩のロースト」。
大きくふっくらしたお肉。
ナイフを入れると、ピンクがかった赤身が柔らかく、きめ細かい。
窒息させているから柔らかい、とのこと。
そして大ぶり。
内臓も余すことなく、カラっと揚げて。
ジュで取ったソースの凝縮感が、なんとも魅力的。

「温かいチョコレートのスフレ」。
王道のチョコレートのデザートのメニューから。
目の前でスフレに穴を開けて、好みのアイスクリームをポトっと。
ふわふわ、そして濃厚なチョコレート。
堪能しました。

数々のプティフールの中で一番好きなのは、エッグスタンドに乗った「クレームブリュレ」。
ボリーさんの頃からの定番プティフール。
限りなく滑らかで、大事に優しく作られたソフトなブリュレ。
タヒチ産のヴァニラビーンズを惜しげなく、たっぷりと。
底のほうに真っ黒に残るのが、もったいないくらい。
突然、無性に、これが食べたくなる時があり、困っております、私。
これからどうしましょう…。

お皿に合わせたワインのセレクションも完璧。
お料理もワインも、私のロオジエ史上で1、2位を争う素晴らしさ。
季節ごとに変化するエクステリア、素敵な店内のデザインも、そろそろ見納めかも、
と思うと、感慨深い思いがあります。

<2011年1月>
今年最初のグランメゾンでのお食事が、ロオジエでのデジュネ。
改装閉店に向けて、お料理も、サービスも、パワーアップしています。
特に心に残ったお料理を。

「的鯛のポワレ きのことキャベツのピューレ マトロートソース」。
的鯛のフィレがしっかり2切れ。
添えてあるのは、ツヤのあるソース。
贅沢にキノコを使ったピューレは、漉して、オリーブオイルやニンニクと和えて。
瓶詰めがあったら購入したいほどの美味。

「牛フィレ肉のロティ"ヴェネソン"冬野菜のココット焼きを添えて」。
今回は岩手牛。
口の中でトロけます。そう、こんな牛肉が食べたかった!
塩のピリっとした振り具合も完璧。
ココット焼きの野菜たちは、自然の甘みがたっぷり。

「フロマージュ」。
いつもながら、状態は最高。
そして、ハードチーズの切り方、ミモレットの薄さ、すべてが私好み。

珍しくデギュスタシオンにしていただいた、ワインのセレクションもさすが。
ボトルでゆっくりと薫りの移り変わりを愉しむのもいいけれど、
お皿に合わせた、絶妙なマリアージュも素敵。

この素晴らしいチームでのロオジエは、今年の3月まで。
当日の客層は心なしか、それを惜しむ人々ばかりのよう。
時間が経つのは早いものです。

<2010年10月>
銀座の柳も、来年3月にはいったんクローズし、資生堂本社ビルは改築。
この素晴らしいスタッフの解散が待っているとは。
新築後に訪れたら、果たして何人の懐かしい顔に会えるんでしょう。
そんな心配をしてしまうほど、さらにチームワークの良さが際立っていました。

印象的だった、アラカルトのお皿をひとつ。

「和牛フィレ肉のポワレ"ロッシーニ"セップとポテトのニョッキ 黒トリュフ風味」。
お皿の上はキノコで秋模様。
目の前で、仙台牛のポワレに黒トリュフのソースをかけて。
神秘的なほどにツヤツヤのソースを、ロゼ色に焼きあげたお肉に絡めると、
和牛ならではの高品質なジューシーさと、黒トリュフの風味が、黄金の組み合わせに。
火入れや塩の具合も、ちょうど好みのど真ん中。完璧!
黒トリュフたっぷりの贅沢なソースは、最後の最後までパンと共に。

お料理全体が、このところ、みるみる基本に還ってきました。
ほんの何年か前までの、「トンガリ感たっぷりのお遊び」はどこへやら。
しっかりとした素材感を全面に出したものが中心に。
地に足が付いた安定感を感じます。

<2010年6月>
今回も、アラカルトのお皿がすごかった。
今までで最大の感動。涙が出そうなほど。

「ヴィエンヌ産鳩胸肉のピスタチオ、カカオ風味 とうもろこしのガレットとさくらんぼ添え」。
真ん丸い胸肉は、とてもきれいなロゼ色。
肉質は限りなくきめ細やかで、肉だけ口にしただけでも感動。
ツヤのあるジュのソースを絡めると、旨さは倍増。
そして、時にはさくらんぼの酸味を加えると、これはまた素敵なアクセントに。
横に添えられた骨付き腿肉のポワレも素晴らしい。皮も肉も。

こんな感動を呼ぶお皿、ちょっと奇跡かも。
そんな奇跡も、ロオジエなら、さらりとやってくれる。
憎いなぁ。

<2010年3月>
デジュネのお皿が、変わってきました。
素材を生かした形とボリューム感を持った、満足感溢れるメニューの数々。
繊細さと彩りの美しさがより際立ち、次々と出てくるお皿は、さながら絵画のよう。
そして、基本がしっかりとしているからこそ活きる、アラカルトのお皿。

様々なゲストのお食事を楽しい場にしようというサービスマンは、
ひとりひとりが個性的なエンターティナー。
決して画一的でも、マニュアル的でもない、自然に溢れ出るもの。
他のお店に行ってこそ実感する、ロオジエのサービスの凄さを、最近は実感しています。

<2009年11月>
並木通りに場所を移して10年。
節目の記念イベントは逃してしまいましたが、そのお祭りも終わって
いつもの落ち着きを取り戻した頃のデジュネに訪れました。

メニューを開いてアラカルトにするか、デジュネにするか、シャンパンをいただきながら
さんざん悩んだ挙句に、コンビネーションに。

「燻製ニシンのムース ポテトとレッドオニオンのジュレ」。
きれいな赤いジュレの上に丸いポテトのスライスがまあるく並べられ、
まん中にニシンのムースが。
ニシンよりもポテトが目立つ一皿。

「金目鯛のヴァブール 薫り高いオリーブオイルとハーブを添えて」。
ふっくらと蒸しあげた金目鯛。
オリーブオイルの薫る、ちょっぴり酸味の効いた泡のソースの中に鎮座してます。
トッピングには色とりどりの野菜、卵、イクラ。
ソースも最後までいただいて。

「シャラン鴨のロティ オレンジピューレ カフェとカルダモンの香り 
腿肉とかぼちゃのパルマンティエ風」。
低温調理され、ロゼに仕上げた鴨。
皮目はとてもきれいな焼き色を付けています。
肉の中にあるすべてのものを逃さず、ギューっと閉じ込めたままの調理。
ナイフを入れると、ほんのり血が滴ります。
口にすると、キメ細かい肉質を咀嚼する慶びが。
ほんのちょっとのカフェおカルダモンの香りがアクセントを添えています。
満足感たっぷりの、鴨の一皿。さすがです。

どれをお願いしても完璧な状態のフロマージュ、そして、お菓子の世界に突入して、
今回も、ロオジエを堪能しました。

<2009年9月>
いつも通りのさりげなくも素晴らしいサービス。それは何ら変わることはありません。

ところが今回、デジュネのメニューを渡された時に、少々「困ったなぁ」。
なぜなら、デジュネのメニュー構成が、フラン、クリーム、ムース、スープなど、
ほとんどのメニューが前菜からメインまで「フワフワの柔らか」系。
もちろんメニューには載っていませんが、アミューズも然り。

すべてアラカルトにしたり、アラカルトから好きなお皿をデジュネに組合わせる、
という選択もありました。
でも、この日は別件のディナーも控えていたので、軽いのは大歓迎!
通常メニューに身を任せることにしました。

唯一、素材の形がありそうなメニューはメインのサーモン。
というわけで、「サーモン」を中心にメニュー決め。
青海苔を使ったソースの磯の薫りたっぷりで海の中にいるかのようなのサーモンは、
50℃の低温調理で素材が生きていました。

あとは何をいただいたんだっけ?と柔らかいものはすべて失念です…。
昼間のストレスを、その日のディナーで解消。
形のあるお肉を、ガッツリといただきました。

何度も訪れているので、こんな日もあるかと思えるのですが、
もしもこの日が、「清水の舞台から飛び降りたつもりでのデジュネ」、とか、
「とっても大切な記念日」などだとしたら、今回のメニューはちょっと厳しい。
「デジュネのメニュー構成を考えて~」と、密かにボヤキたい私でした。

<2009年6月>
メナールさんが就任した時の「尖った感」が影をひそめ、
食べ手の立場に立ったメニュー作りにシフトしているかのように思えます。
一皿一皿に、幸せと優しさを感じます。
アラカルトの中でも、根強い人気を誇るメニューは定番化していて、安心感も出てきました。
しっくりと馴染んできた感じが、とても心地よく感じます。
ロオジエの歴史を知っている常連の方々も、納得されていることでしょう。

最高のものを提供しようという姿勢は、いつものことながら感嘆。
例えばフロマージュ。
どれを選んでも、すべて最高の状態。
ここまでワゴン上のフロマージュが完璧なお店を、他には知りません。

ワインリストは改訂中で、デジュネに、ディネに、
それぞれオーダーしやすい価格帯を充実させるそうです。
これからの仕入れは円高も追い風になって、さらに魅力的になることでしょう。

さりげない自然体のサービスは、いつでも健在。
さらに、全体に笑顔の度合がいくらか増したような。
ちょっとしたロオジエの「トリビア」を語ってくれたり、ファンとしては嬉しい限り。

素敵なひとときを過ごすお店としては、トータルで最高です。

★2008年10月以前は字数制限のため、コメント欄に収納しました。

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2位

アロマフレスカ (銀座一丁目、銀座、有楽町 / イタリアン)

1回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2015/11訪問 2016/01/25

驚きと感動と薫りと。

<2015年4月>
おまかせコースの完成度が素晴らしいものでした。
そのとき手に入る最高の食材を、感動的なお皿に。
渾身のメニューです。

最初の一皿(うなぎとキャヴィア+カルダモンの薫り)
軽く燻した初鰹のカルパッチョ仕立て フレッシュトマト風味
伊勢海老のヴァボーレ アジアの薫り
春の薫りを少し(筍のスープ)
The ヴォンゴレ ビアンコ(大蛤のヴォンゴレ)
ホワイトアスパラガスのシンプルリゾット
石鯛の炭火焼 トマトとにんにく、オレガノの薫り
柑橘のシャーベット
子豚のヴァリエーションと春野菜
野菜のココット(新玉葱)
お楽しみのお皿(チーズ)
食後のお飲物

