『少年ラグビーコラム④ 【ようこそラグビーファミリーへ!】』高知ラガーくすくすさんの日記

高知ラガーくすくす 『ゆる〜い感じのレストランガイド』

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高知ラガーくすくす (50代前半・男性・高知県) 認証済

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日本代表がW杯で南アフリカを下した夜、ラグビー評論家いや生粋の日本代表ファンでさえ予想だにしなかった結末に日本が揺れた。

涙で歪んだ液晶は何度も何度も繰り返しカーンヘスケスがインゴールに飛び込む映像を流している。
芝生の上に座り込んだ南アフリカの選手達は目の前の出来事を受け入れられずにただ虚空を見つめている。

その時 積年のラグビーファン達は自宅のテレビ前で感動にむせび、ひたすら肩を震わせた。
本来ならその小刻みな震えは瞬時に全国を駆け巡り、ラグビーファミリーだけが感じうる固有の共振となるはずだった。
しかし世紀の番狂わせの激震はその範疇を越え、大いなる余震を伴ってラグビーを知らなかった人達にも広がっていく。

この日の放送はラグビーファミリーの必須チャンネルJスボーツだけではなく、民放の善き理解者日本テレビによって全国のお茶の間にも届けられたからだ。
私は日本代表の選手と共にこの日本テレビのファインプレーにも最大の賛辞を贈りたいと思う。
おそらく日本のラグビー人口を大きく増やすきっかけになるであろうし、少なくとも高知少年ラグビースクールの体験会成功のシナリオはここから始まったのだから。

日本の大多数を占めるラグビーを知らない人達はこの試合を見て驚いたようだ。
ルールは分からないけどラグビー面白いじゃないか!
何故だか分からないがラグビー感動するぞ!
五郎丸選手カッコイイ! ハート(笑)
流れは完全にラグビーに来ている。

ステレオタイプな私の思考が体験ラグビーに行き着くにはさほど時間はかからなかった。
日本代表の80分間の献身と南アフリカのささやかな油断のおかげでラグビースクールにもいくつかの取材予定が入っている。
来てくれた高知新聞、高知放送の記者の方達にお願いすると、フレンドリーな好漢達は体験ラグビーの告知を気持ちよく了承してくれた。
父兄の皆さんもこの機を逃すまいと友達の子供に声をかけてくれた。コーチの奥さんは家業の八百屋チラシで培ったノウハウを集結した手書きのチラシで勧誘をしてくれた。

日本代表が起こした揺れを少しでも長く楽しむようにラグビーファミリーはジタバタとあがいた。そのおかげで体験ラグビーには現部員数にも匹敵する35人もの子供たちが来てくれた。

「ようこそラグビーファミリーへ!」
そうなればこの子達の「ラグビーへの興味」を「ラグビー愛」に変えるのが私たちの使命だろう。

入部した子供達には全力で「ラグビーの美徳」を伝えたい。
それはいわゆるノーサイドの精神であったり
体を張ることと仲間から信頼を得ることの相関関係であったり
骨がきしむ肉弾戦の中で保ち続ける規律と秩序、すなわち情熱の中に隠し持つ冷静さのコントロールであったり
チームメイトと共に笑い 、共に泣くことの無条件の素晴らしさであったり
太ももにできた広範囲の擦り傷をビフテキと呼ぶおおらかなユーモアであったり(笑)
数え上げたら枚挙にいとまがない。

曰く「ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる」という。

ならば少年の心を抱いた大人から
いち早く大人になるであろう少年の君たちへ繋いでいこう!
日本代表が体を張って起こしてくれた心地よい
このムーブ(揺れ)を。
時を越えて大きな大きな共振となってくれることを願って。
一過性のブームで終わらせないために。

                コーチラガーくすくす
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