『N大凶悪タックル事件に関する考察』kasuganomichiさんの日記

kasuganomichi 嚐味隨想                           メインテーマは「京都の好きな店を再訪」

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時事ネタですみません。

まあ日本のマスコミはほんとに一つの事件を追いかけまわす傾向が強くて、テレビつけっぱなしにしていると同じ事ばかり繰り返すことになります。

可笑しくておかしくて仕方がなかったのが、これ。
「大学という教育機関がどうしてこんなことをするのか、ほんとうに情けない」というコメント。


端的に申し上げますと、私はこのN大学を大学だと思ったことは一度もありません。大学の恰好をしたスポーツコングロマリット(巨大複合企業)なんです。こういうと、馬鹿にしていると思われるかもしれませんが、そんなことはございません。それはそれで一つの組織経営の戦略として成立しうるものなのです。

ご理解いただくために、まったく逆の例を出します。

京都にある、国立のK大学。私の在学中も卒業後も、時々フットボールが強い時期があって、全日本チャンピオンも学生チャンピオンも獲ったことがあり、楽しい思いをさせてもらいました。関西では、今回被害者となったKG大学と「2強」と呼ばれたりしたこともありました。ただ、選手の不祥事などもあって低迷が続き、あるいは1部リーグの入れ替え戦に回ることも(皮肉にも、相手の監督はK大学の黄金時代を築いたM氏でした)ありました。
K大学のフットボールが苦しい時であっても、学内で「K大学の未来はどうなるんだ」なんてことは誰も言いません。だって、K大学にとってフットボールは「どうでもいいもの」ですから。少数の好きな者だけが気にしているだけです。人体でいえば、脳や心臓や肝臓ではなく、いぼやホクロみたいなもの。日本にとっては、松居一代。

したがって、名監督といわれたM氏は、K大学の職員ですらありませんでした。ただの近所のおっちゃんです。彼は学習塾の経営で生計を立てていたのです。ましてやN大学のU氏のように大学全体の「ナンバー2」などになれるわけがないのです。

さて、N大学。ゴルフ、相撲、フットボールを始め、様々な体育会スポーツを展開し、それをブランド化して商売をしている巨大な事業体です。大学という組織形態を維持しているのは、それが税制や補助金などの面で都合がいいからにすぎません。N大学には、すぐれた教育や研究をしている先生がいるかもしれません。でもそれは「どうでもいいもの」です。学生は入学金授業料を払ってくれるのでそれなりにありがたい存在ですけど、所詮「どうでもいいもの」です。どちらもN大学にとっては中心的な存在ではなくいぼやホクロなんです。「N大学はどうして学生を守れない、守らないのでしょうか?」、はい、これでおわかりいただけましたね。だって、いぼやホクロなんですから。直接加害者となったM選手だって、もはやN大学の現役プレイヤーとして復帰する可能性がゼロである以上、どうでもいい存在なのです。


違和感を覚えたのは、「かつてのN大の黄金期のSM監督は偉大だった。今回の事件について、彼が草葉の陰で泣いているだろう」というもの。これも多くの番組で繰り返し言われています。

一生独身だったSM氏には、付き人が10人以上いました。全員フットボール部員で選手としては使い物にならないと烙印を押された方たち。おかげで、SM氏は日本でただ一人、自分で履物の着脱をしないでいい人でした。彼が住む合宿所では毎晩のように選手相手に麻雀をし、連戦連勝(もちろん、部員が勝つわけがない)で小遣い稼ぎ。部員のお母さんたちが常駐して差し入れや手伝いなどをさせられました(というより、息子をなんとかレギュラーにするため、競うようにやっていました)。もちろん練習中や試合中の暴行、パワハラなどは日常茶飯事。また、当時唯一の専門誌Touchdownは、甲子園ボウルの試合前の会議で彼が審判団を恫喝しているのを記録しています。なお身分は最終的には文理学部教授。仕事は体育の先生、のはずですが彼の担当授業(体育実技)はほとんど補欠の4年生フットボール部員が代行していました。

SM氏は、今回の事件の背景となった独裁体制、監督のコーチへの体罰、コーチの部員への体罰、いじめ、「干す」、といったN大学独自のフォーミュラを確立させた張本人です。U氏はSM氏の純正で忠実な後継者であり、ただSM氏の持つカリスマ性に欠けていた(したがって、監督の部員への直接的体罰は限定的)だけのことであります。

最後に、どのメディアも言及していないと思われる論点を一つ。今回の事件は、春の練習試合ですからテレビの中継などもない中で、YouTubeを中心としたSNSに挙げられたビデオが拡散して顕在化しました。ただ、そのソースは個人のアップなど以外、すべて被害者側KG大学のスタッフが撮影したものです。ではN大学は?主催者であったN大学はおそらくKG大学以上の人員と機材をもって試合を録画していたのは間違いありません。今のところそれを一切公表していないのは、N大学の不誠実さを如実に示すものでもありますが、それ以上に重要なのは、今後予想される捜査や裁判に不可欠な情報が含まれていることはたしかであるということです。おそらく現在、N大学側は自ら録画した画像を必死でチェックして、「不都合な」ものを削除しているに違いない。ゆえに早急な家宅捜査が必要だと思われますし、近々それは行われるでしょう。手遅れにならないことを希望します。
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