新しいサービスチームも頑張っています。
リラックスしてお食事させてくれる、抜き加減が上手。
どんなふうに進化していくのか、これからも楽しみです。

<2015年2月>
長年アロマフレスカのサービスを担っていた方が、このたび卒業されました。
新しいサービスチームが素晴らしいサービスを引き継ぐことを願ってやみません。
今まで、ほんとうにお世話になりました。
新天地でもお元気で。

<2012年4月>
銀座に移転後、2カ月ほどで訪れてみたものの、
そのときはサービス体制の弱さを感じて、しばらくご無沙汰。。
お料理が完璧なものだっただけに、残念な思いでいっぱいでした。

ところが最近、サービス陣が強化されたことを耳にし、「ならば!」と予約。
約1年半ぶりでしょうか。
予約確認の電話でメニューを確認し、「季節のメニュー」をお願いしました。

最初は、プロセッコのサービス。
細いグラスの淵には、お砂糖があしらってあり、カクテル気分。

「最初の一皿」。
もちろんいつもの「ウナギとキャヴィア」。
カルダモンの薫りも軽やかです。

「車エビと春の苦味」。
ガラスの器に濃厚でクリーミーなソースを敷き、
プリップリの、きれいで見事な車エビが躍ってます。
周囲には、フキノトウの芽の苦み走った部分を素揚げして。
春を感じる一皿。

「ホワイトアスパラガスとポーチドエッグ ミモレット風味」。
お皿は、細かく削ったミモレットの雪が降ったよう。
目の覚めるようなオレンジ色が鮮やか。
焼いた薫りがフワっと立つホワイトアスパラは、食感が心地良く。
さらに、濃い黄身のポーチドエッグとミモレットをソースにすると、
非常に濃厚。
ミモレットのコクと塩気で、アスパラに旨みを増して。
今まであるようでなかった、素晴らしい一皿。

「初春の香りを少し」。
新筍のスープは、この時期のお約束。
ややエグミのあるスープを先に、筍を最後に一口で。

「空豆のスパゲッティ アーリオオーリオ」。
空豆のピュレで、お皿全体のグリーンがきれい。
基本のアーリオオーリオは、ピリっとオイルベース。
空豆が優しく全体をまとめています。

「蛍烏賊の黒いリゾピラフ」。
イカスミのリゾピラフのトップに、蛍烏賊が。
添えられたトマトのピュレを混ぜて口にすると、酸味がポイントに。
想像通り、というか、想像以上に濃厚で満足感ある一皿。

「甘鯛のうろこ焼き 黒キャベツと香草風味」。
ナイフを入れるとパリパリと音を立てる、この瞬間。
厚めカットの身は、ふんわりとしっとり。
添えてある野菜たちと、深いグリーンのソースと共に。

「柑橘のシャーベット」。
「酸っぱいです」と置いて行かれた、定番の目が覚めるようなシャーベットでリフレッシュ。

「仔豚のヴァリエーション」。
3種類の調理で、香草を加えた賑やかなお皿。
皮がぱりっとアメ色に焼かれたものが、私にとってのベストでした。

「野菜のココット」。
本日は、新タマネギのココット。
一見、皮は真っ黒で衝撃的。
ところが、半分に割ってある白い中身をスプーンですくうと、甘い!
ホントに熱々なので、火傷しないように。

「お楽しみの一皿」。
チーズ、パスタ、シャーベットからお好きなものを。
というわけで、少しワインが残っていたので、チーズを。
4種類のチーズを甘く煮たフルーツや、ナッツと共に。

「ドルチェ」。
6種類から選択。
今回は定番の「あまおうのスープ」を。
トップにはふわふわの綿菓子。
あまおうの甘みと酸味を、ぎゅっと閉じ込めたスープ。
ジェラートと共に。

噂通り、サービス陣は4名+αの体制となり、目配りも充分。
オペレーションは、完璧となりました。
ようやく、銀座の様々な高級店と肩を並べられるようになったかと思われます。

この日は記念日を祝うテーブルが多く、
お店の空気を、さらに華やかなものにしていました。

本場のイタリアンとはだいぶ異なるとは思うけれど、
口にすると、「素直に美味しい!!」と、思わず口にしてしまう、驚きと感動は健在。
さらに、グランメゾン並みの設えと、サービス。
時間をかけて、出来上がってきたようです。
新しいアロマフレスカが。


<2010年10月>

銀座に場所を移して3ヶ月目。
ようやく訪れる機会が巡ってきました。

12階のエレベーターの扉が開くと同時に、名前を呼ばれてのお出迎え。
流れるようにダイニングへ。

さほど広さはないけれど、四角い空間。
まん中に大きなお花が活けてあり、周辺の床には大きな丸いペルシャ絨毯。
見事がカサブランカが、華麗にダイニング中に香ります。
高い天井のまん中には、吹きガラスの飾りがキラキラと輝くようなシャンデリアがお花を照らします。
まるで、ホテルのメインダイニングのよう。

中央通りとは反対側のため眺望は望めず、その代わりなのか、窓には木があしらってあります。
ところどころには、観葉植物も。
緑が多かった麻布十番の時を、彷彿とさせるような部分。

テーブルは7卓。以前より1卓多いでしょうか。
サービスは1人増えて、3人。

調度品などはイタリアからのものと思われます。
中でも、私にとって大事なのは、お食事の時間を共にする椅子。
以前と異なり、幅も奥行きも大きいもの。
脚の長さは日本仕様にしてあるのか、椅子全体のバランスから言って、短め。
肘かけはありますが、座面は幅広。
体の小さい私は、どっちに寄ってもグラグラ。
姿勢が何となく落ち着かない。

メニューは、予約確認の電話で決めておくシステム。
予約時は1週間ほど前に連絡するとの話でしたが、実際は2日前に着信が。
今回は「季節のメニュー」をオーダーしておきました。

まずは「アルコールが大丈夫であれば、ご挨拶がわりに」、と小ぶりのシャンパングラスに
パッションフルーツのカクテルの仕掛け。
「もちろんです!」、とシュワシュワと泡を目の前で注いでもらいました。
いつもワインをいただいている、という履歴は、どうやら残っていないようです。
カクテルは目新しくてよかったけれど、やはり、スプマンテのワゴンがゴロゴロとやってきて、
今日はどれにしようか、と考えるほうが楽しいかも。

自家製オリーブは一人一人に、ガラスの小さな器で。
パンはグリッシーニ、ゴマのパン、フォッカッチャ、バゲット。
そこからはテンポよく、コース料理が供されました。

「最初の一皿」。
いつもの、小さな鰻とキャビア。
これをいただくと、アロマフレスカに来た、という気分にさせてくれます。

「赤座海老のクルード」。
以前にもお目にかかったことがあるメニュー。
フレッシュトマトのソースや香草に囲まれた、限りなくレアに焼きあげた赤座海老。
お皿全体の色彩がとってもきれい。
照明がテーブルには当たっていないので、実際よりも暗い色に感じてしまうかも。
ミソまでパンで。

「フレッシュポルチーニの炭火焼き」。
一瞬、どんこかと思しき肉厚のポルチーニはとってもジューシー。
口に含むだけで、満足。
下にはフォアグラのソテーがあしらわれ、コクを増してはいるけれど、なくても充分。

「冷たいスープを少し」。
以前もいただいた味、ポルチーニと鮑のスープ。
ガラスのお皿が以前よりも、少し浅いものに代わりました。

「海の幸のリゾット アロマフレスカ風」。
様々な海の幸が口の中を駆け巡り、幸せな時間を実感。
リゾットの米粒よりも、海の幸のほうが多いほど。すごい!
今回で一番のお皿。

「白トリュフのパスタ」。
こちらは別のパスタ料理の予定でしたが、プラス料金で差し替え。
恭しく、ロイヤルコペンハーゲンのお皿に鎮座する白トリュフ。
ガラスの蓋をちょっと開けてもらうと、薫りのパンチ。
オーダーせずにはいられないんです…。
リングイネが少し縮れたようなパスタに、よく絡みます。
ちなみに、離れたお隣りのテーブルからも薫るほどの白トリュフは、今だかつてないほどの最上級品。
が、白トリュフを削るパフォーマンスがあるにせよ、パスタがやや冷めていたのが残念。

「スジアラの炭火焼 パッシート風味」。
ハタの一種だというスジアラは初めていただきました。

「柑橘のシャーベット」。
いつもの、目が覚めるほどの酸味のシャーベット。

「和牛のビステッカ」。
初心に帰って、定番メニューをオーダー。
色んな味が添えられるけれど、やはり一番好きなのは、イギリスの岩塩でシンプルに。
今日のストウブの調理は、大きな茄子。甘みを感じます。
そう言えば、今回はポーションを聞かれなかったので、ここら辺でかなりお腹いっぱい。

「お楽しみの皿」。
パスタ、チーズ、マンゴープリンの中から選択。
まだワインが残っていたので、迷わずチーズを。
自家製ドライフルーツと共に。

「スフレ」。
だいぶお腹いっぱいになっていたので、小さめサイズでお願い。
Goサインの問題か、まだチーズを楽しんでいる最中に出てきてしまったのは、ご愛嬌。
もちろん、改めてのご登場となりました。
熱々のまん中を割り、別の器で添えられているカプチーノのクリームをポトっと落として。
シュワシュワと口溶けがいいので、軽く食べられてしまう。
新たなるヒット。

