Champagneさんのマイ★ベストレストラン 2009

Champagneのクリスタルなサロン

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Champagne (女性・神奈川県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

★1位~4位は、昨年と同じ顔ぶれで、立ち位置が入れ替わっただけ。
この1年で何度か訪れていて、より完成度が高いと感じたお店が上位となりました。
どのお店もそれぞれに居心地がよく、訪れる度に「今度はいつ?」、と思わせてくれます。
シェフの、お料理に対する想いが、きちんと伝わってくる。
サービスする側の想いが、きちんと伝わってくる。
そんな4店が並びました。
それをきちんと受け止められる「食べ手」でいたい、と、こちらも訪問する時は気合が入ります。

★再訪ばかりの私も、ニューカマーでベスト10入りしたのが1店。
エネルギーが感じられる味と、意気込みに出会いました。
新しいお店を見つける醍醐味ですね!
それも、食べログレビュアーの皆さまのおかげです。

★これからの1年も「ビックリ美味しい!」感動を探して、放浪する予定です。
どうか、レビュアーの皆さまのお力を貸してくださいね。

マイ★ベストレストラン

1位

アロマフレスカ (麻布十番 / イタリアン)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/10訪問 2014/12/21

薫り高いお皿の数々。

<2010年4月>
麻布十番最後の「アロマフレスカ」。
今月末で一旦クローズ。7月以降銀座で再出発です。
広尾時代の半地下のこぢんまりした、黄色い空間も好きだったけれど、
こちらの、中庭を囲むガラス張りダイニングも大好きでした。

初心に帰って、定番メニューを。

どのお皿も、言わずもがな。
もう舌に慣れた味ながらも、完成度の高さをひしひしと感じ入り…。

鰻のスモークに、フワっとカルダモンの薫り。
焼きタラバのふっくら感とグレープフルーツの絶妙なコンビネーション。
アナゴの香草蒸しに、フレッシュトマトのジューシーさをたっぷりとプラスして。
タケノコのアクを個性にした意外性あるスープ。
ワタリガニをしっかり絡めたいパスタ。
バジルの風味たっぷりのラヴィオリ。
大きな地蛤と白身魚をココット焼き。
とびきり酸っぱいグラニテ。
シンプルに塩をつけて、が一番好きな和牛のビステッカ。
甘~い新タマネギのココット焼き。
ドルチェ。
大きなポット1杯のお茶菓子。

今までのサービスをこれからもスライド、でないのは残念ではありますが、
今後を担う人材も素晴らしいので、期待度200%。

次回、銀座でお目にかかりましょう。

<2010年1月>
タクシーでお店の前に着いたら、すぐに中のスタッフの方が気が付き、
寒いところをドアを開けてお出迎えしていただきました。
流れるように2階へ案内され、アロマフレスカのエリアへ。

今回は季節のコース。
心に残ったものをいくつか。

「魚介のサラダ」。
ガラスのお皿がキャンバス。
エビ、イカ、タコ、鮑、白魚のフリットなど。
それにイクラ、トマトのドレッシングソースで赤の彩り。
何種類もの香草と緑のソースをちょこっと。それが緑の彩り。
お皿が置かれた瞬間、まずはお皿の華やかさに感激。
口にして、様々な食材の、それぞれの丁寧な火入れに感激。
相当手がかっているはず、の一品です。

「筍のスープ」。
スープには炙った筍が一切れ。ピックが刺さっています。
スープを最初に口にしてから、筍を食べてくださいとのご説明。
う~ん、まさに筍過ぎる…。
筍のえぐみも、たーっぷりと。
今までになく、不思議の一皿。

「黒トリュフのリゾット」。
いつもながら、トリュフ系リゾットは素晴らしく、
あともう少し食べたい、というところで終了。

「鶉のロースト」。
ジューシーさが、見事な焼き具合。
骨の際まで、みっちりと付いた、しっかりとした肉質。
たぶん、鶉を焼いた際のジュを用いたソース。
あっさり系でベストマッチ。

「野菜のココット」。
ストウブの、小さくてもどっしりとしたお鍋で無水調理。
今回は意外にも、カリフラワーでした。
焦げている?と思ったところが一番美味しく、茎はホクホクとした食感。
素材の旨み、甘みを感じられる、非常に秀逸な一品。

次は春にお伺いします。
予約がエンドレス…。

<2009年10月>
今回は季節のメニューより定番メニューに惹かれました。
定番とは言っても、何品かは季節ごとに変化しています。
さらにパスタを別のものに変更することなどは相談の上、可能。
今回は、ラヴィオリをリゾットに変更していただきました。

では、印象に残ったお皿をいくつか。

「白トリュフのリゾット」。
まずはシンプルなパルメザンチーズのリゾットが置かれます。
そして、セレモニーのように白い手袋をはめて、白トリュフを目の前で削ってくれます。たっぷりと。
チーズの薫るリゾットの湯気に乗って、トリュフの薫りも踊り出すよう。
リゾットのでき具合も完璧!です。

「太刀魚と地蛤 キノコのココット焼き」。
ジューシーな舞茸などのキノコの上に太刀魚と、大きな蛤。
太刀魚はふっくらフンワリと、上品な仕上がり。
蛤はジュワっと汁が口の中に広がる、レアな火入れ。
ソースは濃厚で、淡泊な太刀魚にはぴったり。最後はパンでぬぐって。

「赤茄子のココット焼き」。
柔らかく日が通った赤茄子。茄子自身の旨み、甘みがとても美味。
ヤケドしないように気をつけながら…。

くつろいでいただく至福のお料理の数々。
また次の季節を楽しみに待ちます…。

<2009年7月>
ディナーの早い時間に訪れたら、まだ明るく、中庭がとてもきれいに映えます。

季節のコースの中で、心に残ったものを。

「鮎の炭火焼」。
ガラスのプレートに、だだ茶豆、さやえんどうを全面に散らし、
真ん中に鮎が鎮座まします。
香ばしく、ちょうどいい焼き具合にヴィネガーがキリっと。

「ウニの冷製カッペリーニ」。
ほんのちょっと、2口くらいの量が心憎い。
口の中でウニがサッと溶け、程よい硬さのカッペリーニと共に喉の奥へ。
美味しい余韻を感じるのも、楽しみの一つです。

「チーズのリゾット」。
トップにはサマートリュフがふんだんに。
アルデンテに仕上げたリゾットとトリュフの薫りが相まって、さらにコクを増します。

「ウサギとごぼうの自家製パスタ」。
シェフお得意のラグーソースの濃厚さに、思わず赤ワインをゴクリ。

「オマール海老の香草焼き」。
殻ごとぶつ切りにしたオマールを、レアに仕上げて。
ジューシーさが口の中、いっぱいに広がります。

「鳩のロースト」。
このお皿もサマートリュフで覆われていて、お肉が見えないほど!
トリュフをかき分けると、鳩の胸肉が。
ロゼに仕上げてあり、火入れが絶妙。
お肉の旨みを感じることができる、最高の状態です。
全体のボリュームを考えて、このお皿だけスモールポーションでお願いしたのは
間違いだということに後から気が付いた次第でした。あぁ…。

いつもは恭しく登場し、追加でオーダーするトリュフが今回は標準仕様だったことは、
ちょっとした驚き。
全体に、値が張る食材がふんだんに使われていて、実質的にお得になった感覚。
円高、ユーロ安の恩恵でしょうか。

さらに、すべてのお皿が完璧な状態だったのは言うまでもありません。
今回は今までの中でも、最高点でした。

<2009年1月>
仕事初めの週。
今年も、美味しいものが食べられる幸せがあることを願って…。

今回は広尾にお店があった時代、よく一緒に訪問していた友人と一緒だったので、
懐かしいお皿が入っているレギュラーメニューにて。

いつもながら前菜からパスタまで、お馴染みのメニュー。
完成度の高さはさすがです。
今回は味の具合も完璧!

メインの一品、「蛤のココット焼きとアマダイ」。
大きな蛤の火入れと、アマダイのパリパリの皮の焼き具合は絶妙。
蛤の旨みがたっぷりと含まれているソースは、すべてパンで拭って。

そしてお肉料理に添えられる、季節のお野菜。
今回もココットに入れて見せてくれたのは、さつまいもの一種、「安納いも」。
ピンク色の外皮で、中身はオレンジ色の濃い肉。
とても上品な甘みとお芋ならではの繊維の食感がよく、ねっとりと濃い味。
さつまいもは胸に詰まっちゃうことが多いのですが、水分量もたっぷりなこのお芋は、
全くそんなこともなく食道を無事通過。
ココット料理だからこそ、旨みがしっかりと閉じ込められて生きているのですね。
脇役ながら、とても存在感のある一品でした。

もちろんメインの「和牛のビステッカ」も、ドルチェの「あまおうのスープ」も、
いつもの美味しさを改めて堪能。
美味しい幸せを噛みしめて、お店を後にしました。

●字数制限のため、<2006年10月><2007年1月><2007年4月><2007年7月><2007年10月><2008年4月><2008年7月><2008年10月>をコメント欄に移動しました。

<~2006年7月>
広尾のお店が閉店した時は悲しみましたが、昨年新たにオープンしたと聞き、
ようやく再会できたのが1年前。
以前よりさらに進化したアロマフレスカを目の当たりにしました。

素敵なお宅に招かれたようなインテリアのダイニングは、とてもくつろげる空間。
もちろん全席禁煙ですが、心なしか空気も澄んでいるような気がします。
温度設定も完璧。
グリーンがきれいな中庭が見渡せるテーブルがお気に入り。
低めのテーブルと椅子は特注品とのこと。
4時間に渡るディナーでも、あっという間に感じるのは居心地がいいから。
さりげなくもキメ細かいサービスは一流。
いつもの顔に加えて、女性スタッフが増えました。

