kasuganomichiさんが投稿した御二九と八さい はちべー(京都/河原町)の口コミ詳細

kasuganomichi 嚐味隨想                           メインテーマは「京都の好きな店を再訪」

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御二九と八さい はちべー河原町、祇園四条、三条/牛料理、ホルモン、日本料理

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 3.9
      • |雰囲気 4.1
      • |CP 4.3
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2015/09 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス3.9
    • | 雰囲気4.1
    • | CP4.3
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

2015年最高の夕食@柳小路

台風も来ていることですし、簡単に。
えーと、「はちべーの煮込み」を昨晩自宅にていただきました。600円でこれがいただけるのはありがたいことです。
じっくり煮込まれた、ハツモト、ハチノスなどたぶん6種のモツ。味はしつこくなく、でもしっかりと濃厚なもので、赤ワインにも合いました。
余談ですが、世界入りにくい居酒屋リヨン編のミュリエルおばさんが教えてくれた「織物職人の脳味噌」もフロマージュブランが手に入ったので作ってみましたがこれもなかなかでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆さんは、ご自宅の前の道路が荒れていたり、舗装が剥げていたりしたら、どうされますか?

1 ほっておく。そのうちだれかがなおすでしょ。
2 市役所か区役所に電話してすぐなおさせる。

まあこの2つが普通ですよね。ところが現代に、そうじゃなくて自分で直しちゃった人がいたのです。
岡本圭司さん。お店を柳小路という裏通りに出すにあたって、まず八兵衛大明神というタヌキを祭った祠を改修、さらにその通りもきれいにしてしまいました。
これって、(いろいろいわれる)京都人のよいところが出ていると思います。江戸時代、全国のほとんどは大名つまりお殿様の統治下にありました。で、時代劇などではときどきひどいことをするお殿様ですが、実際は将軍から任された土地を必死で守り領民をかわいがった。一揆なんか起きた日にゃ、国替えやお取りつぶしが待っている(一所懸命)。そのかわり殿様には通貨発行、軍事、徴税などの裁量権が与えられるのです。
ところが、幕府直轄の京、大坂、長崎などは、さして権限もない幕府の官僚たちが治める。彼らの目的は、よい統治ではなくて無事に任期をつとめあげ、できればもっとよい地位へと栄転すること。だから適当に2年ほどすごして、任地を去る。住民もそんなものだとわかっているから、役所には、大して期待しない。
大坂(現大阪)なども、公儀橋(幕府が管轄する橋)という名前がわざわざつくくらいで、原則は、有力な商人や橋の両詰の町で管理費用を負担、場合によっては商家が築造する(淀屋橋)わけです。自治の精神ですね。しかし、それは江戸時代の話、今そういうことをする方がいるとは。

BS朝日の番組で拝見し、大いに興味をかきたてられました。で、マイレビュアーさんが夜にいくべし、と書かれていたので、そのとおりに。週末の夜9時に予約しました。

連れと二人で9時に行くと、先客が長っちりをされている様子、申し訳なさそうに、2階のテーブル席に案内してくださいます。ここで食わされるのか、と思ったら、もうすぐ空きますので、その間お飲物でも、ということで、ご好意に甘えて白ワインハーフをいただきます。その2杯目を注いでいると、下があいたとのことで移動します。カウンターの隅、テレビで柏井先生がすわっていた場所だ。

まず、アキレス腱のポン酢和え。あ、ここはもっぱら「内肉」つまりホルモンを素材に和食仕立てで食べさせてくれるお店なのです。さっぱりしたお味、これが牛?というくらい脂味やしつこさがない。
続いてハツモトの中華和え。ハツモトとは、牛の大動脈の血管部分。太いのですね。別名「コリコリ」「タケノコ」でわかる独特の食感、これをごま油と醤油でいただくのですが、おいしいなあ。
さらに前菜最後は、ハチノスの胡麻ダレ和え。これまでの2種の前菜は、初めていただく部位に気圧された感じでしたが、今度はフランス料理などで幾度となく食べている素材です。でもねえ、これがほんとうまい、お上手に仕上げておられます。豊かな発想の前菜3種でした。

次なる品は、ハラミにぎり。テレビ番組では「ハラミと夏野菜」でした。でも、そろそろいかにも牛肉、という部位を食べてもらおう、という構成なのでしょうね。ハラミとは牛の横隔膜。赤身の肉だが、肺を支える部位なので肺に付属して商われるため、内臓扱いになっている。わさびがちょこっと乗っていて、さっぱりした味を演出。
ここらでスペイン産赤ワイン、トーレスのフルボトルをお願いします。