「ドルチェ」。
6種類の中から、いちじくのコンポートとアイスクリームを。
コンポートの中には、フレッシュチーズが。

食後のお茶と共に、小菓子。
一人一人、お皿に3種類づつ。
ピスタチオやビスコッティがたっぷりと入った、大きなポットを囲んでのお茶が、懐かしい。

ワインリストは、内容充実、価格抑えめで選びやすくなりました。
ハーフボトルの品揃えも多くなり、2人でもボトルオーダーしやすいよう考えられているよう。

サービスは、まだバタバタ感は否めない部分が色々。
自然体で素晴らしかったサービスは「人」によるものだったのか、と、改めて実感。
今のサービスも悪くはないのですが、そこは私の好みの問題。
チームワーク、経験、お互いの慣れ、が必要かもしれません。

食材選びは、明らかにパワーアップ。
以前のメニューも取り入れながら、新しい形にも挑戦。

ただ、お値段もかなりアップ。
フレンチのグランメゾンと、同等クラスの価格帯。
目指すところは、そこ。
「銀座進出、グランメゾン並み」、だったのですね。

でもでも、アロマフレスカって、そのようなお店ではなかったはず。
麻布十番の時は、邸宅に招かれたような、あの空間でのおもてなしが大好きだったし、
開店当時の広尾の頃は、半地下で厨房スタッフの顔が見える、そんなお店だった。
同じこれらのお料理でも、以前の空間のほうが、鼻をくすぐる薫りが元気よかった気がします。

出世魚のように名前も新たなお店ならば、それはそれで納得。
今の時点では、アロマフレスカのお料理を、以前の空間でいただきたい気持ちでいっぱい。
お料理と、空間と、サービスは、どれが欠けてもいけない、私にとっては一体のものだということがわかりました。
もう、叶わないけれど…。

最後にひとつ、お化粧室。
アロマフレスカ専用ですが、お化粧スペースとしては使い勝手が物足りなく、
手拭き用のタオルもない。ティッシュペーパーのみ。
最近のお店では当たり前の、アメニティー類も皆無。
グランメゾン並みを目指しているのなら、こんなところには気を遣ったほうがよろしいかも。

そんな色んなことを、一抹の寂しさと共に考えた一日。
次回の訪問は…無期お休みです。

※以前からのレビューが、ごく最近 「移転前」の麻布十番のほうへ丸ごと移動されたので、
銀座移転後のレビューのみ、こちらにお引っ越ししました。
ご参考までに、2006年からのレビューや、皆さまの粋なコメントの数々はこちらです。
↓              ↓             ↓              ↓
http://r.tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13004586/dtlrvwlst/81615/]

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3位

コムシコムサ (東山、三条京阪、三条 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 ¥5,000~¥5,999

2014/03訪問 2015/05/11

心からの笑顔が溢れてしまうフレンチ

<2008年9月>
いつもいつも、最大の笑顔で出迎えてくださるマダム。
お料理の手を休めることなく、目で挨拶してくれるシェフ。
久し振りに旧友に会った気分にさせてくれます。

「生ハムと野菜のマリネ」。
何種類もの野菜が楽しく、やさしいお味。

「ホタテのガスパチョ仕立て」。
これもたっぷりの野菜とホタテ、そしてソースはガスパチョ。
今でも味覚が覚えている、爽やかな一品。

「かぼちゃのスープ オレンジ風味」。
オレンジとかぼちゃ?と思ったものの、見事なコンビネーション。
とても満足の冷製スープ。
一味とオリーブオイルをトップに少し。それがアクセント。

「鴨のロースト蜂蜜のソース」。
しっかりとしたソースで、みっちりとした鴨の旨味とはちみつが合います。

デザートかチーズの選択は…やはりチーズ。
少しづつ色々と盛り合わせてもらって。

以前は貸し切りになってしまうこともしばしばでしたが、
現在では、すっかり「予約の取れないレストラン」の仲間入り。
しかし、連日満席でも手放しで喜べないことがあるようです。
シェフはいつもと変わらず寡黙な勉強家。
今後もわずらわされることなく、突き進んで欲しいです。

<2007年12月>
クリスマスのちょっと前。
久しぶりの訪問に、マダムはいつものように温かく迎えてくれました。

アミューズの「京野菜のガルグイユー」はジューシーで味わいのあるお野菜ばかり。
「蟹肉をきゅうりの薄切りで巻いた」前菜は、ウニとキャヴィアを添えて。
爽やかな味わいながら、ソースは濃厚。
「フォアグラのソテーと柿」は、フォアグラの焼き具合が、なんとも絶妙。
柿の甘みとあいまって、さらに幸せになる瞬間が訪れます。
「ポルチーニのポタージュにポーチドエッグと帆立」。
ポルチーニの薫りをしっかりと楽しめる一品。崩した卵の黄身でさらに濃厚に。
「蝦夷鹿のロースト」は、赤身のしっかりしたお肉を存分に楽しめるもの。
ソースと共にしっかりと作り込んでいます。さすがのお味。

そして、食後はやはりチーズを選択。
なぜなら、お店の一番目立つところに、照明によってフローティングしているような
黒板があり、マダムが心を込めたチーズの説明が書いてあるから。
初めて見るような珍しいチーズもあり、残ったワインでゆっくりと堪能しました。

今回もゆっくりしていたら最後のお客さんとなり、
外までシェフとマダムに見送っていただきました。
京都の冬は寒さがきついけれど、心が温かくなってお店を後に。

いろんな人に薦めたいけど、本当はあまり知られたくない。
そんなお店です。

<2006年9月>
今回も心からのマダムの笑顔に迎えられて。

特に印象に残ったのは「野菜のテリーヌ」。
ズッキーニ、茄子、トマトのコンビネーションで、ハーブとオリーブオイル
のソースにカイエンヌペッパーがピリっと効果的。
ソースも最後までパンでぬぐっていただいてしまう。恥ずかしながら。
「穴子と雑穀リゾット」の穴子は香ばしい焼き具合。
前菜ながら、赤ワインともぴったり。
「ガスパチョ」はトマトがベースでメロンのスープを彩りよく配置。

やはり赤ワインをいただいてしまったので、変りご飯は未体験。
今回は珍しいベルギーのウォッシュチーズも揃えていました。
いつもながらのシェフの優しいお料理に、こちらも優しい気持ちに。
こんなお店が近所にあったら、通ってしまうに違いありません。

<~2006年3月>
岡崎公園や平安神宮からほど近く。フランス国旗が目印の小さなお店です。
ドアを開けると、あふれる笑顔のマダムが迎えてくれます。
寡黙なシェフが勉強熱心なことは、一目瞭然。目を見ればわかります。
本当に真摯な気持ちで、フレンチに取り組んでいる職人です。
このお2人のコントラストが、実は素材とソースのようにマッチしています。

テーブル席とカウンターがありますが、広々と設えたカウンターが落ち着きます。
時には和服を着こなしたご婦人がいらっしゃるのも、京都ならでは。
カウンター内には間接照明を生かして、グラスがディスプレイされています。
生花もあしらわれ、素敵な空間を演出。
センスのよさが、うかがわれます。

ワインリストは試行錯誤されているようですが、掘り出ものが
見つかることもあります。
お料理はシェフの心がエッセンスになっているものばかり。
ビストロと名が付くと、ただ骨太なイメージですが、
裏腹に繊細でいて、計算されている。
心からくつろいで、「美味しい…幸せ」とつぶやいてしまうような、
そんなお料理の数々です。
サーブしてくださるマダムの笑顔も、スパイスのひとつ。
その何気ない会話が、楽しいひとときに華を添えてくれます。
コースの最後には、変わりご飯かチーズを選択できます。
マダムが揃えたチーズが、ワイン好きな私には楽しみです。

京都に行くと、必ず訪れてしまうこちらのお店。
いつでもウエルカムと出迎えてくれる友人のような、大事な存在。
贔屓目かも知れませんが、掛け値なしに満点にさせていただきます。

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4位

アピシウス (日比谷、有楽町、銀座 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2017/08訪問 2018/01/01

歴史と文化を感じる老舗

<2011年12月>
年の瀬のお約束。
どうも、アピシウスを愉しまないと終わりません。

いつもの、落ち着き。
いつもの、あのメニュー。
いつもの、サービス。

そんな「いつも」が揃っている安心感。

「海の幸、野菜、クスクスのタブレ」。
「小笠原母島の海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
「フランス産仔鳩のジャンポネット、アニスエトワールの香り」。


またまた、いつもと同じようなアラカルトのチョイス。
その中でも特に、メインの仔鳩の素晴らしさは感動もの。
肉の状態、火入れ、ソースのコク。
ワインをゆっくりと愉しみながら。

そんなお食事の余韻を振り返りながらの、フロマージュと、デセール。
至福の時間です。

この年も何とか終わり、次の年も元気に迎えられるよう、
そんな想いを胸に、お店を後にしました。

<2011年2月>
キャンセルが続出するくらい悪天候で寒かった、この日。
がんばりました。がんばりましたとも!
ダイニングに入ってしまえば、いつもの静けさと軽い華やぎ。
雪など、どこ吹く風。

テーブルにはすでに、「PJ」のマークをお花模様で囲んだシャンパングラスが。
ならばこれでしょう。
ペリエ・ジュエのベルエポックで、エレガントな時間のはじまり~。

今回一番楽しみにしていたのが、黒トリュフ。
ちょうど季節です。
お店では、トリュフの魔術師であるペベイル氏の採取する、フレッシュトリュフのイベントがあったばかり。

「フランス産カオール地方のフレッシュ黒トリュフの丸ごとパイ包み焼き」。
クラシックなこのメニュー。
素晴らしく上質なバターを使って、折りたたんだパイ。
実にきれいな色に焼き上がっています。そして、立ち上る薫りがすごい。
パイがナイフが入れられるのを、今か今かと待っているよう。
艶やかなソースは、芸術品。
サクっとナイフを入れると、中にはちょこんと黒トリュフ。
一緒に、そしてソースを少し付けて口にすると、広がるトリュフの薫りが。
幸せ過ぎます…。

「海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
こちらもスペシャリテ。オーダーせずにはいられません。
澄んだスープが舌に乗ったあとは、至福のひととき。
喉に流れて行ってしまうのが、惜しいほど。
添えられたチースパイは、ときどきサクサクと。