食前のスプマンテは3種類の中から99年ヴィンテージを。
季節のメニューを選択。
「前回と同じくらいの量でよろしいでしょうか」と聞かれ、
そういえば前回デザートの時点で苦しかったのを思い出し、
「今回は少し少なめで」とお願い。
こちらのお料理は目の前にお皿を置かれた時に、ふわっと薫るのが愉しみ。
お皿の周りにあしらわれたスパイスや食材の薫りが鼻をくすぐります。
今回気に入ったお皿はウニとナスのカッペリーニ。
ほんのちょっぴりの量ですが、口に入れた瞬間の
「びっくり美味しい」感覚がたまらない。
赤座海老のリゾットの濃い味も、ソースをすべてパンで
ぬぐってしまいたくなる美味しさ。
どちらもグラスで頼んだシャルドネにぴったり合いました。

ところで余談ですが、昨年、新生アロマフレスカに訪れた際、
夢のような時間の後に満員電車に揺られて帰宅し、気分が台無し。
以後、私にとってのスペシャルな時間のために、
必ずホテルに宿泊することにしています。
お部屋でいただくためのスプマンテを1階のショップで購入して。
季節ごとの、ささやかな贅沢です。

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2位

アピシウス (日比谷、有楽町、銀座 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2017/08訪問 2018/01/01

歴史と文化を感じる老舗

<2011年12月>
年の瀬のお約束。
どうも、アピシウスを愉しまないと終わりません。

いつもの、落ち着き。
いつもの、あのメニュー。
いつもの、サービス。

そんな「いつも」が揃っている安心感。

「海の幸、野菜、クスクスのタブレ」。
「小笠原母島の海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
「フランス産仔鳩のジャンポネット、アニスエトワールの香り」。


またまた、いつもと同じようなアラカルトのチョイス。
その中でも特に、メインの仔鳩の素晴らしさは感動もの。
肉の状態、火入れ、ソースのコク。
ワインをゆっくりと愉しみながら。

そんなお食事の余韻を振り返りながらの、フロマージュと、デセール。
至福の時間です。

この年も何とか終わり、次の年も元気に迎えられるよう、
そんな想いを胸に、お店を後にしました。

<2011年2月>
キャンセルが続出するくらい悪天候で寒かった、この日。
がんばりました。がんばりましたとも!
ダイニングに入ってしまえば、いつもの静けさと軽い華やぎ。
雪など、どこ吹く風。

テーブルにはすでに、「PJ」のマークをお花模様で囲んだシャンパングラスが。
ならばこれでしょう。
ペリエ・ジュエのベルエポックで、エレガントな時間のはじまり~。

今回一番楽しみにしていたのが、黒トリュフ。
ちょうど季節です。
お店では、トリュフの魔術師であるペベイル氏の採取する、フレッシュトリュフのイベントがあったばかり。

「フランス産カオール地方のフレッシュ黒トリュフの丸ごとパイ包み焼き」。
クラシックなこのメニュー。
素晴らしく上質なバターを使って、折りたたんだパイ。
実にきれいな色に焼き上がっています。そして、立ち上る薫りがすごい。
パイがナイフが入れられるのを、今か今かと待っているよう。
艶やかなソースは、芸術品。
サクっとナイフを入れると、中にはちょこんと黒トリュフ。
一緒に、そしてソースを少し付けて口にすると、広がるトリュフの薫りが。
幸せ過ぎます…。

「海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
こちらもスペシャリテ。オーダーせずにはいられません。
澄んだスープが舌に乗ったあとは、至福のひととき。
喉に流れて行ってしまうのが、惜しいほど。
添えられたチースパイは、ときどきサクサクと。

「フランス産仔鳩のロティ スパイスを効かせた赤ワインソース」。
しっとりとキメの細かい、非常に上質のフィレ。
モモは適度に脂が乗り、こちらもジューシー。
旨みをきれいに閉じ込めたロティ。
赤ワインソースには、色んなスパイスをじゃまにならないよう上品に加えて。
これだけ美味しい鳩は、初めてかも。

「フロマージュ」。
ラッキーなことに、例のトリュフを使ったブリーがありました。
もちろんお店で、大きな丸ごとをスライスして、挟んで。
少し温めてもらい、トロンとした状態で。
これがまた、絶品。
ゆっくりと、しみじみと、ワインと。

「ジャスミンのババロワとリコッタチーズのムース 柚子のジュレとアイスクリーム添え」。
実はこちらのデザートワゴンも好きなのですが、目が欲しくなって頼み過ぎた挙句、後悔することもしばしば。
ところが、時々いただいている、一人分づつ手をかけたデセールがなかなかに優秀なのです。
今回は、食後の締めくくりに相応しい爽やかなデセール。
こんな感じ、好きです。

安定したサービスは、どんなシチュエーションでも対応可能。
委ねていて、安心感があります。
ハプニングにも的確に対応されているところを見て、感心。

余談ですが…最初から最後まで、色んな場面で目にする大倉陶苑のお皿。
日本が誇るチャイナ。
元々いくつか我が家にもありましたが、こちらで何度も目にするうちにどんどん欲しくなり、
とうとう色んなものを購入してしまいました。
和のテイストが入った、上品さがたまりません。

アピシウスワールド、結構ハマってて、年に何度か訪れてしまいます。

<2009年12月>
秋冬にぴったりのグランメゾン、それはこのアピシウス。
ダイニングに案内された時はすでに、ほとんどのテーブルが埋まっており、
賑わいが華やかさを添えていました。

今回はアラカルトで好きなものをチョイスしてみたくなりました。
幸い、ほとんどのお皿にスモールポーションが用意されています。

「ウミガメのスープ」。
あくまでも澄んだコンソメ。
口にすると、得も言われぬような深い味わい。これは一体!?
微妙にトロみがあるのは、甲羅のコラーゲンでしょうか。
初めての体験。
最初からガツンと、やられました。

「冬の海の幸をエテュベ、その日のシェフのソースで」。
海老、帆立、鮑、北寄貝、白身魚、アスパラ。
バターとクリームのソースには生青のり。
これが磯の香りを上品に引き立てます。
想像通りの一皿。

「茨城県稲敷市真鴨のロースト シャンピニオンデュクセルのファルシとそのジュ」。
キノコとその薫りに囲まれた真鴨。
じっくり噛み締めると、その旨みがどんどん増してきます。

「林檎と柿のキャラメルソテー ヨーグルトのソルベと蜜柑のジュレ」。
せっかくアラカルトなので、きちんと作り込んだデセールを。
クラシックに登場するのかと思いきや、こちらはイマドキのプレゼンテーション。
そして…キャラメリゼされた林檎と柿の甘みと酸味。素晴らしい!
至福のひとときを締めくくります。

いつもながら、話が盛り上がっている時は静かに、こちらが矛先を向けるとフッと
話に加わってくれるタイミング、絶妙なサービスは健在です。

質感の極めて高い絵画や家具、食器に囲まれてのお食事。
歴史があるからこそのクラス感。
貴重なお店です。

<2009年1月>
昨年秋からずーーっと訪れようと思っていたのに、
なかなかチャンスがやってこなくて、とうとう年明けになっちゃいました。

こちらは私の中で、「秋&冬」のイメージなのです。
ですからもちろん、今回はジビエが入っているコースをオーダーしてみました。

「鮪、コルニション、オリーブ、アボカドのタルタル仕立て わさびソース」。
きれいに、お皿の真ん中に盛りつけられたタルタル。
周囲には小さく丸くわさびソースを置き、イクラ、オリーブ、ハーブをあしらって。
爽やかな前菜に、シャンパンが進みます。

「カナダ産オマール海老のヴァブール エストラゴンの香る軽いアメリケーヌソース」。
たっぷりのオマール海老のきれいな肉に、グリーンアスパラ添え。
濃厚なオマール自体の味わい、ソースの上質さは格別。
ここまでオマールを美味しいと思ったのは、はじめてかも。

「狩猟真鴨のロースト サルミ風ソース 栗と芋セロリのピュレと共に」。
羽付きのまま1週間熟成させて下処理。きれいなセニャンにロースト。
ソースは真鴨のガラと赤ワインでジュを取り、真鴨の血でつないでいるそう。
目の前にお皿が置かれた瞬間、「お~!」。
こんなにしっかりとしたソースは、近年久し振り。
こっくりとしたソースには照りがあり、ピカピカと光っています。
薄くスライスされた鴨を口にすると、ジビエらしい滋味溢れる肉質。
一口、一口、大事に噛みしめて、この季節に訪れることができた幸せを実感。
途中のお口直しに、別添えの栗と芋セロリのピュレを。
ピュレの素材そのものの味を感じ、また鴨に突入、の繰り返し。
おかげで、赤ワインが進むこと、進むこと!
フロマージュのためにとっておかなくちゃ、なのに~。
これこそワインに合うお料理!!です。

デザートは最近では珍しくなった、ワゴンサービス。
たっぷりといただきました。

ワインはいつものように、熟練の素晴らしいサービスとアドヴァイス。
チーズは専門の資格を持った方のサーブで、説明もわかりやすく、
思わずたくさんお願いしちゃいました。
そして、以前からお馴染みの方が今年からこちらにいらしていて、うれしい再会。

シェフは少しづつ、3代目の岩元シェフに移行している最中だそうです。
2月に行われる「センセーショナルなトリュフの夜」で、センセーショナルにデビューを飾るのでしょう。
このフェアのために、森社長と岩元シェフが2月初旬にトリュフを買付けに渡仏するそうで。
今年のものは、かなり期待できるようなので、都合がつけばぜひとも参加したいフェアです。