でもって、テレビでもうまそうやなあ、と夫婦そろって注目していたレバニラ。メニューにはないけど、ということで、楽しい一品。中華のがしがししたレバニラもよいけど、京都ではこんな感じですわ、というエスプリの効いたメッセージ性の高いお皿です。胡麻とごま油であっさり味のニラと、低温調理でほんのりピンク色になったレバー。一緒に食べるとなんともいえないハーモニーが口の中に広がります。
さらに、ハツ山かけ。とろろ芋、オクラ、わさびと牛の心臓。ハツは大好物ですが、こういう食べ方は思いもよらず。混ぜてじゅるじゅるいただきます。
そろそろ温かいものを、ということで、牛タン団子煮。お椀に、丁寧な出汁と牛の舌の挽肉を団子にしたものが1つ。上に針生姜。発想が豊かすぎてついていけない状態。タンは塩とレモンだと固く信じてきた自分、に反省を迫る一椀。
次は、レバーペースト、下にたっぷりの生野菜、トーストが添えられます。レバーくささが全くない、これはレバニラもそうでしたが。ただ、私はレバーレバーした味が好きなので、おいしいのはおいしいのですが、やや拍子抜けかもしれません。もうね、何とかして文句をつけようとしているだけの私。
いよいよ、ってもうかなり堪能しているのですけど、焼肉でございます。テレビでは「テンコブ(リンパ腺)・ほほ肉・シビレ・サガリ」でした。本日はヤン・ほほ肉・ハツ・サガリのラインナップ。すぐそばで焼いてくださいますが、焼きあがるまでサラダをいただいて待機。

まずヤン。
ホルモン素人には、聞いたことさえない部位です。第三胃袋と第四胃袋のつなぎ目の肉厚部。ハチノスの上についているコブのようなところ、1頭から数百グラムしか取れない希少部位だそうです。でも出回らない、さして高価ではないのは、おわかりですね、下処理が難しくて面倒。ホルモン通の方々には、寿司屋の玉子とコハダみたいに、お店の腕を確認する指標となっているみたいですね。
肉厚で脂が多いのですが、くせのない脂身の甘みと弾力が楽しい。

ほほ肉
焼肉屋に業者から納品されるときには、頭から頬にかけて持ってくる。これをあわせて地域によって頭肉とかカシラニクとかツラミと呼ばれるお馴染みの部位。さすがに噛んだり鳴いたりとよく動く部分ですから少し硬いのですが、そのぶんゼラチン質が豊富で独特のコクがありますね。
ここで赤ワインがあいてしまいました。で、連れははちべービール(黒)。私は芋焼酎ロック。ビールは自家醸造でおいしい。

ハツ再登場。やはりハツはうまいですね。それにしても、こんなにおいしく焼けるのですね。

最後にサガリ。ハンギングテンダーとも呼ばれている横隔膜(ハラミ)からぶら下ってる部位、だからサガリと呼ばれるようです。しっかりした歯応えとしつこくない旨みが快い。

で、さらなる山場が。我々の目の前で静かにことことと煮られていたスープが満を持して登場。牛タンハリハリ鍋です。スープにはギアラとテンコブが浮かび、さらに吟味された水菜が散らされる。そして、薄く薄くスライスされたタンに水菜を巻き込んで、えっというくらい短時間で引き上げると、見ただけでおいしいとわかる薄桃色。じんわりと舌とのどに来る滋味が最高です。

この豪華な晩餐の締めくくりは、このスープに細めの中華めんを入れた、〆の中華そば。おいしーい。柏井先生は「これだけ食べに来てもいい」とおっしゃいましたが、私は、この前に出された数々のお皿、料理に込められた精神と意気込みがあって、そのストーリーのピリオドとしてこの一椀があると思いました。

最後の最後で、レモンシャーベット。左党の私には「もしよろしければ」という一言が妙にうれしかったり。14品で6800円。今年これまでの最高のお値打ちディナーをいただいてしまいました。このうえない満足感。

おみやげに、はちべーの煮込み600円を。これも後ほどレポートしたいと思います。


CREA 2015年11月号  文藝春秋社 コースやセットでひとり肉ー高級肉」  157頁
京都ぴあ 2015-2016 「歩いてみたい京の小路・路地」 71頁
柏井壽 『極みの京都』 光文社文庫 2012年  157-158頁


トイレ 男女共用 ウオシュレット。


http://www.tripadvisor.co.uk/Restaurant_Review-g298564-d6520088-Reviews-Meat_Vegetable_Hachibe-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html

  • レトルトを温めるだけで、自宅ではちべーの味が。

  • おまけの「織物職人の脳味噌」

  • 白ワインハーフ(サービス)

  • 2階はテーブル席。やはりカウンターがいいですね。

  • お品書き

  • アキレス腱のポン酢和え

  • 続いてハツモトの中華和え

  • ハチノスの胡麻ダレ和え

  • ハラミにぎり。2貫供されます。

  • 赤ワイン

  • レバニラ

  • ハツ山かけ

  • をまぜたものがこれです。

  • 手前のスープが気になる厨房

  • 牛タン団子煮

  • レバーペースト

  • いよいよ焼肉です。

  • 肉が焼けるのを待つテーブルセット

  • 絶品のヤン

  • ほほ肉

  • ハツ

  • サガリ

  • はちべービール(黒)

  • ハリハリ鍋に使われるタン。

  • 牛タンハリハリ鍋

  • 〆の中華そば

  • レモンシャーベット

  • BS朝日「京都路地めぐり 名店の味」から

  • 店主の岡本さん。

  • ホルモンは鮮度と下処理が命だそうです。

  • 八兵衛明神

  • 荒れた12年前の柳小路

  • 出店を機に祠を改修

  • すっかりよみがえった柳小路

  • ハラミと夏野菜

  • これも食べてみたい、サガリスジの角煮と賀茂ナス

  • はりはり鍋

  • 〆の中華そば

  • おまかせコースはバラエティがあり、また違う季節に寄りたいです。

2017/09/22 更新

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