「フランス産仔鳩のロティ スパイスを効かせた赤ワインソース」。
しっとりとキメの細かい、非常に上質のフィレ。
モモは適度に脂が乗り、こちらもジューシー。
旨みをきれいに閉じ込めたロティ。
赤ワインソースには、色んなスパイスをじゃまにならないよう上品に加えて。
これだけ美味しい鳩は、初めてかも。

「フロマージュ」。
ラッキーなことに、例のトリュフを使ったブリーがありました。
もちろんお店で、大きな丸ごとをスライスして、挟んで。
少し温めてもらい、トロンとした状態で。
これがまた、絶品。
ゆっくりと、しみじみと、ワインと。

「ジャスミンのババロワとリコッタチーズのムース 柚子のジュレとアイスクリーム添え」。
実はこちらのデザートワゴンも好きなのですが、目が欲しくなって頼み過ぎた挙句、後悔することもしばしば。
ところが、時々いただいている、一人分づつ手をかけたデセールがなかなかに優秀なのです。
今回は、食後の締めくくりに相応しい爽やかなデセール。
こんな感じ、好きです。

安定したサービスは、どんなシチュエーションでも対応可能。
委ねていて、安心感があります。
ハプニングにも的確に対応されているところを見て、感心。

余談ですが…最初から最後まで、色んな場面で目にする大倉陶苑のお皿。
日本が誇るチャイナ。
元々いくつか我が家にもありましたが、こちらで何度も目にするうちにどんどん欲しくなり、
とうとう色んなものを購入してしまいました。
和のテイストが入った、上品さがたまりません。

アピシウスワールド、結構ハマってて、年に何度か訪れてしまいます。

<2009年12月>
秋冬にぴったりのグランメゾン、それはこのアピシウス。
ダイニングに案内された時はすでに、ほとんどのテーブルが埋まっており、
賑わいが華やかさを添えていました。

今回はアラカルトで好きなものをチョイスしてみたくなりました。
幸い、ほとんどのお皿にスモールポーションが用意されています。

「ウミガメのスープ」。
あくまでも澄んだコンソメ。
口にすると、得も言われぬような深い味わい。これは一体!?
微妙にトロみがあるのは、甲羅のコラーゲンでしょうか。
初めての体験。
最初からガツンと、やられました。

「冬の海の幸をエテュベ、その日のシェフのソースで」。
海老、帆立、鮑、北寄貝、白身魚、アスパラ。
バターとクリームのソースには生青のり。
これが磯の香りを上品に引き立てます。
想像通りの一皿。

「茨城県稲敷市真鴨のロースト シャンピニオンデュクセルのファルシとそのジュ」。
キノコとその薫りに囲まれた真鴨。
じっくり噛み締めると、その旨みがどんどん増してきます。

「林檎と柿のキャラメルソテー ヨーグルトのソルベと蜜柑のジュレ」。
せっかくアラカルトなので、きちんと作り込んだデセールを。
クラシックに登場するのかと思いきや、こちらはイマドキのプレゼンテーション。
そして…キャラメリゼされた林檎と柿の甘みと酸味。素晴らしい!
至福のひとときを締めくくります。

いつもながら、話が盛り上がっている時は静かに、こちらが矛先を向けるとフッと
話に加わってくれるタイミング、絶妙なサービスは健在です。

質感の極めて高い絵画や家具、食器に囲まれてのお食事。
歴史があるからこそのクラス感。
貴重なお店です。

<2009年1月>
昨年秋からずーーっと訪れようと思っていたのに、
なかなかチャンスがやってこなくて、とうとう年明けになっちゃいました。

こちらは私の中で、「秋&冬」のイメージなのです。
ですからもちろん、今回はジビエが入っているコースをオーダーしてみました。

「鮪、コルニション、オリーブ、アボカドのタルタル仕立て わさびソース」。
きれいに、お皿の真ん中に盛りつけられたタルタル。
周囲には小さく丸くわさびソースを置き、イクラ、オリーブ、ハーブをあしらって。
爽やかな前菜に、シャンパンが進みます。

「カナダ産オマール海老のヴァブール エストラゴンの香る軽いアメリケーヌソース」。
たっぷりのオマール海老のきれいな肉に、グリーンアスパラ添え。
濃厚なオマール自体の味わい、ソースの上質さは格別。
ここまでオマールを美味しいと思ったのは、はじめてかも。

「狩猟真鴨のロースト サルミ風ソース 栗と芋セロリのピュレと共に」。
羽付きのまま1週間熟成させて下処理。きれいなセニャンにロースト。
ソースは真鴨のガラと赤ワインでジュを取り、真鴨の血でつないでいるそう。
目の前にお皿が置かれた瞬間、「お~!」。
こんなにしっかりとしたソースは、近年久し振り。
こっくりとしたソースには照りがあり、ピカピカと光っています。
薄くスライスされた鴨を口にすると、ジビエらしい滋味溢れる肉質。
一口、一口、大事に噛みしめて、この季節に訪れることができた幸せを実感。
途中のお口直しに、別添えの栗と芋セロリのピュレを。
ピュレの素材そのものの味を感じ、また鴨に突入、の繰り返し。
おかげで、赤ワインが進むこと、進むこと!
フロマージュのためにとっておかなくちゃ、なのに~。
これこそワインに合うお料理!!です。

デザートは最近では珍しくなった、ワゴンサービス。
たっぷりといただきました。

ワインはいつものように、熟練の素晴らしいサービスとアドヴァイス。
チーズは専門の資格を持った方のサーブで、説明もわかりやすく、
思わずたくさんお願いしちゃいました。
そして、以前からお馴染みの方が今年からこちらにいらしていて、うれしい再会。

シェフは少しづつ、3代目の岩元シェフに移行している最中だそうです。
2月に行われる「センセーショナルなトリュフの夜」で、センセーショナルにデビューを飾るのでしょう。
このフェアのために、森社長と岩元シェフが2月初旬にトリュフを買付けに渡仏するそうで。
今年のものは、かなり期待できるようなので、都合がつけばぜひとも参加したいフェアです。

今回も、とてもリラックスした至福のディナーを、ゆっくりと過ごさせていただきました。
次はいつ?と、思わず考えてしまう、愛すべきお店です。

<2008年5月>
ゆるやかな段差の、黒い石の階段を下りきった左側。
どこから見ていたのか、タイミングよくスタッフが扉を開けてくれます。
ウェイティングバーを左に見て、メインダイニングへ。
すでに賑わったダイニングに一瞬躊躇するものの、
案内された絵画の前のテーブルへ。

以前使ったことのある個室は、上からのシャンデリアが明るめ。
メインダイニングは、テーブルに当たったダウンライトが反射し、
女性の顔がきれいに見えるという、うれしい女優効果があります。

少々蒸し暑いこの日。
グラスではもの足りない…ということでシャンパーニュはデミにて。
シェフ・ソムリエが手際よく、エレガントな所作で開けてくれます。
味わいを感じられる、ちょうどよい温度。
バカラのアピシウスマーク入りのグラスにて。

まずは種ありの黒オリーブと、アンチョビを詰めたグリーンオリーブが置かれます。
どこで食べたものよりも、旨みがほとばしるジューシーさ。

さて、ワゴンで8種類ほどのお水がやってきます。
その中でも、やはりシャテルドン。
お料理やワインと合わせるのに、この数年一番気に入っています。

アミューズは「ヴィシソワーズ」。
中にはフラン。一口だけのお楽しみ。

「北海道産有機栽培のレタスとアスパラガスのシンプルサラダ」。
白アスパラを縦にきれいにスライスし、周りにトマトと一緒に敷き詰め、
真ん中には新鮮そのもののレタス。
白アスパラは薄切りながらも、北海道産なので歯ごたえ充分。
シンプルながら、上品にして、感嘆の美味しさ。

そろそろ、お楽しみのボルドーの出番。
バカラの、カッティングが煌くデキャンタで待ち構えています。

「栃木牛のロースト」。
肉質の旨みは充分。胡椒をピリっと効かせて。
フォンをたっぷりと使った濃厚なソース。
まさにボルトーとのマリアージュ。

まだまだ残っているワインと共に、フロマージュを。
ワゴンから色々選ぶ幸せ。
まだ若いチーズソムリエが説明してくれます。

次にやってきたワゴンはデザート。
ここでデザート用の薄いパープルのリネンに替えられます。
ケーキ類が何種類も。
その中でもタルトタタン、パリブレスト、マンゴーのムースを。

と、またワゴンがやってきます。
デザートワインが8種類ほどだったか…。
タルトタタンに合わせたものを1杯。

デザートは見た目、ごく普通。
なのに口に入れると、素材の上質さと完成度を感じます。
特にパリブレストのクリーム、マンゴーの素材。
久しぶりに、こんな美味しいケーキをいただきました。

デザート用のカトラリーはクリストフルの金メッキ。
お誕生日用のお皿は、薔薇の模様の大倉陶園。
ホワイトチョコーレートのプレートが、そっと添えられています。

サービスは、さすがのベテラン揃い。
すべてを委ねていれば、リラックスできるお食事が約束されています。
年齢層の高さも、落ち着きと安心感を覚えます。

ワイン、特にボルドーのリストの揃えと価格はグランメゾン随一ではないでしょうか。
それも歴史と心意気のあるお店だからこそできること。
数々の美術品に囲まれた店内は、美術館さながら。文化を感じます。
それに相応しい客層が華を添えています。

昨年ミシュランの星を獲得したフレンチのお店は、バターやソースを控え、
作りこまれたフレンチが大多数。
しかし、こちらのお料理はいかにも「The フレンチ」。
そう、近頃こんなフレンチが食べたかったのだ、と、改めて新鮮に感じます。
今後もポリシーを曲げずに、このまま文化を伝承していって欲しいものです。

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5位

草喰 なかひがし (元田中、茶山、出町柳 / 日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥8,000~¥9,999

2017/09訪問 2018/01/01

大人の味覚

<2010年11月>
紅葉真っ盛りの京都。
お皿の上に、どんな紅葉の風景があるのかを愉しみに訪れました。

季節感溢れる八寸
ほんのり甘みを帯びた、白味噌仕立ての蒸しもの。お椀に物語があります。
鯉のお刺身は山椒をピリリと効かせて。
目の前の炭火で焼く鴨ロースには、辛味大根。
キノコ三昧の一品。