今回も、とてもリラックスした至福のディナーを、ゆっくりと過ごさせていただきました。
次はいつ?と、思わず考えてしまう、愛すべきお店です。

<2008年5月>
ゆるやかな段差の、黒い石の階段を下りきった左側。
どこから見ていたのか、タイミングよくスタッフが扉を開けてくれます。
ウェイティングバーを左に見て、メインダイニングへ。
すでに賑わったダイニングに一瞬躊躇するものの、
案内された絵画の前のテーブルへ。

以前使ったことのある個室は、上からのシャンデリアが明るめ。
メインダイニングは、テーブルに当たったダウンライトが反射し、
女性の顔がきれいに見えるという、うれしい女優効果があります。

少々蒸し暑いこの日。
グラスではもの足りない…ということでシャンパーニュはデミにて。
シェフ・ソムリエが手際よく、エレガントな所作で開けてくれます。
味わいを感じられる、ちょうどよい温度。
バカラのアピシウスマーク入りのグラスにて。

まずは種ありの黒オリーブと、アンチョビを詰めたグリーンオリーブが置かれます。
どこで食べたものよりも、旨みがほとばしるジューシーさ。

さて、ワゴンで8種類ほどのお水がやってきます。
その中でも、やはりシャテルドン。
お料理やワインと合わせるのに、この数年一番気に入っています。

アミューズは「ヴィシソワーズ」。
中にはフラン。一口だけのお楽しみ。

「北海道産有機栽培のレタスとアスパラガスのシンプルサラダ」。
白アスパラを縦にきれいにスライスし、周りにトマトと一緒に敷き詰め、
真ん中には新鮮そのもののレタス。
白アスパラは薄切りながらも、北海道産なので歯ごたえ充分。
シンプルながら、上品にして、感嘆の美味しさ。

そろそろ、お楽しみのボルドーの出番。
バカラの、カッティングが煌くデキャンタで待ち構えています。

「栃木牛のロースト」。
肉質の旨みは充分。胡椒をピリっと効かせて。
フォンをたっぷりと使った濃厚なソース。
まさにボルトーとのマリアージュ。

まだまだ残っているワインと共に、フロマージュを。
ワゴンから色々選ぶ幸せ。
まだ若いチーズソムリエが説明してくれます。

次にやってきたワゴンはデザート。
ここでデザート用の薄いパープルのリネンに替えられます。
ケーキ類が何種類も。
その中でもタルトタタン、パリブレスト、マンゴーのムースを。

と、またワゴンがやってきます。
デザートワインが8種類ほどだったか…。
タルトタタンに合わせたものを1杯。

デザートは見た目、ごく普通。
なのに口に入れると、素材の上質さと完成度を感じます。
特にパリブレストのクリーム、マンゴーの素材。
久しぶりに、こんな美味しいケーキをいただきました。

デザート用のカトラリーはクリストフルの金メッキ。
お誕生日用のお皿は、薔薇の模様の大倉陶園。
ホワイトチョコーレートのプレートが、そっと添えられています。

サービスは、さすがのベテラン揃い。
すべてを委ねていれば、リラックスできるお食事が約束されています。
年齢層の高さも、落ち着きと安心感を覚えます。

ワイン、特にボルドーのリストの揃えと価格はグランメゾン随一ではないでしょうか。
それも歴史と心意気のあるお店だからこそできること。
数々の美術品に囲まれた店内は、美術館さながら。文化を感じます。
それに相応しい客層が華を添えています。

昨年ミシュランの星を獲得したフレンチのお店は、バターやソースを控え、
作りこまれたフレンチが大多数。
しかし、こちらのお料理はいかにも「The フレンチ」。
そう、近頃こんなフレンチが食べたかったのだ、と、改めて新鮮に感じます。
今後もポリシーを曲げずに、このまま文化を伝承していって欲しいものです。

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3位

コムシコムサ (東山、三条京阪、三条 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 ¥5,000~¥5,999

2014/03訪問 2015/05/11

心からの笑顔が溢れてしまうフレンチ

<2008年9月>
いつもいつも、最大の笑顔で出迎えてくださるマダム。
お料理の手を休めることなく、目で挨拶してくれるシェフ。
久し振りに旧友に会った気分にさせてくれます。

「生ハムと野菜のマリネ」。
何種類もの野菜が楽しく、やさしいお味。

「ホタテのガスパチョ仕立て」。
これもたっぷりの野菜とホタテ、そしてソースはガスパチョ。
今でも味覚が覚えている、爽やかな一品。

「かぼちゃのスープ オレンジ風味」。
オレンジとかぼちゃ?と思ったものの、見事なコンビネーション。
とても満足の冷製スープ。
一味とオリーブオイルをトップに少し。それがアクセント。

「鴨のロースト蜂蜜のソース」。
しっかりとしたソースで、みっちりとした鴨の旨味とはちみつが合います。

デザートかチーズの選択は…やはりチーズ。
少しづつ色々と盛り合わせてもらって。

以前は貸し切りになってしまうこともしばしばでしたが、
現在では、すっかり「予約の取れないレストラン」の仲間入り。
しかし、連日満席でも手放しで喜べないことがあるようです。
シェフはいつもと変わらず寡黙な勉強家。
今後もわずらわされることなく、突き進んで欲しいです。

<2007年12月>
クリスマスのちょっと前。
久しぶりの訪問に、マダムはいつものように温かく迎えてくれました。

アミューズの「京野菜のガルグイユー」はジューシーで味わいのあるお野菜ばかり。
「蟹肉をきゅうりの薄切りで巻いた」前菜は、ウニとキャヴィアを添えて。
爽やかな味わいながら、ソースは濃厚。
「フォアグラのソテーと柿」は、フォアグラの焼き具合が、なんとも絶妙。
柿の甘みとあいまって、さらに幸せになる瞬間が訪れます。
「ポルチーニのポタージュにポーチドエッグと帆立」。
ポルチーニの薫りをしっかりと楽しめる一品。崩した卵の黄身でさらに濃厚に。
「蝦夷鹿のロースト」は、赤身のしっかりしたお肉を存分に楽しめるもの。
ソースと共にしっかりと作り込んでいます。さすがのお味。

そして、食後はやはりチーズを選択。
なぜなら、お店の一番目立つところに、照明によってフローティングしているような
黒板があり、マダムが心を込めたチーズの説明が書いてあるから。
初めて見るような珍しいチーズもあり、残ったワインでゆっくりと堪能しました。

今回もゆっくりしていたら最後のお客さんとなり、
外までシェフとマダムに見送っていただきました。
京都の冬は寒さがきついけれど、心が温かくなってお店を後に。

いろんな人に薦めたいけど、本当はあまり知られたくない。
そんなお店です。

<2006年9月>
今回も心からのマダムの笑顔に迎えられて。

特に印象に残ったのは「野菜のテリーヌ」。
ズッキーニ、茄子、トマトのコンビネーションで、ハーブとオリーブオイル
のソースにカイエンヌペッパーがピリっと効果的。
ソースも最後までパンでぬぐっていただいてしまう。恥ずかしながら。
「穴子と雑穀リゾット」の穴子は香ばしい焼き具合。
前菜ながら、赤ワインともぴったり。
「ガスパチョ」はトマトがベースでメロンのスープを彩りよく配置。

やはり赤ワインをいただいてしまったので、変りご飯は未体験。
今回は珍しいベルギーのウォッシュチーズも揃えていました。
いつもながらのシェフの優しいお料理に、こちらも優しい気持ちに。
こんなお店が近所にあったら、通ってしまうに違いありません。

<~2006年3月>
岡崎公園や平安神宮からほど近く。フランス国旗が目印の小さなお店です。
ドアを開けると、あふれる笑顔のマダムが迎えてくれます。
寡黙なシェフが勉強熱心なことは、一目瞭然。目を見ればわかります。
本当に真摯な気持ちで、フレンチに取り組んでいる職人です。
このお2人のコントラストが、実は素材とソースのようにマッチしています。

テーブル席とカウンターがありますが、広々と設えたカウンターが落ち着きます。
時には和服を着こなしたご婦人がいらっしゃるのも、京都ならでは。
カウンター内には間接照明を生かして、グラスがディスプレイされています。
生花もあしらわれ、素敵な空間を演出。
センスのよさが、うかがわれます。

ワインリストは試行錯誤されているようですが、掘り出ものが
見つかることもあります。
お料理はシェフの心がエッセンスになっているものばかり。
ビストロと名が付くと、ただ骨太なイメージですが、
裏腹に繊細でいて、計算されている。
心からくつろいで、「美味しい…幸せ」とつぶやいてしまうような、
そんなお料理の数々です。
サーブしてくださるマダムの笑顔も、スパイスのひとつ。
その何気ない会話が、楽しいひとときに華を添えてくれます。
コースの最後には、変わりご飯かチーズを選択できます。
マダムが揃えたチーズが、ワイン好きな私には楽しみです。

京都に行くと、必ず訪れてしまうこちらのお店。
いつでもウエルカムと出迎えてくれる友人のような、大事な存在。
贔屓目かも知れませんが、掛け値なしに満点にさせていただきます。

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4位

ロオジエ (銀座、新橋、内幸町 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2017/10訪問 2018/01/01

銀座の柳

<2013年10月>
9月のあるとき。
筆書きの宛名の、立派な招待状が届きました。
それは、ロオジエのオープニングパーティ。
もちろん何を置いてでも、最優先で「出席」決定です。
返信ハガキを送り、当日を楽しみに迎えました。

さて当日。
エントランスには資生堂の幹部を始めとした社員の方々。
そして、懐かしいロオジエのスタッフが、順々にお出迎え。

建て替えた資生堂本社ビルは、以前とはすっかり様変わり。
入口の重厚な扉はまるで、パリのヴァンドーム広場の高級宝飾店に迷い込んでしまったかのよう。

メインダイニングは地下。
しかし、1階から大きな吹き抜けとなっているので、外光が入り、圧迫感はゼロ。
逆に、1階にある緑も目に入り、開放感を感じるほど。

弧を描いた階段を降りると、メインダイニング。
全体を見回すと、シャンパンゴールド、ベージュ、白がメインのカラースキーム。
テーブルセッティングされている位置皿は、ゴールド。

ドリンクサービスのテーブルには、3種類。
ドラモット、ペリエ、あとはブラッドオレンジジュースだったか…。
もちろん、シェフソムリエのサーブです。

シャンパーニュを片手に、新しいダイニングを回遊したり、スタッフの方々とお喋りしたり。

勧められるがままに、フィンガーフードをいただいてみると…。
素晴らしいキャヴィア、力強く薫るトリュフなど、
どれもこれも、小さいながら主張がしっかり。
タダモノではないのは、さすがです!

