2回
2013/03 訪問
金沢あさげ
ちょ~久しぶりに5点満点が出ました。2005年の吉野鶏めし保存会以来なので、8年ぶりの評価5.0です。とにかくこの感動は特筆もので、食べログに紹介しない訳にはいかないです。
貴船の金沢あさげは日曜朝07:00~09:00限定で、5ヶ月前に予約しての訪問です。お店までの道のりは、浅野川大橋の袖から狭い一方通行を入っていくので若干心細くなりますが、料亭が立ち並ぶ旧茶屋街は早朝の散歩道っぽく、未だ3月のヒンヤリとした空気が迎えてくれます。
朝7時に店に入ると女将のお出迎え。和服の似合う若くて可愛らしい女将です。この地区は古びた家屋が立ち並んでいるので、女将も年配者を想定してたので、「えっ?」というギャップを感じます。ちょびっと新鮮。でも若い女将とはいえ、物腰も作法も料理の説明もしっかりしていて感心させられます。
案内されたのは2階の小部屋で4畳半サイズです。四方を襖で囲まれた和個室で、離れの茶室みたいな密室感の趣きもあり独占欲が満たされます。予約してよかったぁ~♪ 部屋の隅にかまどがあり「茶でも点ててくれるのだろか?」と覗いてみると生米が浸されてスタンバイしてます。「へぇ~。目の前でゴハンを炊いてくれるんだ」と更に感心。
そうこうしている内に女将が煎茶を持って登場。
私 :今朝は何組ぐらい。予約が入っているのですか?
女将:朝食は二組様です。料理人が病気をしたばかりで受付を減らしているのです。お客様の入店時刻にも因りますが、
朝に四組を受付けてしまいますと昼の準備が間に合わなくなってしまう事があるのです。
え~~っ。たった二組なの?そりゃ5ヶ月待ちになる訳だ。接客サービスを独占できるのは嬉しいけど、たった二組じゃあ、絶対採算割れだろうなぁ。。。とお店の経営を心配しちゃいます。
さて料理の説明です。ゴハンが炊けるまでの間、先付、焼物と配膳されますが、どれも旨いっ!
赤貝の弾力もウルイのシャキシャキ感も鮮度の良さを象徴しているし、真鯛は西京味噌に濃~く漬かっていて、焼き目の甘みがたまらないです。
煮物の小鍋が整った頃合いに、女将が「ゴハンが炊けました」とのGOサイン。かまどから茶碗に盛られた御飯の美しいこと、美しいこと。つやつやしているし、甘みが立っているし、THE-朝めしって感じ。
小鍋も美味です。よもぎ麩は大きな生麩ゆえ、もちもちの食感で加賀料理らしさ伝えてくれます。強めの山椒はアナゴとも筍とも相性が良く、それでいて葛が汁にトロミを付けていて山椒をコーティングしてまろやかな味に仕上げています。
う~む。汁を御飯にかけると更に味に変化が生まれて美味しいです。鼻を効かせて、口いっぱい頬張る感じです。ぐびび。
次の皿は強肴で、桜がふんだんにあしらわれていて、とても美しいです。
・皿の真ん中には、桜が華ごと枝ごと活けてあります。季節がら満開です。
・その周りには、ユリ根が桜の花びらの形に切られて散りばめられています。花びらの輪郭に沿って、薄紅で色付けされていて心憎い仕事です。
・また、皿のそこかしこに桜でんぶを散らしていて、この皿はもう絵画です。作品です。完成された小宇宙です。
食べるのもったいねぇ~。。。食べるけど。笑
もちろん見た目だけでなく、味もGoodです。私が気に入ったのは"やなぎさわら"と"のどぐろ手毬寿し"です。
やなぎさわらは木の芽がピリっと効いていて、前述の西京焼きとは対照的です。
のどぐろは刺身を少し寝かせる事で、熟成された味わいに仕上がっています。
そして最後は、お吸物。この頃になると御飯も最後の1杯になっています。かまど炊き御飯ですから、最後の1杯はオコゲが主役です。う~ん。美味しいっ。お吸物と合います!
ちなみに、最後のコーヒーだけは凡庸でした。
食事時間は1時間10分くらいでしたが、食休みは長かったです。30分ぐらい休憩しました。正直に言うと寝ました。幸せ~♪
だって、茶室みたいな個室空間なので「ゆっくりくつろげ」と言っているようなものなんだもの。女将も放置してくれます。
全部で2時間弱。満足感一杯でお会計をお願いすると、2人で\3,150との事。
なぬ? なにかの間違いじゃないのけ?
あっ、そうか。5ヶ月前の予約ですっかり忘れていたけど、たしか朝食は安いんだ。そう言えば、朝食は四組限定とか書いてあったな。でも今朝は二組だから、よりアップグレードしちゃったのかな?