どれもこれも、野菜本来の旨みや苦み、そして日本ならではのスパイスを効果的に。
驚きと、旨さに満ち溢れている、その目の覚めるような瞬間。
何度訪れても、決して裏切ることのない冴えわたるパッションに、今回も脱帽です。

<2009年5月>
京都の旅で、どうしても再訪したいお店となった当店。
運よく、プラチナチケットの「当日券」を手にしました。
連絡があったのは、夜のお食事開始時間の2時間位前だったでしょうか。
迷わず「お願いします!」と、その日の予定を変更して。

席に着いて、お茶を振る舞われ、少々落ち着いてから開始。
女将さんの、「突然のご連絡で…」と、気遣いの一言が添えられます。
いえいえ、お待ちしておりました。

5月。端午の節句にちなんで、菖蒲を刀に見立てて飾られた八寸からスタート。
次々テンポよく供される、滋味深い品の数々。
特に山椒の使い方がとてもよく、様々な場面でピリっと効果的。
瑞々しい緑をたくさん使っているのも、この季節ならでは。

今回一番印象的だった一品が、蕨を牛肉の薄切りで巻いて、炭火焼したもの。
焼いている最中にも、漬けダレを何度もかけては焼いて、かけては焼いて。
あぁ、絶品でした。

ご飯のお焦げも、存分に堪能。
少しだけ岩塩を振って。
その香ばしさは、いつまでも心に残るもの。

食後には薫り高い水出しコーヒーもふるまっていただき、
大満足の夕ご飯となりました。

作り置きのものは一切なく、すべてその場で作ってすぐに出す。
同じ予約時間なら、みんな一斉に。
それを流れるようなテンポで出すのは、至難の技のはず。
だからカウンター内では店主や女将さんをはじめ、何人もの人が黙々と働いているのですね。

ちなみに「当日券」が手に入ったおかげで旅の予定が狂ったのは、うれしい誤算。
1泊延ばしてしまいましたとさ。

<2008年9月>
今まで予約困難で縁がなく、今回、初めてプラチナチケットを手に入れました。
場所は銀閣寺そば。控え目な看板と設え。
「お竃はんのご飯に炭火の肴と山野草を添えて」と書かれた板が扉の横に。
期待が膨らみます。

予約時間を少し遅刻して中に入ると、すでに先客は、ほぼお揃い。
1階は低めの幅広カウンターのみで、椅子は小さめ。
私自身はタテヨコともに小さめサイズなので幸いでしたが、
大きめの方だとちょっとつらいかも。
カウンターの中にはお竃はんが鎮座。
炭火焼も並んだ場所で行われるので、手狭な感じ。

お茶をいただきながら、お食事を待ちます。
女将さんからは「予約のお電話がかかりづらく、申し訳ありません」のお言葉。

ほどなくして全員に一斉に置かれたお盆。
「八寸」が大きな里芋の葉に乗り、ススキの穂を添えて。
ご主人の中東さんがお料理の説明を丁寧にしてくれます。
食べ手はひとつひとつ確認しながら、納得。
そう、予約時間って全員一緒で、お食事も同時進行なんですね。
この手の食べ方は初めてです。

季節を感じる食材の数々。
中でも、サンマの寿司は驚きの美味しさ。
揚げた小さな栗も初めての味。

その他、心に残ったお献立をいくつか。

「白味噌仕立ての南瓜と茗荷」。
こっくりとした控え目な甘みの白味噌。
甘すぎない地の南瓜を白味噌の中で崩しながら。
茗荷の爽やかさが印象的。

「鯉のお造り」。
色とりどりのな小さな野菜たちに囲まれた鯉。
赤シソのジュレとエスプーマ、大徳寺納豆が調味料。
さらに、「実山椒がいい仕事してます」のご主人の言葉通り、
ピリっと効いた山椒の実が鯉に息吹を与えている。
独創的、かつ大胆にして繊細。
初めての味わいにポーっとしてしまう私。

「鴨の塩焼き」。
目の前で炭焼き。出来上がってくる薫りも、ごちそう。
そして、まだジュクジュクと音を立てて焼けている状態の鴨をスライス。
玉ねぎ、紅葉おろし、たくさんの野菜とともに。
まずは炭焼きの薫りが素晴らしい。それだけで、ごちそう。
レモンを絞って。
鴨と添えられた野菜を添えて口の中に入れると、
鴨の滋味と野菜たちのコンビネーションで思わず幸せな笑顔になってしまう、美味しさ。
飲み込んでしまうのがもったいない、そんないつまでも感じていたい味わい。

そして、最大のごちそうは「ご飯」。
まずは「煮えばな」のアルデンテのご飯を一口。
まだ水っぽいけれど、これから蒸れてご飯になるのを実感。
そして、最後にタイミングよく出される蒸らしたご飯。
ご主人自ら、お茶碗にふっくらとよそってくれる。
「おねば」がちょうどよくご飯一粒一粒を包込み、
じっくり噛みしめると、甘さが少しづつ感じられる。
絶妙な炊き具合。
お代わりにはお焦げ。岩塩とともに。
「パリパリやからフランスお焦げや!」と言いながらご主人がよそってくれる。
「どこのお米ですか?」と聞くと、
「近所のお米屋さんのです」などと答えてくれる、
そんなオヤジギャグも飛ばしてくれるご主人。
実際、お米は宮城のひとめぼれ。
毎日精米して使うのが美味しいご飯の秘訣だそう。

今まで口にしたことのない、「摘草料理」。
独創的な野菜類の使い方がすごい。
びっくりさせてくれる美味しさを体験できる、貴重な時間でした。
発酵臭のする漬物が好みではなかったり、席間が狭くて、
お椀を持つ肘が隣の人と触れてしまうなど、ちょっとした疑問はありました。
また、ほとんどのお客さんが東京からの方で、カメラを持っていなかったのは私だけ!?
皆さん、ノートを広げて質問をしながら、熱心にメモをしていらっしゃる。
京料理とは一線を画したこちらは、地元の方はいらっしゃらないようですね。

しかし、子供の頃の味覚では決して理解できなかったであろう、このお料理。
大人の今に訪れることができて、本当によかった!
京都の素晴らしいお店のひとつを、また見つけました。

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6位

もり川 (北山、松ケ崎 / 寿司、日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2016/09訪問 2018/01/01

「味の」もり川

<2008年9月>
新幹線の中で考えました。
「ホテルへ直行するなんて、時間がもったいない!」。で、急遽、予定変更。
京都駅からその足で地下鉄に乗り、荷物を持ったままお店へ直行。

ご近所の年配ご夫婦が帰られてからは、運よく貸切状態。
入口近くの「シェフズテーブル」とも思える席だったので、手元がよく見えて楽しい。
まずは「いつものメニュー」を順々に。

そして、今回初めて「鴨の塩焼き」を。
ロースターで注意深く火加減を変えたりしながら、ようやく出来上がった塩焼き。
噛めば噛むほど鴨の滋味が感じられる、シンプルながら、奥深い味わい。
しみじみと美味しい。

最後にいくつか握ってもらった中では、近海(淡路島)の雲丹が秀逸。
ミョウバンを使っていない、新鮮な雲丹。
飲み込んだあとも、口の中にまったりと残る旨味だけで、お酒がいけちゃいそう。

駆け付けた甲斐がありました。
今回も、美味しいものをたっぷりといただき、大満足。

<2006年9月>
やはり京都滞在の際には足が向いてしまいます。
まだ鱧もあり、さらに松茸が出ていて、両方を味わうことができました。
今回も極上の鮒寿司があり、立山の冷酒と共に。
旅の始まりの日なので、お酒は控えようと思ったものの、
そんな決意はどこへやら。

<~2005年12月>
駅から10分ほど、住宅街ではありますが、周りに畑もあるのどかな場所。
看板には「味のもり川」と書いてあります。
大将は以前松鮨におり、その後独立。
1階が店舗、2階が自宅のようです。
入って手前はカウンター席、奥には個室があります。
ピリっときれいに磨かれている店内は、大将の姿勢が感じられます。

普通の鮨屋のように、ネタの入ったケースが目の前にあるわけではありません。
献立は季節のものが多数。
まずは、鮒寿司などのつまみや季節の薄作りなどをいただき、
蒸し物、焼き物などなど。
お通しからして、どれもがいい仕事をしているものばかり。
特に、とこぶし煮に山椒を添えたものは美味。
蒸し物などの出汁もよく、どれも日本酒によく合う。
最後に何か握ってもらうのですが、ネタはどれも最上。
通常のネタに加えて、季節によっては加茂茄子の握りなどもあります。
もちろん京都ならではの鯖棒鮨は極上。
そのままいただくのもよし、半量は網で炙ってもらうと、
鯖の脂がシャリに回り、また違った愉しみが味わえます。

客層は地元京都のきちんとした風情の常連さんがほとんど。
さらに東京の築地の人々が新幹線に乗ってでも訪れるという話は聞きました。
初めて訪れた時は、無口で気難しそうな大将とは、あまり会話は
できませんでしたが、何度か通ううちに気軽な話もできるように。
偶然、おせち料理も作っていると聞き、この何年かは大晦日に届くよう、
配送してもらっています。
京都の料亭のおせちなどの比べたら、全く地味ですが、さすが「味のもり川」。
食べて本当に美味しいおせちです。
なかなか、こんな美味しいものには出会うことができません。
家に居ながらにして、こちらのお料理を堪能でき、
満足この上なしのお正月が迎えられます。

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7位

モノリス (渋谷、表参道 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.6
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥15,000~¥19,999

2017/08訪問 2018/01/01

きっと進化し続ける…

<2015年4月>
店名に違わず、進化を続けています。
店内が改装され、明るい雰囲気に。
煌めきがある照明器具や丸テーブルも入れて、華やいだ雰囲気になりました。

それに合わせたように、お料理も進化しています。
進化系の定番や、新しいメニューや、楽しい、美味しいのオンパレード。

シェフ、乗ってます。
ネオ・モノリスに期待度が高まります。

<2011年8月>
今年に入ってからも、何度かディナーに訪れていましたが、
ランチは初めて。
事前にHPでランチメニューは確認していたものの、やはり「ムニュ・モノリス」に決まり。
そのお店の定番メニューも好きだけれど、シェフの挑戦が感じられる月替わりのメニューって、楽しい。