周囲は、ロオジエの長い歴史を知る人々や署名人で、賑わっていました。
顧客の奥の深さが実感できます。
よくぞ、私ごときに招待状が届いたものだと、改めて驚きと感謝です。

帰りには、お礼のカード、お店のブローシャー、お土産のショコラをいただき、
お店を後にしました。

新しい「銀座の柳」が、ドラマチックに始まりました。

<2011年2月>
一時閉店まであと1ヶ月あまりの頃。
大理石の白い階段を踏みしめて、2階のダイニングへ。
デジュネでも、いつもよりもフォーマルに装ったお客様が多いようです。
だいぶ華やいでいました。

今回も、心に残ったお皿をいくつか。

「鳩のロースト」。
大きくふっくらしたお肉。
ナイフを入れると、ピンクがかった赤身が柔らかく、きめ細かい。
窒息させているから柔らかい、とのこと。
そして大ぶり。
内臓も余すことなく、カラっと揚げて。
ジュで取ったソースの凝縮感が、なんとも魅力的。

「温かいチョコレートのスフレ」。
王道のチョコレートのデザートのメニューから。
目の前でスフレに穴を開けて、好みのアイスクリームをポトっと。
ふわふわ、そして濃厚なチョコレート。
堪能しました。

数々のプティフールの中で一番好きなのは、エッグスタンドに乗った「クレームブリュレ」。
ボリーさんの頃からの定番プティフール。
限りなく滑らかで、大事に優しく作られたソフトなブリュレ。
タヒチ産のヴァニラビーンズを惜しげなく、たっぷりと。
底のほうに真っ黒に残るのが、もったいないくらい。
突然、無性に、これが食べたくなる時があり、困っております、私。
これからどうしましょう…。

お皿に合わせたワインのセレクションも完璧。
お料理もワインも、私のロオジエ史上で1、2位を争う素晴らしさ。
季節ごとに変化するエクステリア、素敵な店内のデザインも、そろそろ見納めかも、
と思うと、感慨深い思いがあります。

<2011年1月>
今年最初のグランメゾンでのお食事が、ロオジエでのデジュネ。
改装閉店に向けて、お料理も、サービスも、パワーアップしています。
特に心に残ったお料理を。

「的鯛のポワレ きのことキャベツのピューレ マトロートソース」。
的鯛のフィレがしっかり2切れ。
添えてあるのは、ツヤのあるソース。
贅沢にキノコを使ったピューレは、漉して、オリーブオイルやニンニクと和えて。
瓶詰めがあったら購入したいほどの美味。

「牛フィレ肉のロティ"ヴェネソン"冬野菜のココット焼きを添えて」。
今回は岩手牛。
口の中でトロけます。そう、こんな牛肉が食べたかった!
塩のピリっとした振り具合も完璧。
ココット焼きの野菜たちは、自然の甘みがたっぷり。

「フロマージュ」。
いつもながら、状態は最高。
そして、ハードチーズの切り方、ミモレットの薄さ、すべてが私好み。

珍しくデギュスタシオンにしていただいた、ワインのセレクションもさすが。
ボトルでゆっくりと薫りの移り変わりを愉しむのもいいけれど、
お皿に合わせた、絶妙なマリアージュも素敵。

この素晴らしいチームでのロオジエは、今年の3月まで。
当日の客層は心なしか、それを惜しむ人々ばかりのよう。
時間が経つのは早いものです。

<2010年10月>
銀座の柳も、来年3月にはいったんクローズし、資生堂本社ビルは改築。
この素晴らしいスタッフの解散が待っているとは。
新築後に訪れたら、果たして何人の懐かしい顔に会えるんでしょう。
そんな心配をしてしまうほど、さらにチームワークの良さが際立っていました。

印象的だった、アラカルトのお皿をひとつ。

「和牛フィレ肉のポワレ"ロッシーニ"セップとポテトのニョッキ 黒トリュフ風味」。
お皿の上はキノコで秋模様。
目の前で、仙台牛のポワレに黒トリュフのソースをかけて。
神秘的なほどにツヤツヤのソースを、ロゼ色に焼きあげたお肉に絡めると、
和牛ならではの高品質なジューシーさと、黒トリュフの風味が、黄金の組み合わせに。
火入れや塩の具合も、ちょうど好みのど真ん中。完璧!
黒トリュフたっぷりの贅沢なソースは、最後の最後までパンと共に。

お料理全体が、このところ、みるみる基本に還ってきました。
ほんの何年か前までの、「トンガリ感たっぷりのお遊び」はどこへやら。
しっかりとした素材感を全面に出したものが中心に。
地に足が付いた安定感を感じます。

<2010年6月>
今回も、アラカルトのお皿がすごかった。
今までで最大の感動。涙が出そうなほど。

「ヴィエンヌ産鳩胸肉のピスタチオ、カカオ風味 とうもろこしのガレットとさくらんぼ添え」。
真ん丸い胸肉は、とてもきれいなロゼ色。
肉質は限りなくきめ細やかで、肉だけ口にしただけでも感動。
ツヤのあるジュのソースを絡めると、旨さは倍増。
そして、時にはさくらんぼの酸味を加えると、これはまた素敵なアクセントに。
横に添えられた骨付き腿肉のポワレも素晴らしい。皮も肉も。

こんな感動を呼ぶお皿、ちょっと奇跡かも。
そんな奇跡も、ロオジエなら、さらりとやってくれる。
憎いなぁ。

<2010年3月>
デジュネのお皿が、変わってきました。
素材を生かした形とボリューム感を持った、満足感溢れるメニューの数々。
繊細さと彩りの美しさがより際立ち、次々と出てくるお皿は、さながら絵画のよう。
そして、基本がしっかりとしているからこそ活きる、アラカルトのお皿。

様々なゲストのお食事を楽しい場にしようというサービスマンは、
ひとりひとりが個性的なエンターティナー。
決して画一的でも、マニュアル的でもない、自然に溢れ出るもの。
他のお店に行ってこそ実感する、ロオジエのサービスの凄さを、最近は実感しています。

<2009年11月>
並木通りに場所を移して10年。
節目の記念イベントは逃してしまいましたが、そのお祭りも終わって
いつもの落ち着きを取り戻した頃のデジュネに訪れました。

メニューを開いてアラカルトにするか、デジュネにするか、シャンパンをいただきながら
さんざん悩んだ挙句に、コンビネーションに。

「燻製ニシンのムース ポテトとレッドオニオンのジュレ」。
きれいな赤いジュレの上に丸いポテトのスライスがまあるく並べられ、
まん中にニシンのムースが。
ニシンよりもポテトが目立つ一皿。

「金目鯛のヴァブール 薫り高いオリーブオイルとハーブを添えて」。
ふっくらと蒸しあげた金目鯛。
オリーブオイルの薫る、ちょっぴり酸味の効いた泡のソースの中に鎮座してます。
トッピングには色とりどりの野菜、卵、イクラ。
ソースも最後までいただいて。

「シャラン鴨のロティ オレンジピューレ カフェとカルダモンの香り 
腿肉とかぼちゃのパルマンティエ風」。
低温調理され、ロゼに仕上げた鴨。
皮目はとてもきれいな焼き色を付けています。
肉の中にあるすべてのものを逃さず、ギューっと閉じ込めたままの調理。
ナイフを入れると、ほんのり血が滴ります。
口にすると、キメ細かい肉質を咀嚼する慶びが。
ほんのちょっとのカフェおカルダモンの香りがアクセントを添えています。
満足感たっぷりの、鴨の一皿。さすがです。

どれをお願いしても完璧な状態のフロマージュ、そして、お菓子の世界に突入して、
今回も、ロオジエを堪能しました。

<2009年9月>
いつも通りのさりげなくも素晴らしいサービス。それは何ら変わることはありません。

ところが今回、デジュネのメニューを渡された時に、少々「困ったなぁ」。
なぜなら、デジュネのメニュー構成が、フラン、クリーム、ムース、スープなど、
ほとんどのメニューが前菜からメインまで「フワフワの柔らか」系。
もちろんメニューには載っていませんが、アミューズも然り。

すべてアラカルトにしたり、アラカルトから好きなお皿をデジュネに組合わせる、
という選択もありました。
でも、この日は別件のディナーも控えていたので、軽いのは大歓迎!
通常メニューに身を任せることにしました。

唯一、素材の形がありそうなメニューはメインのサーモン。
というわけで、「サーモン」を中心にメニュー決め。
青海苔を使ったソースの磯の薫りたっぷりで海の中にいるかのようなのサーモンは、
50℃の低温調理で素材が生きていました。