しっかし、この朝食が\1,575ってのは凄いなぁ。。。っていうか評価5.0しか有り得ないじゃん。何年ぶりだろ5点満点って…
最高の朝食を有難うございました。料理人の方の一日も早い全快を祈ってます。>女将
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金沢あさげ(\1,575)x2人前:煎茶
先付:ホタルイカと赤貝とウルイの酢味噌-水前寺海苔と海ぶどう添え
焼物:真鯛の西京焼き,出汁巻き玉子-とんぶり添え
煮物:アナゴと筍とよもぎ麩の葛山椒煮小鍋
強肴:イカ刺しこのわた掛け,やなぎさわらの木の芽焼き,ホタルイカ松葉焼き,のどぐろ手毬寿し-桜でんぶ,
鴨団子-のし梅添え,ユリ根の桜花びら仕立て,もずく酢,茗荷たたき
飯物:かまど炊き御飯<5杯/2合>,香の物
止椀:白魚の卵とじのお吸物
飲料:コーヒー
2023/07/18 更新
初回訪問は2013年。金沢の貴船をなんと10年ぶりに再訪です。理由は、予約を取るのがず~っと困難だった為。
2023年は昼餉として訪問です。ちなみに過去口コミで取り上げた貴船の朝食は2017年で終了してます。お間違いなきよう。。。
店に到着すると、今回は1階の個室に案内されました。女将の挨拶から始まって、料理へと進みます。以下にそれぞれをご紹介。
01)食前の飲み物。桜茶/ジンジャーエール辛口/麹甘酒の順に3種類が提供。個人的には塩気をほんの僅かに確かめられる程度のチョー淡い桜茶が金沢らしくて好みでした。ちなみにジンジャーエールは結構ハード。沖縄の鉄板焼き-喜瀬のジンジャーエール級に強い生姜が個性です。
02)前菜の4種盛。
02a-真っ先に目に入るのはカクテルグラスに注がれた擂り流し。白い冷製ポタージュはホワイトアスパラとのこと。おぉぅ。赤い毛蟹の身も泳いじょる。豊潤なアスパラの甘みがカニ出汁が相まって美味しい。
02b-白和えがね。緑色なの。アボカドの緑かと思ったらピスタチオペーストとのこと。意表を突かれたけどナッツのコクが出てて美味。それにスモークサーモンが加わるんだからウマいに決まってます。コゴミの食感もよく、お替りしたい1品。
02c-稚鮎の南蛮漬。02d-ホタルイカの酢味噌。先の2品はぶっ飛んでて和食からスピンアウトしちゃってるけど、稚鮎とホタルイカが日本料理に引き戻してくれる役割。南蛮漬や酢味噌って定番だけど大事だと思う。舌が整います。
03)椀物:粗めに揚げられた道明寺粉が椀の鯛ダシを含んでヒタヒタに。味は鯛。香りは木の芽。塩分を減らせば、その分だけ旨みが強く楽しめます。結構なお手前で。。
04)お造り:赤貝の分厚さと弾力ある噛み応えに心を打たれました。サヨリは鮮度がよく身がコリッとしちょる。上物ですな。
05)焼物:アイナメの揚げ出しとフグの焼き白子-カラスミかけ。白子焼きにカラスミってズルいよね。彩りだけじゃなく濃厚な味わいに舌鼓っす。
意外と頑張ってるのがアイナメ揚げ浸し。アイナメの揚げ衣で食感を立たせて白子の柔らかさを補強しつつ、アイナメの淡白な白身とフグの濃厚な白子で味に濃淡を加えてるのが印象的です。
06)鍋物:今日イチのスペシャリテがコレ。びろ~んと広い1枚肉を女将が丁寧に焼いてくださります。量は不要なの。質だけで良いの。石川県のブランド椎茸も◎。卵黄ソースも◎。上げ膳据え膳の挙句に、能登牛の黄身和えが舌の上で融けていきます。時間よ止まれ~。な感じ。
07)飯物:かまど炊き御飯は桜エビ。う~む。いい香り。香の物の漬かり具合まで素晴らしい。前菜から食事まで結構ボリュームもあり、嫁が満腹ギブアップしたら、桜エビ御飯をオニギリにして持ち帰り用に包んでくれました。こういうの嬉しい。
08)甘味:抹茶のムースと苺のアイスは、ムースがモロに抹茶で苦いっす。迎合してないのが良さげ。女将の助言どおり、苺アイスを混ぜて食べるのが吉。
食事をしてて気付くのは女将の接客レベルの高さです。料理の質問への回答、配膳の上げ下げのタイミング。個室の掛け軸の説明まで全て的確な采配で、お見事なり。
大大満足な食事に感謝です。この店の感動は非日常にしておきたいので、次回は3年後ぐらいに再訪したいんだけど、きっとまた予約が取れないんだろうなぁ。その日の食事は一期一会で楽しむに尽きますね。ご馳走さま。
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\5,500のコースx2人前
食前酒:桜茶,ジンジャーエール辛口,麹甘酒
前菜:稚鮎の南蛮漬,毛蟹とホワイトアスパラガスの擂り流し,スモークサーモンとコゴミのピスタチオ白和え,叩きギバザとホタルイカの酢味噌
椀物:よもぎ真薯と鯛の桜葉道明寺揚げ-ウドと木の芽
造り:赤貝,マグロ,サヨリ
焼物:アイナメの揚げ出しとフグの焼き白子-カラスミかけ
鍋物:能登牛のすき焼き風,115椎茸,筍-卵黄風ソース
飯物:フキとワラビと桜エビの御飯,香の物,よもぎ真薯の味噌汁
甘味:抹茶のムースと苺のアイス