「トマトのジュレムース」。
爽やかな酸味とジュレ。バランスが絶妙。
ムース系はシェフの得意とするところ。
さすがです。

「山口県宇部港より直送 鱧のポッシェ 焼き茄子 オクラと共にジュレ寄せに仕立てて」。
香ばしく焼きあげた鱧と焼き茄子。
オクラとジュレに紫蘇の葉を加えて、和のテイスト。
なんて合うんでしょうね。
日本の食材とフレンチとの融合を感じます、ホントに。

「フォアグラのポワレ 花ズッキーニのファルシをフリットにし、とうもろこしのピュレを添えて」。
マデラ酒を用いたソースは良質のフォアグラの旨さを引き立てます。
私は、もう少しだけ表面がカリっと香ばしいフォアグラが好きかも。
花ズッキーニのフリットにはモッツアレラ、トマトコンフィ、バジリコが入っているという仕掛け。
とろーり具合が何とも!
一皿でどれだけの手をかけているのやら。色んなサプライズが楽しみ。

「鮎のふわふわ焼き その肝のソース」。
鮎の姿をしているけれど、中は帆立のふわふわムースがサンドしてあり、新しい感覚。
添えてあるスイカの青さや甘さとぴったり。
鮎の主張は少ないけれど、添えてある肝のソースが存在感大。
苦みが何とも美味しく、大人でよかったと思う瞬間。

「イベリコ豚のセクレタのグリエ 野菜のファルシーとスペッツレ添え」。
脂が何とも旨いセクレタは、肩肉の下に隠れていている美味しい部分だそうで。
サクっとナイフを入れるのが楽しい。
口の中で咀嚼するのが楽しい。
飲みこんでしまうのがもったいない。
スペッツレって何かと思えば、お肉の下に敷いてあるパスタのような、チーズのような?
ガルニには茄子に枝豆やムカゴ、茸を乗せて実に彩りよいグラタン。
そして万願寺唐辛子の茄子のペーストを詰めたもの。
さらに、ミニパプリカにバジル風味のリコッタチーズを詰めたもの。とろりん系です。
厨房を見る限りでは、以前よりも人数も増えたよう。
それで、手の込んだお皿が可能になったのですね。

「奄美大島産パッションフルーツとスイカのシャーベット」。
キューーンと酸っぱいパッションフルーツで、目が覚めます。
デセールの始まりなのです。

「桃のブラマンジェ」。
フルーツたっぷりのお皿。
満足感でいっぱいです。

「温かいフィナンシェ」。
ランチのミニャルディーズはこちら。
バターたっぷり。周りがカリっと、中がふんわり。
お願いすれば、テイクアウトもできます。

コーヒーもきちんと美味しく、そのあとに冷たいハーブティーもサービスされます。

以前よりもサービスは落ち着いたかとは思いますが、まだ遠慮がち。
シェフの100%のお料理を120%まで引き上げるような、積極的な姿勢がもう少し欲しいところ。
会話で、そのお皿の魅力、お店の魅力は、さらにアップするのです。
そんなエッセンスを大事にすれば、気分よく訪れるリピーターが増加すること請け合い。
シェフの実力は、揺らぎないものなのですから。

<2010年12月>
クリスマスディナーをのんびりといただける日があり、興味が湧きました。
2回転の落ち着きのなさが苦手な私には、うってつけ。

実は毎月のように訪れてはいるのですが、満席の日に居合わせるのは初めて。
開店して以来、だんだんと登り調子になってきたモノリス。
お料理、サービス、共に満席だとどうなるのか…。

新たにソムリエールさんを迎え、これからワインを強化していく姿勢が見られます。
そのためか、12月からサービス料もかかるようになりました。

店内は訪れるごとに色んな変化があり、進化しているのが手に取るように分かります。
壁に絵が飾られたり、新しい食器が増えたり。
さらにアミューズやミニャルディーズにも色んな工夫が。

まずは、うれしい瞬間、グラスシャンパーニュ。
あらら、なぜか少なめです。テイスティングかしら?
最初のひと注ぎで泡が少し立ったので、もう一度注ぎ足してくれるのかと思いましたが…あれ?

「アミューズ」。
シャンパンと共に勢いよく食べてしまい、何のムースだったか失念…。
しかし、中にたっぷりと入ったキャヴィアの塩気を充分に計算した味付け。

「カリフラワーのスープ カニのフラン ウニ添え」。
カニの茶わん蒸しの上にカリフラワーのスープ、クルトン。熱々。
脇にはレンゲ型のガラスのスプーンの上に、たっぷりとウニ。
少しだけウニを口にしてみると、これだけで充分美味しいもの。
それをスープの中に混ぜてみると、コクが増して何度も楽しめる。
美味しいものをたっぷり。そんな満足感のある始まり。

「オマール海老と野菜のエチュベ トリュフ風味」。
プリプリのオマール海老。
色んな野菜の中にはオマール海老が。
彩りよく、素材を楽しめる一品。

「金目鯛のポワレ ムール貝のリゾット マリニエールソース」。
カリっとした皮目が印象的な金目鯛。
添えられた蒸しアワビは柔らかくて美味しい!
ミルクのリゾットは優しい味。ムール貝が中に隠れています。
材料だけ聞くと、とても濃厚過ぎる気がするものの、実際はあっさり。

「特選和牛フィレ肉のグリエ ロッシーニ風」。
那須牛は、グリエの薫りが見事。
素材を最大限に生かした火入れ。
クラシカルなメニューをシェフならではのアレンジで、芽キャベツのキャラメリゼを添えて。
ソースの照りツヤはとてもきれい。
若干の甘みはハチミツでしょうか。

「ヨーグルトのムース 三種のベリー ジュレ寄せ」。
アヴァンデセールらしく、酸味をと爽やかさを添えて。

「出来立てモンブランにキャラメルアイスを添えて」。
まずはお皿の淵にちょこんと乗った、イチゴでできたサンタさんがかわいい!
王道のモンブランはデセールならではの作り立て。
大満足です。

クリスマスディナーらしい、誰もが美味しいと思える、そんなメニュー構成。
高級食材をあちこちにちりばめて、上質の乳製品を色んな場面でたっぷり使って。
シェフは、好きなものをたっぷりと食べたい方なのだと、想像できます。
加えて、お皿ひとつひとつがとってもきれい。
料理センスに加えて、天性のセンスのよさが、私のココロをつかみます。

メニューには含まれていないチーズは、あまり回転していないらしく、
チーズプレートに乗せるには、やや熟成が進んでいるものも見受けられました。
実はちょっとくらい刺激を感じるもののほうが、好きだったりするんですが。

開店以来、お店側とお客さん側がだいぶ歩み寄ったかとは思われます。
ただ、今回のように満席になると、いくつかの部分で取りこぼしも時には感じられ、
まだこれから、といったところ。
ワインの薦め方も含めて、もう一歩近寄ったサービスでもいいと思います。
サービス料がかかるようになったので、ちょっとキビシめです。

とは言っても、大好きなお店のひとつ。
来年もどんなモノリスを見せてくれるのか、とても楽しみです。

<2010年4月>
まだ開店して1カ月程度。あまり情報もありません。
モナリザ丸の内店のシェフが独立開業…その程度。
でも、基本がしっかりしていれば間違いはないはず。同じ出身のラシェリールしかり。
「えいやっ!」と訪れてみました。

渋谷から宮益坂を上り、青山学院大学の手前を右折。
ローソンを過ぎたすぐの道、つまりワイン好きの聖地(?)バーガンディとの間の道を右折。
少し進むと右側にドミノピザがあるので、そこを右折。
すると左側にすぐ見えます。

重いガラスの扉を開くとシックな店内。
奥に細長く、ダイニングに入る時にもう一回扉を入ります。
ダイニングは片側ベンチシートで両側に。さほど広くはありません。
ベンチシートの後ろ側は間接照明で、木目調の壁をほんのり照らします。
上からの照明はダウンライトが真白なテーブルクロスを照らし、
それがレフ板代わりとなるのは女性にはうれしい限り。
カーペットもダークな色合いで、大人のスペースと感じます。

オープンキッチンではないけれど、厨房はガラス張りとなっているので、
ディジェスティフのボトルの隙から、シェフはダイニングが確認できるようになっています。
つまりダイニングからも、厨房の雰囲気が伺える、
でもオープンキッチンのように騒々しくはない、ちょうどいい塩梅。

ちょうどデッドスペースに当たるテーブルには、フラワーアレンジメント。
そして、テタンジェの大きなシャンパンクーラーにシャンパン1本と
グラス用の白ワインが3種類ほど入っています。

テーブルには小さなガラスの器に入った、小さなバラの花。
セッティングされたカトラリーは、まだピカピカ。
通常使用するものは、エレガントなテイスト。
ラッキーウッドのティアラシリーズでした。

コンセプトコースである、月替わりの「ムニュ モノリス」をオーダー。

食前のシャンパーニュと共に、「グリーンピースのムース」。
上にはカリフラワーのムース。
口の中いっぱいに広がる滑らかなムース。ブイヨンとクリームが美味…。
これは、これからのお皿に期待が持てます。
黒白のゴマを散らした、チーズストローを添えて。

「蟹のラビオリ」。
テーブルに置かれた瞬間、彩りのきれいさに感嘆。
少し泡だてたバターソースをたっぷりと纏ったラビオリ。もっちりとした生地。
サイコロ状にカットした野菜やサーモンに囲まれて。

「ブーダンノワール」。
テリーヌ状のブーダンノワールが二切れ。海老も添えて色合いもよく。
グリーンピースとエスプーマのソースで。
熱々のブーダンノワールは、豚の色んな部位がコリコリと、食感もよく。