あとは何をいただいたんだっけ?と柔らかいものはすべて失念です…。
昼間のストレスを、その日のディナーで解消。
形のあるお肉を、ガッツリといただきました。

何度も訪れているので、こんな日もあるかと思えるのですが、
もしもこの日が、「清水の舞台から飛び降りたつもりでのデジュネ」、とか、
「とっても大切な記念日」などだとしたら、今回のメニューはちょっと厳しい。
「デジュネのメニュー構成を考えて~」と、密かにボヤキたい私でした。

<2009年6月>
メナールさんが就任した時の「尖った感」が影をひそめ、
食べ手の立場に立ったメニュー作りにシフトしているかのように思えます。
一皿一皿に、幸せと優しさを感じます。
アラカルトの中でも、根強い人気を誇るメニューは定番化していて、安心感も出てきました。
しっくりと馴染んできた感じが、とても心地よく感じます。
ロオジエの歴史を知っている常連の方々も、納得されていることでしょう。

最高のものを提供しようという姿勢は、いつものことながら感嘆。
例えばフロマージュ。
どれを選んでも、すべて最高の状態。
ここまでワゴン上のフロマージュが完璧なお店を、他には知りません。

ワインリストは改訂中で、デジュネに、ディネに、
それぞれオーダーしやすい価格帯を充実させるそうです。
これからの仕入れは円高も追い風になって、さらに魅力的になることでしょう。

さりげない自然体のサービスは、いつでも健在。
さらに、全体に笑顔の度合がいくらか増したような。
ちょっとしたロオジエの「トリビア」を語ってくれたり、ファンとしては嬉しい限り。

素敵なひとときを過ごすお店としては、トータルで最高です。

★2008年10月以前は字数制限のため、コメント欄に収納しました。

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5位

草喰 なかひがし (元田中、茶山、出町柳 / 日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥8,000~¥9,999

2017/09訪問 2018/01/01

大人の味覚

<2010年11月>
紅葉真っ盛りの京都。
お皿の上に、どんな紅葉の風景があるのかを愉しみに訪れました。

季節感溢れる八寸
ほんのり甘みを帯びた、白味噌仕立ての蒸しもの。お椀に物語があります。
鯉のお刺身は山椒をピリリと効かせて。
目の前の炭火で焼く鴨ロースには、辛味大根。
キノコ三昧の一品。

どれもこれも、野菜本来の旨みや苦み、そして日本ならではのスパイスを効果的に。
驚きと、旨さに満ち溢れている、その目の覚めるような瞬間。
何度訪れても、決して裏切ることのない冴えわたるパッションに、今回も脱帽です。

<2009年5月>
京都の旅で、どうしても再訪したいお店となった当店。
運よく、プラチナチケットの「当日券」を手にしました。
連絡があったのは、夜のお食事開始時間の2時間位前だったでしょうか。
迷わず「お願いします!」と、その日の予定を変更して。

席に着いて、お茶を振る舞われ、少々落ち着いてから開始。
女将さんの、「突然のご連絡で…」と、気遣いの一言が添えられます。
いえいえ、お待ちしておりました。

5月。端午の節句にちなんで、菖蒲を刀に見立てて飾られた八寸からスタート。
次々テンポよく供される、滋味深い品の数々。
特に山椒の使い方がとてもよく、様々な場面でピリっと効果的。
瑞々しい緑をたくさん使っているのも、この季節ならでは。

今回一番印象的だった一品が、蕨を牛肉の薄切りで巻いて、炭火焼したもの。
焼いている最中にも、漬けダレを何度もかけては焼いて、かけては焼いて。
あぁ、絶品でした。

ご飯のお焦げも、存分に堪能。
少しだけ岩塩を振って。
その香ばしさは、いつまでも心に残るもの。

食後には薫り高い水出しコーヒーもふるまっていただき、
大満足の夕ご飯となりました。

作り置きのものは一切なく、すべてその場で作ってすぐに出す。
同じ予約時間なら、みんな一斉に。
それを流れるようなテンポで出すのは、至難の技のはず。
だからカウンター内では店主や女将さんをはじめ、何人もの人が黙々と働いているのですね。

ちなみに「当日券」が手に入ったおかげで旅の予定が狂ったのは、うれしい誤算。
1泊延ばしてしまいましたとさ。

<2008年9月>
今まで予約困難で縁がなく、今回、初めてプラチナチケットを手に入れました。
場所は銀閣寺そば。控え目な看板と設え。
「お竃はんのご飯に炭火の肴と山野草を添えて」と書かれた板が扉の横に。
期待が膨らみます。

予約時間を少し遅刻して中に入ると、すでに先客は、ほぼお揃い。
1階は低めの幅広カウンターのみで、椅子は小さめ。
私自身はタテヨコともに小さめサイズなので幸いでしたが、
大きめの方だとちょっとつらいかも。
カウンターの中にはお竃はんが鎮座。
炭火焼も並んだ場所で行われるので、手狭な感じ。

お茶をいただきながら、お食事を待ちます。
女将さんからは「予約のお電話がかかりづらく、申し訳ありません」のお言葉。

ほどなくして全員に一斉に置かれたお盆。
「八寸」が大きな里芋の葉に乗り、ススキの穂を添えて。
ご主人の中東さんがお料理の説明を丁寧にしてくれます。
食べ手はひとつひとつ確認しながら、納得。
そう、予約時間って全員一緒で、お食事も同時進行なんですね。
この手の食べ方は初めてです。

季節を感じる食材の数々。
中でも、サンマの寿司は驚きの美味しさ。
揚げた小さな栗も初めての味。

その他、心に残ったお献立をいくつか。

「白味噌仕立ての南瓜と茗荷」。
こっくりとした控え目な甘みの白味噌。
甘すぎない地の南瓜を白味噌の中で崩しながら。
茗荷の爽やかさが印象的。

「鯉のお造り」。
色とりどりのな小さな野菜たちに囲まれた鯉。
赤シソのジュレとエスプーマ、大徳寺納豆が調味料。
さらに、「実山椒がいい仕事してます」のご主人の言葉通り、
ピリっと効いた山椒の実が鯉に息吹を与えている。
独創的、かつ大胆にして繊細。
初めての味わいにポーっとしてしまう私。

「鴨の塩焼き」。
目の前で炭焼き。出来上がってくる薫りも、ごちそう。
そして、まだジュクジュクと音を立てて焼けている状態の鴨をスライス。
玉ねぎ、紅葉おろし、たくさんの野菜とともに。
まずは炭焼きの薫りが素晴らしい。それだけで、ごちそう。
レモンを絞って。
鴨と添えられた野菜を添えて口の中に入れると、
鴨の滋味と野菜たちのコンビネーションで思わず幸せな笑顔になってしまう、美味しさ。
飲み込んでしまうのがもったいない、そんないつまでも感じていたい味わい。

そして、最大のごちそうは「ご飯」。
まずは「煮えばな」のアルデンテのご飯を一口。
まだ水っぽいけれど、これから蒸れてご飯になるのを実感。
そして、最後にタイミングよく出される蒸らしたご飯。
ご主人自ら、お茶碗にふっくらとよそってくれる。
「おねば」がちょうどよくご飯一粒一粒を包込み、
じっくり噛みしめると、甘さが少しづつ感じられる。
絶妙な炊き具合。
お代わりにはお焦げ。岩塩とともに。
「パリパリやからフランスお焦げや!」と言いながらご主人がよそってくれる。
「どこのお米ですか?」と聞くと、
「近所のお米屋さんのです」などと答えてくれる、
そんなオヤジギャグも飛ばしてくれるご主人。
実際、お米は宮城のひとめぼれ。
毎日精米して使うのが美味しいご飯の秘訣だそう。

今まで口にしたことのない、「摘草料理」。
独創的な野菜類の使い方がすごい。
びっくりさせてくれる美味しさを体験できる、貴重な時間でした。
発酵臭のする漬物が好みではなかったり、席間が狭くて、
お椀を持つ肘が隣の人と触れてしまうなど、ちょっとした疑問はありました。
また、ほとんどのお客さんが東京からの方で、カメラを持っていなかったのは私だけ!?
皆さん、ノートを広げて質問をしながら、熱心にメモをしていらっしゃる。
京料理とは一線を画したこちらは、地元の方はいらっしゃらないようですね。

しかし、子供の頃の味覚では決して理解できなかったであろう、このお料理。
大人の今に訪れることができて、本当によかった!
京都の素晴らしいお店のひとつを、また見つけました。

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6位

もり川 (北山、松ケ崎 / 寿司、日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2016/09訪問 2018/01/01

「味の」もり川

<2008年9月>
新幹線の中で考えました。
「ホテルへ直行するなんて、時間がもったいない!」。で、急遽、予定変更。
京都駅からその足で地下鉄に乗り、荷物を持ったままお店へ直行。

ご近所の年配ご夫婦が帰られてからは、運よく貸切状態。
入口近くの「シェフズテーブル」とも思える席だったので、手元がよく見えて楽しい。
まずは「いつものメニュー」を順々に。

そして、今回初めて「鴨の塩焼き」を。
ロースターで注意深く火加減を変えたりしながら、ようやく出来上がった塩焼き。
噛めば噛むほど鴨の滋味が感じられる、シンプルながら、奥深い味わい。
しみじみと美味しい。

最後にいくつか握ってもらった中では、近海(淡路島)の雲丹が秀逸。
ミョウバンを使っていない、新鮮な雲丹。
飲み込んだあとも、口の中にまったりと残る旨味だけで、お酒がいけちゃいそう。

駆け付けた甲斐がありました。
今回も、美味しいものをたっぷりといただき、大満足。

<2006年9月>
やはり京都滞在の際には足が向いてしまいます。
まだ鱧もあり、さらに松茸が出ていて、両方を味わうことができました。
今回も極上の鮒寿司があり、立山の冷酒と共に。
旅の始まりの日なので、お酒は控えようと思ったものの、
そんな決意はどこへやら。

