『ポルト酒飲み比べ』kasuganomichiさんの日記

kasuganomichi 嚐味隨想                           メインテーマは「京都の好きな店を再訪」

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この前の連れの出張先はポルトガルでした。私もいつか行きたいですね。我々は澳門(マカオ、1998年までポルトガルの海外領土でした)に何度か行っており、ポルトガル文化や料理、そしてお酒についてもある程度知っているのですが、やはり本国はまた違うでしょうから。で、一足先に連れが行ってきておみやげは当然、


ワインです。ポートワイン。ポルトガル第二の都市ポルトの名産。少し甘めのデザートワインが多い。Ramos Pinto社の4本セット(いずれもミニボトル)

早速自宅で飲み比べです。


RP Adriano White Reserva
サーモンピンク色、輝きがあり粘度なし。複雑な香り、でもさわやかなポートワイン 3.5

RP Adriano Reserva
澄んだ明るい赤色、粘度あり。余韻長くまろやかな味わい、おだやかな酸味。美味しい。 3.6

RP Collector Reserva
醤油っぽい香り、濃い赤色で少々濁りあり、粘度あり。まずまず
3.2

RP Porto Lágrima
薄い黄金色の輝き、樽の香りあり。軽くてさっぱりした味わい。飲みやすい白ポルト。3.5



そういえば、アメリカの推理ドラマの傑作シリーズ、『刑事コロンボ』/ 「別れのワイン」の原題、Any Old Port in a Storm は、「嵐に遭遇したら港はえり好みしない」(溺れる者は藁をもつかむ)という諺のPort(港)に、ポルト酒をかけたものでした。ラストシーンの二人にとっての「別れのワイン」はデザートワインで、おそらくポルトでしょう。刑事と犯人が胸襟を開いて刑事が用意したワインを酌み交わす、長いシリーズの中でも最も印象に残るエンディングでした。

ただ、そのシーンの日本語訳だと、
犯人「よく勉強されましたな、警部」
コロンボ「何よりも嬉しいお褒めの言葉です」
というやり取りになっているのですが、原文では

Carsini “You've learned very well, Lieutenant.”
Columbo “That's the nicest thing anyone's ever said to me.”
で、コロンボは「これまで私にそんなうれしいことを言ってくれた人はいません」で、和訳は少し弱いかな、とも思いますが、これはオタクの戯言です。

さらに言えば、この話の皮肉なところは、ワイン醸造家である犯人(ドナルド・プレザンス)が、世界でも屈指の味覚と嗅覚を持っているがために、自宅のワインセラーの温度変化でワインが傷んだことに気付いて、それが捕まるきっかけになることでした。私時々思うのですが、完全な味覚を持って、あれはだめだこれはまずい腐ってる、と批判しまくる天才と、普通の味覚でどれもそれなりにおいしいね、と言っている私のような凡人、どっちが幸せなんでしょうかね。


『刑事コロンボ』/ 「別れのワイン」[第3シーズン 第2話]1973年
監督:レオ・ペン
脚本:スタンリー・ラルフ・ロス
原案:ラリー・コーエン
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