トニー・ソプラノさんが投稿したボー・スィエル(千葉/物井)の口コミ詳細

最後の晩餐は永遠のテーマ

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ボー・スィエル物井/パン、洋菓子、惣菜・デリ

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  • テイクアウトの点数:4.5

    • ¥1,000~¥1,999 / 1人

美しい空と焼きたてではないクロワッサン

昔、千葉市都町に小さなパン屋があり、店先に年配の白人男性が穏やかな笑みを浮かべて座っていた。
良く晴れて、雲ひとつない長閑な午後だった。
男性は目が合うと「こんにちは」と話しかけてきた。続けて「ワタシ納豆食うよ。納得した?」と急角度の駄洒落を口にした。
それがフランスからやって来た偉大なパン職人、ジャン・デリニヨンさんとの出会いである。
ボー・スィエルとは本店のあった四街道市美空の「美空」をフランス語に訳したものだと聞いた。
また、本当に美味しいクロワッサンは焼きたてではなく、焼き上げてから数時間経ったものだとも教わった。その他にもジャンさんからパンの奥深さを色々と教わった。
そして、私事ながら結婚式の時は無理を言って大きなケーキを焼いて貰った。その時、フランス式のお祝いだと言って、シュークリームを積み上げた特製のクロカンブッシュをプレゼントしてくれた。
思い出はつきない。けれど何年も、いや二十年以上、連絡も訪問もしていなかった。
今となって、その事がとても悔やまれる。
四街道の「もねの里」というところに品の良い、まるでヨーロッパから店ごと持って来たようなパン屋を見つけた。
それが今のボー・スィエルだと気付くのにそれほど時間はかからなかった。
現在は奥様と息子さんと、大勢のスタッフとでお店を切り盛りしているようだ。
もちろんクロワッサンはジャンさんのレシピを忠実に守っていらっしゃる筈だ。
焼き上げてから数時間、充分に発酵した小麦と上質なバター、それらが高い次元で融合した至上の喜びを堪能できる本物のクロワッサンである。

今日も、あの日のように良く晴れた長閑な一日だった。
ジャンさん、本当にご馳走様でした。

2023/09/07 更新

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