<~2005年12月>
駅から10分ほど、住宅街ではありますが、周りに畑もあるのどかな場所。
看板には「味のもり川」と書いてあります。
大将は以前松鮨におり、その後独立。
1階が店舗、2階が自宅のようです。
入って手前はカウンター席、奥には個室があります。
ピリっときれいに磨かれている店内は、大将の姿勢が感じられます。

普通の鮨屋のように、ネタの入ったケースが目の前にあるわけではありません。
献立は季節のものが多数。
まずは、鮒寿司などのつまみや季節の薄作りなどをいただき、
蒸し物、焼き物などなど。
お通しからして、どれもがいい仕事をしているものばかり。
特に、とこぶし煮に山椒を添えたものは美味。
蒸し物などの出汁もよく、どれも日本酒によく合う。
最後に何か握ってもらうのですが、ネタはどれも最上。
通常のネタに加えて、季節によっては加茂茄子の握りなどもあります。
もちろん京都ならではの鯖棒鮨は極上。
そのままいただくのもよし、半量は網で炙ってもらうと、
鯖の脂がシャリに回り、また違った愉しみが味わえます。

客層は地元京都のきちんとした風情の常連さんがほとんど。
さらに東京の築地の人々が新幹線に乗ってでも訪れるという話は聞きました。
初めて訪れた時は、無口で気難しそうな大将とは、あまり会話は
できませんでしたが、何度か通ううちに気軽な話もできるように。
偶然、おせち料理も作っていると聞き、この何年かは大晦日に届くよう、
配送してもらっています。
京都の料亭のおせちなどの比べたら、全く地味ですが、さすが「味のもり川」。
食べて本当に美味しいおせちです。
なかなか、こんな美味しいものには出会うことができません。
家に居ながらにして、こちらのお料理を堪能でき、
満足この上なしのお正月が迎えられます。

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7位

フロリレージュ (外苑前、表参道、乃木坂 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2009/08訪問 2015/03/27

いいお店が南青山に登場!

皆さまのレビューを拝見してブックマークし、どうにか予約が取れてランチに訪れました。
場所はしっかりと地図を頭に叩きこみ、全く迷わず入口の扉まで。
ホント、この食べログのレビュアーの皆さまのおかげです。

中が伺えない扉を、勇気を持って開けると、マネージャー氏が優しく迎え入れてくれました。
外は炎天下ですが、店内は窓がなく、壁はダークな色でまとめてあるので、別世界に迷い込んだよう。
上からの照明が真っ白なテーブルクロスを照らし、その反射で店内がシックな明るさに。
おかげでレフ板か女優ライトがあるかのようで、照明が女性の味方と言えます。

まずはピノ・ノワール80%、シャルドネ20%の爽やかながらコクを感じさせてくれる
グラスシャンパーニュをいただきながら、メニュー選び。

ランチは前菜2種類、メイン3種類、デザート2種類からのプリフィクス。

「四角いグリーンオリーブ」。
って何?と説明を聞いても、一瞬これがなんだかわからない。
そう、真四角なグリーンのパンなのですね。
それにピッタリのガラスの器が特注なのか、それに合わせたアミューズを作ったのかは、謎です。
勧められた通りに一口でパクっと口にすると、まずは温かい!
そして、オリーブの薫りが口の中いっぱいに。
フワっと、モチっとした食感が食欲をそそります。

「トマトのガスパチョ」。
フレッシュな酸味と甘みが、ちょうどぴったりバランスのとれたガスパチョ。
彩りのよい小さくダイスにカットされたカラフルな野菜のマリネに囲まれて。
さらに、たっぷりと添えられたフレッシュチーズがガスパチョをさらに引き立てます。

「岩中豚のローストとブーダンノワール」。
赤身はもちろんのこと、脂もしっかりと美味しい岩中豚。
それぞれの部位の火入れの具合もキマってます。
エスプーマのソースが軽やかに岩中豚に纏います。
そして「ブーダンノワールはどこ?」と思っていたら、しばらくして別皿で登場。
トーストにたっぷりと乗せて。
トップにはリンゴのソースがドットのように。
うーむ、楽しませてくれます。

「桃とムースとシャーベット」。
薄くクレープほどにスライスした桃で、桃のムースとシャーベットを細長くロール。
口の中で、桃のハーモニーが奏でられます。
桃をこんなに薄くスライスするって、どれだけの桃を使うのやら。

パンはバゲットと、後からライ麦パンのトーストが追加されました。
フォアグラをオーダーすると、別にドライフルーツ入りのカンパーニュがサーブされます。
バターは細長くカットされ、半分には岩塩がまぶされたもの。

ワインは今回グラスでデギュスタシオンでお願い。
フランスの様々な地域や、日本の小さなメゾンの有機栽培ものが、
お皿に合わせて次々と出てきました。
お薦めに従って、身を委ねるのが得策なようです。

サービスは優しい物腰のマネージャー氏に加えて、女性陣2名。
それぞれの個性を生かしたサービスは心地よく、お皿の説明、ワインの説明も、
身振り手振りを交えて詳しく教えてくれます。

それでこのお値段でよいの?という、コストパフォーマンスの良さは、
青山周辺では随一ではないでしょうか。
ワインを含めたお会計にもビックリです。

最後に重い扉を開けてもらって外に出ると、まだ陽は高く眩しい真夏の一日。
シェフも厨房から出てきてお見送り。噂のイケメンはホントでした。
それにしてもHPでも公開されているシェフの経歴は、味の確かな名店ばかり。
どうりで、基本がしっかりしているから、応用もその上に成り立っているのですね。
今回のランチだけで考えると、品数が少ない分、量も控えめ。
しかし、頭脳プレイの利いたお料理は、胃よりも脳への満足感が高いです。

不規則な階段を転ばないように、一番下まで降り切ったところで振り返ったら、
まだお二人とも見送っていただいていたのでした。
あぁ、途中でコケなくてよかった!

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8位

オオハラ エ シーアイイー (六本木、乃木坂 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.3
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥10,000~¥14,999

2017/08訪問 2018/01/01

私の中の定番フレンチ

<2008年8月>
私の中ではとても近しいお店なのに、ちょっとご無沙汰。1年ぶりです。

ワインリストは見やすくなっていました。
種類が多いわけではありませんが、選びやすい品揃え。
まずはいつもの「オオハラ印」のシャンパーニュ、デミを。

アミューズは「自家製ピクルスと鮎のムース」。
ピリっと利いたビネガーが夏らしい。

パンは丸い小さい自家製パン。
以前と生地が変わったかも。
よりバゲットに近い風味に感じられました。

前菜は「蛤の茶碗蒸し アワビ入り翡翠スープ」。
大好物の茶碗蒸しを見つけ、思わずオーダー。
青のりを使っていて、「翡翠」色。そして、海の薫り。
上に載っている帆立の焼き具合のいいこと!
底のほうからゴロゴロと大きめカットの柔らかいアワビが。
季節によりアレンジを加えた茶碗蒸し。
シェフのスペシャリテとも言えるのではないでしょうか。

「トマトの冷製スープ」。
甘く、濃いトマトをたっぷり。下地のスープとの相性も抜群。
凝縮された美味しさが口の中に広がります。

「岩手県産岩中ポークのロースト パプリカ風味」。
肩ロースを2切れ、スペアリブ1本と、ボリュームはたっぷり。
いつもながら「焼き」の具合が絶妙。
口にすると、ジューシーな肉の旨味と脂の旨味がほとばしる。
たっぷりのお野菜も彩りを添えて。

シェフのお料理は、いつもながらに感心。
「美味しいものをたっぷりと食べさせてあげたい」オーラが漂っています。
素材選びにもこだわりを感じます。
それを受け止められる幸せ。

そして今回特筆すべきは、サービスが2人体制になったこと。
以前は1人で満席を切り盛りしているのを見ると、ハラハラしてましたが、
余裕のある対応ができるようになっていました。
とても資質のある方々。
心のこもったパフォーマンスで、これからも、このお店を盛り上げて欲しいものです。

いつも満足感が得られるお店。
やはり私の中の定番です。

<2007年8月>
お料理は相変わらず美味しいです!シェフの実力に、ミシュラン1つ星も
うなずけるもの。
ただ、サービスが1人なので、アクシデントが起きた時、どうしても対応力に
欠けてしまいます。いい時はいいのですが。
ともあれ、これからもミシュラン1つ星に甘んじることなく、
突き進んで欲しいお店です。

<2007年6月>
前菜は「ハマグリの茶碗蒸し 白身魚と車海老添え」。
ハマグリのエキスがたっぷりの茶碗蒸しと、上に載っている
春菊のきれいなグリーンのソース。
一緒に口にすると絶妙な柔らかさと美味しさに、ニッコリ!
一番上には帆立のソースを塗った白身魚とぷりぷりの車海老も。
お薦めの、自然派白ワインとの相性もぴったり。

「ビーツの冷製スープ」。
まずはきれいなピンク色に驚き。
新玉ねぎをよく炒めて甘みを出しているので、
口当たりもよく、旨みもたっぷり。
息もつかずにいただきました。

魚料理は「フエフキダイのフライパン焼き」。
皮目がパリっと焼かれたタイ。
たっぷりのラタトゥイユと共に。
野菜の甘さも際立つ一品。

メインは「シャモのロースト」。
周りは色とりどり春野菜達に囲まれた、骨付きのシャモ。
しっかりした肉質で、相変わらず焼き具合も素晴らしく。

デザートは「いちごのスープ」。
日本画のようなきれいなピンク色のスープに、
ヨーグルトのアイスクリームを添えて。
爽やかなデザートでディナーの締めくくり。

サービスの方は明るく、動きに無駄なくテキパキ。
安心感のあるサービスになったので、評価を上げました。
お料理共々、今後も益々期待できそうです。

<2007年1月>
今年のフレンチ初めはやはりこちら。
初めていただくオリジナルカクテル「シャンパン・メルモ」を食前に。
柑橘系の香りとはちみつが、風邪気味の喉を優しく潤してくれます。