「鰆のポワレとホタルイカ」。
ホタルイカから取ったソースと、トマトのピュレと共に。
付け合わせには、サクっと揚がった春野菜の天ぷら。
淡泊で、しっかりと厚身の鰆。
プチっと弾ける、新鮮なホタルイカ。

「鶉のロースト バニラの香りのソース」。
厨房からいい香りが漂ってきた…と思ったら、大き目のストウブのお鍋がしずしずとやってきました。
蓋を開けてもらって覗き込むと、ちょうどいい具合にできあがった頃。
「お皿に取り分けてまいります」と、ひとまず退場。
フワっとしたバニラの残り香に、期待が高まります。
お皿にきれいに取り分けて登場。
まずは主役の鶉は、しっとりとジューシーなきめ細かい肉質。極上の素材選びのこだわりを感じます。
そして、完璧な火入れに声もなく…。最後は骨までしゃぶって。
手長エビは半身を殻ごと。プリっとした身は、きれいに殻からはずせます。
ガルニは、ホワイトアスパラ、じゃがいも、ニンジン、青菜など。
クラシカルなソースはバニラ棒の香りで、シェフならではのアレンジ。
こんな素晴らしいお皿には、久しぶりに出会ったかも。

「アプリコットのムース」。
アヴァンデセール。
酸味が強いかと思いきや、かなり甘め。食後にガツーンと。

「マンゴーとソルベ アールグレーのジュレ添え」。
グランデセール。
ソルベはアロマフレスカのグラニテもびっくりの酸っぱさ!
マンゴー、ムース、アールグレーのジュレで中和して。

パンは自家製のプチサイズのフランスパンが熱々で。
生地は粉の旨みが感じられる、もっちり感が楽しめるもの。
冷めても美味しくいただけるのは、ポイント高し、です。
お代わりをお願いすれば、別の種類のものが供されるかも知れませんが、
今回は未確認です。

お料理全体、今後も相当期待できる!と確信しました。
彩り、プレゼンテーションはモナリザ出身だけあって女性好みながらも、
基本をベースにしてきっちり、しっかりと作ってあるところが好印象。
このお値段で、このお料理…。コストパフォーマンスが良すぎです。

ワインリストはオーダーしやすい価格帯のものが多数。
高級ワイン好きにはちょっと物足りないかもしれないので、
お食事中心のお店と言えるでしょう。

特筆すべきはサービス料がかからない、ということ。
確かに、さほどこなれたサービスとは言えないので、これからに期待、といったところ。 

帰りは外までシェフとギャルソンがお見送り。
忙しい時間帯なのに、角を曲がるまでずっと。
それって、とても大事!最後の印象が心に残るものです。

この1年くらいにオープンした他店と同様、内装などにあまりコストはかけていないけれど、
それをうまく生かして、料金に反映させているのは素晴らしい。
きっと、近いうちに再訪あり、です。

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8位

カーザ ヴィニタリア (麻布十番、赤羽橋、白金高輪 / イタリアン、パスタ、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 4.3
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2015/07訪問 2016/01/09

テラス席の幸せ。

<2015年4月>
1階は色んな業態が入れ替わった結果、昨年9月よりBar 和音に。
秘密にしておきたい、そんな空間です。

やはり春はテラス席が心地よいです。
最近はアラカルトでオーダーするのが定着。
新しいメニューを試したり、定番メニューを楽しんだり。

今回秀逸だったのが「オッソブーコ」
骨付きぶつ切りをワイルドに煮込み。
骨の中の髄はゼラチン質で、最後にスプーンで。

アラカルトでシェアしたお皿は、目の前でのゲリドンサービス。
洗練されたプロの手さばきには、いつもながらため息が出ます。

引き換え、お店の雰囲気とテイストが異なるサービスの方もおり、今回は両極端でした。

ともあれ、この空間の心地よさにはいつも惹かれます。

<2012年12月>
9月に訪れた時には、1階にあったワインショップがなくなり、和風のカウンターが。
熱海の茶寮和びが、こちらにオープンするとのお話でした。

今回は既に、「和び」がこちらの1階にオープン済。

1階が和食、2階がイタリアンという特異な業態ですが、
隠れ家的な雰囲気を醸し出しています。

階段を上がると、ほの暗い照明が気持ちを落ち着かせてくれる店内。

スタッフの顔ぶれが若干変わって。でも、違和感なく。

フランチャコルタのしっかりした味わいを愉しみながら、メニュー決め。
いつも、アラカルトに魅力を感じるものの、やはりプリフィクスに。
ほんとうは、メインをアラカルトからチョイスできるとうれしいんだけど・・・と思いつつ。

○バーニャカウダ
○軽く燻したうなぎとキャビア
○蟹のリゾピラフ
○牛頬肉の赤ワインソースとマッシュポテト
○ラディッキオのココット
○アンチョビとガーリックのスパゲッティーニ
○栗のブリュレ


特に!リゾピラフの旨さは、格別。
3種類の蟹の濃いエキスを、お米にギュッ。
ほぐし身は、蟹のジューシーな食感で口いっぱいに。
添えられたラディッキオのココットの苦みは、大人だけがわかる味わい。

いつものお味を、いつものように、日常の延長で。
そんな感じで、素敵な空間を楽しませていただいています。

<2011年11月>
秋のカーザ・ヴィニタリアを楽しみに訪れました。
テラス席は大好きな空間なのだけど、この日はやや寒い上に、窓が全開の模様。
元からあるダイニングに案内してもらいました。

実は、このお部屋に入るのは初めて、
窓側に2人掛けテーブル、奥の壁際には4人掛けテーブル。
座ってみると、低めの椅子が妙に落ち着き、テラス席と遜色ないことを発見。
シンプルながら、少しイタリアンクラシックのテイストのインテリア。
暖炉を模した部分には、キャンドルが置かれ、天井をゆらゆらと照らしています。
各テーブルにもキャンドル、そしてダウンライト。
明るすぎず、暗すぎない、ちょうどいい照度です。

しっかりとした味わいの白ワインのグラスをオーダーして、メニュー決め。
いつも色々と考えるけれど、コースに目が行ってしまいます。
このコースには決めごとが様々。メニューの後ろに記載します。

「バーニャカウダ」。
(シェア)

大きな銀皿にたっぷりの新鮮野菜と、バーニャカウダソースが一緒に載っています。
野菜不足を解消できる、強い味方。

「軽く燻したウナギとキャビア」。
(お好みの前菜はメニューから各人好きなものを)

いつものアロマフレスカのでスペシャリテを、たっぷりと食べてみたかった今回(笑)
ふっくらときれいなウナギ、キャビアと共に堪能しました。
前菜のメニューは、グラタンや煮込み料理系多いよう。

「炙った北寄貝とポロ葱のタリオリーニ からすみ添え」。
(パスタかお米料理メニューからテーブル毎に統一)

手打ちパスタには、オイルベースの優しいソースがよく絡み合う。
北寄貝とからすみのコンビネーションは黄金。

「牛ほほ肉の赤ワインソースとマッシュポテト」。
(セコンドは「本日の」肉料理か魚料理を各人チョイス)

いい赤ワインを、惜しげなくたっぷり使ったと思しき一皿。
ソースのツヤ感が食欲をそそります。
非常に柔らかく煮込んだほほ肉は、赤ワインソースをたっぷりと纏わせて。
赤ワインが進みます。

「ラディッキオのココット」。
(「本日の」と決まっているけれど、希望があればメニュー内の別のものでも)

「本日の」は安納芋だったけれど、ラディッキオを希望。
平べったいスクエアなココットで登場。
ピリっとした塩の効かせ具合が好み。

「シンプルパスタ」。
(口頭で告げられる4種類のメニューから好きなものを。30g、60g。100gの好きな量で)

締めのパスタって、日本人的。
最後にご飯が欲しい国民の気持ちがよくおわかりで。

「フロマージュブランのムースと赤い果実のコンポート」。
(ドルチェはメニューから好きなものを各人チョイス)

真白でまん丸のフロマージュブランに添えられる、ベリー類。
甘酸っぱいソースは、初恋の味?

サービスは一人で受け持つテーブル数が多く、それを見事にこなしているのは素晴らしい。
動きに無駄がなく、ほんとうのプロ。
相当な仕事量のはずなのに、ワインのデキャンタージュは魅せてくれます。
細~く、長~く注ぐ、目を引くパフォーマンスは、固唾を呑んで見守ってしまうもの。

今回も、素敵な時間を楽しませていただきました。


<2011年4月>
看板は消灯、1階のワインショップは、とても柔らかな光。
なかなかセンスのいい節電具合です。

今回も雰囲気の好きな、テラス席にて。

三寒四温の春の朝晩は、冷えるもの。実はちょっと不安でした。
しかし、ストーブもブランケットもあるので、調節可能。
寒さについては、取り越し苦労でした。

メニューを見ると、やはり色んなものが食べたくなり、コースにて。
メインディッシュは、魚料理と肉料理が決められているものの、
別メニューもプラス料金にてオーダーができます。

特に、心に残ったメニューをいくつか。

「和牛みすじ肉の炭火焼 二色タンポポと柑橘のサラダ添え」。
前菜ながら、お肉の美味しさを遺憾なく生かして炭火焼。
まん中で、薄くスライスしてあります。
焼き目は香ばしくパリっと、中はジューシーに。
旨みを噛みしめながら、満足感の高いスターターとなりました。

「十穀米とフォアグラを詰めた鶉のロースト」。
想像通りの姿ながら、想像を超えたお肉とソースの美味しさ。
中に抱え込んだフォアグラの旨みが十穀米に含まれて。
贅沢なメインのお肉料理に大満足。

どのお皿も、必ず満足させてくれるものばかり。
CPのよさは、驚くべきものがあります。

テラス席は、アロマフレスカの時よりもテーブル数が多いため、それに伴って収容人数も増加。
ところがサービスは2人で行っていたので、やや忙しそうな感じを受けます。
しかし、押さえるべきところは押さえられる人材がきちんといるので、
目配りやワインに対しても、安心。
細く長く落とす見事なデキャンタージュは、目でも楽しませていただきました。
サービスは、伝統ある底力を感じます。