前菜は「ズワイ蟹のセルクル詰め トマト風味」。
定番の一品が食欲をそそります。
スープは「ごぼうのスープ」。
濃厚なポタージュで、滑らかながらごぼうの旨みもたっぷり。
メインは「ノドグロのポワレ」。
金沢から取り寄せたという油の乗った、しっとりした肉質のノドグロ。
皮目はパリっと、中はしっとり。やはり焼き具合が絶妙。
焼けば焼くほど油が出るそうで、ソースにも旨みが含まれていました。
デザートは「アーモンドババロワとバニラアイスクリーム」。
白いデザートで優しい甘みが口の中に広がります。

今回はシェフ自らのサーブ。聞いてみると
今年からサービスの人が代わるとのこと。
そう、こちらの弱点は、私が思っているだけかもしれませんが、
サービスの人が頻繁に(1年~1年半)で代わるということ。
何回か通って顔見知りになった頃、いなくなってしまうのです。
サービスはお店の顔。できれば定着してもらいたいものです。

<2006年8月>
やはり何度行っても裏切られることがありません。
いつもプリフィクスで何を選択するか悩みます。

「トマトとズワイ蟹をセルクルで仕立て」の前菜は、今日は美味しいトマトが
入ったからと、通常メニューをアレンジ。
味のコンビネーションがお見事。
「枝豆の冷製スープ」はシェフの実家で作ったという枝豆を丹念に漉し、
舌触りも滑らかな夏にぴったりの一品。
大ぶりのお豆がスープボウルの中に潜んでいます。
「ホロホロ鶏のもも肉」のメインは塩加減と焼き具合が絶妙。
じゃがいものグラタンとサラダが添えられて、彩りも鮮やか。
デザートの「プラムのグラタン」は中は冷たく表面が熱々。
濃厚なカスタードソースが美味しいお食事を締めくくってくれます。

何度訪れても「また次行きたい!」と切実に思うお店はそう多くはありません。
色んな人を連れていってあげたくなる、私にとってもそんなお店です。
ひとつ希望を言えば、狭いお店なので、せめて食事中は
禁煙を促していただけるとありがたいです。

<~2006/2月>
西麻布の裏通り、半地下にありますが、自然光がたっぷり入るので
ランチにも最適。
小さいお店ながらインテリアやレイアウトはゆったりとお食事できるように
とても考えられています。
全体に白が基調ですが、壁などの質感を生かした照明が
とてもスタイリッシュで効果的。
夜はキャンドルを添えて、さらにシックなイメージになります。

食前にはオリジナルラベルのシャンパーニュがグラスでも
ボトルでもいただけます。
QEDクラブ出身のシェフが作るフレンチは、日本の素材も多用した
感性が光るものばかり。
プリフィクスのコースは何を選択してもハズレがありません。
逆に、何を選択しようか絞り込むのが大変なほど。
特にいつも感心するのが、お肉やお魚の焼き具合。
当たり前のようですが、いつも絶品なのです。
メインでがっかりするお店も多い中、いつでも安心していただけます。

ただひとつ難を言えば、満席になると、かなり時間がかかってしまうこと、
でしょうか。
こんないいお店なのに、案外直前でも予約が取れます。
どんなシチュエーションでも、誰とでも満足感が高いお店です。

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9位

キッサコ (広尾、六本木 / ダイニングバー、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/09訪問 2014/12/21

夜中の救世主

<2012年12月>
たまに訪れる、「夜中の救世主」。

「さて、2軒目どこに行こう?」と、思い出すお店の上位。
1軒目の余韻も愉しみ、さらにこちらも愉しむという欲張りな日。
そんな贅沢な使い方ができる、少ないお店のひとつです。
ふっかりとしたソファに通されれば、時間も忘れて・・・。

今月の泡は、プレステージシャンパーニュも加えて、グラスで2種類のラインナップ。

グラスワインとして開けてくれているボトルは、並べてもらうと壮観なほどに多数。
どんどん違うボトルが開くので、それも愉しみのひとつ。

おつまみとなる「自家製パン」「豚のリエット」は、しっかりと美味しいものばかり。

程よいサービスは心地よく、気配りも忘れず。

以前は色んな客層を見ましたが、今回は、ほんとうにワインの好きな人々ばかり、とお見受けしました。

この日もすっかり根が生えて、深夜まで。
まったりと時が過ぎていきました。

<2008年2月>
今回も、癒される週末の夜を彩ってくれました。
いつ訪れても、やはりよいです。

「桜海老とふきのとうのかき揚」は、やはりムルソーのグラスと合わせて。
「ホロホロ鶏のグリル」は、ちょうどいい塩の効かせ具合。
パリっとした皮目も、淡白な身も、満足できるメインディッシュでした。

ところで今回、噂の(?)お方に遭遇。
このお方がペンタングルさまが書かれていた方では?と、ふと思ったのですが。
>独りの常連で台無し。
大きな良く通る声の、中年仕事系婦人ひとり。

ところがお店の対応は素晴らしかったです。
席の配置はちゃんと考えられ、付かず離れずの対応。

客層と言えば、途中でベビーカーが入場して来たときには「!?!?」と思いましたが、
幸い、よく眠ってくれる赤ちゃんだったようで。
今回に関しては、大丈夫でした。
お店を後にして見上げたら、ソファ席の窓際にベビーカーが見えました…。

<2007年9月>
ひどく疲れた1日を終えた後には、落ち着けるお店。
ということで、こちらへ。
やはり訪れてみて、そんな時にも完璧と実感。
適度に落とした照明、付かず離れずのさりげないサービス、
どれを取っても美味しいお料理。もちろん、ワイン。
私にとっては癒しの空間で、救われました。

ところで、広尾駅からこちらに向かう時。
車道に面した歩道を通りたくなかった私。
一方通行の裏通りを通ってみました。
ところが、打って変わって静かなものの、人通りはほとんどなく、
女性一人で歩く道ではないことに途中で気が付き、ヒヤヒヤ。
幸い、無事にお店には到着しましたが。
女性の皆さん、気をつけてくださいね♪

<2007年4月>
前回とても気に入ったこのお店。
今回はお食事も愉しむことにしました。カウンター席にて。
体がちょうどホールドされる座り心地のいい椅子。
実はソファ席よりもいいかも。
グラスがディスプレイされた壁側は、効果的な照明でいい雰囲気。
コースに季節のメニューをプラスして、堪能することにしました。

グラスシャンパンは以前と同じ、ボランジェ・スペシャルキュヴェ。
個人的にNVとしては好きな銘柄なので、
グラスでいただけるのはうれしいセレクション。
さらにムルソーをグラスで。赤はコートロティをボトルで。
まずは立て続けにオーダー。
泡、白、赤と3種類のグラスがずらりと並び、さてお食事。

「赤ピーマンのムース」。
少々の酸味と、クリーミーな舌触りがボランジェにぴったり。

「自家製フォアグラのテリーヌ」。
ブリオッシュのトーストの上に濃厚なテリーヌ。
早速赤ワインから。

「桜海老とふきのとうのかき揚」。
さっくりとした食感と春の薫りを存分に愉しめる一皿。
オリーブのソースが添えられ、それを付けてもよし、そのままでもよし。
このソースがまた単独でも美味しく、さらにワインが進みます。
グラスワインとは思えぬほどの、バランスのよいムルソーと合わせて。

「アスパラと帆立貝のバターソテー」。
季節のホワイトアスパラとホタテをシンプルにソテーしていただきました。
素材の旨みが際立ち、ほんとうに美味♪
これもムルソーと共に。

「豚肉のパン粉焼き」。
旨みのある豚肉の赤身に、香草パン粉を付けて焼き上げたもの。
食べやすくカットしてあるのが、やさしい心遣い。

添えられているパンは自家製で、ブリオッシュと丸いハーブのパン。
どちらももっちりとした生地で、私の好み。
豚肉のリエットが添えられます。
チーズの状態は今回もよく、想像通りのものが供されました。

全体に、ちょうどワインに合うような、塩や油脂の効かせ方が心憎い。
お料理も期待以上で、満足感たっぷり。

女性同士の2人連れやグループも多く、なかなか華やかな雰囲気。
どこのワインバーにも出没する「ワイン薀蓄王」が
なにやら語っていましたが、許容範囲内。
9時半を回った頃、さらに照明を落とすなど、雰囲気作りも上手。
今回で、さらにファンになりました。

<2007年1月>
どうしても、あと1杯だけシャンパーニュを飲んでから帰りたくて
西麻布を徘徊。
ところが、時刻はもう夜中2時近く。
思い当たるお店4軒を訪ねてみるものの、すでにクローズド。
そろそろ歩き疲れて意気消沈していたところ…
遠くに人影の見えるお店が!看板も点灯中!
砂漠のオアシスを探し当てた気分で、恐る恐るトビラを開けたのが、
こちらのお店でした。
噂には聞いていて興味を持っていたものの、こんなタイミングで
訪れることになるとは。

ビルの2階にあり、夜中の3時まで営業。
ほの暗い店内はいくつかのダウンライトと
キャンドルの明かりのみで、第一印象よし。
テーブル席、カウンター、ソファ席と、
ゆったりと落ち着いた配置も好印象。
運良くふかふかのソファ席に案内され、ゆっくり腰を落ち着けたら、
シャンパン1杯だけではもったいなくなってしまいました。
グラスのボランジェをいただきながらワインリストをじっくり拝見。
内容はとても充実、そして良心的。
なんで今まで来なかったのか、と思うほど。
そしてブルゴーニュのピノを1本オーダー。

すでにお料理類のラストオーダーは終わっていたのですが
こんな夜中なのに、ちょっと何かつまみたくなってしまい、お願い。
チーズと鴨のテリーヌを用意していただきました。
無理なお願いなのにチーズはトレイに乗せて来てくれ、ゆっくり選択。
かなり種類が多くてびっくり。
特にコンテがしっとり、こっくりの味わいで気に入りました。
テリーヌはスライスしても特大サイズ。サラダが添えられています。
手作り感たっぷり、旨みたっぷりの大変美味しいテリーヌでした。

ソムリエさんのサービスは付かず離れずで、ちょうど心地よいスタンス。
BGMは邪魔にならない程度の品があるもの。
客層も雰囲気よく、素敵な空間を彩っていました。
これでまたリピーターになりたいお店が1軒追加されました。
今度はもう少し早い時間に訪れ、お食事も味わってみたいものです。

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10位

ル・ジュー・ドゥ・ラシエット (代官山、恵比寿、中目黒 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2011/07訪問 2009/05/28

活気溢れる人気店

<2009年5月>
4月からシェフとサービススタッフが代わって、初訪問。
店内のインテリアは特に変更されていなかったものの、
テーブルにちりばめられていたガラスのおはじきor粒々が、
カクテルグラスに収まって、テーブル上を飾っています。

出されるおしぼりは、ハーブの香りですっきり、さっぱり。
男性方、これで顔を拭きたくなること請け合い。

ワインリストは、8000円台シャンパンのオンパレードが健在。
どれにしようか悩むののも、楽しい時間。
プレステージシャンパンも、良心的な値付けにニッコリ。
ボン・ピナールと、いい勝負でしょうか。

ところで、ミネラルウォーターの種類は、最初に手渡されたドリンクメニューに書かれていました。
どんなものがあるのか、目で確認できるのは嬉しいです。

まずは、メニューを選びながら、おつまみ。
ふわふわとした泡状のものにくるまれた、真鯛を串に刺したもの。
シュワっとした口どけがサブライズ。
グリーンがきれいなオリーブのマカロン。
ピンク色の焼き菓子、海藻のチュイルリーなど。
これは以前にはなかった、新しい試み。
ピエール・ガニェールを彷彿とさせるもの。

前菜は、「アスパラガスのクーリー、ホタテ、金目の炙り、トリ貝、白えび、カニ」。
添えてある、クレソンの苦味がアクセント。
野生のアスパラガスが、つくしみたい。
リースリングのジュレは、まさに白ワインを固めたもの。
魚介てんこ盛りで、シャンパンのための前菜のよう。

「モリーユ茸のスープ」。
ラングスティーヌのポワレ、モリーユ茸にラングスティーヌのムースを詰めたもの。
上にはモリーユ茸のエスプーマで泡たっぷり。
スープ自体がとても濃厚で、しっかりとした味わい。
最後までパンで拭って。

「タスマニアサーモンの低温ポワレ」。
ジューシーに仕上げた火入れが絶妙。ちびりちびりと、楽しみました。
シェフは低温調理を得意としているらしいです。

「うなぎの炙りとフォアグラのミルフィーユ」。
上には青りんごをキャラメリゼしたもの。
姿だけ見ると、シブーストのよう。
ところが、ナイフを入れると、ねっとりとしたフォアグラとうなぎの炙った薫りが。
少々甘口のソースを添えて。
もちろん、甘口のソーテルヌと共に。

「カサゴの低温調理」。
こちらもジューシーな身が、旨みを損なわず仕上げられています。
塩の振り具合もちょうどよく、シャンパンとマッチ。
雑穀のリゾット添え。

「国産ウズラとテナガエビ」
うずらの胸肉をローストし、トーストを乗せて。
モモ肉は中にフォアグラを詰めてモモ肉で巻き、パセリとパン粉で揚げて。
手長海老のポワレと季節野菜。
オマールのジュが薫りよく。
絵画に見立てたような、素敵なデザインの一皿。

アヴァンデセールは「ヨーグルトのアイスにコクリコ(ひなげし)のパウダー」。
コクリコが鮮やかなオレンジ色で彩りよく、きれいでかわいい。
ヨーグルトのアイスクリームが爽やか。

「モスコバド糖のデザート」。
大きめのカクテルグラスに入ったデセール。
ライチのジュレ、ビスキュイ、マンゴーのクリーム、ライムノジュレが層になっています。
一番上には、モスコバド糖のパウダーがクリスピー。
上から下まで、スプーンでグッと。
口にすると色んな味がしますが、マンゴーが勝ち。
マンゴーのクリームが軽やかながら、しっかりとしていて、食べ応えがあります。
横にはモスコバド糖のケーキ。
とても手がかかったデザートに、満足感たっぷり。

以前と変わった部分もあるけれど、基本のコンセプトは変更されていないので、
違和感なくいただけました。
スタッフのサービスはすこぶるわかりやすく、自然なもの。
様々な場面で、思わぬ気を利かせてくれます。
そういう才能の方々で固められているのなら、安心。

新生ル・ジュー・ドゥ・ラシエットは、ようやく落ち着いたころなのでは。
色んな面で、これからも楽しみです。

<2008年11月>
2階に上がる階段はなんとも味気ないけれど、扉に近づくとすぐに迎え入れてくれます。
さほど広くない店内ながらも、大きめテーブルのゆったりとした配置は感心。

グラスシャンパンは2種類の用意で、大きめグラスにたっぷりと。
ワインリストは相変わらず、1万円以下のシャンパンが豊富で楽しい。

「ムニュー ブラン」~白のコース~にて。

「新米をまとったキノコのペニエ」。
衣にお米が入ったキノコのフリット。
クリスピーな食感と、添えられたお塩が味わいが、キノコの歯ごたえを引き立てる。

「越前ピーチカブのトリュフマリネ」。
まずはライヨールのナイフが置かれます。
白いお皿に、黒っぽい丸い物体。
ナイフを入れると、パリっと硬く、どこかに飛ばしてしまいそう。
しかし、勇気を持って一口大にカット。トリュフのソースを絡めて。
カブの自然の甘みと歯ごたえ。それにトリュフの薫りがフワっと、長いアフター。
ビックリ美味しい、ワクワクする一皿。

「フォアグラのポワレとリゾットクロカン 茸スープを添えて」。
スープは後から目の前で注ぐパフォーマンス。
フォアグラも、茸のスープも、コクのある濃厚なもの。
それにリゾットクロカンがあるため、別のカリっとした食感と、
香ばしい薫りが広がり、バランスのよい三重奏が生まれます。

「キジとクリのヴルーテ」。
深く個性的なキジの、野性味溢れるアタックが印象的。
季節をしっかりと味わえる。
こちらも濃厚な一品。

「ハナオコゼ 燻製アンキモのソース」。
白身はしっとりふっくら。
皮目はパリっととしたオコゼは、低温調理されたもの。
こんなにうまく焼けた魚料理は、なかなかフレンチでお目にかかれないもの。
ソースを絡めずに口にしても、充分楽しめる。
さらに、コクのあるアンキモとあっさり儚いエスプーマの二種類のソースは、
お皿をきれいに彩っていて、オコゼとの相性も抜群。
このコースの中でベストの一皿!

「イベリア種75% イベリコ豚のロティ エピスのソース」。
適度に脂の乗ったロース肉を塊のまま低温調理。
カットして焼き目を付けています。
口に入れて噛んでみると、ジュワっと旨味の乗った脂と肉汁が。
エピスのソースの印象があまりなかったのだけれど。
充分にスペシャリテの品格はあります。

「ヨーグルトと柿のアイス」。
アヴァンデセールとして。
大きめのスプーンに柿のトロンとした大きめの果肉と、
ヨーグルトのアイスクリームがよく合っている。

「五郎島金時とショコラの温かいパルフェ」。
温かいおいもとショコラ、冷たいアイスクリームとチュイルリーを
併せて口にすると、たまらない美味しさ。
おいも系のデザートはちょっと苦手なのですけど、これは別。
お代わりしたかった…。

添えられるパンは2種類。
長細いライ麦パンと、フランスパン生地のプチパン。

お皿数は多いものの、まったく負担にならない。
かと言って、ソースの少ない、いわゆる現代フレンチとは違い、
最後までパンで拭って食べたくなるほどのソースの出来。
ワインを引き立てるし、ワインもお料理を引き立てる。

若いながらも、丁寧で明るいサービスは目配りは充分。
支配人さんのソムリエぶりも、自信を持って適格で、わかりやすい言葉を選んでの説明で好印象。

最後にちょっと思ったのが、ミネラルウォーターのメニュー。
食後の飲み物のメニューに記載があったのですが、
せっかくならば、ワインリストの最終ページにでも書いておいていただけるとうれしいかな、と。
実際には初期にオーダーしたいので、「ガス入り、ガスなし、いかがなさいますか?」と
説明されるよりも、まずは何が揃っているのかを見たいもの。
ガス入りで飲みたいもの、ガスなしで飲みたいもの、その時の気分によって
オーダーしたいワガママなもので。
もっとも、何も載せていないお店がほとんどなので、贅沢は言いませんが。

前回訪れた時より、確実によくなっていることは確か。
挑戦と、完成とが混然一体としていて、食べ手のこちらも次にどんなものが出てくるのか、
ワクワク感が楽しくてたまらない。
右肩上がりの勢いが、とっても頼もしい。
2009年もミシュラン1つ星継続というのも、うなずけるもの。
これから、まだまだ楽しみです。

※<2008年4月>はコメント欄に移動しました。

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