<2011年1月>
かの、麻布十番のアロマフレスカがあった場所はどうなっているのか。
初めてのカーザ・ヴィニタリアへ行ってみました。

お店に着くと、テラス席と室内とどちらがいいか聞かれましたが、
迷わず、元アロマフレスカのあったテラス席を選択。
そして、中庭が見えるお気に入りの左側へ。

テーブルも椅子も、以前のものを使用。
この空間の小ぢんまり感と、この椅子の座り心地が好きなんです。
懐かしい場所に帰ってきたような、そんな気分で着席。

ところで極寒のこの日。テラス席を選択するのは、ある意味チャレンジ。
開閉自由の仕切り窓は、閉まっているものの、必ず一ヶ所を開けた状態。
店内には赤々と燃えるストーブがところどころに置かれ、
各席には、ふわっふわのブランケットが用意されていました。

まずはテラス席のみのサービス、ホットワインか、ジンジャーレモネード。
熱々を口にすると、体にじんわりと温まってきます。
冬のみでしょうが、うれしいサービスににっこり。

メニューはアラカルトが充実していたけれど、初めてなのでコースを。
前菜はアラカルトから、それぞれ好きなものを。
パスタ・お米料理メインは本日の魚か肉のどちらかを、テーブル毎に統一して。

まずは噂の「バーニャカウダ」。
大きな銀色のお盆のようなお皿に、クラッシュアイスを敷き、
家庭菜園のようにきれいに並んだ、彩りよい野菜の数々。
ソースはいわゆるバーニャカウダソースか、ゴルゴンゾーラのソースから選ぶことが可能。
どれを口にしても、野菜の甘みを感じるものばかり。
とても最初に全部は食べきれないので、他のお皿をいただきながら、おつまみのように。
でも、どんどんクラッシュアイスが融けてくるので、野菜が水っぽくなっちゃう。
早めにいただいてしまうほうがいいようです。

「リードヴォーと茸 ポーチドエッグ添え」。
熱々のストウブの四角いお皿に、元気のいい茸と、きれいな焼き具合のリードヴォー。
ポーチドエッグを崩すと、元々濃厚なゴルゴンゾーラソースがより濃厚に。
冬にぴったりの、前菜とは言えないボリューミーな一皿。

「蟹のリゾピラフ」。
アロマフレスカのメニューにあったとき、あまりに少ない量でいつも欲求不満でしたっけ。
今回はたっぷりと。
ストウブのお鍋を持ってきて、目の前で取り分け。
最後はパエリアのように、お鍋の底にできたお焦げをガリガリと。
予想通りのお味ですが、量が多いと、より蟹が勝つんですね。
ともあれ、満足です。

「牛頬肉のゴルゴンゾーラソース 冬トリュフがけ」。
プラス料金でトリュフをかけてもらいました。
白トリュフほどでないけれど、ほんのりと。
お肉はとろとろ。
赤ワインソースが定番だけれど、濃厚なゴルゴンゾーラソースでグッと冬メニューに。
この日はゴルゴンゾーラ三昧となりました。

「シンプルパスタ」。
4種類のパスタメニューから、1種類。
お腹と相談して、30g、60g、100gから量を選ぶことができます。
今回は、トマトソースとケッパーのパスタを。
パスタの茹で具合は、焦点ぴったり。
細めのパスタにシンプルなソース。真価がわかります。
〆パスタとして、うれしい一品。

「パンナコッタ あまおう添え」。
限りなく滑らかなパンナコッタに、薫りの立っているあまおう。
黄金の組み合わせに加えて、香ばしいカラメルとカスタードのソース。
素直に美味しい!
予想を超える、ほんとうに満足のドルチェ。

本店と比べると、すべてにピントがぴたりと合ったお皿、というわけにはいかないけれど、
居心地のいい空間で美味しいものをたっぷりと頬張り、そしてワインを愉しむ。
そんな使い方ができるのが、魅力的。

ただこの季節、テラス席だからと言って、どこかの部分を開けておかなければいけないのは、やや疑問。
寒風が常にピューピューと入って来るので、お腹から足元まで、ブランケットにしっかりとくるまってました。
冷えて、風邪ひく人がいないことを願うばかりです。

アロマフレスカグループらしい明るいサービスは、目配りもよく、心地よし。
どのお店に行っても、一定以上の水準が保たれているのが、素晴らしい。

リストのワインは、なかなかに魅力的。
でも今回は、お皿に合わせて、お薦めグラスワインを見繕ってもらいました。
色々楽しめたので、今回はそれが正解。

カジュアルながら、ややオシャレ度が高い当店。
たまに変わった客層がいるのは以前からだったので、それもまた楽し。
半数の予約は当日でもいい、ということは、思い立ってフラっと訪れるのもよさそう。
暖かくなった頃の訪問も楽しみです。

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9位

ル・グラン・ソワール (六本木、乃木坂、麻布十番 / ビストロ、ワインバー、フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2015/12訪問 2016/01/09

オモテ通りに佇む「隠れ家」。

<2013年4月>
訪れた日、お誕生日の方々がちらほら。
デザートにオルゴールを添えて、サーブしてくれるようです。

今回、心に残ったメニューは。

「ハマグリと山菜のフリット 空豆とハマグリの出汁のソース」。
殻から剥いたハマグリを、サッとフリットに。
口にすると、ふっくらと立派なハマグリ。
ジューシーな旨みが、口の中でほとばしります。
この季節のお楽しみ。

シェフは最近、北海道の生産者のところに直接出向き、蝦夷鹿の狩猟に同行されたそうです。
食材の生産者の顔の見える仕入れ、それをどのような料理に反映させるか、
色んな方の思いが、お皿に凝縮されているんですね。
そんなことを考えながらいただくと、より深く、美味しさを受け止めることができそうです。

<2012年12月>
新たなスタッフとして、ソムリエさんが加わっていました。
それと共に、「ん?」と目を引く黒板のメニュー。
グラスワインのラインナップも心強いものになりました。

おつまみメニューも充実し、ワイン好きにはたまらないものばかり。
盛り合わせていただけば、それでどんどんワインが進んじゃう。

バータイムのカウンターはちょっと照明を落として、ほの暗いムード。

ラストオーダーは23時。
2軒目に、と思い出してから行っても充分間に合うし、さらに駅チカ!
ワインバーとしても、魅力が増しました。

<2011年10月>
シェフとマダムで営む小さなお店は、裏通りに佇んでるのがお約束…そんな風に思い込んでました。
ところがっ!六本木通り沿い、長寿庵の地下にあるとはビックリ。
開いた扉にメニューが掛っているのが目印で、すぐにわかります。

地下への階段を注意深く降りると、すぐに店内。
正面にはカウンター席l、左手奥にテーブル席。

全体に白が基調で、テーブルはブラウン。
テーブルに溶け込むようなランチョンマットに、カトラリーがセットされています。
ベンチシート側にはモノリスのように間接照明が埋め込まれていて、
上からの照明も合わせて、ちょうどいい具合。

まずは食前酒。
クリーミーな泡を湛えるグラスシャンパーニュはRMで、繊細な泡がとても上品。
それでいて味わい深い。
グラスは。、ハンドメイドでしか作れない一体型の、流れるような美しいフォルム。
センスのいい小道具に出会うと、うれしいものです。

素敵な笑顔のマダムが、メニューの説明をしてくれます。
アラカルトのみで、ポーションが大きめだから前菜とメインで充分なこと、など。
各ジャンルとも種類は少ないものの、厳選されている様子。
お腹の空き具合に合わせて、軽い感じでオーダー。

「野菜チップス」。
薄~くスライスした人参やお芋などの素揚げ。まだほんのり温かい。
ピリっと塩味で、野菜の甘みや旨みもたっぷり、
お持ち帰りしたいくらい。

「アミューズ」。
カニのガレットは熱々の焼き立て。
ホロリとした優しい食感がやさしく、食欲をそそります。

「栗とシメジとスッポンのパイ包み」。
実に丁寧に作られた、パリッとした春巻きのようなパイの中には、
ダイスにカットされた食材がたっぷり。
色んな食感が愉しめます。
濃厚なソースとスパイスをお好みで。

「シャラン産鴨モモ肉の炭火焼」。
きれいにロゼ色に炭火の薫りがよく、お肉はジューシー。
トップにはキノコがたっぷり。
そしてキノコを使ったソースにはブルーベリーと五香粉。
どちらも鴨にマッチします。

「白ゴマのブランマンジェ」。
スープカップにふるふるのブランマンジェ。
滑らかでクリーミーで薫り高いゴマの風味は、食後の幸せ度をアップ。

パンはロブションのバゲットを特注し、お店で最終的に仕上げているそう。
小麦の薫りが高く、さらにお料理を引き立てます。
そして、添えられるバターが特筆もの。
この秋は、いちじくのバター。
季節ごとにシェフの感覚で変えているそうですが、チーズにいちじくを合わせるように、
バターも乳製品だから、非常に合うんです。
たっぷりカットして、パンに載せて。
さらにワインが進む~。

お皿に合わせて、グラスワインを見繕っていただきました。
ニューワールドまで視点を広げて、それぞれの料理のソースとの共通点を見出した上でのチョイスなど、
お手頃なもの中心。なかなか楽しめました。
欲を言えば、せっかく遅い時間までの営業。
ワインラヴァーを取り入れるなら、もう1歩先のものもあるといいかも。

シェフは、かの「オストラル(あの名物マダムはいずこ?)」出身で、ランベリーのスーシェフだったのは、
言わずと知れたこと。ウデは確かです。
丁寧に一皿づつ仕上げてあるお料理は、美しい上、完成度も高い。
フグの免許を持っているという、稀なフレンチシェフ。
どんなふうにフレンチにするのか、冬の季節も期待できます。

シェフを支えるマダムのサービスも、お店の魅力。
このお店の開店までサービス経験がないとのことでしたが、いえいえ。
細やかな心遣いは、持って生まれた素質。
美味しいものを、もっと美味しくするスパイスを振りかけてくれます。

これからは、アラカルトのみでなくコースも設定する、とのこと。
シェフの考えるコースの流れを愉しむ、そんなことも期待できそうです。

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